2: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:23:26.53 ID:giyyd.SO
男「ただいまぁ、と」

少女「あ、お帰りなさい!」

男「……誰だよ、お前」

少女「私は魔女です!」

男「そうか、魔女さん。あの一つだけ飛び出てる尖った建物は判るか?」

魔女「はい!」

男「あそこの正面玄関がある側にバス亭がある」

魔女「はい!」

男「そこから出るバスは病院前という場所まで運んでくれる」

魔女「はい!」

男「その病院には精神科というスペースが在る」

魔女「はい!」

男「取り敢えずそこに行きなさい」

魔女「はい!……あの、一つ聞いて良いですか?」

男「手短に」

魔女「信じてませんね」

男「はい」

3: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:25:55.46 ID:giyyd.SO
魔女「証拠を見せます!」

男「必要が無い」

魔女「ありますよ!」

男「君がおれに意固地になる必要も無い」

魔女「ありますってば!」

男「無い」

魔女「あーりーまーすー!!」

男「必死だな」

魔女「必死です!」

男「……仕方ない。話ぐらい聞いてやろう」

魔女「えっ!?」

男「失礼な反応だな」

魔女「だ、だって、さっきまで病院を勧めてきてたから…その………」

男「本気で言ったんじゃない。それに、必死な人を見捨てる程外道じゃないさ」

4: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:28:57.18 ID:giyyd.SO
魔女「なら意地悪したんですね!」

男「不法侵入にイラッとしてたんだ」

魔女「へ?わたし、不法侵入じゃないですよ?」

男「ここで冗談を言うか。ツートーンカラーの車を呼ぼうか?」

魔女「じ、冗談じゃないですよ!だって、ドアが開いてましたもん!」

男「……そうか。戸締まりをしてないと泥棒以外に電波が侵入するんだな。ためになった」

魔女「電波じゃありません!」

男「どーでも良い」

魔女「むー、意地悪です」

男「評価出来る程付き合いが無いだろ。さ、ドアの前から下がれ」

魔女「あ、はい」

5: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:32:41.71 ID:giyyd.SO
男「……何か荒らして無いだろうな」

魔女「してませんよ!私がそんな風に見えますか?」

男「評価出来る程付き合いが無い」

魔女「むぅ…」

男「でも、(漠迦さが滲み出てるから)罠は無いだろうと思えるぐらいはある」

魔女「うーん……信頼されてるってことですか?」

男「幸せな方に解釈して良いよ」

魔女「はいっ!」

6: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:35:15.36 ID:giyyd.SO
――リビング



魔女「……」ソワソワ

男「……」

魔女「……」ソワソワ

男「何でソワソワしてんの?」

魔女「い、いや、えと、緊張するなぁって」

男「そんな難しい話?」

魔女「そ、そういうんじゃなくて、炬燵に一緒に入るのが…」

男「そう」

魔女「………」

男「話さないのか?」

魔女「お、男さんは一人暮らしですか?」

男「こんなアホみたいに広い家に一人で住むかよ。家族と一緒だ」

魔女「家族の人は……今は居ない…ですよね?」

男「そうだな。仕事中だな」

魔女「あ、あの!話すのは皆さん揃ってからで良いですか?」

男「良いよ、別に」

魔女「あ、有り難うございます!」

7: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:37:11.86 ID:giyyd.SO
男「ん……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……」ソワソワ

男「……」

魔女「……」ソワソワ

男「なぁ」

魔女「は、はい!」ビクッ

男「変な事考えてるだろ」

魔女「し、ししししてないです!も、もう、なな何を言ってるんですかっ!」

男「……出よう」

魔女「あぁ!違います!違うんです!」

男「ふーん、炬燵は違うのか……」

魔女「あっ……」

男「ふーん…」

魔女「あぅ……」

男「……」ジトー

8: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:39:19.84 ID:giyyd.SO
魔女「……か、覚悟はしてたんです」

男「何の覚悟?」

魔女「学校で、男の人はせ、せぃ……」カァァア

男「… 欲の塊だから女の子に辺り構わず襲い掛かるモンスターと習った。さっきは外に解放されていることもあり気にしなかったが、今こうして二人きりで部屋に、しかも炬燵によって近づいているため意識してきたと」

魔女「……」コクン

男「失礼だな」

魔女「うぅ…」

男「君の学校は何処にある。保険体育の先生の鼻面殴った後、PTAに連絡しとこう」

魔女「えぇっ!何で急にそんなバイオレンスに!?」

男「女尊男卑教師に制裁を与える。教育が洗脳だと判ってないらしいからな」

魔女「喧嘩はダメですよ!怪我すると痛いんですから!」

男「……無駄なことを、とか言わないんだな」

魔女「何でです?」

9: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:41:24.51 ID:giyyd.SO
男「お前の言う通り、この世に魔法使いがいるなら、普通の人間なんかが喧嘩で勝てるワケが無い」

