1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:37:31.56 ID:h2MDM4Oh0

――ある日の真夜中



ガバッ


ミスティ「……ハア……ハア……」

ミスティ「(またこの夢を見てしまった……私がダークシグナーだった頃の記憶を……)」

ミスティ「(あれから1年以上も経ったのに、毎日のようにこの夢ばかり見る……。きっと私の中で罪の意識が消えていないんだわ。
でも、これがサテライトの人々を苦しめた罰だとしても、こう続いては心がもたない……)」


Prrrrrrr prrrrrr


ミスティ「(!? 電話……? 誰かしら、こんな真夜中にかけてくるなんて)」

ミスティ「(着信は……カーリーから!?)」ピッ

ミスティ「もしもし、カーリー? 久しぶりね。どうしたの、こんな時間に――」

カーリー『ミ……ミスティ……。どうしよう、私、思い出しちゃったよ……』グスッグスッ

ミスティ「思い出した? 何を?」

カーリー『私が……ダークシグナーだった頃のこと……』

ミスティ「!!」



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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:39:28.02 ID:h2MDM4Oh0

カーリー『人を沢山傷つけて……地縛神を召喚するために沢山の人を犠牲にして……。
それに……ジャックにも酷いことをしちゃった。もう少しで命まで奪ってしまうようなことを……』グスッグスッ

ミスティ「そう……あなたも思い出してしまったのね」

カーリー『どうしよう、ミスティ……。私、このまま生きてていいのかな。
あんなことをしたのに普段通り生活するなんて……許されない気がしてきた……』

ミスティ「そ、そんなこと……!」

ミスティ「(ど、どうするべきかしら……。このままだと彼女は恐ろしい選択をしてしまいかねないわ。
今すぐ落ち着かせるのは無理かもしれない……。ならせめて、何か気分を変える提案でも……)」

ミスティ「(……! そうだわ、カーリーと一緒にあの町に行けば、あの人と会えば……!)」

ミスティ「ね、ねえ、カーリー。よかったら今度、私と旅行に行かない?」

カーリー『へ? 旅行?』

ミスティ「私はモデルの仕事をなんとか調整してみるから、女二人で出かけましょうよ。
今のあなたには心を落ち着けてゆっくり考える余裕が必要だわ。
それに私、このことを考えるにはうってつけの場所を知ってるんだけど……どう?」

