続きまして、「バス」
349: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 00:39:22.35 ID:CG/wtUIPo
さやか「でさー、そん時マユミがさー」
まどか「あはは」
ぺちゃくちゃ
運転手『発車しまーす』
プシュー……
ブロロロロ
さやか「ほんとさ、もう何回目だってくらいだよねぇー」
まどか「うんうん――ひゃっ!?」フラッ
さやか「まどか!」
ガシッ
さやか「っと。大丈夫?」
まどか「あっ、ごめんねさやかちゃん」
さやか「人も増えてきたしもう少しだけ奥に詰めよっか」
まどか「うん、そうだね」
350: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 00:39:58.78 ID:CG/wtUIPo
さやか「……、……」
まどか「……~~!」
わいわい
ぺちゃくちゃ
さやか「はー……やっぱりあいつはすごいんだなぁー……」
まどか「もうほとんど尊敬だよねぇ」
さやか「あたしもあれぐらいできたらなーっていつも思うよ」
まどか「今日の体育の時も、シュってやってスパーンって!」
さやか「あー!あれはかっこよかった!」
まどか「憧れちゃうなぁ……」
さやか「あれで元は病弱だったんでしょ?考えられないわぁ」
まどか「ねー」
351: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 00:40:28.82 ID:CG/wtUIPo
まどか「私もかっこよくなれたらいいのになぁ……」
さやか「んー、まどかの場合はかっこいいってよりも可愛いのが似合うと思うけどな」
まどか「そうかなー……」
さやか「ま、まさかこれ以上可愛くなってあたし以外の伴侶を探そうってか!?まさかのイケメン狙いかー!?」
まどか「ふぇっ!?」
さやか「そんなのこのさやかちゃんが許さないぞー!うりゃりゃりゃ」
まどか「きゃぁー!あははは」
さやか「へへへへー」
モブ「……チッ」
さやか「へあっ!?」ビクッ
まどか「ご、ごめんなさい!」
モブ「……」
まどか「……うぅ……怒られちゃった」ヒソヒソ
さやか「ごめん、バスの中って事すっかり忘れてたよ……」ヒソヒソ
352: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 00:40:55.11 ID:CG/wtUIPo
ブロロロロロ
さやか「……」
まどか「……」
さやか(暇だ……)
ブロロロ……
さやか「……」
まどか「……」
さやか「……」
まどか「……」
さやか「……あっ」
さやか(今、かすかにソウルジェムに反応が……?)
ブロロロロロ
さやか「……」
<曲がりまーす
さやか「っ!」
さやか(また反応!)
353: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 00:41:22.05 ID:CG/wtUIPo
さやか(つまり今この辺りに魔女が……?)
さやか「……」ソワソワ
まどか「……」
まどか「さやかちゃんさやかちゃん」ヒソヒソ
さやか「んっ?ど、どうしたのまどか?」
まどか「バス、降りる?」
さやか「え?」
まどか「なんとなく、だけど。なにかあったんでしょ?」
354: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 00:41:51.62 ID:CG/wtUIPo
さやか「……でも、そしたらまどかが約束に間に合わなくなっちゃう……」
まどか「そこはほら、後でさやかちゃんが私を抱えて走ってくれればいいからさ」
さやか「むむむ……」
まどか「ほらもうすぐ次のバス停だから、ね?」
さやか「……うん。ありがとう」
さやか「ってゆーかまどかを抱えて走るの?あたしが?」
まどか「うん!一度はお姫様抱っこされてみたいって思わない?」
さやか「思うけど!思うけどさぁ!相当揺れると思うよ?」
まどか「だいじょーぶだいじょーぶ」
さやか「うーん……ま、とりあえずこの魔女をのしてから考えよっかな!」
まどか「えへへ、がんばって!」
さやか「おう!」
おしまい
361: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:00:35.02 ID:6sX8DhxXo
鹿目家、まどかの部屋
まどか「はーい焙じ茶お待たせー」コトッ
さやか「サンキュ!ずずっ……あぁー、あったかいわぁ……」
まどか「急に冷え込んで来たねぇ」
さやか「ねー。これで明後日辺りからまた暖かくなるらしいよ、最高気温20度越えだって」
まどか「うわぁ……」
さやか「マジ意味わかんないよね」
まどか「はー。今夜辺り油断して風邪ひく人多そうだねぇ」
さやか「寒暖の差がヤバいもんね……」
まどか「ね」
362: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:01:09.99 ID:6sX8DhxXo
まどか「さやかちゃんお茶のおかわりいる?」
さやか「まだあるから大丈夫ー」
まどか「はーい」
さやか「……あれっ?」
まどか「どうしたの?」
さやか「ちょっと、外雪降ってない!?」
まどか「えぇっ!?」
さやか「ほら、なんか白っぽいのがチラチラしてる!」
まどか「んー……よく見えない……」
さやか「ちょっとだけ窓開けてみよっか」
まどか「う、うん」
ガラガラッ
まどか「……わぁ」
ちらちら ひらひら
ひらひら ふわふわ
363: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:01:36.23 ID:6sX8DhxXo
まどか「ほんとに降ってる……」
さやか「ふえっくしっ」
まどか「だ、だいじょうぶ?」
さやか「うん……ふぇ、へっくしっ」
まどか「あわわ、早く窓閉めよう?」
さやか「ちょっと待って!せっかく雪降ってるんだし……」
まどか「……?」
さやか「みててね……」
すっ
さやか「……よっしゃ!ほら雪の結晶!」
まどか「えっ?つ、捕まえたの?」
さやか「へへへ。久しぶりの雪なんだからまずは捕獲しなくっちゃ」
364: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:02:06.89 ID:6sX8DhxXo
キラキラ
さやか「えへへ」
まどか「…………」ジーッ
まどか「すぅー……ふはぁ~」フワッ
さやか「まどか?息なんて吹きかけて……ってあぁっ!?ちょっと、結晶溶けちゃったじゃん!」
まどか「ご、ごめんつい反射的に……」
さやか「もー、せっかく捕まえたのに……」
まどか(むくれるさやかちゃんもかわいいなぁ)
さやか「……まどか?どしたの?」
まどか「えっ!?あ、あのね、雪の結晶溶かしちゃってごめんね……」
さやか「いや別に謝らなくてもいいんだけどさ……まだいっぱい降りそうだし」
365: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:02:33.52 ID:6sX8DhxXo
まどか「えいっ!えいっ!」
ひらっ ふわっ
さやか「なにしてんの?」
まどか「雪捕まえてるの。さやかちゃんの雪溶かしちゃったから……」
さやか「……捕まる?」
まどか「なかなか捕まらない……」グスン
さやか「そうだなぁ……雪を捕まえる時はね、自分から動いちゃだめなんだよ」
まどか「どうやるの?」
さやか「こうやるの。見てて」
さやか「まずは洋服の袖を手の辺りまでぐいっと伸ばして……そのまま腕を突き出す」
すっ
さやか「んで、雪が降りてくるのをじっと待つ」
まどか「ほえー……」
さやか「……ほいキャッチ」
まどか「おぉー。なるほど」
さやか「ね、簡単でしょ?」
まどか「うん、やってみるね!」
366: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:03:18.40 ID:6sX8DhxXo
まどか「……」
さやか「……」
ひらひら ふわふわ
ふわふわ ふわっ
まどか「……!捕まえた、捕まえたよさやかちゃん!」
さやか「ナーイスまどか!」パチン
まどか「いえーい」ペチン
さやか「なかなか上手じゃん!」
まどか「えへへ、さやかちゃんが教えてくれたからだよ」
さやか「結構おもしろいでしょ?」
まどか「うん!」
――――ガサッ
さやか「……!?」
まどか「ね、ねぇ……今何か音がしなかった……?」
さやか「うん……なんかガサっていった。野良猫ってサイズの音じゃないよね」
まどか「あの茂みの辺りから聞こえたような……」
さやか「雪は降ってるけど風は無いし……まさか不審者!?」
まどか「えぇっ!?や、やだぁ!」
367: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:03:44.36 ID:6sX8DhxXo
まどか「……」
さやか「……」
まどか「音、しないね」
さやか「息を潜めてるのかも……ちょっとあたし見てくる」
まどか「さ、さやかちゃん!?危ないよ、パパ呼んでくるから待ってて!」
さやか「大丈夫。いざとなったら叩き斬ってやるんだから!」
まどか「そ、それもだめぇっ!とにかくここで待ってて、すぐに呼んで――」
<へっくちっ
まどか「!?」
さやか「!?」
<……
まどか「さやかちゃん、今のって……」
さやか「うん、女の子のくしゃみだよね……」
まどか「……」
さやか「……」
368: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:04:11.17 ID:6sX8DhxXo
さやか「やっぱあたしみてくるわ」グイッ
まどか「う、うん……無理しないでね」
さやか「そこにいるのは――」
ずかずかずか
さやか「誰だッ!!」
がさっ ずぼっ
ほむら「きゃあっ」ズルリン
さやか「……」
まどか「……」
ほむら「……」
369: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:04:37.78 ID:6sX8DhxXo
ほむら「違う、これは違うの……」
ふるふる
さやか「ほむら、あんたまさか……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「違うの、本当に誤解なの……」
さやか「誤解ってあんた……」
ほむら「ただ通りかかっただけなの……魔女を探していて、その……偶然……」
さやか「……」
まどか「……」
ほむら「本当に本当なの……誤解なのよ……お願い、信じて……」
まどか「……なんで茂みの中にいたの?」
ほむら「その……パトロールしてたら急に雪が降ってきて……偶然この家の前を通りかかったら話し声が聞こえて……それで……」
さやか「……」
ほむら「あんまり寒かったものだから、なんとなく賑やかな声につられて、ふらふらと……」
ほむら「しばらくじっとしてたんだけど、くしゃみが出そうになっちゃったから慌てて手で押さえたらバランスが崩れちゃって」
ほむら「それで転んじゃって、思いきり生垣に突っ込んでしまって……」
ほむら「そうしたら、不審者って言われちゃって……怖くなってじっとしてたらまたくしゃみが……」
ほむら「だから、だから違うの……お願い……不審者じゃないの……」
さやか「あんた……なにしてんのよ本当に……」
まどか「ほむらちゃん……」
370: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:05:10.48 ID:6sX8DhxXo
ほむら「ふぇ……ふぇっくちっ!ふぇぇ……くしっ!うぅぅ……」ブルブル
まどか「えっと、とりあえず部屋に上がる?寒いでしょ」
ほむら「いいの……?」
まどか「うん。あ、靴はどうしようかな」
ほむら「窓の外に置いておくわ……っくしゅん!」
まどか「だめだよ、雪が中にはいっちゃうよ!えーと……そうだ!このコンビニ袋の上に置いておこっか」
ほむら「本当にごめんなさい……」
まどか「いいからいいから。さ、入って」
ほむら「ええと……お、お邪魔します……」
さやか「はい焙じ茶。熱いからゆっくり飲むんだよ」
ほむら「ありがとう……」
ずずっ
まどか「そういえばほむらちゃん、夕飯は?」
ほむら「……カロリーメイト、チョコレート味……」
まどか「……」
さやか「……」
ほむら「……そんな哀れんだ目で見ないで」
371: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:05:48.94 ID:6sX8DhxXo
まどか「ちょっと待ってて。確か冷蔵庫にビーフシチューがあったはずだから」ガタッ
ほむら「そ、そんな迷惑はかけられないわ!これを頂いたらすぐに帰るからっ」
さやか「そんな状態で帰せるかっての。大体あんた風邪引きかけてるじゃん」
ほむら「うぅ……」
さやか「はぁ……とりあえず暖まってから考えようか」
ほむら「ごめんなさい……」
さやか「謝られても困るんだけど。ってかあんた手冷たすぎ!」
ほむら「……ずっと外にいたから……」
さやか「何やってんのよホントに……今度から夜に見回りする時は連絡してよ、一緒に行くからさ」
ほむら「で、でも!」
さやか「まどかの事が心配で?」
ほむら「……そうよ。悪い?」
さやか「悪かぁないけどさ……ま、とにかく。今度からは連絡ちょうだいね?あたしがしたくて言ってるんだからさ」
ほむら「だけど……あなただって時々一人でパトロールしてるじゃない」
さやか「流石にこんな遅くまで見回ってはいないわ」
ほむら「うっ」
372: 「冷え込み」 2013/03/06(水) 01:06:14.70 ID:6sX8DhxXo
さやか「大体さ、あたしに独断先行はするなって言ったのはどこのだれなんだか?」
ほむら「うぅ……」
さやか「それに」
ほむら「……?」
さやか「まーた深夜に不審者じみた行動とられても困るしー?」
ほむら「だっ、だからそれは違うと言っているでしょう!」カァッ
さやか「ひひっ、どうだかなー?あんたのまどかへの執着心はすごいからなぁ」ケラケラ
ほむら「ほんとに違うのに……」
さやか「ほんとかー?顔が赤いぞー?うりうりっ」
ほむら「そ、それはあなたが煽るからっ!」
まどか「お待たせー!ってどうしたのほむらちゃん。顔赤いよ?」
ほむら「ふぇっ」
さやか「実はね――」
ほむら「やめなさい、嘘を吹き込まないで!」
まどか「どうしたの?」
ほむら「な、なんでもないわ!」
まどか「……?」
おしまい
378: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:34:38.11 ID:HBVyLoBko
朝、美樹家
さやか「ふぁぁぁ……朝か、んむ……」
さやか「……ぐぅ」
さやか「はっ!危ない危ない、今完全に寝てたわ……ふわぁ」ゴシゴシ
さやか「起きなきゃ……今何時……」
さやか「…………」
さやか「……えっ?」
時計「10時です」
さやか「寝過ごしたぁあああああああッ!?」ガバッ
379: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:35:13.95 ID:HBVyLoBko
さやか「っつーかマジ何!?目覚まし鳴ってないしマジで!」
さやか「おかーさーん!何で起こしてくれなかったのー!?」
さやか「ってもう仕事行っちゃってていないし!うっひゃあああ」バタバタ
さやか「あぁぁ着替え着替え……って引き出しに靴下無い!こっちにも無い!」バタンバタン
さやか「どうしよう物干しにぶら下がってるかな……」
さやか「っしゃ!あった靴下!若干生乾きだけどこの際仕方ないわ」ゴソゴソ
さやか「カバンに教科書詰めて、ノート、ノート……えーと金曜日だから数学と――」
さやか「――あれ?金曜日?」
さやか「今週の金曜日ってなんかあったような……」
さやか「…………」
さやか「……あぁぁぁぁっ!!」
さやか「今日休みだったんだ!」
380: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:35:32.96 ID:HBVyLoBko
さやか「……拍子抜けしちゃった」
さやか「とりあえず顔でも洗おう……」
ザー……ザバー
ジャバジャバ キュッ
さやか「ふぅ……」フキフキ
さやか「……ってゆーか。改めて鏡でよく見てみると」
さやか(寝癖だらけの頭、よれたシャツに生乾きの靴下……)
さやか(おまけにリボンは曲がってるし、ヘアピンがすごいところに付いてる)
さやか「酷いありさまだなぁ、あたし……」ボロッ
さやか「…………」
さやか「あはは……はは……」
さやか「…………はぁ」
さやか「……なんかすっごい疲れた……」
さやか「朝ごはん何かないかな……」
381: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:35:59.68 ID:HBVyLoBko
ごそごそ
さやか「冷蔵庫、なんも無いなぁ……」ゴソゴソ
さやか「もうトーストだけでいっか」バタン
さやか「あとはお湯を沸かしてインスタントスープでも食べようかな」
さやか「……はぁ」
さやか「なんかすっごく侘しい……」
さやか「あったかいスープが侘しさを倍増させてる気がする。やたらインスタントな味するもんこれ」ズズッ
さやか「…………」モグモグ
さやか「一人暮らしっていつもこんな気分なのかな……」
さやか「あたしにはとてもできる気がしないや」
<ピンポーン
さやか「……ん?」
さやか「こんな時間に誰だろう」
とことこ
382: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:36:29.75 ID:HBVyLoBko
ガチャッ
まどか「やっほーさやかちゃん!」
仁美「おはようございます。突然おじゃましてしまって申し訳ありません」
さやか「あれ!?二人ともこんな時間にどうしたの?ってゆーかその大荷物は一体」
仁美「うふふ、それはまだ秘密ですわ」
さやか「んー……?まぁいいや、上がってよ!」
まどか「おじゃましまーす」
まどか「あれっ、さやかちゃんご飯食べてたの?」
さやか「あぁ……実はさっき起きたばっかなんだ」
仁美「うふふ。せっかくのお休みですものね」
さやか「あは、あははは……それが実はね……」
かくかくしかじか
383: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:36:56.30 ID:HBVyLoBko
まどか「なるほど、それで制服着てるんだね」
さやか「もうすっごい慌てちゃってさぁ!みてよこの靴下、生乾き!超湿っぽいの!」
仁美「それは大変でしたわね」
さやか「ほんっとーに!あんなに焦ったの久しぶりだわ」
さやか「そんなわけで悪いんだけどさ、これ食べ終わるまでちょっと待っててくんない?」
まどか(……!)
まどか「その必要は無いわ」
ふぁさっ
さやか「ごふっ!?」ブフォッ
さやか「げほっ!げほごほっ」
仁美「さやかさん!?せ、背中さすりますわね」
まどか「ごめんねさやかちゃん!大丈夫!?」
さやか「気管支に入っちゃった……ゲホッ、ゲホッ。ありがと仁美、もう大丈夫……げほっ」
さやか「あー……落ち着いてきた。まどか、それってもしかしてほむらの真似?」
まどか「うん!」
さやか「すっげー似てた!やばい!本人に見せるべき!」
まどか「そ、そうかな?えへへ」
384: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:37:30.69 ID:HBVyLoBko
まどか「でね!ご飯なんだけど」
さやか「うん?もうちょっと待ってね」
まどか「じゃなくって……ちょうどいいかなって」
さやか「……?」
仁美「じゃじゃーん!」
ドン!
さやか「……うん?サンドイッチ?」
まどか「これだけじゃないよ!ほら、からあげ!サラダ!あとねー、春巻きと野菜炒め!」
ドン!ドン! ドンドンッ!
まどか「あとねあとね」
仁美「シフォンケーキですわ!」
どーんっ
さやか「うおお、何!?一体どうしたのこのご馳走!?ってゆーかもしかして全部手作り!?」
仁美「うふふ、今朝早起きしてまどかさんと一生懸命作ってきたのですわ」
さやか「えっ!?な、何故に?」
まどか「さやかちゃん。今日って何月何日だ?」
さやか「今日……?えーと、3月の……8日だけど。なんかあったっけ?」
まどか「なんかあるんだよぉ」
さやか「ええぇぇ?カレンダーには特に何も無いし……強いて言えば学校がお休みってくらい?」
仁美「甘い……甘いですわさやかさん」
385: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:37:57.08 ID:HBVyLoBko
さやか「えぇー?全然わかんない……3月8日でしょ?金曜日……は、関係ないか」
まどか「えへへ」
さやか「ちょっと、本気でわからないんだけど」
仁美「いつも自信たっぷりなさやかさんらしくないですわ!」
さやか「え、あたしってそんなキャラだっけ?」
仁美「ですわ」
さやか「うーん?それっていいのか悪いのか……」
まどか「で、どう?わかった?」
さやか「全くわかんない!降参!」
まどか「仕方ないなぁ」
386: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:38:23.68 ID:HBVyLoBko
仁美「さやかさん、3と8を別の読み方にするとどうなります?」
さやか「3と8?さんぱち?みやっつ?さんやっつ……?」
まどか「そう!さん、やっつ……さん、や……さや……そう、さやの日!」
仁美「つまり、さやかさんの日ですわ!」
さやか「えっ」
まどか「えっ?」
仁美「えっ?」
さやか「……えっ?」
まどか「……」
仁美「……」
さやか「……」
387: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:38:52.33 ID:HBVyLoBko
まどか「ど、どうしよう仁美ちゃん……やっぱり無理やり感があったかなぁ……」オロオロ
仁美「わかりませんわ……いいアイデアだと思ったのですが……」オロオロ
さやか「えっと、その……えーと……」オロオロ
まどか「ふぇぇ……どうしよう、企画倒れなのかなぁ……さやかちゃんに迷惑かけちゃったかも……」
さやか(!?)
さやか(ええい、ままよ!)
さやか「わ、わーい!そっかぁ、さやかちゃんの日か!全然気がつかなかったけどそりゃめでたいわ、一本とられたなー!あははは!」
まどか「!」
仁美「さやかさん……」ホロリ
さやか「ってゆーか気持ちだけでも嬉しかったのに、こんなご馳走まで作ってもらっちゃって」
まどか「あのね、パパに教えてもらいながら作ったから味は保障するよ!」
仁美「お口に合えばよろしいのですが……」
さやか「そっか、二人とも頑張ってくれたんだね」
さやか「ありがと。本気で嬉しいかも」
まどか「……えへへ」
388: 「3月8日」 2013/03/09(土) 02:39:18.60 ID:HBVyLoBko
ぱくぱく もぐもぐ
さやか「んー!この春巻き美味しい!」
まどか「ほんと?よかったぁ」
仁美「その春巻きは特に苦労したんですのよ」
まどか「そうそう。なかなか綺麗に巻けなくって、失敗して中身が出てきちゃったりして」
仁美「長時間揚げすぎてしまったりして大変でしたのよねー」
まどか「ねー」
さやか「ふふっ、そんなに一生懸命作ってくれたと思うと尚更美味しく感じるねぇ」
まどか「いっぱいたべてね!」
さやか「んー。言われなくとも勝手に箸が進んじゃうわ。さやの日最高!」
仁美「うふふ」
おしまい
394: 「ねこ」 2013/03/14(木) 01:04:28.14 ID:cMc1eEAro
夕方、見滝原工業地帯
さやか「夢中で使い魔を追いかけてたら、いつの間にかこんな所まで来ちゃった」
さやか「ずっと結界の中にいたから気がつかなかったけど、日も沈みかけてるし」
てくてく
さやか「あーあ、なーんか結構遠くまで来ちゃったっぽいなぁ」
さやか「この辺りは道もわかんないし……」
さやか「お財布も心許ないからタクシーってわけにもいかないし……」
さやか「どうやって帰ろっかな……」
さやか「はぁ……」
てくてく
395: 「ねこ」 2013/03/14(木) 01:04:59.55 ID:cMc1eEAro
にゃあ!
さやか「……お?猫?野良かな」
子猫「にゃあ!」
さやか「あはは、人懐っこい子だなぁ!よーしよしよし」ナデナデ
子猫「ゴロゴロゴロ……」
さやか「可愛いなぁ……荒んだ心が癒されていくよ」
子猫「にゃん!みゃーう、ゴロゴロ」
さやか「なぁに、あたしとおしゃべりしたいの?でもごめんね、流石に猫語はわかんないや」ナデナデ
子猫「にゃーお!」
子猫「にゃん!みゃあ、にゃあ!」
子猫「みゃうにゃん、にゃーう」
さやか「ぐいぐい来るね君」
子猫「みゃお」
さやか「う、うーん。そうかそうかー、にゃーん!で、みゃーお!なのかー」ナデナデ
子猫「みゃう、にゃーお」
396: 「ねこ」 2013/03/14(木) 01:05:27.63 ID:cMc1eEAro
さやか「ふんふん、それでー?」ナデナデ
子猫「みゃあ、なーうにゃーう」
さやか「ほほう。それは大変だったねぇ」
子猫「にゃんにゃあ、みゃーう、ゴロゴロ」
さやか「そうかー。うんうん、その子の言う事にも一理あるよね」
子猫「にゃーうみゃん、みゃあ」
さやか「ふむふむ」
子猫「にゃあみゃーお」
さやか「なるほどねー……そりゃあ世知辛いわ」
子猫「にゃーう」
さやか「でもさー、それってアレでコレがソレじゃん?」
子猫「にゃう」
さやか「でしょ?だからさ、どっかで折り合いつけなきゃだめなんだって」
子猫「なーう……」
397: 「ねこ」 2013/03/14(木) 01:05:58.41 ID:cMc1eEAro
さやか「だけどあんたはそれを見逃せなかったわけね。あはは、あたしと同じだ」ナデナデ
子猫「にゃん?」
さやか「んー?なんでもないって」ナデナデ
子猫「にゃーう、にゃあ」
さやか「ふぅん、にゃーおでにゃーうなのね」
子猫「みゃあ!みゃーう」
さやか「みゃーう?」
子猫「にゃーう!にゃーご!」
さやか「みゃうにゃーご?」
子猫「なーお!にゃあにゃう!」
さやか「あはは、ゴロゴロゴロー!」ナデナデナデナデ
子猫「ゴロゴロゴロ……」
杏子「にゃう、にゃーご?」ボソッ
さやか「にゃ……なう゛っ!?」ガタッ
398: 「ねこ」 2013/03/14(木) 01:06:25.79 ID:cMc1eEAro
さやか「えっ!?あっ、きょ、きょーこ!?」
かぁぁっ
杏子「よう。まっさかアンタが猫と話せるとはなー」ケラケラ
さやか「ど、どこから見てたの!」
杏子「ぐいぐい来るね君、の辺りからかな」
さやか「それってほとんど全部じゃんかぁぁぁああ!」
杏子「くっくっくっ。にゃお、にゃーん?」
さやか「やめてぇっ!ぐああ、まさか見られてたとは……しかもよりによってあんたとか!」
杏子「みゃーうでにゃーうがにゃーんなんだよなぁ、さやか?」
さやか「ちょっと、恥ずかしいからやめてよ!」
杏子「わっかんないなー。そんな恥ずかしくないよなぁ、猫ちゃんよぉ?」
子猫「にゃーう!みゃう、みゃあ!」
杏子「お、子猫の割にはアンタも言うじゃん。ほらもっと言ってやれよ!みゃーう」
子猫「にゃあにゃん!にゃーお!」
さやか「ぎゃああああぁぁぁぁっ」ゴロゴロ
おしまい
400: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:07:21.02 ID:cMc1eEAro
さやか「この間は酷い目に遭った……」
さやか「杏子ったらみんなに言いふらしちゃうんだもんなぁ」
さやか「目が合えば"にゃん"とか"みゃーお"とか言ってくるし」
さやか「ジェムが無駄に濁るっつーの」
てくてく
さやか「そして今日も魔女の反応は無し、と……」
さやか「うーん平和だ」
てくてく
さやか「ふー……」
さやか「そろそろ歩くのも疲れたし、そこの公園でちょっと休憩しようかな」
さやか「おっ」
さやか「自販機あるじゃん!あったかいミルクティー飲もっと」
ピッ ガコン
401: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:07:47.92 ID:cMc1eEAro
さやか「あちちちっ」
さやか「よっ、ほっ」プシッ
さやか「…………」ゴクゴク
さやか「……ふー……」
さやか「……」
さやか「……お、ベンチ発見」
さやか「よっこらせっと」
さやか「ふいー……」ノビー
わいわい きゃっきゃっ
きゃ~!きゃはははっ
さやか「……」ボーッ
さやか(子供達は無邪気でいいなぁ……)
さやか(あたしにも、あんな時代があったんだよな……)
さやか「……」
さやか「……」
さやか「……ん?」
402: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:08:15.69 ID:cMc1eEAro
犬「わんっ」
さやか「びっくりしたぁ、でっかい犬だな!あんたご主人は?」
犬「くぅ~ん」
さやか「ちゃんと首輪ついてるから飼い犬だよね」
犬「わん!」
さやか「お、名札も付いてる……ふーん、あんたポチっていうんだ」
犬「わふん」
さやか「いまどき古風な名前だねぇ」
犬「ばうっ!!」
さやか「な、なんだよぉっ!ポチって名前、そんなに気に入ってるの?」
犬「わうん」
さやか「ふーん。そっか」ナデナデ
犬「わんっ!はっはっはっ」フリフリ
403: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:08:42.07 ID:cMc1eEAro
さやか「あんた犬種は?」
犬「わおん」
さやか「わかんないか」
犬「くぅーん」
さやか「ってゆーか本当に飼い主の人はどこ行っちゃったの?」
犬「わんっ!」
さやか「だから犬語はわかんないんだって」
犬「きゅーん……」
さやか「そんな落ち込まないでよ……なんか悪いことしたみたいじゃん」
犬「わうん」
さやか「……」ナデナデ
犬「!」クンクン
さやか「ん?ミルクティー?」
犬「わんっ」
さやか「これはダメだよ、甘いもん」
犬「くぅん……」
さやか「だから、あからさまに落ち込まないでよもー!」
404: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:09:09.38 ID:cMc1eEAro
犬「わんわんっ」
さやか「あのね、これをあんたが飲むと体に毒なの。だからダメ」
犬「わおん?」
さやか「うーん……ポチ、これ、飲む。お腹痛くなる。わかった?」
犬「わんっ!」
さやか「よーしいい子だ」ナデナデ
犬「わふん」ペロペロ
さやか「あはは、くすぐったい!」
犬「くうーん!わんわんっ」ペロペロペロペロ
さやか「くはっ、あははははっ!だ、だめだって!あははは」
ぺろぺろ ぺろぺろ
ぺろぺろ ぺろぺろ
さやか「あはは、あは、耳はだめっ、ひゃはははっ」
犬「ハッハッハッ」ペロペロ
ぺろぺろ ぺろぺろ
ぺろぺろ ぺろぺろ
さやか「くはっ!ひゃはははは!ポチ、やめっ、あはははっ」
犬「ハッハッハッ」ペロペロ
ぺろぺろ ぺろぺろ
ぺろぺろ ぺろぺろ
405: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:09:35.67 ID:cMc1eEAro
ぺろぺろ ぺろぺろ
ぺろぺろ ぺろぺろ
さやか「ふひっ、も、もうやめて、くすぐったっ……ひゃっ……」
犬「ハッハッハッ」ペロペロ
ぺろぺろ ぺろぺろ
ぺろぺろ ぺろぺろ
さやか「くぁっ……~~っ!……ポ、ポチやめっ……!」
犬「わふん」ペロペロペロペロ
さやか「うぁ……~~っ!」ビクンッ
犬「ハッハッハッ」ペロペロ
さやか「はぁっ、はぁっ……も、もうやめっ……!」
「こら、ワンちゃん!めっ」ペチッ
犬「きゅうん!」
さやか「はあ、はあ……」グッタリ
406: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:11:09.40 ID:cMc1eEAro
「大丈夫ですか?」
さやか「ん、誰……?ありがとうございます、たすかりました……」
仁美「わたくしですわ、さやかさん――本当に大丈夫ですか?」
さやか「仁美か!ありがとう……酷い目に遭ったよ」
仁美「ずいぶんとペロペロされてましたわね」
さやか「うん……なんかやたら懐かれちゃって」
犬「わんっ!」
さやか「うわっ、顔中べったべたじゃん!後で洗おう……」
犬「わふん」
さやか「ポチやりすぎ!」
犬「くうーん」
さやか「媚びてもだめなものはだめ!わかった?」
犬「わんっ」
さやか「はー……ほんとにわかったの?」
犬「ハッハッハッ」
さやか「怪しい……」
犬「くうーん」
407: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:11:36.62 ID:cMc1eEAro
仁美「くすっ」
さやか「はっ!またやっちゃった」
仁美「また、ですか?」
さやか「え?あっ!?」
仁美「前にも何かありましたの?」
さやか「恥ずかしいから言えない!だめ!」
仁美「えぇー。知りたかったですわ」
さやか「なんだよー!言いたくないんだよー!」
仁美「でしたらまどかさんに訊いてみようかしら」
さやか「それもだめぇ!」
仁美「うーん、せっかくワンちゃんから助けて差し上げたのに」
さやか「うっ……そ、それとこれとは別!とにかくだめ!だめなものはだめなの!」
仁美「ぶー」
<ポチー!
