1: 「お風呂」 2012/12/17(月) 00:15:57.36 ID:6yLkWXzwo
inお風呂


 かぽーん


 じゃぶじゃぶ


さやか「あちち」ザバァ


さやか「……」ゴシゴシ

さやか「……」ジャブジャブ

さやか「~♪~♪」


さやか「めざめたこーころはー……はしりーだしたー……」

さやか「ふふふふ~ん、ふふふふん……」ザブザブ


 じゃあじゃあ


さやか「……」ガタゴトッ


 ざぶんっ


さやか「ふはぁ~……」




まどか「さやかちゃーん?入るよー」ガラガラッ

さやか「えっ!?」ビクゥッ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1355670957

2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/17(月) 00:16:38.45 ID:6yLkWXzwo

まどか「えっ……だめだった?」

さやか「いやいやいやいや、そっちじゃなくって」


まどか「じゃあ……」

さやか「いや、ちょっとまってほしい」

まどか「どうしたの?寒いんだけど……」

さやか「ちょーっとだけ質問。何でここにいるの?」

まどか「えっ、だってここ私のお家だし……」

さやか「じゃなくって!」ザバァン!

まどか「!!」

さやか「なんで一緒に入ること前提みたいになってるの!?」ザブッ ジャバッ

まどか「!?えっ、普通一緒に入らないの?」

さやか「えっ」

まどか「えっ?」


まどか「あっ、いやぁほら、えっと、私いつもたっくんと一緒に入ってるから……」

さやか「あぁなるほど……いや、なるほどでもないけど……」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/17(月) 00:17:04.37 ID:6yLkWXzwo

まどか「とりあえず寒いから入れてもらうね?」

さやか「あ、あぁうん、もうお好きにどうぞ……」


 ざぶざぶ


まどか「~♪~♪」

さやか「……」ジャブン


 ぶくぶく あわあわ

 ざばぁ

 じゃぶん


さやか「……」

まどか「~~♪」

さやか「……~♪」

まどか「!~♪」


さやか「~♪……もうな~にがあって~もぉ~」

まどか「くじ~け~ぇ」

まどさや「「な~い!」」ザブン!


まどさや「「……」」


まどさや「「えへへへへ」」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/17(月) 00:17:53.41 ID:6yLkWXzwo

 ざばぁ

 ふきふき


さやか「ねぇまどか」

まどか「なぁにさやかちゃん?」

さやか「一緒にお風呂はいるのって、楽しいね」

まどか「えへへ、そうでしょ?」

まどか「また、一緒にはいろうね」

さやか「うん!」


 あはははは

 ティヒヒヒヒ




おわり

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/17(月) 00:19:02.32 ID:6yLkWXzwo
みたいな事をひたすら不定期に書き続けるスレです。

次回 「マフラー」

6: 「マフラー」 2012/12/17(月) 00:19:38.68 ID:6yLkWXzwo

杏子「へっくちっ……ずびび」

さやか「……」

杏子「さむっ……」ブルブル



数日後



さやか「あんた、コレ」ガサッ

杏子「んあ?なんだこれ?」

さやか「いいから開けてみて」

杏子「なんだよ……くだらないものだったら承知しねーぞ」

さやか「……」ドキドキ


 まふら~


杏子「真っ赤な……マフラー?」

さやか「えへへ、かわいいでしょ。商店街で見つけて衝動買いしちゃった」

さやか「だけど、あたしマフラーは今のがあるし。仕方が無いからあんたにあげる事にしたの」

杏子「なんだよそれ……」

さやか「いーからいーから。巻いてみて」

杏子「仕方ねーな……よいしょっと」


 巻き巻き

7: 「マフラー」 2012/12/17(月) 00:20:05.15 ID:6yLkWXzwo
杏子「……どうだ?」

さやか「あは、予想通り。ばっちり似合う」オッケー


杏子「……ま、余ってるってんならもらわない意味もないしな。暖かいし、これで冬も越せそうだよ。サンキューな」

さやか「ん。じゃあ、あたしこれから用事あるから。またね」

杏子「おう、またな」


 ばいばい




杏子(……)

杏子(……コレ)

杏子(どう見ても手編み、だよな……)


杏子(…………)


杏子「あったけー、な……」ボソリ

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/17(月) 00:21:19.31 ID:6yLkWXzwo
おわり


以上で本日の分は終了とさせていただきます。
1週間以内にはまた書きたいと思います。

次回 未定

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/18(火) 00:36:55.66 ID:U+ry+Y8go
一本書けたので投下します。

タイトルは、「転校生」

15: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:37:21.25 ID:U+ry+Y8go

ほむら「……美樹さやか。話があるわ」

さやか「何よ、”転校生”」

ほむら「……」

さやか「……」イライラ


 ぴりぴり


まどか「あわわ……」


 おろおろ


まどか「さ、さやかちゃん……ほむらちゃんも、喧嘩はだめだよぉ」

さやか「あたしはそのつもりだけど。ま、転校生次第ってやつ?」ガタッ

ほむら「……まどか。ちょっと話をするだけだから、喧嘩なんかじゃないわ」

まどか「ほむらちゃん……」


さやか「……」

ほむら「……」


 ぴりぴり


まどか「あわわわわ……」オロオロ

16: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:37:56.47 ID:U+ry+Y8go

放課後inバーガーショップ


さやか「でさー、結局話ってのも要領を得ないし……わけわかんないよ、ったく」


 ぱくぱく もぐもぐ


まどか「さやかちゃん……」

仁美「さ、さやかさん……それはちょっと言い過ぎでは……」

さやか「まーた仁美はそんな事言って……万が一そうだとしても、あの転校生とあたしはどうあっても相容れないの」


 ぱくぱく もぐもぐ


まどか「……っ」


 ぐっ


まどか「あっあのね、さやかちゃん」

さやか「ん?何、まどか?」


まどか「その……あのね、提案、なんだけど……その”転校生”って呼ぶの、やめない?」

さやか「え?」


まどか「いやあのね、ほむらちゃんにはほむらちゃんってちゃんとした名前があるんだし、転校してきてからもう随分経ってるし……」

まどか「だからね、転校生って呼ぶのはちょっとなぁ、って……」

さやか「……」

まどか「だめ、かな……?」


 ごくり


17: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:38:49.27 ID:U+ry+Y8go

さやか「――ごめん、まどか。まどかのお願いでもそれはちょっと無理かな……」

まどか「……っ」

まどか「理由を聞いても、いいかな……?」

さやか「理由、ねぇ……さっきも言ったけど、あいつとあたしはもう相容れないわけよ。水と油なの、水と油」

まどか「でもっ……」


さやか「……でもまぁ、まどかの言う事にも一理はあるし……努力はしてみるよ」

まどか「さやかちゃん!」


 ぱぁっ


さやか「あのね!?努力はするけど確実じゃないからね!?」

まどか「それでも嬉しいよぉ!ありがとう、さやかちゃん」

18: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:39:33.14 ID:U+ry+Y8go

次の日


さやか「ちょっと、ほ、ほむっ……転校生」

ほむら「何かしら、さ、さやっ……美樹さやか」

さやか「なにそれ。嫌味?」

ほむら「いいえ、違うわ。それより用件。時間が惜しいから早く言いなさい」


 ぴりぴり



まどか「あぁっおしい!」

仁美「……まどかさん、暁美さんにも何か仕込みましたね?」

まどか「うん、あのね……一応、ほむらちゃんにもさやかちゃんをフルネームで呼ぶのをやめるようお願いしてみたんだけど……」

仁美「なるほどですわ……この一幕、どうなるのか見物ですわね」


 どきどき



さやか「それで、昨日の件だけど。一応、あんたの態度次第では引き受けてあげないこともないわよ」

ほむら「――そう。じゃあ、早急に頼むわね、さ、さやっ……美樹さやか」

さやか「……ねぇ。あんたそれわざとでしょ」

ほむら「違うと言ったはずよ」

さやか「じゃあ、なんで真似なんてするのさ!」ドンッ

ほむら「あなたの真似なんてしていないわ」


 ふぁさっ


さやか「……ッ」イラッ

19: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:40:00.57 ID:U+ry+Y8go

まどか「あちゃあ……さやかちゃん顔真っ赤だよぉ……」

仁美「よく見ると暁美さんも顔が赤らんでいらっしゃいますわね」


さやか「……転校生。ちょっと屋上まできてくれる?」

ほむら「断るわ」

さやか「逃げるの?」

ほむら「どうとでも思いなさい、美樹さやか」

さやか「~~~~ッ!!」イライラ


 ぴりぴり

20: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:40:28.03 ID:U+ry+Y8go

放課後inバーガーショップ


さやか「ゴク……ゴク……ゴク……――くあーーーーッ!!転校生の奴、腹が立つッ!!」ドンッ

まどか「さ、さやかちゃん……コーラの一気飲みは体に毒だよぉ」

さやか「そんな事言ってられるかってんだあん畜生めっ!!」

仁美「さやかさん、随分と荒れておられるのですね」

さやか「仁美ぃ~聞いてくれる?転校生がさぁ、ちょっと間違ったからってさぁ……ず~っとネチネチ真似してくるんだよぉ……」


 ぐだぐだ


仁美「あら、それは大変ですわね……」

まどか(これアルコール入ってないよね……?)

仁美「でも、もしかしたら暁美さんにも何か事情があるのかもしれませんよ?」

さやか「事情ぅ~?あの転校生にぃ?まっさかぁ~」


 あっはっはっはっは


仁美「さやかさん。誰にだって、事情はあるものですわ」

さやか「……そう、なのかなぁ……?」

仁美「そう、なのですわ。諦めずにもう一回チャレンジしてみたらどうでしょう?」

さやか「でもなぁ……」

仁美「さやかさんにも、何かご事情が?」

さやか「事情というか、なんというか……まぁ、たいしたことじゃないんだけど……」

仁美「わたくしでよろしければ相談に乗りますわよ?」

さやか「……えっとね、あのね……」


 てれてれ


さやか「なんていうか、今更っていうか、なんだけど……」

さやか「転校生の事、名前で呼ぶの……ちょっと気恥ずかしくって……」テレッ

仁美「あらあらまあまあ。それは大変ですわね」

21: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:41:04.49 ID:U+ry+Y8go

さやか「その、何を今更ーって思われそうだし……」

仁美「そんな事ありませんわ。お互い名前で呼び合うのはとっても素敵な事だと思いますわ!」

さやか「でも、転校生がそう思ってるかどうかなんてわかんないし……」

仁美「きっとそう思ってらっしゃいますわ。ええ、そうですとも。名前を呼び合うことから始まるロマンス!羽ばたく蝶、百合の園!あぁ、なんとすばらしい、輝かしい未来ではありませんか!!」


 きらきら


さやか「おーい仁美ー?」


 もしもし


さやか「どうしようまどか……」

まどか「あちゃあ、仁美ちゃん完全にモード入っちゃってるよ……」


仁美「その為にっ!!」ガシッ

さやか「うわぁっ!?」

仁美「まずは練習ですわ!」

さやか「れ、練習?」

仁美「昔の方は言いました。習うより慣れろ、と。ですわ」

さやか「仁美?口調がわけわかんなくなってるよ!?」

22: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:41:32.35 ID:U+ry+Y8go

仁美「と、とにかく!」


 ごほん


仁美「わたくしを暁美さんだと思って!さん、はい!」

さやか「え、えーっと……ほ、ほむ……ほむ……転校せっ!?」


 ばしぃっ


仁美「減点1ですわ!全くなっておりません!」

さやか「まどかぁぁ……助けて……」

まどか「ごめんさやかちゃん。今の状態の仁美ちゃんはもう止まらないよ」

さやか「まどかぁぁぁ!!」ブワッ

仁美「ほら、なにをしてらっしゃるのですか。もう一度です、さん、はい!」


 ほ、ほむ……転こっ!?

 だめだめですわーっ! バシィ

 …………

 ……

23: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:42:16.84 ID:U+ry+Y8go

さやか「あの!ちょっとあんた、いい!?」

ほむら「何。屋上なら行かないわよ」

さやか「~~ッ!――あ、あのね、てんこ……ほ、ほむ、ほむほむ……ほむ、ほむらっ!!」

ほむら「ッ!?」ビクッ


 びくうっ


さやか「ほむら、昨日は、言いすぎた。ごめん。あんたにも何か事情が、あったんだよね」


 ぎくしゃく


ほむら「え、えぇ……別にあなたをいじめたくて言った訳ではないわ……その、み、さ、さや……さやか」

さやか「!!」


仁美「あらあらまあまあまあ」

まどか「二人とも、顔真っ赤」ティヒヒッ

仁美「でも、昨日とは別物の赤さですわ」

まどか「うん、このまま仲良くなってくれたらいいねぇ」

仁美「そうですわねぇ」

24: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:42:44.21 ID:U+ry+Y8go

まどか『ほむらちゃん!』テレパシー

ほむら『まっ、まどか!?私、ちゃんと言えたわよね!?』ビクッ


 あせあせ


まどか『うんうん、ほむらちゃんとっても上手に言えてたよ!練習した甲斐があったねぇ』


 ほわほわ


まどか『だから、最後にもう一つだけ。さやかちゃんと、握手してみない?』

ほむら『握手!?』

まどか『さやかちゃんの手、とぉってもやわらかいんだよぉ?』

ほむら『べ、別にそれはどうでも……』

まどか『どうでも良くないよ!仲良くなるためのワンステップだよ!』

ほむら『私は別に、み……さやかとなんか仲良くなりたい訳じゃ……』

まどか『私は二人に仲良くなってもらいたいなぁ。ほむらちゃん、だめ……?』

ほむら『……仕方ないわね』ハァ

25: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:43:12.73 ID:U+ry+Y8go

 すっ


さやか「ひょえっ!?」ビクッ

ほむら「……握手」

さやか「……なんですと?」

ほむら「……いいから。握手」グイッ

さやか「……!」


 ちらっ


仁美「……っ!」グッ


さやか「……はぁ……」

さやか「仲直り、なのかな」

ほむら「たぶん、そうなるわね」

さやか「……じゃあ。仲直りの印に」

ほむら「……ええ」


 ぐっ


仁美「来ましたわー!!」

まどか「ちょっと握力が強そうだけど……」


ほむさや「「……」」グググッ


 ぷるぷる


26: 「転校生」 2012/12/18(火) 00:43:41.73 ID:U+ry+Y8go

さやか「……ぷっ」

ほむら「……なっ、なによ!?」

さやか「あんた、握力強すぎ!どんだけ魔力込めてんの?」ケラケラ

ほむら「あなたにだけは言われたくないわ、さやか」

さやか「おー?言うねぇ、ほむら!」

ほむら「……ふふっ」


さやか「――なんか、あんたの事勘違いしてた気がする。今までごめんね」

ほむら「……いいえ、こちらこそ、よ。これからよろしく、さやか」

さやか「ん!よろしくね、ほむら!」


 キマシタワー





おわり

33: 「雪」 2012/12/21(金) 00:54:22.45 ID:PeU7sGbOo

inとある魔女の結界


魔女「――!!」

さやか「とやっ!」


ザシュッ


魔女「ギィッ!?」ドサッ

さやか「マミさんっ!」

マミ「美樹さんナイス!いくわよ、――ティロ・フィナーレッ!」


 ドンッ


魔女「ッ……!――…………」


 ザァァァ……


 ――からんっ

34: 「雪」 2012/12/21(金) 00:55:07.99 ID:PeU7sGbOo

さやか「ふぃーっ……やっつけたぁ……」


 どさっ


マミ「美樹さん、お疲れ様。とても上手だったわ」

さやか「へへ、ありがとうございます!日頃のマミさんの指導のおかげで……――あ」

マミ「?――あら、」


 ちらちら はらはら


さやか「雪、だ……」


 ちらちら はらはら


マミ「どうりで寒いわけね……」


 ちらちら はらはら


さやか「は、は……ぶぇっくし!」ブルブル

マミ「あら、大丈夫?ほら、鼻水出ちゃってるわよ。はいティッシュ」

さやか「ありがどうございまず……」


 ちーん


マミ「……そうね、ここからなら私の家が近いし、一回家に来て暖まって行かない?」

さやか「いいんですか!?わーい!あっ、あたし久しぶりにマミさん特製ココア飲みたいです!」

マミ「うふふ、いいわよ。じゃ、行きましょうか」

さやか「はいっ!」



 ちらちら はらはら


 ちらちら はらはら


35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 00:55:38.89 ID:PeU7sGbOo
おわり

次回、「歯磨き」

36: 「歯磨き」 2012/12/21(金) 00:56:29.46 ID:PeU7sGbOo

さやか「……」


 しゃこしゃこ


さやか「……」


 しゃこしゃこ


さやか「……ぐえっ」


 しゃこしゃこ


さやか「……」シャコシャコ

さやか「……あ」


さやか(しまった。昨日歯ブラシ新しいの出したんだった)

さやか(ついクセで古いの使っちゃうんだよなぁ……まぁいっか)


さやか「……」


 しゃこしゃこ

37: 「歯磨き」 2012/12/21(金) 00:57:15.32 ID:PeU7sGbOo

さやか「……」ガッ


 ジャー

 がらがらがら、ぺっ


さやか「ふぅ……おかーさーん、洗面台空いたよー」


 <はーい


さやか「さて……ゲームでもしてねよっかなぁ」

さやか「……あ」


さやか(宿題)

さやか(…………)


さやか(……明日仁美に見せてもらおう)

さやか「おやすみなさーい」


 <おやすみー




おわり

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 00:36:54.23 ID:rkhnOjkeo
こんばんわ、本日の投下に参りました。
タイトルは 「頼まれ事」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 00:37:33.71 ID:rkhnOjkeo

 見滝原駅前にて


ほむら「……」イライラ


 ちらっ


時計「14時05分」

ほむら「…………っ」イライライライラ


さやか「ごっめーん遅れ――」

ほむら「遅い!!!!」


 ずびしぃっ!