魔女「……ク、ククク…無駄なことを…」

男「魔女って嘘だろ。ホントは何処の家出少女なんだ?」

魔女「嘘じゃないです!やっぱり証拠を見せます!」

男「必要無い」

魔女「必要無くても見せます!」

男「興味無い」

魔女「み、見ててください!」スチャ

男「紙とペンを取り出した意味は?」

魔女「陣を描きます!」

魔女「……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「……出来ました!」

男「ふわぁ……」

10: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:43:19.78 ID:giyyd.SO
魔女「フフフッ!行きますよ!」

魔女「『瞳を閉じろ。耳を開け。小さな命の爆ぜる声に意識を傾けろ。歓喜の悲鳴を掬えたら、高く高く打ち上げろ。』」パァァア

男「……寝る」ゴロン

魔女「『導となる。それにしたが――ねっ、寝ないで下さいよ!今からぶわぁって魔法が出るんですよ!」

男「面倒」

魔女「酷いです!」

ピンポーン

男「ん、誰か来たな」

魔女「タイミングも酷い!」

ピッ

男「はい、どちらさんですか?」

魔女「わわっ!は、箱の中に急に外の景色が!これが噂に聞くテレビ!」

男「違うし黙れ」

11: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:45:37.72 ID:giyyd.SO
??「私は探偵だ」

男「うわ……」

??「だが、ある時は敏腕講師!」

??「またある時は売れっ子小説家!」

??「凄腕弁護士であり、しがないOLであり、占い師であり、悪の組織でもある!」

??「しかし、その正体は!」

??「息子がコスプレプレイでにゃんにゃんしてるとの連絡を受け有給消費して帰って来た、子供思いの母親だぁ!!」

魔女「わー」パチパチパチ

男「いや、仕事しろよ…」

母「パパとお姉ちゃんにも連絡済みだ!」

男「予定が速まって有難いけど、それは恨むわー」

母「さぁ!ドアを開けなさい!」

男「開いてるし」

母「マジか!確認してなかったわ!」

ガチャ

母「ただいまぁ!へっへっへ、女の子の匂いがするぜぇ」

男「あー、君さ、逃げた方が良いよ」

魔女「え?挨拶するんじゃなくてですか?」

男「うん。っていうか去れ。窓から。命令な」

12: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/10(金) 20:49:27.83 ID:giyyd.SO
魔女「でも……」

