1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:30:12.67 ID:uH8jiCcRo
カタカタ……
カタカタ……
カタカ――
P「ん?」
カチカチッ
P「おわ」
P「……マジかよ」
P「自動更新しはじめやがった」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1492345804
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:32:05.20 ID:uH8jiCcRo
――更新を構成しています――
―― 1%完了 ――
P「……」
P「あー」
P「これ、ぜったい長いやつだ」
P「うあー、仕事できひん」
P「朝からテンション下がるわー」
――更新を構成しています――
―― 2%完了 ――
P「……」
P「コーヒーでも、いれてくるか……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:33:17.25 ID:uH8jiCcRo
ガチャッ
ドンッ
美穂「きゃっ」
P「おうっ」
美穂「ご、ごめんなさいっ、あの」
P「お、美穂じゃん」
P「おはよう」
美穂「あっ、P、Pさんっ」
美穂「お、おはようございますっ!」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:34:08.10 ID:uH8jiCcRo
P「おう、今日早いな」
P「いまからコーヒー買いに行くんだけど、一緒に行く?」
P「なんかおごるよ」
美穂「えっ、あのっ」
美穂「あ、じゃ、じゃあご一緒しますっ」
美穂「……」ソワソワ
P「……?」
P「ま、いいか」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:35:22.15 ID:uH8jiCcRo
ガコン
P「ほい」
P「オレンジジュース、好きだったよな?」
美穂「あ、ありがとうございますっ!」
美穂「でも、いいんですか? ごちそうになっちゃって」
P「いま休憩中なんだ」
P「暇だし、話し相手になってくれると嬉しい」
P「その見返りってことで、な?」
美穂「見返り、ですか?」
美穂「ふふっ、わかりました、私でよければっ」
P「おう、ありがとう」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:36:19.30 ID:uH8jiCcRo
P「しかし、週明けからばかに早いじゃないか」
美穂「あの、ちょっと早起きしてきたんです」
美穂「昨日緊張して、あんまり眠れなかったから……」
P「緊張?」
美穂「い、いえ、なんでもないんですっ」
美穂「……」チラッ
P「……なんだ?」
美穂「い、いえっ」
美穂「……」チラッ
P「……なんじゃい」
美穂「いえ、あの」
美穂「き、今日、涼しいですねっ」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:37:14.18 ID:uH8jiCcRo
P「涼しい?」
P「いや、別に普通だと思うけど……」
美穂「そ、そうですか?」
P「ま、4月にしては――」
P「――あっ」
美穂「……」
P「美穂、その服、初めて見るな」
P「ひょっとして、新作?」
美穂「!」
美穂「は、はいっ! そうなんです!」
美穂「えへへ……」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:38:18.45 ID:uH8jiCcRo
美穂「週末に加蓮ちゃんに誘われて原宿に行って」
美穂「そこで上下一式見繕ってもらったんです」
P「あー」
P「加蓮の趣味なのね」
P「どうりで……」
美穂「加蓮ちゃん、すごくって」
美穂「いろんなお店知ってて、店員さんとも仲が良くって」
美穂「私、あんなにたくさん試着したの初めてでした」
P「で、今着てるやつを選んできたと」
美穂「はいっ、あの」
美穂「……ど、どうですか?」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:39:13.03 ID:uH8jiCcRo
P「いいじゃん」
美穂「ほ、本当ですかっ?」
P「かわいい感じだよな」
P「さすが加蓮セレクトだわ」
美穂「えへへ、あの、ちょっと派手かなって思ったんですけど」
美穂「Pさんにそう言ってもらえると、私も冒険した甲斐が――」
P「でも」
P「寒くない? その格好」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:39:56.91 ID:uH8jiCcRo
美穂「えっ」
P「だってさ、肩なんて丸出しだし」
P「羽織ってるやつも薄くて透けてるし……」
ジー……
美穂「あ、あの」
美穂「じっと見つめられると、は、恥ずかしいですよ~」