さやか「うわぁっ!?ご、ごめんってば!」

ほむら「わかってるならちゃんと行動で示しなさい!」

さやか「はいはい、わかりましたー」

ほむら「全く……」イライラ

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 00:38:06.75 ID:rkhnOjkeo

さやか「――で、大体の目星はついてるわけ?」

ほむら「ええ、やっぱり無難にアクセサリーなんかが良いんじゃないかとは思ったのだけれど……」


 とことこ


さやか「アクセサリー?」

ほむら「やっぱり、ちょっと重いかしら……?」

さやか「うーん……値段によると思うけど……」

ほむら「値段ね……物にもよるけれど、予算は大体千円くらいってところかしら」

さやか「ふむ、千円ね……あ、そうだ。最近できた小物屋さんがあるんだけど知ってる?」

ほむら「いいえ、知らないわ」

さやか「商店街の端っこに椅子屋さんがあるでしょ、あの隣に店舗が入ってね。そこそこの値段で可愛い物が多いって今話題なんだよ」

ほむら「ふむ……」

さやか「あそこなら気軽に使えるネックレスとかも置いてると思うから、行ってみない?」

ほむら「ええ、案内お願いするわ」

さやか「ふっふーん、まかせんしゃーい!ほむほむ一名様ごあんなーい!」

ほむら「」イラッ


 ごすっ


さやか「痛いっ!?無言で肘打ちは痛いですほむら様!!」

ほむら「あなたって人は……一体何度忠告されれば気が済むのかしら?」

さやか「さやかちゃんの辞書に学習という言葉はありませ――げふぅっ!?」ゴスッ バタリ

ほむら「さ、ふざけてないでさっさと行くわよ」


 ずるずる


さやか「」きゅう

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 00:39:13.64 ID:rkhnOjkeo

 inお店


ほむら「なるほど。確かにここならまどかの好きそうな物もたくさん売っていそうね」

さやか「でしょ?最近クラスの女子の間でも流行ってるんだよ」

ほむら「そうなの……全然知らなかったわ」


さやか「……ほむらはさ、クラスでももうちょっと態度を崩してもいいと思うんだけどなぁ。みんなも気にはしていても、話しかけ辛いみたいだし。もっと笑わないとせっかく美人がもったいないよ」

ほむら「何をまた急に……そうは言われても、この性格は素なのよ。――ね、これはどうかしら」

さやか「うーん、ちょっと子供っぽいかな?――まぁ素でなんでもさ、みんなとわいわい騒ぐのは楽しいよ?そりゃあ放課後は魔法少女やってて忙しいけど……。休み時間とかさ、他愛無い話で盛り上がるのもいいもんだよ」

さやか「それに、急にじゃなくてもいいんだって。大体さ、あたしとほむらがこういう風に話していられる関係にすらなれたんだから。きっとできると思うんだけどなぁ」

ほむら「……今急に悪寒が走ったわ」ブルッ

さやか「酷っ!?」ガーン

ほむら「だってあなたが酷く真面目な事を話すんですもの」

さやか「あたしだってたまには真面目な事くらい言うよ!?」

ほむら「――そう、ね……まぁ確かに、中学卒業までくらいなら、クラスでの友好を深めてみるのも、いいかもしれないわね」クスッ

さやか「!」


さやか「あんたがしっかりなじめるようになるまで、あたしが架け橋になるからさ。大船に乗ったつもりでついてきたまえー!」ドーン

ほむら「むしろ泥舟じゃないのかしら」シレッ

さやか「また酷っ!?」ガーン


ほむら「――あ」

さやか「?」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 00:39:39.78 ID:rkhnOjkeo

ほむら「これ、どうかしら?ネックレスなのだけれど」


 ちゃらっ


さやか「お、いいねぇ。ピンク色の宝石ってまどかのイメージにもピッタリだし」

ほむら「……あら、これも可愛いわね。ね、どっちのがいいかしら」

さやか「うーん、これは悩むなぁ……あ、でもたぶんまどかはこういうのの方が好みっぽいかな?ピンクゴールドってやつ?」

ほむら「ほんと?じゃあこっちにしようかしら。――そういえば、まどかのソウルジェムもこんな形だったわね」

さやか「ほえー、涙型かぁ……意外かも。でも、うんうん。いい感じ!きっと似合うよ。せっかくだし、ラッピングもしてもらえば?」

ほむら「ええ、そうするわ。ちょっとお会計してくるわね」

さやか「はーい」


さやか(クリスマスかぁ……)

さやか(――恭介、どうしてるかな)

さやか(っと、いかんいかん。つい郷愁に浸ってしまった)

さやか(あいつは結局、しばらくはバイオリンが恋人なんだっけか)

さやか(まったく。こーんな美少女二人から言い寄られたってのに、頑固な奴)クスッ


 ――か。――やか!

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 00:40:06.56 ID:rkhnOjkeo

さやか(ん?呼ばれた……ような?)


ほむら「美!樹!さやか!!!」

さやか「どっひえ!?」


 びっくーん


ほむら「何を呆けているのよ、もう」

さやか「ははは、つい妄想に耽ってました、はい……」

ほむら「ラッピング、綺麗に仕上げてもらったわ。ほら」

さやか「おー、かわいい!箱に入れてくれたんだね」

ほむら「……ねぇ」

さやか「ん、なーに?」


ほむら「泣いてるの?」

さやか「!!」ビクッ

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 00:41:22.89 ID:rkhnOjkeo

ほむら「まったくあなたって人は……どうせクリスマスの気にあてられたんでしょう」

さやか「……むぅ。ほっといてよ」

ほむら「――ほっとけないわよ、そんな顔して。ほら、ちょっとこっち向きなさい」


 ふかっ


さやか「むぇっ!?」

ほむら「泣き跡。拭いてあげてるの」


 ふかふか


さやか「ど、どうも……」ズビ

さやか(ほむらってこんな性格だったっけ……)


ほむら「……なに人の顔見て怪訝そうな顔してるのよ」

さやか「えっ!?いやぁ、ほら、ほむらってこんな性格だったかなぁ、って……」

ほむら「……私だって好きでやってるわけじゃないわよ。ただ、あなたが魔女化したらまどかが悲しむから」プイッ

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/23(日) 00:42:10.95 ID:rkhnOjkeo

さやか「……ふふっ」

ほむら「な、なによ!?」

さやか「ううん、なんでもない!そっかそっか。ま、せいぜい魔女化しないように気をつけますって!」

ほむら「……そう。わかってるならいいわ」

さやか「ふふふっ」

ほむら「何よ気色悪いわね」

さやか「なーんでもないっ!――あ、そうだ。この近くにケーキのおいしいカフェがあるんだけど、寄っていかない?」

ほむら「ケーキ?」

さやか「マミさんに教えてもらったんだ。ね、行こうよ!」

ほむら「……はぁ。仕方がないわね……少しだけよ?」

さやか「!よーし、それじゃあカフェに向けていざしゅっぱーつ!」


 ――ちょっと、往来で絡まないでよ!!

 ――いいじゃないか~ あたしとほむらの仲じゃんか~

 ――私はそういう仲になったつもりは微塵もないわよ?

 ――酷っ!? ガーン




おわり

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/24(月) 16:53:30.47 ID:ueiqFSDVo
こんにちは、クリスマスイブですね。
自分は今年は自宅でさやかちゃんとまったり過ごす予定です。
本日の投下は前編・後編に分けて投下したいと思います。

タイトル「クリスマスーパーティー」

51: 「クリスマスパーティー」 2012/12/24(月) 16:54:05.99 ID:ueiqFSDVo

マミ「冬だ!」

杏子「クリスマスだ!」

さやか「パーティだ!!」


 「「イェ~イ!!!」」ドンドンパフパフ


まどか「な、なんかみんなテンションがおかしいよぉ……」

ほむら「まどか。気にしてはいけないわ」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「ハイそこ二人の世界に入らなーい」

杏子「マミー、この皿もう運んでいいかー?」ガチャガチャ

マミ「ちょっとまってー、もうちょっとで焼けるとおもうからー!」

杏子「おう、わかったー」


 わちゃわちゃ がやがや


まどか「わはー!にぎやかでいいねぇ、さやかちゃん」

さやか「やっぱりさ、なんだかんだ言ってもせっかくのクリスマスなんだから騒がなくっちゃね!」


 ぱーん!


マミ「きゃっ!?」

杏子「にししー、驚いた?クラッカーだよ!」

マミ「もうっ佐倉さん!めっ」


 でこぴんっ


杏子「いてっ!?」

さやか「あはは、杏子のおでこ赤くなってる!」

52: 「クリスマスパーティー」 2012/12/24(月) 16:54:31.64 ID:ueiqFSDVo

 ちーん♪


マミ「さ、料理ができたわよー!」

まどか「わぁー……いい香り」

さやか「七面鳥の丸焼きなんて、本物は初めて見たよ」

ほむら「意外に大きいのね……食べきれるかしら」

さやか「杏子がいるから大丈夫だって!」

杏子「おう、今日は食うぞー!」

まどか「うぇひひっ、杏子ちゃん気合ばっちりだね!」

マミ「じゃあ美樹さん、切り分けをお願いできるかしら?」

さやか「まーかせてください!さやかちゃんにかかればー……」


 しゅぱぱぱっ


杏子「マミ!切り分けたぞ!食っていい?食っていい??」

さやか「ちょ、杏子ー!?あたしの見せ場!!」

まどか「あはは……出番とられちゃったねぇさやかちゃん」

さやか「むぅー……あとで覚えてろよぉ……」


マミ「それじゃあ、みんな揃って」


 「「いただきます!」」

53: 「クリスマスパーティー」 2012/12/24(月) 16:54:58.29 ID:ueiqFSDVo

――――

――


さやか「ふぅ……食べすぎたぁ……」

まどか「もうおなかぱんぱんだよ……」

杏子「てめーら!まだブロッコリーが残ってんぞ、食うか寄越すかしろ!」


 ばくばく もぐもぐ


まどか「杏子ちゃん凄すぎ……おねがい、このブロッコリーも食べてぇ」きゅう

杏子「おう!むぐぐ……ぱくぱく……ごっくん。ごちそうさまでしたっ!」

さやか「おぉう、完食……はんぱねぇー」

マミ「これだけ食べてくれると作った甲斐があるってものね……」


ほむら「…………」

まどか「ほむらちゃん……大丈夫……?」

ほむら「ええ……大丈夫よ、まどか……ちょっと食べ過ぎたみたいで苦しくて……」

さやか「あ、そういえばキャ○ジン持ってきてたんだった。いる?」

ほむら「ひとつ……もらおうかしら……」

まどか「さやかちゃん準備いいねぇ」

さやか「想定の範囲内だよ」ゴソゴソ

54: 「クリスマスパーティー」 2012/12/24(月) 16:55:26.76 ID:ueiqFSDVo

杏子「さ、ケーキ、ケーキ♪」

マミ「ちょ、ちょっと待って。今は死屍累々だからもうちょっとしてから食べましょう?ね?」

杏子「ちぇーっ」

さやか「」ゾクッ


まどか「そうだ、お腹がこなれるまでみんなで人生ゲームしない?」

さやか「お、いいねぇ」

まどか「じゃあまずは順番決めからだね、それっ」


------------------

マミ「あら、パイロットになれたわ。幸先がいいわね」

------------------

さやか「うそん、離婚マスとかあるの!?」

------------------

杏子「なんかすげー子沢山なんだけど……」

さやか「車に乗り切れてない子がいるね……」

------------------

まどか「やったー!一番乗り!」

ほむら「おめでとう、まどか」

------------------

55: 「クリスマスパーティー」 2012/12/24(月) 16:55:57.18 ID:ueiqFSDVo

さやか「はぁー、だいぶお腹が楽になったよ」

杏子「お!じゃあそろそろ……」

マミ「はいはい、ケーキね」

まどか「楽しみだなぁ、マミさんの手作りケーキ」

さやか「なんだっけ、びゅ……びゅっすどのえる?」

ほむら「ビュッシュドノエル、ね」

さやか「そう、それそれ」


マミ「お待たせしました、びゅっす……ビュッシュドゥノエルです!」

さやか(噛んだ)

まどか(噛んだ)

杏子(噛んだな)

ほむら(噛んだわね……)

マミ「もうっみんなそんな顔で見ないでよっ!」


 まっかっか


さやか「あははっマミさん可愛い!」

マミ「美樹さんったら、茶化さないでっ」プンスカ

まどか「マミさんかーわいいー♪」

マミ「鹿目さんまで!?」


 わいわい

56: 「クリスマスパーティー」 2012/12/24(月) 16:56:23.81 ID:ueiqFSDVo

杏子「……」

ほむら「杏子?」

杏子「あ、いやわりぃ。考え事してた」

ほむら「……そう」

杏子「……――なーんつーかさ。いいな、こういうのも」

ほむら「……そう、ね。こんなゆるいクリスマスも、ありなんじゃないかしら」

杏子「ふふっ。あいつらみてるとさ、なんかこっちまで元気がわいてくるような気がするんだ」

ほむら「奇遇ね。私もよ」

杏子「……あははっ」

ほむら「ふふっ」


さやか「あっ!ほむら!なーに笑ってるの?」

ほむら「なんでもないわ」

杏子「そうそう、なんでもねーよ。それより早いとこケーキを切ってくれよ。見せ場なんだろ?」

さやか「さっきその見せ場を奪ったのはどこの誰でしょうねー!?」

杏子「さぁな?」フフン

57: 「クリスマスパーティー」 2012/12/24(月) 16:57:21.04 ID:ueiqFSDVo

マミ「美樹さん、厚さは大体2cmくらいでお願いできるかしら?」

さやか「任せてください!……まどか、2cmってこんくらい?」

まどか「うーん、もうちょっと左かな?」

ほむら「正確にはその1.5mm左ね」

さやか「おっ、さすが弾道計算マニア!」

ほむら「」イラッ

さやか「うおっ!?無言で机を揺らすのはやめてぇぇ!」

ほむら「さっさと切り分けなさい、さやか。杏子が飢えた獣の目であなたを狙っているわよ」

さやか「は、はいぃっ!!一番!美樹さやか、行きます!」


 しぱぱぱっ


 「「おおおお~……」」


さやか「ふふんっどうだ!」

ほむら「……これは、厚さ3cmね」

マミ「――あっ、で、でも!ほ、ほら見て!断面はとっても綺麗よ!?」

さやか「」ガーン

杏子「そんな事はどうでもいいからさっさと食おうぜ!どうせおかわりすんだろ?」

マミ「はいはい、今取り分けますからね」


 かちゃかちゃ

58: 「クリスマスパーティー」 2012/12/24(月) 16:58:01.55 ID:ueiqFSDVo


さやか「あ、ねぇ。そういえばさ、ケーキ食べる前になんか歌とか歌わないの?」

まどか「さやかちゃん、それは誕生日だよ」

さやか「そうだっけ?じゃあ街中で流れてるあれは?」

ほむら「ただの雰囲気作りね」

さやか「なーんだ、そうだったのかぁ……」

杏子「ま、確かに歌うと言えば歌うが、ケーキとは全く関係ないな」

さやか「!」


マミ「さ、ケーキがお皿にとれたわよ。いただきますしましょうか」

さやか「~~♪」

まどか「!~~♪」

杏子「諦めてなかったのな……」


さやか「うぃーうぃっしゅゆーあめりーくりすます♪」

まどか「ウィーウィッシュユーアメリークリスマス♪」

マミ「ウィーウィッシュ・ユー・ア・メリークリスマス♪」

サヤカ「あんどぁ」


 「「ハッピーニューイヤー♪」」




つづく

60: 「クリスマス」 2012/12/24(月) 23:59:21.69 ID:ueiqFSDVo

------------------------

---------------


さやか「はぁーさっぱりしたぁ」


 ほかほか


まどか「マミさん、お風呂先失礼しました」ホカホカ

ほむら「……」ペコリ

マミ「おかえりなさい、冷蔵庫にコーヒー牛乳とフルーツ牛乳が入ってるわよ。――じゃ、佐倉さん。私達も入りましょうか?」グイッ


 ぐいぐい


杏子「ゲッ!マジだったのかよ!?」

マミ「当たり前じゃないの。光熱費だってバカにならないのよ?」

杏子「チッ……仕方ねーな、今日くらい一緒に入ってやるよ」

マミ「うふふ、じゃあ行きましょうか」

杏子「――ったく……」

61: 「クリスマス」 2012/12/24(月) 23:59:50.58 ID:ueiqFSDVo

さやか「まどか、牛乳とってくるけどコーヒーとフルーツどっちがいい?」

まどか「あ、私フルーツで!ほむらちゃんは?」

ほむら「フルー……コーヒーで」

さやか「あいよ、コーヒー2のフルーツ1ね」

まどか「ありがとー!」

さやか「――~~♪」ガチャガチャ

ほむら「……」


ほむら「――ねぇ、まどか」

まどか「なぁにほむらちゃん?」

ほむら「これ、日ごろの感謝を込めて……メリークリスマス」


 がさっ


まどか「わぁ……!もしかしてプレゼント?ありがとう、ほむらちゃん!――ねね、開けてもいいかな?」

ほむら「もちろんよ」

まどか「わーい!何だろうなぁ……」ガサゴソ

62: 「クリスマス」 2012/12/25(火) 00:00:28.92 ID:ihmmoTXRo

 きらんっ


まどか「……!わぁ……素敵なネックレス……!」

ほむら「その……どうかしら?気に入ってもらえるとうれしいんだけど……」


 おずおず


まどか「もちろんだよほむらちゃん!私、すっごくうれしい!綺麗だなぁ……」

ほむら「よかった……」ホッ


まどか「あっ」

ほむら「っ!?な、何かあったかしら!?」ビクッ

まどか「あっ!?ごめんね、そういうわけじゃなくって……ただ、私は何も用意できてないから、その……」

ほむら「あぁ、そういう……別に気にしないで。ただ、日ごろの感謝を示すのにちょうどいい機会だと思ったから……」

まどか「ええー、私何かできてたっけ?」

ほむら「できてたわ、とってもたくさんの事。だから、改めてありがとうを言わせて欲しいの」

まどか「てへへ……なんだか照れちゃうなぁ……」

さやか「たっだいま~!はい牛乳……ってなんだかいい雰囲気じゃん二人とも。なんかあった?」

まどか「てへへ……実はね、これほむらちゃんにもらっちゃった」


きらきら


さやか「おー、綺麗じゃん!似合う似合う、よかったねぇまどか」

まどか「うん!」

63: 「クリスマス」 2012/12/25(火) 00:00:56.99 ID:ihmmoTXRo

杏子「あー、さっぱりした……ってなんだなんだ、プレゼント大会か?」

さやか「うん、ほむらからまどかへ愛のプレゼントだってさ!」

杏子「おっ、やるねぇ!ひゅーひゅー!」

ほむら「ちょ、ちょっと杏子――」

マミ「あら、恋人がこの中に潜んでるの?妬けちゃうわぁ」

ほむら「マミまで!?」

さやか「そんなけしからん奴らは、こうだーっ!」

まどか「きゃーっ♪」

ほむら「ひゃ、やめ、くすぐった……!」


 わーわー きゃーきゃー


マミ「うふふ、仲がいいわねぇ」

杏子「羨ましいんなら混ざればいいのに」

マミ「わかってないわね。こういうのははたから眺めながらフルーツ牛乳を頂くのが乙ってものなのよ」

杏子「ふーん、そういうもんなのか」

マミ「そういうもんなのよ」


 わーわー きゃーきゃー


 ――きゃはははっ

 ――ちょっと、呼吸が――

 ――……

 ……

64: 「クリスマス」 2012/12/25(火) 00:01:23.96 ID:ihmmoTXRo

 朝。

 チュンチュン


さやか「……んあーっよく寝たっ!」


 のびー


さやか「あれ、みんなまだ寝てるのか……でもカーテン開けちゃおっ」


 シャッ


さやか「……うおおおおおっ!?」

さやか「ねぇ、みんなちょっとほら起きて!起きて!」

ほむら「ふわぁ……今何時だと思ってるのよ……」

まどか「んねむぅ……どうしらの、さやかひゃん……」

さやか「窓の外見てみてよ!ベランダに雪積もってるよ!」

まどか「えっ!?」


 がばっ


まどか「うわぁ……!ほんとだ、真っ白!」

マミ「一晩にして随分積もったわねぇ」

ほむら「……?あら……足跡?」

マミ「えっ!?」

65: 「クリスマス」 2012/12/25(火) 00:02:23.90 ID:ihmmoTXRo

ほむら「ほら、あの端っこ、室外機の前あたり。だいぶ雪に埋もれてるけど、確かに足跡が残ってるわ」

マミ「ちょっとどういう事!?まさか、泥棒……!」サーッ

杏子「……!おい、ちょっとこっちきてみろよ!愉快なことになってるよ!」

マミ「えっ、ちょ、何、どうしたの!?」ドタバタ


マミ「――あっ」

さやか「クリスマスツリーの下に……」

まどか「プレゼント……?」

杏子「昨夜律儀に置いておいたクッキーと牛乳も、しっかりなくなってるぜ?」ケラケラ

ほむら「ちょっと、サンタクロースでも来たって言うの?」

杏子「その方が夢があるだろ?あたしたちはまだ中学生なんだしさ」

さやか「……ねえ、もしかして、もしかしたらさ。案外サンタさんってのも、どこかの魔法少女が叶えた希望だったりしてね」

まどか「世界中の人に夢を与える希望かぁ……」

マミ「私はあの足跡が不審者の物じゃなければ何でもいいわ……」

まどか「あはは……」

杏子「ま、そんな事はどうでもいいとして!折角なんだからとりあえず開けてみようぜ?」

さやか「賛成!」


 わいわい ばりばりばりぃっ

 がさがさ ごそごそ

 きゃーっ!これ欲しかったのぉ……!

 あはははは、マミさんもはしゃいじゃって!

