1: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 22:59:26.76 ID:+Uk5dBFV0
――鴨川ジム

記者「そう。今度の挑戦者、司波達也選手は国立魔法大学附属第一の二科所属、いわゆる劣等生というわけだけど、そこのところどうかな?」

一歩「そ、そんな劣等生だなんて。司波選手の戦績はここまで無敗ですし、とてもそんな風には…」

記者「いやね。今度の防衛戦、我々記者一同は君が格下の挑戦者相手にどんなK.O.シーンを見せてくれるのか。そこに注目しているんだよ」

一歩「は、はあ…」

記者「どうだい?ここは大きくK.O.宣言とか、1Rで倒すとか言ってもらって紙面を盛り上げてくれないかな?」

一歩「あ、あのっ…司波選手は技術も高くて、手ごわい挑戦者だと思いますし、僕はいつも通り全力でぶつかって戦うとしか」

記者「はは、いやぁチャンピオンにはまいっちゃうな」

7: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:02:29.09 ID:+Uk5dBFV0
藤井「相変わらずですね一歩くんは」

会長「ふんっ、あれが小僧のペースじゃ、今更あいつに王者らしいビッグマウスを求めるのは無駄ってもんじゃろう」

藤井「はは、確かにあのインタビューは記者泣かせですが、リングの上ではきっちりチャンピオンの仕事をこなしてくれる…」

会長「うむ、まあ多少はそれなりの風格を持ち合わせてきておる」

藤井「期待してますよ、今度の防衛戦も。それで…どうですか?今度の対戦相手、司波選手…鴨川会長の眼から見て?」

会長「ふむ、上手く足を使って戦う…アウトボクサーの理想像を体現しておるような選手じゃな」

藤井「たしかに、バリエーション豊富なステップ、アウトからミドルへの出入りの速さ…アウトボクサーに必要とされるものが高いレベルで備わっている」

会長「ブローの柔軟性にも長けておる、カウンターをとって倒しにいくスタイルからポイントアウトへの切り替え。非常に堅実な戦いをしておる」

藤井「13戦13勝5K.O.…その戦績が彼の堅実さを物語っていますね」

会長「アウトボクサーとしては完成された高い次元におる選手じゃ。…しかし怖さはない」

10: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:05:52.39 ID:+Uk5dBFV0
藤井「と言いますと?」

会長「確かに司波達也の持つ技術は高いが、どれも突出したものではない。一つ一つの武器でみれば、小僧はこれまで司波達也よりも遥かに優れた技術を持つ選手と戦ってきた」

藤井「一歩くんのキャリアが司波選手の技術を上回ると?」

会長「手放しで褒める気はせんが、奴はアウトボクサーとの試合においてはプロフェッショナルといっても過言ではないじゃろう。それほど、これまで厄介なアウトボクサーとやりあってきた」

会長「教科書通りのアウトボクシングでは小僧の粘り強さとパワーを止めることはできんじゃろう」

藤井「ふふ、凄い自信ですね。あそこでインタビューしてる記者に聞かせてやりたいですよ」

会長「ふんっ、インタビューなど試合後いくらでも答えてやるわいっ。おい!!小僧!!ミット打ちじゃ!!」

一歩「はいっ!!」

バァーンッ!!

15: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:10:14.04 ID:+Uk5dBFV0
――司波邸・深夜

キュッ キュッ
      シュッシュッ

深雪「お兄さま?まだ練習ですか?」

御曹司「ああ、深雪か。すまない、起こしてしまったか?」

シュッ シュッ
       キュッ

深雪「もうお休みになったほうが良いのでは?お身体に障ります…」

御曹司「ああ、心配を掛けてしまってすまない。だが、次は日本タイトルだ。気は抜けないよ」

キュッ キュッ
      シュッシュッ   ダンッ

深雪「あのっ…お兄さまっ…そんな練習をせずともお兄さまが本来の実力を発揮すれば…」

御曹司「…深雪、ボクシングはスポーツなんだ。戦争じゃない」

16: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:14:13.18 ID:+Uk5dBFV0
深雪「で、ですがっ…」

御曹司「通常、ボクシングという競技はグローブと呼ばれる革製の厚めの布をあしらった手袋を装着し、徒拳等から相手への打撃によってダメージを蓄積させ、相手を戦闘不能状態に陥らせる」

御曹司「そして、戦闘不能となった相手がリング…正方形をとったボクシングという競技を行うためのみに作られた独自の試合場に伏せ審判から十秒間の合図、コールを受けても再び立ち上がることができない、
また再度、試合を再開する意思を自ら示すことができない場合勝利となる」

御曹司「他にも、相手を戦闘不能状態にまで追いやることができなかった場合はその場で試合の審議を行っていたものが、2選手間でどちらがより相手を圧倒していたかという判断を下すことで試合の
結果を決する場合がある」

御曹司「このボクシングという競技では相手へのルール外の攻撃は認められない…わかるね?」

深雪「お兄さま…私は我慢ならないんです。力も技も制限された状態でお兄さまが、あんな野蛮な男達に殴られてしまう様が…」

深雪「お兄さまがいくら外傷を負わず、ダメージが蓄積しないといっても…本来のお兄さまの実力ならありえないのにっ」

御曹司「ボクシングでは評価されない項目だからね。仕方ないさ」

御曹司「だが、だからこそのトレーニングだ。チャンピオンに負けるつもりは微塵もないよ」

20: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:18:27.05 ID:+Uk5dBFV0
キュッ キュッ
      シュッシュッ

