1: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 17:48:30.88 ID:JaBathExO
むかしむかし…あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。

おばあさんは荒んだ家庭で育ち、若い頃から水商売を始め、『盛り場の女帝』と呼ばれるまでになりました。

彼女の美貌に様々な男が貢ぎ、中には都心の馬鹿でかいマンションを献上した社長もいました。


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2: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 17:52:13.93 ID:JaBathExO
しかし年齢を重ねるごとに、彼女の顔から美しさは消えていきました。

それを認めたくないおばあさんは、莫大な資金を整形手術につぎ込みました。

今やおばあさんはシワとは無縁で、鼻と顎は刃物のように鋭く、    でガラスを割ることもできます。

3: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 17:53:48.30 ID:JaBathExO
彼女がおじいさんと巡り会ったのは、20年ほど前のことです。
おじいさんは彼女のパトロンの1人で、大企業の社長でした。

彼はエリートであり、実力で社長の椅子を手に入れた男です。

彼は驚くべき嗅覚で世間の流行に乗り、会社を大きく発展させました。
工場はフル稼働し、隣接する川の魚たちは全滅しました。

4: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 17:55:05.79 ID:JaBathExO
現在おじいさんは会長となり、毎日を贅沢三昧で過ごしています。

この日、おばあさんは三河というデパートにブランドバッグを買いに、
おじいさんは、自ら山をぶっ潰して作ったゴルフ場に行きました。

5: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 17:56:15.15 ID:JaBathExO
おばあさんはクレジットカードを振り回しながら、50万円のバッグを3つ買いました。
すると、いきなり男から声をかけられました。

「相変わらず羽振りが良いねえ、君は」

おばあさんは声の主を見て、背筋が寒くなるのを感じました。

6: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 17:57:21.73 ID:JaBathExO
その男は、昔おばあさんが散々貢がせた挙句、捨ててしまった人物でした。

当時、居酒屋チェーン『どんぶらこ』の経営者だった彼は、その資産のほとんどをおばあさんに貢いでしまいました。

それほど、かつてのおばあさんは美しかったのです。

7: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 17:58:57.27 ID:JaBathExO
しかし、金の切れ目が縁の切れ目。男の資産が底を尽きると、おばあさんは行方をくらましてしまいました。

今、その男が目の前に立っているのです。

「ずいぶん探したよお。いやあ、やっと見つけたあ」

男は薄笑いを浮かべています。

8: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:01:30.28 ID:JaBathExO
「どういうこと?何の用?」

おばあさんは一歩、後ずさりしました。
すると、男は急に鬼のような形相になり、おばあさんの腕を掴みました。

「いいか?俺ぁ貴様が隠したい、いろーーーんな秘密を知っているぜ」

「…」

「貴様の旦那は大企業の会長さんだろお?彼に秘密を教えてやったっていいんだぜ。どうなるかなあ?」

9: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:02:27.22 ID:JaBathExO
「や…やめて。それだけは…」

おばあさんには、消し去りたい過去がありました。
殺人、隠し子、ドラッグ…
女帝として生きた代償は大きかったのです。

「何が望みなの?」

「簡単さ。金をくれればいい。貴様のせいで、俺の居酒屋は潰れた。何とか再建したが、資金が不足しているのさ」

10: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:04:10.21 ID:JaBathExO
「…」

「金なら腐るほどあるんだろ?」

おばあさんはそのまま、銀行へと連れて行かれました。そしてその場で、1億円という大金を引き出すことになりました。

「ふん。いいねえ、金持ちは。じゃ、そういうことで」

男は去って行きましたが。どうせまた金をせびりに来るのでしょう。

11: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:05:05.02 ID:JaBathExO
おばあさんは銀行の前で立ち尽くしました。
これほどの大金が消え、おじいさんが気付かないはずがありません。
どちらにしろ、おばあさんの裕福な生活は終わったのです。

おばあさんは三階建ての自宅に戻ると、泣きながらおじいさんに、全てを告白しました。
ひた隠しにしてきた、自分の暗い過去を。

12: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:05:57.92 ID:JaBathExO
おじいさんは黙って話を聴いていましたが、終わると一言、