 ――――……

 ……




おわり

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/27(木) 00:55:32.85 ID:ln+qvXZVo
いつも乙をありがとうございます、とても励みになっております!
本日の投下に参りました。

タイトルは、「ホームベーカリー」

70: 「ホームベーカリー」 2012/12/27(木) 00:56:10.35 ID:ln+qvXZVo

さやか「……」

ホームベーカリー「」ウィン ウィン


 うぃん うぃん


さやか「……」


 うぃん うぃん

 うぃん うぃん

 うぃ……


ホームベーカリー「」シーン


さやか「あれ?止まっちゃったよ?」

まどか「今はね、生地を寝かせているんだよ」

さやか「ふーん……」

ホームベーカリー「……」

さやか「……」じーっ



ホームベーカリー「ガッタン!!バッタン!!!」

さやか「ッ!?」


 びくぅっ

71: 「ホームベーカリー」 2012/12/27(木) 00:56:57.43 ID:ln+qvXZVo

さやか「な、なななに今の!?脅し!?」

まどか「あはは、あれはね、ドライイーストを生地にまぶした音だよ」

さやか「ふーん……なにさ、驚かせやがって!」

ホームベーカリー「……」シーン

さやか「あれ……混ぜないの?」

まどか「しばらくはドライイーストに湿り気を与えるためにまた寝かせておくんだよ」

さやか「ふーん……なる、ほど……?」

ホームベーカリー「……」


ホームベーカリー「……ガッ ガッ ガッ」


さやか「お?」

まどか「また捏ね始めたね」


 ガッ ガッ ガッ

 ガッ ガッ ガッ

72: 「ホームベーカリー」 2012/12/27(木) 00:57:47.57 ID:ln+qvXZVo

さやか「えらく乱暴に混ぜるよね、この子」

まどか「でも地は繊細なんだよ?」

さやか「そっか、機械だもんね」

まどか「そうそう」


ホームベーカリー「ガッ ガッ ガッ」


 ガッ ガッ ガッ

 ガガガガガガガガガ


さやか「うおー、スピードアップした」


 ガガガガガガガガガ

 ガガガ……――


ホームベーカリー「……」

さやか「……?」



ホームベーカリー「バッコン!!」

さやか「ッ!?」


 びくっ

73: 「ホームベーカリー」 2012/12/27(木) 00:58:42.96 ID:ln+qvXZVo

まどか「今のはレーズンを入れた音だよ」

さやか「いちいち心臓に悪いわ……」ドキドキ



ホームベーカリー「ガッ ガッ ガッ」

さやか「……」


 ガッ ガッ ガッ

 ガッ ガッ ガッ


さやか「……」


 ガッ ガッ ガッ

 ガッ ガッ ガッ


さやか「……」


ホームベーカリー「ガッ ガッ……」シーン

さやか「……」

さやか「…………」

まどか「あれ……さやかちゃん、もしかして眠い?」

さやか「ん……」

まどか「ほら、こっちのソファおいで」


 隣ぽんぽん


さやか「うん……」


 ふらふら

 ぽすっ


まどか「ふふっ、ひざまくらだよ。おやすみ、さやかちゃん」

さやか「すー……すー……」


――

――――

74: 「ホームベーカリー」 2012/12/27(木) 00:59:18.29 ID:ln+qvXZVo

――――

――


さやか「――はっ!?まどか、パンは!?」ガバッ

まどか「あ、起きた?パンは今ちょうど焼けたところだよ」

さやか「よかったぁ……」ホッ

まどか「さ、蓋を開けてみてよ!」

さやか「う、うん!」ドキドキ


 ぱかっ


 ふかぁっ


さやか「うおおおお!なんかすごい膨らんでる!!」キラキラ

まどか「てぃひひ、うちの子すごいでしょ?」

さやか「うんうん!!……ところでこれ、どうやって出すの?」

まどか「あ、ちょっと難しいからやってあげるね」

さやか「ん、お願い」


 がちゃがちゃ カコン ぽこっ


まどか「それで、このパンケースから取り出せば……」

パン「ふかふかっ」

さやか「ふぉぉぉぉぉ……これが噂のホームベーカリーのパン……!」

75: 「ホームベーカリー」 2012/12/27(木) 01:00:09.52 ID:ln+qvXZVo

さやか「ねねまどか、あれやっていい?CMの、手でフカァって割るやつ!」

まどか「うん、もちろんいいよ!熱いから気をつけてね?」

さやか「では……いきます!」

パン「ふかふかっ」

さやか「あちちっ!!うおお、存外に熱いなこれ!でも負けない!」

さやか「むしって、ほい!何これ超柔らかい……!うわぁぁぁいっただっきまーす!」

まどか「どうぞ、召し上がれ!」

さやか「はむっ、はふっはふっ……」

さやか「……」

まどか「……?」

さやか「……うまい……うますぎるでしょうこれ……!」

さやか「今まで食べてたパンってなんだったの!?ってくらいおいしいよまどか!!」

まどか「うぇひひっ、気に入ってくれた?」

さやか「うんっ!」パクパク モグモグ

76: 「ホームベーカリー」 2012/12/27(木) 01:00:57.07 ID:ln+qvXZVo

さやか「ぷぅ……おなかいっぱい!ご馳走様でした」

まどか「お粗末さまです。余ったパンは袋に入れておくね」

さやか「何から何までありがとう、まどか」

まどか「さやかちゃん、いつもがんばって街を守ってくれてるんだもん。お安い御用だよ」ティヒヒッ

さやか「あはは、照れますなぁ~」テレテレ


さやか「それじゃ、そろそろお暇させてもらおうかな。パトロールの時間なんだ」

まどか「そっか……気をつけてね?」

さやか「ん、大丈夫だって!ほむらもマミさんもいるんだし!」

さやか「じゃ、行ってくるよ」

まどか「いってらっしゃい!」


  ――また明日学校でねー!

  ――おーう!またねー! ブンブン




おしまい

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/29(土) 22:54:35.67 ID:kfPYuDG2o
こんばんわ。今日の投下に来ました。

タイトルは、「さんぽ」

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/29(土) 22:55:21.93 ID:kfPYuDG2o

――――……

 ひゅうううう


さやか「う、寒っ……」


 てくてく てくてく


さやか「はぁ……息が白いや」


 てくてく てくてく


さやか「……」


 てくてく てくてく


さやか「……あ。まどかんちだ」

さやか「慣れって怖いな……」


 てくてく てくてく


さやか「……」テクテク

さやか「そうだ。商店街の方も見て行こうかな……」


 てくてく てくてく


さやか「……ん。たまにはこっちの道から……」


 てくてく てくてく


さやか「……」

さやか「あー。DSもってくればよかった。すれ違い通信……」

さやか「……ま、いっか。明日こっそり学校に持っていこう」

82: 「さんぽ」 2012/12/29(土) 22:55:52.87 ID:kfPYuDG2o

 ――商店街


 わいわい がやがや


さやか「お、今日は小松菜が安いな」

さやか「でも買わない」

さやか「なんたってお財布持ってないからね」


 てくてく てくてく


さやか「……家具屋さん、セールしてる」

さやか「なんてこった。財布持ってきてないよ……」

さやか「……」

さやか「ふーん、明日までやってるのか」

さやか「……」

さやか「……はっ」

さやか「いかんいかん。これ以上椅子を増やしてどうする気だあたしは」

さやか「今ある椅子を大事にするんだ……」


 てくてく てくてく

83: 「さんぽ」 2012/12/29(土) 22:56:19.13 ID:kfPYuDG2o

さやか「……後ろ髪引かれる気持ちってこういう事なのか」

さやか「あー。中だけでも見てくればよかったな……」

さやか「……はっ」

さやか「だめだ。物欲が止まらない」

さやか「……」


さやか「……あれっ?あれってマミさん?」

さやか「それにしてはちょっと小柄なような……」

さやか「……」ドキドキ

さやか「…………あ」

さやか「なんだ。やっぱり別人か」

さやか「声かけなくてよかった……」

84: 「さんぽ」 2012/12/29(土) 22:56:47.16 ID:kfPYuDG2o

さやか「それにしても結構いるもんなんだな、ああいうクリクリした髪型にしてる人」

さやか「かわいいけどセットにすごい時間使うんだよね……」

さやか「……」

さやか「あたしはしばらくは今のままでいいや」

さやか「だって朝ギリギリだし」

さやか「……はぁ。こんなだから男っぽいって言われちゃうのかなぁ」


 てくてく てくてく


さやか「……」

さやか「おや、猫だ。にゃーお」

さやか「……あ」

さやか「行っちゃった。なんだよー、返事くらいくれよぉ……」

さやか「……はぁ」


 てくてく てくてく

85: 「さんぽ」 2012/12/29(土) 22:57:25.95 ID:kfPYuDG2o

さやか「賑やか商店街を抜け出すと、そこには数々のビルが立ち並んでいた」

さやか「っていうかオフィス街なだけなんですけどね」


 てくてく てくてく


さやか「見滝原中心街。もとい、魔女のるつぼ」

さやか「なぜなら、ちょっと脇に出ればすぐ歓楽街があるから」

さやか「……ん。今の時間帯はまだいないかな」


 てくてく てくてく


さやか「……」


 てくてく てくてく


さやか「公園。夜になると虹色に光る噴水がある」

さやか「今は子供達が走り回ってる。土曜日の昼間だしね」

さやか「……あ。あの子、危ない――!」


 ぱしっ


さやか「――ほい、キャッチ。噴水に登っちゃだめでしょ!めっ」

さやか「もう……あ、お母さん?……ああ、いえいえ、とんでもない。それじゃあ、さようなら」


 てくてく てくてく

86: 「さんぽ」 2012/12/29(土) 22:58:30.29 ID:kfPYuDG2o

さやか「……」


 てくてく てくてく


さやか「……川辺。特に何もない」


 てくてく てくてく


さやか「……」


 てくてく てくてく

 ひゅうぅぅぅっ


さやか「う、さぶっ……」


 ぶるぶるっ



 ――――……

 ぴっ ぴっぴっぴっ ぴっ

 びー ……ばたん


 ぴんぽーん がたん

 ぐいーん……

 ぴんぽーん


 かつん こつん かつん こつん かつん こつん

 かつん……


さやか「……はー。鍵、鍵……どこやったかな……」


 がそごそ


さやか「ん。あった」


 がちゃちゃっ がちゃっ

 ぎっ


さやか「ただーまー。あー寒かった……」


 ばたん。





おしまい

91: 「ナスビ」 2013/01/02(水) 18:06:45.86 ID:N0/S60nKo

 上条宅


 ――~~♪


上条「~~♪」

さやか「……」


 ~~♪


上条「~♪――、……ふぅ……」


 ぺこり


さやか「……凄い、凄く良かったよ恭介!」


 ぱちぱちぱちぱち


上条「あはは、照れるな。ありがとうさやか」

さやか「あたしが言うのもあれだけど、ずいぶん上達したんじゃない?」

上条「おかげさまでね。最近、有名な先生がついてくれるようになったんだ」

さやか「本当!?凄い!」

上条「うん、そうなんだけど……」

さやか「……?どうしたの?」

92: 「ナスビ」 2013/01/02(水) 18:07:13.12 ID:N0/S60nKo

上条「その事でなんだけど……ちょっと相談があるんだ」

さやか「……何?」


上条「……実は今度、本格的に先生の下で修行するために……しばらく静岡に行くことになったんだ」


さやか「えっ……」

さやか「――っ、よ、よかったじゃん!しっかり教えてもらっておいでよ!」

さやか「あー、ついに恭介も出世かぁ!あははは、さやかちゃんも尽くした甲斐があるってもんよ!あは、あははは……」


上条「うん……よかったよ。……それでね、えっと……もう一つ、あるんだけど……」

上条「その、お願いというか……さやかさえよければ、なんだけど……」

さやか「うん?なんだなんだ、さやかちゃんに言ってごらん?いっ、今ならなんでもきくよ?」


上条「……うん、その、……えっと、」

さやか「……」ゴクリ


上条「さやかさえよければ……――僕と一緒に静岡へ来てくれないか?」

さやか「……え……?」

93: 「ナスビ」 2013/01/02(水) 18:07:40.93 ID:N0/S60nKo

上条「もう一度言うよ。僕と一緒に静岡に来てほしいんだ」

さやか「それって、どういう……」

上条「幼なじみとしてじゃない。恋人としてついて来て欲しいんだ。さやか」


上条「僕と一緒に富士山の麓で生活してくれないか」


さやか「……っ」

上条「……やっぱり、今更だよね……ごめん、忘れ――ってさやか!?」


 たたたっ

 ぎゅっ


さやか「……っく、ひっく……ぎょうずげの、ばがぁ……」

上条「な、な、な……抱きつっ……泣きっ……!?」

94: 「ナスビ」 2013/01/02(水) 18:08:08.84 ID:N0/S60nKo

さやか「ごどわるわげ、ないじゃっ……だいす――」


仁美「ちょっと待ったーッ!ですわ!!」


 がしゃーん!!


さやか「ひ、仁美!?ちょ、まさかっ――」

仁美「上条君!抜け駆けは許しませんわッ!!」


 つかつかつか


さやか「えっ?」

上条「ぐっ……志筑さん!?」

仁美「さやかさんは!」

仁美「既に!わたくしのものでしてよ!」

さやか「……えっ」

95: 「ナスビ」 2013/01/02(水) 18:08:40.44 ID:N0/S60nKo

仁美「わたくし、毎日毎日来る日も来る日も、晴れの日も雨の日もさやかさんを見守って参りました」

仁美「そう、獲物を狙う鷹のように、鋭く、じっくり、いつも、いつまでも……」


仁美「あぁ、わたくしさやかさんの事情は総て把握しておりますわ。朝起きる時間、着替えの時間、夜な夜な正義の為に戦う時間……」

さやか「!?」


ぞくっ


仁美「ですので、上条君の入る隙間など既に無いも等しいのでございます!」

上条「――志筑さん、まさか君は……」

仁美「ええ、お察しの通りですわ」


仁美「わたくし、ずーっと前からさやかさんをお慕い申しておりますの」

さやか「……えっ!?」

96: 「ナスビ」 2013/01/02(水) 18:09:27.70 ID:N0/S60nKo

仁美「もちろん、さやかさんもわたくしの事を好いていて下さるに違いありません!」

仁美「なにせ、わたくし以上にさやかさんを想っている人間なんて……」


仁美「存在していては、いけないのですから」


 すっ

 どさっ


さやか「ちょ、仁美!?」

さやか「っ!!やめっ、あたしの上からどいてぇ……っ!」

仁美「嗚呼、わたくし何度も何度もさやかさんとこうしたいと夢見ておりました」ウットリ


 ぐいっ


さやか「ひゃあっ!」

仁美「さあ!今こそわたくしのこの熱いナスビを!そのかわいいお口で受け止めて下さいまし!!」

さやか「!?な、なにそのナスビッ!?や、やめっ……」


 うわあああぁぁぁぁ……

 ぁぁぁぁぁ……

 ……

97: 「ナスビ」 2013/01/02(水) 18:10:03.21 ID:N0/S60nKo

――

――――


まどか「……」

仁美「……」


さやか「うーん……らめぇ、そんな……むにゃ……」


まどか「さやかちゃん、なんか凄いうなされてるね……」

仁美「さっきまで随分幸せそうな寝顔でしたのに……」


さやか「んにゃ……むにゃ……ひゃ、な、ナスビはだめぇぇッ!!」


 ガバッ


まどか「あ」

仁美「おはようございます、さやかさん」

さやか「ハァ、ハァ……ッ!!ひ、仁美ッ!?」


 びくぅっ

98: 「ナスビ」 2013/01/02(水) 18:10:45.35 ID:N0/S60nKo

仁美「ちょ……なんか傷付きますわ……」ガーン

さやか「あれ……夢……?」

まどか「んもー、さやかちゃんったら寝ぼけちゃってぇ」


まどか「仁美ちゃんと一緒にあけましておめでとうを言いに来たんだけど……あまりにも幸せそうな寝顔だったからずっと起こさないで待ってたんだよ?」

さやか「そ、そうなんだ……ハァ、夢でよかったぁ……」


仁美「ナスビ」ボソッ

さやか「!?」


 びびくぅっ




おしまい

105: 「暇」 2013/01/06(日) 21:55:58.70 ID:flnjiUuuo

 川原


すずめ「ちゅんちゅん」


さやか「……」

まどか「……」

すずめ「ちゅんちゅん」


さやか「……なんてゆーか……」

まどか「うん……」


さやか「暇だ……」

まどか「暇だね……」

すずめ「ちゅんちゅん」


さやか「……」

まどか「……」

106: 「暇」 2013/01/06(日) 21:56:44.25 ID:flnjiUuuo

さやか「……あー」

まどか「?」

さやか「川が流れてるね……」

まどか「そうだねぇ……」

さやか「水、つめたそうだね」

まどか「つめたそうだねぇ……」


さやか「……」

まどか「……」

お日様「さんさん」


さやか「太陽があったかいや……」

まどか「あったかいねぇ……」

お日様「さんさん」


107: 「暇」 2013/01/06(日) 21:57:12.08 ID:flnjiUuuo

さやか「……」

まどか「……」


さやか「……あー」

まどか「?」

さやか「あれ、あれなんてゆーんだっけ」

まどか「あれってどれ?」

さやか「あのいっぱい生えてて白くてくるくる回ってるやつ」

まどか「……風力発電?」

さやか「あ、それそれ」

まどか「風力発電機がどうかしたの?」

さやか「んーん、特になんにも……」

まどか「そっか……」


さやか「……」

まどか「……」


108: 「暇」 2013/01/06(日) 21:57:54.14 ID:flnjiUuuo

風力発電「くるくる」

さやか「……」

まどか「……」


杏子「……ん?あれ?あんたらこんなとこでなにしてんだ?」


さやか「あー、杏子だー」

まどか「ほんとだ、杏子ちゃんこんにちはー」

杏子「随分とまぁ……だらけてんな……」

さやか「あはははー、どーにも暇すぎてさー」

まどか「杏子ちゃんはどうしたの?」

杏子「アタシはただ……その、通りかかっただけだよ」フイッ


 がさっ


さやか「!あんた、それもしかして……」

杏子「ちょっ、がっつくなよ!……あーもう、バレちまったもんは仕方ねーな……一本だけだぞ?」

まどか「わーい焼き芋ー♪」


 がさごそ


109: 「暇」 2013/01/06(日) 21:58:34.99 ID:flnjiUuuo

さやか「んー甘ーい……んひひ、ほくほく~」

まどか「おいひーねぇしゃやかひゃん」

杏子「やっぱこの芋だよ、はるばる見滝原まで買いに来た甲斐があるってもんだ……あちちっ」


 ほくほく もぐもぐ

 ほくほく もぐもぐ


さやか「……あー生き返るわぁ……ありがとう杏子」

杏子「どういたしまして」モグモグ

まどか「それにしても杏子ちゃん、よく食べるねぇ」

杏子「まーな、それだけ動いてるしな」モグモグ


 ほくほく もぐもぐ

 ほくほく もぐもぐ


110: 「暇」 2013/01/06(日) 21:59:02.13 ID:flnjiUuuo

さやか「ごちそうさまでしたっ」

まどか「すっごく美味しかったです!」

杏子「おー、どうもどうも。今度はそっちが何かおごってくれよな?」

さやか「まっかせといてよ!」

杏子「よし、アタシはもう行くよ。じゃあな」

まどか「またねー!」


 ばいばい



さやか「あー、お芋美味しかったね」

まどか「美味しかったねぇ……」


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……暇だ」

まどか「暇だねぇ……」

すずめ「ちゅんちゅん」




おしまい


114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/11(金) 01:03:01.98 ID:hajrKXk9o

 学校の屋上にて


さやか「――そーいえばさ、まどかは考えたことない?」

まどか「んー、何を?」

さやか「こっから思いっきり紙ひこうきを飛ばしたらさ、どんくらい飛ぶのかなーって」

まどか「あー」

さやか「あの大きい家くらいまでは行くかなぁ」

まどか「もうちょっといきそうじゃない?」

さやか「じゃああのビルくらい?」


 ちまっ


まどか「う、うーん……流石にちょっと遠くないかなぁ」

さやか「んー……あ、そうだ!」

まどか「?」

さやか「こういう事は、やっぱりほむらが詳しそうじゃん?」

まどか「あ、確かに得意かもしれないねぇ」


115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/11(金) 01:03:31.65 ID:hajrKXk9o