犬「!」
犬「わん!わんわんっ」
たたたっ
さやか「あ」
仁美「あ」
408: 「いぬ」 2013/03/14(木) 01:12:10.32 ID:cMc1eEAro
飼い主「こらっポチ!勝手に走って行っちゃだめって何回も言ったでしょ!」
犬「きゅーん……」
仁美「ワンちゃんの飼い主の方ですのね」
飼い主「ごめんなさい、うちの犬が迷惑をかけたみたいで……」
さやか「いえ、大丈夫です……よかったねポチ、飼い主の人が迎えに来てくれて」ナデナデ
犬「わん!ハッハッハッ!ペロペロッ」
さやか「うわっ!?ちょっと!誰かポチを止め、うわぁあああ!?」
おしまい
414: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:21:54.73 ID:YtynQxp1o
さやか「んふふ~ん、ふ~ん♪」
さやか「~~♪」
るんるん
まどか「さやかちゃんご機嫌だねぇ」
仁美「ちょっと前まで随分沈んでらしたのに、何かあったのでしょうか」
さやか「ふんふ~ん♪」
まどか「さやかちゃんさやかちゃん」
さやか「んー?なーに?」ルンルン
まどか「もしかして、何か良いことあったの?」
さやか「あは、やっぱりわかっちゃう?」
仁美「とっても幸せそうに歌ってらしたもの」
さやか「えへへへ」
まどか「ねぇねぇ何があったの?」
415: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:22:22.48 ID:YtynQxp1o
さやか「どうしよっかなー、言っちゃおうかなー」テレテレ
まどか「なになにー?」
さやか「うーん、別に口止めされてる訳じゃないしいいかな」
さやか「あのね、実は昨日ね――」
仁美「……」ドキドキ
さやか「恭介にー、これもらっちゃったんだ!じゃーんっ」
ふわっ
仁美「!?」
まどか「わ、かわいいハンカチ!」
さやか「でしょー!あたしにはちょっと可愛過ぎちゃうかなって感じだけど……」
まどか「そんな事ないよ!とっても似合うと思うよ?」
さやか「そ、そうかなぁ?変じゃない?」
まどか「全然!色もさやかちゃんっぽくて素敵だと思うけどなぁ」
さやか「ほんと?」
まどか「うんうん」
さやか「うーん、まどかがそう言うなら……」
416: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:22:52.08 ID:YtynQxp1o
まどか「そういえば、これってもしかしてバレンタインのお返しに?」
さやか「うん。昨日の夕方、恭介に呼ばれて家に行ったんだけど」
さやか「そしたらさ、"ホワイトデーには間に合わなかったけど、よかったら受け取って欲しいんだ"って!」
まどか「きゃーっ///」
さやか「べ、別に期待してた訳じゃないけどさ?やっぱり何かしら貰えたら嬉しいじゃん?」
まどか「うんうんっ」
さやか「それでつい舞い上がっちゃってたってワケ。へへへへっ」テレテレ
まどか「えへへ、よかったねぇさやかちゃん」
さやか「うん!」
仁美「…………」
さやか「……仁美?」
まどか「どうしたの仁美ちゃん、顔が怖いよ?」
さやか「……もしかしてあたし、やっちゃった?」
仁美「いえ、さやかさんのせいではありませんわ。……これを見て下さい」
ふわっ
さやか「緑色のハンカチ?ってコレって……!」ハッ
まどか「さやかちゃんがもらったのと同じ柄だ!」
仁美「昨日、上条君からいただいたのですわ」
さやか「えっ?」
417: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:23:19.85 ID:YtynQxp1o
仁美「なんとなくさやかさんに言うのは気がひけたので黙っていたのですが……」
さやか「……」
仁美「実は昨日の昼ごろに上条君に招かれて、お家にお邪魔したのです」
仁美「そうしたら、先ほどさやかさんが仰っていたのと全く同じ言葉と共に"女の子の好きそうな物はよくわからないけど、喜んで貰えたら嬉しいな"とこれを下さったのです」
さやか「えぇっ!?それあたしも全く同じ事言われたんだけど!」
仁美「やっぱり……」
まどか「えっ?えっ?」
さやか「……ハンカチ渡される時に色についてなんか言われなかった?」
仁美「ええ。"一目見て志筑さんに似合いそうな若草色だって思ったんだ"、と」
さやか「……"一目見てさやかに似合いそうな空色だって思ったんだ"って」
仁美「…………」
さやか「…………」
まどか「えっと、あの……」オロオロ
仁美「……もしかしてその後一曲プレゼントされませんでしたか?」
さやか「えっ!?ひ、仁美にも曲弾いてくれたの?」
仁美「…………」コクリ
さやか「……まさか、曲名は――」
さや仁「「"亜麻色の髪の乙女"」」
418: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:23:55.76 ID:YtynQxp1o
さやか「マジで!?うっわ!うっわ!!ないわー!うっわ」
仁美「本当にまさかの事態ですわ……」
まどか「ど、どういう事?」
さやか「恭介の奴、あたしと仁美に全く同じプレゼントをしてたのさ!セリフまで同じで!」
仁美「バレンタインのお礼にとブランド物のハンカチを、その後に物だけじゃ悪いからとバイオリンで一曲」
さやか「しかも、"君だけに贈る一曲"とか言っちゃって」
仁美「聴衆が一人だけって意味でしたのね……」
まどか「うわぁ……上条君……」
さやか「あんにゃろ、まるで乙女心ってやつをわかってないわ!」
仁美「確かにやっていることは間違ってはいない、いないのですが!なんというかこう、モヤモヤしますわ……」
419: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:24:22.27 ID:YtynQxp1o
さやか「……ねぇ、一発殴り込みに行かない?」
仁美「良い案ですわね」
まどか「えっ!?」
さやか「あたしがこうシュッっと行ってガッとホールドするから」シュッ ガッ
仁美「そこにわたくしが一発お見舞いするわけですわね」ブンッ
さやか「腕と顔はヤバいから腹部でよろしく」グッ
仁美「合点承知ですわ」グッ
まどか「ふ、二人とも落ち着いてぇっ!?」
さやか「大丈夫、あたしは至って冷静だよ?あは、あははは」
仁美「うふふふ」
まどか「あわわわ……」オロオロ
さやか「…………」
仁美「…………」
さや仁「「はぁ……」」
がっくり
まどか「――ふぇっ?」
420: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:24:48.81 ID:YtynQxp1o
さやか「ごめんごめん。本気で殴りこみに行く訳無いって」
仁美「ほんの冗談ですわ」
まどか「よかったぁ……二人とも目が本気なんだもん」ホッ
さやか「なんにせよ、あいつに悪意が全く無いってのが一番厄介なんだよなぁ」
仁美「本人は善かれと思って行動していますものね……」
さやか「そうそう。一発殴った所で乙女心を理解できるようになるわけでもないし」
仁美「でもせめて選曲くらいはもう少し慎重になって欲しかったですわ」
さやか「あいつの事だから、きっと二曲練習するよりも一曲に絞った方が熟練度が上がっていいとか思ったんだろーね」
仁美「なるほど……」
421: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:25:15.97 ID:YtynQxp1o
さやか「てゆーかさ」
仁美「はい?」
さやか「正直、バイオリン演奏してもらった時は"勝った"と思わなかった?」
仁美「……思いましたわ」
さやか「だよねー。あんな事言われたらどう考えてもそうなっちゃうよねー」
仁美「今思えば随分あさはかな考えでしたわ……」
さやか「いやあれは仕方ないよ。真顔だもん。ぶっちゃけカッコよかったじゃん」
仁美「確かに……あれは卑怯ですわ」
さやか「あいつさ、バイオリン弾くとき表情がキュッと変わるじゃん」
仁美「変わりますわね、特に眉の辺りが」
さやか「そうそう。あれヤバくない?」
仁美「全面的に同意致します」
422: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:25:46.19 ID:YtynQxp1o
さやか「やっぱり!?あとさあとさ、腕がスッて上がる時!」
仁美「わかりますわ!指がシュルッとなりますわよね!」
さやか「だよね!仕草の一つ一つが輝いて見えるってゆーか」
仁美「その動きの一つ一つが一曲に込められているのかと思うと」
さやか「なんかキュンと来るものがあるよね!」
仁美「その気持ち、とてもわかります」
さやか「……」
仁美「……」
さやか「……はぁ」
仁美「……ふぅ」
さやか「……なんつーかさ」
仁美「……はい」
さやか「これってやっぱり、惚れた弱みって奴?認めたくないけど」
仁美「……でしょうね。なんだかんだで全て許せてしまう気になってしまいますわ」
423: 「ホワイトデー」 2013/03/17(日) 02:26:14.98 ID:YtynQxp1o
さやか「あ゛ー!でもなんか気持ちの収まりがつかないっ!!」バンバン
仁美「かといって何もできないですし……」
さやか「うーん……」
さやか「……そうだ!」
さやか「ねぇ、なんか甘い物食べに行かない?」
仁美「! いいですわね、どこに行きます?」
さやか「とりあえず駅前うろついてみようよ。今なんかイベントやってたはずだし」
仁美「了解ですわ。でしたらついでに洋服も見ていきましょう」
さやか「賛成ー!まどかは?」
まどか「……へっ!?な、なんだっけ?」
さやか「もー。駅前行って甘い物食べたり、洋服探しにいくの」
まどか「あ、うん、オッケー。いいよ!」
さやか「ちょっと、大丈夫?」
まどか「ごめんね、ちょっとボーっとしちゃった。大丈夫大丈夫!えへへっ」
まどか(惚気大会になったあたりから覚えてないや)
さやか「んじゃ、駅方面に向かって、しゅっぱーつ!」
仁美「ごーごー!」
おしまい
430: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:28:43.42 ID:APCyKi9Ao
さやか「~~♪」
てくてく
さやか「んー、いい朝だ!」
さやか「空は晴れてるし気温も暖か、すっかり春って感じだね」テクテク
さやか(あとはこの角を曲がってまっすぐ行ったらマミさんのマンションに到着、っと)
さやか「――あれ、あたしちゃんとアレ持って来たよね?」
さやか「……」ガサ
さやか「うっし。しっかり持ってきてる」
さやか「これ忘れちゃってたら意味ないもんね」
さやか「へへへ。楽しみだなぁ」
てく、てく、てく
さやか「着ーいた!」ピョン
さやか(昨日、古本屋でCDを探してたら、前にマミさんが欲しがってたレシピ本見つけちゃったんだよね)
さやか(タイトルがあやふやだったけど内容的にはこれであってる……はず。というかあってないと困る!)
さやか「くふふふ……マミさん喜んでくれるといいな」
ピンポーン
さやか「……」ドキドキ
<はーい、どなた?
さやか「!」
431: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:29:12.00 ID:APCyKi9Ao
さやか「マミさーん!さやかちゃんですよーっ!お届け物に来ました!」
マミ「あら、美樹さんいらっしゃい!こんな時間にどうしたの?」
さやか「へへ、朝早くすみません。どうしてもマミさんに早く渡したいものがあって」
マミ「渡したい物?」キョトン
さやか「はい!きっとマミさんも驚くとおもいますよ」
マミ「あらなにかしら、楽しみね」
さやか「へへっ」
マミ「うふふ。立ち話もなんだし、とりあえず上がって?」
さやか「はーい!おじゃましま――」
<マミー!トイレ詰まったー!
さやか「すぇっ!?」ビクッ
マミ「ちょっ、佐倉さんっ!?」カアッ
432: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:29:39.36 ID:APCyKi9Ao
さやか「きょ、杏子もいるんですか?」
マミ「え、ええ……ゆうべからうちに泊まっているのだけど――」
杏子「おーい!どーすりゃいいんだこれ!」
マミ「ああもうっ!佐倉さん、そんな大声ださないで!……美樹さん、悪いけどドア閉めて上がって待っててくれる?」
さやか「は、はーい……」
杏子「マーミー!」
マミ「はいはいはい、今行くわ! 全く、そんな叫んだらご近所さんに迷惑でしょっ」
ぱたぱたぱた……
さやか「あ……」
ぽつーん
さやか(おいてかれちゃった……)
さやか「……」
433: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:30:06.17 ID:APCyKi9Ao
さやか(靴、脱ご)
ごそごそ
さやか「おじゃましまーす……」ボソ
さやか「…………」
とことことこ
――リビング
キィ……パタン
さやか「…………」
<きゃあっ!何よこれ!?
<へへっ、わりぃわりぃ
<ああもう、トイレのスッポンはどこにやったかしら……
きゃいきゃい
さやか「…………」
さやか(せっかく朝早く来たのに、なんか色々台無しだよ……)
さやか「……あ」
434: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:30:32.08 ID:APCyKi9Ao
さやか(テーブルに朝ご飯の器が出しっぱなしだ)
さやか(…………)
さやか(……2人で一緒に食べてたんだ)
さやか(いいなあ、マミさんの手作り朝ご飯)
さやか(最近はあんまりマミさんちにお泊りする機会も無かったし……この光景も久しぶりだなぁ)
さやか「……」ジッ
さやか(あ)
さやか(玉子焼きがひと切れ残ってる)
さやか「いやしかし、勝手に食べちゃだめだよね……?」
さやか「…………」
じーっ
435: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:31:00.23 ID:APCyKi9Ao
さやか「…………」
<マミー、そっち無いか?
<ううん、やっぱり確かこの辺に……
<一体どこにやっちまったんだよ……
<知らないわよ!あんなの滅多に使わないんですもの!
ガタゴト ガタゴト
さやか「…………」
さやか(玉子焼き、食べちゃおうかな)
さやか(このまま放っておくのもなんだし)
さやか「……」キョロキョロ
さやか「……」ドキドキ
436: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:31:45.70 ID:APCyKi9Ao
さやか「……よし、食べちゃう!いただきます!」
さやか(マミさんの玉子焼きはとっても甘くて美味しいんだよね)
さやか「へへ……あーん」
ぱくっ
さやか「ッ!? げふっ、げふっ!!」
さやか「しょ、しょっぱい!?」
さやか「ああびっくりした。それにしても、なんで――」ハッ
さやか(あ)
さやか(もしかして)
さやか(きょうこ……?)
さやか(確か杏子はしょっぱい方が好きだって言ってた。前にそれで言い争いになったからしっかり覚えてる)
さやか(あの時、確かマミさんはあたしたちを見て苦笑いしてたっけ……)
さやか(結局、どっちが美味しいのかって結論は出なかったんだよね)
さやか(そりゃそーだよね。ただの好みだもん)
さやか(でも……マミさんはあの時の事覚えてたのかな)
さやか(だから、今朝の玉子焼きはしょっぱくて)
さやか(それとも――)
さやか(――いつも、わざわざあたしに合わせて甘く作ってくれてたのかな……)
さやか(だとしたら、あたし……マミさんに無理させちゃってた?)
437: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:32:12.16 ID:APCyKi9Ao
さやか(今朝だってあたしが早くコレを渡したいってだけでこんな時間に、しかもノンアポで来ちゃったんだし)
さやか(マミさんの事だから、テーブルの上がちらかった状態なんて見られるのはきっと嫌だったと思うのに)
さやか(やっぱり、迷惑だったかな……)
さやか(もちろんそんな事はないんだろうって思うけど……なんだか考えちゃうよ)
さやか「…………」
さやか(……あー)
さやか(今日のあたし、なんか変だ。どうしちゃったんだろ)
さやか「…………」
さやか「…………」ギュッ
438: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:32:47.21 ID:APCyKi9Ao
杏子「ふいー、やっと流れたよ」トコトコ
マミ「もう、今度からは気をつけてよ?」
杏子「はいはい」
マミ「全く……美樹さんごめんなさい、放置しちゃって――って」
マミ「どうしたの、クッション抱えてそんな隅っこで」
さやか「マミさん……」
杏子「よう。朝っぱらから何拗ねてんだよ」
さやか「……杏子」ギュッ
杏子「――ああっ!?」
マミ「な、なに!?」ビクッ
杏子「あたしの玉子焼きが無い!最後にとっといたのに!」
マミ「食べて忘れちゃったんじゃないの?」
杏子「いいや、トイレに行く前まではここにあったんだって!」
さやか「……」
杏子「さやか、あんた食っただろ?」
さやか「っ」ビクッ
さやか「……し、知らないっ!」プイッ
杏子「怒らないから言ってみろよ」ツンツン
さやか「や、やめてよ……うぅ、謝るから……」ショボン
杏子「なんだよ随分としおらしいじゃねーかオイ……」
439: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:33:16.61 ID:APCyKi9Ao
さやか「ごめん、余ってるともんだと思ったからつい……」
杏子「まぁ、一つくらい別にいいんだけどさぁ……はーあ、楽しみにしてたのに……」
マミ「そんなに責めないの。玉子焼きくらいまた作ってあげるから」
杏子「約束だからな?」
マミ「はいはい」
さやか「…………」
じっ
杏子「なんだよ人の顔じろじろ見て」
さやか「べっ、別に見てない!」
杏子「んー?なーんか様子がおかしいな」
マミ「そうねぇ……何かあったの?随分元気がないようだけど……」
さやか「だ、大丈夫ですって!あたしは通常運転です、ほらこの通り!」ピョンピョン
杏子「ますます怪しい」
さやか「うっ」
マミ「美樹さんたらどうしちゃったのかしら」
杏子「なーんか態度がひっかかるんだよなぁ……」
マミ「そうねぇ、さっきまであんなに元気だったのに」
杏子「うーん」
さやか「……」ショボン
マミ「……あ」
杏子「ん?」
マミ「もしかして、玉子焼きがしょっぱかったから寂しくなっちゃったの?」
440: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:33:42.35 ID:APCyKi9Ao
杏子「はぁ!?なんだそれ!?」
マミ「だってほら、前に佐倉さんと美樹さんで言い合いしていたじゃない。あれから二人には別々の玉子焼きを作るようにしていたのだけれど――」
さやか「……ふぇ……」ジワ
杏子「んなっ」
マミ「ちょ、ちょっと美樹さん!?」
さやか「マミさ……ご、ごめんなざっ……あたし、あたし……!」
マミ「よくわからないけど落ち着いて!ええと、オレンジジュースでいいかしら?」アワアワ
さやか「ふぇぇ……ひっく……ずいまぜん、あたじ……っく、ゴク、ゴク……」
マミ「落ち着いて、なにがあったのかゆっくりでいいから話して?」
さやか「……あの、あたし……マミさんにいつも迷惑かけでばっがりで……玉子焼きも、マミさんに負担……かけでだじ……」
マミ「ふ、負担?そんなに負担なんてかかってないわよ?」
さやか「でも、わざわざ2種類作りわけさせちゃってたみたいで……今朝だってこうしておしかけて来ちゃったりとか……」
マミ「別に誰もおしかけて来たなんて思ってないわよ。いつだってこうして家に来てくれるのは嬉しいわ」
さやか「マミさっ……っく、ふぇぇ……」
マミ「だからもう、泣かないで?いい子いい子」ナデナデ
さやか「うぅ……ぐすっ」
杏子「……」
441: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:34:17.44 ID:APCyKi9Ao
杏子「さやか、ちょっとソウルジェム見せてみろ」
さやか「ソウルジェム……?――あっ」
マミ「!? ちょっとこれ随分濁ってるじゃない!」
さやか(そういえばゆうべ狩りしてからそのまま寝ちゃったんだった)
マミ「どうして浄化しなかったの!ああもう、グリーフシードグリーフシード」ガサゴソ
さやか「あっ!あの、その、GSは大丈夫です!ゆうべ魔女狩った時に拾ったやつがありますから!」
マミ「あ、あるの?ならなんで――」
さやか「やっつけるのに時間かかっちゃって……それで家帰ったらすぐ眠くなっちゃって、つい……へへへ」
マミ「へへへ、じゃないわよもう!」
さやか「ご、ごめんなさい……」
コツン しゅうううう
さやか「あ゛ー、生き返るぅ……」
マミ「全く……今度はGSを拾ったら即座にSGを浄化する事。いいわね?」
さやか「はーい……」
杏子「こんなの基本中の基本だろ。本当に馬鹿だなぁ」
さやか「返す言葉もないです」シュン
442: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:35:06.76 ID:APCyKi9Ao
マミ「はぁ。でも美樹さんが元気になってよかった」クスッ
さやか「ほんっとーにご迷惑をおかけしましたッ!!」ガバァ
さやか「おかげさまでさやかちゃん完全復活!です!」
杏子「ま、次は気をつけろよ?」
さやか「はい!気をつけます!」ビシィ
杏子「急に元気になりすぎだろ……気持ちはわからなくもないけどさ」
マミ「くすくす」
さやか「……へへ」
さやか「あっ!そうだ!マミさん、これ!」
マミ「?」
さやか「へへへ、驚かないで下さいよー?」
ごそごそ
さやか「じゃーん!」
マミ「!? こ、これって!」
さやか「前、探してるって言ってましたよね?」
マミ「確かに言ったけど……覚えててくれたの?」
さやか「昨日CD探してる時に見つけたんです。古本なんですけど……よかったら受け取って下さい!」
マミ「いっ、いいの!?」
さやか「はい!」
マミ「うわあ、ありがとーっ!この本、絶版になっちゃってるから手に入らないと思ってたのに!」
マミ「とっても嬉しいわ!本当にありがとう、美樹さん」
にっこり
さやか「!」
さやか「えへへっ」
443: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:35:35.68 ID:APCyKi9Ao
マミ「早速何かこの本に載ってるお菓子作っちゃおうかしら」
さやか「マジすか!?やったぁ!」
マミ「うふふ、どれにしようかなー」
ぱらぱら
マミ「んー……どれも美味しそうで迷っちゃうわ。ねぇ美樹さんならコレとコレのどっちがいい?」スッ
さやか「うーん、あたしはこっちかな?」
マミ「そう?じゃあこれを作ろうかしら。張り切っちゃうから期待しててね!」ギュッ
さやか「はいっ!」
444: 「玉子焼き」 2013/03/22(金) 01:36:26.27 ID:APCyKi9Ao
マミ「~~♪」トトトッ
杏子「さやか、さやか」
さやか「ん、なーに?」
杏子「あんたもマミと一緒に菓子作りしてきたらどうだ?」
さやか「えっ?あたしなんかが手伝っても足手まといなだけだからいいよ!」
杏子「本当にいいのかー?早くしないとマミの事だからさっさと作り終えちまうぞー」
さやか「……っ」
杏子「ほら、早く行って来い」
さやか「だから別にいいって!」
杏子「強情なやつだなぁ。いつもは"マミさん、マミさん"ってべったりなクセに」
さやか「なっ!」
杏子「あーあ、さやかが行かねーならあたしがマミと一緒に菓子作りしてきちゃおっかなー」
さやか「!! だ、だめっ!杏子はそこで待ってて!」
杏子「おう、行って来い」
さやか「マミさーん!あたしも手伝います!」
マミ「あら、美樹さんも一緒にやる?」
さやか「はい、是非!」
マミ「うふふ。なら、――……」
杏子「……ふふ。本当に自分に素直じゃない奴だな、さやかは」
おしまい
451: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:15:39.15 ID:kESFdS/Uo
桜の咲く道にて
さやか「うはー……見渡す限り桜、桜、桜、桜!」
さやか「ね、これってもしかしてもしかしなくても満開ってやつ? すっげー!」
くるくる ぴょんぴょん
まどか「あはは。さやかちゃんたらはしゃぎ過ぎ」
ほむら「あまり走り回らないでちょうだい、周りの人に迷惑でしょう」
さやか「こんなにたくさん咲いてるのにテンション上げるなっつーほうが無理でしょ! ってゆーかほむらももっとはしゃぎなよ、さっきからそわそわしっぱなしじゃん!」
ほむら「別にそわそわなんてしていないわ」ソワソワ
さやか「ほんとーかなー?」ジトー
ほむら「ぐっ……」
仁美「うふふ。実際は八分咲きといった所でしょうが、実に見事なものですわね」
ほむら「こ、これで八分咲きなの!?」
まどか「えへへ、満開になったらまた見にこようね!」
ほむら「ええそうね……これが更に咲くとどんな風になるのか気になるわ」
さやか「でも天気予報だと、明日から天気が崩れて花が散っちゃうかもって言ってたよ?」
ほむら「えっ……」
452: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:16:12.79 ID:kESFdS/Uo
まどか「そんな……せっかくこんなに綺麗に咲いたのに!」
ほむら「…………」
さやか(まずった)
さやか「あー、ええと、その……ほら、全部が全部散っちゃう訳じゃないだろうし? 大丈夫だよ、たぶん」
さやか「だから二人とも元気だして! ね?」
まどか「うん……」
ほむら「…………」
さやか「……」ダラダラ
仁美「天候には誰も逆らえませんもの、仕方がありませんわ」
仁美「だけど、きっとまた来年も咲くでしょうから今年は今年で目一杯楽しみましょう?」
さやか「!」
ほむら「……そう、そうよね。来年も咲くのよね」
さやか「さっすが仁美、いいこと言うじゃん!」
仁美「うふふ」
453: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:16:40.78 ID:kESFdS/Uo
まどか「ね、みんなその木の前に並んでこっち向いてー!」
さやか「おー、記念撮影?」
まどか「うん! ママにデジカメ借りてきたんだ」
さやか「ならちょっとそこの人に頼んで撮ってもらおうよ」
まどか「えー、声かけるの怖いよぉ」
仁美「ならわたくしが頼んできましょうか?」
ほむら「その必要はないわ」
まどか「え?」
さやか(おお、久しぶりにマジモンを聞いた気がする)
ほむら「三脚があるからこれを使いましょう」
まどか「わ、すごい! こんな立派なの借りちゃってもいいの?」
ほむら「もちろんよ。少し大きいけど安定性は保証するわ」
さやか「この三脚ミリタリー色がすごいんだけど」
ほむら「気のせいよ」
454: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:17:12.63 ID:kESFdS/Uo
まどか「ええと、カメラのこの部分を……あれ? これどうやって取り付ければいいんだろう」
ほむら「ちょっと貸して?」
まどか「あ、うん! お願いします」
ほむら「ツマミを開いて、この部分をこっちに回して……はい完成」
仁美「鮮やかな手つきですわ」
さやか「慣れてるねー」
ほむら「まぁ、ね。それより撮るわよ」
まどか「みんな並んでー!」
さやか「じゃああたし真ん中!」
仁美「ではわたくしはこちらに」
ほむら「私は……まどかが間に入るから、この辺りかしらね」
さやか「何言ってるの、まどかも真ん中! んで二人はこうだっ」グイッ
ぎゅっ
ほむら「きゃあっ!?」
仁美「なるほど、流石ですわ」
----------------
さやか
仁美 ほむら
----------------
さやか「にひひー。両手に花」
455: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:17:39.52 ID:kESFdS/Uo
ほむら「ちょっと、この体勢は腰が痛いんだけど!」
さやか「こら動かないの!まどか、このくらいで皆写る?」
まどか「うーん……もうちょっと詰めてもらえるかな」
さやか「はーい」グッ
ほむら「ひゃっ!」
まどか「それくらいでオッケー!ちょっとだけ動かないでね」
ほむら「わ、わ、わ」
さやか「まどかは仁美とほむらの間、あたしの前にちょっと屈んで入って」
まどか「らじゃー!」
まどか「タイマー10秒、撮りまーす!」タタタッ
ピ ピ ピ ピ……
カシャッ!
