1: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:18:23.54 ID:pFvHTqIno
劇場版公開記念
配給:20世紀FOX
脚本:スティーヴン・E・デ・スーザ
撮影:マシュー・F・レオネッティ
編集:マーク・ゴールドブラット
音楽:ジェイムズ・ホーナー
主題歌:パワー・ステーション(The Power Station)「We Fight For Love」
主演:アーノルド・シュワルツェネッガー
監督:マーク・L・レスター
Special Thanks:大日本帝国海軍、人類抵抗軍、サイバーダイン社、サイレス社、リコール社、ビバルディファミリー
オメガセクター、深紅のジハード、コロンビア解放軍、シカゴ警察、ニューヨーク市警、ロス市警、ヴァチカン騎士修道会
with アリアス大統領
and 港湾労働者組合
Arnold Schwarzenegger
______ ______ __ __ __ _ _
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄
前スレ
提督(演:アーノルド・シュワルツェネッガー)「……」天龍「……」【艦これ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434464008/
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480241903
2: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:23:57.47 ID:pFvHTqIno
・・・・・・
《公開》
天龍「オイ大将、聞いたか? ついに俺達鎮守府の映画が作られるらしいぞ! なんでも未来からやって来たサイボーグ提督率いる頭の病院から抜け出してきた使い捨て艦娘部隊が深海棲艦とドンパチ繰り広げるハイパーバトルアクションだとか」
提督「なんと……B級な設定なんだ…………」
天龍「提督役にはアンタのそっくりさんを使ってるらしいが、よく見つけてきたよな~こんなデカイ奴。まぁその割に繊細でデリケートなメンタルだが」
提督「デリケートで悪いか」
天龍「いや、誰も悪いなんて言いやしねぇだろ。俺の妹も案外デリケートなんだ。人それぞれさ」
提督「デリケートなのは女々しいというのか?」
天龍「誰がそう言った! そんなこと言ってねぇだろ! 男でも女でも関係ねぇよ。良い性格だよ」
提督「ありがとう」
天龍「いいえ」
3: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:24:31.70 ID:pFvHTqIno
バァン!
江風「映画と聞いて!!」
提督「デカイ声を出すな! 耳があるんだ!!」
天龍「なんだよ江風。映画好きなのか?」
江風「まぁ嗜む程度にはね」
天龍「じゃあテストさせてもらうぜ」
江風「おっ、どンと来なよー!」
天龍「ルール1」
江風「契約厳守」
天龍「ルール2」
江風「依頼者の名前は聞かない」
天龍「ルール3」
江風「絶対に荷物は開けない」
天龍「……やるじゃねぇか」
江風「フッフッフ」
提督「何やってんだお前ら……」
4: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:24:59.14 ID:pFvHTqIno
江風「もちろン鎮守府の映画化もチェックしてるよ! なンと予告編も既に公開されているし」
天龍「マジかよ!」
江風「あと、なンか知らないオジサンにこの特別試写のチケット貰ったンだ」
提督「なんだ、もう完成してたのか?」
天龍「え、いや公開はまだ先のハズだが……」
江風「なンと、このチケットを持ってる人だけの特別な上映なンだって!」
天龍「へー……とりあえず予告編を見てみるか」
江風「はいタブレット」ピッ
5: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:25:52.15 ID:pFvHTqIno
・・・・・・
~教会~
ガシャン!!
『『ッッ!』』
提督『お前のチームに任せたぜ。なぁ?』
山城『えぇそんな……』
憲兵『頼んだぜ』
6: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:26:32.76 ID:pFvHTqIno
【ハリウッド史上最大のドリームプロジェクト】
西村艦隊――自らを消耗品と名乗る、命知らずの艦娘軍団!
憲兵『新しい仕事だ』
最上『ギャラは高いが、地獄行きだ』
敵は南方海域深海棲艦! 艦隊はたった6人!!
扶桑『あなたが案内役?』
夕立『ついて来てっぽい』
7: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:27:02.97 ID:pFvHTqIno
夕立『反抗すれば殺される。ここは地獄っぽい……夕立達を助けて!!』
山城『人員も武器も足りない……勝ち目は無い…………不幸だわ』
最上『その海域で、君の答えは見つかったのかい?』
扶桑『世話が焼けるわね』
満潮『ホントだわ』
〈西村艦隊〉
エクスペンダブルズ
出撃!
8: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:28:17.24 ID:pFvHTqIno
シルベスター・ヤマシローン
ジェイフソウン・ステイサム
ミチシオ・リー
ドルフ・ランシグレン
モガミッキー・ローク
ブルース・ウィリス
アーノルド・シュワルツェネッガー
最早頭数は必要無し! これが史上最強の艦娘軍団!!
ドカッ、バキッ! ドドドン!! ズガンズガン!
【『ブッキー』『コンゴー』を超えたスーパー・シリーズついに発進!!】
本物のアクションを、見せてやる!!
【 鎮 守 府 】
2016.11.26(土)
世 界 激 震
9: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:30:31.07 ID:pFvHTqIno
・・・・・・
天龍「」
提督「すごぉい……コイツはかっこいいな!」
江風「きっとこのシリーズは更に面子を豪華にして2、3と続いていくね!」
天龍「待て待て待て待て!!」
提督「なんだ?」
天龍「なんだこの映画は!?」
提督「良さそうな映画じゃないか」
天龍「まぁ力こぶれとか鉄骨司令官とかワケの分からんのよりはいいが!」
提督「最高だよ、きっと大ヒットシリーズになる」
江風「やっぱりか、江風もずっと前からそう思ってたんだ!」
天龍「た、確かに艦娘もちゃんと出てて華はあるが……うーむ…………なんだ、この違和感は……」
10: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:31:24.87 ID:pFvHTqIno
提督「しかし……本当に似てるな」
江風「ああこの役者ね。設定は確か、未来からやってきたサイボーグ提督だよな? ほんっと凄いよな~!」
天龍「整形とかってレベルじゃねぇよなぁ……もしかして提督のクローンだったりしてな」
提督「クローン? ハハッ、夢を見すぎだ」
天龍「ちなみにウチの多摩もリペットだ」
提督「アイツが!!?」
天龍「本物は窓から落ちて死んだ」
提督「そんな、嘘だあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
天龍「う、嘘だよ嘘! そんなガチで受け止めてんじゃねーよ!」
江風「意外と繊細だねぇ……ホント」
11: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 19:33:08.08 ID:pFvHTqIno
江風「そこでさ、このチケット……実は1枚で何人でも行けるンだけど~~~~しかもいつでも〇〇町の映画館に来たら上映してくれるって言うンだけど~~~~~……行く?」
天龍「都合良いな!? どこの馬鹿だそんなガバガバ試写にしたのは!!」
提督「そんなこと言ってる場合か。急いで準備をして車を出せ!」
天龍「俺が運転するのかよ!」
提督「運転なら俺がするよ、キーあるか?」
天龍「ほらよ!」
提督「じゃ君やっといてくれ!」
天龍「結局俺じゃねぇか!!」
《公開 おわり》
14: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:12:49.37 ID:pFvHTqIno
《上映》
・・・・・・
~映画館~
提督「ここか」
天龍「みたいだな。入るか」
江風「映画館は好きだ」
支配人「映画館がお好き! 結構! ではますます気になりますよ!」
提督「お前は一体なんだ……」
支配人「私はここの支配人です。あなた方は映画のチケットを持っていますね?」
江風「これでしょ?」
支配人「どうぞ切ってみてください」
江風「はい」ビリッ
支配人「いいチケットでしょう。余裕の音だ、素材が違いますよ」
天龍「それで、スクリーンに入っていいのか?」
支配人「はい。ではどうぞこちらです。お席に着きましたら、上映します」
16: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:13:20.04 ID:pFvHTqIno
天龍「おお……ガラガラじゃねぇか。というか俺達しかいねぇじゃねぇか!」
江風「ヤッホー!」
提督「どうやら観客は俺達だけのようだな。まぁいい座るぞ」
江風「このチケット、本物だったンだねぇ。もしかしたらくれたオジサンのいたずらかと思ってたけど」
天龍「おいおい! もし偽物だったらどうするつもりだったんだよ!」