P「いや、心配でさ」
P「やっぱ寒いって思うわ、その格好」
美穂「そ、そうですか……?」
P「うん」
P「まだインフルの季節だし」
P「もうちょい着た方がいいな」
P「いつも着てるパーカーあるじゃん? あれなんてどうだ?」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:41:00.61 ID:uH8jiCcRo
美穂「いつも着てる……」
P「そう、薄いピンクのやつ」
P「やっぱあれまだ必要な気がするな」
P「なによりさ」
P「あれ着てる方が、美穂っぽいって思うしな」
美穂「えっ」
美穂「私っぽい……?」
P「たまにはそういう格好もいいけど」
P「見慣れてないからなんだか落ち着かないし」
美穂「……落ち着かない、です、か?」
P「ああ、いや悪い意味じゃなくて」
P「その格好もいいんだぞ? でもなんつーかな」
P「俺の中の美穂のイメージとはちょっと違うというか」
P「まぁ加蓮のセンスが入ってるからなんだろうけど」
美穂「……」
美穂「イメージと、違う……」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:41:39.40 ID:uH8jiCcRo
P「だから――」
美穂「……ごちそうさまでした」
美穂「あの、私、レッスンがあるので」
美穂「すみません、えと、し、失礼しますっ!」
P「え」
P「あ」
タタタタッ……
P「……美穂?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:42:39.37 ID:uH8jiCcRo
ガチャッ
P「……」
――更新を構成しています――
―― 45%完了 ――
P「……まーだやってるよ」
P「はぁ」
P「別に使えりゃあな」
P「アップデートなんていらないって思うんだけど――」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:43:26.97 ID:uH8jiCcRo
――――
美穂「……」
美穂「イメージと、違う……」
美穂「あの、私、レッスンがあるので――」
――――
P「……」
P「なんか、なんだろ」
P「俺、ひょっとして」
P「……盛大にやらかしてしまったのでは」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:43:57.87 ID:uH8jiCcRo
――――
――
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:44:33.81 ID:uH8jiCcRo
加蓮「さいっ」
加蓮「てー」
加蓮「だからね!」
加蓮「Pさん!」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:45:33.07 ID:uH8jiCcRo
P「さ、さようでございますか」
加蓮「茶化さない!」
P「はいっ」
加蓮「もーどうして……はぁ」
加蓮「ほんっと、Pさんてさぁ……」
P「あの」
P「なんかわかんないけど」
P「ごめん」
加蓮「あのね、ごめんじゃすまないから、これ」
P「う」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:46:18.21 ID:uH8jiCcRo
P「その、具体的にどこが悪かったのでしょうか」
P「俺の言動の」
加蓮「全部でしょ! ぜ・ん・ぶ!」
P「ぜんぶ」
加蓮「あのね、美穂はほんと楽しみにしてたんだからね!」
加蓮「この服見せたらPさんがどういう反応するかって」
加蓮「買い物してるときからずっと気にしてたんだから!」
加蓮「それを悪く言われたら誰だって落ち込むに決まってるでしょ!」
P「む、う」
P「悪く言ったつもりはないんだが……」
P「ただちょっと寒そうだなーって……」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:47:31.59 ID:uH8jiCcRo
加蓮「普通そんなこと女の子に言う?」
P「え」
加蓮「Pさんあのね、女の子には見栄って言うものがあるの」
加蓮「多少寒くてもお洒落のためなら肩も見せるし」
加蓮「スカートだって短くするの! そういうものなの!」
P「はあ」
加蓮「せっかく美穂ががんばって見栄はったっていうのに」
加蓮「ほんっとPさんて女心がわからないんだから!」
P「あの、別に見栄はらなくても」
P「あったかくてかわいい格好をめざせばよいのでは……」
加蓮「……はぁーー」
P「(あ、まずい)」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:48:26.40 ID:uH8jiCcRo
加蓮「たとえばね」
加蓮「Pさん最近車を買い換えたよね?」
P「あ、うん」
P「最新のSUVな」
P「かっこいいだろ」