----------------
さやか
仁美 ほむら
まどか
----------------
456: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:18:08.41 ID:kESFdS/Uo
さやか「どおー?」
まどか「ばっちりみたい! もう動いていいよー」
ほむら「ふー……」
さやか「あはは、お疲れ」
ほむら「まったく、心の準備ってものがあるのよ?」
さやか「ごめんごめん。にひひ」
ほむら「…………」
仁美「まどかさん、今撮ったのを見せて下さる?」
まどか「うん! これなんだけど、どうかな?」
さやか「おー、桜も綺麗に撮れてるね」
まどか「でしょ?」
ほむら「さすがまどかね。構図が素敵だわ」
まどか「ほむらちゃんの三脚のおかげだよ。ありがとう!」
ほむら「……どういたしまして」
さやか「あ、照れてるー」
ほむら「照れてないわよ」フイッ
さやか「あははは、バレバレだってば」
仁美「いじらしいですわっ」
ほむら「うぅ……」
457: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:18:35.26 ID:kESFdS/Uo
さやか「それにしてもすごい咲き様だねー」
まどか「ねー」
てくてく
まどか「わ、コレみてみて」
ほむら「?」
まどか「この桜、幹から花が出てるよ!」
さやか「うわっ」
仁美「生命の神秘ですわねぇ」
ほむら「ここまで密集していると少しグロテスクに見えてくるわね」
まどか「一箇所からみっしりだもんね……」
さやか「言わないでよ、ちょっと意識しちゃうじゃん!」
458: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:19:08.61 ID:kESFdS/Uo
まどか「あっちの方も見に行ってみよ!」
さやか「うん! ……うわっ!?」
仁美「風が――」
ひゅうっ!
ぶわっ
ふわ ふわ ひら ひらひら
ひらひら ひら ひら
ひら ひら ひら
ほむら「わ……」
仁美「まるで桜吹雪ですわ……」
ほむら「あ」
さやか「?」
ほむら「さやか、ちょっと屈みなさい」
さやか「なに?」
ほむら「いいから」
さやか「んー?」
ほむら「よいしょ……っと。はいとれた」
さやか「あ、花びら」
ほむら「頭にくっついていたから」
さやか「なーる。ありがと、ほむら」
ほむら「……別に感謝されたくてやったわけじゃないわ」
さやか「あはは……もっと素直になればいいのに」
ほむら「あなたにだけは言われたくないわ」
さやか「えー」
459: 「お花見」 2013/03/28(木) 03:19:36.54 ID:kESFdS/Uo
さやか「! よっ……と」パシッ
仁美「あら、桜の花ですか?」
まどか「綺麗な形のまま落ちてきたんだね」
さやか「はい、ほむら」
ほむら「え?」
さやか「花びらとってくれたお礼。これ押し花にしておいてよ」
さやか「確か木から採るのはダメだったからさ、落ちてきたやつならいけるかなって」
ほむら「……そうね。ありがとう、大切にするわ」
さやか「そうそう、素直が一番!大切にするがいいー」
ほむら(…………なんか複雑)
仁美「……」プルプル
まどか「仁美ちゃんドウドウ」
おしまい
464: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:25:40.09 ID:sux0B5WAo
川辺
すずめ「ちゅんちゅん」
さやか「……」
まどか「……」
すずめ「ちゅんちゅん」
そよそよ そよそよ
さやか「……」
まどか「ふぁぁ……暖かぁい」
すずめ「チチチチ、ちゅんちゅん」
さやか「……」
まどか「……」
さやか「ぐむ……」モゾ
まどか「……?」
さやか「……」モゾモゾモゾ
さやか「ぶあッ!!」ガバッ
すずめ「チッ!?チチチ!チュン!チュン!!」
ばさばさばさ
465: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:26:13.09 ID:sux0B5WAo
まどか「どうしたの?」
さやか「まどかっ!」
まどか「なぁに、さやかちゃん」
さやか「ヒマ!」
まどか「暇だねぇ」
さやか「ひま、ひま、暇だーっ!!」ジタバタ
さやか「なんもやることない」ボスッ
まどか「やることないねぇ」
さやか「……」
まどか「……あー、陽射しがあったかいねぇ」
さやか「うん……」
まどか「ひなたぼっこ、気持ちいいね」
さやか「……うん」
まどか「……」
さやか「……」
466: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:26:43.51 ID:sux0B5WAo
さやか「……あれ?」
まどか「どしたの?」
さやか「ねぇ、あれってなんてゆーんだっけ」
まどか「あれってどれ?」
さやか「あの現代的風車みたいなやつ」
まどか「……風力発電機?」
さやか「あ、それだ」
さやか「あれさ、なんか前より数が増えてない?」
まどか「えー?そうかなぁ」
さやか「増えた増えた。あの辺りはなんも無かったはずだもん」
まどか「そっかぁ……まだ開発の余地があったんだね」
さやか「ね。びっくりだね」
さやか「……」
まどか「……」
467: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:27:17.79 ID:sux0B5WAo
さやか「なんだっけ、前にもこんな会話があった気がする」
まどか「そうだっけ?」
さやか「うん」
まどか「……」
さやか「……」
まどか「心当たりが多すぎてどれの事だかわからないや」
さやか「あー、ね」
まどか「……」
さやか「……」
468: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:27:48.26 ID:sux0B5WAo
まどか「……」
さやか「……」ゴロン
さやか「うおっ!?」ビクッ
まどか「な、なになに!?」
さやか「ちょうど手を置いた所にツクシが生えてた……」
まどか「んもー、びっくりしたぁ」
さやか「ごめんごめん」
まどか「ツクシなら、よくみるとたくさん生えてるよ」
さやか「マジで?」
まどか「ほら、この辺とか」
さやか「んー?」
ツクシ達「やあ」
さやか「ほんとだ」
まどか「結構あるでしょ」
さやか「春って感じだねぇ」
まどか「ねー」
469: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:28:23.57 ID:sux0B5WAo
お日様「さんさん」
さやか「……」ゴソゴソ
まどか「……」
さやか「……」モゾモゾ
まどか「……」
さやか「……うぐ、ここもか」
まどか「?」
さやか「……ダメだ!意識しだすととまらないわ」
まどか「何かあったの?」
さやか「ツクシ。やたら生えててなんか気持ち悪い」
まどか「あー、確かにね」
さやか「はたから見てる分には別にいいんだけどなぁ……」
470: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:29:19.98 ID:sux0B5WAo
さやか「……」モゾモゾ
まどか「……」
まどか(ちょっといたずらしちゃおう)
まどか「さやかちゃん、さやかちゃん」
さやか「何?まどか。今あたしはツクシの触れない体勢を探すのに必死なんだけど」
まどか「この緑の植物がね、ツクシの本体なんだよ」
さやか「はい!?な、何を言い出すのさ急に!」
まどか「えへへ」
まどか「スギナっていってね、地下でツクシと繋がってるんだって」
さやか「あは、あははは……またまたご冗談を」ダラダラ
まどか「ほんとだよぉ!このあいだ授業でやったじゃない」
さやか「そうだっけ?」
まどか「そうだよぉ」
さやか「マジかよ……全然覚えてないわ」
まどか「さやかちゃん寝てたもんね」
さやか「そうだっけ」
まどか「そうだよぉ」
471: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:30:30.42 ID:sux0B5WAo
さやか「って事はさ」
さやか「このスギナとやら、イコール、ツクシなわけね?」
まどか「だねぇ」
さやか「うわ、うわぁ!微妙に嫌な真実を知っちゃったよ」
さやか「……これ全部毟っちゃおうかな」
まどか「それは流石にかわいそうだよさやかちゃん」
さやか「う……まどかがそう言うなら……」
まどか「それにね、ツクシって一応食べられるからそんな事したら杏子ちゃんに怒られちゃうよ」
さやか「食べるの!これを!?」
まどか「うん。佃煮とかにするんだって」
さやか「……あんまり想像したくないかも」
まどか「あはは、食べてみたら意外とおいしいかもよ?」
さやか「あたしは遠慮しとくわ」
まどか「そっかぁ」
472: 「暇・2」 2013/04/01(月) 00:31:05.31 ID:sux0B5WAo
さやか「逆に訊くけどさ、まどかはコレを採って食べたいって思う?」
まどか「……あんまり思わないかも」
さやか「だよねー」
まどか「ママはお酒によく合うんだって言ってたけど、私はまだ飲めないし」
さやか「ふーん……お酒なぁ」
さやか「なんか、まだまだずーっと先の事って感じ」
まどか「だねぇ」
さやか「……」
まどか「……」
ちゅんちゅん チチチチ
そよそよ そよそよ
さやか「暇だ……」
まどか「暇だねぇ……」
お日様「さんさん」
おしまい
482: 「待ち合わせ」 2013/04/08(月) 03:37:35.96 ID:c1/vMNdxo
さやか「今日はみんなでショッピング~♪」
さやか「天気もいいしそこそこ暖かいし買い物日和だねこりゃ」
てくてくてく
さやか「~~♪」
さやか「とうちゃーく!お待たせ――って、あれ?」
さやか「ええと、待ち合わせは駅の東口であってるよね」キョロキョロ
さやか「時間も早すぎず遅すぎずちょうどいい感じだし……」
さやか(大抵ほむら辺りが15分前にはスタンバってるんだけどなぁ)
さやか「…………」
さやか「今日はまだ誰もきてないのかな……」
さやか「とりあえずここで待っててみよっと」
483: 「待ち合わせ」 2013/04/08(月) 03:38:01.68 ID:c1/vMNdxo
モブ1「わいわい」
モブ2「きゃっきゃ」
さやか「……」
モブ3「うふふふ」
モブ4「やぁだモブ5ちゃんったらもう」
モブ5「あははははは」
きゃははは
わいわい がやがや
ざわざわ ざわざわ
さやか「……」ポケーッ
さやか「……あ、メール確認してみよう」パカッ
さやか「……」カチカチ
さやか(メルマガしかきてないや)
さやか(あれ、あたし日にちとか間違ってないよね?)
484: 「待ち合わせ」 2013/04/08(月) 03:38:33.45 ID:c1/vMNdxo
さやか「それにしてもヒマである」
さやか「携帯ゲームもほとんどスマホに移行しちゃったし」
さやか「やっぱ機種変するべきなのかな……」カチカチ
さやか「……」カチカチ
モブ6「でさー、モブ7がさ……」
モブ8「あるあるー!あの子っていつもそうだよね、あははは」
さやか「……」
さやか「……」チラッ
さやか「あ」
さやか(いつの間にか待ち合わせの時間になってた)
さやか(相変わらず誰も来ないし。みんなどうしちゃったんだろう……)シュン
485: 「待ち合わせ」 2013/04/08(月) 03:39:38.26 ID:c1/vMNdxo
さやか「よし。こっちからメール送ってみよ」
さやか「……送信」
さやか「……」ドキドキ
さやか「……」
携帯<ヴィー!ヴィー!
さやか「ちゃ、着信!?――はいもしもし!」
まどか『さやかちゃん!?今どこにいるの?』
さやか「え、東口だけど。まどかは?」
まどか『えっと、私達も今東口にいて……そうだ近くに何か目立つものはない?』
さやか「んー……宝くじの売店と、ドン○ホーテが目の前にあるよ」
まどか『ああっ!やっぱり!!!』
さやか「うぇっ!?」ビクッ
まどか『そっちは東口は東口でも、"南東口"なんだよ!』
さやか「えっ、みなみ、えっ!?なにそれ!?」
まどか『ああと、えっと、ちょっとまってて!――あのね、今さやかちゃんが――』
さやか(東口っていくつもあるもんなの!?)
さやか(反則だよそんなの!)
486: 「待ち合わせ」 2013/04/08(月) 03:40:04.45 ID:c1/vMNdxo
まどか『ごめん、おまたせ!あのね、今からみんなでそっちに行くからちょっとそこで待っててもらってもいいかな?』
さやか「う、うんわかった」
まどか『じゃあ一旦切るね!』
さやか「はーい」ピッ
さやか「……」
さやか「南東口……」
チラッ
さやか(看板には"東口"って大きく書いてある)
さやか「東口が複数あるとかマジふざけんなよ……ダンジョンじゃないんだからさぁ」
さやか「絶対罠でしょこれ」
487: 「待ち合わせ」 2013/04/08(月) 03:41:56.05 ID:c1/vMNdxo
まどか「さやかちゃーん!おまたせー!」ブンブン
さやか「まどかぁー!みんなー!ごめん、思いっきり間違えてたわ」
仁美「やはりこの駅は迷いやすいですわよね」
さやか「だよね!看板だけ見てたら絶対わかんないよこれ」
ほむら「ちゃんと下調べしていればすぐにわかるわよ」
さやか「そんな細かいとこまで調べ込むのはあんたくらいだって」
まどか「ごめんね、もうちょっとわかりやすく集合場所を言えばよかったね……」
さやか「ううん、気にしないで。これで次からは絶対大丈夫だし!待たせちゃってごめんね」
仁美「いえ、お気になさらないで下さい。待っている間に予定を立てることもできましたし、ね?」
ほむら「そうね」
さやか「おっ!どこか行きたいとこあった?」
まどか「えっとね、結局パンフレットだけじゃよくわかんなかったからとりあえず2階の洋服辺りから見て回ろうかーってなったの」
さやか「いいねぇ。春物?」
まどか「うん!ほむらちゃんが見たいんだって」
さやか「ほおー、ほむらがねぇ……」
ほむら「……なによ、悪い?」
さやか「いや全然。自分から言い出すなんて珍しいなって思っただけ」
さやか「んじゃ行こっか!」
仁美「はい!」
おしまい
489: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:43:07.25 ID:c1/vMNdxo
さやか「あたしが買ってきたんだから先に読むの!あんたは後!」
杏子「なんだよ、いいじゃんかおつかい頼んだはあたしなんだし」
さやか「でも実際買ってきたのはあたしじゃん!」
杏子「先に読むって言ったのはあたし!単行本が出てるって知ったのもあたしが先!」
さやか「確かに言われるまで気づかなかったけどさぁ」
杏子「ほーら、やっぱりあんたの思い入れはそんなもんなんじゃないか」
さやか「でもレジに持ってくまでに読みたい感がブワってなったし!前回続きめっちゃ気になるとこで終わってたじゃんコレ!」
杏子「だからこそあたしが先に読むの!こちとらずーっと続きが気になってしかたなかったんだよ」
さやか「あたしだって読みたい!」
杏子「あたしが先!」
さやか「あたしだってば!」
さや杏「「むむむむむ……」」
490: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:43:35.17 ID:c1/vMNdxo
杏子「お?なんだやんのかオラ」
さやか「いいよ、ここじゃなんだしちょっと外出ようか」
まどか「ふ、二人とも!!」
さやか「何?」
まどか「喧嘩はだめだよ!お互いに武器を向け合うなんて……」
杏子「んな事言ってられっか!あんたはすっこんでな」
さやか「そうそう。これはあたしと杏子の問題なの」
まどか「だけど…………あ、そうだ!!」
さやか「?」
まどか「あのね、二人で同時に読むっていうのはどうかな?」
さやか「同時に?どういう事?」
まどか「教科書を忘れちゃった時みたいな感じで、二人で横に並んで一人がページを捲って一緒に読むの」
まどか「それならどっちが先っていうのもないし、仲良くできるかなーって」
杏子「……ふーん」
さやか「えー、それ滅茶苦茶めんどくさそうじゃん!」
まどか「やっぱりダメかな……」
杏子「でも確かにそれなら問題ないかもな」
さやか「え、あんた賛成派?」
杏子「おう。要は本を読み聞かせする時みたいにやればいいんだろ?」
まどか「そうそう!私もよく弟と一緒に絵本読むんだ」
杏子「なら簡単じゃねーか」
さやか「ええぇぇぇ……」
491: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:44:00.68 ID:c1/vMNdxo
杏子「あたしがページを捲るからさ、読み終わったら合図くれよ」
さやか「わかったよ……」
杏子「んじゃまずはカバー裏から――」
さやか「ちょ、ちょっと待って!」
杏子「なんだよ」
さやか「いきなりカバー裏は無いでしょ!せめて本編読んでから……」
杏子「えぇー」
さやか「えぇーじゃない!ネタバレしちゃうかもしんないじゃん!」
杏子「仕方ねぇなぁ……じゃあ表紙裏は最後な」
さやか「うい。……あ、ちゃんと巻頭の作者コメント欄も見せてよ!」
杏子「はあ!?あんなもんこそ最後だろ!?」
さやか「いいじゃんあの部分はそうそうネタバレしないし!」
杏子「そりゃそうだけどさ……これでいい?」
さやか「…………うん。読み終わったし捲っていいよ」
杏子「本編いくぞー」
さやか「ちょ、待って!!!」
杏子「な、今度はなんだよ!?」
さやか「巻頭カラー」
杏子「ああ……なるほどな」
492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:44:40.71 ID:c1/vMNdxo
さやか「ほうほう、今回もいい仕事してますなぁ」
杏子「相変わらず動物描くの妙に上手いな」
さやか「あはは、確かに」
杏子「……今度こそ本編行っていいか?」
さやか「オッケー!」
ペラッ
さやか「……」
杏子「……」
さやか「……ん、おっけー」
杏子「あいよ」
ペラッ
さやか「ぶふぉっ!?」
杏子「ごふぉっ!!」
さやか「なにこれいきなり反則でしょ!まだ2ページ目よ!?」
杏子「つーかこいつ生きてたんかよ!」
さやか「うわー、うわー……」
杏子「……」
さやか「……うん、次行っていいよ」
杏子「おう」
ペラッ
493: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:45:15.31 ID:c1/vMNdxo
ペラッ
杏子「……」
さやか「……おっけー」
ペラッ
杏子「……」
さやか「……いいよー」
ペラッ
杏子「……」
さやか「……はい」
ペラッ
杏子「……」
さやか「……はい」
ペラッ
杏子「……」
さやか「……はい」
ペラッ
杏子「……」
さやか「……は――」
杏子「あのさ」
さやか「何?」
杏子「いちいち言うのもめんどくさいから、読み終わったら指あげてくんない?」
さやか「あーい」
494: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:46:14.24 ID:c1/vMNdxo
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「……」
さやか「……くっ」スッ
ペラッ
杏子「ふ、くひひ……ひひっ」
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「ぶはっ!!」
杏子「あは、あははは!!はははははっ!!」
さやか「えっ、これ笑うとこ!?」
杏子「むしろなんで笑わないでいられんだよ!ひひひっ……」
さやか「ふーん……」スッ
495: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:46:48.03 ID:c1/vMNdxo
ペラッ
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「……」
さやか「……~~っ」スッ
ペラッ
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ
さやか「ぶはっ!!」
杏子「えっ?」
さやか「あははは、サイッコー!!」バンバン
杏子「これ笑うとこなのか?」
さやか「あったり前じゃん!あーおかしい」スッ
496: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:47:16.61 ID:c1/vMNdxo
ペラッ
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「……」ドキドキ
さやか「……」スッ
ペラッ
杏子「あっ」
さやか「あっ」
杏子「……死んだ」
さやか「死んだね」
さやか「えっと、次いこ次!」
杏子「お、おう」
497: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:47:44.31 ID:c1/vMNdxo
ペラッ
杏子「……」
さやか「……」スッ
ペラッ スッ
ペラッ スッ
ペラッ
ペラッ
ペラッ ペラッ
ペラッ ペラッ
杏子「……」
さやか「……」
杏子「はぁー……」
さやか「終わった……」
さやか「お疲れ様、ページありがと」
杏子「おう、おつかれ」
498: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 03:48:49.11 ID:c1/vMNdxo
杏子「いやー、今回もいい意味で予想を裏切ってくれたな」
さやか「全くだよ」
杏子「今度こそカバー裏行っていいか?」
さやか「うん、オッケー!」
ぺらり
さや杏「「ぶっ!?」」
さやか「なにこれ!なにこれ!!」
杏子「これはいくらなんでもやばいだろ!」
杏子「本編前に見なくてよかったわ……」
さやか「でしょー?ネタバレどころの騒ぎじゃないよこれ」
杏子「本当に毎度予想斜め上いくよな」
さやか「ね」
まどか(えへへ、平和的に済んだみたいでよかった)
おしまい
503: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 00:40:26.71 ID:EHfM9rRio
こんばんは、また近いうちじゃなくなっちゃったけど今夜もペロペロしながら投下です。
「深夜」
「深夜」
504: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 00:41:10.68 ID:EHfM9rRio
――深夜、さやかの部屋
さやか「zzz……zz……」
さやか「まどかぁ……ジョウロは美味しくないよ……むにゃ」
さやか「……」
さやか「飲み込んじゃだめ……飲み込んじゃだめだってば……」
さやか「だめ……だぇ…………ぐぅ」ゴロン
さやか「すぅ、すぅ……」
さやか「…………」
さやか「…………」
さやか「……」ムズムズ
さやか「……ふぇ――」
さやか「ふぇっくしっ!!」
さやか「ふぁ……あれ、夜だ」ゴシゴシ
さやか「眠……今何時ぃ……」
さやか「とけー、時計無い……携帯でいいか」
さやか「ねむ……ふわぁぁ、むにゃ」
さやか(あれ?時計ってどうやって見るんだっけ)カチカチ
さやか「……」カチカチ
さやか「あぁ、逆さまらった」
505: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:41:44.58 ID:EHfM9rRio
さやか「午前2時ぃ?眠いわけだわ」
さやか「何でこんな時間に目が覚めちゃっ――寒っ」ブルッ
さやか「なんなのよこの寒さは……」
さやか「……」ボフッ
さやか「……」モゾモゾ
さやか(布団をかぶってもなんか薄ら寒い。こんな事なら敷き毛布仕舞わなきゃよかったなぁ)
さやか「ふぇ……っくしっ!」
さやか(どうしよ、もう一枚上着着た方がいいのかな)
さやか(取りに行くのも面倒だけど)
さやか(……)
さやか(うぅぅ)
ごそごそ もぞっ
さやか「ふわぁ……よいしょっと」バサッ
がしゃん!
さやか「ぶえっ!?」
さやか(なんか落とした!)
