卯月「凄い……」

そんな彼女を出迎えた店員は初老だろうか……何処か、愛想のある面であった。

店員「いらっしゃいませ」

卯月「あの……>>4」

1.実はレンズを買いに来たんですけど
2.実は初めて買うんですけど……どれを買えば良いでしょうか？
3.ニコンの一眼レフが欲しいんですけど……

2

卯月「あの……実は初めて買うんですけど……どれを買えば良いでしょうか？」

店員「初めてですか。でしたら、こちらなんか如何でしょうか？」

卯月「小さくて可愛いです」

店員「キヤノンのEOS Kissの新製品です」

卯月「これだったら、簡単に撮れるんですね」

店員「はい、プログラムが搭載されていますので、様々な場所に適した撮影が簡単に出来るんですよ」

卯月「成る程……じゃあこれを」

店員「ありがとうございます、後はレンズを買うと良いですよ」

卯月「レンズですか？」

店員「はい、レンズも撮影での楽しみの一つですよ。例えば、この単焦点レンズ。ズームは出来ないけど、描写なんかが良いんですよ」

卯月「ズームレンズよりも良いんですか？」

店員「ええ、今のズームレンズの性能は良くなっておりますが、やはり単焦点レンズに優るものはないですね」

卯月「でも、難しいですよね……」

店員「そんな事は有りませんよ、この様に装着してやれば簡単に出来ますよ」

卯月「はあ……」


>>8のコンマが奇数だったら誰かが乱入する

卯月(レンズ……色々あるけど、良く分からないなぁ……)

店員「あっ、いらっしゃいませ」

藍子「卯月ちゃん、奇遇だね」

卯月「藍子ちゃん、どうしたの？」

藍子「実は、また新しく一眼レフとレンズを買いに来たんです」

卯月「そうなんですか……そうだ、一眼レフの事教えてください」

藍子「良いですよ！」

と言うわけで、卯月は藍子に一眼レフのイロハを学ぶ事になった。

藍子「先ず、一眼レフには色々なメーカーがあるですけど、やっぱり初めて買うとなるとニコンかキヤノンになってきますね」

卯月「えぇ？オリンパスとかペンタックスはダメなんですか？」

藍子「駄目じゃないけど、やっぱり難しんですよね」

卯月「難しいって、どういう事ですか？」

藍子「オリンパスとかだと、レンズのラインナップが多いけど……どれを選べば良いのか分からなくて直ぐに辞めてしまうと思うんです」

卯月「ラインナップが多い……？」

藍子「オリンパスはフォーサーズと呼ばれる規格のセンサーを採用していて、パナソニックなんかも採用しているんです。で、普通の場合だと、そのメーカーのカメラにはそのメーカーのレンズしか使えないんだけど、それが無いんです」

卯月「よく分かりません……」

藍子「つまり、一つのメーカーだけじゃなくて多くのメーカーから選ぶとなると、どれが良いのか分からなくて嫌になると思うという事です」

卯月「そういう事があるんですか」

※フォーサーズはオリンパスやパナソニックが採用している規格で、現在はマイクロフォーサーズが主力となっている。
但し、マイクロフォーサーズはセンサーサイズがフォーサーズと同じで、マウント径が小さくなっただけなので、アダプタを使えばフォーサーズレンズも使える。

藍子「更に、一眼レフが壊れたりした時に診てもらう時の対応も、メーカーによって違ってくるんですよ」

卯月「対応も違うって、丁寧じゃないとかですか？」

藍子「そうじゃなくて、無料で見てもらえるかどうかです」

卯月「無料で見てもらえる所が有るんですか？」

藍子「はい、ニコンは無料で見て貰えるんです」

※現在は無料点検が廃止され、有料化しています。

卯月「それ、良いですね！」


という成り行きで、買うのをやめて藍子と共に一眼レフ選びをする事にした。

卯月「ニコンって、結構高いイメージがあるんだけど……安いのとかあるんですか？」

藍子「こういうのとか、安くて始めるのにちょうど良いと思いますよっ」

『>>14』

1.Nikon FM
2.Nikon FA
3.Nikon F-501
4.Nikon F100
5.Nikon F4

取り敢えず、今日はこの辺で止めておきます。
一眼レフで撮る楽しさとか、色々とわかって貰えると嬉しいなぁ。

さて、一眼レフの方が分からない人向けに解説。

Nikon FMは77年に発売されたもので、写真学校の教材として良く採用されたものです。
機械式のフルマニュアルなので、電池が無くても撮影出来ます。
後、修理も電子式に比べてし易い(？)のです。