P「これでみんなの送迎も捗るぞ」
加蓮「でも狭くなったよね」
加蓮「車の中」
P「え」
加蓮「まわりのアイドルたちからは不評だよ」
加蓮「前の車より狭いって」
加蓮「前の車のが快適だったって」
P「」
P「なにおう」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:49:21.50 ID:uH8jiCcRo
P「そりゃ居住性はちょい悪いかもしれないがな」
P「前の車とは加速がダンチなんだって!」
P「悪路の走破性もいいし、そこらのなんちゃってSUVとはわけが違うんだぞ」
P「外見だって前のよりはるかにかっこいいし――」
加蓮「はいストップ」
加蓮「ね?」
P「へ?」
加蓮「わかったでしょ? 美穂の気持ち」
加蓮「誰にだって見栄があるんだってば」
加蓮「そこを突かれたらイヤな気持ちになるでしょ?」
加蓮「頑張ってるところは茶化すんじゃなくて、認めてあげなくちゃ」
P「いや、俺の車は外見だけの見栄じゃなくて」
P「きちんと性能が伴って――」
加蓮「……」ジトー
P「あ、すいません」
P「やめますこの話やめます」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:50:22.34 ID:uH8jiCcRo
P「……まぁでも、なんとなく言わんとすることはわかったよ」
P「見栄ね、確かにそういう部分はあるよな」
P「あとで謝んなきゃな、美穂に」
加蓮「うふふ」
加蓮「そういうPさんの素直なとこ、アタシ好きだよ」
P「そりゃどうも」
P「しかし助かったよ、加蓮」
加蓮「いえいえ、どういたしまして」
P「今度何かお礼しなきゃな」
P「そうだ! 加蓮、フライドポテトとか好きだったよな」
加蓮「え」
P「まかせろ、どっか美味しいところ探して――」
P「……」
P「なんじゃい、その顔は、どうした?」
加蓮「ううん」
加蓮「Pさんってば、繰り返すなあって思って」
加蓮「また同じミスしちゃってるよ」
P「同じ、ミス?」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:52:01.16 ID:uH8jiCcRo
加蓮「そう」
加蓮「Pさん、美穂にもうひとつ、やっちゃいけないことしたんだよね」
加蓮「それがなんだか分かる?」
P「え」
加蓮「ヒントね」
加蓮「確かにアタシはフライドポテト、好きだよ」
加蓮「一時期本当にポテトばっかたべてたよね」
P「なんの話……」
加蓮「でもそれ結構昔の話だよね」
加蓮「今はもう前ほどポテト食べないし、好きなものも全然違うよ」
P「え」
P「そ、そうなの?」
加蓮「凛も奈緒も知ってることだよ?」
加蓮「Pさん知らなかったでしょ」
P「う」
加蓮「ね、Pさん」
加蓮「Pさんはちゃんとアタシたちのこと、見てる?」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:52:28.20 ID:uH8jiCcRo
加蓮「アタシたちの今に、追いついてる?」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:52:59.84 ID:uH8jiCcRo
――――
――
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:53:29.47 ID:uH8jiCcRo
――夕刻
テクテク……
美穂「……はぁ」
美穂「Pさん、あんなこと言っちゃって怒ってないかな」
美穂「……やっぱり変だよね、この服」
美穂「前みたいな、いつも通りの服の方が、いいんだよね」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:54:10.93 ID:uH8jiCcRo
ブロロロ……
美穂「?」
ブッブー
美穂「ひゃっ」
P「よっ」
美穂「あっ」
美穂「P、Pさん?」
美穂「この車、Pさんの……?」
P「ああ、美穂は初めて見るのか」
P「寮に帰るんだよな? 乗っていかないか?」
美穂「え、あの……」
P「遠慮することない」
P「絶対快適だぞ、前の車よりさ」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:54:52.12 ID:uH8jiCcRo
ブロロロロ……
P「……」
美穂「……」
P「……」
美穂「……あの」
P「今日な、加蓮に叱られちゃってさ」
美穂「えっ?」
P「女心がわかってないってさ」
P「プロデューサーは朴念仁の唐変木だって」
美穂「とう……?」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:55:37.80 ID:uH8jiCcRo
P「ま、冗談はおいといて」
P「朝話してたよな、美穂の服について」
P「それについて加蓮からお説教を受けていたんだ」