506: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:42:22.50 ID:EHfM9rRio
さやか「暗くてなんも見えない……電気の紐も全然掴めないし」オロオロ
さやか「さっきのやつ壊れてなければいいんだけど」
さやか「何か明かりになるものは――お?」
さやか「おー、ソウルジェム明るいじゃん!」
ぴかーっ
さやか「へへ、ちょうどいい感じ」
さやか「えーと、さっきの音はこの辺りから……ああ、目覚まし時計が落っこちたのか」
さやか「普通に動いてるしたぶん大丈夫だよね。よしよし」
さやか「……あれ?あたしなんで布団から出たんだっけ」
さやか「…………」
さやか「……寒っ!」ブルブルッ
さやか「あー、そうだ上着だ」
さやか「電気つけるのも面倒だしこのままソウルジェムの明かりでいっか」
507: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:42:51.66 ID:EHfM9rRio
さやか「半纏ゲットー!」
さやか「さてもう一眠り――」
さやか「――あれ、待てよ」ピタ
さやか(ソウルジェム、光る、深夜)
さやか(しかも物がくっきり見えるくらい強く)
さやか(そもそもこの嫌な感じって……あれ?)
さやか「――――」
さやか「魔女だ!!!」
508: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:43:18.77 ID:EHfM9rRio
さやか「何で気がつかなかったんだ、あたしの馬鹿馬鹿!」
さやか「つーか相当近いじゃんこれ!方角は――まどかんち方面なのは偶然じゃないよね、ああもう!」
さやか「このまま変身して直行、着替える時間ももったいないわ」
さやか「深夜だし大丈夫っしょ!」
ピカッ
さやか「うっし、いくぞ!」
さやか「……ちょっと怖いけど、窓から」ドキドキ
さやか「飛ぶ!」
がちゃ
たんっ
さやか「ひょおおおおおお!」
さやか「うちって意外と高いとこにあったんだなぁぁぁあああっと」
すたんっ!
さやか「っしゃあ!着地!」
さやか(屋根から屋根へ跳ぶ練習しといてよかったー!マジで!!)
509: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:43:49.85 ID:EHfM9rRio
さやか(このまま一気に屋根伝いで……!)
ぽーん すとんっ
ぽーん たんっ
さやか「よっ ほっ とっ!」
ぽーん とんっ
たんっ とんっ たんっ
さやか「……気配が濃くなってきた」
さやか「やっぱりまどかの家方面だ……間に合ってくれよぉ」
すとんっ ぽーん とんっ
だんっ ザッ たたたっ
さやか「はぁ……はぁっ」
さやか「あと少し……!」
だんっ どんっ
ザッ ダンッ
510: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:44:42.80 ID:EHfM9rRio
さやか「はあ、はぁっ――――っ!?」
ザッ
さやか「……っ!!」
さやか「……魔女の気配が……消えた……?」
てくてく
さやか(誰かが先に狩ったのかな)
さやか(でも……こんな時間帯だし、気づくかなぁ)
さやか(魔女が移動したって感じでもなさそうだし)
さやか(一体……)
さやか「……んっ」
さやか「まどかんちの屋根の上に誰かいる……!?」
さやか「暗くてよく見えないな……」
さやか「……よし」ドキドキ
さやか(一応声をかけてみよう)
ぽーん
すとんっ
さやか「あのー、そこの人――って」
ほむら「あら、あなたも来たの。一足遅かったわね」
さやか「ほむら!」
さやか「なんだぁ、あんたも来てたんだ」
ほむら「魔女はもう私が狩ったわよ。取るに足らない相手だったわ」
さやか「マジ!?よかったぁ、あたしついさっき気がついたから焦っちゃってさ」
ほむら「礼には及ばないわ。当然の事をしたまでよ」
さやか「ところでまどかは大丈夫?訊くまでもないだろうけど」
ほむら「万が一被害があったとしたら私がこうして平静でいられると思う?」
さやか「だよねぇー」
511: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:45:14.29 ID:EHfM9rRio
さやか「はぁー、それにしてもマジびびったわ……あんたはいつ頃気づいたの?」
ほむら「1時過ぎかしらね。気配を消してじわじわ近づいてから、一気に飛び出したって感じだったわ」
さやか「そっか……使い魔上がり?」
ほむら「恐らくね」
さやか「……なんでまどかってこう、ヒロイン体質なんだろね?よく敵に目をつけられるってゆーかさ」
ほむら「そうね……素質の所為で魔女にとっても美味しそうな香りがするとかかしらね」
さやか「はぁー、マジか……美味しそうな素質ってなんだろ」
ほむら「知らないわよ」
さやか「やっぱイチゴの香りかなぁ」
ほむら「食べ物じゃないんだから……」
さやか「でもさ、実際まどかっていい香りするじゃん」
ほむら「……否定はしないわ」
さやか「でしょ?シャンプーの香りとも違う、なんかこうフワってする香り」
さやか「抱きつくとすごくよくわかるんだけどさ、あれ嗅ぐとなんとも幸せな気分になれるんだよね」
ほむら「……あなたって変態?」
さやか「ちょっ、違うよ!別に嗅ごうとして嗅いだ訳じゃないし!ってゆーかあんたも感じたこと無いの?」
ほむら「…………」
さやか「ねえったら」
ほむら「……一応、あるけれど……」
さやか「でっしょー!あれ癖になるよねぇ」
ほむら「……ああ、だからしょっちゅうまどかに抱きついているのね。変態だものね、納得がいったわ」
さやか「だからそういうんじゃないってば」
ほむら「信用できないわね、変態」
さやか「ぶー」
512: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:45:47.96 ID:EHfM9rRio
さやか「はぁ……あ。ねぇねぇ」
ほむら「?」
さやか「ちょっと空見てよ、星がすっごい事になってるよ」
ほむら「……そうね、よく晴れていて綺麗に見えるわね」
さやか「よっこらしょっと」ゴロン
ほむら「ちょっと、こんな所で寝転がったら服が汚れるわよ」
さやか「変身してるから大丈夫だって!ほむらも座って座って。ちょっと休んでいこうよ」
ほむら「全くあなたって人は……はぁ」パサッ ストン
さやか(あ、ハンカチを広げてから座るのね)
ほむら「…………」
さやか「……あー、あれってもしかして北極星?」
ほむら「たぶん……?」
さやか「あれめっちゃ明るいね」
ほむら「そうね」
さやか「……」
ほむら「……」
さやか「……あ、飛行機だ」
ほむら「…………」
513: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:46:14.68 ID:EHfM9rRio
さやか「……午前、二時ー、ふみきりーにー」
ほむら「……?」
さやか「望遠鏡を担いでったー♪」
さやか「べるっとにー結んだーラジオー」
ほむら「……ねぇ」
さやか「あーめーはー……何?」
ほむら「いきなり何を歌っているの」
さやか「いやぁ、ほらシチュエーションがさ。似てると思わない?」
ほむら「時間帯しか合ってないじゃない」
さやか「んもー、つれないなぁ」
ほむら「……はぁ」
514: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:46:42.05 ID:EHfM9rRio
さやか「ねぇほむら」
ほむら「何かしら」
さやか「どれがデネブ、アルタイル、ベガなの?」
ほむら「だから星は知らないわよ」
さやか「そっかぁ」
ほむら「……」
さやか「ねぇねぇ」
ほむら「……何?」
さやか「流れ星って全然無いんだね」
ほむら「そうね……そうそう頻繁に見られるものでもないと思うわよ」
さやか「そっかぁ」
ほむら「運がよければ、って物じゃないのかしら」
さやか「ふーん……」
515: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:47:24.19 ID:EHfM9rRio
ほむら「そろそろ帰りましょうか」
さやか「えー」
ほむら「何よ」
さやか「ねぇ、帰るのめんどくさいからこのまままどかんちに泊まっていかない?」
ほむら「……は?」
さやか「あたしさ、焦ってたもんだから変身解いたらこの下パジャマなのよ」
ほむら「えっ……」
さやか「このまま変身維持しながら帰るのもなんかアレだしさ。だったらいっそって思わない?」
ほむら「お、思わないわよ!そもそも、まどかに迷惑にかけたらどうするつもり?」
さやか「その辺は大丈夫だって!」
ほむら「その自信は一体どこから来るのよ……」
さやか「だからほら、一旦下に降りてまどかの部屋の窓からお邪魔させてもらおうよ」
ほむら「私に友達の家に不法侵入する手助けをしろというの?」
さやか「不法侵入とは人聞きが悪いなぁ」
ほむら「人聞きも何もないと思うけど」
516: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:48:05.66 ID:EHfM9rRio
さやか「あーあ、パジャマで歩いて帰ったら風邪ひいちゃうかもなー」チラッ
さやか「今日は一段と冷え込んでるし、風が寒いんだよなぁ」
さやか「もしかしたらまどかも寒くて凍えてるかもしれないなぁ、心配だわー」
さやか「それに変身維持するだけでも魔力使うしなぁ、GSがもったいないなぁー?」チラッ
ほむら「…………」
さやか「あたしは外から鍵開けられないからさ、ここは一つ頼むよ!ね、お願い!」
ほむら「……今回だけよ?」
さやか「やった!恩に着ますほむら様ー!」
ほむら「もしもまどかに迷惑をかけてしまうと判断したら、即刻引き返すわよ。いいわね?」
さやか「はーい!」
517: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:48:41.51 ID:EHfM9rRio
ほむら「ここが、こうなっていて……こっちに回せば」カチャカチャ
さやか「おぉぉ……」ドキドキ
ガチャガチャ カチャン
ほむら「開いたわ」ガラガラ
さやか「よっしゃ!暖かい布団だー!」
ほむら「ちょっと、声が大きいわよ!まどかが起きてしまったらどうするの」
さやか「おっとごめんごめん」
ほむら「全く……」
さやか「んじゃ早速変身を解いて、っと」パアッ
ほむら「…………」パァッ
さやか「あれ?」
さやか(ほむらも変身を解いたら……パジャマ?)
ほむら「な、何よぉ……」
さやか「あんたも下はパジャマだったんだなーって」
ほむら「私だって急いでいたんだもの、仕方がないじゃない」カァッ
さやか「ふーん?」ニヤニヤ
さやか(やっぱほむらも焦ったんだ、お揃いだねこりゃ)
ほむら「ニヤつかないでよ、失礼ね!大体あなただって人の事――」
さやか「あんま大きい声ださないでよ、まどかが起きちゃうじゃん」
ほむら「っ」
さやか(ひひひ)ニヤニヤ
518: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:49:10.72 ID:EHfM9rRio
さやか「ほむらどっち側がいい?」
ほむら「べ、別にどちらでも構わないわ」
さやか「そお?じゃああたし壁側ね。あんたまどかの左でよろしく」
ほむら「ええ……わかったわ」
さやか「ではお隣失礼」モゾモゾ
まどか「zzz……んぅ……」
さやか「ほら、ほむらもはいんなよ」
ほむら「……まどか、ごめんなさい……悪魔にそそのかされてしまった私を許して……」モゾモゾ
さやか「んふふ、暖かぁい……」ギュッ
まどか「すぅ、すぅ……zzz」
ほむら「……」ドキドキ
さやか「ふわぁぁ……安心したら眠気がやばいわ」
ほむら「そ、そうね……安心するわね」ドキドキドキ
さやか「んじゃおやすみぃ」
ほむら「お、おやすみなさい……」ドキドキドキ
さやか「ぐぅ……すぴー」
まどか「zzz……」
ほむら「……」
ドキドキ
ほむら(こ、これは)
まどか「んにゅぅ……すぅ、すぅ……」
ほむら(眠れない……ッ!!)ドキドキ
ドキドキ ドキドキドキドキ
519: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:50:03.82 ID:EHfM9rRio
ほむら(落ち着いて、落ち着くのよ私)
ほむら(そうだ羊を数えましょう。羊が一匹、羊が二匹……)
ほむら(――羊が63匹、羊が64……ああ、柵にぶつかってしまったわ、一から数えなおさないと……)
ほむら(羊が35匹、羊が36匹、羊が37匹――)
まどか「むにゃ……」
ゴロン
ほむら「!?」
ほむら(近い近い近い!近い、顔が近いわまどか!)ドキドキ
ほむら(いつからあなたはそんなふしだらな子になってしまったと言うの!?)
ほむら(そんな簡単に人に顔を近づけて……っ!ああ、まどか……)
ほむら(うぅぅ……羊が何匹だったか忘れてしまったわ、また一から数えなおさないと)
ほむら(羊が一匹……二匹……にひき……ひつ、じ……)
ほむら「…………」
まどか「すぅ、すぅ」
ほむら(あぁ、なんだかとても心が暖かくなるような……この香りは)
ほむら(まどか……)
ほむら(さっきさやかが言ったように、シャンプーとは違う、でもとてもいい香り)
ほむら(嗅いだ事のあるような、ないような……だけどとても懐かしい……)
ほむら(こうしているだけでとても安心するような……不思議な…………)
ほむら(…………)
ほむら「…………すぅ、すぅ……」
ほむら「…………」スヤスヤ
まどか「えへへ……しゃやかひゃん……むにゃ」
さやか「zzz……」
――――――――――――
――――――
520: 「深夜」 2013/04/13(土) 00:50:49.18 ID:EHfM9rRio
朝。
まどか「ふわぁ……」パチッ
まどか「ん……朝かぁ……」
まどか「夕べはとっても暖かくて良く眠れた気がするよ」
まどか「さ、起きてママを起こしに――」グイッ
まどか「――あれ?動けな」
さやか「すぴー」右腕ギュッ
ほむら「zzz……」左腕ギュッ
まどか「え?」
まどか「……えっ?」
おしまい
525: 「お着替え」 2013/04/16(火) 02:23:28.63 ID:gcMHyUkPo
朝、まどかの部屋
さやか「――かくかくしかじか、という訳でありまして……あはは」
ほむら「ごめんなさい、ごめんなさいまどか。私、あなたを困らせるような事はしたくなかったのに……!」
まどか「ほ、ほむらちゃん!?べ、別にそんな謝らなくても大丈夫だよ!」
ほむら「でも、でも!うぅ……グスッ」
さやか「ほーら、泣かないの!まどかが大丈夫だって言ってるんだから平気だって!」
ほむら「あなたは黙ってて!ああ、私は、私はなんて事を……いつも迷惑かけてばかりで……」
まどか「ほむらちゃん、本当に大丈夫だから泣かないで。それに迷惑だなんて思ってないよ、夕べだって暖かくしてくれたお陰ですっごく良く眠れたもん!」ナデナデ
ほむら「まどかぁ……」
さやか「あはは、ほむらは泣き虫だなぁ」
ほむら「ッ!!」キッ
さやか「!?」ビクッ
526: 「お着替え」 2013/04/16(火) 02:24:00.21 ID:gcMHyUkPo
まどか「あー、えっと。私、パパに朝ごはん二人分増やしてもらえるよう頼んでくるね!」
ほむら「いえ、そこまでしてもらう訳にはいかないわ。今すぐにでも窓からお暇させて――」
まどか「いいからいいから!ここで待ってて、ね?それに、せっかく来てくれたんだからゆっくりしていって欲しいし」
ほむら「まどか……ええ、わかったわ。あなたがそう言うのなら……」
キィ パタン
ほむら「……」
さやか「さーて、今のうちに着替えちゃいますか」
ほむら「え?着替えるって」
さやか「え?……あっ」
ほむら「……あなた、それ天然?」
さやか「割と……」
ほむら「そ、そうなの……」
さやか「…………」
ほむら「…………」
527: 「お着替え」 2013/04/16(火) 02:24:35.61 ID:gcMHyUkPo
さやか「ここでですね!驚きの事実そして提案があります!」
ほむら「大体読めるから言わなくていいわ」
さやか「えっ!?」
ほむら「どうせまどかの服を借りるとかいうのでしょう。私はまだサイズが合いそうだけど、あなたはどう考えても体格が違いすぎて入りっこないわよ」
さやか「んー、半分正解だけど半分ハズレかな」
ほむら「……?」
ほむら「! ちょっと、あなた勝手に人の家のクローゼットを漁ったり――って、それ」
さやか「じゃーん。この服なーんだ」
ぴらーん
ほむら「……まどかにしては随分可愛げの無い服ね。それに、どこかで見たような……これってもしかして、さやかの服?」
さやか「ちょ、酷い言い様だなぁオイ!」
ほむら「事実じゃない」
さやか「さらりと言わないでよ……まぁ、そんな訳であたしの服はまどかんちに一着だけ置かせてもらってあるのでございます」
ほむら「どういう訳よ、全然説明してないじゃない」
さやか「えぇーめんどくさい……」
ほむら「あなた夕べからなにかと"めんどくさい"で済まそうとしてない?」
さやか「チッ、バレたか」
ほむら「」イラッ
528: 「お着替え」 2013/04/16(火) 02:25:42.28 ID:gcMHyUkPo
さやか「ほら、あたしって何かとちょくちょくまどかんちに泊まるじゃん」
ほむら「そういえばそうね。認めたくない事実だけれど」
さやか「うちの両親とまどかの両親が親しいのは知ってるよね?」
ほむら「ええ」
さやか「それを踏まえた上で、条件その1。うちの両親は共働きで出張が多い」
さやか「条件その2、年頃の女の子を一人で家に置いていくのは心配である。よって、あたしは頻繁に鹿目家に預けられているってわけ」
ほむら「なるほどね」
さやか「そしてそして、条件その3!あたしは何かと色んな物事を忘れがちである!」
ふんすっ
ほむら「なんでそんな自慢そうに言うの……」
さやか「つまり、結論!あたしが着替えを忘れすぎたために採られた措置として"常に一着予備を置いておく"という事になったのだー!」
ほむら「」
ほむら「……さやか、あなたって本当に――」
さやか「んー?」
ほむら「いえ、何でもないわ……あぁ頭が痛い」ハァ
さやか「え、大丈夫?癒そうか?」
ほむら「余計に悪化しそうだから遠慮しておくわ」
529: 「お着替え」 2013/04/16(火) 02:26:49.59 ID:gcMHyUkPo
さやか「さやかちゃんの貴重な着替えシーン」
脱ぎ脱ぎ
ほむら「別に貴重でもなんでもないじゃない」
さやか「こういうのは言ったもん勝ちなんだよほむら」
ほむら「あなたは一体何と戦っているの……」
<ガチャ
まどか「二人ともお待たせー! ってさやかちゃん!?そ、そんな、ほむらちゃんと二人っきりの間に、脱いで、その、し、下着……っ!!」ワナワナ
さやか「あ、これ?この間新しいの買ったんだ、可愛いでしょ」
まどか(正直堪らないよ)
「――か、まど――」
まどか「……」
ほむら「まどか!」
まどか「はっ!?」
ほむら「まどか、どうしたの?やっぱりダメだったとか……?」
まどか「あっ、ううんなんでもないよ!大丈夫大丈夫、ちょっとびっくりしちゃっただけ」
530: 「お着替え」 2013/04/16(火) 02:27:53.49 ID:gcMHyUkPo
さやか「んでさ、まどか。ほむらの着替えなんだけど……まどかー?聞いてるー?」
まどか「……はっ!な、なにかなさやかちゃん?」
さやか「あたしは着替えがあったからいいんだけど、ほむらのは無いからさ。悪いけど何か貸してやってもらってもいいかな?」
まどか「あ、なるほどね。それはもちろんだよ!でも私の服で身体入るかなぁ」
さやか「その点は心配ないと思うよ、ほむらって細身だし」
ほむら「何から何までごめんなさい……」シュン
まどか「そ、そんな縮こまらないで!そうだなぁ、どんなのが似合うかなー」
ゴソゴソ
さやか「そういえば、靴は置いてないから部分的に魔法少女の衣装を使っちゃおうと思うんだけどさ」
まどか「じゃあロングスカートがいいかな?ほむらちゃんの靴って特徴的だし」
さやか「ふむふむ……そしたらトップスはこれかな」ピラ
まどか「もうちょっと落ち着いた感じのが似合いそうじゃない?これとか」ヒョイ
さやか「あ、いいねぇ!」
まどか「これにカーディガンを羽織って、ベルトはこれで」
ひょい ひょい
さやか「カーディガンはこっちのが似合いそうじゃない?」
ひょい
まどか「そしたらスカートはやっぱりこの色のほうが」
ひょいひょい
ほむら「あわわ……あっという間に服が山のように」
さやか「でさ、それならこれとかこれとか――」
まどか「可愛い!あ、これも似合うかも――」
きゃいきゃい
ひょいポイ ひょいポイ
ひょいポイ ひょい ひょい ひょい
ほむら「あわわわわわ」ガクガク
531: 「お着替え」 2013/04/16(火) 02:28:21.78 ID:gcMHyUkPo
さやか「おー、可愛いじゃん!それならベルトはこれか……それともこっちかを合わせるのはどうだろう」
まどか「それならこのブローチなんかいいんじゃないかな」
さやか「いいねぇ!じゃあ、コーディネートはこんな感じでいいかな」
まどか「うんうん、ばっちりだよ!――ほむらちゃん」
ほむら「ひゃ、ひゃいっ!?」ビクッ
まどか「これとこれとこれ、あとこのブローチとその他諸々を着てみてくれないかな?」
ほむら「これ全部!?」
まどか「うん!ほむらちゃんに似合うといいんだけど……」
さやか「あたしは絶対に似合うと思う!」
ほむら「ま、まどかの見立てなら間違いないわ!今すぐ着替えるからちょっと待ってて」
まどか「わくわく」
数分後
ほむら「ど……どうかしら」ドキドキ
さやか「……まどか」
まどか「なぁに、さやかちゃん」
さやか「やっぱ地が違うとヤバいね」
まどか「うん、言いたい事はわかるよ」
ほむら「ふぇっ……?」
さやか「あぁもうなんでこう美少女ってズルイかなぁ!思わず抱きついて頬ずりしたくなっちゃうじゃん!!」
まどか「せっかくだから写メ撮ってもいいかな!?一枚だけ、いちまいだけだから!」
ほむら「!?」
532: 「お着替え」 2013/04/16(火) 02:28:47.97 ID:gcMHyUkPo
<まどかー!さやかちゃんにほむらちゃんも、朝ごはんできたからおいでー!
まどか「あっ、はーい!今いきまーす!」
ほむら(助かった……)ホッ
さやか「おはよーございまーす」
まど父「おはよう、さやかちゃん。ゆうべは空を飛んできたんだって?」
さやか「はい!ほむらと二人で夜空をすっ飛んできました!」
ほむら「!? ちょっとあなた……!」
さやか「痛っ!?やったなこのやろー、さっきまであんなしおらしかったのにっ!」
ほむら「誰のせいよ、誰の!」
ぎゃあぎゃあ
まど父「あははは、仲が良くて羨ましいよ。ほむらちゃんもゆっくりしていってね」
ほむら「あ、ひゃ、はいぃっ!!」
さやか(あ、噛んだ)
まどか(噛んだ)
まど父(噛んだね)
おしまい
538: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/19(金) 02:01:34.75 ID:pObu4iGQo
――放課後、屋上へ通じる扉の前
がちゃ ズドン!
さやか「……? あれ、開かない」
がちゃ がちゃがちゃ
ドンドンドン がちゃがちゃ
ガンガン ゴン! がちゃ ゴスン!
さやか「うっわ、マジで!?嘘でしょ!」
まどか「もしかして鍵閉まってる?」
さやか「うん……せっかく階段上ってきたのにないわー」ハァ
まどか「昼休みは開いてたのにね……」
さやか「くっそ!開け、開けよこのー!」
がっちゃがっちゃ
まどか「そ、そんなに乱暴に回したら壊れちゃうよぉ!」
さやか「ぐぬぬ……」
まどか「私鍵取りに行ってこようか?」
さやか「いいよ、わざわざ職員室まで降りるのもなんだし。あーあ、ほむらがいればピッキング頼むんだけどなー」
まどか「今日は先に帰っちゃったもんね」
539: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/19(金) 02:02:00.58 ID:pObu4iGQo
まどか「うーん、今日は屋上はやめて芝生行こっか」
さやか「でもなんかこのまま戻るのも悔しいし――あ」
まどか「?」
さやか「そうだ、いいこと思いついちゃった」
まどか「なになに、どうしたの?」
さやか「じゃーん!ヘアピンー!」
まどか「わ、普通の黒いやつも持ってたんだ!」
さやか「へっへー。この間机の近くに落ちてたから拾ってポケットに入れたのを思い出したのだ!」
まどか「あー、ヘアピンってなんかよく落ちてるよねぇ」
さやか「なんなんだろうねあの現象」
540: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/19(金) 02:02:27.27 ID:pObu4iGQo
さやか「よーし、それじゃ早速一肌脱いじゃいますか!」チャッ
まどか「えっ、さやかちゃんそれできるの?」
さやか「やったことないけどたぶんいけるっしょ」
まどか「えっ」
さやか「こうやってピンを鍵穴に突っ込んで、くるっと回せば……」
すかっ
さやか「……全く手ごたえがない。もちろん鍵も開いてない」
まどか「当たり前だよ……」
さやか「でもでも、映画とかだと余裕っぽくやってるじゃん!」
まどか「きっと大人の都合ってやつだよ」
さやか「えぇー」
541: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/19(金) 02:02:54.33 ID:pObu4iGQo
さやか「もう一回!もう一回だけ!」
まどか「仕方ないなぁ」
さやか(ピンを突っ込んで回すだけじゃダメなのか。だとしたら加えられる手は何だ?)
さやか(そもそも鍵穴の構造は……だめだ、さっぱり思いつかない)
さやか(悔しいけどこういうところはほむらや杏子には勝てないんだよなぁ。何気にマミさんもリボンで鍵造ったりして開けられそうだし)
さやか(……はっ!だとしたら開けられないのってもしかしてあたしだけ!?ますますダメじゃん!)
さやか(これはやっぱりヘアピン鍵開けを練習しなきゃいけないって事だよな、うんうん)
さやか(映画だとどうやってたっけ?確かピンを挿しいれてドアに耳をつけて、くるくるっと――って)
さやか(そうか、音を聞かなくちゃいけないんだ!)
さやか(金庫開けとかでも聴診器つかってるもんね、きっとそうだよ。あたしって頭いーっ!)
まどか(さやかちゃん考え込んじゃった……)
さやか(そうと決まったらまずは実行!とりあえず突っ込んで音を聞いてみよう)
すっ
まどか「!」
さやか「むむむ……」カチャカチャ
さやか(中々いい感じの手ごたえがないなぁ)
<カチャ
さやか「おっ」
まどか「お?」
さやか(なんか本格的っぽい音がした!)
さやか(しかも手ごたえアリ、これは確実に何かに引っかかってるはず!)カチャカチャ
まどか「……」ドキドキ
542: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/19(金) 02:03:22.60 ID:pObu4iGQo
さやか(ここからが肝心だぞ、慎重にピンを捻って……)
ぐぐぐ
さやか(あれ?意外と固いな……もう一回捻ってっ)
ぐぐ
さやか(ひ、捻……)
ぐぐぐぐっ
さやか(むぎぎぎぎぎ)
ぐいっ ぐぐぐぐぐ
ぐぐぐぐぐっ
さやか「ぜっ……」
さやか「全然回らーんっ!!」ゼーハー
まどか「さやかちゃん!?」
543: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/19(金) 02:04:02.82 ID:pObu4iGQo
さやか「予想以上に固いよ!なんなのこれ!」
まどか「さやかちゃん落ち着いて!」
さやか「こうなったら全身全霊を持って相手してやろうじゃないか!うおりゃあああああ!」
ぐいっ ぐぐぐぐぐ
さやか「ふんぬぬぬぬ」
まどか「さやかちゃん、ピンがすごいしなってるよ!?」
さやか「だいじょー、ぶっ……! 今、開くから……っ!」
まどか「うわわわ……」ドキドキ
さやか「ちくしょーっ、負けるもんかぁーッ!!」
さやか(魔力を筋肉に循環させて!ヘアピンの硬度を上げて――今だ!!)