深雪「お兄さま…」

御曹司(たしかにこのボクシングという競技のルールの性質上、俺が全力を出して戦うことは難しい…だが、それを踏まえた上で築いてきたのが今のファイトスタイルだっ…)

シュッシュッ   ダンッ

深雪「わかりました、私は信じています。お兄様がこれだけ理不尽に打ち勝つ努力をされているんですもの。例えどれだけ不利な状況であっても…お兄様は誰にも負けない、必ず勝利すると信じていますっ…」

御曹司「深雪…ふっ、ますます負けられない試合になったな」

御曹司(これまでの試合でも布石は打ってきたっ…チャンピオン、幕ノ内一歩、必ず倒してみせる)

21: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:21:55.06 ID:+Uk5dBFV0
――試合当日・チャンピオン側控え室

バンッバンッ
      バンッバンッ

青木「よぉー、一歩。試合前の激励に来てやってぜ!!」

鷹村「調子は悪くないみたいだな」

木村「今、前座が終わったみたいだ。出番まであとちょいだな」

一歩「み、みなさんっ!!わざわざありがとうございます」

鷹村「しかし、今日はやけに女の観客が多いな。一歩、お前いつの間にあんなファンを獲得しやがったんだ?」

木村「鷹村さん、そりゃ相手の司波のファンですよ。紙面じゃ劣等生なんて言われてますけど、エリート出身であの甘いマスクとあっちゃ、ミーハーな奴らが放っておきませんからね」

青木「けっ…いけすかねえ野郎だぜ。一歩、あんなチャラついた野郎1Rでノしちまえ!!」

一歩「そ、そんな無茶言わないでくださいよ」

木村「まぁ、相手はお前と相性のいいアウトボクサー型だ。落ち着いてやりゃあ、問題ないだろうよ。今回は具体的な対策はとってなかったみたいだが、結局作戦はどうなったんだ?」

25: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:25:23.48 ID:+Uk5dBFV0
一歩「はいっ。司波さんは高レベルなアウトボクサーです。でも、僕がこれまで戦ってきた相手、間柴さんや冴木さん、沢村さんのイメージを会わせて挑めば、びっくりすることもないと思うんです」

一歩「いつも通り自分のボクシングをして、パワーで押し切ることができればっ…いけると思います!!」

青木「ひゅー」

木村「言うねえ。さすがチャンピオン」

一歩「ちゃ、茶化さないでくださいよぉ~」

ハハハハ…

会長「…」

鷹村「で、ジジイの見立てはどうなんだ?」

会長「ワシも大旨小僧と同じ考えじゃ。たしかに高度な試合をする選手じゃが小僧のパワーがあれば多少、強引でも押し切ることができるじゃろう。じゃが…」

鷹村「なんだよ。老婆心だしやがって」

26: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:25:56.30 ID:+Uk5dBFV0
会長「一抹の不安もある。司波がとんでもなくしたたかな事を考えているのではないかという、言い知れぬ不気味さが…」

鷹村「不気味さか…まあ、そいつには同意だな。だが、それなら元より対策のたてようなんざねえんだ。一歩を信じるしかないな」

会長「…うむ」

ワーワー

木村「おっと、そろそお出番が近そうだな」

青木「じゃあな一歩、先に観客席で待ってるぜ」

鷹村「俺様が応援してやってるんだ。無様なところは見せるなよ」

一歩「はい!!頑張ります!!」

28: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:30:27.36 ID:+Uk5dBFV0
――挑戦者側控え室

キュッ キュッ
      シュッシュッ

深雪「お兄さま、タオルをどうぞ」

御曹司「ああ、ありがとう深雪」

十文字「それで調子はどうなんだ、司波?」

御曹司「悪くはありません。ベストコンディションといってもいいでしょう。しかし、相手はチャンピオン幕ノ内一歩…万全の状態であっても勝てる言い切れる自身はありません…」

生徒会長「司波くんがそこまで言うなんて…」

十文字「お前にそれほどまで言わしめる実力者なのか、その幕ノ内一歩という男は?」

御曹司「ええ、これまでの戦績で敗北はたった一度だけ、勝利はすべてK.O.によるもという圧倒的な強者です」

十文字「ほう…それは少し厄介だな」

29: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:31:22.89 ID:+Uk5dBFV0
ほのか「だ、だいじょうぶです!!達也さんならきっと勝てますっ」

御曹司「ほのか…」

ほのか「す、すいませんっ、勝手なこと言っちゃって…」

御曹司「いや、構わないよ。励みになる」

ほのか「達也さん…」

バス女「司波くん、無茶しないでね」

御曹司「ああ、なるべくな」

えりか「私たちもしっかり応援するから」

めがね「がんばってください」

御曹司「ああ、二人共ありがとう」

御曹司「レオンにミキヒコ、今回もセコンドを頼む」

レオン「おう!!」

ミキヒコ「まかせて」

31: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:31:57.98 ID:+Uk5dBFV0
ガチャ

係員「司波選手、入場準備をお願いします」

御曹司「それじゃあ、行ってくる」

深雪「お兄さまっ…」

御曹司「なんだい、深雪?」

深雪「…いえ、無事なお帰りをお待ちしています」

御曹司「ああ」

ガチャ

42: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:39:54.69 ID:+Uk5dBFV0
――後楽園ホール