提督「『本物のチケットを買って戻ってくるぜ』と言って立ち去るのがいいだろう」
天龍「戻りすぎじゃないか?」
江風「みんなその言葉を待ってるンだ。提督の名刺みたいなもンさ」
天龍「え、そうなのか?」
ブゥゥゥゥゥーーーーーン
江風「あっ、始まる始まる!」
17: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:15:30.28 ID:pFvHTqIno
提督「…………」
天龍「……」ハァ
江風「…………!」ウキウキ
http://www.youtube.com/watch?v=6QKGvV2vVKk
提督「(なんと……ロックな入りなんだ)」
天龍「(大量の壁が砕け散ってる……あ、タイトルロゴ入った。鎮守府ってデカデカと)」
江風「(いいねぇ!)」
18: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:16:36.93 ID:pFvHTqIno
山城『今回の任務は深海棲艦に捕らわれた大臣の救出……ですって』
扶桑『頑張りましょう山城!』
満潮『早く行きましょうよ』
時雨『あぁ? 黙っててよチビ』
満潮『なんですって!? もう1回言ってみなさいよガン……時雨!!』
時雨『チビって言ったんだよ』ケッ
山城『やめなさい時雨! また飲んだの?』
時雨『1杯だけね。よく分かったね』
朝雲『1本の間違いでしょ。ほらさっさと行くわよ!』
山雲『喧嘩はよくないですよ~』
天龍「(なんだこの時雨のキャラ!?)」
提督「(ウチの時雨と満潮はこんな仲が悪いはずはない……と思う)」
江風「(この時雨あとで裏切りそうだな~)」
19: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:17:01.36 ID:pFvHTqIno
満潮『見つけた! 距離30m!』
扶桑『丸コゲにしてやりなさい!』
ズドドドドド!!!!!
『ギャー!』『な、なんだぁ!?』『関東名物助けて~!』
山雲『この世は生き辛いでしょう~その苦しみからレスキューしてあげますよ~』ズドン
時雨『ハッハッハッハッハッ!!』ズドドドド
扶桑『……』ズバッ
天龍「(冒頭からこれかよ!!)」
江風「(棲地がドンパチ賑やかだ!)」キラキラ
20: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:18:39.34 ID:pFvHTqIno
大臣『か、艦娘か!? 助けてくれぇ!』
山城『大丈夫ですか?』
『おのれぇ人質を! くらえ!』ダァン!
時雨『当たらないよ!! ほら、魚雷発射!』バシュッ
シュウウウウウウ!! ポテッ
提督「ん?」
天龍「ん?」
江風「ん?」
21: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:21:08.95 ID:pFvHTqIno
提督「な、なぁ天龍、今スクリーンから魚雷が出てきたよな?」
天龍「ああこれ3D映画だったかなぁ……あの、魚雷…………ケツ回ってるよな……?」
江風「あ、なんかチケットが光ってるよ!?」
天龍「あぁ!?」
江風「見なよ! ほら!」ピカー
天龍「おおマジだ……って、そんなこと言ってる場合じゃねぇ! あの魚雷は多分時限式だ! きっと爆発してしまう!」
提督「お前達下がれ、早く! 魚雷が爆発する!」
魚雷「ホワアアアアアア!!」
天龍・江風「ギャーーーーーーーーーーー!!」
ドォォォォォォォォォン!!
《上映 おわり》
24: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:40:26.67 ID:pFvHTqIno
《アイスクリームでコーンとコーン頭部に一発》
・・・・・・
提督「う、うう…………」
江風「コン・エアー……」
天龍「それはニコラス・ケイジだ……うう……」
ズドォン!!
提督・天龍・江風「!?」ムクッ
山城「ちょ、邪魔! 誰――って、提督!?」
提督「なに!?」
満潮「ええっ!? なんでいるのよ!」
天龍「なんだなんだ!?」
山雲「あれ~支援艦隊ですかぁ~?」
江風「えええぇぇ……」
25: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:41:02.44 ID:pFvHTqIno
提督「ここどこだ!?」
朝雲「敵棲地よ。よく来たわね司令」
満潮「やっぱり自分の手で敵を殺らないと気が済まないってワケ?」
提督「いや、俺は……」
時雨「提督、いつものショットガンとガトリングとロケットランチャーはどうしたんだい? 忘れてきたのかい?」
天龍「なぁ……もしかして俺達……」
江風「これは……夢にまで見た、映画の中に入るという珍現象!?」
大臣「ああ君、鎮守府の提督か! 頼むからあのことだけは内緒にしていてくれ!」
提督「なんのことかよく分からないんだが……」
大臣「とぼけんじゃねーよタコ!」
提督「……」イラッ
26: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:41:38.16 ID:pFvHTqIno
時雨「敵全滅だよ! ハハッ、ハハハッ!」ズドンズドン
満潮「コラ時雨! 死体を撃つことはないでしょ!」
時雨「あぁ? なに、やるっての?」
満潮「上等じゃない! この酒浸り!」ドカッ
時雨「ぐあっ、やったな!!」ドカッ
山城「やめなさい2人とも! 止めるの!!」
時雨・満潮「うるさい!」
提督「やめるんだ! お前らイメージと違う!!」
時雨「…………チッ」
満潮「ふんっ」
27: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:42:14.81 ID:pFvHTqIno
扶桑「提督は2人が喧嘩するだろうとここまで来たのですか?」
提督「そういうわけじゃないんだが……」
天龍「なぁ提督、やべぇって……早く帰ろうぜ」
江風「本当に映画の中なンだ……!」キラキラ
時雨「映画ァ? 急に何言ってるのさ」
江風「だからこれは映画なンだって! 時雨演技上手いなー!」
時雨「ハァ? 何言ってるのさ」
提督「おいおい妹にそういう言葉遣いよくないな。姉に似合わないぞ?」
江風「あっ、そうか今はそういう役なんだった」
28: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:42:46.05 ID:pFvHTqIno
天龍「おい江風、これが映画の中だっていうのか?」
江風「それ以外に考えられないっしょ!」
提督「おいバカ言っちゃ困るぜ。じゃあ俺達は映画の世界にスリップしたと?」
江風「そうそう! だってさっき見てた場面と同じじゃン!」
朝雲「司令達なに言ってるのよ。ふざけてないんでさっさと帰るわよ」
提督「帰るって?」
満潮「さっきのドンパチで頭やられたの? 鎮守府によ」
提督「あ……」
天龍「ってことは……この世界の鎮守府か……まぁ俺達のがモデルだろうから中は変わらないだろうな」
江風「映画の鎮守府かー! くぅ~楽しみ~!」
山城「いきなり提督達は現れるわ言ってることの意味が分からないわで……ハァ、不幸だわ」
提督「俺も不幸だ……」
《アイスクリームでコーンとコーン頭部に一発 おわり》
29: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/27(日) 20:47:58.41 ID:pFvHTqIno
不定期(早め)更新
江風の「ン」を何回か忘れるビッグミステイクはすべて脳内補完してくれ
本当の劇場版艦これはスタローン版ターミネーター2のポスターやT-1000友情出演やアニメキャットなど多彩な小ネタで映画ファンにはたまらない一作だから早く劇場で見てこいカルロ(実際は鈴谷と熊野と壁が喋ってて戦闘シーンも良くて良作だった)
江風の「ン」を何回か忘れるビッグミステイクはすべて脳内補完してくれ
本当の劇場版艦これはスタローン版ターミネーター2のポスターやT-1000友情出演やアニメキャットなど多彩な小ネタで映画ファンにはたまらない一作だから早く劇場で見てこいカルロ(実際は鈴谷と熊野と壁が喋ってて戦闘シーンも良くて良作だった)
32: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:27:37.36 ID:fjADtCHio
《映画の中》
・・・・・・
山城「I'm back」
提督「homeだこの歴史的バカモンが」
時雨「鎮守府が家だぁ? 寝言言ってんじゃねぇよ」ヌヘヘ
山城「そんな重箱の隅をつつくレベルですらない言いがかりやめてくださいますか?」ジトッ
天龍「おおー本当にウチと同じ鎮守府だ! おぉ本当に本物だな!」
提督「ここにコイツら並みの個性的な連中が何十人もいるのか……」
江風「大丈夫いないよ。クレジットに無かったし」
提督「え?」
天龍「とりあえず執務室に行こうぜ。そっくりさんに会ってみてぇや」
33: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:28:14.14 ID:fjADtCHio
・・・・・・
~廊下~
提督「……そういえば、ここは映画の中なんだよな?」
天龍「だろーな」
提督「じゃあ……フンッ!」パリーン
天龍「お、おいなんだよ!? 急に窓ガラス割りやがって!」
提督「…………痛くないぞ」
天龍「あ?」
提督「ガラスを割っても痛くないんだ! お前もやってみろ!」
江風「とうっ! ……ホントだ! 痛くない!!」
天龍「おいおい……」
江風「提督! 壁ブッ壊してみてよ!」
提督「ああ! いくぞ!」ドゴォン!