さやか「と、いう事でっ」


 じゃじゃんっ


ほむら「……」

さやか「突発☆放課後紙ひこうき大会~!」

まどか「わー」


 ぱちぱちぱちぱち


ほむら「全く……なんてアホらしい事を考え付くのかしら……」

まどか「まあまあ、ほむらちゃんお願い、ねっ?」

ほむら「……はぁ。仕方がないわね……今回限りよ?」

さやか「やっりぃ!さすがほむらさぁん!」

ほむら「」イラッ


116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/11(金) 01:03:59.81 ID:hajrKXk9o

まどか「と、ところでほむらちゃんの見立てではどれくらい飛びそうだと思う?」

ほむら「そうね……この風なら大体あの瓦の屋根の屋敷くらいまでかしらね」

さやか「うーん?……ほぉ~、結構飛びそうだねぇ」

ほむら「もちろん紙ひこうきの出来にもよるわよ?」

さやか「そこらへんは任せてよ!」


 えっへん


さやか「じゃあ早速、この折り紙で……」


さやか「じゃ~ん。薄紫の暁美号~」

まどか「さやかちゃん随分手馴れてるねぇ」

さやか「んふふ、まぁねぇ。じゃあほむらさん、お願いします!」


117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/11(金) 01:04:27.88 ID:hajrKXk9o

ほむら「風向きからすると……ん、若干上向き修正ね……」

さやか「どきどき」

ほむら「……いくわよ」


ほむら「――えいっ!」


 ぶんっ


まどか「あっ」


 ぐわん ぐわん


        ぼてっ



ほむら「~~~~っ!?」プルプル

さやか「ど、どんまい!よっ……よくある事さ!」

ほむら「……」ズーン

さやか「よ、よーし!さやかちゃんも紙ひこうき飛ばしちゃうぞー!?」


118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/11(金) 01:05:01.44 ID:hajrKXk9o

さやか「じゃーん。水色のさやかちゃん号~」

まどか「ほ、ほむらちゃん……大丈夫?」

ほむら「うぅ……さやか、手の角度はもうすこし右寄りにしなさい……そう、それくらい……はぁ……」

さやか「おぅ、予想以上の沈みっぷり……」


さやか「よし、飛ばすよー!」

さやか「えいっ!」


 すっ


まどか「おぉー……あっ!?」


 すこんっ

        ぼてっ



さやか「この柵……っ!柵にぶつかった……っ!!」ガンッガンッ

まどか「さやかちゃん!柵にあたらないで!壊れちゃう!」


119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/11(金) 01:05:29.58 ID:hajrKXk9o

さやか「――まどか!」キッ

まどか「うんっ!?」ビクッ

さやか「こうなったらまどかが最後の頼みだよ!思いっきり飛ばしてちょうだい!」

まどか「えぇー!?」

さやか「まどかには、ええと……これだ!」


さやか「じゃーん。一枚だけ入ってた金色のまどか号~」

まどか「す、すごい輝いてるねぇ……」

さやか「やっぱりさ、金色ってなんか特別感あるじゃん!飛びそうじゃん!」

ほむら「あなたって本当に……いえ、何も言わないわ……」

さやか「さ、まどか!すいーっと飛ばしてちょうだい!」


120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/11(金) 01:06:15.34 ID:hajrKXk9o

ほむら「まどか、もうちょっと手首を……そう、それくらいね、上手よ……そのままよ、滑らせるように飛ばしてみて」

まどか「う、うん!」


まどか「いくよぉっ……」

まどか「えーいっ!」


 すっ


さやか「お……おぉーっ!これは行くか?」


 すいーっ


カラス「カァー」


 ぱしっ


「「「あっ!?」」」



 カァー カァー



まどか「……」

さやか「……」

ほむら「……」


 カァー カァー……



その後、三人は金色の紙ひこうきをくわえたカラスが見えなくなるまで、呆然と佇んでいたという。


おしまい


129: 「美術」 2013/01/13(日) 01:30:06.56 ID:ThAEFoQpo

さやか「うーん……」

マミ「どうしたの美樹さん?」

さやか「あ、マミさん。それがですね、実はさっきの美術の授業で……」

マミ「何か問題があったの?」

さやか「ちょっと、というかだいぶというか……」

マミ「……?」

さやか「課題がですね、”ダイナミックな構図で描いてみよう”ってやつだったんですけど……」

マミ「あぁアレね。私も去年描いたわ。屋上からの見下ろし図だったかしら」

さやか「あ、マミさんも描いたんですね。それで、その授業で……あたし、ダイナミックな構図って言われて最初に頭に出てきたのが魔女結界だった訳でして」

マミ「まさか」

さやか「……そのまさかです」

130: 「美術」 2013/01/13(日) 01:30:36.50 ID:ThAEFoQpo

マミ「描いたの?」

さやか「……はい」

マミ「……どれを?」

さやか「この間やっつけたアレです。虫みたいなやつ。巨大な草むらみたいな結界だったから、大丈夫かなぁって……いわゆる小人視点みたいな?」

マミ「……それで、なんていわれたの?」

さやか「いやぁ、怒られはしなかったんですけど。なんかすげー心配されましたね、病気とか」

マミ「当たり前じゃない!あぁもう、一般人には結界なんて理解できるはずないのに……」

さやか「あはは……失念してました」

マミ「もう……描いちゃった物は仕方ないわね、ちゃんと先生にフォロー入れておくのよ?」

さやか「はぁい」



おしまい

131: 「おしるこ」 2013/01/13(日) 01:31:30.78 ID:ThAEFoQpo

杏子「なーさやかー、おしるこ食いたいんだけど、なーなー」


 ゆさゆさ


さやか「ちょっ、揺すらないでよ!つーかあたしんちにそんな都合よくおしるこなんてあるわけないでしょ」

杏子「おしるこ食いたい、おーしーるーこー」


 ゆさゆさ


さやか「外でて自分で買ってくればいいじゃん!」

杏子「やだ。めんどくさい」

さやか「あんたねぇ……」

杏子「外寒いし。というか正直コタツから出たくない」ゴソゴソ

さやか「ちょっと!?頭まで潜り込まないでよ!……あーもう、仕方ないなぁ……」

杏子「おっ?」ヒョコッ

132: 「おしるこ」 2013/01/13(日) 01:32:01.20 ID:ThAEFoQpo

さやか「えーと、確かここら辺に……」ガサゴソ

杏子「なんだなんだ、もしかして作ってくれるのか?」

さやか「先に言っとくけど、マミさんのみたいなのを期待しないでよ……と、あったあった」

杏子「なんだそれ?」

さやか「あずき缶。これを……」


 ぱかっ

 ざばー


さやか「お鍋にあけて、いい感じになるまで水で薄める」

杏子「おぉぉ?」

さやか「そしたらお鍋を火にかけて……あんたお餅はいくつ入れる?」

杏子「ふたつ食う!」

さやか「じゃあ合計みっつのお餅を焼いて、と」

さやか「しばし待つ」

杏子「どんくらい?」

さやか「お餅が焼けてあずき缶汁があつあつになるくらい」

杏子「ほぉ」

133: 「おしるこ」 2013/01/13(日) 01:32:27.67 ID:ThAEFoQpo

 ちーん♪


さやか「いい感じに焼きあがりましたー」

杏子「おー」

さやか「お椀に入れて、あつあつのあずき汁をかけて」


さやか「ほい、さやかちゃん特製おしるこー」ジャーン

杏子「よっ、待ってました!」

さやか「それでは、手と手を合わせて」

杏子「いただきます」

134: 「おしるこ」 2013/01/13(日) 01:33:28.10 ID:ThAEFoQpo

杏子「うひょー、おしるこおしるこー!」

さやか「もぐもぐ……適当に作ったけど、結構それっぽいでしょ?」

杏子「くぅー、体の芯まであったまる……んまい!サイコー!」

さやか「あはは、ありがと」

杏子「もちもち、もぐもぐ……ごっくん。――ん」ズイッ

さやか「……?」

杏子「おかわり!」ズイッ

さやか「あんたはどこの亭主だ」ペシン

杏子「なんなら、アンタの亭主になってやってもいいぜ?」

さやか「丁重にお断りします。っていうか餅くらい自分で焼きなさいよ!」

杏子「ちぇーっ」


杏子「さやかも餅おかわりするかー?」

さやか「あたしはおなかいっぱいだからいいやー」

杏子「了解、じゃあ3個かな」ゴトゴト

さやか「あんたどんだけ食べるのよ!?」

杏子「いいじゃねーかうまいんだから」

さやか「……もう、後悔してもしらないよ?」

杏子「だいじょーぶ、だいじょーぶだって♪」

さやか「本当、羨ましい体質してるわ……」

杏子「にひひ」



おしまい

139: 「探索」 2013/01/15(火) 23:37:13.66 ID:d4b1kLwxo

さやか「おー、きれいなお月様」


 びゅうううう


さやか「うっ……寒っ……」ブルブルッ

さやか「さーてと……今日も気合入れて頑張りますかっ」



さやか「――と、いうわけで繁華街に来てみたわけですが」


 わいわい がやがや


さやか「いやー、夜だというのに相変わらず人が多いねぇ」


 わいわい がやがや


さやか「ん……ここまで魔女反応は無し」

さやか「実に平和だ」

140: 「探索」 2013/01/15(火) 23:37:42.78 ID:d4b1kLwxo

さやか「……!やばっ!」バッ

警察官「おや?そこの君――」


警察官「――ってあれ?いない……確かにさっきまで中学生くらいの子がいたような気がしたんだけどな……」


さやか「……あー、危なかったぁ……」ホッ

さやか「しっかし……急とはいえ屋根まで跳ぶのは脚にくるなこりゃ」

さやか「そういや杏子のやつは毎回こんな事してるんだよね」

さやか「あんだけ食べても太らないわけだ……」


141: 「探索」 2013/01/15(火) 23:38:10.04 ID:d4b1kLwxo

さやか「さーて、せっかくだから屋根伝いにぽんぽーんって飛んでいくアレ!」

さやか「アレやっちゃう?やっちゃう?」

さやか「よーし、やっちゃおう!」

さやか「せーのっ」


 ぽーん

  どしんっ!


さやか「うおっ!?」

さやか「結構すごい音がしてしまった」

さやか「逃げろ逃げろ」


 ぽーん

  どしんっ

 ぽーん

  とすんっ

 ぽーん

  すとんっ


さやか「結構慣れてきたかも」


142: 「探索」 2013/01/15(火) 23:38:39.59 ID:d4b1kLwxo

 ぽーん ぽーん ぽーん


さやか「よっ、ほっ、ほいっ」


 ぽーん ぽーん ぽーん


さやか「よっ、こら、しょっ、と!」

さやか「ふぅー……結構遠くまで来たぞ」

さやか「北の住宅街らへんかな?」

さやか「ちょっとここらでひとやすみ、っと」ストン


さやか「んー、いい屋根だ」

さやか「雨どいがスラッとしていて……屋根瓦がこう、ひやっとしていて……うぶぶ、さぶっ」ブルブルッ

さやか「……――はぁー、星が綺麗だなぁ……」

さやか「雲一つない晴れ空ってやつ?」

さやか「……」


143: 「探索」 2013/01/15(火) 23:39:09.25 ID:d4b1kLwxo

さやか「さてと、そろそろ行こうかな」ポンポン


 <ガタゴト


さやか「!」


箒を構えた男「――なんだ、何もいないじゃないですか。奥さんの見間違いじゃないんですか?」

鍋を被った女「あれー?おかしいですね……さっきまで確かにお宅の上に人影があったんですけど……」


さやか「……ふぅー、またしても危なかったぁ」

さやか「そりゃまあ屋根の上に人影はもろ不審者だよね……ちゃんと道を歩くことにしよう」


144: 「探索」 2013/01/15(火) 23:39:35.97 ID:d4b1kLwxo

 てくてく


さやか「行けども行けども反応がない」

さやか「今日は平和だなぁ……いい事なんだけどさ」


さやか「さて、今度はどっちへ向かおう」

さやか「試しにちょっと横道に入ってみようかな?うーむ……」

さやか「どーちーらーにーしーよーうーかーな」

さやか「ん、こっち!」


 てくてく


さやか「――お?これは……」

さやか「むむむ」

さやか「もうちょい右」


 てくてく


145: 「探索」 2013/01/15(火) 23:40:03.51 ID:d4b1kLwxo

さやか「……」

さやか「行き過ぎたか……」


 てくてく


さやか「……」


 てくてく


さやか「……んむ」


 てくてく ……ぴたっ


さやか「――みつけた」


さやか「さて……今夜もいっちょ、平和を守ってくるとしますか!」



おしまい


151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/20(日) 01:58:51.49 ID:LuFkrPdyo

先生「~~であるからして、ここの問題は――」


さやか(はぁ……ゆうべのテレビ、おもしろかったなぁ……)

さやか(最近、魔女狩りの後の深夜番組が意外と面白いって事に気がついちゃったんだよね)

さやか(やばいなぁ……ただでさえ寝不足気味なのに)


さやか「ふぁ……」


さやか(っと、危ない危ない。この先生いつも厳しいんだよ)

さやか(それにしても……眠いなぁ……)


先生「じゃあ、この問題を……暁美。やってみろ」

ほむら「はい」


さやか(お。ほむらが当てられてる)

さやか(いたずらしてやろう)


152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/20(日) 01:59:22.19 ID:LuFkrPdyo

さやか『ほむー、ほむほむー』テレパシー

ほむら『いきなり何よ、鬱陶しいわね』

さやか『ひひひー。なんでもない』

ほむら『なら電波飛ばさないで。集中できないわ』

さやか『集中なんてさせるもんか!ひひひ、ほむー、ほむほむー』

ほむら「……ッ」イライラ


 ボキッ


先生「お、おい……ペンが折れたが大丈夫か?」

ほむら「すいません、大丈夫です……なんでもありません……」

さやか『うひょー、ほむほむ怪力ぃー!』

ほむら「~~~~っ」イライライラッ


ほむら「できました……答えは、x=14.3,y=5.2です」ゼーハー

先生「うん、合ってるな。席に戻っていいぞ」


153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/20(日) 02:00:14.03 ID:LuFkrPdyo

さやか『さすがほむほむ!頭いいなぁ~』

ほむら『本ッ当にうっさいわね!!一体なんのつもりなの!?』

さやか『ちょっとしたいたずら心だよー。ほら、かわいい子をみるとついいじりたくなる事あるじゃん?あれだよあれ』

ほむら『…………』

さやか『ちょ、無言でドン引かないでよ!?ごめんってば!ちょっと眠かっただけなの、許して!』

ほむら『あなたって、本当に……いえ、なんでもないわ……』

さやか『ほむらァー!?』


 ――き、みき!美樹さやか!


さやか「……ほえ?」

先生「美樹さやか!おい、聞いてるのか!?」

さやか「ひゃ、は、はいっ!?」

先生「さっきからずっと一人でニヤニヤと楽しそうだなぁオイ?」

さやか「えっ、あ、あのっ……すいませんっ!」

先生「ハァ……それで、宿題くらいはちゃんとやってきたんだろうな?」

さやか「……あっ!?」

先生「お前ってやつはまた……廊下に立ってなさい!」

さやか「は、はいぃぃっ!」


154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/20(日) 02:00:44.40 ID:LuFkrPdyo

 あははは…… くすくす……


先生「お前ら静かにしろー、続き始めるぞ」


先生「……で、ここがこうなるから、このxは――」


 ざわっ……


まどか(……?おかしいなぁ、いつもはすぐに静かになるのに……)

まどか(――あれ……?なんだろう、廊下の方を見てる子達がいる……?)


 ざわ ざわ


まどか(うーん、他の子の頭が邪魔でよくみえないよぉ……)


まどか『ほむらちゃんほむらちゃん』

ほむら『まどか?どうしたの……くくくっ』

まどか『さやかちゃんの方に何かがあるみたいなんだけど、この席からだとよく見えないんだ。ねぇ、そっちからなら見えないかな?』

ほむら『ぷくくっ……ごめんなさい、わからないわ』

まどか『ほむらちゃん……?』

ほむら『ひひっ……もうだめ……ふ、ふふふふっ』


155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/20(日) 02:01:22.81 ID:LuFkrPdyo

まどか(ほむらちゃんまで、どうしたんだろう……?)


さやか『まどかー、まどかー』

まどか『あっ、さやかちゃん』

さやか『まどかー、暇だよぉー』

まどか『ね、さやかちゃん。なんか廊下の方をみて笑ってる子達がいるんだけど、そっちからなにか見えない?』

さやか『うぇ?特になにもないけどなぁ……?』

まどか『ほむらちゃんにも訊いてみたんだけど、教えてくれないの』

さやか『ほむらがまどかにも教えないって?そりゃーなにかありそうだなぁ』

まどか『なんかすっごい気になるよぉ』

さやか『……うーん、伸びてみても特に何もわからないぞ……?』


まどか「――っ!?あぁっ!!」


 ガタッ


156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/20(日) 02:02:14.76 ID:LuFkrPdyo

先生「鹿目?どうしたんだ?」

まどか「い、いえっ……なんでもありません!」


さやか『まどかー?どうし――』

まどか『さやかちゃん!スカート!スカート!!』

さやか『え?』

まどか『スカートの裾が!パンツに!挟まってる!!』

さやか『えっ、だ、誰の!?』

まどか『さやかちゃんの!!』


さやか「えっ……うぇぇぇええええええ!?」バッ


まどか『あっ……そんな大声出したら――』


 ざわざわざわっ

  ちょっとあれ…… うわぁ、丸見え……美樹さんドンマイ……

   クスクス…… ざわざわ……


まどか(あぁぁぁ……)


さやか「もうお嫁に行けない……」ズーン

ほむら「いい気味だわ」ペッ



おしまい

159: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:43:02.03 ID:qWjr1/Ano

 もぐもぐ


さやか「……」モッモッ

まどか「……」モッモッ


 むきむき

 もぐもぐ


さやか「……」モッモッ

まどか「……」モッモッ

さやか「ん……もう無いか。補充してくる」


 もそっ のそのそ

 がさごそ ごそ


さやか「……あ」

まどか「?」


160: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:43:36.79 ID:qWjr1/Ano

さやか「みかん箱の中身があと半分しかない」

まどか「えっ」

さやか「どうしよう……」

まどか「もうそんなに食べたっけ?」

さやか「食べた食べた」

まどか「そっか……じゃあ仕方がないね。今あるのを大事に食べよ」

さやか「そだね」


 ずりずり

 もそもそっ


さやか「ふあー……こたつ暖かいわぁ」

まどか「チャンネル変えていい?」

さやか「どうぞどうぞ」


 ピッ ピッ


161: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:44:04.37 ID:qWjr1/Ano

TV<帰○ま10!


まどか「あー、これこれ」

さやか「なんだっけこれ?」

まどか「ランキングを当てるやつ」

さやか「あー」


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


TV<8位~!ウオー!