実況「さぁっ始まりました!!ここ東京、後楽園ホール!!本日のメインイベント日本フェザー級タイトルマッチ!!まずはチャレンジャーの入場だぁ!!」

ワーワー

実況『あぁおぉコゥナァー!!125ポンドぉにぃぶぅんのいちぃ!!!しばぁぁぁぁ!!!!たぁぁつぅぅぅぅやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!』

ワーワー

レオン「いけるか?達也?」

御曹司「ああ、問題ない」

バッ

43: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:41:28.86 ID:+Uk5dBFV0
えりか「がんばれー!!」

ほのか「達也さーん!!」

バス女「いけー!!」

会長「司波君しっかりー!!」

めがね「がんばってー!!」

深雪「お兄さまぁっ!!」


木村「おいおい、なんだあの応援団は!?美人ばっかじゃねえか!?」

鷹村「むっ」ジー

青木「けっ…嫌な感じの野郎だぜ。あの調子じゃさぞ楽しい学生生活だろうよ」

44: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:43:47.51 ID:+Uk5dBFV0
実況『つぅづぅきましてぇぇぇぇ!!!!あぁぁぁぁかっコゥナァー!!123ポンドよんぶんのいちぃぃぃ!!!日本フェザー級チャンピオンンンンンン!!!!!!まぁぁぁぁぁぁくぅのぉうちぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!いぃぃぃぃぃぃっぽぉぉぉぉぉぉ!!!!!』

ワーワー   ウォー   チャンピオンッ  イケェー

会長「準備はいいな、小僧!?」

一歩「はい!!!」   

まっくのうちっ!! まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!
まっくのうちっ!! まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!
まっくのうちっ!! まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!
まっくのうちっ!! まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!

実況『大歓声に包まれてチャンピオンの入場だァっ!!』

生徒会長「な、なに…この声援…」

十文字「ここは後楽園ホール、いわばチャンピオンのホームだ。ほぼ無名の司波が対戦相手なら、このチャンピオンへの声援は妥当だろう」

生徒会長「で、でもっ…いくらなんでもこの完全アウェイ状況は司波君に不利すぎるわ!?」

48: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:47:21.10 ID:+Uk5dBFV0
バス女「たしかにこの状況はあまりフェアとは言えないね」

ほのか「達也さん…こんなプレッシャー中一人で戦わないといけないなんて…」

生徒会長「わたし抗議してくるわっ…」

十文字「無駄だっ。試合はもう始まる。司波を信じてやるんだ」

生徒会長「十文字くん…」

深雪「大丈夫ですわ。会長」

生徒会長「深雪さん…」

深雪「お兄さまなら大丈夫です。私たちは信じて応援しましょう」

えりか「そうですよ会長」

めがね「達也くんならやってくれます」

49: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:48:14.26 ID:+Uk5dBFV0
生徒会長「みんな…そうね。わかったわ、私も司波君を信じて応援するわ!!」

ワーワー   ウォー   チャンピオンッ  イケェー

木村「いけぇー!!一歩!!」

青木「そんな奴1ラウンドK.O.だー!!」

鷹村「お前の    が優等生なところみせてやれぇ!!」


生徒会長「…上品に応援しましょう」

59: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:53:19.03 ID:+Uk5dBFV0
会長「小僧、いつも通りじゃ。一発当てて自分の距離を保て、相手をリズムに乗らせるな!!」

一歩「はい!!」


御曹司「レオン、ミキヒコ、水分補給の用意をしておいてくれ」

レオン「おう!!」

ミキヒコ「まかせて」

60: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:53:53.51 ID:+Uk5dBFV0
レフェリー「両選手リングの中央へ!!」


会長「行ってこい!!小僧!!」

一歩「はいっ!!」スッ

御曹司「…」スッ


レフェリー「グローブを合わせて…」

一歩「…」グッ

御曹司「…」グッ

――ラウンド1

レフェリー「ファイッ!!」

カーンッ

61: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:54:33.37 ID:+Uk5dBFV0
バッ

御曹司「ふっ」

シュッシュッ

実況『さあ、始まりました。日本フェザー級タイトルマッチ、まず先に仕掛けたのは挑戦者、素早いジャブの連打だ!!しかしっ…』

一歩(大丈夫!!速いけど直線的だ。コースは見える!!)

ヒュンヒュン

実況『チャンピオンの飛び込みがはやい!!挑戦者のジャブ、チャンピオンを捉えきれない!!』

シュッシュッ

御曹司(くっ、想定していた以上の踏み込みの早さだ)

シュッシュッ
     キュッ

64: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/02(土) 23:57:46.48 ID:+Uk5dBFV0
一歩(ここだ!!これを躱して!!)

ヒュンッ

      ダッ

御曹司「!?」

一歩(潜り込んだ!!)

会長「そこじゃああ!!小僧っ!!」

一歩(いけええ!!!)

ドゴォンッ

実況『会場に鈍い音が響くぅ!!チャンピオン得意のリバーブローが炸裂だぁ
!!』

深雪「お兄さま!!」

生徒会長「司波君!!」

十文字「いや…待て!!」

68: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:01:43.03 ID:eo8kaLtf0
御曹司「くっ」ガチ

実況『なんと挑戦者!!皮一枚でガードしていた!!!』

会長「まだじゃ!!小僧!!畳み掛けろ!!」

一歩(はい!!)

バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ

御曹司「くっ…」

ガッ  ガッ  ガッ

実況『ここでチャンピオンのラッシュだぁ!!!嵐のようなパンチが挑戦者を襲うぅ!!!』

御曹司「…」

ガッ  ガッ  ガッ

実況『挑戦者、チャンピオンのパンチを全てガード!!ディフェンス技術には定評がある挑戦者です!!そう簡単には致命傷はもらわない!!しかしっ…』

一歩(まだまだぁっ!!)

バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ

70: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:02:38.83 ID:eo8kaLtf0
ガッ  ガッ  ガッ

御曹司「はあ、はぁ…」クラ

実況『ガード越しでもチャンピオンのパンチ力は殺せないぃ!!!恐るべき破棄力!!!恐るべき幕ノ内一歩!!!これがチャンピオンの実力だぁ!!』

一歩(もう一度っ…)

カーンッ

実況『ここで1R終了だぁ!!挑戦者ゴングに救われました』


一歩「はぁっ…はぁっ…」

会長「いいぞ小僧、その調子じゃ」

一歩「は、はい…でもガードが固いです。得意な距離では戦えているんですけど」

会長「うむ。技術面は前評判通りのようじゃな、焦らず、ボディへパンチを集めていけ、必ず有効打をとるチャンスがくる」

一歩「はい!!」

73: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:06:17.91 ID:eo8kaLtf0
御曹司「ふぅ…」

レオン「達也、大丈夫か?」

御曹司「ああ、水を頼む」

レオン「おう!!」

ミキヒコ「まかせて」

ゴクゴク

御曹司(ここまでは予定通りだ…チャンピオンの俺の作戦に嵌っている)

御曹司(仕掛けるなら次のラウンドか…)

74: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:06:54.46 ID:eo8kaLtf0
ほのか「達也さんだいじょうぶでしょうか…」

バス女「いくらガードしてたからといってもあれだけパンチをもらったら…」

深雪「…いえ、きっと大丈夫です」

えりか「深雪?」

深雪「お兄さまには何か考えがあるようでした。きっと今のこの状況もお兄さまには何か考えがあるのだと思います」

十文字「ふっ…司波の妹がそう言うのなら我々も信じるしかないな」

生徒会長「そうね、司波君を信じて応援しましょう」

78: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:10:42.83 ID:eo8kaLtf0
青木「へっ、全然大した相手じゃなかったな」

木村「ああ、確かにアウトボクサーとしてのレベルはそこそこだが、今の一歩の敵じゃない。ねえ、鷹村さん?」

鷹村「…」

木村「鷹村さん?」

鷹村「妙だな」

青木「妙って何がですか?」

鷹村「あの司波って野郎、ディフェンスに徹しすぎだ。なぜ反撃しない…」

青木「なに言ってるんですか?一歩のあのラッシュ見たでしょ!?あれじゃ攻撃の隙をついて反撃なんてできませんよ」

79: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:11:26.61 ID:eo8kaLtf0
鷹村「お前の目は節穴か?確かにいつもの一歩相手なら反撃は難しいだろうが、さっきのあいつは倒す事を意識しすぎて、若干パンチが大ぶりになっていた。やろうと思えば打ち返せていたはずだ」

木村「確かに妙ですね。あれほどのテクニックを持っている奴がその隙を見逃すとは思えない」

青木「何言ってんだよ二人共!?俺はあいつの過去試合のビデオみたけど全部の試合があんな調子だったぜ!!アイツはチャンスがあっても攻めきれないヘタレなんだよ!!」

鷹村「全部の試合だと!?」

木村「…鷹村さん?」

鷹村「…もし、俺が考えている通りだったらあの司波って野郎とんでもなくしたたかな選手だぜ」

青木「??」

83: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:15:34.72 ID:eo8kaLtf0
実況『さあ、インターバルが終わって第2ラウンドです!!1ラウンドはチャンピオンの圧倒的有利!!チャンピオン、このまま決めてしまうのか!!』

――ラウンド2

会長「いけ小僧!!攻めきってこい!!」

一歩「はい!!」ダッ

御曹司「…」スッ

レフェリー「ファイっ!!」

ダッ

実況『チャンピオン!!!このラウンドも軽々と挑戦者の懐へ飛び込んだぁ!!』

御曹司(ここでジャブの連打、上手く誘い込めているな)

ヒュンッ  ヒュンッ

一歩(これを躱してボディでパンチを集めるっ!!)

バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ

88: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:20:28.47 ID:eo8kaLtf0
実況『またチャンピオンのラッシュだぁ!!しかし挑戦者またも見事なガードで防ぐ!!』

御曹司(…いいぞ、予想通り、ボディへ攻撃が集中してきた)

ガッガッガッ

一歩(もっとだ…!!決定打をっ…!!)

バァンッ バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ

御曹司(今だ!!ガードを緩める!!)

スッ

一歩(ここだぁ!!)

ドゴォォォォォォン!!!!!!