江風「すっげー!」
天龍「アホなことやってないでさっさと行くぞ!!」
34: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:28:55.62 ID:fjADtCHio
・・・・・・
~執務室~
提督「邪魔するよ」ガチャッ
江風「……あれ? 誰もいないじゃン」
天龍「留守か?」
ジリリリリン! ジリリリリン!
提督「電話?」
江風「出なよ提督」
提督「俺はここの提督じゃないぞ」
天龍「でもモデルだよな」
提督「ややこしいことを言うな!」
江風「映画の中でどンなが電話がかかってくるのか気になるじゃン! 早く早く!」
提督「……ったくもう」ガチャ
35: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:30:19.09 ID:fjADtCHio
提督「もしもし」
『まず君のシャツのボタンを一個ずつ引きちぎる……首筋を這う僕の舌は、やがてはちきれんばかりの筋肉へ……』
提督「」
『両手でゆっくりと、ゆっくりと君のジーンズを脱がしていく……おへその周りをぐるりと舐めて、更に下へ攻める!』
提督「」
天龍「どうした具合悪いのか? 顔が真っ青だぞ」
『そしてパンツに噛み付いて引きおろ――』
提督「」ブチッ
提督「ええい! 答えてやるから聞け!!」
『!?』ビクッ
提督「そんな妄想話を書いた原稿は丸めて食っちまえ! ついでに俺のパンチも、その贅肉だらけの腹に思い切り喰らわして、背骨をへし折って地獄に送ってやる!!」ガチャン
36: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:30:53.22 ID:fjADtCHio
江風「ど、どうしたのさ?」
提督「電話口でセクハラされた」
天龍「うわぁ……どこの 女だいそりゃ」
提督「男だ」
江風「まいったぜ……男かよ……」
天龍「ってか贅肉だのなんだの絶対テキトーに言っただろ」
バチチ、バチチチ……
江風「ン? あ、チケットがまた光ってる!!」
天龍「な、なんだなんだぁ!?」
提督「ということは、また俺達は……」
江風「待って! まだ道具屋の最上さんに会ってな――」
ピカーン!!
提督「うわあああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
天龍「アアアアァァァーーーーーーッッ!!」
江風「ウーラワーアアアアアァァァァーーーーーッ!!」
37: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:31:19.51 ID:fjADtCHio
・・・・・・
~映画館~
提督「…………ハッ!」ムクッ
天龍「っつー……またどっかに飛んだのかぁ?」
江風「ここ……さっきまで居た映画館じゃン!」
提督「ということは……戻って来たぞ!」
江風「I'm back」
天龍「正しい使い方だな」
38: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:31:45.94 ID:fjADtCHio
江風「ちぇー……もうちょっと映画の中にいたかったな」
天龍「俺達には現実で色々と仕事があるだろ」
提督「もうこんな時間か……夜も遅い。結構鎮守府を空けてしまったから、電話してから帰ろう」
天龍「それがいいな」
プルルルルル……ガチャ
提督「やぁハニー」
高雄『誰ですか?』
提督「あっ、いや……」
天龍「コントしてるんじゃねぇよ! しかもアガってネタにもなってねぇじゃねぇか!!」
江風「提督ってホント高雄さンに弱ぇよな~」
39: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:32:13.22 ID:fjADtCHio
提督「いや、随分と鎮守府を空けていたみたいだからな……変わったことは無いか?」
高雄『えっ? 提督どうしたんですか? さっき書類に判をいただいたじゃないですか」
提督「えっ?」
高雄『それでは夜も遅いので、失礼しますね』
提督「………………」
天龍「どした?」
提督「さっき、俺が高雄の持って来た書類に判を押したらしい……」
江風「え? でも今日は……」
提督「…………」ピッ
プルルルルルル……ガチャ
40: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:33:00.50 ID:fjADtCHio
川内『はい、こちら川内。あ~あ~聞こえませんな、磁気嵐のようです』
提督「川内、さっき俺に会ったか?」
川内『は? 何言ってんの?』
提督「会ったかと聞いている」
川内『ええ、まぁ……』
提督「いつ!」
川内『さっきだよ。15分かそこら前』
提督「………………」
川内『提督、おーい、提督ー』
提督「……」ピッ
提督「どうなっているんだ……」
天龍「なんだよどうしたんだよ」
提督「15分前、俺が鎮守府で川内と話してたらしい」
江風「え」
天龍「おいおい冗談にしちゃ薄気味悪いぜ……とてもついていけねぇや」
提督「とにかく帰るぞ!」
江風「(あ、パンフレット持って帰ろう)」
《映画の中 おわり》
41: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:33:30.83 ID:fjADtCHio
《気を悪くしないでよ、アンタ提督だろ?》
・・・・・・
~鎮守府~
天龍「あー疲れたぜ。とっとと寝たいな」
提督「俺もだ……そうだ、執務室に行って今日の報告を見てから寝るか」
曙「あら、まだ寝てなかったのね」
提督「ああただいま。お前こそ早く寝ないと駄目だぞ」
曙「ただいま? なによその今外から帰ってきましたみたいな言い方は」
提督「その通り!」
曙「なに冗談言ってるのよ。さっきまで執務してたのに、そんなバレる嘘」
提督「……今なんと言った?」
曙「冗談言ってるんじゃないわよって言ったのよ。このクソ提督」
提督「クソだと……? 海軍じゃそれは喧嘩を売る言葉だぞかかってこい!!」クワッ
曙「ヒイイィィ!」
天龍「おいなにしてんだよやめろよ! 聞くこと聞け!」
江風「ボノちゃン今、さっきまで提督が執務してたって……」
曙「!」コクコク
天龍「ッ、行ってみるぞ! オラいつまで怖い顔してんだよ!」
42: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:34:11.58 ID:fjADtCHio
・・・・・・
~執務室~
天龍「ん? 中に誰かいるみたいだな」
提督「なんだと? この時間に入るような奴は……」
江風「川内さん直伝の音を立てずにちょっと扉を開ける術!」ソー
提督「クッ……なんでコソコソしなければならない」
天龍「泥棒だったら困るからな。抑えろ」
江風「中の様子は…………ッッ!!?」
提督「どうした!」
江風「み、見てみてよ……」
提督「ん?」
43: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:34:39.02 ID:fjADtCHio
提督?「資源報告書。チェック完了」
提督?「艦娘からの嘆願書。案件『トンカツ定食のカツをもっと大きくしてほしい』……確認。厨房への要請、明日09:00へ」
提督?「装備の発注。12ゲージオートローダー、45口径レーザーサイト付き銃、射程400可変式プラズマライフル、UZI9mmサブマシンガン」
提督「」
天龍「おい俺にも見せろ…………なんだありゃ!?」
江風「提督が……2人!?」
提督?「扉の前に挙動不審者。威嚇射撃」バララララ
天龍・江風「ひいいいぃぃぃぃ!!?」
天龍「や、やべぇハジキだ! 逃げろ!!」
江風「提督! 行くよ!!」ズルズル
提督「」
江風「重い!!」