まどか「あははは」

さやか「おー、当たった当たった」


 むきむき もぐもぐ


まどか「見てるだけでおなかいっぱいになっちゃうねぇ」

さやか「そうだねぇ」


 むきむき もぐもぐ


162: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:44:36.63 ID:qWjr1/Ano

 <ピンポーン


さやか「あれ?誰だろう……はーい」


 ぱたぱたぱた

 ガチャッ


杏子「よっ」

さやか「杏子!どうしたのこんな時間に?」

杏子「ちょうど近くまで来たから寄ってみた」

まどか「あ、杏子ちゃんいらっしゃーい!」

杏子「なんだ、まどかもいんのか」

さやか「一緒にTV見ながらみかんパーティしてたとこ」

杏子「ぷっ、なんだそれ」

さやか「杏子の分もお茶淹れてくるから先に手を洗ってきちゃいなよ」

杏子「おう」


163: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:45:04.02 ID:qWjr1/Ano

 ごそごそ


杏子「おぉ暖かい……体が温まるわー……」

さやか「はいお茶。よかったらみかんもどうぞ、まどかが持ってきてくれたんだよ」

杏子「おー、悪ぃな」

さやか「まどかー、やっぱ残りのみかんも出しちゃっていい?」

まどか「もちろんだよ」


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


杏子「このみかんうめぇな……」モグモグ

さやか「なんたってまどかのみかんだからね」モグモグ

まどか「てへへ、喜んでくれてよかったよ」

杏子「やっべ、止まらないわ……もう一個」

さやか「あたしも」


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


164: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:45:32.37 ID:qWjr1/Ano

 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


さやか「……」モッモッ

まどか「……」モッモッ

杏子「……」モッモッ


 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


さやか「……あー」

まどか「?」

さやか「なんかソウルジェムが浄化されてきた気がする」

杏子「マジで?」

さやか「マジマジ」

杏子「みかんパネェな」

さやか「ほら、見て見て」


 きらきら


165: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:45:59.85 ID:qWjr1/Ano

まどか「ツヤツヤだねぇ」

杏子「あ、でもこの辺なんか黒くね」

さやか「マジで?」

杏子「マジマジ」

さやか「みかんの皮でこすったら綺麗になるかな」

杏子「……やってみれば?」

さやか「やってみる」


 きゅっ きゅっ


さやか「うーん……だめっぽい」

杏子「そりゃそーだ」

さやか「でもめっちゃいい香りする!」

杏子「みかんだからな」

まどか「みかんだもんね……」


166: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:46:30.99 ID:qWjr1/Ano

 むきむき もぐもぐ

 むきむき もぐもぐ


さやか「……」モッモッ

まどか「……」モッモッ

杏子「……」モッモッ


さやか「む」


 のそっ もそもそ

 がそごそ ごそ


さやか「……あ」

まどか「?」

さやか「みかんがあと数個しかない」

杏子「マジで?」

さやか「マジで。ほら見てみて」

まどか「うわー……すごい量食べちゃったねぇ」


167: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:46:59.25 ID:qWjr1/Ano

さやか「そういえば、結構おなかいっぱいかも」ケプッ

まどか「おいしかった?」

さやか「うん、最高!」

まどか「ふふ、ならよかった。また見つけたら持って来るね」

杏子「そん時はアタシも呼んでくれよ?」

さやか「ふふっ……はいはい」


杏子「……で」

さやか「うん……」

杏子「どうするよ。机の上の、この皮の山」


 どっさり


さやか「これだけあるとなんか勿体無いよね」

まどか「んー……お風呂に入れてみるとかどう?」

さやか「あ、それいただき!」


168: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:47:34.77 ID:qWjr1/Ano

さやか「ふー……投入してきたよ」

まどか「おつかれー」

さやか「みかんの皮だらけで水面が見えないくらいだったよ」

まどか「かなりあったもんねぇ」

さやか「折角だから、まどかもお風呂はいってく?」

まどか「わーい!いいの?」

さやか「もちろん!杏子も一緒にどう?」

杏子「じゃあ頂いていこうかな」

まどか「ふふ、杏子ちゃんと一緒に入るのは初めてだねぇ」

杏子「……ん?」

まどか「え?」

杏子「もしかして……一緒にって、3人同時に入るのか!?」

まどか「そうだよ、どうして?」

杏子「いやいやいや」


169: 「みかん」 2013/01/21(月) 23:48:33.22 ID:qWjr1/Ano

さやか「遠慮しないの!なんたってこのさやかちゃんちのお風呂は!」

さやか「聞いて驚け!ふふーん、なんと、ハイパージャグジー付きのデラックス風呂なんだぞー!」デデーン

杏子「いや、そうじゃなくってだな……」

さやか「あ、広さなら大丈夫!マミさんちにも負けてないよ?」

杏子「だーっ!だから――」

まどか「私は杏子ちゃんとも一緒に入ってみたいな……杏子ちゃんは嫌?」


 うるうる


杏子「うっ……し、仕方ねーな……今回限りだぞ?」

さやか『まどか、ナイスフォロー!』パチン

まどか『ふふ、イエーイ』パチン


杏子「あっ、てめーら!?何ハイタッチしてんだよ!まさか……謀ったな!?」

さやか「ふふーん。さーて何のことだろーねー?」

まどか「さ、そろそろお風呂沸くだろうし杏子ちゃんも一緒に行こう?」

杏子「うおおお……今に見てろよぉ……」ズルズル



おしまい

175: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:25:07.39 ID:5FedZNVZo

 ザッ


さやか「――仁美。まさか、こんな形で戦う事になるとはね……」

仁美「いずれこうなるのはとうにわかっていた事。今は正々堂々と戦いましょう」


 ザッ


ほむら「まどか。あなたとは戦いたくなかった……」

まどか「えっと……お手柔らかにお願いします?」


 がやがや ざわざわ


外野モブA「赤組がんばれー!」

外野モブB「白組ー!負けるなー!」


 わいわい ざわざわ


176: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:25:34.54 ID:5FedZNVZo

ほむら(まどかとさやか以外の赤組選手は全員、ボールを当てて外野に追い出した)

ほむら(白組のこちら側も同様、残っているのは私と仁美だけ)

ほむら(外野にボールを回しても、さやかなら簡単に受け止めてしまうでしょうね)

ほむら(2対2のドッジボール。いえ、あちら側で実質的に動けるのはさやかのみだから――……)


ほむら「仁美、仁美」ヒソヒソ

仁美「?どうされましたか?」

ほむら「さやかは必ずまどかを守るように動くはず。だから、二人を引き剥がして――狙いを――」

仁美「なるほど。でしたら、まずは――」


 ひそひそ


さやか「おーい、早く投げてよー」

まどか「ねえさやかちゃん、私はどうしよう?」

さやか「まどかは一歩後ろに下がって身を守ってて。あたしが前で守るから」

まどか「さやかちゃん……わかったよ」

さやか「がんばろうね!」

まどか「うん!」


177: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:26:05.93 ID:5FedZNVZo

仁美「さやかさん、いきますわよっ!」バシュッ

さやか「よしきたぁ!」


 バシンッ


仁美「ふふっ。流石に受けますわね」

さやか「へへーん。こんなんじゃ当たらない、よっ!」バシュッ


 ガシッ


ほむら「狙いが甘いわ。それっ」バッ

さやか「おおっとぉ!」バシン


 シュッ バシッ

 ベシンッ ビシュッ


まどか「うわわわ……ボールが早すぎて……目で追えないよぉ」


 バシッ ガッ

 ドシッ バシュッ


178: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:26:44.16 ID:5FedZNVZo

ほむら(まどかとさやかの間に距離ができ始めた。誘導は上手く行っている)


 シュッ バシッ

 ベシンッ ビシュッ


ほむら(……そろそろね)


ほむら「……」チラッ

仁美「……!」コクリ


ほむら「まどか、ごめんなさい!」シュッ

まどか「――きゃっ!?」


 ぺちんっ


さやか「まどかっ!?」


さやか(まどかに当たったボールが跳ね上がった!)

さやか(まだ地面には落ちていない……今ならまだ……!)


さやか「間、に、合、えぇぇっ!!」


 だだだだだっ


ほむら「――まさかっ!?」


179: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:27:11.84 ID:5FedZNVZo

 ザッ

  パシッ!

 どさっ


 <おぉぉぉ~……


外野モブC「ちょっと、今2メートルくらい跳ばなかった……?」


 ざわざわ


さやか「と、取れたぁ……」

まどか「さやかちゃん……!」キュン


仁美「今のはっ……!きま、きまし……っ!!」プルプル

ほむら「仁美!悶えるのは後よ……来るわ!」


180: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:27:38.31 ID:5FedZNVZo

さやか「ちょっと、あんたたち卑怯よ!」ブンッ

ほむら「戦いに卑怯もなにもあるもんですか」バシッ

さやか「むきー!」

まどか「さやかちゃん、ごめんね……」

さやか「まどかは悪くないよ!ちくしょー、こうなったら何が何でも当ててやる……!」


 シュッ バシッ

 ドシッ シュッ


さやか「こなくそっ」シュッ

仁美「当たりませんわ!」


 バシッ ガッ

 ドシッ バシュッ


ほむら「――きゃっ!?足がもつれて……!」

仁美「ほむらさん!大丈夫ですか!?」

さやか「……っ!もらったぁぁ!」


 ブンッ

  バシィッ!