実況『ガードが間に合わない!!!決まったぁぁぁぁぁぁ!!!チャンピオンのリバーブローが突き刺さったぁぁぁぁ!!!』

御曹司「ぐはっ…」

89: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:21:03.94 ID:eo8kaLtf0
深雪「お兄さま!!」

生徒会長「司波くん!!」

ほのか「達也さん!!」

バス女「司波君!!」

めがね「達也くん!!」

えりか「達也くん!!」


御曹司「…」

実況『挑戦者棒立ちだぁぁぁ!!!!動きがとまったぁぁぁぁ!!!そしてぇぇぇぇぇ!!!』

一歩(いくぞ!!)

ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

実況『チャンピオンのウィービングが∞の軌道を描き始めたぁぁぁ!!!これはぁぁぁぁぁ!!!!!!』

一歩(いけぇぇ!!)

ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

実況『デンプシーロールだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!ここでチャンピオンの必殺技だぁぁぁぁ!!!ウィービングから体重の乗ったそのパンチをもらえばダウンは必至ぃぃぃぃ!!挑戦者!躱せるかぁぁぁ!!!!!』

95: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:25:37.50 ID:eo8kaLtf0
御曹司「…」

生徒会長「そんな…司波君はさっきのパンチをもらって動くことはできないわ」

バス女「ひどい…」

ほのか「達也さん…」

深雪「…お兄様、私は信じています!!」


一歩(うおおおおお!!!)

御曹司(!?)

御曹司【肋骨損傷、肝臓血管損傷、出血多量予測、戦闘力低下、許容レベルを突破、自己修復術式、オートスタート、修復開始、完了、魔法式ロード】

キュキュッ

御曹司「ふっ」キュッ

一歩(なっ!?)

会長「なんじゃとぉ~!?」

木村「馬鹿なっ!?」

青木「あのリバーをもらって普通に動くのか!?」

鷹村「一歩はもうデンプシーからのフックを止められねえ。くらっちまうな…デンプシー破りを」

103: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:31:03.02 ID:eo8kaLtf0
ドゴォォォン!!!!!!!!!!

御曹司「ふぅ」

一歩「」

バターン…

実況『挑戦者のカウンターだぁぁぁぁぁ!!!!チャンピオンダウーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!』

ワーワー

生徒会長「すごいわ司波君!!」

ほのか「達也さん!!」

十文字「ふっ、さすがだな」

えりか「やったね、深雪!!」

深雪「ええ、流石ですわ、お兄さま」

108: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:32:23.61 ID:eo8kaLtf0
実況『なんということでしょう!!よもや挑戦者ピンチかと思われましたが、一瞬で立場は逆転!!!挑戦者のカウンター一閃!!!マットに倒れたのはまさかのチャンピオンだぁぁぁ!!!!』

会長「…司波達也、とんでもなくしたたかな選手じゃ」

青木「た、鷹村さん!!どういうことなんですか!?一歩がデンプシー破りでカウンターをもらったのは分かりましたけど、直前まで司波はリバーをもらってフラフラだったのに…」

鷹村「効いちゃいなかったってことだよ一歩のリバーブローは…全てはデンプシーロールを誘導して、デンプシー破りを食らわせるための布石だったってわけだ」

青木「ば、馬鹿な…そんなタフネスなボクサーなら、今までなんであんな試合を…第一アウトボクサーやってることが変じゃねえか!!」

木村「それさえも布石だったんだよ。自分のタフネスさを隠し、アウトボクシングに徹することで、一歩がデンプシーロールを出しやすい状況を作り出していたんだ」

青木「そ、そんな…デンプシー破りを実践するためだけに。デビュー試合から今まで、自分のファイトスタイルを隠していたのか…」

鷹村「司波達也…とんでもねえ野郎だぜ」

116: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:35:30.57 ID:eo8kaLtf0
実況『さあ!!リング上ではレフェリーがカウント中だ!!チャンピオン立ち上がることができるのか!!!!』

御曹司「…」

レフェリー「3…」

会長「小僧!!!立つんじゃ!!!小僧!!!!」

ウ…タツンジャ…ゾウ…

一歩(会長の…声…あれ…なんで…)

ワーワー

一歩(歓声?そうか…僕ダウンしたんだ…強いな司波さんは…)

レフェリー「5…」

一歩(デンプシー破り…完全に狙われた…リバーのダメージなんか微塵も見せずに)

実況『チャンピオン反応がない!!!このまま王座交代か!!!!』

130: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:46:19.96 ID:eo8kaLtf0
レフェリー「6…」

会長「小僧!!!」

一歩(こんな強い人相手に…僕は試合前なんて言ってた?)

青木「一歩ぉ!!」

木村「立てー!!」

鷹村「起きろ!!バカ野郎!!」

会長「小僧!!」

レフェリー「7…」

一歩(パワーで押し切る?ねじ伏せる?…自惚れるな!!!!!!!!!!!!)

グッ

会長「むっ」

一歩(こんなに強い人相手にそんな無茶が通用するか!!僕は挑戦者なんだ…会長が教えてくれたこと、僕の引き出しを全部使って…全力で戦うんだ!!!!!)

132: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:47:51.08 ID:eo8kaLtf0
グイッ

実況『チャンピオン!!!!!!立ち上がったぁぁぁぁ!!!!!!!』

ワーワー

会長「小僧!!ようやった!!!」

青木村「一歩ぉぉぉぉ!!!」

鷹村「ふんっ」

レフェリー「まだやれるかい?」

一歩「はい!!!」

一歩(強いって何か分かるまで…僕はずっと挑戦者だ!!!!!!)