カーリー『……うん、わかった。でも、どこに?』

ミスティ「そうね……。私達と同じ罪を背負った人が立て直した町……といったところかしら……」


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:41:18.69 ID:h2MDM4Oh0

――翌月



ミスティ「着いたわカーリー」

カーリー「ここって……」

ミスティ「サティスファクションタウンよ」

カーリー「サ、サティス……!? なんか、変な名前の町なんだから」

ミスティ「町長が今の人になってからこの名前になったらしいわね。
ずっと治安が悪い場所だったみたいだけど、今の町長になってからは活気が少し戻ったそうよ」

カーリー「へぇ……。何ていうか、いかにも西部劇に出てきそうな感じの雰囲気ね。
シティの圏内にこんな所があったなんて、私知らなかったんだから――」


♪~ ♪♪♪~


カーリー「あ、あれ? 何だろこの音色。ハーモニカ……?」

ミスティ「きっと"彼”ね。私達を迎えに来てくれたのかしら」

カーリー「彼って?」

??「……来たな、二人とも」

カーリー「!? そ、その声は……!」

ミスティ「久しぶりね、鬼柳くん」


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:42:47.97 ID:h2MDM4Oh0

鬼柳「よく来てくれたな。この町の長として歓迎するぜ」

カーリー「……」ホヘー

ミスティ「どうしたの、カーリー。そんな呆けた顔をして」

カーリー「鬼柳って……あの鬼柳京介!?ジャックとか遊星とかクロウとかに異常に執着してたアイツ?」

ミスティ「そうよ」

カーリー「『満足させてくれよ!』とか『デュ↑エルだぁ!』とか変にテンション高くて、ルドガーさんにいつも説教されてたアイツ?」

ミスティ「そうよ」

カーリー「私達と同じダークシグナーだった……鬼柳さん……?」

ミスティ「……ええ。同じダークシグナーとしてシティを混乱に陥れた、私達のかつての同士よ」


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:43:54.88 ID:h2MDM4Oh0

カーリー「なんか、雰囲気がまるっきり変わっちゃってるんだから……。
ロン毛になってるし、佇まいは枯れてるっぽいし」

鬼柳「……枯れてはいない」

カーリー「ご、ごめんなさい。で、でも、鬼柳さんがこの街の長ってどういうこと……?」

鬼柳「かつてこの町を仕切っていたファミリーのトップを俺が倒した。それで俺がこの町の支配権を受け継いだ」

ミスティ「それまでは、この町で用心棒をしていたのよね」

カーリー「へぇ……。そうなった経緯がよくわからないけど、し、支配とか凄いんだから」

鬼柳「だが支配といっても、俺は町の皆を抑えつけたりはしない。
開拓の意思がある者なら誰でも受け入れ、共に満足していく……。俺はそんな町を目指している」

カーリー「……」

ウエスト「鬼柳兄ちゃーん!」

ニコ「鬼柳さん、ちょっと相談があるので来てください!」

鬼柳「そうか、わかった。二人はゆっくりしていってくれ。宿は俺の名で取ってある」

カーリー「……あ、うん」


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:46:09.05 ID:h2MDM4Oh0

ミスティ「どう、驚いた?」

カーリー「確かにぶっ飛んだわ……。あの鬼柳さんが今は町長やってるだなんて、私全然知らなかったんだから。
ジャックや遊星たちも何も言ってなかったし……」

ミスティ「きっと気を遣ってくれていたのね。
あなたにダークシグナーの頃の記憶が戻ってしまうかもしれないから」

カーリー「でも、同じダークシグナーだったのに、鬼柳さんはもうこんなに色んな事をやってるのね。
それが一番ビックリだわ。もうみんな、あの頃のことなんか吹っ切ってるんだ……」

ミスティ「……確かに、皆それぞれの道を歩んでいるわね。
復活しなかったルドガーさんは別だけど、ボマーさんは故郷に帰ってしまったし、
私もモデルの仕事を再開させたし、鬼柳くんはああだし……」

カーリー「……あれ、確かもう一人いたような。何だっけ、名前……」

ミスティ「それがね、私も何故かその名を思い出せないの。ディで始まるのだけは覚えてるんだけど」

カーリー「ぐぬぬ……。だったらこの際よ、なんとしても思い出してやるわ。ディ……ディ……」

カーリー「“ディフォーマー”?」

ミスティ「それは龍亞くんのデッキじゃなかったかしら。アキさんからチラッと聞いただけだからうろ覚えだけど」

カーリー「そ、そうだったっけ? ダメだわ、さっぱり記憶にない」

ミスティ「ボマーさんか……。あの人も自分の使命を見つけたと言っていたわね」

カーリー「じゃあ、いい機会だからボマーさんに電話でもしてみるんだから! ダイヤル~~~オン!」ピッ

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:48:44.20 ID:h2MDM4Oh0

ボマー「私の名が聞こえたようだが」ヌッ

カーリー「あばばばばばばばばばばばばっ!」

ミスティ「ボ、ボマーさん? シティに来ていたの?」

ボマー「何故だか久々に来る気になってな。
鬼柳への土産話もあることだから、ちょっと覗いてみようと思って来たのだが……。
驚いたよ、彼がこんな立派な町の町長をやっているなんて。遊星やジャックに聞いて想像していた以上だ」

カーリー「あれ? ボマーさん、あれからジャック達に会ったの?」

ボマー「会ったというより、私が彼らを呼んだんだ。私の故郷のナスカにな」

カーリー「ナスカ……。それって、もしかしてダークシグナーの地上絵がある……?」

ボマー「ああ。私はそこで地上絵を見守ることにしたんだ」

カーリー「そう……なんだ」

鬼柳「ボマー! ボマーじゃないか! 来てくれたのか!」

ボマー「鬼柳、久しぶりだな。だが何だ、その長い髪は。イメージチェンジか?」

鬼柳「言ってくれるぜ! だが……こうして皆と揃う日が来るなんて思わなかったな。
いい機会だ、一緒に食事でもしよう。この町にも腕のいいシェフがいるんだ。きっと満足できるはずだぜ」

ボマー「ははっ、その口癖だけは変わらんな」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:49:47.47 ID:h2MDM4Oh0

――レストラン



鬼柳「そうか、ジャックはナスカで新たな力を手に入れたのか」

ボマー「ああ。ジャックは地縛神の力を取り込み、正しき力として自分のものとした。
今の彼の実力はキングであった頃を遥かに凌駕するはず。叶うならば、一度デュエルを願いたいものだ」