181: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:28:13.49 ID:5FedZNVZo

先生「暁美ほむら、アウトー!」


ほむら「ちょ、あなた卑怯よ!」

さやか「戦いに卑怯もなにもあるんもんですか!べろべろばぁ~」

ほむら「~~っ!」プルプル


 ピ、ピ、ピピーッ


先生「試合終了!残り2対1で赤組の勝ち!」

ほむら「え……っ!?な、何故ですか!?」

先生「時間よ。もうチャイムが鳴るわ」

ほむら「……あっ!?気がつかなかった……っ!」


さやか「っしゃあ!」グッ

まどか「さやかちゃん、やったね!」

さやか「へへっ」


182: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:28:44.56 ID:5FedZNVZo

仁美「さやかさん、まどかさん。お見事ですわ」

さやか「仁美!あんたも随分がんばったじゃん!」

仁美「ふふっ。……わたくし、お二人の愛をみくびっておりましたわ」

さやか「……へっ?」

仁美「2メートル近い高さの大ジャンプ。あれはまさに愛の力!嗚呼、なんて素晴らしいのでしょう!!」

仁美「わたくし心の中で叫んでしまいました!あれこそが愛!まさに愛!!きま、きまし……っ!」

さやか「あ、あー……うん、まぁ、あれはその、そうだね、うん……」

まどか「あれは私もときめいちゃったなぁ。すっごいかっこよかったよ!」

さやか「お、マジ?へへっ。そう言って貰えると、さやかちゃんも嫁のために頑張った甲斐があるってもんよ!」


 てれてれ


仁美「~~~~ッ!!」プルプル

さやか「ちょ、仁美ーっ!?正気に戻って!帰ってきてーっ!」


 きゃーきゃー


183: 「ドッジボール」 2013/01/25(金) 01:29:11.13 ID:5FedZNVZo

ほむら「なんて、なんて事……今度こそ私とまどかが同じチームになるように……」ブツブツ

まどか「――ほむらちゃん?」


 ひょこ


ほむら「……っ!まっ、まどか!?」ビクッ

まどか「ほむらちゃんも頑張ったねぇ。ボールを投げてる姿、とってもかっこよかったよ」

ほむら「まどか……!私……あなたを狙ってしまった……ごめんなさい……!」

まどか「えぇっ、なんで謝るの!?」

ほむら「だって、私……っ」

まどか「もー、ほむらちゃんは考えすぎ。てへへ、今度は同じチームで戦えるといいね」

ほむら「……うん!」


さやか「まどかぁー!ほむらぁー!助けて、仁美が鼻血吹いて倒れた!」

まどか「えぇっ!?もぉー、さやかちゃんったら煽り過ぎだよぉ……」

ほむら「仕方が無いわね。抱えて保健室連れて行くわよ。ほら、そっち持って」

仁美「キマシ……キマシ……」


 わいわい がやがや

 わいわい がやがや



おしまい


187: 「添え物」 2013/01/28(月) 23:04:13.06 ID:bV277Tsko

 ファミレスにて


さやか「ハンバーグうめー」

杏子「だろ?ここのは意外といけんだよ」

さやか「さすがよく知ってるね」

杏子「まーな」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


さやか「杏子、パセリ食べる?」

杏子「ん、食う」

さやか「はいどーぞ」

杏子「んむ」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


188: 「添え物」 2013/01/28(月) 23:04:39.48 ID:bV277Tsko

さやか「んー……ハンバーグのソース余っちゃった」

杏子「じゃあくれ。ご飯にかけて食べる」

さやか「あいよ」

杏子「サンキュ」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


189: 「添え物」 2013/01/28(月) 23:05:06.25 ID:bV277Tsko

さやか「はぁー、おなかいっぱい」ポンポン

杏子「さやか、メニューとってくれ」

さやか「何、あんたまだ食べんの?」

杏子「デザートだよ、デ・ザ・ァ・ト」

さやか「お、いいねぇ!やっぱあたしも食べようかな」

杏子「何だよ、腹いっぱいなんじゃなかったのか?」

さやか「甘いものは別腹、ってね。何にしよっかなー♪」


 数分後


さやか「うほぉ!きたきた、あたしのプリンサンデーちゃん!」

杏子「おい、手を叩くのはやめろよ恥ずかしいだろ……」

さやか「いいじゃんいいじゃん!いっただっきまーす」

杏子「はぁ……いただきます」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


190: 「添え物」 2013/01/28(月) 23:05:59.54 ID:bV277Tsko

さやか「プリン超うめー!」

杏子「んむ、こっちのチョコパフェもうめぇぞ?」

さやか「マジで?一口ちょうだい」

杏子「そんかわりプリン一口くれ」

さやか「あいあい」


 ぱくっ


さやか「んー……しあわせぇ」

杏子「ほんっとにウマそうに食うのな」ケラケラ

さやか「仕方ないじゃん美味しいもんは美味しいんだから」

杏子「いや、悪くねぇよ?むしろ良いと思うけどな」

さやか「でしょ?ふふん、美少女さやかちゃんの笑顔をとくと見るがいい!」


 えっへん


191: 「添え物」 2013/01/28(月) 23:06:26.48 ID:bV277Tsko

杏子「はは、馬鹿め」

さやか「ちょ、鼻で笑うとか酷い!」

杏子「調子に乗りすぎっといつか痛い目にあうぞ?お?」

さやか「だいじょーぶだいじょーぶ」

杏子「本当にかぁ?」

さやか「んふふ、いざとなったら皆に頼るし!」

杏子「うっわこいつ他力本願野郎だ」

さやか「なによー、杏子は助けてくれないってわけ?」

杏子「ギリギリまでは見捨てる」

さやか「なにそれ酷い」

杏子「アンタのが酷いわ」

さやか「それもそーか」


 もぐもぐ むしゃむしゃ


192: 「添え物」 2013/01/28(月) 23:06:54.75 ID:bV277Tsko

さやか「杏子、ミントの葉っぱ食べる?」

杏子「ん、食う」モグモグ

さやか「はいよ」

杏子「サンキュ」


 もぐもぐ むしゃむしゃ

193: 「添え物」 2013/01/28(月) 23:07:43.72 ID:bV277Tsko

さやか「ね、ぶっちゃけミントって美味しいの?」

杏子「んー……慣れればウマい」

さやか「慣れないと?」

杏子「ただの植物」

さやか「ぷっ、なにそれ」

杏子「所詮パフェに乗ってる奴なんてちっこいからな。もっと量があれば別なんだけど」

さやか「あ、お茶とかあるんだっけ?」

杏子「だな。あれもまぁ……慣れないとウマくないけど。慣れればウマい」

さやか「そんなもんなのか」

杏子「ん、そんなもんだ」



おしまい

200: 「添い寝」 2013/01/31(木) 22:50:28.43 ID:2mCAvfhto

 鹿目家 まどかの部屋、ベッドにて


さやか「ふ、ふとんに包まってるのに……さぶい」

まどか「今夜は一段と冷え込むねぇ……うぅぅ、お布団もう一枚出してくればよかったなぁ」

さやか「ちょっとでも動くとキンキンに冷えた布団が体にあたって……」


 ぶるぶるっ


さやか「さむっ」


さやか「あー、湯たんぽほしい……」

まどか「湯たんぽ、あったらいいねぇ……」


201: 「添い寝」 2013/01/31(木) 22:51:14.01 ID:2mCAvfhto

まどか「……そうだ」

さやか「?」

まどか「さやかちゃん、もうちょっとだけこっちに寄って?」

さやか「こう?」ゴソゴソ

まどか「うん!でね、こう――」


 ぴとっ ぎゅっ


さやか「ひゃっ!?まどかの手、冷たい!」

まどか「あっご、ごめんね!でも、しばらくこうしていれば……」

さやか「……なんか暖かくなってきた気がする」

まどか「でしょ?」


202: 「添い寝」 2013/01/31(木) 22:52:03.54 ID:2mCAvfhto

まどか「ふふ、人間湯たんぽー」

さやか「いい事考えるねぇまどかは」

まどか「えへへ」


 ほかほか


さやか「……へへっ」

まどか「?どうしたの?」

さやか「あたしもいい事思いついちゃった」

まどか「……?」

さやか「まどか、ちょっとだけ頭を持ち上げてみて?」

まどか「えっと、こうかな?」ゴソ

さやか「そうそう。んで、腕をこうして――」


さやか「腕まくらー!」

まどか「!」



203: 「添い寝」 2013/01/31(木) 22:52:41.53 ID:2mCAvfhto

さやか「へへ、一度やってみたかったんだっ」

まどか「もー、さやかちゃんったら大胆なんだから」

さやか「いいじゃないかーいいじゃないかー。ぎゅ~!」ギュッ

まどか「きゃー♪」


 ぎゅー


さやか「……」ジー

まどか「……」ジー

さやか「……」

まどか「……ふふっ」

さやか「あははっ」

まどか「えへへ」



204: 「添い寝」 2013/01/31(木) 22:53:11.93 ID:2mCAvfhto

まどか「……さやかちゃんの心臓の音が聞こえる」

さやか「あたしも。まどかの音が聞こえる」

まどか「トクトクいってるよ」

さやか「まどかのも。とくん、とくんって」

まどか「生きてるんだねぇ……」

さやか「うん、生きてるんだ……」

まどか「さやかちゃんの体、暖かぁい……」

さやか「まどかの髪、シャンプーのいい香りがする」

まどか「えへへ。さやかちゃんに洗ってもらったからね」



205: 「添い寝」 2013/01/31(木) 22:53:59.92 ID:2mCAvfhto

さやか「こんなところ、ほむらの奴がみたら嫉妬するんだろうなぁ」

まどか「そしたらほむらちゃんも入れて三人でぎゅーってしようよ」

さやか「仁美は?」

まどか「もちろん仁美ちゃんも」

さやか「じゃあ四人だね」

まどか「うん。四人で」

さやか「あ、あとマミさんと杏子も」

まどか「じゃあ六人?上条君は?」

さやか「んー……あいつはバイオリンとでも添い寝してればいいよ」

まどか「あはは。かわいそうな上条君」

さやか「自業自得だよ、あいつの場合」



206: 「添い寝」 2013/01/31(木) 22:54:18.66 ID:2mCAvfhto

まどか「……」

さやか「……」


 うとうと


まどか「さやかちゃん、眠いの?」

さやか「うん……ちょっと眠い……かも……」

まどか「私も……まぶたが重いや」

さやか「ん……まどかぁ」

まどか「なぁに?」

さやか「んむにゃ……おやす……まど…………すー、すー……」

まどか「……」

まどか「……くすっ」

まどか「おやすみなさい、さやかちゃん」



おしまい


214: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:23:10.87 ID:rHbWNwjqo

マミ「~~♪」クルクル


 巻き巻き くるくる


さやか「……」


 じーっ


マミ「~~♪~……?」

さやか「……」ジーッ

マミ「……美樹さん?」

さやか「ひゃ、ひゃいっ!?」ビクッ


215: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:23:39.78 ID:rHbWNwjqo

マミ「どうしたの?こっちをじーっと見つめて」

さやか「えっ!?えっと、あの、えっとその……」ツンツン


マミ「あ、もしかして」

マミ「美樹さんも巻いてみたいの?髪の毛」


さやか「っ!なんでわかったんですか!?」

マミ「ふふ。遠慮しなくていいのに」

さやか「で、でも……あたし、そんな、その……」ツンツン

マミ「んー……ね、ちょっとこっち来て」

さやか「は、はいっ」


 すすす

216: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:23:57.86 ID:rHbWNwjqo

マミ「ここ座って?」ポンポン

さやか「えっ?で、でもっ」

マミ「どうしたの?」

さやか「その……変じゃないですか?」

さやか「あたしなんかがそんな……女の子っぽい、事……」


マミ「あら?美樹さんは十分可愛い女の子だと思うけれど?」

さやか「ふぇっ!?」ドキッ

マミ「ふふ。まずは下準備からするわね」

さやか「えっと、あの……よろしくおねがいします!」

マミ「任せて!とびっきり可愛く仕上げちゃうんだから」

さやか「……」ドキドキ

マミ「さーて、まずは霧吹きからね――」


217: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:24:34.75 ID:rHbWNwjqo

 数分後


マミ「んー……こんな感じかしらね。さ、鏡をどうぞ」

さやか「は、はいっ!」ドキドキ


さやか「……!?っこれ、あたし……!?」


マミ「うふふ、腕によりをかけちゃった」

さやか「すごっ……凄い!凄いですマミさん!」フワフワ

さやか「うわー、ふわふわ!超ふわふわ!ふわふわでくるくるだー!わお!」フワフワ


 ぴょんぴょん


マミ「喜んでもらえたようでなによりだわ」ニコッ

さやか「わー、ほんと、うわー、うわー!あははっすごーい!」ピョンピョン

マミ「うふふ……あ、そうだ」

さやか「?」

マミ「ちょっと待ってて。いい物持って来るわ」


218: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:24:59.80 ID:rHbWNwjqo

マミ「ね、これどうかしら?」

さやか「これ、マミさんのお花髪飾りの……」

マミ「そ。ヘアピンバージョン」

さやか「これってもしかして、もしかしなくてもお揃いっすか!?」キラキラ

マミ「ええ。こっちはあまり使ってなかったんだけれど……ごめんなさい、嫌だったかしら?」

さやか「ええっ!?まさかぁ!」ブンブン

マミ「よかったぁ」ホッ

さやか「でも、借りちゃっていいんですか?」

マミ「もちろんよ!ね、着けてみて?」

さやか「では早速……」ドキドキ


219: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:26:06.05 ID:rHbWNwjqo

さやか「じゃーん!」キラリン


マミ「きゃー、美樹さん可愛い!」

さやか「えへへ……照れますなぁ」テレテレ

マミ「ふふ、なんだかこうしてると妹ができたみたいで嬉しいわ」

さやか「……!ね、マミおねーちゃん♪」

マミ「あら、どうしたのさやかちゃん?」

さやか「あたしマミおねーちゃんだーいすき!」

マミ「うふふ、私もよ♪」ナデナデ


さやか「おー、アグレッシブですね」

マミ「っ!?ちょ、ちょっといきなり素に戻らないでよっ!?」

さやか「あはは、マミさん照れてるー!」

マミ「んもう!あんまりからかわないで?あー、顔が暑いわ……」パタパタ

さやか「照れてるマミさんも可愛いですなぁ」ニヤニヤ

マミ「美樹さんったら……もうっ」プイッ

さやか「へへへっ」


220: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:26:24.13 ID:rHbWNwjqo

マミ「ね、こうなったら思いっきりおめかししてどこか一緒に出かけない?」

さやか「いいですねそれ!いっぱい洋服見たり、お茶してみたり」

マミ「うふふふ、楽しみね」


さやか「あっそうだ!マミさん、写メお願いしてもいいですか?」

マミ「ええ、もちろんよ」

さやか「ふふー。まどか達にも見せてあげなくちゃ」


マミ「……って私も写るの!?」

さやか「もちろんですよ!じゃあ撮りまーす」

マミ「あっ、えっと、ぴ、ピース!」


 <ピローン♪


マミ「大丈夫かしら?私、目はつぶってないわよね?」

さやか「えーと……はい、バッチリです!ありがとうございます!」

マミ「よかったぁ……」ホッ

さやか「もしかしてマミさんって目をつぶっちゃう派なんですか?」

マミ「そうなのよ……今回はちゃんと撮れてよかったわ」


221: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:27:01.07 ID:rHbWNwjqo

さやか「あはは。じゃあまどかと一緒だ」

マミ「鹿目さんも?」

さやか「そうなんですよー。あの子と写真とるといつも半分くらい寝てますね」

マミ「あー、あるある。で、撮り直しても――」

さやか「また寝てるとか」

マミ「ありがち過ぎて怖いわ。うふふ」

さやか「共通の悩みなんですねぇ」

マミ「ほんと、いやになっちゃうわ」


 <ティローン♪



さやか「あ、返信きた!なになに……」


222: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:28:07.26 ID:rHbWNwjqo

【From】暁美ほむら
【Sub】Re:
----------------------------
馬子にも衣装ね(猫絵文字)
中々いいんじゃない?


さやか「うまこ……?ばし……?にも衣装……うーん?」

さやか「……読めないや」

マミ「どうしたの?」

さやか「あ、これってどう読むんです?」

マミ「えーと、なになに……あら、うふふ」

さやか「?」

マミ「まごにもいしょう、ね。暁美さんからなら褒めてくれてる感じじゃないかしら」

さやか「あ、褒め言葉なんだ!」

マミ「うーん……時と場合にもよるけどね?」

さやか「ふーん……?あ、また返信きた」


223: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:28:40.06 ID:rHbWNwjqo

【From】鹿目まどか
【Sub】Re:
----------------------------
きゃ~ヾ(*≧∇≦*)ノ"(キラキラ絵文字)
なにこれ、なにこれぇ!きゃー!凄い!きゃー(ハート絵文字)
すっごくかわいい~(ハートの絵文字x2)
ねね、お出かけに私も一緒について行ってもいいかな?(ドキドキ絵文字)



さやか「あはは、まどかったらはしゃぎすぎ!」

マミ「ふふ、仲がいいのね」

さやか「そりゃもう!なんてったってあたしの嫁ですから」フンス

マミ「あらあら。羨ましいわ」

さやか「お、じゃあマミさんも嫁に来ます?」

マミ「えっ?」

さやか「なんとさやかちゃん王国は一夫多妻制なんですよ!」

マミ「あらそうなの?じゃあ私もお嫁に行っちゃおうかしら」

さやか「マジですか!?っしゃー、嫁ゲットォー!」

マミ「うふふ。随分と可愛いらしい旦那様ね」

さやか「へへへっ」


224: 「巻き髪」 2013/02/03(日) 22:29:02.13 ID:rHbWNwjqo

さやか「ハッ!?って事はあたしはこれから両手に嫁でお出かけって事!?」

マミ「んー、確かにそうなるわね」

さやか「うはー!これは来ちゃってますねぇあたしの時代がっ」

マミ「ふふ、じゃあ鹿目さんを待たせちゃうといけないしそろそろ行きましょうか?」

さやか「はーいっ」



おしまい

229: 「椅子」 2013/02/05(火) 00:30:13.11 ID:TZSRS6J0o

 商店街 家具屋


さやか「……」ウィーン


 <いらっしゃいませー


さやか「えーと……あれは確か……」キョロキョロ

さやか「こっちだったかな?」


 とことこ


さやか「んー……あ」

さやか「あったあった!よかった、残ってた……」ホッ


さやか「……」


さやか(さて)

さやか(この椅子を、今。買うべきか、買わざるべきか……)

230: 「椅子」 2013/02/05(火) 00:30:50.21 ID:TZSRS6J0o

さやか(値段は……前と変わらず)

さやか(値引きはされていない模様)


さやか「……」


さやか(この値段だと……)

さやか(クラシックCDだったら8枚くらい、DSソフトだったら2本買えるのか)

さやか(……)

さやか(っていうか今あたし椅子って何脚持ってたっけ?)


さやか(えーと)

さやか(ベッド横の3脚でしょー、あと鏡を置いてるやつと……それから……)

さやか(6脚くらいかな……?)

さやか「……あ」

さやか(そういえば年末にもう1脚買ったんだった)

さやか(つーことは計7脚か……)

さやか「……」


 うろうろ


231: 「椅子」 2013/02/05(火) 00:31:17.82 ID:TZSRS6J0o

さやか(8脚はちょっと多いよなぁ)

さやか(でもこの椅子、シルエットが凄くいいんだよなぁ……)

さやか「……」

さやか(特に背もたれのシュッとした感じがドツボに来るわぁ)

さやか(あの椅子をあっちにおいて、これをあの辺りに置くとする)


 もくもく


さやか「……っ」

さやか(くぁー、痺れるぅ!)

さやか(あぁ……でもなぁ、でもなぁ……)


232: 「椅子」 2013/02/05(火) 00:31:54.24 ID:TZSRS6J0o

さやか「……うぅぅ」

さやか「んぁ~……悩む……!」ガシガシ

さやか「ぐぅぅ……、……お?」


 すすすっ


さやか(このクッション……可愛い!)

さやか(これ、ベッド斜め横のあの椅子に似合うだろうなぁ)

さやか(雰囲気的にもバッチリだし、手触りは……)


 ふかふか


さやか(……んー、もうちょっと弾力性が欲しかったかも)

さやか(でもこの値段だとこんなもんかなぁ)


さやか「……お?」

さやか(これ、一割引じゃん!)


233: 「椅子」 2013/02/05(火) 00:32:25.40 ID:TZSRS6J0o

さやか(あぁでもなぁ、今は椅子を買いに来たんだよなぁ)

さやか(つっても椅子も悩んでるわけだけど……)

さやか(もちろん両方買うなんて予算は無いわけだし)

さやか「……」

さやか「……」

さやか「もういっぺんさっきの椅子を見てこよう」


 とことこ


さやか「……」

さやか(やっぱり……いいシルエットだよなぁ)

さやか(でもCD8枚、ソフト2本分のお値段)

さやか「……」

さやか「やっぱりクッション見てこよう」


 うろうろ


さやか「うぅー……」


 うろうろ


さやか「でもなぁ……」


 うろうろ うろうろ

 うろうろ うろうろ


234: 「椅子」 2013/02/05(火) 00:33:01.82 ID:TZSRS6J0o

さやか「ハァ……どうしよう……」

さやか「……」ウロウロ

さやか「……あ」ピタッ


さやか(っていうか今のあたしって完全に挙動不審の不審者じゃん!)

さやか(どうしようどうしよう)

さやか(あの店員さん絶対こっち見てるよぉ……)

さやか(怒ってるのかな……)

さやか(うっわ見てる超見てるじーっと見てる。っていうか目が合いそうで怖い)

さやか(でもごめんなさい、一介の女子中学生にとっては凄く大事な局面なんです)

さやか(お年玉だってほらもうこんなに残り少ないし)

さやか(お小遣いだって頑張って溜めたんです)

さやか(いつも見滝原を守ってる分悩ませてください)


店員「……」じーっ

店員(眠い)


さやか(うあぁぁぁ)

さやか(大丈夫です万引きなんてしませんし放っておいてくださいお願いしますマジで)


235: 「椅子」 2013/02/05(火) 00:33:35.40 ID:TZSRS6J0o

店員(暇だなぁ)

店員(商品の整理でもしてこよう)


 とことこ


さやか(あれ……店員さん、どっか行った)

さやか(思いが通じたのかな?)

さやか(これで存分に悩める)

さやか「……」

さやか(あぁでも、でもなぁ……)


 うろうろ うろうろ


236: 「椅子」 2013/02/05(火) 00:34:03.37 ID:TZSRS6J0o

 数分後


 <ありがとうございましたー


さやか「……」ウィーン

さやか「……はぁ、空が青い」


 ガサッ


さやか(結局、全然違うクッションを買ってしまった)

さやか「……」

さやか「あたしって、ホント馬鹿」トホホ



おしまい

242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/08(金) 00:41:10.05 ID:reTmPbjpo

さやか「仁美、あーん」

仁美「あーんっ」


 ぱくっ

 もぐもぐ


仁美「む……っ!こ、これは……!?」モグモグ

さやか「ふっふっふ。どうだいさやかちゃんのは?」

仁美「さ、さやかさんの……っ……ぁ、熱くて、大きくって……!」モグモグ

仁美「わたくし一体どうしたらいいのか……っ!はふはふっ」

さやか「仁美ぃー、顔が赤いよ?」

仁美「そ、そんな事言わないでくださいまし!」カァァ


243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/08(金) 00:41:40.38 ID:reTmPbjpo

さやか「そんなに慌てちゃってぇ。どうしたんだい、んー?」ニヤニヤ

仁美「……」モジモジ

さやか「そんな黙って見つめられてもさやかちゃん困っちゃうなぁ」

仁美「あのっ!わ、わたくし……」

さやか「ん?」

仁美「もう一つ……もう一つ欲し、ぃ、ですわ……」ゴニョゴニョ

さやか「んんー?聞こえないなぁ?」


仁美「わたくし、わたくし……その、欲し、……っ!」

さやか「もっと大きい声じゃないとわからないなぁ」


仁美「あぁっ!わたくし、もう一口欲しいですわ!さやかさんの、ポテトフライがっ……!」

さやか「よく言えましたー。しっかり言えたいい子にはお芋さんをあげようね。はいあーん」

仁美「早く!早くわたくしのお口に……!あーんっ」


 ぱくっ


仁美「はぁぁっ……美味しいですわ……」モグモグ


244: 「あーん」 2013/02/08(金) 00:42:12.91 ID:reTmPbjpo

さやか「この新商品なかなかイケるね」モグモグ

仁美「想像以上ですわ」モグモグ


さやか「そころでさ、仁美……」

仁美「どうされましたのさやかさん?」モグモグ

さやか「あのね、あの、そろそろ……あたしも欲しいかなって」


 そわそわ


仁美「あら、何がですの?」

さやか「えぇっ!?仁美のいじわるっ」

仁美「何のことでしょう?さっぱりわかりませんわ、うふふ」


さやか「その、あのね……実はさっきからずっと気になってたんだけど……」モジモジ

仁美「ふむ?」

さやか「ひ、仁美の……白くってとろけるような、その……ぁい、す……」モジモジ


245: 「あーん」 2013/02/08(金) 00:43:05.83 ID:reTmPbjpo

仁美「んー、よく聞こえませんわね」

さやか「仁美ぃっ!?」

仁美「さあ、正直に言いなさって?一体何が欲しいんですの」

さやか「う……その、ひ、仁美の真っ白な……アイスクリーム、です……っ!」


仁美「ふふ。そのアイスクリームをどこにどうして欲しいのかが全くわかりませんわ」

さやか「ふぇっ!?」

仁美「しっかり言えるまではお預けですわよ」

さやか「ぐぅっ……その、仁美の、白くって、立派なコーンのアイスクリームを……っ!」

さやか「あ、あたしのお口の中に……っ……、く、下さ、ぃ……っ!」

仁美「んー……まぁいいですわ。よく言えました、はいあーん」

さやか「あーんっ」

仁美「……」


仁美「やっぱりまだお預けですわ」


 ひょいっ


さやか「えぇっ!なんで!?あたし、あたしもう待ちきれないよぉ……っ」カァァ

仁美「うふふ。ごめんなさい、この表情が見たかっただけなんですの」

さやか「んもー、仁美のいけず!ねぇはやくちょうだい……?」


仁美「では改めて。はいあーん」

さやか「あーん」


 ぱくっ


246: 「あーん」 2013/02/08(金) 00:43:24.58 ID:reTmPbjpo

さやか「んー……おいひい」モグモグ

仁美「うふふ、わたくしのアイスクリームはいかがですか?」

さやか「仁美のアイス、甘くってとっても冷たくって……あたしとろけちゃいそうだよぉ……」

仁美「うふふふ」

さやか「あははは」


 いちゃいちゃ


ほむら「……」


ほむら「……ハァ」


247: 「あーん」 2013/02/08(金) 00:43:54.64 ID:reTmPbjpo

ほむら「あなた達、一体何をしているのかしら」


さやか「え?あーんしあってるだけだけど」

仁美「愛を育んでいるのですわ」

ほむら「端から聞いているとただの卑猥な会話に聞こえるのだけれど?」

さやか「えー?そんな会話してないよぉ」

仁美「通常運転ですわよね」

さやか「ねー」

仁美「ねー」

ほむら「……そう」


さやか「むしろどこらへんが卑猥なのさ?」

ほむら「は?それはもちろん全体的にに決まってるじゃない」ピクッ

さやか「んー、ちゃんと具体的に口で言ってくれないとわからないなぁ?ねぇ仁美?」

仁美「全くですわね」

ほむら「ぐっ……!?そ、その……」


248: 「あーん」 2013/02/08(金) 00:44:29.86 ID:reTmPbjpo

ほむら「熱くって大きい……だとか、白いの、だとか……その……ぇぇ、と……」モジモジ

ほむら「ってあなた達何を言わせるのよ!」カァァ


さやか「えー、今のって卑猥!?」

仁美「ただ事実を述べているだけですわよねぇ」

ほむら「!?」

さやか「あ、それともまさか……!?」

仁美「……はっ、まさか!?そんな、そんな発想だなんてっ」

さやか「キャー!ほむらちゃん卑猥!」

仁美「キャー!ですわ!」


 キャーキャー

249: 「あーん」 2013/02/08(金) 00:45:01.47 ID:reTmPbjpo


ほむら「…………」


 ドンッ!


さや仁「」ビクッ


ほむら「全く……まどかがいないからって暴走しないでよ……はぁ」

さやか「まどかがいてもいつもこんな感じだよねぇ」モグモグ

仁美「ええ。意外とノってきて下さりますわよね」モグモグ

ほむら「!?」



おしまい


254: 「調理」 2013/02/13(水) 00:23:03.79 ID:DKyvDuTko

さやか「~~♪」トントントン


 トントントン


さやか「ふんふんふ~ん♪」トントントン

さやか「~~♪」トントントン

さやか「~♪」


 トントン、トントン


さやか「ふんふんふ~ん♪っと……こんなもんかな」

さやか「よし、シチューの材料は切れた!」

さやか「心なしか刃物の使い方が上手くなった気がする」

255: 「調理」 2013/02/13(水) 00:23:30.90 ID:DKyvDuTko

さやか「さて、手を洗って……」ザー

さやか「えーとなになに……"まずは鍋に油をしいて熱します"」

さやか「ふんふん、油……っと」


さやか「そしたら、"熱した所に鶏肉を入れ炒めます"」


 ジュー


さやか「うわ、油めっちゃはねる」ジュゥ

さやか「うぉあっちぃっ!」

256: 「調理」 2013/02/13(水) 00:23:57.21 ID:DKyvDuTko

さやか「ええと次は……"人参、玉ねぎ、ジャガイモを入れ炒めます"……?」

さやか「……あ」


さやか「ジャガイモ切り忘れた」

鍋「ジュージュー」


さやか「んー……芋だけ後から入れてもいいのかな……」

鍋「ジュージュー」


さやか「……ん、なんか書いてある」


 "ジャガイモの形崩れが気になる方は、別茹でして最後に加えてください"


さやか「よし、後入れにしよう」


257: 「調理」 2013/02/13(水) 00:25:02.98 ID:DKyvDuTko

さやか「"鍋に水を入れて煮立てます"」ザバー

さやか「お水よーし。そしたら鍋を放置して」

さやか「じゃがいもを切ろう!」

芋「ごろごろ」


さやか「……ふむ。ただ切るだけじゃ芸が無い気がする」

さやか「今なら刃物の扱いも上達しただろうし……」

さやか「……野菜彫刻でもやってみようかな?」

さやか「出た野菜くずはポタージュにでもして再利用すればいいよね」


さやか「さて題材は何にしようかな……」

さやか「"マミさん"」

さやか「……」ウーン

さやか「……髪の毛の辺りが難しそうだからやめよう」



258: 「調理」 2013/02/13(水) 00:25:31.42 ID:DKyvDuTko

さやか「となると、誰がいいかなぁ……」

さやか「……」ウーン

さやか「……よし、まどかを作ろう!」


さやか「えーと、まずは大まかに削り出すんだっけ?」


 サクサク サクサク


さやか「ん、こんな感じかな」

さやか「そしたら細部を切り出す」ショリショリ

さやか「……むむむ」


さやか「なかなか難しい……」ショリショリ

さやか「……」ショリショリ


 ショリショリ


さやか「……ん、できた!」


まどか芋「」デーン


さやか「……」

259: 「調理」 2013/02/13(水) 00:25:57.80 ID:DKyvDuTko

さやか「なんか違う……?」

さやか「やっぱり全身を作るのは無理があったかな」

さやか「次は頭部だけにしてみよう」


 サクサク サクサク

 ショリショリ ショリショリ


さやか「できた!」


まどか芋2「……」デーン

さやか「……」


さやか「……やっぱりなんか違う」


さやか「もう一個やろう」


 サクサク サクサク

 ショリショリ ショリショリ

260: 「調理」 2013/02/13(水) 00:26:25.60 ID:DKyvDuTko

さやか「でき……た?」


まどか芋3「」

さやか「……もう一個」


 サクサク

 ショリショリ


まど芋4「」

さやか「……」


まど芋5「」

まど芋6「」


 ・ ・ ・


261: 「調理」 2013/02/13(水) 00:26:52.00 ID:DKyvDuTko

 数分後


まど芋1~16「……」


さやか「……」

さやか(どうしようコレ)