御曹司「…」

138: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:51:14.37 ID:eo8kaLtf0
深雪「そんな…お兄さまのパンチを受けてまだ立ち上がってくるなんて」

生徒会長「何かおかしいわ…」

バス女「うん、何か仕組んでる可能性は…」

十文字「仮に不正があったとしても今この場でそれを明らかにすることはできん。堪えるんだ」

ほのか「でももう相手はフラフラです」

えりか「うん!!ここで畳み掛ければ…」

カーンッ

実況『おーーとぉぉ!!ここでゴングだ!!!!今度はチャンピオンがゴングに救われた!!!!!』

144: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:52:35.53 ID:eo8kaLtf0
一歩「か、会長…」

会長「小僧、よく立った!!」

一歩「す、すいません…不用意に…」

会長「しゃべるな!!ワシの話だけ聞け」

一歩「はぁっ…はぁっ…」

会長「いいか!?攻め方は今と同じじゃがパンチを…」

一歩「こ、コンパクトに…か、回転を速く…ですよね?」

会長「小僧…」

一歩「会長に教わった通り…基本に忠実に…戦います」

会長「…うむ!!」

152: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 00:54:57.07 ID:eo8kaLtf0
御曹司「ふぅ…」

レオン「やったな達也!!」

御曹司「ああ。ドリンクと汗を頼む」

レオン「おう!!」

ミキヒコ「まかせて」

御曹司(作戦通りだ。上手くデンプシーロールを誘導しカウンターを合わせることができた)


一歩「はぁっ…はぁっ…」


御曹司(チャンピオンはこれで満身創痍。あとは足を使ったボクシングで攻めきれば勝てる。万が一再び、デンプシーロールを放ってきても…)

御曹司(一発、わざと被弾し、自己修復術式をかけ、さらにカウンターを浴びせる!!!)

165: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:00:40.45 ID:eo8kaLtf0
実況『さあ、先ほど致命傷のチャンピオン!!!!このラウンドでどう出るか!!!!!第3ラウンドです!!!!』

――ラウンド3

会長「正念場じゃ!!行ってこい!!!小僧!!!」バシィンッ

一歩「はいっ!!!」ジーン


御曹司「…」

レフェリー「ファイッ!!」

ダッ
一歩(基本だ!!左を使ってコンパクトに!!!)

実況『チャンピオン!!!またも挑戦者の懐に飛び込む!!!!先ほどのダメージを感じさせない!!!』

シュッシュッ
       ヒュンヒュンッ

御曹司(さすがにワンパターンですよ。チャンピオン)

ガッガッガッ

176: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:04:49.52 ID:eo8kaLtf0
一歩(ガードされてもっ…)

バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ

一歩(もっとコンパクトに!!内側の筋肉の回転で打つんだ!!)

バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ
       バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ

御曹司(…この土壇場で回転が上がるのか…さすがチャンピオンっ…)

一歩(まだだ!!もっと速く!!!)

バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ
       バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ
バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ
       バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ

御曹司(これは…)

【♪やさしさをかわいそうな僕へ…♪】

179: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:05:35.86 ID:eo8kaLtf0
バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ
       バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ
バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ
       バンッ  バァンッ  バァンッ バンッ  バァンッ

一歩(もっとっ…!!!)

【♪Get Life 意外と傲慢なのです 俺は最低…♪】

実況『チャンピオン猛ラッシュぅぅぅぅぅ!!!!!!ガードの上からでもチャンピオンのフックが挑戦者の身体を左右に揺らすぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!』

御曹司(これは既にデンプシーロールの布石か…ならもう一度…)スッ

御曹司(ガードを落として…)

【♪泣くといいキリストに懺悔して…♪】

ドゴォォォォォン!!!!!!!

青木「やった!!!」

鷹村「まだだ。これじゃさっきと同じパターンだ」

御曹司(ここで自己修復し、次にカウンターを…!?)

187: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:08:56.98 ID:eo8kaLtf0
一歩(まだまだぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

【♪切なかったナーヴァスdays 今あの日の心取り戻したい♪】

ドゴォォォォォン!!!!!!!

御曹司「が…はっ…」

青木村「やった!!!」

【♪I want this only 探し求める…♪】

御曹司(予想が外れた、ワンテンポ空けてからのデンプシーかと思ったが、続けざまのリバーブローか…!?)

ドゴォォォォォン!!!!!!!

御曹司「ぐ…ぅ…」

御曹司(ま、また…リバーブロー…)

ドゴォォォォォン!!!!!!!

199: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:12:54.98 ID:eo8kaLtf0
一歩(司波さぁぁぁぁぁんんん!!!!!)

ドゴォォォォォン!!!!!!!

【♪泣いてる人も戦う人も愛する人も愛する僕も♪】

御曹司(フックの連打…くそ…連打に捕まってしまったか)

ドゴォォォォォン!!!!!!!

実況『チャンピオン!!!!!!!フックの連打ぁぁぁぁぁ!!!!!挑戦者の体がピンボールのように左右に跳ねるぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!』

深雪「お兄さま!!」

生徒会長「司波君!!」

ほのか「達也さん!!」

【♪誰も気づいていないけれど…why?♪】

一歩(いっけええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!)

