1: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:38:29.21 ID:oo+sNlBh0
女「どうせただの黒表紙のノートに修正ペンで書いただけでしょ」

男「バレたか」

女「……にしても結構凝ってるね」

男「制作時間三時間を舐めるな。何とHOU TO USEまで再現する作りこみよ」

女「本当だ。すごい細かい……」

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2: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:39:29.32 ID:oo+sNlBh0
女「ねえ、男がもし本当のデスノート手に入れたらどうするの?」

男「本物? ……だったら、夜神月みたいに犯罪者裁きをするかな」

女「やっぱり。男って正義感強いもんね。不良に絡まれている私を颯爽と助けてくれた男……あれを見て惚れたんだから」

男「あのときは運が良かっただけだって」

女「男がキラかあ……じゃあ私は高田のポジションかな。新世界の女神になるの!」

男「最後死んでるじゃねーか、それ。というより、おまえじゃミサの方が合ってるだろ」

女「え、そうかな? それってミサミサみたいにかわいいって意味だよね!?」

男「おまえの頭の加減からだ」

女「えー、ひどい」

3: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:40:02.33 ID:oo+sNlBh0
友「お二人さんよー」

男「おう、友。どうしたんだ」

友「どうしたじゃねえよ。そろそろ休み時間も終わるぞ」

男「おっとそうか」

女「え! もうそんな時間! ごめん、次の時間の準備しないと!」

男「分かった」

友「それじゃあね、女さん」

4: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:40:48.62 ID:oo+sNlBh0
男「……」

友「どうしたんだ、男。そんな顔して」

男「女、行ったか?」

友「もう姿も見えないけど」

男「はぁ…………」

友「でっかいため息だな、どうしたんだ?」

男「……やっぱり俺の顔、変だったか?」

友「ああ。何か疲れているように見えるぞ。女さんと付き合い始めて幸せの絶頂の最中じゃないのかよ」

男「いや……それだけどさ」

友「……?」

男「正直女の、あのテンションに付き合うの辛いわ」

5: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:41:20.27 ID:oo+sNlBh0
友「……そうか? 元気があっていい子だと思うけど」

男「というよりウザいだろ、あれ」

友「あんな風だけど清楚な子だし」

男「身持ち固すぎて  せてくれねえんだよな」

友「男に尽くしてる場面も見るけど?」

男「束縛強いだけだって。ろくに他の女友達と遊ぶことも出来ねえ」

友「我が友ながら清々しいまでのクズだな。まあ分かってたけど」

男「そうだぞ」

6: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:42:02.74 ID:oo+sNlBh0
友「にしても、わざわざ小芝居してまで女さんと付き合うことになったのに酷いな」

男「あれ、そのこと言ったっけ?」

友「自分で自慢気に話してただろ。知り合いの不良に頼んで女に絡んでもらって、それを自分が助けたんだって」

男「ああいうタイプはドラマチックな体験が好きなんだよ」

友「だからって普通そこまでしないって」

男「ただ、あそこまで頭が空っぽだとは思わなかったな、話してるだけで疲れる」

男「付き合ってみて分かったが、あれは地雷女だ。まあ見てくれだけは良いからとりあえずキープはしとくけど」

友「本当クズいな。まあ、おまえらしいよ」

7: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:42:43.37 ID:oo+sNlBh0
<放課後>

男(一人の帰り道。ふと思い出したのは、昼間の会話だった)



女『ねえ、男がもし本当のデスノート手に入れたらどうするの?』

男『本物? ……だったら、夜神月みたいに犯罪者裁きをするかな』



男「……んなわけあるかっての!」

男「デスノート? 手に入れたら自分の欲望のために使うって!」

男「例えば……クラスで一番人気の委員長さんの名前を書いて」

男「『住所××ー△の住人に一目惚れし、そいつの欲望を何でも叶えてから23日後に人目に付かない場所に行き死亡』」

男「これで何でもヤりたい放題、そして警察にバレることもない」

8: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:43:18.52 ID:oo+sNlBh0
男「でもそしたら委員長さん23日後に死ぬけど……」

男「まあ、そのころになれば飽きてるだろうしいっか」

男「それにそうなれば、どんな女だろうと俺の物になるわけだしな」

男「あーあ、俺の前にデスノートが落ちたりしないかなー」


バサッ!


男「……っ!?」

男(歩く俺の先に、何か落ちた音がした。その音の方を見てみると)

男「デスノート……まさか本物か!!」

9: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:43:45.52 ID:oo+sNlBh0
<その日の夜>

男(俺は早速考えていたことを実行に移していた)

男「あれが本物だったなら……そろそろ来るはずだよな」

ピンポーン!

男「はいっ!」

男(慌てて玄関の扉を開ける)

10: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:45:36.06 ID:oo+sNlBh0
委員長「……来ちゃった」

男(そこには委員長さんがいた)

男「どうしたの?」

委員長「え、えっと……その、言いにくいんだけど」

男(委員長さんがモジモジしている。これは……もしかしてもしかするのか……!)

委員長「男君のことが好きです! 付き合ってください!」

男(来たーっ! やっぱりあのノートは本物だったんだ!)