鬼柳「パワー一辺倒だったアイツにも、そんな心境の変化があったなんてな。
どれほどのものか、俺も戦って確かめたいみたいぜ」

ミスティ「でも凄いわね。私達を支配した地縛神を逆に取り込んでしまうなんて……」

カーリー「さっすが私の愛するジャックなんだから!」

ウエスト「やっぱり伝説のサティスファクションのメンバーは凄いや!」

鬼柳「……やめろ」

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:52:06.28 ID:h2MDM4Oh0

カーリー「でも、皆ホント凄いな。ダークシグナーだった頃のこととか、今じゃすっかり吹っ切れてるみたいなんだから」

ボマー「カーリー、どうした?」

カーリー「私は未だにあの時のことを思い出して、夜な夜なうなされちゃうんだから」

鬼柳「……」

カーリー「皆みたいにもっと強くなりたいな。私、記憶を取り戻してからずっとボロボロなんだ。
大会に出るジャックや遊星達を応援したいから元気でいたいのに、どうしてもそのことが頭から離れなくて……」

ミスティ「……」

ボマー「……」

鬼柳「……じゃあ、カーリー。今から俺とデュエルするか?」

カーリー「ほへ?」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:53:18.03 ID:h2MDM4Oh0

鬼柳「吹っ切りたいものがあるなら、一度感情を思い切り出し尽くしてみればいい。そのためにデュエルはうってつけだ」

カーリー「でも、デュエルっていったって……それで解決することなんか……」

鬼柳「それに、デュエルはいつだって俺達を導いてくれる。
迷いや悩みがあるなら、その答えはデュエルの中で見つけるしかない。……これは遊星の受け売りだけどな。
それとも、俺が相手だと怖気づいちまって、やる気にもならないか?」

カーリー「な、何をー!」ムカッ

カーリー「そ、そこまで言われたら引き下がれないんだから!
確かに鬼柳さんのインフェルニティはクッソ強いけど、私のフォーチュンレディだってやるときはやるんだから!」

鬼柳「フッ……じゃあ、店の前に出ろ。ボマーとミスティは観戦でもしていてくれ」

ボマー「ああ。しかしお前も、なかなかどうして苦労な役回りをするものだ」

鬼柳「……性分なのさ。満足していない奴を見ると満足させたくなるのはな」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:54:44.14 ID:h2MDM4Oh0

※ ※



「俺の先攻。手札からインフェルニティ・ガンを発動だ」
「うっ……早速始まったんだから……」



ミスティ「いいのかしら。二人の実力は差がありすぎるんじゃ……」

ボマー「いいんだ、やらせてみよう。強者とのデュエルが自分を変えてくれることだってある」

ミスティ「あなたにも覚えがあるのかしら?」

ボマー「遊星にクロウ……。どちらも強敵だったが、彼らとのデュエルのたびに私の心には変化があった。
デュエルには人の心を変える力があるのかもしれん。良くも悪くもな」



「インフェルニティ・ブレイク!お前の場のモンスターを破壊するぜ」
「そうはいかないんだから!禁じられた聖槍で破壊を免れるわ!」
「む、やるな……」



ミスティ「良くも悪くも?」

ボマー「デュエルに秘められているのは善性だけではない。ダークシグナーだった頃の私にあったのは、
ゴドウィンに対する恨みや故郷を滅ぼされた怒りという負の感情だけだった。
私はそれを晴らすためにデュエルを利用するうち、知らずの間に心を暗く染めてしまったのだろう」

ミスティ「そう……。あなたのような人がどうしてダークシグナーなんかにって思ってたけど、
そういうことがあったのね」

ボマー「全ては私の弱さのためだ。そのせいで、罪もない多くのシティの市民や、遊星やクロウをも巻き込んでしまったんだ」


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:56:23.46 ID:h2MDM4Oh0



「行けー!ファイリー、ライティー!鬼柳さんにダイレクトアタックをぶち込むのよ!」
「ぐぐっ……」



ミスティ「あなた、強いのね。自分の弱さにしっかりと向き合えるなんて」

ボマー「誰が強いものか。そうすることでしか私は自分の使命を見いだせなかった。
正直な所、さっきのカーリーを見ていて、以前の自分を思い出すようだったよ」

ミスティ「私もよ。あんな恐ろしいことをしてしまった自分が許せなくて……随分悩んだわ。
あの子は少し思い違いをしているようだけど、私だって完全に吹っ切れたとは言えないもの」