204: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:14:58.31 ID:eo8kaLtf0
実況『そしてチャンピオンのパンチが再び∞の軌道を描き始めたぁぁぁ!!!!!二度目のデンプシーロールだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』

ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!


実況『挑戦、チャンピオンのラッシュをモロにもらうぅぅぅぅ!!!!!!』

深雪「おにいさま!!」

バス女「司波くん!!」

めがね「達也さん!!」

御曹司(まずい…術式をっ…)

御曹司【肋骨損傷、肝臓血管損傷、出血多量予測、戦闘力低下、許容レベルを突破、自己修復術式、オートスタート、修復開始、完了、魔法式ロード】

御曹司(これでっ…!?)

【♪そうさ…このままno pain trance continue…♪】

一歩(まだまだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!)

217: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:17:55.94 ID:eo8kaLtf0
まっくのうちっ!! まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!
まっくのうちっ!! まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!
まっくのうちっ!! まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!
まっくのうちっ!! まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!まっくのうちっ!!

実況『場内は怒涛の幕ノ内コールだぁぁぁぁぁ!!!!!!』

青木村「うおおおーーーー!!!いけーーーーー一歩――――――!!!!!」

ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!

御曹司(ら、ラッシュから抜け出せない…もう一度術式を…)

御曹司【肋骨損傷、肝臓血管損傷、出血多量予測、戦闘力低下、許容レベルを突破、自己修復術式、オートスタート、修復開始、完了、魔法式ロード】

一歩(くぅっ!!!!!!!)

227: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:19:40.87 ID:eo8kaLtf0
ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!
ドゴォォォォォン!!!!!!!

御曹司(もう一度…)

御曹司【肋骨損傷、肝臓血管損傷、出血多量予測、戦闘力低下、許容レベルを突破、自己修復術式、オートスタート、修復開始、完了、魔法式ロード】



御曹司(大丈夫…何度パンチをもらってもダメージの蓄積はない。ラッシュの終わりを待って反撃を…なっ!?)

一歩(いけえええええええええええええええええ!!!!)

レフェリー「幕ノ内、待て!!」バッ

実況『ああーーーーっとぉぉぉぉ!!!!!!!!ついにレフェリーが割って入ったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!大きく手を交差!!!!!!!試合終了おおおおおお!!!!!!日本フェザー級タイトルマッチはチャンピオン幕ノ内一歩のT.K.Oだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』

御曹司「…T.K.Oか」

実況『挑戦者、まだ自分の状況が理解できていないといった表情をしています!!!!無理もありません!!!!!』

一歩「や、やった…」ヘタ

243: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:22:29.44 ID:eo8kaLtf0
一歩「か、会長!!やりましたぁ!!!」

会長「ふんっ、相変わらず肝を冷やす試合を見せる男じゃ…」

一歩「す、すいません…」

会長「じゃが最後のラッシュは見事じゃった」

一歩「は、はい!!!!」

実況『チャンピオン!!!!!歓喜の表情!!!!途中はあわやと思わせましたがチャンピオンの貫禄を見せつけました!!!!』

青木「ふぅ~勝ったか…」

木村「毎度毎度ハラハラさせやがって」」


深雪「お兄さまが…負け…」フラッ

えりか「深雪!!しっかり!!」

250: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:25:16.18 ID:eo8kaLtf0
生徒会長「そんな…おかしいわっ…」

十文字「落ち着け」

生徒会長「だって…司波くんはまだ立っているわ…この状態で司波くんが負けなんておかしいもの!!」

十文字「お前が納得いかんのもわかる。だがこれは、テクニカルノックアウトというボクシングのルール上仕方ないことといえる」

ほのか「テクニカルノックアウト…それじゃ、本当なら達也さんが勝っていたってことじゃないですか!?」

十文字「ああ、そうだったろうな」

生徒会長「やっぱり納得いかないわ!!生徒会長権限で抗議してきます!!」

十文字「…司波がそれを望むと思うか?」

生徒会長「…それは」

264: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:27:10.02 ID:eo8kaLtf0
バス女「会長、司波くんはよくやってくれました。私たちの期待に応える最高の試合をしてくれました」

生徒会長「…」

バス女「本来なら勝っていた試合です。でもあえて負けという選択肢を選んだ」


バス女「試合に負けて勝負に勝った。なかなかできることじゃないよ」


生徒会長「…そうね。ええ!!さすが司波くんだわ」

バス女「ね?深雪?」

深雪「…ええ、さすがお兄さまだわ」

274: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:29:27.19 ID:eo8kaLtf0
――一歩控え室

鷹村「相変わらず危なっかしい試合しやがるなぁ」

一歩「め、面目ないです」

木村「まぁまぁ勝ったんだからいいじゃないですか」

青木「そうっすよ。司波のファンの女の声が聞こえなくなったときは気持ちよかったぜ。よくやった一歩!!」

一歩「はは…痛てて」

会長「まぁよくやったわい。ほれ、シャワー浴びてこい」

一歩「は、はい」

ガチャ

会長「いつまでたっても手のかかるやつじゃ」ニヤ

282: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:30:34.14 ID:eo8kaLtf0
――御曹司の控え室

