2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 22:55:48.73 ID:88guEHDL0
プロダクション

事務室





千秋「…」ペラッ

ガチャッ

晶葉「助手いるかー?」

千秋「Pさんなら居ないわ。」ペラッ

晶葉「あぁ、千秋か。そうか、いないか…うーむ。」

千秋「どうかしたの?」

晶葉「ちょっと頼まれたものがあってな。それの試作品が出来たから確認して貰おうと思っていたのだが…。」

千秋「そうね。」


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 22:56:35.81 ID:88guEHDL0
晶葉「仕方ない。またいる頃にするか。雑誌を読んでいるところ邪魔したな。」

千秋「ねぇ。」パタン

晶葉「なんだ?」

千秋「…どういう物作ったの?」

晶葉「ほう、興味があるのか。」

千秋「あまりそういうことに触れる機会がなくて。色々知ることも必要かしらって思ったのよ。」

晶葉「なるほど、いい心がけだ。天才の天才たる凄さを感じられるのだからな。」バーン

千秋「え、えぇ。」


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 22:57:04.53 ID:88guEHDL0
晶葉「隣、失礼してもいいか。」

千秋「いいわよ。」

晶葉「すまないな。」ポフッ

千秋「それで何を頼まれたのかしら?」

晶葉「これだ。」

千秋「? 随分小さいわね。手のひらサイズって感じ。」

晶葉「そういう要望だったからな。」

千秋「そう。で、どういう機能があるの?」

晶葉「名前を『可愛く撮ってくれるくん』という。」

千秋「だいたい察したわ。」

晶葉「かなりストレートな名前だからな、当たり前か。」


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 22:57:37.53 ID:88guEHDL0
千秋「…そもそもなんで作るように頼んだのかしらね、Pさん。」

晶葉「詳しくは聞いていないが、助手のことだ。私達に関係しているのだろう。」

千秋「結局そこよね…。」

晶葉「それにわざわざ撮ってくれるという自動機能で注文してきたんだ。なるべく負担もかからない物にしたかったんだろう。私の負担はあったがな!」

千秋「お疲れ様。」

晶葉「ありがとう。彼はなんでも作れるし、なんでもやってくれると思っている節があってな。困る以外の言葉が出ない。やれやれだ。」


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 22:58:04.56 ID:88guEHDL0
千秋「その割には嬉しそうみたいだけど?」

晶葉「頼られるのが嫌いなわけではないからな。それに私の力が役に立つのは嬉しい限りだ。」

千秋「素敵だと思うわ。」

晶葉「そうか?」

千秋「えぇ、素直になれる相手がいるのはとても素敵なことだと思うの。」

晶葉「間違いなくそうだな。」

千秋「少し失礼かもしれないけど、今まで持ってた印象と変わったわ。」

晶葉「いや構わない。どういうことか教えてくれ。」


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 22:59:01.24 ID:88guEHDL0
千秋「もっと…なんというか、こんなに話をしてくれる人だとは思わなかったの。機械と戦って、出来たらまた次にって感じなのかと思っていて。」

晶葉「それも仕方がない、ほとんど共演の機会もないのだから。今、千秋は舞台であったり、グラビアであったりが中心だろう?私はライブはライブでもライブイベントやバラエティ番組が多い。そうなれば、どうしても第一印象に寄る。それに私も千秋の印象はかなり変わったからな。」

千秋「じゃあ…池袋さんには私はどう写ってたの?」

晶葉「ん?そうだな、高翌嶺の花だな。気高く、ストイックで、他を寄せ付けない、そんな強さを持った女性だと思っていたよ。」

千秋「今は?」

晶葉「話しやすい、高翌嶺の花だな。」


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 22:59:30.99 ID:88guEHDL0
千秋「フフッ、高嶺の花なのは変わらないのね。」

晶葉「気品という物を表現する言葉としてはこの言葉が適切だろう?」

千秋「さすがに自分で言うのはちょっと?」

晶葉「そうだな、すまない。」

千秋「いいの、気にしないで。」

晶葉「ありがとう。私もこれだけ変わることが出来たのは、Pや他のアイドル達に出会ってからは少し明るくなったというか、色々と自分を伝えることが怖くなくなったのは確かだ。」

千秋「私も同じようなものね。Pさんや翠さんや洋子、色々な人と関わることが出来たからこそ、自分のやりたい事のためには自分だけじゃなくて、色々と吸収することが必要なんだって気づけたわ。」


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 23:00:26.75 ID:88guEHDL0
晶葉「似た者同士だったんだな、私達は。」

千秋「みたいね、名前以外にも似ているところがあったのね。アキ同士。」

晶葉「アキ…なるほど、名前も似てると似るのかもしれないな。ただもう1人のアキは…違う気がするが…。」

千秋「…ノーコメントでお願いするわ。」

晶葉「分かった。」

千秋「フフフフフフ」

晶葉「ハハハハハハ」





10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 23:01:25.76 ID:88guEHDL0
千秋「はー…可笑しかった。ところでさっきのー…えっとその機械…」

晶葉「『可愛く撮ってくれるくん』か?」

千秋「そうそう、それはどうやって使うの?」

晶葉「使い方としては、この真ん中のボタンを押す。すると縦に伸びて、音が鳴ったら、フラッシュが焚かれて撮影され、すぐに現像してくれるというものだ。」

千秋「えっと…」

晶葉「?」

千秋「試しに使ってみない?」

晶葉「! もちろんだ。」


11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 23:01:54.89 ID:88guEHDL0
晶葉「いくぞ」ポチッ



キュイーン

ガシャン

ピピ

カワイクトールヨッ!

パシャッ

キーン

デキタヨー!



晶葉「うむ、上手く撮れてるな、素晴らしい。」

千秋「本当ね。」

晶葉「だが、足りない。」

千秋「?」

晶葉「もう1枚撮っておこう。」

千秋「! もちろん!」





12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 23:02:24.24 ID:88guEHDL0
晶葉「2枚目もバッチリだな。」

千秋「えぇ、バッチリね。」

晶葉「1枚目を渡しておく、せっかくだからな。」

千秋「ありがとう。それにしても、少し不安になるけど…何撮るつもりなのよ…。」

晶葉「…まぁ信じようじゃないか。ただ助かった。」

千秋「え?」

晶葉「システムに入れておく、早苗さん呼び出しボタンを。」

千秋「さすが天才ね。」

晶葉「天才だからな。」


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 23:02:58.78 ID:88guEHDL0
千秋「何にしてもアイドルバカと言うか、仕事バカと言うか…なんて表現しても結局Pさんだからに収まるところが怖いわ。」

晶葉「P以外の表現しようがない。残念なことに。」

千秋「本当ね。あ、そろそろ行かないと。」

晶葉「時間を使わせて済まなかったな。」

千秋「いいの、とても楽しかったから。」

晶葉「ありがとう。」

千秋「アキの会、またしたいわ、もう1人のアキも入れて。」

晶葉「あぁ、またしたいものだ。」もう1人のアキも入れて。」

千秋「それじゃあ、また。」


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 23:04:15.02 ID:88guEHDL0
晶葉「そうだ、千秋。」

千秋「何?」

晶葉「『晶葉』でいい。」

千秋「分かったわ。」

晶葉「じゃあ。」

千秋「それじゃあ。」



ガタン

バタン


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/17(火) 23:04:43.44 ID:88guEHDL0
以上です。


引用元: 黒川千秋「二つのアキ」池袋晶葉「見つけた」