1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:23:19.70 ID:0ciLJ/1To
ある特殊部隊の駐屯地――
隊長「大都市に正体不明の怪物が出現し、余りの強さに警察でも手をつけられないという!」
隊長「となれば、我ら特殊部隊の出番だ!」
隊長「今こそ日頃の訓練の成果を見せる時だ!」
隊長「各自、出撃準備に入れ!」
隊員A「はいっ!」
隊員B「はいっ!」
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:23:52.24 ID:0ciLJ/1To
隊員A「――と勇ましく返事したはいいけど」
隊員A「どうせオレらってやられ役だよな……」
隊員B「まぁな」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:26:16.58 ID:0ciLJ/1To
隊員A「特殊部隊だエリート部隊だ精鋭部隊だ、と強そうな肩書きを引っさげて登場して」
隊員A「まあ……全滅するよな」
隊員B「全滅だろうな」
隊員A「よくて半壊」
隊員B「勝つことは」
隊員A「まずないな。絶対ない」
隊員B「間違いなく負けるだろうなぁ」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:27:19.67 ID:0ciLJ/1To
隊員A「どんな相手でも恐れません、この最新装備なら負けません、と意気込んでみるも」
隊員A「結局は全然通じなくて」
隊員B「悲鳴上げながらマシンガン乱射したり」
隊員A「情けなく逃げ惑って」
隊員B「蹂躙されて」
隊員A「後に残るのは死体の山」
隊員A「全滅までどのくらいかかるかな? 5分? 10分?」
隊員B「下手すりゃ戦ってる姿すら描かれないかもしれないぞ」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:28:03.55 ID:0ciLJ/1To
隊員A「なーんで特殊部隊ってやられ役なんだろ?」
隊員B「なんでだろうなぁ……」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:30:08.73 ID:0ciLJ/1To
隊員B「やられ役ってのは、ある程度強くなきゃ成立しないわけじゃん?」
隊員A「そりゃそうだな」
隊員B「だからじゃね?」
隊員B「特殊部隊は普通の部隊より強い、だからやられ役にしよう、って図式」
隊員A「特殊部隊をやられ役にすることで、それを壊滅させた敵が輝くってわけね」
隊員B「そうそう」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:32:19.97 ID:0ciLJ/1To
隊員A「でもさ、特殊部隊イコールやられ役ってのはもうすっかり定着しちゃってるし」
隊員A「なんていうかあまり強いイメージないよね」
隊員A「出てきた瞬間に、こいつら全滅しそうな気がするっていうか」
隊員B「そういわれてみればそうだけどさ……」
隊員B「そこはほら、歴史と伝統ってことで納得しとこう」
隊員B「未知の怪物や超人の強さを示すなら、特殊部隊を全滅させとけって図式なんだよ」
隊員A「お約束ってやつか」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:35:02.24 ID:0ciLJ/1To
隊員A「そういやさ、特殊部隊はあまり強いイメージないけど、“元特殊部隊”は強いよな」
隊員B「強いな」
隊員A「どうして? なんで現役より強いの?」
隊員B「そりゃあれだろ、死なずに退役できたんだから強いって理屈だろ。経験もあるだろうし」
隊員A「でも絶対ブランクとかあるじゃん? 体は絶対なまってるだろ」
隊員B「そこはほら、密かに訓練してたってことで」
隊員A「あーあ、オレも元特殊部隊だったらなぁ」
隊員B「こんな土壇場で愚痴ってもしょうがないだろ」
隊員A「まぁな」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 00:35:38.83 ID:0ciLJ/1To
隊員A「たとえやられ役であろうと、オレらは出撃しなきゃならないし」
隊員B「やられても、敵の情報を後で戦う奴らに伝えることができれば万々歳だ」
隊員A「なんもできずにやられたとしても、それはそれで敵の恐ろしさは伝わるって寸法か」
隊員B「そういうことさ」
11: ◆LnpZAORy/6 2017/04/20(木) 00:37:30.01 ID:0ciLJ/1To
隊長「準備は整ったか!? さっそく大都市へ出撃するぞ!」
隊員A「はいっ!」ジャキッ
隊員B「はいっ!」ジャキッ
特殊部隊は出撃する――
任務をまっとうするために――
たとえ己に待ち受ける運命を予感していたとしても――
― 終 ―
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