さやか「……でも、おかげでイマイチな理由がわかった!」

さやか「刃物の扱いとか、そんな話じゃなかったんだ」

さやか「ただ……」


さやか「ただ圧倒的に美術的センスが足りなかったんだ……」ガクッ

まど芋1~16「……」



おしまい

262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 00:27:18.76 ID:DKyvDuTko
以上です。
続いて「味見」

263: 「味見」 2013/02/13(水) 00:27:45.04 ID:DKyvDuTko

 屋上

さやか「ほむらー!こっちこっち」

ほむら「あなたから用事とはめずらしいわね」

さやか「へへ。実は昨夜料理の練習をしてみたんだけど、その味見をしてほしくって」

ほむら「なら、私より杏子のほうが適役なような気がするのだけれど……」

さやか「あぁ、杏子には杏子の分があるから大丈夫。ちょっと作りすぎちゃったんだ」

ほむら「……?ずいぶんと大量に作ったのね?」

さやか「へへへ……ま、とりあえず食べてみてよ」ゴソゴソ


 ぱかっ


ほむら「あら、お芋の煮付けね?色は中々いいじゃない」

さやか「でしょー。本に書いてある分量じゃ煮汁が足りなかったから、苦労したんだよ」

ほむら「ふーん……?」

264: 「味見」 2013/02/13(水) 00:28:12.79 ID:DKyvDuTko

さやか「ささ、とりあえず一個ぱくっと」

ほむら「ま、いいわ。いただきます」パクッ


 もぐもぐ もぐもぐ


ほむら「うん、香りも味付けもまあまあね……思ったより悪くないわ」

さやか「ほんと?」


ほむら「ただ、この見た目はなんとかならなかったのかしら?」

ほむら「煮崩れるとかそれ以前にこんな角だらけのゴロゴロした形は良くないと思うわよ」


さやか「あ、それ実はまどかの頭なんだ」

ほむら「ゴフッ!?」


265: 「味見」 2013/02/13(水) 00:28:40.46 ID:DKyvDuTko

ほむら「ゲホッ、ゲホゲホッ……げほっ!」

さやか「ご、ごめんごめん!ほらお茶飲んで!」

ほむら「げほっ、んむ、ゴク……ゴク……ハァ、ハァ……」

さやか「ごめんね、別にまどかの頭そのものってわけじゃないよ。驚かせちゃったね」

ほむら「そういう、ゲホッ、事じゃないでしょ!あなた人の頭を何だと思ってるのよ!?」

さやか「いやあ……ただ、お芋で彫刻をやってみようと思っただけなんだけど……えへへ」

ほむら「笑ってごまかさないで!」ビシッ

さやか「いてっ」



ほむら「――で」

さやか「うぅ……」

ほむら「あなたは食べ物で遊んだ挙句、処理しきれなくなった芋を人に食べさせようと企んだ訳ね」

さやか「はい……その通りでございます……」シュン


266: 「味見」 2013/02/13(水) 00:29:07.33 ID:DKyvDuTko

さやか「あっ、で、でも!ちゃんと削りカスは今夜のおかずにするよ!ほんとだよ!?」

ほむら「当たり前じゃない!」

さやか「あうぅ」

ほむら「大体あなたね、やっていい事と悪いことがあるの。わかってる?」

さやか「はい、存じております……」

ほむら「ハァ……本当にあなたって人は……」

さやか「ごめんなさい……」



 <ガチャッ


まどか「あ、二人ともこんな所にいたー!」

ほむら「!?」

さやか「!?」

267: 「味見」 2013/02/13(水) 00:29:34.92 ID:DKyvDuTko

まどか「……あれ?そのお弁当箱――」


さやか(やばい)


まどか「わー、凄い量の煮っ転がし!もしかして、さやかちゃんが作ったの?」

さやか「う、うん。まあね。昨夜試作を作りすぎちゃったから、ほむらにも食べてもらってたんだ」

まどか「すごーい!ツヤツヤしてておいしそう!」


さやか『ねぇ、どうしよう』

ほむら『私は知らないわよ』

さやか『えぇぇ……本気でどうしよう……』


まどか「ねぇさやかちゃん」

さやか「う、うん?」

まどか「私も一個食べてみていいかな?」


さやか(そらきた)

268: 「味見」 2013/02/13(水) 00:30:02.45 ID:DKyvDuTko

さやか「あ、で、でも、味はあんまり良くないっていうか、その……」

まどか「えー?こんなに美味しそうなのに」

さやか「形だってゴツゴツしてるし」

まどか「大丈夫だって。十分きれいだよ?ね、ほむらちゃん」

ほむら「え、えぇそうね……味は悪くなかったわ」

まどか「でしょ?さやかちゃん、私も食べてみたいなぁ」キラキラ

さやか「うっ」

さやか(純粋な眼差しが苦しい……)


さやか「じゃ、じゃあ一個だけ……」

まどか「ほんと!?わーい、ありがとー!いただきまーす」

さやか「……」ドキドキ


 ぱくっ もぐもぐ

269: 「味見」 2013/02/13(水) 00:30:34.90 ID:DKyvDuTko

まどか「ん、おいしー!味が良くしみてて最高!」

さやか「ほんと?そっかー、よかったなー」ドキドキ

まどか「うん、このお芋の表面にある溝から味がしみこんだのかな?」

さやか「ふ、ふーん?そうなのかな?」ドキドキ

まどか「もぐもぐ」

ほむら「……」


まどか「もぐもぐ……ごくん。あーおいしかったぁ!」

さやか「えへ、えへへ。喜んでもらえたようでなによりですハイ」

まどか「んもー、そんな謙遜するような味じゃないとおもうんだけどなぁ?」

さやか「いやぁ……へへへ」ドキドキ

ほむら「……」



おしまい


274: 「キャンディー」 2013/02/19(火) 00:12:43.53 ID:C8xcy23Zo

さやか「んーっ……やっと終わったぁー!」


 のびー


まどか「お疲れさまー」

さやか「ほんっと疲れたよ……脳みその糖分全部持っていかれた感じ……」

まどか「あはは」


さやか「ねぇ、なんか食べるもん持ってない?」

まどか「あ、飴ちゃんならあるよ!」

さやか「おー、一粒めぐんで下されまどか様ぁ!」

まどか「どうぞ!色々あるから好きなの選んでね」

さやか「サンキュ!」


 ごそごそ

275: 「キャンディー」 2013/02/19(火) 00:13:33.30 ID:C8xcy23Zo

さやか「なんか随分色んなのが混ざってるね」

まどか「えへへ、新商品を見つけるとつい……」

さやか「あーあるある。季節限定ー!とか書いてあるとつい買っちゃうよね」

まどか「ね」


さやか「よし、これにしよっと。いただきまーす」

まどか「はーい。定番のレモン味だね……私はこれにしようかな」

さやか「……のど飴?」

まどか「うん。こののど飴おいしいんだよ!」

さやか「相変わらず渋い選択だねぇ」

まどか「えー、一回食べてみなよぉ」

さやか「うーん……あたしはいいや」

まどか「えー」

276: 「キャンディー」 2013/02/19(火) 00:14:00.03 ID:C8xcy23Zo

 ころころ ぺろぺろ


さやか「……」コロコロ

まどか「……」コロコロ


さやか「……そういえばさ」

まどか「?」

さやか「まどかって、噛み砕く派?それとも自然消滅派?」

まどか「あとちょっと!って所で噛み砕く派」

さやか「あー。プチプチ系ね」

まどか「さやかちゃんは?」

さやか「少し小さくなってきたら噛み砕く派」

まどか「それでいつも食べ終わるの早いんだ!」

さやか「なんかさ、最後までなめてるだけってのが違和感あって。やっぱ噛みたいじゃん」

まどか「あー、あるかも」

さやか「でっしょー?」


277: 「キャンディー」 2013/02/19(火) 00:14:26.79 ID:C8xcy23Zo

さやか「……」コロコロ

まどか「……」コロコロ


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……」ガリッ


 しゅわっ


さやか「!?」ビクッ

まどか「?」


さやか「最後にしゅわってする系だった」

まどか「あー」

278: 「キャンディー」 2013/02/19(火) 00:14:57.66 ID:C8xcy23Zo

さやか「飴ちゃんもう一個もらってもいい?」

まどか「どうぞー!」

さやか「どれにしよっかなーっと」

まどか「……」カリッコリッ


さやか「あ、今噛み砕いた?」

まどか「えへへ、わかっちゃった?」

279: 「キャンディー」 2013/02/19(火) 00:15:24.47 ID:C8xcy23Zo

さやか「……」コロコロ

まどか「……」コロコロ


さやか「そういやさ」

まどか「うん?」

さやか「杏子ってもろ噛み砕く派っぽいよね」

まどか「あー、わかるかも」

さやか「口に入れてすぐにガリゴリィーッ!って感じ?」

まどか「ワイルドだねぇ」

さやか「だろぉ?」


まどか「逆にほむらちゃんは最後までぺろぺろしてそうだね」

さやか「あー、深追いするタイプだねありゃ」

まどか「マミさんはどっちだろ……」

さやか「意外と噛み砕くの早かったりして」

まどか「うーん……」


さやか「飴ちゃん一つでも意外と奥が深いもんだね」

まどか「ね」


280: 「キャンディー」 2013/02/19(火) 00:16:01.90 ID:C8xcy23Zo

 ぺろぺろ


さやか「……」コロコロ

まどか「……」コロコロ


さやか「……」

まどか「……」


さやか「……」ガリッガリゴリッ

まどか「……」コロコロ


さやか「ふー」

まどか「……」カリッコリッ


まどか「はー」

さやか「お、息さわやか」

まどか「ふぇっ!?そ、そんなつもりじゃ……」

さやか「あはは、冗談だって。まどかの息はいつも爽やかだよ」

まどか「さやかちゃん?」

さやか「ごめんごめん」



おしまい

287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:39:39.30 ID:dnWeOHDUo

さやか「ねーねーほむらー」

ほむら「……?何か用かしら?」

さやか「あのさ、今あんた英和辞典なんて持ってない?」

ほむら「英和辞典?確かに持ってるけど……まさかまた宿題やってこなかったの?」

さやか「そ、そんなことはないですよっ!?」ドキッ

ほむら「…………」

さやか「あは、あははは…………すいません、本当はやってないですハイ……」

ほむら「全く……」ハァ


さやか「でさ、そんな訳で悪いんだけどちょーっとだけそれ貸してくんない?ね、お願いします!この通り!」

ほむら「別にいいけど……変な単語にマーカーとか引かないでよね?」


さやか「ギクッ」


ほむら「……」ジトー

さやか「あ、あっははは!そんなまっさかぁ!思春期の男子じゃあるまいし!」ダラダラ

ほむら「……ハァ……まあいいわ。はいこれ」

さやか「ありがとーございますっ!!」


288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:40:12.36 ID:dnWeOHDUo

さやか「えーと、まずはこの単語……なんて読むんだこれ」


 ぱらぱら


さやか「A……c……あ、あったあった。えーと次は……ふむ……」


 ぱらぱら


さやか「げっ。和訳の漢字が読めない」


 ぱらぱら ぱらぱら


さやか「だんだんめんどくさくなってきた……」


 ぱらぱら


さやか「……ぐぅ」


 ぱらぱら

 ぱらぱら、ぱら

   ……ひらっ


さやか「……ん?」

さやか「なんか挟まってる」


 ぴらっ


さやか「クローバーの……葉っぱ……?」


さやか「あ、これ四つ葉のクーローバーか!」

さやか「なんか女の子らしい事してんじゃん」

さやか「ふふっ。予想外だわこりゃ」

289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:40:42.31 ID:dnWeOHDUo

 ぱらぱら

 ぱらぱら ぱらぱら

   ……ひらっ


さやか「またなんか挟まってる」

さやか「今度はなんだろう……」ピラッ


さやか「橙色のお花かぁ」

さやか「……ふむ」


 ぱらぱら

   ……ひらっ


さやか「ほー、今度は随分でっかい花びらだね」


 ぱらぱら

   ……ひらっ


 ぱらぱら

   ひらっ


 ぱらぱら、ぱら

   ひらっ ひらっ

   ひらっ ひらひらっ


290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:41:09.97 ID:dnWeOHDUo

さやか「……」


さやか「なんかこの辞典すげーいっぱい挟まってる……」


さやか(小ぶりの木の葉、野草っぽいお花、イチョウの葉っぱ、見覚えのあるお花、他多数)

さやか「てゆーか改めて横から見てみると色々挟まりすぎて本が膨らんでる……」

さやか「……」

さやか「記念とかにしちゃ多いよね、これ」


さやか「……」

291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:42:02.35 ID:dnWeOHDUo

さやか(むむむ……)

さやか(…………)

さやか「……――あ」


さやか(そういやあの子って――)


さやか(……)

さやか(……)

さやか(――そっか)


さやか(もしかして……なんとなく、だけど。憶測でしかないけど……)

さやか(もしかして、もしかしたら。懐かしかったのかな?)

さやか(それか……初めてだったのかもしれない)


292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:43:04.89 ID:dnWeOHDUo

さやか(夏に生い茂る花々も、紅く色付いた木の葉も)

さやか(あたし達が普段気にしないような野草でさえ)

さやか(この学校に来る前までずっと入院してたあの子は、それを間近で見る機会すら少なかっただろうし)

さやか(何度も何度も同じひと月、同じ季節を繰り返して)

さやか(何度も、何度も……)



さやか「はー……」


ほむら「どうしたの溜め息なんかついて」

さやか「ひえっ!?」ビクッ

ほむら「何驚いてるのよ……それで、宿題は終わったの?」

さやか「あ、あぁうん!宿題ね!終わった終わったよありがとー!!」

ほむら「……?」


293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:43:33.18 ID:dnWeOHDUo

さやか「……はー……」

ほむら「……?」

さやか「あっ……ごめんごめんなんでもない!……はぁ……」

ほむら「本当にさっきからため息ばかりね。何か悩み事でもあるの?」

さやか「えっ?あぁ……悩みといいますかなんといいますか……ってゆーか今日のあんた、やけに優しいね」

ほむら「……あなたが悩んでいるとまどかが知ったら、彼女は気に病むでしょうから」

さやか「あー」

ほむら「だから先に手を打っておきたいだけ」

さやか「なるほどね……」

ほむら「それで、一体何を悩んでいるの?」

294: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:43:59.72 ID:dnWeOHDUo

さやか「んー……なんつーかさ……」

ほむら「なんというか?」

さやか(どうしよう)

さやか(…………)


さやか「……あ、そうだ!」

ほむら「?」


さやか「あのさ!春休みになったらみんなでどっか遊びに行かない?」

ほむら「何を……」


さやか「遊園地で遊びまくったり、水族館でイルカショーとか見たりさ」

さやか「美味しいもの食べ歩いたり、面白いもの探してみたり」

さやか「でさ!せっかくだから温泉とか入っちゃったりして!綺麗な景色をいーっぱい見て」

さやか「普段じゃできない事をたくさんやって」

ほむら「……」


295: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:44:26.75 ID:dnWeOHDUo

さやか「その間、見滝原を留守にしちゃうのはまぁちょっと気になるけど……一泊二日とかならいいんじゃないかなって」

ほむら「あなた……」

さやか「んー?」

ほむら「……いえ、なんでもないわ」

さやか「せっかくだしさ、真面目に考えてみようよ。魔法少女春の慰安旅行ー!なんつって」

ほむら「……はぁ」


296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 00:44:55.05 ID:dnWeOHDUo

さやか「ちょっとー、ため息つかないでよぉ」

ほむら「頭が痛いわ」

さやか「えぇー……でもさぁ、いい案だと思わない?ねー、行こうよー」

ほむら「……留守中の対策が思いついたらね」

さやか「!」

さやか「約束だよ?絶対だかんね!まどか達にも話は通しておくからねー!」

ほむら「いちいち騒がないでちょうだい。ほら先生が来たわよ」

さやか「へへへ……まずはどこ行こうかなぁ……」

ほむら「聞いちゃいないわ……」



おしまい

301: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:32:51.39 ID:oZqEahlfo

さやか(――それは例えるなら、白銀の荒野だった)

さやか(白い白い大地を目の前に、あたし達二人は手を休めずにひたすら地を穿っていた)

さやか(絶望。あるいは、迂闊に踏み入ってしまった者への懲罰)


さやか(あたしもマミさんもとっくに限界を迎えていた)


さやか(でもここで止めるわけにはいかない。いかないんだ)

さやか(ただひたすらに白い”それ”を、あたし達は――)



さやか「なんで、なんでなんだよぉっ……こんなのってないよ……ふざけないでよ……!」

マミ「はあ……はあっ…………ぐっ――!?」

さやか「マミさん!?」ガタッ

マミ「っはあ……大丈夫、まだ戦えるわ……」

さやか「でも、顔色が……それに、手がこんなに震えて!」

マミ「平気平気!それに、後輩にばっかり任せる訳にはいかないしね」ニコッ

さやか「マミさん……」

302: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:33:25.85 ID:oZqEahlfo

マミ「……美樹さん。ごめんなさいね、私のせいで……」

さやか「そんな、謝らないで下さい!それにマミさんだけのせいじゃないです!」

さやか「あの時同調したあたしにも責任があります。まさかこんなにヤバい奴だったなんて……」

マミ「美樹さん……」

さやか「一緒にこいつをやってけようって言ったじゃないですか!」

マミ「……ごめんなさい」

さやか「だから謝らないでくださいって」

マミ「でも……っうぐっ!」

さやか「マミさん!?む、無理しないでください!」

マミ「うぅ……」

さやか「杏子……なんで連絡がつかないのよぉっ……!」

303: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:34:03.37 ID:oZqEahlfo

マミ「ぐっ……正直、迂闊だったわね……」

さやか「あたしも、あんま深く考えずになんとなくイケるだろうとか思ってました……」

マミ「……」

さやか「……」



 “デラックス☆ジャンボパフェ 食べ切れたら5000円!(残したら1万円頂きます)”



デラックスパフェ「どーん」


さやか「はあ……」

マミ「はあ……」

304: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:34:30.36 ID:oZqEahlfo

さやか「全ッ然減らないですねこれ……」パク

マミ「さっきから食べ続けているはずなのに……表面がまだ盛り上がってるわ」

さやか「永遠に表層から抜け出せない気がする……」

マミ「縁起でもないわ……」パク


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか(最初の頃は良かった)

さやか(山盛りのクリームにテンション上がっちゃって、色とりどりの果物を楽しんで)

さやか(とりあえず写メ撮ってみたり)

さやか(あーんとかしあってみちゃったり)

さやか(ほっぺにクリーム付いてますよ、とか)

さやか(こっちのアイスも美味しいですよ、とか)

さやか(この乗ってるやつってどうみても市販のパイの実ですよね、とか)

さやか(すっごく楽しかったし……美味しかったよ)

さやか(なのに……なのにっ)


 ぱくっ


さやか「うぇぇ……もう生クリームは嫌だよぉ……ぐすん」

マミ「私、こんなにも生クリームを恨めしいと思ったのって生まれて初めて……」


305: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:35:06.05 ID:oZqEahlfo

さやか「空気を含んでる分、余計に……うぇっぷ」

マミ「これ絶対胃袋の中でクリームがぷかぷか浮かんでるわ」

さやか「やめて下さい想像したくありません……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「やっと表層が平らになってきた」