男「命令だ。さ、去れ去れ」グイ

魔女「きゃっ!」

ガラガラガラ

男「じゃ、後ろを振り向かず、全速力でさ――

??「おーっと、ガバディ!」ズサー

男「……」

??「甘い甘い甘い!ここはお姉ちゃんがガバディ!」

姉「子猫ちゃんをミルクも出さずに追い帰すのかい、少年」

姉「あ!下のじゃないよ!」

母「下でも良いけどね!」

アハハハ!×2

男「下衆だな。勝手口から……」

??「無駄だ!裏門はPAPA小隊が制圧した!逃げ場はないぞぉ!」

男「こいつら…」

父「見たか息子!これが家族の力!」

姉「家族の絆!」

母「家族のワッショイ!」

アハハハハハハ!×3

魔女「えと……挨拶と逃亡のどちらを取った方が良いですか?」

男「なんか…もう……はぁ。幸せな方を選んで良いよ」

魔女「はい!」

魔女「男さんの家族の皆さんこんにちは!私は――

17: 2010/12/12(日) 09:03:32.11 ID:59GgIoSO
姉「魔女……だと…?」

魔女「はい!」

姉「……流石に…信じられないなぁ」

魔女「そんなに不思議なことですかね?」

母「あぁ……不思議過ぎて吐きそうだよ」

男「母さんにも春風の止む時期が在るんだな」

母「魔女名乗ってるのに全然マジョマジョしてねぇし、普通にポップンな服装だし、そもそも彼女でも無いとか何事だよ…一体さぁ……」

男「……春の嵐だったか」

魔女「あのー、ママさん。マジョマジョって何ですか?」

母「ローブにトンガリコーン型帽子だよ……。モンホノの癖にんなことも知らねぇのかよ。あり得ねぇ……」

魔女「ローブにトンガリ帽子……ですか?それ、15世紀頃のファッションですよ。しかも、黒ミサを行ったりする過激派の。今はハロウィンで仮装に使うぐらいですよ」

母「……かぁーっ、マジかー。でも、そりゃそーかー。文化は変わるもんねー。あー、ショックだわー。現実見せられたわー。かぁーっ」

男「現実も何もこいつ魔女じゃないだろ」

姉「んだな」

母「えっ!?マジで?」

魔女「ち、違います!私は本当に魔女ですよ!」

母「息子!やっぱり、魔女じゃないか!びっくりさせんなっ!!」

18: 2010/12/12(日) 09:05:08.35 ID:59GgIoSO
男「どんだけ、人を信じてんだよ」

姉「んだな」

母「けっ!血の腐った息子達だ」

姉「母さんの血だけどね」

母「ごめんね、魔女ちゃん。でも、あたしとパパは味方だからねっ!ね、パパ!」

父「………」

母「…パパ?」

父「………解析完了」

男「急にどうしたんだこいつ」

姉「さぁ?」

父「結論……」

父「………」

父「魔女属性が萌えるから信じる!可愛いから信じる!そして何よりもぉぉぉ!!」

父「ママを信じる!イェァッ!」

母「イェィ!」パチン

男「仲良いね。そのまま仲良く共同作業で風呂掃除でもしてこい」

母「よっしゃぁ!行こうぜパパ!」

父「イェェェェァ゙ッ!」

バタバタバタ

姉「マジで行くのか……」

男「あっちはお風呂じゃないんだけどな」

19: 2010/12/12(日) 09:06:38.43 ID:59GgIoSO
魔女「か、可愛いって!男さん!私可愛いって言われました!」

男「ん、そうだね」

魔女「はわぁ~」キラキラキラ

姉「で、どうするのこの娘?」

男「どうするも何も、この話合いはふけ顔のガキ二人のせいで進展ゼロなんだが」

姉「…!……き、気付かなかった…」

男「うわーさすがはぼくのねえさんだー」

姉「いやぁ~///」テレテレ

男「さて」

魔女「可愛い、か。えへへ」ニマニマ

男「戻って来い」ビシッ

魔女「痛い!」

男「聞きたいことがある」

魔女「な、何ですか?」

男「一、身の上。二、目的。三、意志。この三つだな」

魔女「えーと……はい?」

男「……お前は何処の誰で何の目的があり、どうしたいのかを知りたい」

20: 2010/12/12(日) 09:12:58.51 ID:59GgIoSO
魔女「まず、私は魔女です」

男「そこはもう良いから」

魔女「……面倒と思ってますね」

男「さぁね」

魔女「し、信じさせます!」

男「話が進まないから要らない」

魔女「魔法を認めてくれなきゃ、話も何もないんです!」

男「どーでも良い」

魔女「も、もう一度見せます!」

男「信じてる」

魔女「……ふぇ?」

男「もう既に信じてるから必要無い」

魔女「……はっは~ん」ニヤリ

男「……何だよ」

魔女「もしかして男さん、魔法を認めるのが怖いんですか?」ニヤニヤ

男「別に」

魔女「じゃぁ、止める理由は無いですね」

男「面倒なんだよ」

魔女「またまた~。言い訳を言っちゃって~」

姉「えへ…………今、何の話?」

21: 2010/12/12(日) 09:14:51.72 ID:59GgIoSO
魔女「私が魔法を使ってあげようという話です!」

男「必要無い」

姉「えっ!?必要あるじゃん!?見せてよ!ほら!愚弟も見るよ!」

男「ダルい……」

魔女「はい!ではっ!」スチャ

魔女「……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「整いました!」

姉「ナニソレ?」

魔女「陣です!行きますよ!」

魔女「『瞳を閉じろ。耳を開け。小さな命の爆ぜる声に意識を傾けろ。歓喜の悲鳴を掬えたら、高く高く打ち上げろ。導となる。それに従え。皆も続くさ』」パァァア

魔女「『ライウス』」

ピカ-

姉「……か、紙から……光の柱が……」

男「……」

ピカ-

魔女「えへん!凄いでしょ!どうです?認める気になりましたか?」

22: 2010/12/12(日) 09:16:12.17 ID:59GgIoSO
男「リビングで途中まで見せただろ」

魔女「……さ、さっきまで否定してたじゃないですかっ!」

男「あそこで魔法スゲー発言してみろ。俺の立場は息子から電波な息子にクラスアップしてる」

魔女「皆さん信じてくれてましたよ」

姉「ほたたたた」

男「少なくとも姉さんは信じてない」

男「確証は無いが、父さんと母さんも信じてなかっただろうね」

魔女「嘘です!」

男「ノリと勢いで生きてるが、考えはしっかりしてる」

魔女「でも!信じるって!」

男「お前が傷付かないよう配慮した行動だったんだろ」

魔女「……ショックです」

男「そうだな。さ、続き話せ」

魔女「……扱いが酷いです。こういう時は慰めるんじゃないんですか?」

男「そこまでのショックじゃないだろ」

魔女「…………」

魔女「私は、魔法が使えます」

23: 2010/12/12(日) 09:19:59.68 ID:59GgIoSO
人目に決して付かない。だが、日々の生活のほんの壁一枚向こうに異能者の国がある。