44: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:35:24.80 ID:fjADtCHio
・・・・・・
~廊下~
天龍「ハァッ、ハァッ……な、なんだったんだありゃ……」
江風「いきなりブッ放してくるとか、信じらンねぇ」
提督「」
天龍「いい加減何か言えよ、オラ死んだマネすんじゃねぇよ」
提督「誰かが……誰かが……」
天龍「誰かがどうした先を言えよ」
提督「誰かが俺の部屋で、俺の書類を見ている! 俺の服でな、俺のふりして!!」
江風「知ってるよ見たンだから!」
45: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:35:55.55 ID:fjADtCHio
提督「アイツは一体なんだ……」
天龍「とりあえずアイツは提督の偽物……ってことでいいんだよな。じゃあとっとと始末しちまおうぜ」
江風「でも見た感じ提督の姿だったし、もしかしてそっくりさん?」
提督「まさか、俺に似てる奴といえば……俳優の…………」
天龍「………………まさか、あの映画の提督役の俳優が何を思ったのかマジで自分を提督に思っちまったのか?」
江風「役に入り込みすぎて自分を見失ったのかも……T-1000の俳優だってあの役を作るあまり離婚寸前にまで行ったくらいだし」
天龍「てぃ、てぃー?」
提督「とにかく奴と戦う! 奴を倒さない限り生きて明日を迎えられない!」
天龍「よし、じゃあまず俺が不意討ちをかけるぜ」
提督「協力的だな……らしくないじゃないか天龍」
天龍「お前の悪い癖が移ったんだとっとといくぞ」
46: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:36:32.40 ID:fjADtCHio
・・・・・・
~執務室~
コンコンコン
提督?「入室許可」
天龍「おうやってるな」
提督?「天龍。この時間の秘書艦業務は存在しない」
天龍「ヘッヘッヘ、知ってるよぉ。ちょっと来てくれよ」
提督?「なんだと?」
天龍「探し物しててよ、この部屋のどこかにあると思うんだが……手伝ってくれねぇか?」
提督?「その命令には従えない」
天龍「め、命令?」
提督?「瞳孔の開き具合、皮膚の温度、筋肉の動きから……83%の確率で、天龍は俺に攻撃を仕掛けてくる」
天龍「!!?!?!???」ドッキーン
47: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:37:04.90 ID:fjADtCHio
提督?「違うか?」
天龍「え、あ、ち、ちげえっすよ!」
提督?「動揺は肯定と受け取る。上官への反逆行為は1ヶ月の謹慎処分だ」スタスタ
天龍「(ヒイイィィィ!! こ、こっちくる!!)」
天龍「お、おぉいなにも怒るこたぁないだろぉ~! だからそのショットガンしまって――」
提督?「…………」ジャキン
バァン!
提督?「!」
江風「動くな! 武器を静かに下ろせ!」
提督「殺されてぇか!」
提督?「…………?」
48: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:37:31.15 ID:fjADtCHio
江風「(こう見るとホント似てるねぇ~……)」
提督?「同じ型か」
提督「なに?」
提督?「だがその行動はプログラムの中に無い。イレギュラーとして排除する」ジャキン
天龍「今だ――イヤアァァ!」ズバッ
ガキィン!
天龍「なにぃぃぃぃ!!? お、俺の刀がぁぁぁ!!」
提督「折れただと!?」
提督?「上官への攻撃。排除対象へと移行する」
提督「させるか!」ズドン
提督?「……」
提督「き、効いてない……まずかったか?」
江風「いや、アイツの持ってるショットガンをぶっ壊したみたいだぜ!」
49: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:38:03.94 ID:fjADtCHio
提督?「…………」ドシドシ
江風「こっちに来る!」
提督「どけ江風!」
江風「うわっ」
提督?「……」ガシッ
提督「ガハッ……!」
提督?「首の骨を折って機能を停止させる」グググ
提督「…………!!」
江風「この野郎! 放せ!!」ドカバキ
天龍「オラッ!」ドカッ
天龍「――――っっい、ってぇ!!」ヒリヒリ
江風「なンだこれ、鉄か!?」
50: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:39:01.90 ID:fjADtCHio
提督「ぐ、ががが……」
提督?「終わりだ――」グググ
提督「」ブチッ
提督「……ふざけやがってぇ!」ドゴォッ
提督?「!」
江風「オオッ! 振りほどいた!!」
提督「フンッ! デェ! ハッ! ギッ! ヌェア!!」ドカバキ
提督?「……!」ドサッ
天龍「す、すげぇ……あの鉄の塊みてぇな提督の偽物を殴り倒しやがった……」
提督「手の骨が折れた……かもしれん」
江風「人間には215本も骨があるンだぜ! 両手くらいなンだよ!」
天龍「重傷だ!!」
提督「コイツを特殊ワイヤーでもなんでもいいから縛れ!!」
51: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:39:28.93 ID:fjADtCHio
・・・・・・
~工廠~
提督「やぁ明石。こんな時間に悪いな」
明石「なんですか提督ぅ……もう寝ようかと思ってたのに」
提督「これを見てくれ」
明石「んぅ……? って、提督が2人!?」
提督「コイツは俺の偽物だ」
提督?「その供述に反対する。俺は本物の提督型だ」
明石「提督型?」
江風「コイツやっべーンすよ! 殴ったら鉄みたいに固くて」
明石「……ちょっと調べてみるわね」
52: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:40:00.44 ID:fjADtCHio
・・・・・・
提督「どうだ?」
明石「いやすごいですよこれ……この、提督? の、偽物? の体」
提督「見れば見るほど同じだ……」
明石「それだけじゃないんです。なんか耳の後ろに端子の穴があって、そこにちょいと突っ込んでみたんですけど……どうやらこれ、人間じゃないみたいですよ」
提督「なんだと?」
江風「人間じゃない……ってことは、サイボーグか!?」
明石「正解! でも分かったのはそれだけで、システムの中身とかプログラムとかは今解析中です……」
提督「…………コイツに質問は?」
明石「いえ、まだ……でもプログラムにアクセスして、情報を引き出せるようにはしてみました」
提督「オイ、お前は一体なんだ?」
提督?「………俺はT-800、正確にはサイボーグ提督型だ」
天龍「なんて?」
提督?「サイボーグだ。金属で出来た骨格を生きた細胞で覆っている」
天龍「OK、俺は疲れてるんだ。とっとと寝るぜ」
提督「おい待てよ天龍。まだ寝るには早い」
53: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:40:29.99 ID:fjADtCHio
提督「次の質問だ。お前はどこから来た? 何故俺の鎮守府で執務をしていた」
提督?「俺はこの鎮守府に配属された。お前の存在は認知していない」
提督「どういうことだ……?」
提督?「俺に与えられた任務は西村艦隊の指揮だ。未来で俺は作られ、深海棲艦との戦いに苦しむ過去の海軍を救うために送られた」
明石「…………提督、コイツ、頭のネジが何本か足んねぇみたいですぜ」
江風「待って! その設定…………確か……」ペラペラ
提督「なんだそれ?」
江風「あの映画のパンフレットだよ! さっき映画館から持って帰って来たンだけど……その設定は、この映画の提督の設定なンだ!」
明石「じゃあこのロボットはその映画の設定を忠実に再現したサイコ野郎ってこと?」
江風「違うよ!! 提督、ウチらが映画の中の鎮守府に行ったとき、その映画の提督はいなかったろ!?」