ボマー「あれだけの事をやってしまったのだ。私もそれを悔いない日など一日たりともない。
だが、悔いているだけでは辛い思いに取り憑かれているだけで、前に進むこともない。
だから私は私なりのやり方で罪を償おうと決めたのだ」



「シンクロ召喚!現われろ、氷結界の龍トリシューラ!」
「ぎゃーーーー! 3枚除外とかマジ無理なんですけどwwwwwwwwwwwwww」



ミスティ「それが、地上絵を見守るということ?」

ボマー「あの一件は、私の故郷の地上絵が発端となって起こった出来事だ。
その封印と監視は誰よりもその地に詳しい私でなければ出来ないこと……。そう思ってな」

ミスティ「立派ね。私に出来ることといったら……モデル業に全力を尽くすことしか思い浮かばなかった。
でも、多くの人を傷つけた私がこんなままでいいのかって、今でも悩んでしまうのよ」

ボマー「君は君の才能を活かして全力で何かをしようとしてる。それもまた立派な道だ。
罪に向き合う方法は一つではないし、己の過ちを悔いるあまり何も出来ないというのも償いとは違う。
あの鬼柳も、きっとそう思ったのだろう」


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 00:59:32.35 ID:h2MDM4Oh0



「破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け! 来い、2体目!」
「オニwwwwwwwwwwww鬼畜wwwwwwwwwwww」



ボマー「鬼柳が何を思ってこの町を治めていく気になったのかはわからんが、
奴にとってはきっとそれが過去を背負って生きていく、奴なりの方法だったのだろうな」

ミスティ「確かに、アキさんから初めて彼とこの町のことを聞いた時、凄く驚いたわ。
でも、一度彼に会って納得したの。彼は確かに前に進んでる、自分の過去と向き合う時期を乗り越えたんだなって」

ボマー「そう思ったから、君はカーリーをこの町に連れてきたんだろう?
かつての同士である鬼柳の生きざまを見せ、希望を感じさせるために……」

ミスティ「あら、よく分かるのね。でもそれは理由の半分。
もう一つは純粋に私のためでもあったの。私自身、カーリーと同じように希望を取り戻したかったのよ……。
ダークシグナーのこと……それに弟のことも乗り越えて、もっと強くなりたいなって、ね」



「ついでだ、もう1体シンクロ召喚! 3体のトリシューラで一斉攻撃だ!」
「ぶぎゃーーーー! こんなのマジありえないんだからwwwwwwwwwwww」



ボマー「結局、我らの思うことは同じだったということだな。
ルドガーの意志はもはや知るべくもないが……もう一人いた仲間の……ディ……ディ……」

ミスティ「それを思い出せないのも同じね。ディまでは記憶にあるんだけど……」

ボマー「ディ…ディ……“DDB”……?」

ミスティ「それはあなたの切り札のモンスターじゃないの。ある意味地縛神よりよっぽど凶悪だったわね」

ボマー「……ど、どうやら鬼柳たちのデュエルが終わったようだぞ」


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 01:01:07.81 ID:h2MDM4Oh0

カーリー「うう……結局フルボッコだったんだから……」

鬼柳「だが、途中まではうまく行かなかった。全力を出しきらなければどうなっていたか」

ミスティ「でも負けてしまったから、気分転換とまではいかなかったかしら?」

カーリー「それがもー、悔しくて悔しくて!
あともうひと押し出来てれば違ったかもしれないって思うと、超心残り!
もっとデュエルの腕を磨いて、絶対鬼柳さんにリベンジしてやるんだから!」