美穂「お説教、ですか?」
美穂「えっと……?」
P「あのー、その、つまりだな」
P「今朝はデリカシーのないことを言って、ごめん」
P「その服、本当にいいと思うよ」
P「今後も定期的に見たいって、そう思う」
美穂「!」
美穂「ほ、本当ですか?」
P「おう」
P「本心だよ」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:56:37.45 ID:uH8jiCcRo
P「めっちゃかわいいし」
P「露出も多めだし」
P「それでいて清楚な感じもするし」
P「なんかいい香りもするし」
P「よくよく考えたら俺の好みドストライクだったわ」
美穂「」
P「美穂の容姿でその服装だもんな」
P「このギャップはもはや犯罪だよな」
美穂「あ、あの……」
P「完全にかわいい」
P「もはやかわいい以外の語彙を失うわ」
P「かわいい」
P「可憐だ」
P「キュートだ」
P「kawaii」
P「セクs――」
美穂「P、Pさんっ!」
美穂「もういいです、もういいですから~~!!」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:57:51.54 ID:uH8jiCcRo
ブロロロ……
P「……あの」
美穂「……」プクー
P「美穂さん」
美穂「……」
P「ご機嫌を直していただけないでしょうか」
美穂「……もうからかったりしないって約束するなら」
美穂「あの、いいですよ、許して、あげますっ」
P「半分くらい本音なんですけどね」
美穂「う、うう~! ダメですっ!」
美穂「ちょめです! ちょめ!」
P「やった、ちょめ頂きました」
美穂「や、約束ですよっ」
P「わかったよ、悪かった」
P「じゃ、ちょっと真面目な話をするか」
美穂「えっ?」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:58:40.61 ID:uH8jiCcRo
P「俺さ、そろそろ米寿を迎える祖母がいるんだ」
美穂「おばあちゃん……ですか?」
P「そう、もうだいぶボケが進行しててな」
P「俺を見ても、自分の孫だと認識できないときがあるくらいだ」
美穂「……」
P「いきなりなんの話始めてんだって思うよな」
P「まあ少しの間、我慢して聞いてくれると嬉しい」
美穂「は、はいっ」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 21:59:33.27 ID:uH8jiCcRo
P「うちの祖母は昔から進歩しない人でな」
P「家に行くといつも同じお菓子を出してくるんだ」
美穂「同じ……お菓子?」
P「そう、いっつも同じお菓子出してくんだよ」
P「なんでいつもこれなの? って聞くとさ」
P「"Pくんが言ったんでしょ、これが好きって"とか言うんだよ」
P「いやいや、言ったかもしんないけどさ」
P「それ俺が小学生のころとかの話だろって」
P「何年前の話してんだよってさ」
美穂「ふふふっ」
美穂「ありますよね、そういうこと」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:00:25.06 ID:uH8jiCcRo
P「そう、つまりその頃から全く更新されてないんだよな」
P「祖母から見た俺の姿ってのはさ」
P「いつまで経っても小さいままなんだよ」
美穂「……」
P「最近じゃそれに加えボケてきてるからさ」
P「俺を見て言うんだよ」
P「私にはあなたに似た孫がいるのよって」
P「まだこんなに小さいんですけどねってさ」
美穂「……」
P「それ聞くと何となく寂しくなってな」
P「ちょっと、やるせない感じになる」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:01:09.34 ID:uH8jiCcRo
P「でもさ、ついこの間会ったらな」
P「どうも意識がはっきりしていたみたいで」
P「俺のことちゃんと認識してくれたんだよな」
P「そんで言ってくれたんだ」
P「"Pくん、大きくなったのねえ"ってさ」
美穂「……」
P「わけわかんないけど、何か救われた感じになってな」
P「その日は久々に外に連れ出してさ」
P「思う存分孝行してやったもんだよ」
美穂「ふふ」
美穂「いいお話ですね」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:02:28.45 ID:uH8jiCcRo
P「今になって思うと、俺は分かってほしかったんだろうな」
P「俺はこんなに立派になったんだぞってさ」
P「もう小学生じゃないんだぞって」
P「祖母に認めてほしかったんだろうな」
P「……俺の記憶を、更新してほしかったんだろうな」
美穂「……」
P「誰だって、多分そうなんだろうな」
P「今を必死に生きていて、成長し続けてるやつなら誰だってそうだろう」
P「昔の自分じゃなくて、今の自分を見てほしいって思うはずだよな」