「ワシに任せろ」

そして真っ赤な ブガッティヴェイロンレジェンドメオコンスター二 に颯爽と乗り込み、時速200kmでどこかに行ってしまいました。

13: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:07:37.76 ID:JaBathExO
20分後、おじいさんは一人の若者を連れて戻りました。

「こいつは弟子だ。いろいろと汚れ仕事を任せている」

「弟子?」

「お前には隠していたが、俺は現在の地位のために、あらゆる手を使ってきた。商売敵は何人も殺したよ」

「そんな…」

14: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:08:48.65 ID:JaBathExO
「こいつは俺の手と足となって働いてくれてな。ウラの社会でも顔が広い」

その若者は爽やかなイケメンで、スーツをバリっと着こなしています。
とても裏社会で生きる人間とは思えません。

「桃太郎です。よろしくお願いします」

若者は礼儀正しく頭を下げた。

「桃太郎ですって?」

17: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:43:27.55 ID:gqPf8BEd0
「はい。苗字が桃です。僕の出身地では一般的です」

桃太郎はスマートフォンを取り出した。

「お姉さん、その男の名前はご存知ですか?」

お姉さん?
おばあさんは気を良くしました。

18: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:44:58.75 ID:gqPf8BEd0
「知っているわ。鬼ヶ島 渉っていうの。暴力団との繋がりもあるらしいわ」

「そうですか」

桃太郎は素早く名前を控えた。

「あとはお任せください。2度と、その男が近付いて来ることはないでしょう」

「ほ…本当?」

19: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:46:00.02 ID:gqPf8BEd0
「会長、比較的地味な車を貸していただけませんか」

「もちろんだ!ほれ」

チャリン

桃太郎は地下2階の車庫へ行き、レクサスのLSハイブリッドに乗り込みました。

そして一本の電話をかけました。

20: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:48:26.41 ID:gqPf8BEd0
「おい、サル。イヌと一緒に事務所へ来てくれ」

「へえ、お安い御用で」

サルというのは、桃太郎の相方ともいえる大男のことだ。
人を怖がらせるためだけに生まれたような奴で、
どんな人間でもその容姿には恐れをなす。

22: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:50:29.33 ID:gqPf8BEd0
やがて桃太郎は、おじいさん改め会長に与えられた事務所に着きました。

「桃さん、今度は脅しでっか?殺しでっか?」

サルが入り口で待っていました。

身長198cm、体重110kg。恋敵を撲殺して服役したこともあります。

23: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:55:01.84 ID:gqPf8BEd0
「後者だ。イヌはいるか?」

「へえ、二階に」

カビくさい廊下を進んで2階に上がると、イヌがソファに腰掛け、コーヒーを飲んでいました。

痩せぎすで、髪型はポニーテール。常にパイロットサングラスをかけている不気味な男です。

24: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:55:48.54 ID:gqPf8BEd0
「桃さん…誰を探ればいいんですか?」

「鬼ヶ島 渉だ。暴力団のスジを当たってみろ」

「…わかりました」

イヌは事務所を出ると、さっそく捜査に取りかかりました。

27: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 18:59:46.01 ID:gqPf8BEd0
何を隠そう、彼は元刑事。
幾多の事件に関わってきた彼には、人探しなど朝飯前です。

まず、暴力団にいる内通者たちと次々に連絡を取ります。

そしてすぐに、鬼ヶ島という男が地元のチンケな暴力団に金を払い、用心棒にしているという情報を掴みました。

28: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 19:01:05.96 ID:gqPf8BEd0
イヌは桃太郎に情報を伝えると、鬼ヶ島が経営する居酒屋に向かいました。

桃太郎も準備を始めました。

「サル!キジの奴と連絡を取っておけ!」

「へい」

31: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 19:35:14.77 ID:gqPf8BEd0
その頃、イヌは目的地に到着していました。

「居酒屋 鬼ヶ島」

イヌ (自分の苗字を店名にするとは…)

まず目に付くのが、センスの無い外装です。赤一色の壁に、二つの黒い丸。どうやら、この黒丸が目を表しているようです。
そして屋根には、角に見立てた黄色い煙突。

イヌ (とにかく、入ってみるか)

イヌはサングラスを取り、暖簾をくぐりました。

32: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 19:38:27.47 ID:gqPf8BEd0
「桃さん!お待たせしました!」

事務所にキジが到着しました。

「道具は揃っているだろうな」

「もちろんですとも!」

キジが持ってきたスーツケースを開けると、大小様々なナイフ、銀色のデザートイーグル、手錠などが不気味に光を放ちました。

33: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 19:45:36.14 ID:gqPf8BEd0
一方、イヌは安焼酎を飲みながら店内を観察しています。

午後6時の時点で客は二人。
カウンター4席、テーブル2席。質素な内装。
会長夫人から奪った金で、拡張するつもりだろう。

女の従業員が一人。仏頂面で皿を洗っている。

鬼ヶ島はどこだ?