さやか「ま、わ、れぇぇぇ!」
ぐぐぐぐぐっ――
ボキンッ
さやか「ふひゃっ!?」ドスン
まどか「さやかちゃん!大丈夫!?」
さやか「痛ててて……尻餅ついちゃったよ――あっ」
まどか「あわわ、保健室に――? あっ!?」
元ヘアピン「ぽっきり」
544: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/19(金) 02:04:39.63 ID:pObu4iGQo
さやか「…………」
まどか「…………」
さやか「……折れた」
まどか「折れちゃったね……」
さやか「…………」
まどか「…………」
さやか「破片その辺に落ちてない?」
まどか「うーん……ちょっと見当たらないかも」
さやか「って事は、まだ鍵穴の中に……」
まどか「……もしかしたら壊れちゃった、かな……」
さやか「…………」
まどか「…………」
さやか「……ず」
まどか「ず?」
さやか「ずらかるぞおおおおおっ!!」
まどか「あわわわわ」
……後日
先生「先日、屋上の扉の鍵が破壊されるという事件が起きました」
さやか「」
まどか「」
生徒達「ざわざわざわ……」
545: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/19(金) 02:05:07.96 ID:pObu4iGQo
先生「内部には強い力を加えた跡と、小さな鉄片が残されていたそうです」
先生「常識では考えられないくらいの負荷だったそうなので、犯人は男子生徒の可能性が高いそうです」
先生「男子の皆さん、この様な蛮行を行った生徒は素直に申し出るように!女子の皆さん、公共の物を大事にしないような男とは交際しないように!」
仁美「まあ怖い、一体誰がそのような事を……」
さやか「あは、あははは」
まどか「こ、怖いね……あははは」
ほむら「…………」
ほむら『美樹さやか』
さやか『ふひゃいっ!?ご、ごめんなさい!あたしが壊しました!!』ビクッ
ほむら『やっぱり……あなたはどこまで愚かなの!?』
ほむら『あれほどまどかを巻き込むなと言ったでしょう!』
さやか『そっち!?』
ほむら『大体あなたは軽率な行動が多すぎるのよ、この間の事にしても今回の事にしても――』クドクド
さやか(うえぇぇぇ……)
おしまい
549: 「雨」 2013/04/24(水) 04:30:49.15 ID:7WPEOrxqo
――見滝原住宅地、雨。
ザァ ザァァァ
さやか「うへぇ……嫌な天気」
さやか「あちこち水溜りだらけだし。せっかく久しぶりに三人でパトロールだってのに!」
マミ「本当にね。それに少し寒いわね……うぅ、もうちょっと厚着してくればよかった」
さやか「ゆうべからずーっとですもんね、この雨」
マミ「お陰で洗濯物が干せなくて困るわ」
さやか「ははぁ、そういう悩みもありますか」
マミ「一人暮らしは結構大変なのよ?ね、暁美さん」
ほむら「そうね、あまり楽ではないのは確かね」
さやか「ふーん……」
てくてく てくてく
550: 「雨」 2013/04/24(水) 04:31:40.76 ID:7WPEOrxqo
マミ「っくしゅん!」
さやか「! マミさん大丈夫ですか?」
マミ「ええ、ありがとう……ちょっと身体が冷えちゃったみたい」
さやか「そうだ、あたしの上着貸しますよ!へへ、こういうの一度はやってみたかったんだ」ヌギヌギ
マミ「ええ!?そ、そこまでしなくても大丈夫よ!」
さやか「え、せっかく脱いだのに」
マミ「ごめんなさいね手間かけさせちゃって」
マミ「でもそれで美樹さんが風邪ひいちゃったら私も困るわ、だから気持ちだけ受け取っておくわね」ニコ
さやか「そうですか……」シュン
ほむら「……」
ほむら「今日のパトロールは早めに切り上げましょう」
ほむら「風邪をひいてしまっては元も子もないわ」
さやか「あ、さんせー!あたし早くマミさんちであったかいお茶飲みたい!」
マミ「ふふ、美樹さんったら……でもこういう日は魔女も出やすいから、一応気は引き締めておくのよ?」
さやか「はーい」
551: 「雨」 2013/04/24(水) 04:32:06.90 ID:7WPEOrxqo
ザァザァ ぴちゃぴちゃ てくてく
ザァァ……
ほむら「こことあと1地区回ったら、杏子と合流して終わりね」
さやか「あいつ今日は風見野だっけ?」
ほむら「いいえ、パトロールではなくてアルバイトだそうよ」
さやか「バイト!?中学生ってバイトできたっけ!?」
マミ「そこら辺はなんとか誤魔化してやっているみたいね」
さやか「ほへぇー、器用だなぁ!」
マミ「あの子の場合は必要に迫られたっていうのが大きいでしょうね」
さやか「あっ……そう、ですよね……」
マミ「私のところで暮らしてくれてもよかったんだけど……頼りきりになりたくないからって断られちゃった」
さやか「え」
ほむら「私もよ。"あんたの両親にまで世話はかけらんねぇ"ですって」
さやか「そんな事が……あたし、全然知らなかった」
マミ「まったく、佐倉さんったらいつも心配ばかりかけさせてくれるわ。本当に……」
ザァ ザァ
さやか「……」トコトコ
マミ「……」トコトコ
ほむら「……」トコトコ
ザァ ザァァァ……
さやか(く)
三人(((空気が重い……!)))
552: 「雨」 2013/04/24(水) 04:32:56.83 ID:7WPEOrxqo
マミ「そっ、そういえば!美樹さんのその傘ってもしかして新品?」
さやか「! そ、そうそう!そうなんです、わかります?これ先週買ったばっかなんです!」
マミ「あ、やっぱり!可愛い水玉模様ね」
さやか「えへへ、ありがとうございます」
マミ「それにしても随分大きな傘ねぇ」
さやか「でしょー!なーんと直径110cm、しかも超撥水加工、レア物ですよ!」フンス
マミ「へ、へぇ……?ええと、普通の直径はどれくらいなの?」
さやか「そうですね、普通の女性用だと1mより小さめのが多いですね」
ほむら「へえ、良く知ってるわね」
さやか「まぁ店員さんの受け売りなんだけどね」
ほむら「ああ……」
さやか「むー、なんだよその納得顔!」
553: 「雨」 2013/04/24(水) 04:33:23.17 ID:7WPEOrxqo
マミ「超撥水加工っていうのは?」
さやか「なんかこれ、表面にテフロンが塗ってあるらしいですよ」
マミ「テフロン!?ってフライパンとかの?」
さやか「そうそう、あのテフロン。良く見ると表面についた水が玉になってコロコロ転がり落ちてるんですよ」
さやか「だからゲリラ豪雨が降ろうと泥水が降ろうと弾いてくれるんだそうです。かっこいいでしょ!」
マミ「ど、泥水……そうね、かっこいいわね?」ニコリ
さやか「えへへ」
さやか「しかも、グリップの形もこだわってて握りやすいし、濡れても滑りにくいラバー製!」
ほむら「……それも店員さんから?」
さやか「もちろん!色々詳しく説明してくれてとってもいい人だったよ」
ほむら「そう、それはよかったわね。ちなみに値段は?」
さやか「えーと、2500円くらいだったかな?」
マミ(高いのか安いのか判断に困るわね)
ほむら(思ったより現実的な値段でよかったわ……もっとぼったくられてると思ったけど)
さやか(ほむらも欲しいのかな?でも結構遠いお店だったしなぁ)
てくてく ぴちゃぴちゃ
554: 「雨」 2013/04/24(水) 04:33:51.52 ID:7WPEOrxqo
マミ「……ふぅ」
マミ「これで最後の地区ね。結局使い魔が一匹出ただけだったわね」
さやか「むー、魔女が出たら一発でっかいのかましてやろうと思ってたのになぁ」
ほむら「あなたね、それこそ浪費というものよ」
さやか「あたし何か浪費したっけ」
ほむら「……色々とね」
さやか「?」
さやか「そうだ、杏子との連絡は?」
ほむら「順当よ。道中も魔女反応はゼロ、もうすぐ合流地点に着くそうよ」
さやか「そっかぁ……平和なのかな、一応」
マミ「なら私達も急がなくちゃね。この雨の中待たせるのは悪いわ」
555: 「雨」 2013/04/24(水) 04:34:29.15 ID:7WPEOrxqo
ザァザァ ぴちゃぴちゃ
てくてく てくてく
マミ「今日は帰ったらどのお茶を淹れようかしら」
さやか「あたしマミさんの淹れてくれたお茶ならどれも美味しいから大好きです!」
マミ「あらあら、褒めすぎよ。うふふ」
さやか「くぅ~っ!照れた顔もまぶしいっすマミさん!雨も晴れ上がる勢いですよもう!」
マミ「美樹さんったらもう……ふふ」
ほむら「……」
さやか「んー?どうしたのほむら、もしかして嫉妬しちゃったり?」ニヤニヤ
ほむら「 は?」
ゴゴゴゴゴゴゴ
さやか「ご、ごめん」
ほむら「わかればいいのよ」
マミ(暁美さんってあんな表情もできるのね)
556: 「雨」 2013/04/24(水) 04:34:56.45 ID:7WPEOrxqo
ほむら「さて、この道を抜けた先を右に曲がったとこのパン屋さんが合流地点よ」
さやか「パン屋!ねぇ、覗いていってもいい?」
マミ「佐倉さんはもう既に何か買い食いしてそうね」
さやか「あはは、確かに」
ざぁざぁ てくてく
さやか「――ん」
さやか(車が道に入ってきた。あーあー、結構スピード出してるなアレ……雨降ってるっつーのにさぁ)
さやか(まあ、道は広いし歩道もあるから大丈夫だろうけど)
マミ「~~♪」
ほむら「……」トコトコ
さやか「……あっ!」
さやか(車道に水溜り!!)
車「ブロロロ」
557: 「雨」 2013/04/24(水) 04:35:47.62 ID:7WPEOrxqo
さやか(どうする、このままだと確実に水が跳ね上がる。しかも結構派手に)
さやか(あの車は遠慮ナシに突っ込んできそうだし)
さやか(位置的にマミさんにダイレクトヒットするだろうな……マミさん本人も水溜りに気がついてなさそう)
さやか(こ、この流れはまさかアレをやるしかないのか!?)
さやか「――くっ!」
だっ
マミ「美樹さん?急に走って来てどうしたの」
車「ブロロロロ」
さやか「この傘なら……あたしの傘ならきっとできるッ!!」バッ
マミ「えっ? 何、何!? そ、そんな事したらあなたが濡れて――!」
さやか(傘を横に構えて、盾に――!)
車「ぶおおおお」
すばしゃああああああ!
さやか「うおおおおお!」
マミ「きゃああっ!?」
558: 「雨」 2013/04/24(水) 04:36:30.20 ID:7WPEOrxqo
マミ「……」
ほむら「……」
さやか「……」ポタポタ
さやか(傘の縦幅が足りなかった)
ほむら「……読みが甘かったわね」
さやか「気がついてたんなら助けてよ」ポタポタ
ほむら「マミならあの程度どうって事無いと踏んでいたのよ」
さやか「え」
マミ「そ、そうね……あのくらいの跳ね上げならリボンでなんとか、って」
さやか「」
マミ「あ、ありがとう美樹さん!あなたのお陰で助かったわ!水溜りなんて全然気がつかなかったし、これ以上濡れたりして寒くなったら私はきっと風邪ひいちゃっていただろうし、本当にありがとう!かっこよかったわよ!」
さやか「いいんです、そんな気を使わないで下さい……」
マミ「……美樹さん」
さやか「へへ、盾にもなれないなんてあたしゃ前衛失格ですよ」ドヨン
マミ「そんな!今回は運が悪かっただけよ、だから元気を出して? ね?」
さやか「大丈夫、いいんです本当に、あたしって……あー、靴ん中水入っちゃったなこれ」ジャボジャボ
マミ「……」
ほむら「マミ」ポン
マミ「暁美さん」
ほむら「あなたは悪くないわ」
マミ「でも……」
ほむら「全ては間と天気とあの車が悪かったのよ……」
マミ「……そうね……」
さやか「……」ジャボジャボ
559: 「雨」 2013/04/24(水) 04:37:10.69 ID:7WPEOrxqo
杏子「よう、遅かったじゃねーか……って」
さやか「あー、きょうこー。おまたへー」
びっちょり
杏子「一体何があったってんだよオイ……ずぶ濡れじゃねぇか!」
マミ「……」フイッ
さやか「……」プルプル
ほむら「ごめんなさい、今は訊かないであげて」
杏子「……はぁ。まぁいいや、さっさとマミんち行こう」
さやか「おー」
杏子「の、前に。あんたはこれ着ときな」
ふわ
さやか「……おー?うわぎ?」
杏子「前側が透けてるぞ、色々と」
さやか「へっ?マジで!?」
杏子「気がついてなかったのかよ!?」
さやか「ぜんぜん。あ、チャック閉めとこ」
杏子「ハァ……これだからこいつは、全く手間のかかる」
ほむら「同感ね」
おしまい
564: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 04:06:45.65 ID:sAxvCMHzo
佐倉の教会 居住スペースにて
さやか「ふぅ、ふぅ」
さやか「よいしょ……っと。風呂掃除も楽じゃないな、ったく」
ゴシゴシ きゅっきゅ
さやか「……ふぅ」
さやか(お、終わりが見えない……)
ゴシゴシ ゴシゴシ
ゴシゴシ ゴシゴシ
さやか「しっかし腰にくるなコレ。この年でぎっくり腰とか冗談じゃないわ」
さやか「……はぁ。ちゃっちゃとやってさっさと終わらせちゃいますか」
ゴシゴシ ゴシゴシ
565: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 04:07:13.43 ID:sAxvCMHzo
さやか「あっ」
さやか「まーた洗剤空になった。これで2本目か……今度から薄めて使おうかな」
さやか「環境に優しくないったらありゃしないよ」
さやか「つーか、こんだけやってまだ半分も終わらないとかどんだけ汚いんだよこの家!」
さやか「……はぁ」
さやか「ま、仕方ないか」
さやか「少なくとも2年は放置されてたんだからこれくらいで済んでよかったほうだよね、きっと」
ゴシゴシ ゴシゴシ
ゴシゴシ ゴシゴシ
さやか(木製の壁にひび割れたタイルの床。蜘蛛の巣はそこらじゅう張ってるし、カビは生え放題)
さやか(正直、こんなに荒れてるとは思わなかったよ……)
さやか(いっそ壁は全部張り替えた方が早い気がしてきた。っていうか実際そうじゃね?これ全部綺麗にするのは無理だって)
さやか(うんうん、我ながらいい考え!後で提案してみよ)
566: 「掃除」 2013/04/30(火) 04:07:56.22 ID:sAxvCMHzo
マミ「美樹さーん!そろそろお昼になるから休憩してご飯たべましょ!」
さやか「マジっすか!?待ってましたぁっ!ひゃっほーい!」
がばっ
ズキン!
さやか「っととと、急に立ったら腰がっ……!」
マミ「だ、大丈夫!?」
さやか「あっハイすいません大丈夫っす!今いきま――ったい!痛い!」
マミ「美樹さん!」ガシッ
さやか「ぜぇ、はぁ……すいませんちょっと手ぇ貸してもらえますか……」
マミ「無茶しすぎよ、もう。ほらつかまって?」
さやか「ほんとすいません……」
マミ「それじゃあ佐倉さんも呼んでくるから、ここでちょっと休んでてね」
さやか「はーい」
567: 「掃除」 2013/04/30(火) 04:08:23.27 ID:sAxvCMHzo
さやか「んーっ……いててて、背中ぼきぼきいってるよ」
さやか「はーあ、風呂桶磨きに集中しすぎた……」
さやか「これじゃまた杏子に"加減を覚えろ"って説教されちゃうよ」
さやか「同い年なのに説教とか冗談じゃないよ、全く」ブツブツ
さやか「――しかしまぁ……」
きょろきょろ
さやか(この居間だけは綺麗なんだよなぁ、驚いたことに)
さやか(前から一人で着手してたんだっけ)
さやか(あいつ本気でここに住むつもりなんだな……)
さやか(マミさんちに掃除道具を借りに来た時はびっくりしたけど、なんだかんだでそれなりに片付いてるじゃん)
マミ「お待たせ。もうすぐ降りてくるそうだから先に始めちゃいましょ」
さやか「あ、はい!」
さやか「えへへ、久しぶりにマミさんのお弁当だ!」
マミ「うふふ。今日はサンドイッチにしてみたわ」
ぱかっ
さやか「わぁー……!すごい、マジでバスケットに入ってる!漫画みたい!」
マミ「もう、さっきも見たでしょ?」
さやか「さっきは外見しか見てませんし!こうして改めて中を見てみると、感動的っすよマジで」
さやか「ほら、この大きいパンを丸ごと一個くりぬいて使ったサンドイッチとか!お約束的存在だけにワクワクもぶっちぎりですよ!」
マミ「そ、そう?そう言ってもらえると頑張った甲斐があるわ」テレ
568: 「掃除」 2013/04/30(火) 04:09:29.08 ID:sAxvCMHzo
さやか「わ、この水筒は紅茶なんですね」
マミ「甘めのミルクティーにしてみたわ。美樹さんこれ好きでしょう?」
さやか「! だ、大好きです!でもあたしマミさんにその事言ったっけ……?」
マミ「うふふ、それは鹿目さんから――」
まどか「さやかちゃん!!!」バターン
さやマミ「「!?」」
さやか「ま、まどかぁ!?なんでここにいんの!?」
まどか「さやかちゃん、今日ほむらちゃんと3人でお買い物にいく約束忘れてたでしょ」プクー
さやか「……あっ!」
マミ「あら……それは……ど、どうしましょ……」オロオロ
まどか「ほむらちゃん、本気で怒ってるよ……」
マミ「!」ビクッ
さやか「マジ!?悪いことしちゃったなぁ」
まどか「それで、ほむらちゃんがすごい勢いで探してここにたどり着いたんだけど――あっ」
さやか「まど……こ、この気迫は!?」ゾクッ
ほむら「美樹さやか。その約束すら忘れがちな残念頭脳とのお別れは済んだかしら」
さやか「ほ、ほむら……!」
569: 「掃除」 2013/04/30(火) 04:09:59.08 ID:sAxvCMHzo
ツカツカツカ
ドスン!
さやか「っ!」
まどか「さやかちゃん!」
ほむら「まどかとの約束すら覚えていられないようじゃ、先が思いやられるわね」ギリギリ
さやか「ぐっ……ご、ごめん……」
ほむら「謝って済むと思ってるのかしら?それほどにあなたの脳みそは残念なの?」
ほむら「あなたのためにまどかは朝からずっと待っていたのよ、わかる?」
さやか「!」
ほむら「待ち合わせ時間の30分も前から同じ場所で、何度も何度も"さやかちゃん遅いね"、"さやかちゃんまだかなぁ"、"さやかちゃん、さやかちゃん"って」ギリッ
まどか「あわわわ」
マミ(うわぁ)
ほむら「確かに私と日常会話をして暇をつぶしたりはしていたわ。でもね、まどかはずっとあなたを待っていた」
ほむら「私だけじゃダメなの!美樹さやか、悔しいけれどあなたがいないとまどかはとても悲しむ……どうしてそれがわからないの!このばか!」
まどか「ほむらちゃん!?そ、そこまで言わなくても」
さやか「ええと、あの、それって……」
ほむら「…………」
さやか「……」
さやか「……っ」
さやか「まどか」
まどか「な、なぁに?さやかちゃん」
さやか「約束すっぽかしてごめん!」
ガバッ!
マミ「!?」
まどか「ちょっ、土下座なんてやめてよ!手が汚れちゃうよ!」
さやか「ほむらも」
ほむら「!」
さやか「約束破ったりして本当にごめん。悪気がなかったっていっても、理由にはならないよね。本当にごめん」
ほむら「……」
まどか「さやかちゃん……」
570: 「掃除」 2013/04/30(火) 04:10:26.95 ID:sAxvCMHzo
まどか「……」
ほむら「……」
さやか「……」
マミ「…………」
まどか「……なんちゃって」
さやか「へっ!?」
まどか「えへへ、驚いた?ごめんね」
さやか「何、何がおこってるの!?」
ほむら「ちょっとしたドッキリよ」
まどか「さやかちゃんたらすっかり私達の事忘れちゃってるんだもん!酷いよねーってほむらちゃんと話してて思いついたんだ」
ほむら「まさか土下座が見られるとは思ってなかったけれどね」
さやか「はい……?」
マミ「えっ、えっ!? 私は何がなんだかもうさっぱりよ……」
571: 「掃除」 2013/04/30(火) 04:11:03.81 ID:sAxvCMHzo
杏子「おーい、もう入っていいか?」
マミ「佐倉さん!遅かったじゃない!」
杏子「そりゃあいつらに頼まれたからずっとドアの前で待機してたんだよ。ホレ、預かりもん」ドサ
まどか「杏子ちゃん、待たせちゃってごめんね」
杏子「んなこた別にいいよ。むしろこれのお礼を言いたいくらいさ」
さやか「スーパーの袋?3つも……」
まどか「ほむらちゃんがここを見つけ出したって言ったけど、それって実は結構前の事なんだ」
さやか「え!?どゆこと?」
ほむら「どういう事もなにも、杏子にあなたの居場所を訊いたら一発だったってだけよ」
さやか「……はい?」
まどか「だからね、1時間くらい前にはもう見つけてたの」
さやか「マジで!?じゃあなんで連絡くれなかったのさ!」
ほむら「それってあなたが言える事かしら」
さやか「うっ」
572: 「掃除」 2013/04/30(火) 04:12:08.58 ID:sAxvCMHzo
まどか「杏子ちゃん、ほむらちゃんから事情を聞いたよ。ここに住むことにしたんだって?」
杏子「ああ。いつまでもその日暮しじゃ体も財布ももたねぇからな。寝床だけでも確保しとこうと思って。
杏子「ここなら川も近いし、電気はまぁ……なんとかなるだろ。アパート借りる金もねぇしな」
杏子「住めば都って言うくらいだし、しばらくすればここも快適になるだろうさ」
まどか「杏子ちゃん……」
杏子「なぁーにしんみりしてんだよ!それより昼飯食おうぜ!」
マミ「そ、そうね……あっ!?」
さやか「マミさん?」
マミ「ええと、あの……」
さやか「どうしたんです?何か忘れ物とか」
マミ「とても言い難いのだけれど、私、お弁当三人分しか、その……」
ほむら「ああ、それなら心配無いわ」
まどか「スーパーでお惣菜いっぱい買ってきたんです。マミさんの手作りにはかなわないけど、足しになればって……えへへ」
杏子「エビフライは?」
まどか「もちろん買ってきたよ!」
杏子「っしゃ!」
マミ「よかったぁ、佐倉さんったらたくさん食べるんだもの。これだけあれば十分ね、助かったわ」
ほむら「礼には及ばないわ」
573: 「掃除」 2013/04/30(火) 04:12:35.02 ID:sAxvCMHzo
さやか「あれ、こっちの袋は食べ物じゃないんだ?」ガサゴソ
まどか「あ、その袋はうちとほむらちゃんちから雑巾なんかをたくさんもってきたの」
さやか「ほえー……ずいぶんあるねぇ」
杏子「ああ、それあたしが頼んだんだ。用意した分じゃ足りそうになかったからさ」モグモグ
さやか「なーるほどね」
さやか「――って杏子!何あんた一人で食べ始めてるのさ!」
杏子「いいじゃん別に」
さやか「よくない!あたしも玉子サンド食べる!」
マミ「もぐもぐ……はい、どうぞ」ニコ
まどか「さやかひゃん、ハムサンドもおいしいよ!」
さやか「え?あ、ありがとうございます……なんだみんな食べてたんだ……」
杏子「ほむらー、フライのパック開けてもいい?」
ほむら「お好きにどうぞ。焼き鳥もあるわよ」
さやか「……なんか焼き鳥のチョイスが親父臭いね」
ほむら「……言っておくけど、選んだのはまどかよ」
さやか「えっ」
まどか「どしたのさやかちゃん?」
さやか「い、いやなんでも……じゃあ砂肝もらおうかな」
まどか「えへへ、砂肝おいしいよね!はいどうぞ」
さやか「あ、ありがとまどか」
杏子「レバーうめぇ」
おしまい
578: 「G」 2013/05/09(木) 01:39:39.94 ID:+N2K5BgMo
とある午後、ほむら宅
さやか「でさー、そん時まどかがさー!」
まどか「ちょっ、さやかちゃん!? それは言わない約束だって言ったのに!」
仁美「あらあらまあまあ」
きゃっきゃ ウフフ
わいわい さやさや
ほむら「…………」
ほむら(……ええと、美味しいアイスティーにするには確か……)
カチャカチャ
カラン、トポポポポ……
ほむら「ん、いい感じ」
ほむら「……――」チラ
<まどかはあたしの嫁になるのだ~!
<きゃぁぁぁぁ
ほむら(……よかった、みんな楽しそうね)ホッ
579: 「G」 2013/05/09(木) 01:40:08.65 ID:+N2K5BgMo
ほむら(今日はまどかにさやか、仁美の三人がうちに遊びにきてくれてる)
ほむら(友達をこの家に招くのは久しぶりだから、ちょっとドキドキするわね……)
ほむら(……正直、内装とかにはあまり自信は無いのだけれど……結局、よくあるボロアパートの一室そのままになっちゃたし)
ほむら(巨大振り子とかの魔法家具は、維持コストの面から考えて全部撤去しちゃったのよね)
ほむら(結構気に入ってたんだけど、やっぱり地震とかが多いとちょっと不安だし、仕方ないわね……ハァ)
ほむら(だから今この部屋は、巴さんの家みたいに素敵な家具があるわけでもないし、まどかやさやかの部屋みたいにオシャレな椅子が置いてある訳でもない)
ほむら(…………)
ほむら(我ながら本当に特徴の無い部屋ね……)
ほむら(せめて掃除だけはしっかりしておこうと思って、念入りに掃除機をかけたりしてみたんだけど)
ほむら(流石に全面消毒とかはしなくても大丈夫よね……?)
ほむら「…………」カチャカチャ
ほむら「……あ、そうだ。アイスティーだったら角砂糖じゃなくってガムシロップのがいいわよね」
カチャカチャ
580: 「G」 2013/05/09(木) 01:40:34.75 ID:+N2K5BgMo
ほむら(よし、完成。あとはお菓子だけなんだけど……)
ガサゴソ
ほむら(いわゆるきのことたけのこなんだけど、みんなはどっちのがいいのかしら)
ほむら(悩んだ挙句、両方買ってきちゃったのよね……)
ほむら「……この際両方一緒に出しちゃえば大丈夫かしら……?」
――カサ
ほむら「…………?」
ほむら「今、視界の端の方で何か動いたような――」
カサ コソ
ほむら「……え」
ほむら(そんな、まさか――)
カサ カサ カサコソカサカサカサ
カサカサカサカサササササ
ほむら「――~~~~ッ!?!?」
ほむら(あああぁぁぁぁぁぁああああっ!?)