提督「ああ……そういえば」
江風「つまり、ウチらが映画の中に入った代わりに、きっとこのサイボーグ提督が映画の中からこの世界に来ちゃったンだよ!!」
提督「なんだと!?」
明石「…………あのー……さっきから映画の中だのなんだのとなんなんですか」
提督「ああ……それは、話せば長いんだが……」
54: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/11/29(火) 20:41:06.98 ID:fjADtCHio
提督「かくかくしかじかなんだ」
明石「…………はぁ?」
提督「ああその顔をするのは分かる。だが信じてくれ! 俺達はその映画の中に行ったんだ!」
天龍「ホントだぜそれは……」
明石「いや、3人とも偶然同じ夢を見てただけじゃないですか?」
江風「えー……それじゃロマンが無いぜロマンがー」
明石「まぁいいや、とりあえず私はこのサイボーグ提督のプログラムを変えて無害なものにしてみますね。できるかどうか分からないですけど」
提督「頼む。せめて急にショットガンをぶっ放すことがないようにしてくれ」
明石「はいはいー」
《気を悪くしないでよ、アンタ提督だろ? おわり》
61: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:26:29.39 ID:7qqqlT3Ro
《えっ? 金剛ちゃんが妊娠!?》
・・・・・・
~翌日~
提督「…………」Zzz
天龍「いつまで寝てんだよヴォケ! もう朝だぞ」
提督「ああ……分かってる……あと、5分……起きられるよ……」
天龍「起きろ! 仕事しろ!」
提督「ん…………」ムクッ
天龍「なにしてんだ?」
提督「やる気を起こしてる」
天龍「ハハ、ムリムリ無駄なこったぁ」
62: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:27:14.22 ID:7qqqlT3Ro
・・・・・・
~執務室~
提督「なんということだ……俺の居ない間の執務が全部終わっている」
天龍「そりゃあのサイボーグがやってくれたんだろうな。だが今日の分があるだろ」
提督「仕事仕事、いつも先を急ぐ……そしていつか死ぬ」
川内「PON……と」
天龍「いたのかお前!?」
川内「第六駆逐隊の皆がまたボーキの密売で過剰な値段にしてるから一応報告」
提督「なんだと?」
川内「今度はチョコレートの他にもコーラにしてね。ボーキ6に対してコーラ1本」
63: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:27:41.02 ID:7qqqlT3Ro
川内「コーラが6ボーキなんて嘘みたい。どうするー?」
提督「後で始末するか」
川内「私がヤッちゃっても構わないよね?」
提督「好きにすればよかろう俺は別に構わん」
川内「その言葉を待ってたんだ!」ダッ
天龍「おい! …………行っちまった」
提督「そうだ、昨日のアイツの様子を見に行こう。明石ならもう色々済ませているだろう」
天龍「ああいたなぁ……よし、行くか!」
64: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:28:49.00 ID:7qqqlT3Ro
・・・・・・
~廊下~
\ワー! キャー!/
提督「ん? なんかあっちが騒がしいな」
天龍「確かに俺も初めてここに配属された日はほとんどパニックだった。だがこれが普通の日曜の朝だ」
提督「そうだったか?」
金剛「あっ、提督ゥー!」タッタッタ
天龍「ゲッ! お前はヴィッカースの跳ねっ返り娘の金剛!」
金剛「Shit! また売れないラッパーの天龍デスか」
天龍「今なんと言った?」
金剛「売れないラッパーデース! 下手糞、ミュージシャンの屑、リズム感ゼロ、音痴、ラテン農民デース!」
天龍「ライブハウスじゃそれは喧嘩を売る言葉だぞ、かかってこい!」
提督「落ち着け! どうした金剛、2時間前の紅茶なら飲まないぞ」
金剛「違いマース! 今日は提督に、報告することがありマス」
提督「報告?」
金剛「私……提督の、赤ちゃんを授かったのデース」ヌヘヘ
提督・天龍「!?」
65: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:29:20.16 ID:7qqqlT3Ro
金剛「名前も決めてありマース! 男の子ならジュニア。女の子なら…………やっぱりジュニアデース」
天龍「コイツ、最近じゃますます現実からの遊離が酷くなって……」
提督「その通りかもな」
比叡「それは本当ですか!?」
榛名「提督が……提督が…………提督が……」
霧島「司令がどうしたの先を言いなさいよ」
榛名「提督が……お姉さまと不倫してる……」
天龍「ホントどこにでも出るなお前ら」
比叡「司令が……本当に、お姉さまを!?」
提督「違う! これだけはハッキリさせておくが、俺は無実なんだ!」
金剛「そんな! 提督の方からスカートをおろして――」
天龍「オイオイオイオイ!! 言わせねぇからな!?」
66: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:29:46.73 ID:7qqqlT3Ro
提督「ったくもう……朝から騒がしい連中だ」
天龍「本当に金剛に赤ちゃんを身ごもらせたとかねぇよな?」
提督「いいか? 俺のは確かに新品だ」
霧島「(ああ参ったぜ……未経験かよ…………)」
榛名「ということは、これは金剛お姉さまの想像妊娠?」
天龍「ん? スンスン……タンニンのにおいがすんな。また飲んだのか?」
霧島「ええ。今朝も1杯ひっかけてきました」
比叡「昨日も金剛お姉さまったら酔って行きつけの紅茶バーをぶっ壊し――あっ、これ言っちゃいけなかったんだった」
提督「ふざけやがってぇぇぇぇぇ!! あれほど目を離すなと言ったろうが!!」ガシッ
比叡「ヒエエエエエエエエエェェェェーーーーー!!!!」
金剛「比叡になにするデース! 比叡は提督の為にいつも戦争に行ってるデース!」
提督「戦争の話じゃない! 今話してるのはお前が酔ってバーで暴れたことだ!!」
67: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:30:29.13 ID:7qqqlT3Ro
金剛「別に今は酔ってまセン! ただちょっと今、妊娠の初期症状が……うっぷ……」オエッ
天龍「おいここで吐くなよ!?」
金剛「これはいわゆる、つわりというものに過ぎまセーン! 出産目的の為の、致し方ない犠牲デース」
提督「間違いなく二日酔いだな」
金剛「それに、このお腹……ふふっ、大きくなってマス」
天龍「タポタポ聞こえるぞ。飲み過ぎて水っ腹じゃねぇか」
金剛「そして私が愛するのは提督のみ! つまりこれは天から提督の子供を産めというメッセージなのデース!」
提督「二日酔いに迎え酒でまた酔ったのか」
金剛「あれれー提督が3人居マース……1人は榛名にあげるとして、2人とも貰っちゃって構わないデスよネ?」
68: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:30:56.22 ID:7qqqlT3Ro
提督「霧島」
霧島「はい」
提督「患者を部屋に戻したまえ」
霧島「はい」ガシッ
金剛「WoW!? 何をするデスか霧島ー!」
提督「1ヶ月お前は紅茶禁止だ!」
金剛「そんな!?」
提督「紅茶には手を出すな! 分かったかァッ!!」
榛名「なんだ、想像妊娠だったんですね。なら大丈夫です」
比叡「お姉さま、早く行きましょう。まずお水をガブ飲みしましょう!」
金剛「戻って来るぞおおおぉぉぉーーーー!!」ズルズル
天龍「ったく、ウチにポーラが居ないからってわざわざ酔っ払いポジを作らなくてもいいだろうが」
提督「…………」