鬼柳「ああ、いいぜ。俺はいつでも待ってる」

ボマー「どうやらカーリーも、先のことを考えられるくらいには楽になったようだな」

カーリー「うん……そうなんだよね、負けたのになんか不思議。
昔を乗り越えたとかそういう気分じゃないんだけど、やる気だけは湧いてくるんだ」

ミスティ「鬼柳くん相手にいい所まで行けたっていうのが、カーリーの心を少しだけ変えたのかもしれないわね」

ニコ「デュエルでカーリーさんの心を変えるなんて、鬼柳さんは流石ですね」

ウエスト「鬼柳兄ちゃんはやっぱり伝説のサティスファクションのリーダーだ!」

鬼柳「やめ……」


16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 01:03:08.32 ID:h2MDM4Oh0

鬼柳「いや、否定してもしょうがないな。
確かに俺はかつて、サテライトを統一したチーム・サティスファクションのリーダーだった」

カーリー「……?」

ミスティ「噂には聞いていたわよ。沢山暴れて、セキュリティとも対立したそうね」

鬼柳「仲間と一緒に満足したいからやっていたことだが……俺はいつしか一人で愚かな方向に進んでしまっていた。
ダークシグナーになる前から、俺の性根は救いきれないほど腐っていたんだ……」

ウエスト「よ、よくわからないけど、鬼柳兄ちゃんは腐ってなんかいないよ!」

ニコ「そうですよ! 私達家族を救って、この町も救ってくれたじゃないですか!」

鬼柳「それは仲間がいたからだ。
こんなバカな俺を見捨てずに、この町に駆けつけてくれた遊星たちのお陰で、
俺はどうしようもない所まで堕ちるギリギリの所で踏みとどまる事ができたんだ」

カーリー「仲間……」


17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 01:04:44.95 ID:h2MDM4Oh0

鬼柳「そう、仲間だ。そしてカーリー、俺にとってはお前も仲間の一人なんだぜ」

カーリー「あ、あたしが? そ、そんな、私は鬼柳さんたちみたいに立派なことは何も……」

ミスティ「確かに、否定できない繋がりはあるわね。同じ過ちを犯したという……」

カーリー「あ……」

鬼柳「俺の犯した罪や過去が消えることはない。多分、一生それを背負って生きていくことになるんだろう。
だが俺はもう立ち止まらない。同じ罪を背負いながら必死に償いの道を走り続ける奴がいると思えば、俺はいくらでも頑張れる。
変な考え方かもしれないが、ダークシグナーとしての過去を持つお前や、ミスティ、ボマー……。
それとあともう一人……ディ…ディ…」

ボマー「何だ、お前も思い出せないのか」

カーリー「ディ…ディ……“ディヴァイン”?」

ミスティ「……それは明らかに違うとわかるわね」

鬼柳「駄目だ、思い出せそうにない。……とにかく、俺達4人は同じ過去を共有している。
その関係は言わば……仲間のようなものじゃないか」

カーリー「!」


18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 01:07:35.57 ID:h2MDM4Oh0

ミスティ「確かにそうね。同じ過去を背負う仲間がどこかで頑張ってると思えば、きっと過去を乗り越えていけるはずね」

鬼柳「ああ、そうだ。それぞれ違った道を行くとしても、俺達は一人じゃない」

ボマー「しかし奇妙な話だな。ダークシグナーとしての呪われた過去が、今では私達をつなぐ絆になるとはな」

鬼柳「俺はこの町で、ニコやウエストと共に自分の生き様を貫きたい。それは俺なりの償いでもある。
まだまだ満足には程遠いが、いつかこの町を完全に復活させられたら、それが見えるかもしれないと思ってる」

カーリー「でも私なんて……記事を書いて皆を応援することぐらいしか取り柄がないんだから」

ミスティ「あら、私はあなたの記事をいつも読んでるけど、味があって好きよ」

カーリー「そ、そう? でも私、頑張ってる人を応援するのが好きなだけで……」

ボマー「それで救われる人がいるのなら立派な行いだろう。君にしか出来ない償い方だ」

カーリー「じゃ、じゃあ……私はずっとそれをやり続けるんだから!」

鬼柳「どうやら、吹っ切れたようだな」

ニコ「皆さんはこれからも仲間であり続けるんですね!」

ウエスト「メンバーを変えてチーム・サティスファクションの再結成だ!」

鬼柳「……違う」
ボマー「そうではない」
ミスティ「違うわ」
カーリー「違うんだから!」


19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/31(火) 01:08:24.30 ID:h2MDM4Oh0

カーリー「(今日、この町に来てよかった……! 私には同じ過去を持った仲間がいる!)」

カーリー「(私はこれからも、ジャックや遊星たちを応援し続ける!頑張ってる人を励まし続ける!)」

カーリー「(それが私の償い……。それが私の生きてく道なんだから!)」




終わり


引用元: 【遊戯王】カーリー「ここって……」ミスティ「サティスファクションタウンよ」