御曹司「みんな…不甲斐ない結果ですまなかった」

深雪「おにいさま…不甲斐ないなんてそんなことありません!!」

御曹司「深雪…」

生徒会長「そうよ!!結果はともかく勝負は司波君の勝ちだったわ」

ほのか「そうです!!達也さんかっこよかったです」

めがね「はい!!」

えりか「お疲れ様」

バス女「なかなかできることじゃないよ」

御曹司「みんな…ありがとう」

生徒会長「司波くんはよくやったわ。だから今はゆっくり体を休めて?」

司波「…ありがとうございます。とりあえず、シャワーでも浴びてきます」

ガチャ

298: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:33:36.01 ID:eo8kaLtf0
深雪「…やはりわたしお兄さまが負けたなんて思えません」

深雪「お兄さまがかわいそうです。あんなに練習されていたのに…」

バス女「たしかにこの結果は本人が一番納得いかないだろうね」

深雪「だいだいこの試合、あの幕ノ内という人に有利な条件がそろいすぎです!!お兄さまが本来の実力を発揮できればあんな男…」

生徒会長「そうね。…これで幕ノ内選手は司波君に勝ったことで箔がついたわ。はじめからそれが目的だったのかも…」

深雪「そんな!?なんて卑怯な…幕ノ内一歩…いつか必ずお兄さまの敵を…」


深雪「やっぱり私、お兄さまが負けだなんて認められません!!」


えりか「深雪抑えて!!」

ほのか「それより今は達也さんの心配をしてあげてください。深雪さんにしかできないことです」

深雪「そうですね!!私お兄さまのところへいってきます」

ガチャ

えりか「やれやれ、あの兄妹は…」

308: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:35:36.17 ID:eo8kaLtf0
――シャワー室

ザー

一歩「いつつ…あのカウンターは効いたなぁ…」

一歩「司波達也選手…強敵だった…」


御曹司「…チャンピオンからお褒めの言葉をいただけて光栄です」


一歩「し、司波さん!!」

御曹司「今日はありがとうございました」

一歩「す、すいません。先にシャワー室使ってたんですね。僕出ます」

御曹司「いえ、後楽園にはシャワー室は一つしかありませんから仕方ないです。それに出るなら負けた自分が退出しますよ」

314: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:38:14.54 ID:eo8kaLtf0
一歩「そ、そんな気を使わないでください!!」

御曹司「ではご一緒しても?」

一歩「は、はい…」

御曹司「ありがとうございます」

ザー

一歩「…」

御曹司「…」

一歩(き、気まずい。早めにシャワーを浴びて出ていこう…)

御曹司「チャンピオン…」

一歩「は、はい!!なんですか!?」

御曹司「試合直後、それも勝者に聞くのは不躾ですが、チャンピオンから見て自分のボクシングはどうでしたか?」

319: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:40:55.69 ID:eo8kaLtf0
一歩「え、ええと…とても綺麗なボクシングだったと思います。足を巧く使う、アウトボクサーの理想像だと…」

御曹司「負けた身で失礼ですがチャンピオン、社交辞令なら結構です」

一歩「っ…でもっ…怖さはありませんでした。これまで僕が戦ってきた相手のような怖さはありませんでした…」

御曹司「怖さか…」

一歩「あっ、す、すいません。生意気言って…」

御曹司「いえ…大変参考になりました。チャンピオン、ありがとうございました」

一歩「…あの、司波さん。生意気ついでにもう一つ言わせてください」

御曹司「はい、是非」

一歩「司波さんは、僕と戦うまで無敗でしたよね」

御曹司「ええ、幸運にも」

327: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:42:59.92 ID:eo8kaLtf0
一歩「あの…僕も初めて伊達さんに、チャンピオンに挑戦するまで負けがありませんでした」

御曹司「…」

一歩「そして試合に負けて…言葉にできないくらい悔しくて、どうしていいかわからなくて…」

一歩「でもっ…負けを知ったから…強くなれました。あの負けがなければ今の僕はいません!!」

御曹司「…」

一歩「だから司波さんっ!!あなたは…これからもっと強くなれます!!」

332: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:43:49.67 ID:eo8kaLtf0
御曹司「ふっ…」

一歩「ああ、すいません!!気に触りましたか!?」

御曹司「いえ、さすがチャンピオンです。身にしみます」

一歩「??」

御曹司「チャンピオン…自分はもう一度あなたと戦いたい。俺がまたこの場所へ戻ってくるまで待っててくれますか?」

一歩「…はい!!もちろんです!!」

御曹司「ありがとうございます。…では自分はこれで」

ガチャ

ザー

一歩(司波さん、もっとクールで怖い人かと思ったけどいい人だったな)

338: 以下、 VIPがお送りします 2014/08/03(日) 01:46:47.71 ID:eo8kaLtf0
一歩「さあ、僕ももう出よう。みんあが待ってるし」

ガチャ

深雪「お兄さま…失礼します。あの…あ慰みに参りました…」

一歩「あっ」スルッ

一歩の御曹司「」デロン

深雪「きゃーーーーーーーーーーーー!!!!!」

一歩「あ“ーーーーーーーーーーーー!!!!!」

一歩の御曹司「」デローン

一歩「す、すいません!!そんな見せるつもりは…あの、でもどうしてシャワー室に…」

深雪「あ、あ…」

一歩「え?」

深雪「アナタの勝ちです…///」

‐完‐

引用元: 幕之内一歩「魔法科高校の劣等生ですか?」