天龍「どうした?」
提督「ポーラがいなくて悪いか? ポーラはE1報酬だと言うのか?」
天龍「ああまた始まった! そんなこと言ってねぇから! 今は工廠に行こうぜ!」
《えっ? 金剛ちゃんが妊娠!? おわり》
69: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:32:16.06 ID:7qqqlT3Ro
《江風「提督の面倒は俺がしっかり見ててやるよ。ぬへへ」》
・・・・・・
~工廠~
提督「邪魔するよ?」ガチャ
明石「あっ、提督いらっしゃい」
江風「提督遅い~」
天龍「なんだもういたのか」
江風「昨日のアレは提督が来るまで見せられないって明石さンが言うもンだからさー待ちくたびれちまったぜ」
70: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:33:15.81 ID:7qqqlT3Ro
提督「明石、大丈夫だったか?」
明石「はい。とりあえず本人は色々喋ってくれて協力的だったんで、頭の中のチップを抜いて色々調べて――」
江風「このパンフすげーんだ! サイボーグ提督の設定から内部の設計図まで色々書いてんの! ファンにはたまらない奴だねぇ」
明石「映画の設定だからと馬鹿にしてましたけど、開けたらビックリ。本当に設計図通りだったんです。金属の骨格を生きた細胞で覆ってて――」
天龍「へぇ」
明石「とりあえず立場は提督より下だという認識をさせて、江風ちゃんのことならなんでも言うことを聞くようにプログラムしました」
提督「なんでそこで江風なんだ!?」
江風「いいじゃン! 映画向けの絶好のコンビだと思わない? 江風はデリケートな軟弱派で、サイボーグ提督が勇敢なタフガイさ!」
天龍「軟弱派だぁ? 寝言言ってんじゃねぇよ」
71: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:33:55.13 ID:7qqqlT3Ro
提督「とりあえず見せてくれ」
明石「はいはいー。ではこれが、アップグレードした提督(ロボ)改め、コードネーム『T』です!」
T「…………」
提督「なにも変わってないじゃないか」
江風「何か変わったの?」
T「明石によって俺の立場は提督の補佐となり、駆逐艦江風の言うことならなんでも従うようにさせられた」
天龍「すっげぇ……」
江風「アレはあるの? アレ。サイボーグだけどだんだん人間みたいに~って感じの」
T「類似した情報で、俺のマイクロチップは読み取りと学習が可能になっている」
天龍「どういうことだ?」
明石「まぁしつけみたいな感じです。例えば人を殺すなと言われれば人は殺しません」
天龍「物騒だな!?」
提督「サイボーグも何かを学ぶのか」
72: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:34:51.74 ID:7qqqlT3Ro
明石「だけど本当に戦闘用サイボーグなんだなって感じで……常識についてのプログラミングが追い付いてないところがあるから気を付けてくださいね」
提督「常識だと?」
明石「はい。目的達成のためなら手段は選ばないので……もしその辺で強盗が現れたとして、このTに追跡を命じたらその辺の車を奪って追いかけそうで」
天龍「なんだそりゃ!?」
明石「なので、扱う際には注意が必要ですよ」
提督「そうか……だがこんな奴そうそう隠し切れんな…………」
明石「提督ソックリのロボットを作ってみたって感じで皆に言って回ればいいのでは?」
江風「そうしようよ~! 世話はこの江風に任せな!」
提督「そう言っていつも俺が面倒見るじゃないか! 駄目だ!」
天龍「ペットじゃねぇんだぞ!!」
――この後、江風を世話役として提督補佐ロボット「T」が鎮守府に着任したという形にした
《江風「提督の面倒は俺がしっかり見ててやるよ。ぬへへ」 おわり》
73: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:36:28.87 ID:7qqqlT3Ro
《幕間CM》
『ただでさえ犯罪が多いこの世の中に! これ以上問題を増やしてどうするんだ~!!』
『お騒がせ野郎深海棲艦 in 日本近海!!』
『耳を澄ませば聞こえてくるよ! 深海棲艦の唸り声がぁぁ!!』
『ある時は東京湾!』
『またある時は日本海!』
『そしてまたある時はぁ? …………オバサン家!』
『まさに神出鬼没ゥ! 人類の未来はこの提督が握っているゥ!!』
正真正銘 ”異種” 格闘技戦
ハッスル・ミドル 日本に出てきた深海棲艦
提督 プレデ タ級
commander PREDATOR.Class
『戦いの火蓋がァ、切って落とされたァ!』
――大海原が戦場と化す!!――
『真剣勝負に待った無ァし!!』
――今日もどこかで、深海棲艦――
74: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/05(月) 05:37:07.31 ID:7qqqlT3Ro
江風「んー良いCMだね」
天龍「どこがだ!! これ元々は深海棲艦の脅威性を呼びかけるCMだろ!?」
T「良いCMだ」
天龍「ええ!?」
江風「その調子! どんどん映画について学んでいこう!」
T「映画について学ぶ」
天龍「…………好きにしな、俺の手には負えねぇや」
《幕間CM おわり》
81: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 00:43:54.92 ID:+l2/p+Lbo
《江風式しつけ》
・・・・・・
~広場・緊急招集~
提督「急に呼び出してすまないと思っている」
暁「そうよ! レディをアポナシ? で呼ぶなんてマナー違反なんだから!」
雷「それでどうしたの? こんなに皆を集めて改まって…………ハッ! まさか、県知事になったとか!?」
電「それはすごいのです! すぐに日本プロレスに行って椅子を投げたり場外乱闘するといいのです!」
天龍「いやそういうんじゃねぇが…………って、おいチビ4人! お前ら、なにかにおうぞ!?」
響「金のにおいだよ金の」
天龍「チョコレートだろうが!!」
82: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 00:44:42.62 ID:+l2/p+Lbo
吹雪「あのっ、それで司令官……艦娘全員を集めるなんて、何があったんですか?」
提督「ああそれが……まぁ、見た方が早いか。おい!」
デデンデンデデン、デデンデンデデン……
那智「何か鳴り始めたぞ!?」
妙高「落ち着きなさい野沢でない那智」
T「…………」デェェェェェェェェェェン
全員「」
83: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 00:45:18.88 ID:+l2/p+Lbo
提督「紹介しよう、提督型サイボーグ、Tだ。おい、自己紹介しろ」
T「俺はサイボーグだ」
「「「「「ヒィィィィィィィ!!」」」」」
江風「ちゃンとやれよ! リハーサルと違うじゃないか!」
時雨「か、江風?」
江風「おーっす姉貴!」
夕立「ワン! ワンワンワン!! ワン!!」バウバウ
84: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 00:46:30.69 ID:+l2/p+Lbo
提督「最近軍部の人間が失踪する事件があっただろう。妻が失踪して夫が疾走して最終的にトラックを橋から落とすあの映画じゃないぞ」
江風「ブレーキダウン面白かったよね」
提督「このサイボーグは、現場のトップが深海棲艦などの敵に狙われることを危惧した上層部が秘密裏に影武者として作ったロボだ。だがAIが高性能なため、本物の人間みたいに行動する」
夕立「ワン! ワンワンワンワンワン!! バウ!! グルルルル……!!」