マミ「まだまだ一面生クリームだけどね……」

さやか「うぐぅ……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


マミ「だんだん味がわからなくなってきた……」

さやか「甘いってなんでしたっけ」

マミ「さあ……なんだったんでしょうね……」

さやか「油っぽいよぉ……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく

306: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:35:32.84 ID:oZqEahlfo

 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……あっ」

マミ「何、どうしたの?」


さやか「イチゴだ……」


マミ「イチゴ!?」


 ガタッ


さやか「……やっぱりイチゴだ!この辺り!ほらイチゴの泉ですよ!!」ザックサッ゙ク

マミ「赤い!赤いわ!」

さやか「赤いですねマミさん!久々の赤ですよ!!」

マミ「あぁぁぁ、爽やかな酸味が生き返るわ……」パクパク

さやか「生クリームと合わせて食べても美味しい!」

マミ「効率的な消費ができるわ!」

さやか「効率的とか消費とか言っちゃってる時点でかなりアレですよね!」

マミ「現実なんて見えないわ!」

さやか「あははは」

マミ「うふふふ」


307: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:35:58.62 ID:oZqEahlfo

さやか「……」

マミ「……」


さやか「イチゴ、無くなっちゃいましたね」

マミ「無くなっちゃったわね」

さやか「今度は目の前にはカスタードクリームの海ですね」

マミ「カスタードクリームと、ちょっとだけの生クリームしかないわね」

さやか「ところどころ赤いですね」

マミ「イチゴの遺した痕跡ね」

さやか「果汁ってすごいんですね」

マミ「そうね」


さやか「……」

マミ「……」


さやか「甘そうですね……」

マミ「本当に、甘そうね……」

さやか「……」

マミ「……」

308: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:36:25.29 ID:oZqEahlfo

さやか「やりますか……」

マミ「そうね……」


 ぱく ぱくっ 


さやか「甘い」

マミ「甘いわね」

さやか「イチゴで酸味に慣れていた分余計甘い」

マミ「甘い……甘いわ……うふふ」

さやか「……マミさん?」

マミ「うふふふふ、うふふ、うふふふ」


 ゆらゆら

309: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:36:51.29 ID:oZqEahlfo

さやか「マミさん!?マミさん!!」

マミ「うふっ、うふふふうふふ甘い甘い、うふふふ」ユラユラ

さやか「マミさん!マミさん帰ってきて!」


 ゆっさゆっさ


マミ「うふ、ふふ、うふふっ……ちょっ、やめ、あんまり揺すらないで!うおぇっぷ……はっ!?」


さやか「マミさん……」

マミ「ごめんなさい、ちょっとトリップしてたわ……」

さやか「……おかえりなさい」

マミ「ただいま……」

さやか「マミさん、もしいつかあたしも旅立ってしまったら……その時はよろしくお願いします」

マミ「ええ、任せてちょうだい……」


310: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:37:18.11 ID:oZqEahlfo

 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……」

マミ「……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……」


マミ「……あっ」


さやか「!?」ビクッ

さやか「な、なんですか!?」

311: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:37:46.04 ID:oZqEahlfo


マミ「生クリームだわ……」


さやか「……えっ?」

マミ「生クリーム……」

さやか「すいません、よく聞こえませんでした」

マミ「白いの……白いのよ……」

さやか「えっ……えっ!?まさか……」ソロリ


生クリーム「来ちゃった☆」


さやか「……」

マミ「……」


312: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:38:14.60 ID:oZqEahlfo

 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……」

マミ「……」


 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく


さやか「……」

マミ「……」

さやか「……?」

マミ「……」カチャカチャ


さやか(あ)

さやか(今さりげなくスカートの留め具を外した)

さやか(真似しよう)


さやか「……」カチャカチャ

マミ「……」

さやか「……」

313: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:38:42.58 ID:oZqEahlfo

 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ぱく ぱく

 ぱく ……カリッ


さやか「!?」

さやか(この音……食感……手触り……まさか!)バッ


マミ「美樹さん?」

さやか「あぁぁあぁぁぁ……」

マミ「美樹さん!美樹さんどうしたの!?」

さやか「ついに……」

さやか「ついに突破しましたよ……!この白い悪魔を!!」

マミ「えっ!」

さやか「見てくださいこれ!コーンフレークですよ!」

マミ「なんて事……!本当にやっつけたの……?」

さやか「もう一息!もう一息で生クリーム地獄も終わりです!」

マミ「ああぁぁぁぁぁ……」

さやか「あぁぁぁぁぁ……」

314: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:39:09.23 ID:oZqEahlfo

 カリカリ ザクザク

 カリカリ ザクザク


さやか「軽くておいしいですねぇ」

マミ「ちょっと顎が疲れるのが難点だけどね」

さやか「あははは」

マミ「うふふふ」


 カリカリ ザクザク

 カリカリ ザクザク

 カリカリ ……とろり


さやか「……とろり?」

マミ「何?どうしたの!?」

さやか「いえ、なんか感触に違和感が……なんだろう」ザクザク

315: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:39:36.40 ID:oZqEahlfo

さやか「あっ……ああぁぁぁぁぁっ……!?」ヘナヘナ

マミ「なに?一体今度は何が出たの!?」ガタッ


マミ「――えっ」

マミ「なによ、なんなのこれぇっ……!」


さやか「これって……なんで、あたし達が何をしたっていうのよ……!」

マミ「…………設計ミスでしょこれ……!」


マミ「溶けた3色アイスが融合して泉を創ってるだなんて……っ」


316: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:40:02.73 ID:oZqEahlfo

さやか「……」

マミ「……」

さやか「マミさん」

マミ「……?」

さやか「もし、あたしが倒れたら……搬送よろしくおねがいします」

マミ「――!?美樹さんあなたまさか……!」


さやか「へへっ……正直もう限界だけど……最後まで戦い抜いたって」

さやか「そう胸を張っていたいんです」

マミ「待って、美樹さん!それはだめ!あなた、一体自分が何をしようとしているのかわかっているの!?」

さやか「わかっています。それが、女としての矜持だとかそういった物を一切合財捨てることになるって事も」

マミ「なら……!」

さやか「でも!」

マミ「っ!」

さやか「やらなきゃ、いけない。そんな気がするんです。……うぇっぷ」

マミ「美樹さん……大声なんて出すから……」


317: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:40:39.93 ID:oZqEahlfo

さやか「……マミさん。サポートお願いします」

マミ「後悔は無いのね?」

さやか「無いって言ったら嘘になりますけど……でも、大丈夫です」ニコッ

マミ「美樹さん……」


さやか「器の下の部分持っててください」

マミ「こ、こう?」

さやか「そうそう。じゃあいきます……」

マミ「せーのっ」


 ぐいっ


さやか「ごくっ……ごくっ……」

さやか(一息で飲み干す……!)


 ごく ごく ごく

318: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:41:08.48 ID:oZqEahlfo

さやか「ごくっ……ごくっ……」

マミ「おーえす!おーえす!」

さやか「ごっ……!?げふぉ、がっ……ごくっ……!

マミ「美樹さん!?もう一息よ、がんばって!」グイグイ

さやか「んぐーっ!?ごふ、がふっ……ごくっ!」

マミ「もうちょっと!もうちょっとよ!」


さやか「むぐー!ごく、ずず、ずぞぞぞぞ、がはっ、ずぞぞっ」

マミ「すごい!すごいわあと一口よ!」


さやか「ずずっ……ぷはっ!」

マミ「飲みきった!飲みきったわ!ほら、もう器を放して大丈夫よ……」ゴトッ

さやか「はーっ、はーっ、はーっ……げほっ」


319: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:41:54.15 ID:oZqEahlfo

マミ「本当によくがんばったわ。お茶よ、ゆっくり飲んで」

さやか「あ、ありがとうござ……げほっ」

マミ「背中さするわね。ひっひっふー」サスサス

さやか「ひっひっふー……ひっひっふー……」

マミ「顔中アイスまみれね……すいませーん、お絞りください」

 <今お持ち致しますー


さやか「マミさん……あたし、輝いてましたか?」ハァハァ

マミ「とびっきりに輝いてたわ!まるで超新星みたいに!」

さやか「へへっ……ならよかっ……うぐっ」

マミ「美樹さん!?」

さやか「すいません、お水ください……」ハァハァ

マミ「お水、水でいいの!?あったかいお茶もあるわよ!?」

さやか「じゃあお茶で……大丈夫ですから焦らないで……ありがとうございます……」

マミ「どうどう……どうどうどう」サスサス

さやか「はぁ……はぁっ……ありがとうございます……だいぶ落ち着きました」

320: 「デラックス」 2013/02/26(火) 01:42:21.02 ID:oZqEahlfo

 カランコロン

 <ありがとうございましたー


さやか「……」

マミ「……」


さやか「二人で割ったら2500円ずつですね」

マミ「そうね……」

さやか「なんか、頑張った割りに……」

マミ「それ以上は言っちゃいけないわ。むなしくなるから……」

さやか「……はい」


マミ「……」

さやか「……」

マミ「……次からはもっと警戒しましょうね」

さやか「えっ、次あるんですか!?」

マミ「あっ!ないない、ないわ!もう二度と大食いチャレンジなんてやりたくないわ……」

さやか「同感です……おなかが苦しい……」



おしまい

326: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:21:55.04 ID:xJFyj7Y7o

 公園にて


さやか「ふー、お腹すいたなぁ……そろそろお家帰ろうかな」

さやか「……ん、あれ?あれってもしかして」


さやか「杏子ー!」

杏子「……ん?っと、さやかじゃねーか。何してんだこんな所で」

さやか「杏子!実はさ、昨日今日となんも食べてないからお腹がすいちゃって。なんか食べ物持ってない?」

杏子「はぁ!?いやマジで何してんだよ、極端なダイエットは体壊すだけだぜ?」

さやか「別にダイエットって訳じゃないんだけど。色々あってさ……」

杏子「ふーん……もしかしてなんか悩み事?話くらいなら聞けるよ」

さやか「んー、悩み事って訳でもないんだな」

杏子「……???ますますワケわかんねーなオイ」


さやか「それがさー、この間マミさんと喫茶店でデラックスパフェってのを食べたんだけど……」


 かくかくしかじか

327: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:22:21.25 ID:xJFyj7Y7o

さやか「――ってのが一昨日の話で」

杏子「くくっ……ひひひっ……」プルプル

さやか「……杏子?」

杏子「だ、だめだ……ひひっ……」


杏子「ぶわっはっはっは!ひーっ、ひっひひ……」

杏子「はははっ、くっくくくくっ……あはははははっ!」


さやか「ちょっと、そんなに笑うことないじゃん!」

杏子「これで笑うなとか無理言うなっつーの。くひっ、ひひひひ……」プルプル

さやか「マジで大変だったんだよ!?あれから絶食状態なんだからね!?」

杏子「自業自得だばーか」

さやか「ぐぬぬ……」


328: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:22:53.85 ID:xJFyj7Y7o

杏子「つーかさ、本当に食べ切れなかったらどうするつもりだったんだよ」

さやか「……あの量は予想外だったんだもん。もっと軽くいけると思ってたのに……」

杏子「はぁ……これだから甘ちゃんは」

さやか「なによそれ!?」

杏子「本当なら食い物で遊ぶんじゃねぇよ!って怒るところだけど?」

さやか「ぐっ……そ、それは……」


杏子「ま、アタシもたまにチャレンジしてる分強くは言えないな」

さやか「ふーん?あんたはジャンボなんちゃらってよく食べたりするの?」

杏子「本当にたまーにな。あんまり何度も挑戦できるようなもんじゃねーし」

さやか「そうなんだ」

杏子「あと言っとくけど、アタシは今まで食い残したことなんてねーからな?」

さやか「あはは、あんたが残してるとこなんて想像できないし」

杏子「ふふん」

329: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:23:31.75 ID:xJFyj7Y7o

さやか「ところで杏子は今何してたの?」

杏子「別に、やること無いから飯でも――」

杏子「…………」


杏子(――閃いた♪)


 にやり


さやか「杏子?どうしたの?」

杏子「わりぃ、ちょっと考え事してた」

さやか「考え事?」

杏子「ああ。これからちょっと一稼ぎしてこようかと思ってさ」

さやか「ふーん。バイトしてたっけ?」

杏子「いいや、ちょろーっと食べて遊ぶだけの簡単なお仕事」

さやか「……え?」

さやか(そ、それってもしかして……)

330: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:24:02.29 ID:xJFyj7Y7o

さやか「……ねぇ、そのお仕事ってどこらへんでやってるの?」

杏子「そうだなー……まぁ大体は繁華街が多いかな」

さやか(繁華街!やっぱり……)


さやか「時間はどれくらい?」

杏子「大抵30分~1時間くらい。たまに無制限とかもあるけど」

さやか(なんか話が生々しくなってきたぞ)


さやか「に、人数は?」

杏子「この辺だと一回につき一人ってのが多いな。時々三人までオッケーってのもあるけど」

さやか(うわぁぁ)

331: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:24:28.73 ID:xJFyj7Y7o

さやか「やってる人ってどういう人が多い?」

杏子「やっぱり男が多いかなぁ。たまに女もいたりするけどね」


さやか「あとさ、そういうのをやってるお店とかってどうやって探すの?」

杏子「最近はインターネットとかでも探せるみたいだけど、あたしはやっぱ自分の足で探すかな」

さやか「……!!」


さやか(こ……これってやっぱりアレだよね……)

さやか(食べて、遊んで、お金を貰えるって……どう考えたって……)


さやか(援助交際……!)


332: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:24:59.73 ID:xJFyj7Y7o

杏子「なんだ、もしかしてアンタも参加したいのか?」

さやか「!」


さやか(ど、どどどどうしよう)

さやか(やりたくはないけど……でも万が一杏子がそういう事をしてお金を稼いでるんだとしたら)

さやか(止めなくちゃ……!)


さやか「う、うん……その、やり方とかはよくわかんないんだけど……」

杏子「大丈夫大丈夫!アタシがやさしく手ほどきを教えてやるよ」

さやか「そ、そう?じゃあお願いしちゃおうかなーなんて……」

杏子「なんだよまさか緊張してんのか?」

さやか「えっ!?やっぱりそりゃあね。抵抗とか色々あるし……」

杏子「あぁ、確かにこういうの苦手っぽいもんなぁ」

さやか「うん……」

杏子「ま、大丈夫だって!店選びとかはアタシに任せときな」ポン

さやか(全然大丈夫じゃないよぉ!)

333: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:25:26.23 ID:xJFyj7Y7o

 繁華街


さやか(着いちゃったよ……どうしよう)


杏子「~♪」


さやか(……やっぱりなんか慣れてる様子だ)

さやか(……よし)

さやか(いざとなったら力ずくで……)


杏子「……チッ」

さやか(!?)


ホスト「モブ子ちゃん次どこいきたい~?」

モブ子「えっとねぇー、モブ子はホスト君のいるところならどこでもいいよぉ~」

ホスト「よっしゃ!じゃあ俺のとっておきに案内しちゃおっかな~」

モブ子「キャー楽しみぃ~!」


 いちゃいちゃ


杏子「おーおー見事に酔っ払っちまって。まだ空が明るいっつーの」

さやか「……」


334: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:25:52.63 ID:xJFyj7Y7o

杏子「どうした、こういうとこ来んのは初めてじゃねーだろ」

さやか「そりゃ魔女追いかけて来たことはあるけどさぁ」

杏子「ならさっきのみたいのだって見た事くらいあんだろ」

さやか「まあね……」

杏子「落ち込むなよ、世の中にゃあんなのばっかじゃねーんだからさ」

さやか「う、うん……」


さやか(でもこの緊張にアレはちょっとキツイよぉ……)

335: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:26:26.42 ID:xJFyj7Y7o

杏子「さてと、着いたぞ」

さやか「……ここ?なんか普通の定食屋っぽいけど」

杏子「意外とこういうとこでもやってるもんなんだって」ガラガラ

 <らっしゃい!


さやか(うわぁお客さんがおっさんだらけだ……もしかしてこの中から選んだりするのかな)


杏子「すいませーん、今って超特盛りデラックスカレーってできますかぁ?」


さやか「……えっ?」


店員「はい、大丈夫ですよ」

杏子「じゃあそれで。2名ね」

さやか「えっ?あの……」

店員「制限時間は30分となっております」

杏子「はいはーい」

さやか「えっ……えっ……?」


336: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:26:53.66 ID:xJFyj7Y7o

杏子「さーて、それじゃあ――」

さやか「杏子!聞いてないよこんなの!!」

杏子「えぇー、アタシはちゃんと言ったはずだけどなぁ」

さやか「言ってない!」

杏子「言ったよ、”食べて遊ぶだけの簡単なお仕事”だって」

さやか「そもそも仕事じゃないじゃん!」

杏子「ジョークだよジョーク」

杏子「ってかさ、質問にもちゃんと答えたはずなんだけどなぁ」

さやか「ぐっ」

337: 「デラックス2」 2013/02/28(木) 03:27:49.38 ID:xJFyj7Y7o

杏子「っつーかアンタは一体何を想像してたのさ?」ニヤニヤ

さやか「……ううぅぅ」

杏子「まさかいかがわしい事とか考えてたワケないよな?」

さやか「そ、そんなワケないじゃん!」

杏子「ふーん。じゃあデラックスカレーだってわかってたんだ」

さやか「も……もちろんに決まってんじゃん!」

杏子「ならいいじゃん。今更文句いうとかナシだからな」

さやか「わかってるよ!!」

杏子「一昨日からなんも食ってないんだろ?じゃあいっぱい食べられるよな?」

さやか「あーあーそうですね、カレーが来るのが楽しみだなぁー!うぅぅ……」

杏子(ひひひひ)



おしまい

344: 「ブラックで」 2013/03/03(日) 00:37:04.96 ID:CG/wtUIPo

さやか「……」ドキドキ


 ずずっ


さやか「うぇぇ……」


ほむら「あらいい香り」

さやか「あぁほむらか。今ちょうどコーヒー淹れたんだけど飲む?」

ほむら「そうね、ありがたくいただこうかしら」

さやか「ほいほーい」カチャカチャ


さやか「砂糖とかはナシでいいんだよね?」

ほむら「ええ。ありがとう」

さやか「どういたしましてー」

ほむら「いただきます」ゴクッ

ほむら「……ん、良い味ね」

さやか「…………」ドキドキ


 ずずっ


さやか「ぶぇぇ」


345: 「ブラックで」 2013/03/03(日) 00:37:31.61 ID:CG/wtUIPo

さやか(やっぱどう考えても苦いだけだわ)


ほむら「あら、あなたコーヒーはブラック派だったの?」

さやか「ううん。やっぱり砂糖とミルクをたくさん入れたほうが好きかも」

ほむら「……?お砂糖ならまだあったと思うけど……」

さやか「あぁ、そうじゃなくって」

ほむら「なら何故?ブラックは苦手なのでしょう」


さやか「えっと……実はね、このあいだインターネットで遊んでたらさ」

さやか「"中学生の頃にやって後悔した事"っていう記事にね、"コーヒーをブラックで飲む"ってのがあったの」

ほむら「……ふむ」


346: 「ブラックで」 2013/03/03(日) 00:37:58.36 ID:CG/wtUIPo

さやか「でさ、いっくら考えても後悔の理由がわかんなくってさ」

さやか「だったらいっその事実践してみよう!と思い立ったわけ」

ほむら「なるほどね」


さやか「んで、せっかくならとこうしてコーヒーを淹れてみたんだけど……」


 ずずっ


さやか「いっくら飲んでみても理由はわからず仕舞い。うぇぇ、苦い……」

ほむら「ふむ」


さやか「このやたら苦いってのが後悔した理由なんかな?」

ほむら「……どう説明したらいいのかわからないけれど、違うと思う」

さやか「あんたは理由わかるの?」

ほむら「一応ね。なんだかんだ言って私は年長者のようなものだから」

さやか「年をとるとわかるの?」

ほむら「人にもよるけどね」

さやか「ふーん……?」


347: 「ブラックで」 2013/03/03(日) 00:38:28.38 ID:CG/wtUIPo

さやか「……ううぅ、苦い……ちょっと砂糖取ってくるわ」

ほむら「はいはい」



さやか「はぁー……やっぱり甘くてまろやかなのが落ち着くや……」

ほむら「そうね。無理してまで飲むものじゃないと思うわよ」

さやか「だよねぇ」


さやか「……あっ!?」

ほむら「どうしたの?」

さやか「もっ、もしかしてあたし将来後悔することになんのかな!?」

ほむら「え?」

さやか「だってほら、ちょっとだけだけどブラックで飲んじゃったし!やだなぁ……」

ほむら「……今回のあなたのような場合なら、別に後悔したりするパターンじゃないと思うから大丈夫よ」

さやか「ほんと?」

ほむら「ええ」

さやか「統計的に?」

ほむら「……統計的に」

さやか「ふーん……ならよかった」

ほむら「…………」



おしまい