11: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:49:55.58 ID:oo+sNlBh0
男「えっと、俺、一応女と付き合ってるんだけど」

委員長「そ、そうだよね。やっぱり駄目だよね……?」

男「……いや、駄目じゃないよ」

委員長「ほ、本当!」

男「その代わり俺の言うことは何でも聞いてもらうけど……いいよね?」

委員長「はい、男君の言うことなら何でも!」

男「だったら……とりあえずうちに上がってよ」

委員長「分かりました!」

男(さあて、早速いただくことにするかな……)

12: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:50:23.16 ID:oo+sNlBh0
<翌朝>

男「……っとと、昨夜はハッスルしすぎたか」

男(痛む腰をさすりながら体を起こす)

委員長「zzz……」

男(隣にはまだ委員長さんが寝ている)

男「本当に俺の言うことを何でも聞いてくれたな……」

男(まあ自分がそう書いたのだが)

13: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:54:24.06 ID:oo+sNlBh0
委員長「……ん、あ、男おはよう」

男「おはよう」

委員長「えへへ……」

男「どうした?」

委員長「いや、本当に男と寝たんだなあ実感しただけ」

男「昨夜あれだけ分からせただろ」

委員長「まあ、そうだけど……ううっ、何かまだ入ってる感覚がする……」

14: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:55:08.81 ID:oo+sNlBh0
男「…………」

男(完全に俺の虜になっている委員長を見て思った)

男(デスノート……最高っ!)

男(これさえあれば……俺は何でも出来る……!)

男(自分を神だと思うのも仕方のない話だ)

男(もう学校に行く必要だってない。神が社会のルールを気にするなんて馬鹿らしい)

男(だが俺は……新世界などは望まない)

男(どちらかというと俺はキラに裁かれる方だしな)



男(だから――そう。俺はこの世界の神になる……!)




15: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:55:34.88 ID:oo+sNlBh0





<数日後>






16: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:56:12.12 ID:oo+sNlBh0
女「男……どこ行っちゃったんだろう……?」

友「数日前からずっと休んでるな」

女「連絡も付かないし、家にもいないし……男にもし何かあったら……」

友「女さん、大丈夫?」

女「ううっ……ぐすっ……男ぉ……」

友「よしよし」

友(泣きじゃくる女さんの背中をさする)

17: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:56:42.19 ID:oo+sNlBh0
女「……ん、ありがとう友君」

友(ようやく泣きやんだようだ)

友「どういたしまして」

女「友君は強いね」

友「いや、そんなことはないよ」

友(僕が否定していると、クラスメイトの話し声が聞こえた)

「でも、どうして男は学校来なくなったんだろうな」

「そっちも気になるけど……同じ日から委員長も休んでるのって怪しくね?」

「委員長は、最近この近辺で相次いでいる女性失踪事件の関連じゃね?」

「いやでも聞いた話だけど、休んだ前日の夜遅く、委員長が男の家に入っていったのを見たやつがいるらしいぞ……」

「つまり、それって……そういうことか?」

「男って女さんと付き合ってたはずなのにな」

「あ、おいっ、バカ! 気をつけろ!」

「え、あっ……悪ぃ」

友(女さんの姿に気づいて、慌てて口をつぐむ姿)

18: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:57:35.78 ID:oo+sNlBh0
女「…………」

友「え、えっと……」

友(聞こえていたようだ。どう声をかけたらいいのか……)

女「やっぱり……私が悪いのかな……?」

友「え……?」

女「だって、私が男のことを満足させられなかったから……あんなことに……」

友「そんなこと無い! 女さんは悪くないよ!」

女「……でも……ぐすっ……」

友(涙がぶり返してきたようだ)

19: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:58:05.38 ID:oo+sNlBh0
友「……今は思いっきり泣いた方がいいよ」

女「いいの……私が泣いても……?」

友「ああ。いっぱい泣いて、いっぱい悲しんで……そしたらまた前が見れると思うから」

女「……友君は強いんだね。全然泣いてないんだもん」

友「…………………………もういいかな…………」

女「え……?」

友「いや、男の意地として泣くのは我慢してたんだけどさ――」

20: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:58:36.68 ID:oo+sNlBh0










友「そういう下らないプライドは『捨てる』ことにするよ」











21: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:59:02.92 ID:oo+sNlBh0







自分が望んだ女性に対して好き勝手なことをした後に、○○月××日人目が付かない場所まで行き死亡。






22: ◆YySYGxxFkU 2016/10/31(月) 23:59:36.21 ID:oo+sNlBh0
『デスノート本物か……』

『記述は……これで良しっと。……ん、前半の記述の意味か? 分かってないな。ただ殺すだけじゃ駄目なんだ、女には男に失望してもらわないといけないからね』

『望んだ女性? ああ、だって指定した人物の名前を書くと死んじゃうから、こうやってボカすしかないんだ』





『そうか。好き勝手、という記述。それを可能にするデスノート。だから僕は手を滑らせて、ノートを男の前に落としてしまったのか。記述した部分は破いておいたからバレないとは思うけど……失敗だったな』

『……まあ、いいか。男に選ばれた人には可哀想だけど』

『もし男が本当は女さんを思っていたら、望んでいたら、デスノートに書かれる名前は…………いや、あのクズに限ってそれはないな』



『男が失踪してから数日……デスノートにかかれた日は今日。そろそろいいかな』

『もう大丈夫だと判断したら僕は所有権を放棄する。キーワードは「捨てる」だ。……もっと使わないのかって? いや、僕が欲しいのは一つだけだから』





『だから……おまえが悪いんだぞ。僕が狙っていたのに、横からかっさらっていくから』

『ああでも、安心してくれ。女さんは僕が守るからさ』

― 完 ―


引用元: 男「デスノートを拾った」 女「はいはい」