提督「オイ! うるさいぞ! 黙らないかこの野良犬め!!」
夕立「グルルルル……! ガウッ!!」
時雨「どうしたのさ夕立? ひどく吠えてるけど、病気なの?」
提督「ゴホン!! というわけで、ウチに送られてきたのはその試作モデルだ。そのため色々と学ばせる必要がある。その指導役を買って出たのが江風だ」
時雨「何言ってるのさ! 江風ってば自分で世話するって言った夕立だって僕や白露姉さんに押し付けたじゃないか!」
江風「うっ……ちっ、ちげーし! この子はちゃンと育てるから! なぁいいだろう時雨姉貴~!」
「「「「「(この子??????)」」」」」
85: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 00:50:23.09 ID:+l2/p+Lbo
提督「この人選は俺も認めたところだ。江風の指導によってこのTは少しずつだが色々と学んでいる」
T「敵に銃を突きつけた時、調子に乗ってベラベラ喋ると痛い目を見る」
初雪「映画のお約束じゃんそれ……」
江風「とっ、とにかく! コイツに何か用があったらこの江風を通すように!」
提督「そういうことだ。それと、この件は他言無用だ。ネットにも流すなよ168」
168「ッ、な、なんのことやら~」
提督「スマホをしまえ、スマホをしまうんなら……命だけは助けてやる」
168「……どうなるか試してみようじゃないハハッ」
提督「……」ニヤッ、ポチッ
【潜水戦隊オリョールへ出撃命令】
168「司令かぁぁん!! なによこれは!? この168をこんな安物の出撃で疲れさせやがって!!」
提督「以上、解散だ。皆分かったな?」
「「「「「はーい」」」」」
86: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 00:55:03.34 ID:+l2/p+Lbo
・・・・・・
睦月「ねぇねぇ提督……じゃなかった、Tさん!」
T「なんだ?」
睦月「睦月達、Tさんとちょっとお話したいにゃ~なんて」
T「俺の存在は極秘扱いだ」
睦月「へっへっへ、知ってるよぉ~」
菊月「私達は睦月型駆逐艦姉妹の者だ」
長月「ウチの可愛い姉妹達と話したがらないサイボーグがいるって小耳に挟んだ……まさか違うよなぁ?」
T「……話した方がいいのか?」
江風「誰かと話すくらい許可はいらないよ。それに艦娘はアンタの存在を知ってるんだし別に避ける必要は無いって提督も言ってたし」
T「理解した」
87: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 00:55:35.37 ID:+l2/p+Lbo
如月「Tさ~ん、私の髪、どうかしら?」
T「毎日手入れをし、入浴時にも手間を惜しんでいない髪だ」
如月「あら、堅い言い方。もっとほら~綺麗だーとか言ってくれてもいいんじゃない?」
T「その髪が美術的観点から見て美麗であるかどうか、俺のプログラムでは判断しかねる」
江風「ああもう! そういう時はお世辞でも綺麗だとか言っておくンだよ! 如月は褒めてもらいたいンだから」
如月「ちょ、ちょっと!」
T「…………理解した。如月が髪を褒めてもらいたがっている確率は86%」
如月「う、うわぁぁぁ睦月ちゃぁぁぁん!!」
江風「はぁ……ま、これから教えていくか」
88: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 00:57:08.50 ID:+l2/p+Lbo
卯月「……」コソコソ
江風「ん? どうしたンだよ卯月」
卯月「シーッ! 今からTにいたずらしてやるぴょん! ふっふっふ、誰でも急に脇腹をつつかれたらビクンってなるはず……!」
皐月「なんかこうして見ると強面だけどどこかかわいいね!」
T「俺と『可愛い』を結びつける要因が見つからない」
卯月「隙あり! ぴょーん!!」
T「!」ガシッ
卯月「あ゛っ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
江風「ちょ!?」
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira125598.png
89: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:07:21.69 ID:+l2/p+Lbo
長月「う、卯月ー! オイ卯月を放せ!」
卯月「誰かうーちゃんを助けっ、なんとかしてぇぇぇ!!」ミシミシ
長月「やめろと言っているんだ!」グイッ
T「……」メキメキ
長月「ぎゃあああぁぁぁぁ指痛い痛い!!」
江風「ちょ、タイムアウト! タイムアウト止めてよ!!」
T「……」パッ
卯月「プハッ……! し、死ぬかと思ったぴょん」ゼーハー
長月「指の骨が折れ…………てない。よかった」
江風「なにやってンだよ!! 艦娘に暴力を振るう提督は嫌われるンだぞ!」
T「俺の鎮守府ではこうやって制裁していた」
江風「ここはアンタの鎮守府とは違うンだ! 慣れてもらわないとこまるっつーの……ほら、右手をあげて『艦娘に暴力は振るわない』って約束しろ!」
T「……艦娘に暴力を振るわないと約束する」
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira125600.jpg
90: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:11:37.83 ID:+l2/p+Lbo
望月「へー、江風の言うことはなんでも聞くんだ」
菊月「こうして指導していくわけか……」
江風「そういうこと。もう危ない真似はしないから皆も普通に接していいよ!」
卯月「う、うーちゃんはもうあんまり近寄れないぴょん……」
長月「うむ……」
江風「そンなことないって! 卯月に危害は加えないもんな?」
T「卯月に危害は加えない」
江風「な?」
卯月「そう言ってまた頭を掴むつもりぴょん! 下がれ! 下がれェィ!!」
江風「はぁ~……あンな~、元はと言えばいたずらしようとした卯月が悪いンだぞ?」
卯月「うっ……まぁそれはそうでもあるけど……………………ごめんなさいぴょん」
江風「よし、これで仲直り&仲良しだ! 卯月とTは敵じゃない、≪トモダチ≫だよ!」
《江風式しつけ おわり》
91: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:49:53.35 ID:+l2/p+Lbo
《パパが艦これを始めた頃、鎮守府にドイツ艦が入って来たけど、 も最高ー!って評判良かったよ》
・・・・・・
~執務室~
提督「今日アイツは?」
天龍「今日も江風とじゃれてるよ」
提督「そうか……映画の中の登場人物とはいえ、あのとんでもないのをよく手懐けられてるもんだ」
天龍「明石が組んだプログラムだから安心だろう」
提督「ああ。こう安心だと、つい眠気がさしてくるな」フワァァ
天龍「仕事しろよ」
92: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:50:26.76 ID:+l2/p+Lbo
ガチャ
グラーフ「グラーフ・ツェッペリンだ。アトミラール……っと、眠そうだな」
天龍「まったくだよ。ほら、これでも飲め」
提督「コーヒーか。気が利くな」
天龍「それ2時間前のだけどな」
提督「早く言え!」
グラーフ「……ふむ、なら私が淹れようじゃないか」
天龍「なんだ、お前得意なのか?」
グラーフ「多少な。最近は小説の続きが思い浮かばない時によく行く喫茶店のコーヒーを飲んで勉強している」
天龍「(小説???)」
グラーフ「待っていろ」
93: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:51:45.02 ID:+l2/p+Lbo