カサカサカサカサカサカサカサカサカサ
ほむら「ひっ――!」
581: 「G」 2013/05/09(木) 01:41:01.35 ID:+N2K5BgMo
きゃあああああああああああああ!!
さやか「ほむら!?」バッ
まどか「ほむらちゃん、どうしたの!?」
ほむら「ダメ、今来ちゃダメ!!こないで!!嫌あぁぁぁぁっ!」
仁美「落ち着いてくださいまし、一体何が――あっ」
さやか「えっ? あっ」
まどか「あっ――」
ゴキ「あ、どーも」
ざわ……ざわ……
ざわざわ…………
まどか「ごっ……!」
さやか「ごっ、ごきっ……!!」
カサ コソ
582: 「G」 2013/05/09(木) 01:41:52.00 ID:+N2K5BgMo
ほむら「ああぁぁぁぁぁぁ」
まどか「嫌ぁぁぁ! 触覚が! 触覚が!!」
ほむら「さや、さや、ぁぁあなたあれ斬れない!?」
さやか「無理! あたしでもあれだけは無理!」
まどか「さやかちゃん!」
さやか「やだやだやだ近づきたくないし斬りたくない!!」
さやか「斬るって結構手に感触残るんだよ!? マジで!!」
まどか「い、今ちょっと動いた! 少しこっちに来てない!?」
さやか「そういえばあいつらって正確にこっちを捕捉して追尾してくる時あるよね」
まどか「ホーミングはやめてぇぇぇぇ」
583: 「G」 2013/05/09(木) 01:42:29.75 ID:+N2K5BgMo
ほむら(そんな、念入りに掃除したのに……っ)
ほむら(何故……何故今、このタイミングで!この季節ならまだ大丈夫だと油断していたツケだとでもいうの……!?)
カササササササササ
ほむら「きゃあああああ!?」
まどか「嫌あぁぁぁぁ!!」
さやか「こ、腰が……!」
サササ……カサ……
ほむら「ああぁぁぁ……っ」
仁美「――――」スッ
さやか「ひ、ひとみ……? あんた、スリッパなんて持って――」
ほむら「あなた、まさか……!?」
仁美「ふッ!」
パシンッ
ゴキ「ッ!?」プチッ
まどか「わ、一発――――っあああああ!?」
さやか「ぎゃああああああ」
ほむら「ぎゃああああああ」
仁美「!?」ビクッ
さやか「ひ、ひ、ひ、引っくり返っ――!!脚が……っ!」
まどか「うわぁぁぁ……」
仁美「ほむらさん、新聞紙などはあります?」
ほむら「し、新聞紙?広告の紙でよければ玄関に――ちょっと待って、今足が震えてうまく立てないわ……」ブルブル
仁美「じゃあわたくしが取ってきますので、ちょっと待っててくださいね」
ほむら「ごめんなさい、お願いするわ……下駄箱のとこにある紙袋にまとめて入ってるから……」
584: 「G」 2013/05/09(木) 01:42:57.24 ID:+N2K5BgMo
しばらくして
仁美「……ふぅ、これで大丈夫ですわ。一応、死骸の入った袋は外に置いておきますのでゴミの日に忘れずに出しておいて下さいね」
ほむら「仁美、本当にありがとう……消毒までしてくれて助かったわ。正直あのスリッパはもうダメだと思ったもの」
仁美「うふふ、お役に立てて光栄です」ニコ
まどか「仁美ちゃんすごいね……私、なにもできなかった」
さやか「うんうん、すっごいカッコよかった!あたしだってまだ手が震えてるよ……」
仁美「通っている道場でよく目にするもので、もうすっかり慣れてしまいましたわ」
まどか「ほええ……」
さやか「そんなにいっぱい出るの?」
仁美「稀によくあるというやつですわ」
さやか「なるほどなぁ」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん?」
さやか「どしたの?顔が暗いよ?」
ほむら「みんな、今日はごめんなさい。まさかゴキ――が出てきてしまうなんて、とんだ失態だわ……」
さやか「なぁに、あんたそんな事気にしてたの?」
ほむら「だって、せっかく楽しそうにしていたのにあれで一気に雰囲気が……」
仁美「ほむらさんのせいではありませんわ。これからの季節、仕方が無い事ですもの」
仁美「それに、おかげでちょっぴりいい姿を見せることだってできましたしね?」
まどか「あはは」
ほむら「ふふっ……ありがとう」
585: 「G」 2013/05/09(木) 01:44:02.39 ID:+N2K5BgMo
さやか「それよりおやつ食べようよ!マミさん直伝のアイスティー淹れてくれるんでしょ?」
ほむら「! そうよ、アイスティーよ!すっかり忘れていたわ、結構時間が経っちゃったけど大丈夫かしら……」
たたたっ
ほむら「……よかった。氷もあまり溶けてないし、大丈夫そうね」ホッ
まどか「わぁ、いい色! 飲むの楽しみだなぁ」
さやか「お茶菓子はこれー?」
ほむら「そうそう、箱のまま持ってきてもらってもいい?」
仁美「あら、たけのこも……? きのこだけでよろしいんじゃなくて?」
さやか「……は?」
仁美「……ほう?」
ほむら「えっ?」
まどか「仁美ちゃんってきのこ派だったの?」
さやか「ちょっと何言ってるのかわかんないなぁ」
仁美「今まで言う機会がありませんでしたが……わたくしはきのこ派です。まさか、さやかさんがたけのこ派でしたとは……ぷ」
さやか「……あんた、さっきちょっとイイ所見せたからって調子乗るんじゃないわよ?」
ばちばちばち
仁美「まどかさん!まどかさんはどちら派ですの!?」ガバッ
まどか「わ、わたしはどっちも好きかなぁ?」
さやか「ほむらは!?」
ほむら「私も、別に拘りとかは……強いて言うならロッキーかしら……?」
まどか「あ、ロッキー美味しいよね! 私あれのアーモンドがついてるやつ好き!」
ほむら「まどかも? 高級感があって美味しいわよね」
まどか「ね!」
きゃっきゃ
仁美「……」
さやか「……」
586: 「G」 2013/05/09(木) 01:44:28.85 ID:+N2K5BgMo
さやか「なーんて言ってはみるけどさ」
仁美「正直、甲乙付け難い存在ではありますわね」
さやか「どっちかってゆーとたけのこの方が好きってだけだし」
仁美「期間限定物だったりすると、その時によって両方買ってみたりしますしね」
さやか「ね」
まどか「あれ、二人とも仲直りしたの?」
さやか「そもそも喧嘩なんてしてないよ」ケラケラ
仁美「あれは一種のプレイですわ」
ほむら(プ、プレイ……?)
まどか「なーんだ、そうなんだ。よかった」
さやか「さ、はやく居間に戻ってお茶にしよ!緊張したりなんなりで喉渇いちゃった」
仁美「はーい」
ガサ
587: 「G」 2013/05/09(木) 01:44:57.05 ID:+N2K5BgMo
さやか「……ちょっとまった」
仁美「はい?」
さやか「なんできのこの方だけもっていくのさ! たけのこは!?」
仁美「あら、たけのこなんて必要でしたかしら?」
さやか「は?」
仁美「あら?」
ばちばちばち
ほむら「……あれもプレイ、なのよね」
まどか「あの二人って時々にああやって遊ぶんだよね。まるでさやかちゃんとほむらちゃんみたいに」
ほむら「え?」
まどか「ううん、なんでもないよ! 気にしないで?」
ほむら「……そう。まどかがそういうのなら」
まどか「えへへ、仲良しっていいなぁ」
おしまい
592: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/16(木) 02:52:27.37 ID:ZQBjyQGbo
ばんちゃ。個人的にはアルフォートとコアラが大好きです。
「暑い」
「暑い」
593: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:53:07.02 ID:ZQBjyQGbo
さやか「…………」
まどか「…………」
ぐでーん
さやか「暑い」
まどか「暑いねぇ……」
さやか「まどかは長袖でも暑くないの?」
まどか「暑いよ」
さやか「じゃあ脱げばいいじゃん」
まどか「うん……」ゴソゴソ
まどか「ふはぁ」
さやか「おー、可愛いキャミ」
まどか「えへへ。ありがとう」
さやか「へへ…………暑い」
まどか「暑いね……」
ごろり
594: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:53:51.60 ID:ZQBjyQGbo
さやか「半袖でも暑い」
まどか「……さやかちゃんも上脱いじゃえば?」
さやか「そしたら下着になっちゃうんだよねぇ」
まどか「そっかぁ……」
さやか「…………なんか飲み物とってくる」
まどか「はーい」
とててて
まどか「…………」グデーン
<まどかー!
まどか「あ、なぁにー?」
さやか「まどかは麦茶とジュース、どっちがいい?」ヒョコ
まどか「ジュースは何があるの?」
さやか「カルピスと……えっと、アセロラ?みたいな何かのジュース」
まどか「アセロラじゃないの?」
さやか「うん。アセロラっぽいけど何かが違うんだよね、これ」
まどか「ふーん……?」
さやか「飲んでみる?」
まどか「うん、ちょっと気になるかも」
さやか「あいさー」
595: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:54:22.12 ID:ZQBjyQGbo
さやか「お待たせ」コト
まどか「ありがとー。これが例の?」
さやか「うん。アセロラって書いてあるけど決定的な何かが違うジュース」
まどか「うーん、色はアセロラっぽいよねぇ」
さやか「まあとりあえず飲んでみてよ」
まどか「うん、いただきます」ゴク
まどか「…………?」
さやか「どう?」
まどか「……なんか違う」
さやか「でしょー? なーんか違和感あんだよねぇ」
まどか「味というか、香り?はそれっぽいのに、決定的な何かが違う……」
まどか「味覚自体はこれはアセロラだ! って主張してるのに、頭がそれを否定するの!」
さやか「うんうん」
まどか「どっちかというとりんごジュースみたいな、柑橘系っぽいような……なんなんだろう」
さやか「ほんとなんなんだろうね」ゴク
さやか「別に不味くはないんだよね」
まどか「普通に美味しいね」
さやか「ね」
596: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:54:56.87 ID:ZQBjyQGbo
まどか「パッケージにはなんて書いてあるの?」
さやか「もちろん "アセロラドリンコ" って」
まどか「……ドリンコ?」
さやか「うん、ドリンコ。ちなみに果汁5%未満らしい」
まどか「へぇ……」
さやか「やっぱ値段の問題なのかなぁ」
まどか「へぇ、いくらだったの?」
さやか「1リットルの紙パック入りで50円」
まどか「えっ!?」
さやか「ね、ね! やっすいっしょ? びっくりしてつい2本も買っちゃった」
まどか「ほえー、50円……」
さやか「だからまだたくさんあるから遠慮しないで飲んでってよ」
まどか「う、うん。ありがとさやかちゃん」ニコ
597: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:55:26.96 ID:ZQBjyQGbo
さやか「はぁー、冷たい物っていいねぇ」
まどか「だねぇ。はふぅ」
さやか「ちょっとは涼しくなったような気がしない?」
まどか「う、うーん……それはどうだろう……」
さやか「だめかぁ。気温がこれだもんなー」
じわじわじわ……
さやか「ちくしょー太陽め、あっついっつーの!! もうちょっと加減してよぉ!」
まどか「もうちょっと日が沈めば涼しくなるんだけどねぇ」
さやか「最近日が長いからなぁ……うぅ」
まどか「まだ5月なのにね」
さやか「って事は、もうすぐ梅雨か」
まどか「えっ、もう梅雨!? うわぁ、雨降るのやだなぁ」
さやか「だけど、梅雨があけたらもう夏休み目前だよ!」
まどか「なつやすみ!!」
さやか「そう、夏休み! なんて甘美なひ・び・き」
まどか「えへへ、楽しみだねぇ」
さやか「ねえねえ、今年は何する?」
まどか「私、海行きたいなー」
さやか「海行っちゃうー?」
まどか「行っちゃおうよー」
598: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:55:57.71 ID:ZQBjyQGbo
さやか「皆で太平洋にダイブしちゃおっか!」
まどか「うんうん!」
さやか「よーし、さやかちゃん飛び込んじゃうぞー! そぉれっ!」
まどか「えっ、ここで!? きゃあああっ」
ぼふーっ
まどか「ひゃぁああはははっ、さやかちゃんくすぐったいよぉ」
さやか「ひひひひ、どうだ参ったか!」
まどか「んもー、今度はこっちからいくよ! 太平洋ダイブー! ざぶーん」
さやか「うわぁー! 水しぶきならぬまどしぶきがぁー!」
まどか「ざぶーん! どーん!」ギュッ
さやか「あははは、まどかもやるじゃん!」
まどか「私だってやられてるだけじゃないんだよっ そぉれ!」
さやか「渦潮に飲み込まれるぅー! ははははっ」
まどか「こちょちょちょちょ」
さやか「ひゃふっ!? そ、そこは反則だって!」
まどか「さやかちゃんこそ脇はだめだってばぁ! えいっ!」
さやか「うおっ! やったな、渦潮アターック!」
きゃいきゃい ドタバタ
まどか「きゃはははっ」
さやか「あはははは」
二人「「えへへへへ」」
さやか「…………」
まどか「…………」
さやか「なにやってんだろうね、あたし達……」
まどか「ちょっとよくわかんないや……」
さやか「あたしもわかんない……どうしてこうなったんだろう」
さやか「ごめん、密着すると暑いからちょっと降りてもらってもいい?」
まどか「うん、人肌も暑いね……」
599: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:56:29.09 ID:ZQBjyQGbo
じわじわじわ……
さやか「暑い……」
まどか「暑いね……」
さやか「まどか、アセロラドリンコもう一杯飲まない?」
まどか「飲むー……」
さやか「変に運動したら余計暑くなっちゃったね」
まどか「本当、さっきのテンションってなんだったんだろうね……」
さやか「たまに変なスイッチ入るとああなっちゃうんだよねぇ」
まどか「ほぇ」
さやか「あはは、なにその気の抜けた返事」
まどか「ほぇ……」
さやか「……まどか?」
まどか「ほぇ」
さやか「まどか!? ど、どうしたのまどか! しっかりして! ねぇまどかったら!」
まどか「ほぇ」
600: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:56:59.12 ID:ZQBjyQGbo
さやか(どどどどどどうしよう!? まどかが変になっちゃった!)
さやか(まさか魔女の口付け!?)
さやか(だけど魔力反応は全然無いし……)
さやか(とりあえずほむらに連絡を入れるか……? でもなんて説明すれば……っ)
まどか「ほぇ」
さやか「――――っ!」
さやか(とりあえず今はまどかに声をかけ続けるしかないか……!)
さやか「まどか! 正気に戻って! ねぇ、あたしの事わかる?」
まどか「ほぇ」
さやか「さやかだよ、美樹さやか! ねぇまどか、帰ってきて!」
まどか「ほぇ」
さやか「まど――ああもう、ほ、ほええぇぇぇ」
まどか「!?」
さやか「ほぇ、ほぇぇ!」
まどか「ほ、ほ……ぷっ」プルプル
さやか「!?」
まどか「あははは、さやかちゃん焦りすぎ!」
601: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:57:50.09 ID:ZQBjyQGbo
さやか「まどか! あんた、一体全体どうしちゃったのさ!」
まどか「ごめんね、別になんでもないの。さやかちゃんの反応が面白かったからつい続けちゃっただけ」
さやか「なんだよそれぇ……」
まどか「えへへ、心配した?」
さやか「そりゃ心配するよ! まどかってばただでさえ魔女に狙われやすいんだから」
さやか「ってゆーかもうほむらに救難信号出しちゃったし」
まどか「……え?」
<ぁぁぁぁぁああああ
まどか「!?」
ほむら「まどかぁぁぁぁぁ!!!」ガタンッ
さやか「おー、ベランダから来たか」
ほむら「まどかは、まどかはどうしたの!?」ガラ
さやか「いらっしゃーい」
ほむら「あなたは何のん気にしているの! まどかはどこ?」
まどか「ほむらちゃん、ごめんなさい!」
ほむら「まどか!! あなた、暑さで壊れちゃったって聞いて――私、とりあえず家にあった保冷剤とかアイスとか色々もってきたんだけど――」
まどか「ええと、あの、その……」
ほむら「とりあえず氷枕をタオルに包んだから、これを脇に当てて横になって」
ほむら「あとはアイスがあるから、食べて体力をつけて――ああそうそう、バニラとチョコと抹茶と苺があるのだけど、どれが好みかわからなかったから全部持ってきたから選んでね。もちろん、体が楽になってからでいいわ」
ガサゴソ ドン!
ドン ドン ドン!
さやか「わ、すげぇ量」
まどか「わわわわ……」
602: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:58:16.83 ID:ZQBjyQGbo
まどか「あのね、ほむらちゃん!」
ほむら「どうしたのまどか、苦しいの? クーラー、持って来ましょうか?」
まどか「えっ!? いや、あの、大丈夫だから!」
ほむら「何が大丈夫なの、熱中症を甘く見たらあなた死ぬわよ!?」
まどか「!?」
さやか「あのー、ほむらさん」
ほむら「さやか。症状を詳しく教えてくれるかしら」
さやか「それがさ、どうも遊んでただけだったらしくて」
ほむら「……は?」
さやか「だから、熱中症は大丈夫なんだって」
ほむら「だけどあなたさっき "まどかがうわ言しか言わなくなった" って」
さやか「うん」
ほむら「……冗談だったの?」
まどか「えっと、その……ごめんね、本当に……」
ほむら「…………はぁぁぁぁぁ」
603: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:58:47.19 ID:ZQBjyQGbo
さやか「あははは、お疲れー」
ほむら「お疲れー、じゃないわよ全く」
まどか「ほんとにごめんね、心配かけちゃって……まさかここまで信じ込まれるとは思ってなくて……」
ほむら「……別にいいわ、家でヒマだったし」
さやか「アイス一個もらっていい?」
ほむら「どうぞ。残りは冷凍庫に入れておいてもらえるかしら」
さやか「あーい。まどかはどれにする?」
まどか「えっと、じゃあ苺を……ありがとう、あと本当にゴメンね……」
ほむら「ところでうわ言ってどんな感じだったの?」モグモグ
まどか「ほぇっ!? そ、それは――」
さやか「ああそうそう、今のみたいな感じ。これをもっと無気力にしたようなやつ」
さやか「んで、ひたすら "ほぇ" って言ってたんだよ」
ほむら「なるほどね、大体わかったわ」
さやか「話が早くて助かるよ」
まどか「あぅぅ……」
604: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:59:20.75 ID:ZQBjyQGbo
さやか「あ、ほむらもアセロラドリンコ飲む?」
ほむら「……ドリンコ?」
さやか「そう、ドリンコ。1リットル50円也」
ほむら「何よその怪しい飲料……」
さやか「是非とも飲んで感想を教えて欲しい」
ほむら「……まどかも飲んだの?」
まどか「う、うん」
ほむら「まさか、それが原因でおかしくなったとか……?」
まどか「え!? そ、そこまで変じゃなかったかな?」
さやか「お待たせー」カラン
ほむら「ふむ、見た目は普通のアセロラジュースね」ジッ
ほむら「香りも別に変な所は無い……」
ほむら「魔力反応も無しね。一応安全な飲み物とみていいのかしら」
さやか「まま、とりあえずぐいっと」
ほむら「そうね」
ゴクッ
ほむら「!?」
さやか「どう?」
ほむら「何……何なのよこれは……!」
605: 「暑い」 2013/05/16(木) 02:59:55.28 ID:ZQBjyQGbo
さやか「うーん、やっぱりなんか違うんだよねぇ」ゴク
ほむら「違和感はあるのだけれど、その違和感の正体は全くわからない……」ゴゴゴゴ
ほむら「どういう事なの……!?」
まどか「不思議な飲み物だよねぇ」ゴク
ほむら「決して不味いワケじゃない、だけど美味しいかって訊かれたら少し躊躇ってしまうような、そんなギリギリのライン」
ほむら「まさに "普通に美味しい" の体現者……!」
ほむら「まるでグラウンドに引かれた細い一本の白線上を歩くかのような、そんなアンバランスな――」
ほむら「――」ブツブツ
さやか「まどか、もう一個アイス食べる?」
まどか「え、いいのかな?」
さやか「いいんじゃない、こんだけあるし」
まどか「じゃあ今度はバニラにしよっかな」
さやか「んじゃあたし抹茶」
ほむら「ねえ」
さやか「な、何?」ビクッ
ほむら「これ、どこで買ったの?」
さやか「すぐそこのスーパーだけど」
ほむら「後で買いに行ってもまだあるかしら」
さやか「すごい量積まれてたからまだあんじゃない?」
さやか「もしかして、あんたもコレ癖になった感じ?」
ほむら「この奇妙な違和感について少し興味が湧いただけよ」
さやか「そっかぁ」
606: 「暑い」 2013/05/16(木) 03:00:38.74 ID:ZQBjyQGbo
さやか「あ、そういえば」
まどか「?」
さやか「いつの間にか日が沈んで、すっかり涼しくなったね」
まどか「ほんとだ! 気がつかなかったよ」
ほむら「アイス食べたりしてたからかしらね」
さやか「あれで結構助かったよ」
まどか「えっと、本当にごめんね……ありがとう」
ほむら「礼には及ばないわ」クス
さやか「ほむらは夕飯どうすんのー?」
ほむら「別に予定はないけど」
さやか「じゃあウチで食べてかない?」
ほむら「いいの?」
さやか「ほむらさえよければ。これからスーパーに食材買いに行くし、ついでにドリンコも買い足してこよう」
ほむら「もしかして、まどかの手作り!?」
さやか「いえ~す!」ビシッ
ほむら「……仕方ないわね、いただいていくわ」
さやか「あんたも手伝うんだよ?」
ほむら「もちろんよ。炊飯器の監視は任せて」グッ
さやか「お、おう」
おしまい
614: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:03:27.89 ID:2qtB7ZYLo
――マミ宅
さやか「」キュウ
ほむら「まさか試験勉強程度でこうなるとは……」
まどか「さ、さやかちゃん大丈夫……?」
さやか「もうダメ。死ぬ、あと一問でも解いたら死ぬ。っつーかあと数秒で魔女化して死ぬからあとはヨロシク」フラフラ
まどか「さやかちゃーんッ!?」
ほむら「冗談言ってないで早く起き上がりなさい、さやか。あと数問じゃないの」
さやか「無理」
ほむら「……頭を踏まれたいの?」
さやか「むしろご褒美です」
ほむら「」ゲシッ
さやか「痛い!!」
ほむら「叫べるだけの元気があるじゃない」
さやか「叫ぶのと勉強するのとじゃ使う元気が違うのぉー、もうダメなのぉー!」ゴロンゴロン
さやか「もう勉強したくないー!ケーキたべたいぃー!」
じたばた
ほむら「暴れるんじゃないわよ、みっともない」
さやか「別にみっともなくてもいいもん!あたしゃもう勉強なんて嫌なんだぁぁ!」
杏子「ああもうウッセェなぁ!! 集中してテレビ見れねぇじゃねーか!」
615: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:04:01.71 ID:2qtB7ZYLo
さやか「きょおこぉー、あたしもテレビ見てゴロゴロしたいぃぃ」
杏子「泣きついてくるんじゃねーよバカ! あたしからしてみりゃ試験勉強程度で泣き喚くとか贅沢極まりねぇっつーの!」
さやか「うっ」
ほむら「ほら、気が済んだらさっさとこっちへ戻ってきなさい」
さやか「ぐぅぅ……これが "万事休す" か……」
まどか(あ、さっき勉強した言葉だ)
さやか「――はっ! そうだ!」ガバ
ほむら「!?」ビクッ
さやか「そういえば今日はアレを持ってきたんだった」ガサゴソ
まどか「アレってなに?」
さやか「へっへっへー。見て驚かないでよ?」
さやか「じゃーん!」
さやか「リポ○タンD!」
616: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:04:29.58 ID:2qtB7ZYLo
ほむら「!」
さやか「さやかちゃんリサーチによれば、これを飲めば元気百倍! まだまだ頑張れるぜヒャッハー! ってなれるらしい」
まどか「私もCMで見たことある!」
さやか「へへ。前から気になってたんだよね、コレ」
ほむら「……」
さやか「よーし、いくぞっ」
さやか「ファイトォーッ!」
まどか「いっぱーつ!」
グイ、 プシッ
さやか「んぐ、んぐ……」
さやか「ぷはーっ!」
さやか「~~っ、くぅーっ! キクぅー!」
まどか「さやかちゃん大丈夫? 元気出てきた? 崖上れる?」
さやか「今ならイケる気がする」
まどか「おおー」
617: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:05:16.03 ID:2qtB7ZYLo
さやか「お待たせほむら! あと数問、終わらせちゃおう。ついでに次の教科まで行っちゃう?」
ほむら「あら、随分と余裕そうね」
さやか「なんたって今はリ○D飲んでるからね!」
ほむら「……そうね、その余裕がずっと続くことを祈っているわ」
さやか「んー……?」
さやか(なんかひっかかるけど、まぁいっか)
――しばらくして
さやか「」キュウ
さやか「もうダメ……ぜんぜん解けない……数学なんて嫌い……滅びればいいのに……」ブツブツ
さやか(っつーか凡ミス続きとかありえないでしょ……マジでわけわかんないし、もうヤダ……あたしもうお嫁行けない……きっともうお箸も持てないしお母さんのごはんも食べれないんだ……)
さやか(待っててください先輩魔法少女の皆様……あたしもそろそろ、そちらへ向かいます……)
まどか(机に突っ伏したまま動かなくなっちゃった)
618: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:06:34.57 ID:2qtB7ZYLo
まどか「さやかちゃん、また萎れちゃったね」
ほむら「この程度でヘトヘトになるなんて情けないわね」
さやか「この "程度"!?」ガバッ
さやか「そうは言ってもさぁ、こんな連続して勉強し続けるなんてありえないよ普通!」
ほむら「たかが8時間じゃない」
さやか「"たかが" じゃないっつーの。あたしゃあんたみたいに勉強が得意じゃないんですー」ベー
ほむら「褒め言葉をどうもありがとう。ほら、赤点取りたくないなら文句を言わないで手と頭を動かしなさい」
さやか「ぐぬぬ……」
ほむら「ペンはちゃんと持つ。逆さまじゃないそれ」
さやか「あれ!? あー、どうも書きにくいと思ったんだ」
ほむら「えっ? 素だったの?」
さやか「うん」
ほむら「そ、そう……それは重症ね……」
619: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:07:41.37 ID:2qtB7ZYLo
カリカリ カリカリカリ
さやか「……」カリカリ
ほむら「だから、この問題はそもそも――ここはこの部分が公式に当てはめられるから――」
さやか「……」カリカリ
ほむら「――、――――」
さやか「うぅぅぅ……」カリカリカリ
ほむら「そうしたらあとは順番に解いていけば……」
カリカリ カリカリ
さやか(ふむ……ここがこうなって、こうなると……? うん? あれ? なんだこれ?)