美穂「……」
P「すまなかったな、美穂」
P「俺はずっと、美穂について更新するのをサボってた」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:03:10.63 ID:uH8jiCcRo
美穂「私について……?」
P「そう」
P「何年も前に、美穂が上京してきて初めて事務所に来たとき」
P「あのときのまま、俺の中の美穂はずっと止まってたんだ」
P「熊だかなんだかわかんねえTシャツ着てさ」
P「やたら派手な色のスーツケース押してきて」
P「挨拶も自己アピールもしっちゃかめっちゃかで」
P「めちゃくちゃキョドってる姿が、印象深すぎてな」
美穂「あ、あうう……」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:03:55.49 ID:uH8jiCcRo
P「だから今朝美穂の服装を見たときも、違和感しかなかった」
P「野暮ったい格好している、昔の美穂しか頭になかったからな」
美穂「……」
P「恥ずかしい話だよ、担当プロデューサーなのにさ」
P「ずっと一番近くで美穂を見てきたはずなのに」
P「ステージの上で、成長してきた姿を見てきたはずなのに」
P「今日になるまで、いっさい更新してこなかったんだってんだからな」
美穂「Pさん……」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:04:39.61 ID:uH8jiCcRo
P「だから今日、加蓮に説教された後な」
P「美穂のこれまでの軌跡を全部辿ることにしたんだ」
美穂「私の、軌跡……?」
P「そう、古いポスターやら宣材写真やら全部ひっくり返して」
P「HDDにぎっしりつまった画像を一枚一枚見返してな」
P「ライブの映像も、一から見直してみて」
P「遅くなったけど、全部アップデートすることにしたんだ」
P「今の美穂を、ちゃんと掴むために」
美穂「……」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:06:35.03 ID:uH8jiCcRo
P「なんせいままでサボってたもんだから」
P「やたら時間はかかったし、まだ足りないような気もする」
P「でも、今日で少しは追いつけたような気がするんだ」
美穂「……」
P「だから、改めて言うよ」
P「なんというか、その……」
P「美穂は本当に可愛くなったなって思う」
P「その服も、マジでいいと思う」
P「最高に似合ってる」
美穂「Pさん……」
P「これからもずっと、そういう姿を見せてほしいって思う」
P「変わっていく美穂を、俺は見たい」
P「成長していく美穂を、一番近くで見ていたいんだ」
P「俺は何よりも、今の美穂を尊重するからさ」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:07:11.05 ID:uH8jiCcRo
美穂「……Pさん」
美穂「あの、なんて言えばいいか……」
美穂「そんな風にPさんが思ってくれてるなんて思わなくて、それで」
美穂「その、私、すごく嬉しくて」
美穂「それで、あの、私も……」
美穂「私も、変わっていく自分を見てもらいたい、です」
美穂「その、誰よりも――」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:07:46.67 ID:uH8jiCcRo
美穂「――誰よりも先に、Pさんに見てもらいたいって」
美穂「そう、思います」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:08:54.20 ID:uH8jiCcRo
ブロロロ……
美穂「……」
P「……」
美穂「……」
P「やばい」
P「めっちゃ恥ずかしい……」
美穂「うう~」
美穂「わ、私もです……」
P「なんか、ごめん」
美穂「い、いいんです」
美穂「もとはといえば私がですね……」
P「いやいや俺がな」
美穂「いえあの私が――あっ」
P「え」
美穂「さっきのところを右です、右」
P「あ、やべ」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:09:44.96 ID:uH8jiCcRo
キキーッ
P「よし、着いた」
美穂「はいっ、今日はありがとうございました」
P「うん」
P「また明日な」
美穂「はい、あの」
P「ん?」
美穂「Pさん、私この車好きですよ」
P「おっ?」
P「美穂、違いが分かるのか」
美穂「はいっ、前のよりも可愛いですっ」
P「えっ」
美穂「うふふ、なんだか顔が犬みたいで、可愛いなって」
P「……」
P「そうか、うん」
P「そりゃありがとう、嬉しいよ」
美穂「はいっ、それじゃ、お休みなさいっ」
タタタタ・・・
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:10:18.34 ID:uH8jiCcRo