・・・・・・
~数分後~
グラーフ「ほら、カフェインたっぷりのコーヒーだ。コイツで目を覚ませ」
提督「ゴクッ………………うまいね」
グラーフ「だろう?」
提督「ブレンドはなんだこれ?」
グラーフ「知らない方がいい」
94: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:52:11.59 ID:+l2/p+Lbo
グラーフ「それにしても驚いたよ。あのサイボーグとかいうの」
提督「俺も驚いたさ……」
グラーフ「?」
提督「いや、こっちの話だ」
グラーフ「あんなのを用意するということは、やはり危険なところに赴くのか?」
提督「なに?」
グラーフ「この前読んだ本にあったぞ。シンゲンというブショウは自ら最前線に立つから自分の影武者を弟に任せていたそうじゃないか」
提督「そんなのは世界中ある話だろう。だがそんな大それた作戦は無い」
天龍「(コイツの場合影武者が戦うよりも安心感あるからな……)」
95: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:52:38.78 ID:+l2/p+Lbo
天龍「ん? だが近々やるクリスマスパーティーに招待されてるんじゃなかったか?」
提督「ああ、軍とか企業とか、とにかくお偉いさんが集まるパーティーだ」
天龍「もしかしたらそこも深海棲艦のスパイに狙われてるかもしれねぇぞ! この前みたいに! いっそTを送ったらどうだ?」
提督「あのパーティーには元帥も出席する。他にも俺のことを知ってる奴は沢山いるだろうからすぐバレておしまいだ」
天龍「じゃあそのパーティーには俺と龍田も連れてけよな」
提督「なんで俺がお前らのお守りをしなきゃならないんだ」
天龍「お守りとは失礼な奴だな!」
96: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:54:35.99 ID:+l2/p+Lbo
グラーフ「ふふっ、そのTとやらに興味が湧いてきたようだ。ちょっと行って話てこよう」
天龍「気をつけろよ。無礼を働くとショットガンでハチの巣にされるぞ」
グラーフ「エドジダイではよくあったことなのだろう? キリステゴメーンと言いながら殺すと罪にならないとか」
天龍「……………………まぁ、行くだけ行ってみろ」
グラーフ「ああ。失礼する」ガチャ、バタン
天龍「………………なぁ提督、アンタドイツ語はできるんだよな?」
提督「ああできるぞ。英語もな」
天龍「明石がドイツ艦の装備の整備が難しいと言ってた時もドイツ語で書かれた装備の説明書を読んで手助けしてたよな?」
提督「ああ。それがどうした?」
天龍「あれから明石はドイツ語覚えたのかなって」
提督「覚えてないと言っていたな」
97: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 01:55:50.02 ID:+l2/p+Lbo
・・・・・・
グラーフ「航空母艦、グラーフ・ツェッペリンだ」
T「ドイツの空母か」
グラーフ「ああそうだ。Auf gute Zusammenarbeit」
T「…………」
グラーフ「どうした、Bist du in Ordnung?」
T「…………」
グラーフ「? おかしいな……アトミラールには通じたのだが……ドイツ語は分かるか?」
江風「(多分、提督は知ってても映画の中のコイツと今のプログラムを組ンだ明石さンがドイツ語を知らないからじゃないか……?)」
T「こういう場面でどう返すかは、理解している」
グラーフ「?」
T「すまねぇ、ドイツ語はさっぱりなんだ」
《パパが艦これを始めた頃、鎮守府にドイツ艦が入って来たけど、 も最高ー!って評判良かったよ おわり》
99: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 15:37:12.77 ID:+l2/p+Lbo
《パーティーで会おう!》
・・・・・・
大淀「あっあの!」
提督「どうした大淀、肩で息なんかして。そういう仕草レディーに似合わないぞ」
大淀「元帥が今、鎮守府の前に来ています!!」
天龍「どこの馬鹿だ元帥を門前で待たせてんのは!」
提督「そんなこと言ってる場合か! 急いで客間に通してピザを頼め! 江風にもTと一緒に海にでも出てろと言え!」
大淀「はい!」
100: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 15:37:41.48 ID:+l2/p+Lbo
《パーティーで会おう!》
・・・・・・
大淀「あっあの!」
提督「どうした大淀、肩で息なんかして。そういう仕草レディーに似合わないぞ」
大淀「元帥が今、鎮守府の前に来ています!!」
天龍「どこの馬鹿だ元帥を門前で待たせてんのは!」
提督「そんなこと言ってる場合か! 急いで客間に通してピザを頼め! 江風にもTと一緒に海にでも出てろと言え!」
大淀「はい!」
101: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 15:38:08.62 ID:+l2/p+Lbo
・・・・・・
~客間~
元帥「久しぶりだな提督」
提督「元帥……キングコブラに噛まれたと噂に聞いたが……」
元帥「ああそうだ。5日間のたうちもがき苦しみ……コブラが死んだ」
提督「いつもピーチクうるさい側近はどうした?」
元帥「今日はオフだ。こちらとて仕事で来るならアポもとるさ」
提督「なんだそうだったのか……」
元帥「提督がクリスマスパーティーを欠席しないようにこうして釘を刺しに来たんだよ」
提督「ハッハッハ、その心配なら無用ですよ」
102: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 15:38:35.66 ID:+l2/p+Lbo
元帥「それを聞いて安心したよ。パーティーには適当に護衛の艦娘をつけていいそうだ。また大尉みたいなのが出たときの事件は引きずられているからな」
提督「だがそんなパーティーに裏切り者など参加は……」
元帥「………………ああその話だ。話しておきたいことがある」
提督「……?」
元帥「今度のパーティーでもしそういう危ないのが現れた場合……公安と警察、どちらもかなり本気で動くだろう」
提督「前のパーティーで肝を冷やしたか」
元帥「だろうな。2度もあのような失態を晒せば流石に面子というものもあるだろう。だから提督……当日、君は遅刻して来なさい」
提督「俺だけ? 流石にばつが悪い気が……」
元帥「もしパーティーを襲うなら参加者全員を帰しはなしない。誰か1人が帰る前に人質を確保するだろう」
提督「元帥は敢えて人質になると?」
元帥「そうだ。そしてこの手のパーティーには途中で帰る人間もいる。万が一、どこかの誰かが襲撃してくるとしたらそのタイミングだろう」
提督「その時の為に俺は外で待機ということですか。たとえ何もなかったとしても遅刻で済ますようにと」
元帥「遅刻の言い訳考えておけよ。こちらも庇ってやるから」
103: ◆IPYIJYmMYgAf 2016/12/25(日) 15:39:04.22 ID:+l2/p+Lbo
天龍「おーい届いたぜー! ペパロニのピッツァだ激ウマだでぇ~!」
元帥「おお! ピザは大好物! 晩飯にいいぜ、腹も減ってるしな!」
提督「メチャウマ~イピザか」
天龍「おぉホントにうめぇな! ぉぉおおホントにうめぇな!」
元帥「いやぁうまかった。それじゃ帰らせてもらおうかな」
天龍「なんだもう帰っちまうのか?」
提督「ああそういえば元帥、パーティーはどこでやるんでしたっけ?」
元帥「ん? ああ、神奈川某所の中臣ビルだ。それじゃあ言った通りにな」
《パーティーで会おう! 終わり》
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