さやか(んんんんん? ……あ、もしかしてこの部分が答えっぽいかな)
さやか「……できた」スッ
まどか「私も解けたよ!」
ほむら「じゃあ答え合わせするわよ」
さやか「どんとこいだ!」
620: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:08:35.04 ID:2qtB7ZYLo
ほむら「……ふむ、ふむ」
さやか「どう? 今度こそ合ってると思うんだけど」
ほむら「まどかは正解ね。途中式もよくできてるわ」
まどか「ほんと!? 自信なかったんだけど、よかったぁ」
さやか「あたしは?」
ほむら「ぜんっぜんダメね」
さやか「マジで!?」
ほむら「そもそも途中で論理が崩壊してるじゃない。使っている公式も的外れ」
さやか「え、でもさっきあんたが言ってた説明だと、教科書137ページの2番目のこれだって――」
ほむら「何言ってるの、それの一個下のやつよ。ちゃんと指差してまで言ったじゃない」
さやか「えええええ!? マジ!?」
まどか「さやかちゃん、本当に大丈夫……?」
さやか「……もうだめかも。リ○Dとは一体なんだったのか」
ほむら「……ああいうのはね、眠気や元気はどうにかなるけど、結局のところ実際に体力が回復した訳じゃないから集中力は落ちたままなのよ」
さやか「えっ」
まどか「そ、そうなの?」
ほむら「残念な事にね」
さやか「じゃあファイトー、いっぱーつ!ってやつは嘘なの!?」
ほむら「別に嘘ではないわ。実際元気は湧いた訳でしょう?」
さやか「それは、そうだけど……」
621: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:09:01.85 ID:2qtB7ZYLo
ほむら「一時的に目を覚ましたりするのにはいいけれど、疲れてグダグダの時に回復目的で使用するのはあまりオススメできないわね」
さやか「えぇぇ……嘘でしょ……」
まどか「ほむらちゃんも飲んだことあるんだ?」
ほむら「最近はめっきりだけど、昔はよくね」
さやか「へぇー。もしかしてそれで何かやらかしちゃってたり?」
ほむら「っ…………」
さやか「あれ、マジで?」
杏子「なんだなんだ、なんか面白そうな話してんな」
ほむら「べ、べつに面白い話じゃないわよ」
さやか「えぇー、気になるなぁ。あんたってば普段は完璧だから、どんな失敗したのか想像もつかないよ」
さやか「まどかも気になるよねぇ?」
まどか「うん、ちょっと気になるかも」
ほむら「う……」
622: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:09:30.86 ID:2qtB7ZYLo
ほむら「……そうね、じゃあ分かりやすい話を一つ」
さやか「おー! 待ってました!」パチパチ
ほむら「静かにしてないとやめるわよ」
さやか「ゴメンナサイ」
ほむら「あれは、ずっと昔の事だわ。――ずっと前のループでの事だと意味だけど」
ほむら「あの頃の私はワルプルギス討伐に向けてひたすら武器を量産していた」
ほむら「作っても作っても消費に追いつかなかった。それに学校の勉強もしなくてはならなかったし、そもそも一般常識すらてんでダメだったのよ」
ほむら「放課後は材料の調達と調合に加え、魔女の情報集めに明け暮れる日々……毎日が戦いだったわ」
さやか「…………」
623: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:09:58.17 ID:2qtB7ZYLo
ほむら「そしてある日、どうしても次の日までに大量に仕上げたい爆弾があったの」
ほむら「作成自体は手馴れたものだったのだけれど、数が多いとどうしても時間がかかってしまう」
ほむら「その日までに少しずつ作り溜めてはいたのだけれど、それじゃ到底間に合わなかった」
ほむら「だから、私は飲んだ」
ほむら「結局その日は徹夜しての作業になったわ……」
ほむら「そして、次の日の朝が来た」
ほむら「朝日に照らし出されたそれをみて、私は驚いた――」
ほむら「――……」
さやか「ど、どうしたの? 続きは?」
ほむら「……結果から言うと、アパートとその一帯は吹き飛んだわ」
まどか「へっ!?」
ほむら「配線にミスがあったのよ。それも全部とかじゃなくって、まちまちに」
杏子「うわ、えげつねぇな……」
624: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:10:48.42 ID:2qtB7ZYLo
ほむら「気がついたときには手遅れだった。100個近くある爆弾を1つずつ解体して修正なんてしてるヒマはなかったわ」
ほむら「思えば、完成品を適当に床に転がしておいたのも悪かったわね」
ほむら「1つが爆発した瞬間、他のに着火して……そこからは一気よ」
さやか「うわぁ……」
ほむら「ワルプルギス前だというのに、その一帯だけ丸ハゲの荒野になってしまった」フッ
ほむら「爆風で何人もの人が命を失ったわ……たちまちニュースやら新聞やらで大変な騒ぎになった」
ほむら「……爆心地が特定されるのに時間はかからなかった」
ほむら「結局、その週は警察から逃げるだけでおわってしまったわ……」
ほむら「――以上よ」
まどか「……」
さやか「……」チラッ
杏子「……」
ほむら「ちょ、ちょっと黙ってないで何か言ってよ! それは確かにすごく悪いことしたと思っているわ、だけどそれも何年もずっと前の話で――って実際には1年くらいなんだけど、もう上書きされて消え去ったはずの出来事だし――あの時爆死させてしまった人たちも、今はちゃんと生きてるし……反省も、したし……」
さやか「……ほむら、あんた……」
杏子「想像以上に苦労してきてるんだな……」
ほむら「ふぇっ?」
さやか「ゴメンね、軽い気持ちで辛い事聞いちゃって。もっと笑える系なのかと思ってたよ……」
ほむら「え、え?」
まどか「私もごめんね……ほむらちゃん、すっごく苦しんだんだよね」
杏子「よかれと思って行動した結果が、お尋ね者でサバイバル生活だ。しかも人死にも出てる」
さやか「ずっと責任感じてたんだよね。話してる時、あんたすごく辛そうな顔してた」
ほむら「……」
ほむら(どうしよう、想像以上に重い空気になってしまった)
マミ「みんな、お菓子が焼けたわよー!休憩に――」
マミ「――って、みんなそんな暗い顔してどうしたの。美樹さん達も試験勉強は終わったの?」
ほむら「ッ!!」バッ
ほむら(この素晴らしいタイミング――! これはもうマミに助けてもらうしかない!)
625: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:11:22.46 ID:2qtB7ZYLo
ほむら「マ、マミは何か失敗談とか無いの!?」
マミ「えっ!?」
ほむら「今私の失敗談を話してたんだけど、あなたも聞いていたわよね?」
マミ「き、聞いてな――」
ほむら「聞、い、て、い、た、わよね!?」ズイッ
マミ「!?」
ほむら『マミ! お願いだから話を合わせて!』テレパシー
マミ『ちょっと、一体何がどうなっているのかさっぱりよ』
ほむら『お願い、この重い空気をどうにかしたいの! 訳は後で話すから』
マミ『もう、後でちゃんと教えてよ?』
マミ「――き、聞いていたわよ、もちろん! ええと、失敗談だったわよね?」
ほむら「そ、そうよ。あなたは何か失敗した時の面白おかしい経験なんてないの?」
マミ「そうねぇ……それじゃあ、ちょっと昔の話になっちゃうけど」
626: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:11:55.52 ID:2qtB7ZYLo
ほむら「昔ってどれくらい昔?」
マミ「佐倉さんと知り合って間もない頃ね。あの頃の私は、料理がそう得意って訳でもなかったんだけど」
杏子「そういや最初は酷いもんだったなぁ! 菓子作りならそこそこ上手かったけど、和食となるとてんで駄目な方向に向かってたな」
ほむら「そう、あなたにもそんな時代が……」
マミ「んもう、誰だって最初は初心者なのよ? ……それでね、佐倉さんたらすごく美味しそうにご飯を食べるじゃない」
ほむら「そうね。あの食べっぷりは見ていてすがすがしくもあるわ」
さやか「あるある! なんか餌付けしてるような気分になりますよね」
マミ「それで、せっかくなら佐倉さんにもっと美味しいものを食べさせてあげようと思って、一人で料理の練習をしていたの」
マミ「そうなると、やっぱりどうしても大量の料理が出来上がってしまうのよ」
マミ「和食だけじゃなくって、お菓子とかパスタとか、とりあえず目に付いたものは片っ端から練習していたから冷蔵庫はいつも満タンだったわ」
マミ「それでね、ここからはちょっと恥ずかしいんだけど……」カァ
さやか「おぉう、赤面するマミさんいただきましたッ!」
マミ「美樹さんったら、茶化さないでよもう!」ペチン
627: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:12:27.00 ID:2qtB7ZYLo
マミ「出来上がった料理やお菓子を捨てるわけにもいかないから、一人で黙々と食べるのよ。そうすると、自然と体重も、その……ね? クレッシェンド、というか……わかるでしょ?」
さやか「ク、クレッシェンドですか」
ほむら「杏子に食べてもらえばよかったんじゃないの?」
マミ「あの頃の私はウブだったの! 佐倉さんには、カッコイイ先輩で貫き通したかったから……うぅ///」
さやか「だってさ、杏子。どう思う?」
杏子「ば、バッカじゃねーの!? そんな料理を失敗したくらいであたしが幻滅するとでも思ってたのかよ?」
マミ「っ!?」カァァァ
さやか「おやおやまあまあ」ニヤニヤ
まどか「これは仁美ちゃんがいたらキマシタワーって叫んじゃう展開?」
さやか「だねぇ。仲良きことは美しきかな、うんうん」
ほむら「仲直りできてよかったわよね、本当」
まどか「ね」ニコ
マミ「さ、佐倉さんは失敗談ないの? 私が話したんだからあなたにも話してもらうわよ!」
杏子「げっ、そういう流れかよ!?」
マミ「つべこべ言わないの! 私今すっごく恥ずかしいんだから」
杏子「えぇぇ……なんかあったかなぁ……」
さやか「なんか笑える話を頼むよ」
628: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:13:15.52 ID:2qtB7ZYLo
杏子「そうだなあ、笑えるかどうかはわかんねーけど、最近の話な」
さやか「おっ」
杏子「これはまぁ、いわゆるあるある系だとおもうんだけど」
杏子「その日もいつもみたいに、コンビニでおにぎりを買ったんだよ。んで食べようとして袋開けて、海苔巻くだろ」
杏子「右手には海苔の巻かれたおにぎり。左手にはおにぎりの入ってた袋」
さやか「あー、なんとなく読めたかも」
杏子「だからあるあるだって言ったろ? ……んで、まぁ袋を捨てようとして、間違えて右手に持ってたおにぎりをゴミ箱に投げ込んで、左手の袋を口に突っ込んじまったってだけの話」
さやか「あははは、口に突っ込むとこまてやっちゃったの?」
まどか「それ私もやったことあるー」
杏子「疲れてるとたまにやらかしちゃうんだよなぁ」
ほむら「それで、結局そのおにぎりはどうしたの?」
杏子「三秒ルール」ブイ
ほむら「ああ……」
杏子「うし、あたしも話したから次はさやかな!」
さやか「えぇっ!?」
マミ「ここまできて話さないっていうのはナシよ?」
さやか「マミさんまで!? え、ど、どうしようありすぎて選べない!!」
杏子「えっ」
さやか「ちょっとタンマ! 脳内選考にかけるから先にまどかヨロシク!」
まどか「うぇぇえ!?」
ほむら「ちょっと、指名されたのはあなたでしょう美樹さやか!」
まどか「べ、別にそんな怒らなくても大丈夫だよほむらちゃん」
まどか「うーん、失敗談か……」
629: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:14:39.13 ID:2qtB7ZYLo
まどか「……そうだ。それじゃあ、この間の話ね」
杏子「ほうほう」
まどか「この間ね、初めてサブ○ェイでサンドイッチを食べてみようとおもって買いに行ったんだ」
ほむら「サブ○ェイ?」
まどか「サンドイッチ屋さんなんだけどね、パンの種類とか、具材とかを自分の好みに合わせてカスタマイズできるんだよ」
ほむら「へぇ……面白そうね」
まどか「でしょ? 前から気にはなってたんだけど中々行く機会がなくって」
まどか「それでね、意を決して一人で買いに行ったのはいいんだけど、まずメニュー表みたいなのが見当たらなくって焦ったのが一つ目」
まどか「あわてて辺りを見渡してみたら、他の人たちはなんか呪文みたいに色々唱えてるし、私怖くなっちゃって……」
まどか「そうしたら偶然、日替わりサンドイッチみたいなののポスターが目に入ったから、もうこれでいいや!ってなって、とりあえずそれを注文してみたの」
さやか「ほうほう」
630: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:15:30.98 ID:2qtB7ZYLo
まどか「そしたらね、店員さんが急にすっごい早口で "パンは逃走しますか?" って訊いてきて」
杏子「は?」
まどか「だよね、"は?" ってなるよね! 私も理解が追いつかなくって、そのままオウム返しに "と、逃走ですか?" って訊きかえしちゃった」
さやか「ぷっ」プルプル
まどか「そうしたらやっぱり "はい、逃走はどうしますか" って。そこでもうワケわかんなくなっちゃって」
まどか「仕方ないから "逃走はいいです" って断ったんだけど、店員さんは普通の顔で "じゃあ逃走せずにおつくりしますね" って」
まどか「それから店員さんがサンドイッチを作る工程を眺めてたんだけど、ふと気になって私の次のお客さんが注文してる会話を聞いてみたの」
まどか「そしたらね、そのお客さんは逃走する方向で注文してて、その注文を受けた店員さんが徐にパンをトーストしはじめて――」
まどか「そこでやっと気がついたの。"逃走しますか" は、 "トーストしますか" っていう質問の空耳だったんだって」
まどか「私もう恥ずかしくって! 顔から火が出るかと思っちゃった……」
さやか「あひゃひゃひゃ、すっげー空耳!」ケラケラ
まどか「さやかちゃん、そんな笑わないでよぉ! 話したのは私だけどさ」
さやか「だけど逃走は無いわ! どうやったらそんな単語になるんだっての」
ほむら「まどからしい可愛い失敗だったじゃない。誰に迷惑をかけたわけでもないし、そんなに恥ずかしがることないと思うわよ?」
まどか「ほむらちゃん……」
マミ「サブ○ェイ、私も気にはなっていたのよね。今度一緒に行ってもいいかしら?」
まどか「わぁ、それは是非! そしたら今度こそちゃんと注文するんだ!」
マミ「うふふ、それは楽しみね」クス
631: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:15:57.46 ID:2qtB7ZYLo
杏子「で」
さやか「うっ」
杏子「そろそろ覚悟は決まったんだろ?」
さやか「い、一応考えはまとまったけど」
杏子「パス回してまでタメを作ったんだ、期待してるからな?」
さやか「あははは、そりゃどうも……」タラ
さやか「それじゃあね、これは去年の暮れぐらいの話になるんだけど」
杏子「ほうほう」
さやか「あたしね、まぁちょくちょく恭介の家に遊びに行ったりしてるんだ」
さやか「バイオリンの練習を横から聴いてみたり、一緒に音楽を聴いたり、宿題やったり……ほんとに他愛無い事しかしてないんですけど」
マミ「あらまあ」ニヤニヤ
まどか「マミさん、顔がにやけてますよ」ニヤニヤ
ほむら(そういうあなたもよ、まどか……)
さやか「それでさ、ある日晩御飯を頂く事になったんだ」
さやか「確か魚料理だったかな。それと一緒に飲み物をいただいたんだけど」
さやか「あたしがジュースだと思って飲んだやつが、実はチューハイ?っていうお酒だったみたいでさ」
まどか「ぶっ」
さやか「本当は恭介のお父さんの分だったらしいんだけど、思いっきり間違えちゃって」
さやか「あたし、お酒なんて飲んだこと無かったから一杯飲んだだけでもうベロンベロンに酔っ払っちゃってさぁ!」
632: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:16:24.07 ID:2qtB7ZYLo
さやか「よくお酒を飲むと気が大きくなるとかきくけど、あたしはそんなこと全然なくって。ふわふわ~ってしていい気分になったとおもったら次の瞬間眩暈がガーンッてきて」
さやか「んで気がついたら恭介のベッドで寝てた」
杏子「はぁ!?」
まどか「――――ッ!?」
マミ(まさかの既成事実なの!? ご両親もいるというのに、なんという大胆さ……!)
ほむら「そ、それでそれから――いえ、それって、まさかその――」カァァァ
さやか「……? なんでそんな慌ててんの?」
まどか「当たり前だよさやかちゃん!」
ほむら「あなたは一体自分が何をしたかわかっているの!?」
さやか「何って……ただ好きな人の前で思いっきり酔っ払って、ぐーすか寝てただけだけど」
杏子「……本当にただ寝てただけなんだろうな」
さやか「なんか含みのある言い方だね」
杏子「ったりめーだろ、年頃の男なんてのは性欲の塊みてーなもんなんだぞ!? そいつの前で腹出して寝ててみろ、あっというまに食われちまってもおかしくねぇだろ!」
さやか「は!? べ、別に恭介はそんな野蛮な奴じゃないし! ってゆーか恭介になら、別にかまわない、けど……」
杏子「バカいってんじゃねーよ、婚前交渉はありえねぇだろ普通! 貞操くらい守れよバーカ! バーカ! このびっちー!」
さやか「婚前交渉してないですしー! 貞操とかバリバリ守りまくっちゃってますしー! びっちじゃないですしー!」ベー
杏子「――へっ?」
ぱちくり
633: 「失敗談」 2013/05/22(水) 00:16:51.89 ID:2qtB7ZYLo
さやか「……何よ」
杏子「襲われなかった、のか?」
さやか「……襲われるわけないじゃん、ばか」
杏子「マジかよ……心配して損した」ハァ
さやか「心配?」
杏子「っつーかさぁ。酔って寝てる自分に好意を寄せてる女が目の前にいて、なおかつ自分のベッドに寝てるっつーのに何もしないとかさぁ」
杏子「もうそいつ無能じゃねーの?」
さやか「ちょ、確かに恭介はバイオリン馬鹿だけどさぁ! 勉強だってそこそこできるんだし、無能は言いすぎ!」
杏子「!?」
ほむら「……」
杏子「……なぁ」
ほむら「何?」
杏子「こいつ、ぜってー意味わかってないよな」
ほむら「何のことかしら」フイ
杏子「オイ」
さやか「……?」
おしまい
653: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:50:23.08 ID:WfRQI3BSo
見滝原 とある店
さやか「~~♪」ガサゴソ
さやか「おっ」
さやか「これ可愛い!」
ぴらっ
さやか「ほうほう、上下セットで1600円か」
さやか「うむむ……」
さやか「……あ、でもよくみたらパンツがあんま可愛くないないな」
さやか「どうしてこんなゴテゴテにしちゃったんだろ」カチャ
654: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:50:50.14 ID:WfRQI3BSo
がさごそ がさごそ
さやか「ふーむ、この形もアリか……」
さやか「……いや、待てよ。やっぱこの色はナシでしょ」
さやか「なんてゆーかあたしのカラーじゃないってゆーか……」
さやか「…………」
さやか「……でもこのフリフリが可愛いんだよなぁ」
さやか「色違いとか無いのかな」
がさごそ
さやか「うーん、これと黒とピンクのしかないっぽいなぁ」
さやか「……やめとこ」
655: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:51:17.71 ID:WfRQI3BSo
仁美「さやかさん、さやかさん」ヒョコ
さやか「お、仁美。なんかいいのあった?」
仁美「それが、どうにもしっくり来るものは少なくて……さやかさんのほうは?」
さやか「ビミョーかも」
仁美「それは残念ですわねぇ」
さやか「ねー、せっかくちょっと遠出して来たっていうのにさ。ため息出ちゃう」
仁美「何かひとつくらい戦利品がほしいですわよね……あら?」
ごそ
仁美「これ、さやかさんに似合うんじゃありません?」
さやか「あぁそれ? あたしもそう思って手に取ったんだけどさ、なんか色が微妙じゃない?」
仁美「そうですか?」
さやか「なんつーか、なんとなくあたしっぽくないじゃん」
仁美「ああ、それは確かにそうかもしれませんわね」
さやか「色違いもその紫か黒かピンクの三択しかなくってさぁ」
仁美「そうなんですか……デザインは可愛いのに残念ですわね」
さやか「ねー」
656: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:51:52.80 ID:WfRQI3BSo
がさごそ
さやか「はぁーあ。悩むなぁ」
仁美「あら、これ素敵じゃありません?」
さやか「あ、可愛い! フロントホックだし着けやすそう。サイズは?」
仁美「ええと……あ、ちょうどいいのがありそうですわよ」
さやか「どれどれ」
仁美「試着してみます?」
さやか「うん! 仁美、悪いけどちょっとついてきてもらってもいい?」
仁美「うふふ、もちろんご一緒しますわ」
試着室にて
さやか(ほうほう。なかなかいい感じじゃーないですか?)
さやか(流石にパンツは試着できないけど、まあいいよね)
さやか(よーしっ)
さやか「仁美ー! 着替え終わったんだけどさ、これどう思う?」ガチャ
仁美「ふぉっ……クラクラするほどお似合いですわッ」グッ
さやか「あはは、ありがと。フロントホックは初めてなんだけどさ、見た感じ違和感ない?」
仁美「そうですわね……では、ちょっと失礼して」
すっ
さやか「……んっ」
仁美「前はちゃんと閉まっていますね。サイドもちょうどよさそうですし、良いんじゃないでしょうか?」
さやか「ふむふむ、ありがとう! んじゃ元のに着替えちゃうから、もうちょっとだけゴメンね」
仁美「うふふ、ごゆっくりどうぞ。お待ちしておりますわ」
ガチャ
バタン……
657: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:52:18.94 ID:WfRQI3BSo
――ちょっと離れたところ
ほむら「……あぁっ!?」
ほむら(せっかく遠出してきたっていうのに何であの二人がここにいるのよ!?)
まどか「ほむらちゃんどうしたの?」
ほむら「な、なんでもないわ。それよりまどか、もうちょっとあっち側の棚を見に行かない?」
まどか「あっちはさっき見たよ?」
ほむら(うっ)
まどか「ここのも大体探し尽くしちゃったし、今度は向こうの方を見に行ってみたいなぁ」
ほむら「む、むこうはだめっ!」ガッ
まどか「ひゃっ!?」
ほむら「ご、ごめんなさい! でも、ええと、ほら……サ、サイズが大きめの人向けみたいだから、きっと合う物は無いと思うのよ」
まどか「そ、そうかなぁ?」
ほむら「そうなのよ。だからもうちょっとあっちを見に行きましょう?」
ほむら(あの二人に気づかれない、もしくはまどかが気がつかないうちに――)
まどか「――あっ!」
ほむら「!?」
まどか「おーい、さやかちゃーん! 仁美ちゃーん!」
ほむら(あああぁぁ!?)
さやか「まどか! それにほむらも!」
仁美「あらまあ、お二人もこちらへいらしていたんですの?」
ほむら(終わった)
658: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:52:45.67 ID:WfRQI3BSo
さやか「ってゆーか、あんた達そろってあたしの誘いを断ったとおもったら黙ってデートしてたのかぁっ!?」
まどか「デ、デートだなんてそんな」
さやか「頬を染めて恥らうなんてけしからん! そんな子は胸を揉みしだいてワンカップ大きく成長させてやろうっ」
まどか「ちょっ!? さやかちゃ、こんなところでっ! あははは、くすぐったいよぉ!」
仁美「ッ!!」ピクッ
ほむら(どうしようどうしようどうしよう……)
さやか「んで、二人はいい物あった?」
まどか「それがね、どれを選んでいいのか悩んじゃって……」
さやか「ふーん?」
まどか「っていうのもね、今日は私のを買いにきたんじゃなくって――」
ほむら「まどかッ!!」
まどか「はっ!?」
ほむら「は、恥ずかしいから秘密にしてって言ったのに」ヒソヒソ
まどか「あっ!? ごめんついうっかり……」
ひそひそ
さやか「ふむふむ」ジー
仁美「なるほどですわね」
ほむら「ちょっと、何を納得しているの!」
さやか「いいや、別にぃ?」
仁美「なんとなく事情は察しましたわ」
さやか「確かに最初のうちは恥ずかしいかもしれないけど、そのうち慣れるから大丈夫だって! あたしたちも選ぶの手伝うからさ」
仁美「それに女性なら皆通る道ですし、そんな緊張しなくても大丈夫ですわ」ニッコリ
ほむら「うぅぅ……」カァァ
まどか「あ、あはは……ごめんね、ばれちゃったみたい」
659: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:53:11.88 ID:WfRQI3BSo
さやか「んで、ほむら。サイズは測ったの?」
ほむら「……さっき、まどかに計ってもらった」ボソリ
仁美「!?」
さやか「ほうほう、んじゃカップはOKか。初めてだしワイヤーは入ってないほうがいいかな?」
まどか「うん、その方がいいと思う」
ほむら「ワイヤー?」
さやか「ブラジャーって一口に言っても色々あんのさ」
ほむら「……?」
さやか「見てもらったほうが早いかな。例えばコレとか」
ひょい
さやか「ほら、カップの下の部分が硬いでしょ?」
ほむら「……ほんとね」サワサワ
さやか「こういうのは形が崩れにくくていいんだけど、やっぱゴツゴツするから好き嫌いが分かれやすいんだよ」
ほむら「へ、へぇ……」
さやか「あとは……判断基準のひとつにすんなら、どんくらい盛ってるかとかかなぁ」
さやか「やっぱそれなりに盛ってる奴は生地が分厚くなるから、これからの季節ちょっと暑いんだよね」
ほむら「ふぅん、そっ……そういうのもあるのね」プルプル
660: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:53:42.90 ID:WfRQI3BSo
さやか「ってゆーかほむらはなんでそんな声震えてんの?」
ほむら「恥ずかしいからに決まってるじゃない、馬鹿っ!」
さやか「あははは、初心だなぁ」
仁美「下着を手に持って照れるほむらさん……アリですわッ!!」
まどか「仁美ちゃん落ち着いて」
ほむら「うぅっ……」
ほむら(こうなるからまどかにだけこっそり頼もうと思ったのに……)
さやか「あ、そーだ」
ほむら「?」
さやか「ほむら、ちょっとこっち来て!」
ほむら「え、ちょっと!? あんまり急に引っ張らないでよ」
ぐいぐい
まどか「なんだろう?」
仁美「ああ、もしかしてさっきの?」ポン
さやか「んふふー。大正解! 絶対似合うと思うんだよね」
仁美「なるほど、確かにあれは似合いそうですわね!」
ほむら「なによ、一体なんなの!?」
さやか「へへー、それは見てからのお楽しみ。……あった、これこれ!」
じゃーんっ
661: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:54:36.81 ID:WfRQI3BSo
まどか「あ、それかわいい! 絶対ほむらちゃんに似合うって!」
さやか「ね、まどかもそう思うよね! 色合いもデザインもいい感じだし、しかもノンワイヤーだから初心者にもぴったり!」
仁美「せっかくですし、サイズ等の確認に一度ご試着されてはいかがでしょう?」
ほむら「ちょっとあなた達何を勝手に――」
まどか「ほむらちゃん。黒と紫とピンク、どれがいい?」
ずいっ
ほむら「うっ」
まどか「私的にはやっぱりピンクが可愛いと思うんだけど、ほむらちゃんって紫色も好きみたいだし……ああだけど黒も似合うだろうなぁ」
さやか「紫はレース部分も色を合わせてるのがさりげなくていいよね!」
まどか「うんうん! 甘すぎず辛すぎず、それでいてセクシー。みたいな?」
さやか「あははは、なんかすげーそれっぽい!」
まどか「えへへ。実はママがね、この間似た感じの事を言ってたの」テレ
さやか「ねぇほむら、とりあえず1回試着してみなよ! ね?」
まどか「ほむらちゃん!」
仁美「ほむらさん! 是非ッ!!」
きらきらきら
ほむら(何よ、なんなのよこの輝くような期待の眼差しは!? まぶしすぎて断れないじゃない……っ)
662: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:55:03.13 ID:WfRQI3BSo
試着室
ほむら「……」
ほむら(勢いで試着してしまったわ……)
さやか「大丈夫ー? もしかして着け方わかんない?」コンコン
ほむら「わかってるわよ、今出るから少し静かにしててちょうだい!」
さやか「あーい」
ほむら(――で)
ほむら(結局、着け方ってこれであってるのかしらね?)