Nikon FAは83年に発売されたもので、AE(自動露出)を搭載した電子式の一眼レフです。
特筆するべき点として、望遠レンズを装着すると高速側にシフトアップされる上に、マルチスポット測光を導入した点です。

Nikon F-501は86年に発売されたニコンの実用レベルのオートフォーカス一眼レフ一号機です。
このモデル以前にNikon F3AFと呼ばれるオートフォーカス一眼レフが出ていましたが、特殊故にレンズの本数の少なさや合焦速度が遅いなどの点であまり売れなかったのです。

そんなF-501で特筆する点は、Nikon F3AF専用レンズが使える点です。
後、ジャンクで手に入るお手頃さです。

Nikon F100は96年に発売されたNikon F5の兄弟機(？)的存在のモデルです。
現在主流のレンズが使える上に、フラッグシップ機(最高級機)のNikon F5に匹敵する性能があります。

最後のNikon F4は88年12月に発売されたニコンのフラッグシップ機です。
巷では『MFレンズが使える最強の一眼レフ』と言われており、新旧様々なレンズが使えるという利点があります。
更に、スクリーンが非常に見易くて撮影し易いとも言われています。

しかし、欠点があり……プレビュー機構と呼ばれるレンズの絞り具合でどれだけ暗くなるか調べるシステムがあるのですが、そこから異音が発生して絞れなくなってしまう症状が現れたりします。

という事で、今宵のカメラデビューを目指す卯月の物語はここまでです。

お待たせ致しました。
第1章の方を書き終えたので、投稿したいと思います。

第2章の方は、未だ執筆中ですのでお待ちください。
それでは、卯月のカメラデビューを見守っていきましょう。

『Nikon F100』

藍子「このカメラだったら、今の一眼レフと同じ位早いから、使い易いと思いますよっ」

卯月「良いですね！藍子ちゃん、ありがとう」

藍子「うふふ、コレだけじゃあ撮影出来ませんよ」

卯月「そうでしたね、えへへ」

藍子「初めてのレンズだったら、断然これですね」

卯月「Nikon……Ai-S Nikkor 50mm F1.8……ですか？」

藍子「そうですね、このレンズは初めて使うのに丁度いいと思いますよ。癖がなくて撮りやすいと思います」

卯月「へえ……その癖って何ですか？」

藍子「癖というのは、このレンズだとこんな感じですね」

卯月「何だか、後ろの方がボケボケで丸いのが沢山出ていますね」

藍子「被写界深度が浅過ぎると、ボケも凄くなるんですよ。でも、コレもレンズの個性ですね」

彼女が使うレンズ……それはNikon Ai Nikkor 50mm F1.2であった。
レンズが描き出す画というものは、絵の具と筆のように性格があるのだ。

卯月「そのレンズも売ってるんですか？」

店員「はい、ございますので……少々お待ちを」

藍子「難しいですよ？」

卯月「良いんです！私、こういう写真とか撮ってみたいので！」

店員「はい、こちらになりますね」

卯月「4万……6000円！？」

店員「左様でございます」

藍子(このレンズ、オークションで競り落としたんだよね……1万円ちょっとで)

卯月「高過ぎる様な……」

藍子「レンズの中では安いですよ……」ﾎﾞｿｯ…

卯月「えっ？」

卯月「買います……レンズとNikon F100を買います」

店員「ありがとうございます。フィルムもいかがですか？」

卯月「フィルムですか？」

店員「はい、このカメラではフィルムが使われていますので、フィルムが必要になります」

フィルムコーナーにはフジカラー100やネオパンSS、コダクロームなどが置かれていた。
フィルムにも特性があり、発色も多種多様である。

店員「初めての撮影でしたら、フジカラー400がお勧めです。何せ、ASA400は常用として最適ですので」

卯月「じゃあ、それを三つ」

店員「ありがとうございます。それではお会計の方をさせて頂きます」

そして、彼女のカメラデビューはここから始まるのであった。
Nikon F100とAi Nikkor 50mm F1.2……これらを使って、どんな写真を撮るのか楽しみである。

藍子「じゃあ、今度お散歩しながら練習しましょう！」

卯月「はい！」

撮影の道は遠い……そう、トップアイドルと共に……。

《第1章『初めての』 ～完～》