34: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 19:49:43.64 ID:gqPf8BEd0
イヌは店を出て、周囲を観察することにした。
右側にある路地に入り、裏口を探す。

「約束とちがいますねえ!!」

怒鳴り声が聞こえた。
イヌは素早く身を隠した。

35: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 19:57:18.70 ID:gqPf8BEd0
目を凝らすと、店の裏口と思われるドアの前で、二人の男が言い争っているらしい。

「いいか、話は済んだはずだ。あんたらのボスと話はつけた!」

「いんや、十分な金を払っていないだろ!」

金をせびっている若者は、服装から地元の暴力団だとわかった。

もう一人は、鬼ヶ島で間違いないだろう。

36: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 20:03:18.59 ID:gqPf8BEd0
だが、彼の用事棒だという暴力団は、若者のものとは違う。

おそらく以前、鬼ヶ島は違う暴力団を雇っていたのだろう。
だが最近になって乗り換えたのだ。その過程でトラブルが発生し、以前の暴力団が脅しをかけている。

そういうことだろう。

37: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 20:11:17.97 ID:gqPf8BEd0
二人の口論はいよいよ激しさを増します。

「明日までに金を用意しろ!!明日の午後10時だ!!」

「貴様なんぞに渡すものか!!」

「午後10時に来るからな!!渡さなかったら殺してやる!!」

若者は息をはずませて去って行きました。

38: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 21:31:10.20 ID:gqPf8BEd0
イヌが店の前に戻ると、先ほど店内にいた二人の客が、立ち話をしています。

「まーたやってんのかー」

「暴力団と関わったらおしまいだね」

イヌは事務所へ向かいました。
彼の頭ではすでに、計画は完成しているのです。

39: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 21:36:50.59 ID:gqPf8BEd0
「なるほど、常連は暴力団問題を知っていると」

「そうです」

事務所2階のホワイトボードを前で、桃太郎一味は戦略を練っていた。

「奴は明日の午後10時に、店に来ると言っていました」

「で、こうしてこうやって…」

40: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 21:43:56.27 ID:gqPf8BEd0
「いいだろう。決定だ。では、明日に備えてひとつ、やろうじゃないか」

桃太郎はポケットから、会長にもらった『粉末きびだんご』を取り出しました。
袋をあけ、アルミホイルの上に広げます。

「うひょう!久しぶりだぜ!!」

キジが小躍りしました。

41: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 21:52:12.19 ID:gqPf8BEd0
アルミホイルを三脚にのせ、下からバーナーであぶり、煙を出します。

これを、特殊なパイプで吸うのです。

「はあああああ〜…効くうううう」

「ぬっふ、ぬっふ」

「ああああ…みんなの顔がゲルニカみたいになってるぞおお」

「ありゃあ、俺のパンツはどこじゃあ?」

「ぬっふっふふふ」

こうして、狂気の宴は夜中まで続いたのでした。

42: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 22:01:22.86 ID:gqPf8BEd0
翌日、午後10時

居酒屋『鬼ヶ島』の裏口に、暴力団の男が現れました。昨日の若者です。

彼がインターホンを押そうと手を挙げた瞬間、突然大男が飛びかかりました。

若者を取り押さえながら、サルはクロロホルムを染み込ませた布を、彼の顔に被せます。

若者はもがきましたが、サルの怪力には無力でした。口を押さえられているので、声も出せません。

43: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 22:12:45.05 ID:gqPf8BEd0
しばらくして、若者はぐったりして動かなくなりました。

サルは彼を地面に寝かせ、合図をします。
路地裏に隠れていた桃太郎とキジはうなずき合って、キジはサルの近くに駆け寄り、桃太郎は店の入り口に行きました。

店の中を覗き込むと、客は一人。従業員は一心不乱にコンロを掃除しています。

桃太郎はサルに向かってOKサインを出しました。

44: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 22:14:07.64 ID:gqPf8BEd0
サルはそれを見ると、インターホンを押しました。