――――
――
ブロロロ……
P「……」
P「……」
P「犬、かぁ……」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:10:51.46 ID:uH8jiCcRo
ブロロロ……
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:11:40.52 ID:uH8jiCcRo
――――
――3日後
カタカタ……
カタカタ……
カタカ――
P「む」
P「……自動更新、か」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:12:15.61 ID:uH8jiCcRo
P「……」
P「ま、これも必要なことだ」
P「よっし、コーヒーでも入れてくるか」
ガチャッ
ドンッ
美穂「きゃっ」
P「おうっ」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:12:48.13 ID:uH8jiCcRo
美穂「ご、ごめんなさいっ、あの」
P「あ、美……」
P「……穂?」
美穂「あ、ああっ、P、Pさんっ!」
美穂「見、見ちゃダメですっ、めっ!!」
P「あ、やっぱり美穂だよな?」
P「ええと……」
P「全体的に、何だそれ?」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:13:36.34 ID:uH8jiCcRo
美穂「うう~、いえ、あのですね……」
P「なんだ、その」
P「猫耳ヘッドフォンは?」
美穂「あの、これは李衣菜ちゃんから借りたんです」
美穂「これがロックなんだよって言われて……」
P「じゃ、その尻尾と手袋は?」
美穂「あの、みくちゃんが無理矢理……」
美穂「猫キャラが今アツいとかなんとかって」
P「そのメガネは?」
美穂「これは――」
P「あ、いや、いいや」
P「メガネはわかるわ」
美穂「あ、はい」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:14:13.28 ID:uH8jiCcRo
P「じゃあ、そのゴスロリ服と眼帯も」
美穂「これは蘭子ちゃんと小梅ちゃんが……」
P「でしょうね」
P「……で、なんだこれは?」
美穂「え」
P「一体誰にそそのかされたんだ、美穂」
P「イメチェンにしちゃ度が過ぎてるぞ」
美穂「い、いえ~あの~」
美穂「加蓮ちゃんがその、えと……」
P「やっぱ加蓮か」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:15:11.67 ID:uH8jiCcRo
美穂「この間の車での一部始終を話したら」
美穂「加蓮ちゃん、何かすごく喜んじゃって」
P「(好きそうだもんな、ああいう話)」
美穂「女子寮のみんなにも同じ話をしたらしくて」
美穂「何故かこの機会にもっと冒険してみようってことになって」
美穂「それから私の大改造計画が始まって……」
美穂「こんなことに、うう……」
P「ひでえ」
P「(首謀者は加蓮と紗枝かな)」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:15:59.04 ID:uH8jiCcRo
美穂「それで、あの、ど、どうでしょうっ?」
P「へ?」
美穂「あの、私、似合って……ますか?」
美穂「変じゃない、でしょうか?」
P「……」
P「あのな」
P「確かにアップデートしていくとは言った」
P「言ったけどな」
P「いくら何でも、いきなり変わりすぎだわっ」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:16:55.66 ID:uH8jiCcRo
美穂「で、でもPさん言ってくださいましたよね?」
美穂「今の私を尊重してくれるって」
P「いやまあ」
P「言ったけど、あの……」
美穂「……」ジーッ
P「……」
P「わ、わかった」
P「言ったもんな、責任はとらなきゃな」
美穂「ふふっ」
美穂「それじゃあ評価のほど、よろしくお願いしますっ!」
P「う、うん」
P「……はあ」
P「小日向アップデート、か」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:17:25.59 ID:uH8jiCcRo
P「まだもうちょい、かかりそうかな」
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/16(日) 22:18:03.14 ID:uH8jiCcRo
――更新を構成しています――
―― 100%完了 ――
終わり
引用元: ・モバP「小日向アップデート!」
コメントする
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。