ほむら(鏡で見た感じでは問題なさそうだけど……)
くるくる
ほむら(……)
ほむら(よし)
さやか「まーだー?」
ほむら「あなたはもうちょっと引っ込んでて! まどかだけ、入って来てくれないかしら?」
さやか「えー」
ほむら(万が一間違ってた場合あなた相手だといろいろとめんどくさいのよ!!)
まどか「それじゃほむらちゃん、入るね?」
ほむら「え、ええ」
ガチャ
663: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:55:37.89 ID:WfRQI3BSo
バタン
さやか「ちぇっ、まどかだけ羨ましいなぁ」
仁美「ほむらさんはまどかさん大好きですから」
さやか「はは、ありゃ大好きってレベルを越してそうだけどね」
仁美「あらま、嫉妬ですの?」
さやか「別にぃ。仲が良いのはいい事だと思うし?」
さやか「ただちょっと寂しいなって思っただけ」
仁美「うふふ。そうですわね」
さやか「なんでニヤニヤするのさ」
仁美「別にぃ、ですわ」
さやか「んむぅ」
仁美(お二人は最初はお互いあんなに嫌い合っていましたのに……うふふ)
仁美(……――)
仁美(まどかさんにさやかさん、ほむらさんの三人はわたくしの知らない秘密の何かをたくさん知ってらっしゃる)
仁美(なんとなく疎外感を覚えたのは何度になりましょうか)
仁美(さやかさん、あなたは今ほむらさんにまどかさんをとられた様な気分になって落ち着かないのでしょうが、わたくしだって寂しいのは同じですのよ?)
仁美(いつだってまどかさんはさやかさんの事が大好きで、さやかさんはそれと同じくらいまどかさんの事も、ほむらさんの事も大切にしていて)
仁美(それこそ、わたくしも嫉妬を覚えてしまいそうになるくらい……)
仁美(……でも、まあ)
仁美「だからこそ第三者目線での妄想が捗るという物……ッ!!」めらめらめら
さやか「!?」ビクッ
664: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:56:11.13 ID:WfRQI3BSo
仁美(百合の花園は禁断の領域ッ! そうやすやすと踏み入ってはならない場所!)
仁美(しかし……だからこそわたくしは……わたくしはぁッ!!)
めらめらめら
さやか「ひ、ひとみー? おーい、聞こえるー? 仁美さーん?」ヒラヒラ
仁美「ハッ!?」
さやか「おっ、おかえり」
仁美「申し訳ありません、少々トリップして参りました」
さやか「何か得るものはあった?」
仁美「それはもう存分に」
さやか「そ、そっか」
仁美「…………」シュン
さやか「…………」
さやか(ふむ)
665: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:57:02.65 ID:WfRQI3BSo
さやか「ねぇ、仁美」
仁美「はい?」
さやか「この後、よかったら家に寄ってっておやつ食べてかない?」
仁美「あらあら、それは魅力的な提案ですわね」
さやか「この前ね、先輩に美味しいパンケーキの焼き方を教わったんだ」
さやか「しかも流行の分厚いやつ! 頑張って練習したんだよ」
仁美「それは……! 是非とも食べてみなければなりませんわ!」
仁美「ちょうど今日は習い事もお休みですし、ゆっくりしたいと思っていたところですわ」ニコ
さやか「そりゃよかった! 久しぶりに飲んで食べて騒ごうじゃーないか!」
仁美「うふふ。楽しみにしてます」
ガチャ
まどか「ふたりとも、お待たせ!」
さやか「おう、どうだった?」
まどか「ばっちりだよ! 何もかもがぴったりって感じ」
さやか「そっかそっか。そりゃよかった」
ガチャ
ほむら「待たせたわね」
仁美「いえいえ。それで、どの色になさいますの?」
ほむら「そうね……それが実はまだ決まらなくて」
仁美「あらあら」
まどか「黒も紫もすっごくよく似合ってたんだけどね」
さやか「いっそ全部買っちゃえば?」
ほむら「それも考えたんだけど……とりあえず1つだけ買って試してみようと思って」
さやか「なーるほど」
ほむら「むむ……」
666: 「らんじぇりー」 2013/05/30(木) 01:57:32.81 ID:WfRQI3BSo
ほむら「……ねえ、あなただったらどの色がいいと思う?」
仁美「わたくしだったら、ですか?」
ほむら「ええ」
仁美「そうですわねぇ……わたくしでしたら……」
仁美「……ピンクなんてどうですか?」
ほむら「!?」
さやか「えー、ピンクぅ?」
まどか「でも私もピンクが一番可愛いと思うな」
仁美「それに、ピンクはまどかさんの色ですしね」
ほむら「ッ!! そ、そこまではわわわ私も考えてはいなかったわっ!!」
さやか「何動揺してんのさ……」
ほむら(な、なんで私の考えている事がわかるの!?)
仁美(その大人びた風貌からシックな色合いの下着だろうと見せかけて、実はまどかさん色のピンクでフリフリな下着を着けているほむらさん……いい、すごくいい!)
仁美「うふふふ」
うっとり
さやか「あーあ、またトリップしちゃったよ」
まどか「あはは……仁美ちゃーん、帰ってきてー」ヒラヒラ
ほむら(志筑仁美……恐ろしい子ッ!)
おしまい
680: 「そうるじゃむ」 2013/06/05(水) 21:51:40.83 ID:+RiPo/yuo
さやか「んふふふ、おいひー……しあわせ」サクサク
マミ「うふふ、まだまだたくさんあるから遠慮しないで食べてね」
さやか「もぐ……ん~っ、やっぱマミさんの手作りクッキーは最高っす!」
マミ「そう言ってもらえると作り甲斐があるわ」ニコ
マミ「ああ、紅茶のおかわりはいかが?」
さやか「いただきます!」
こぽこぽこぽ
さやか「それにしても、今回は随分凝った形にしたんですねぇ」
さやか「お花の形したクッキーの真ん中に黄色いツヤツヤしたジャムが詰まってて……手間がかかってますなぁ」
ぱく
さやか「んひひひ、うまうま」モグモグ
マミ「ふふ……美樹さんったら」
マミ「今回はね、前から欲しかったジャムが手に入ったからつい頑張っちゃったのよ」
さやか「むぐ、にゃーるほど。このジャム、酸味が利いててすごく美味しいです!」
マミ「でしょ? アプリコットジャムっていうのよ」
さやか「ほー、アプリコット……?」
さやか(ってなんだろう)モグ
681: 「そうるじゃむ」 2013/06/05(水) 21:52:38.05 ID:+RiPo/yuo
さやか「でもなんか可愛すぎて食べるのがもったいなくなっちゃうなぁ」
マミ「ありがとう、ディテールには結構こだわったのよ」
さやか「さっすがマミさん、細かい加工もお手の物ですね。このフチの部分とかすごく綺麗だと思います」モグモグ
マミ「それね。実は私のソウルジェムの形を参考に作ってみたの」
さやか「っはいッ!?」
マミ「魔法少女に変身した時のアレよ。ほら、似てるでしょ?」
さやか「……ああ、そういえば確かに……」
マミ「名付けて "ソウルジャム☆クッキー" 、なんちゃって」テヘ
さやか「ソウッ!!」ブッ
さやか(ソウル――ジャム!? 今のって聞き間違いじゃないよね!?)
さやか「そ、そうるじゃむですか……まさかマミさんがそんなギャグを言う日が来るとは……」
マミ「えっ!? もしかしてソウルジャムはだめ? アウトなの!?」アワアワ
さやか「いっ、いぃぃいえ!? べべべ別に大丈夫だと思いますッ!?」ドキーッ
さやか(マジだったーッ!!)
さやか「アウトだとかそんな事はないんですけど、普段のマミさんからするとなんか意外だなぁーって。へ、へへへ……」
マミ「うふふふ、そうかしら」
さやか「あは、あははは……」
おしまい
682: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 21:53:04.25 ID:+RiPo/yuo
続いて、「雨乞い」
683: 「雨乞い」 2013/06/05(水) 21:53:35.25 ID:+RiPo/yuo
さやか「つい先日梅雨に入ったと思ったら……」
まどか「あれから全然雨降らないね……」
さやか「つーかめっちゃ暑いし……」
ぐでん
まどか「もう夏になっちゃったのかなぁ」
さやか「うえー、まだ六月入ったばっかだっつーのにやめてよ……」
まどか「あはは……ほんと笑えないよね……」
さやか「そういやあたし達って定期的にこういう会話してるね」
まどか「そういわれてみればそうだねぇ」
さやか「なんか他に話すことないのかーって感じだけど」
まどか「実際、毎日一緒にいるとネタも尽きちゃうんだよね」
さやか「ね」
684: 「雨乞い」 2013/06/05(水) 21:54:08.63 ID:+RiPo/yuo
さやか「あーあ、なんか楽しい事ないかなー!」
まどか「うーん……何かあるかなぁ」
さやか「……雨乞いでもしてみよっかな」
まどか「えっ?」
さやか「魔法少女の雨乞いだよ? なんか効きそうじゃん?」
まどか「う、うーん……?」
さやか「それにもしもこのまま雨が降らなかったらさ、見滝原は水不足になっちゃうかもしれないしさ。最悪断水とかありえるし」
まどか「なるほど。それは確かに嫌かも」
さやか「でしょ? 結果的に町のためにもなることなんだよ、これは! さすがあたし、いい発想してるわー」
まどか「えーと……とりあえず1回やってみる?」
さやか「おう! 他にやることないんだしさ、早速やってみようよ!」
数分後
ほむら「……まどかが呼んでるからって聞いて来たんだけど……」
さやか「まぁまぁまぁ、とりあえずお茶の一杯でも」
ほむら「しかも雨乞いって、あなたは一体何を考えてるの?」
さやか「特に何も? 強いて言うなら暇つぶし、ついでに水不足の危機から脱して一石二鳥。いえーい」
ほむら「……はぁ。毎度ながら頭が痛くなるわ」
685: 「雨乞い」 2013/06/05(水) 21:54:35.80 ID:+RiPo/yuo
ほむら「それで、いきなり雨乞いといわれても何をすればいいのか全くわからないんだけど」
まどか「うーん、私も雨乞いなんてしたこと無いから分らないなぁ」
さやか「ぶっちゃけあたしもよくわかってないんだけどさ、とりあえず何か祈っておけばいいんじゃね?」
ほむら「……は?」
案その1
さやか「ほら、漫画とかでよく焚き火を囲んでドンドコドンドコやってる奴あるじゃん」
ほむら「焚き火なんて嫌よ、余計暑くなるじゃない」
さやか「うーん、それは一理あるか……」
まどか「じゃあ焚き火案はボツだね」
ほむら「あなた達、言いたくないけど計画性無さすぎよ……」
さやか「計画も何もついさっき思い立っただけだし」
まどか「ね」
ほむら(それを計画性が無いっていうのよ)
686: 「雨乞い」 2013/06/05(水) 21:55:02.14 ID:+RiPo/yuo
案その2
さやか「じゃあ生贄とか」
まどか「えっ」
ほむら「悲劇が起こる前に正直に言っておくわ。やめときなさい」
さやか「だよねぇ……じゃあこれもボツか」
案その3
さやか「インターネットで調べて見た所によると、水場に何か放り込んだりするらしい」
まどか「そういうオカルトチックなのはちょっと……」
さやか「うーむだめか。ボツっと」
ほむら「もうちょっとまともな案は無いの、まともなのは」
687: 「雨乞い」 2013/06/05(水) 21:55:49.39 ID:+RiPo/yuo
案その4
さやか「そうだ、古典的に逆さま照る照る坊主とかどう?」
まどか「それ平和的でいいね! 私、照る照る坊主作りたい!」
ほむら「まどかがいいなら私も賛成するわ」
さやか「おーし、じゃあこれで決まり!」
さやか「材料はティッシュだけで大丈夫かな」
まどか「ええと、あとぶら下げるのに糸か輪ゴムが必要かな?」
さやか「ほうほう。んじゃお裁縫セットに入ってた糸でいっか」ゴソゴソ
まどか「あー、それって授業で買わされたやつだね」
さやか「そ。こいつがなかなか減らなくってさぁ」
まどか「授業以外で使う機会ないもんね……」
さやか「せっかくだしついでに中身に何か仕込んでおく?」
ほむら「仕込むってあなた、一体何を仕込むつもりよ……」
さやか「……生贄的に桜海老とか?」
まどか「さやかちゃん、食べ物系は虫がわいたりしたら危ないからやめておこう?」
ほむら「ひっ」ビクッ
さやか「あー、そっか。じゃあ中身はナシだね」
688: 「雨乞い」 2013/06/05(水) 21:56:16.29 ID:+RiPo/yuo
さやか「――でーきたっ!」
じゃんっ
まどか「えへへ、結構可愛くできたね」
さやか「見よ、この苦悶の表情! 雨が降ること間違いなし!」
ほむら「そうね、魔女化寸前のあなたによく似ているわ」
さやか「地味に心が痛む表現はやめてよ……」
まどか「ねね、ほむらちゃんの照る照る坊主もみせて!」
ほむら「わ、私の? 別に特別な物じゃないわよ、ほら……」
ほむ照る坊主「」
さやか(予想以上に普通だ……)
まどか「わぁ可愛いー!」
ほむら「そ、そうかしら?」テレ
まどか「うんうん、すごく上手にできてると思うよ!」
689: 「雨乞い」 2013/06/05(水) 21:56:42.86 ID:+RiPo/yuo
さやか「ええと、そしたら後は首のところに糸を巻きつけて吊るすだけなんけど……どうやって吊るそう」
ほむら「カーテンレールに結ぶだけじゃだめかしら?」
さやか「やっぱそれしかないよなぁ……」
まどか「あ、そうだ」ポン
さやか「ん?」
まどか「画鋲なんてどう? 窓の上の壁に刺して、そこに糸を結んで吊るすの」
さやか「おおっ、それいい! ナーイスまどか!」パチン
まどか「えへへ、ハイタッチ!」パチン
まどか「そうだ。私の照る照るさんの首にリボンつけちゃおうかな」キュキュ
さやか「おー……なんかすげー加護のありそうなリボンだね」
ほむら「ふふ、すごく可愛いわ」
まどか「ありがとうほむらちゃん。えへへ」
690: 「雨乞い」 2013/06/05(水) 21:57:59.82 ID:+RiPo/yuo
ぷらーん
さやか「うーっし、流石に三匹並べば多少は降るでしょー!」
まどか「効き目があるといいねぇ」
ほむら(……逆さまに吊るされた照る照る坊主のフォルムに若干既視感があるのだけど、なるべく気にしないようにしましょう……)
さやか「なんかこうして逆さまにぶら下がってるのを見るとワルプルギスの夜を思い出すなー」
まどか「あはは、確かに似てるかも」
ほむら「フヤッ!?」
さやか「あははは、ちょっとなにその声――ってほむら? ほむらァーッ!?」
ほむら「――――……」ユラ
ふらふら
まどか「ほむらちゃん! ほむらちゃんっ!!」
ほむら「……はっ!」
まどか「ほむらちゃん、大丈夫……?」
ほむら「だ、だいじょうぶ、大丈夫よまどか……少し懐かしい感じのする嵐を呼びそうな魔力を感知しただけだから……」
まどか「ほんとに? 息は苦しくない? ちょっと横になる?」
ほむら「本当に大丈夫よ、だから――」
さやか「あ」
まどか「え? ――あっ」
ぽつ ぽつ
ぽつ ぽつぽつぽつ
ザアアァアァァァァ
ほむら「……本当に降ったわね……」
まどか「……小規模だけど、嵐を呼んだみたいだね」
さやか「ワルさんすげー……」
おしまい
705: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:34:03.10 ID:eiYMzCBFo
まどか「しゃーぼんだーまーとーんーだ~♪」
まどか「屋根ーまーでー飛んだー♪」プワワ
ぷわわわわ
さやか「楽しそうだねぇまどか」
まどか「えへへへ、お風呂でしゃぼん玉って久しぶりだから楽しくなっちゃって」
さやか「そういや最近しゃぼん玉で遊んだ記憶ってないなー」ゴシゴシ
まどか「でしょ? 小学生の頃はよく一緒に遊んだよね」
さやか「あったあった! 飛んでるしゃぼん玉を捕まえようと必死になったりしたねー」
まどか「あははは、やったねー」
さやか(あ、そうだ)ピコーン
706: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:34:37.56 ID:eiYMzCBFo
さやか「まどか、みてこれ!」
まどか「どうしたのさやかちゃん」
さやか「ほーら、シャンプーしゃぼん玉~」プクー
まどか「わっ! なにそれ!」
さやか「へへーん。昔恭介に教えてもらったんだ」
さやか「あんまりずっとしゃぼん玉ばっかり作って遊んでたもんだから、冷えて風邪ひいたりしたっけなー」
まどか「へぇ、上条君に教えてもらっ――あれ、上条君と風呂場で遊……? って……つまり、えっと……えっ!?」
さやか「小さい頃はよく一緒にお風呂入ったりしたんだけどねー」
まどか「!?」
さやか「ほれほれ、もう一個飛ばしちゃうぞー」プクー
まどか(そんなっ……確かにそんな気はしてたし知る覚悟はしてたけど急すぎるよぉっ!)
さやか(あ、シャンプーなくなりそう)
707: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:35:14.65 ID:eiYMzCBFo
さやか「みてみて、これ超でっかくない? ほんとあたしって天才だわ」キャッキャ
まどか(さやかちゃんは男の子と一緒にお風呂に入ったことがあるんだ……こんなのってないよ……あんまりだよ……!)
まどか(幼馴染特権っていうやつなのかな? だったら私だって親友特権で小さいころのさやかちゃんと一緒にお風呂入りたかったよ!!)
まどか(いやらしい気持ちなんて少しもない。ただひたすら大切な親友の色んな顔を見てみたいっていう、純粋な感情なんだ)
まどか(そう、これはそういう感情なの。ほむらちゃんが私に向けてくれるような、本当に純粋な "大好き" っていう気持ち)
まどか(だから――だから決して、私が見るよりずっと前に異性にさやかちゃんの裸が見られちゃって悔しいなんて、そんな気持ちは……ぜんぜんないんだから……!)
まどか(それにさっき "小さい頃は" って言ってた。やっぱりそうだよね、小さい頃は一緒に入ってたけど成長してからは入ってないって事だよね。……確認しなくちゃ)
まどか「さや……さやか、ちゃん……?」プルプル
さやか「どしたの、まどかもやってみる?」
まどか「その――かみじょくんと……一緒にお風呂、はいった事があるの?」
さやか「うん」
まどか「っ」ブワッ
708: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:35:49.19 ID:eiYMzCBFo
さやか「つっても本当に小さいころだけだけどね。それこそ小1とか小2とか」
さやか「しかし懐かしいなー、あいつの家のお風呂っていつもレモンやら柚子やらが浮かんでるんだよね」
まどか「そっか……最近は上条君ちではお風呂入ってないの?」
さやか「はあっ!? ないない、流石に中学入ってからは遠慮してるよ!」
さやか「っつーかそもそも意識しちゃって無理! 万が一そうなったら鼻血噴出して死ぬわ、仁美には殉職扱いされそうだけど」
まどか「あはは、そう、そうだよね。よかったぁ……本当に……よかった」
さやか「な、なにが?」
まどか「ううんなんでもない。えへへへ」
さやか「うん……? 変なまどか」
まどか「えへへへへへへ」
709: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:36:20.68 ID:eiYMzCBFo
まどか「すぅ……ふーっ」
ぷわわわわ
さやか「お、しゃぼん玉再開?」
まどか「うん! まだ半分くらい残ってるんだ」
さやか「結構入ってるもんだねぇ」
まどか「ふぅーっ」
ぷわわわ
710: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:36:47.86 ID:eiYMzCBFo
まどか「しゃーぼんだまー飛んだー♪」
さやか「屋根ーまーでー飛んだー♪」
ふわふわ
まどか「屋根ーまで飛んでー♪」
さやか「っがぁ!?」
さやか(目に石鹸がぁぁぁ!!)
まどか「こわれて♪――あっ」
パチンッ
まどか「こわれて 消ーえーたー……」
さやか(やっぱ痛覚遮断便利だわ)
ざばー
さやか「ぷはっ」
さやか「かーぜ かーぜー、吹くなー♪」
まどか「……」ブクブク
さやか「しゃーぼんだーまー飛ーば……まどか?」
まどか「…………」ブクククク
さやか「……まどかー? どしたの急に黙り込んだりなんかして。容器から泡が溢れて凄いことになってるけど」
711: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:37:14.95 ID:eiYMzCBFo
まどか「さやかちゃん……」
さやか「それにあんたなんでそんな沈んだ顔してんのさ。さっきまであんなにご機嫌だったってのに」
まどか「う……だってなんとなく……本当になんとなくなんだけど……つい考えちゃって」
さやか「考え? って何を?」
まどか「さや――魔法少女の皆もこうやってうまれて、飛んで、風に吹かれて壊れて消えちゃうのかなって……」
さやか「ああ、つまりしゃぼん玉と魔法少女を重ねちゃったワケね」
まどか「うん。そんな事にはならないはずだって信じてるけど、時々どうしても考えちゃうの。悪いクセだよね」
さやか「うーん……ま、どっちにしろこんなお風呂場じゃ屋根まで飛んでなんていけないけどね。よくて天井、悪けりゃそのまま落ちて床にへばりつくのがいいとこだよ、あははは」
まどか「……」
さやか(あ、これはまずった)
712: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:37:41.12 ID:eiYMzCBFo
まどか「さやかちゃん」
さやか「は、はい!」
まどか「背中に泡ついてるよ。ちょっとシャワー貸して」
さやか「えっ……ああ、うん、おねがいします?」
まどか「……」
まどか(さやかちゃんはもうちょっと自分を大切にするべきだって何度も言ったのに、どうしてそんな風に下非しちゃうんだろ)
まどか(例え無意識だとしても私はちょっと悲しいな……もしもさやかちゃんがいなくなっちゃったら、私……)
ざばばば
さやか(無言が怖いんですけど)
まどか「……」
さやか(沈んだ表情も相変わらずだし、何か話題を……そうだ)
さやか「まどかってさ、やっぱり感情豊かだよね! しゃぼん玉から魔法少女の発想とか凄いなーって思うわ。ほむらがよく褒めてるよ」
さやか「あたし国語とか美術とか苦手だからさぁ、そういうの全然思いつかないんだよね。想像力に欠けてるってやつかな、あはは。音楽なら多少はわかるんだけどねー」
まどか「……さやかちゃん」
さやか「はいっ!?」
まどか「さやかちゃんはさ、私をいじめてるのかな?」
さやか「は!?」ビクッ
まどか「ごめん嘘。からかってみただけ、おかえしだよ」テヘ
さやか「ちょ、ちょっとそれやめて! トラウマ級だしシャレにならないわ!!」
まどか「えへへ、ごめんね?」
さやか「まだ心臓バクバクいってるよ……」
713: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:38:26.79 ID:eiYMzCBFo
さやか「まどかって時々いじわるだよねぇ」
まどか「えっ!? ご、ごめん! 全然そういう気持ちはなかったんだけど……もしかして傷つけちゃった?」
さやか「そりゃもう大いに傷ついたよ!ソウルジェム滅茶苦茶にごったし!」
まどか「うぇぇぇ、本当にごめん!!」
さやか「もうだめ、具体的に言うならソウルジェムが魂だって判明した時くらい傷ついたし」
まどか「どどどどうしよう……私どうすればいい? なにしたら許してくれる?」
さやか「罰としてお風呂上りのハーゲン○ッツを半分よこすべし!」
まどか「クッキー&クリームとマカデミアナッツ、どっちがいい?」
さやか「マカデミア!」
まどか「じゃあ私のクッキー&クリームを半分あげるね」
さやか「許す」フンス
まどか「よかったぁ」
さやか「えへへへ」
まどけ「えへへへ」
714: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:38:55.01 ID:eiYMzCBFo
さやか「仲直り記念にあたしにもしゃぼん玉やらせて!」
まどか「もちろん! 湯船に浸かりながらあそぼう」
さやか「え、暑いからいいよ」
まどか「だめだよ! 小さいころだってしゃぼん玉で遊びすぎて風邪ひいちゃったんでしょ、さっき言ってたじゃない」
さやか「うぐ」
まどか「ちゃんと肩まで浸かって10数えるんだよ」
さやか「わかったよまどかおねーちゃん」
まどか「わかったならよろしい」
――風呂場の外
杏子「あいつら全然でてこねーなぁ」
マミ「随分と長い間はいってるけど大丈夫かしら……」
ほむら「あいつ……まどかをのぼせさせたりしたら承知しないわよ……ッ!!」モグモグ
杏子「鬼気迫るなぁオイ、って何食ってんだあんた」
ほむら「冷凍庫にあったマカダミアナッツ」
杏子「おー、ずいぶんいい趣味したもん置いてるじゃねーか。あたしも食べよっと」
ほむら「あとクッキー&クリームしかなかったわよ」
杏子「マジかよ!? ……まぁいっか、それでもうまいもんはうまいし」
715: 「しゃぼん玉」 2013/06/18(火) 00:39:21.74 ID:eiYMzCBFo
さやか「マミさーんお風呂上りました!」
まどか「さやかちゃん、ちゃんと頭乾かさなくちゃだめでしょ! こっち来て!」
さやか「ドライヤーは暑いから自然乾燥でいいってば!」
まどか「だめだよ、乾かさないとアイスあげないよ?」
さやか「うぅ……わかったよ」
杏子「アイスうめー」
ほむら「やっぱりマカダミアナッツは一味違うわね」モグモグ
マミ「……っ!? な、何か今嫌な予感が……」
おしまい
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