ピーンポーーン
ピーンポーーン

「はい」

鬼ヶ島の声だ。

「組の者です。昨日はこいつが失礼を働いたそうで、お詫びを申し上げに来ました」

サルは若者の肩を持ち上げ、カメラに顔を見せました。

「お好きなようにしていただいて結構です」

45: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 22:35:26.62 ID:gqPf8BEd0
「そうか!ははは!今開けるよ!」

ガチャ

ドアが開き、Tシャツ一枚の鬼ヶ島が出てきました。

「それで…」

サルの岩のような腕が、鬼ヶ島の首根っこを鷲掴みにしまして、そのまま外に引きずり出しました。

「ちょ…!ちょ!!」

キジがデザートイーグルをつきつけて、低い声で言いました。

「金はどこだ?あんたがバアさんから巻き上げた金だよ」

「し、知らん!何だそr…」

キジは左手で持っていたメスで、何のためらいもなく、鬼ヶ島の右手の人差し指に深々と突き刺しました。

46: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 23:00:33.14 ID:gqPf8BEd0
「んーーーーー!!」

鬼ヶ島は悲鳴を上げようとしましたが、サルに口を塞がれて声になりません。

「言え。今度は指を切り落とす」

鬼ヶ島は涙を流しながらうなずきました

サルが口から手を離します。

47: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/26(水) 23:29:24.75 ID:gqPf8BEd0
「つつつつつつつ」

「なに?」

「…使っちまった」

「使っただと!?」

「借金があったんだよお!!」

「…」

サルとキジは、呆れた顔で目を合わせました。

「なあ、店が軌道に乗ったら返すからさあ!なあ!なあ!」

48: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/27(木) 00:00:59.87 ID:hvQdxpCD0
キジは屈み込み、若者の手にデザートイーグルを握らせました。

「叫べ」

「え?」

「悲鳴を上げるんだ」

「でも…」

「叫べ!」

「ふ、ふわあああああああ!!」

ズガアアアアアン!!

イーグルが火を吹き、鬼ヶ島の頭に赤い穴が空きました。
彼は衝撃ですっ飛び、頭から吹き出す血が派手に飛び散りました。

49: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/27(木) 00:02:00.70 ID:hvQdxpCD0
「そいつを立たせてくれ」

キジは眠っている若者を指差しました。
サルは彼を後ろから抱え上げます。

「血を浴びないようにな」

そう言うと、キジは左手のメスを、若者の喉にぶっ刺しました。

ピューッと音を立てて、鮮血が流れ出します。

サルは静かに、若者を寝かせました。

50: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/27(木) 00:04:54.00 ID:hvQdxpCD0
キジは、まだ温かい鬼ヶ島の手にメスを持たせ、素早く辺りを確認しました。

「ずらかるぞ」

「おう」

二人は、路地裏を後にしました。

「どんな騒ぎになるかな?」

「さあな。ま、桃さんが上手く誘導してくれるさ」

51: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/27(木) 00:11:58.46 ID:hvQdxpCD0
翌日、桃太郎一味の計画通り、テレビでは居酒屋で起こった『相打ち』について報じられていました。

どうやら鬼ヶに、以前から警察は手を焼いていたようです。
そう、死んだ二人は共に『悪人』だったわけです。

「警察も喜んでいるだろうよ。害が二つ、同時に消えたんだ。二人の死に疑問を持つことはないだろうよ」

桃太郎は事務所の二階でくつろいでいた。

「そうですね。金が無かったのは残念でしたが」

イヌが言った。

52: ◆6/NMkC8D/U 2014/11/27(木) 00:19:29.63 ID:hvQdxpCD0
「ん、待て、電話だ」

桃太郎は立ち上がり、窓の外を見ながら電話に出ました。

2、3回相槌をうつと電話を切り、ゆっくりとイヌに向き直りました。

「会長夫人だが、今回の件で過去のことが気になり始めたらしい。昔のパトロンを消して欲しいそうだ」

「そのパトロンとは?」

「…全部で7人いるそうだ」

桃太郎は笑みを浮かべました。


めでたしめでたし

引用元: 桃太郎(Very Hard)