かつて魔女狩りが行われた際の生き残り達が、世界に散らばる仲間を救うために作り上げた国だ。

その成り立ち故に、そこには法や憲よりも重い規律が在る。


『何人も国の枠内に自由に入ることを許す』

『何人も国の枠外に自由に出ることを禁ず』


新たに入って来る者は外の迫害を知っており、新たに芽吹く命は恐怖を聞かされて育つ。

仲間を探して歩く巡礼者と情報を探して歩く配達者の職に就く者以外、外へ出ていく者は歴史上一人も居なかった。


だが、最近になって状況が変わった。

国と言っても、マイノリティの最高峰に連なる異能者の集まり。人口はたかだか数百。

招かれる人々も数年に一人。しかも、異能は遺伝子に刻まれる呪い。系譜を辿れば必ず誰かの親戚に当たる。

必然。長く刻が経ち、血が濃くなり過ぎた。


崩壊を止める為に、国は境の解放を決定した。

しかし、いきなりの解放は両界に大きな歪みをもたらす。

国内で歪んで教えていた教育を修正し、解放に反発する世論を変えている間に、まずは視察団として百名を派遣することとした。

24: 2010/12/12(日) 09:22:57.89 ID:59GgIoSO

…………


魔女「そして、その第一陣に選ばれたのが私なんです!」

男「ふーん……」

魔女「で、国使というからには任務がありまして」

魔女「ひとーつ、正しく綺麗な情報を国に送ること!」

魔女「ふたーつ、魔法の存在を広く認識させること!」

魔女「みーっつ、魔法は兵器としての使用には向かないことを判らせること!」

魔女「後は……私には無いんですけど、認識され無かった時のお話とかを聞かされている人も居ます」

男「で、それで何でこの家に来たの?」

魔女「えっ?そ、それはですね、この地区に飛ばされて片端から家々を訪ねていたら、この家だけが私を招き入れてくれたからですよ!」

男「…その認識違いはまだ続いていたのか。先にも説明したが、こちらの不注意でドアが開いていただけで、不法侵入を許すサインじゃないんだ」

魔女「んもう!過ぎたことじゃないですか~」

男「……そうだな。もう、正式に招き入れたしな」

魔女「そうですよ~」

男「………これからどうするんだ?」

魔女「あ、えっと……出来れば居候させて欲しいかな……とか…」

男「あ゙?」

25: 2010/12/12(日) 09:28:29.58 ID:59GgIoSO
魔女「ほ、ほら!これも何かの縁じゃないですか!それに、私ちゃんと働きますよ!家事は得意ですし、早起きですから男さんのお弁当もパパッと!」

男「……」

魔女「そ、それだけじゃありません!お喋りの相手もしますし、遊び相手だって!魔法もライウス以外に沢山有りますよ!」

男「……ッチ」

魔女「な、なんならよ、よよよ、よとっ、よとよとよとよと……よと……ぎ…だ、だってします!!///」カァァァア

男「……それだけか」

魔女「………」

魔女「…さっ」ジワ

魔女「寂しいんですっ!い、いきなり見知らぬ街で誰も居ませんし!お願いです!小さな縁でも頼らせて下さいよぉぉ!!」ポロポロ

姉「ほたたた………何の騒ぎ?」

男「その下りはもう良いから。全部聞いてたろ」

魔女「うわーん!お姉さぁぁん!男さんが酷いんですぅ!」ポロポロポロ

姉「お、おとぉぉとぉぉお! タッチでもしやがったかぁぁあ!」

男「面倒だから演技やめろ」

姉「判った」

魔女「うわぁぁん!!」ポロポロポロポロ

姉「聞いてたし、ちょっと信じられないし、あんたの思ってることも大体判るよ」

姉「でも、泣かせなくても良いんじゃない?」ナデナデ

魔女「うぅ……グスッ」ポロポロ

男「泣くとは思わなかった」

26: 2010/12/12(日) 09:35:06.21 ID:59GgIoSO
姉「取り敢えず謝んなさい。話の再開はそれから」

男「…あー、魔女さん。泣かせてごめんなサンバルテルミ」

姉「ちゃんと謝れよ、漠迦」ベシッ

男「ぐ…。あー……ごめん!」

魔女「ぅう……」スンッ

男「…でもな、元はと言えばお前が――

姉「男っ!止めろ!」

男「―お前が下らない――

バァァンッ

母「話は聞かせて貰ったぁ!」

父「俺は聞いていなかったぁ!」

男「父さん…母さん……」

姉「ほっ……」

母「息子!てめぇ、ふけ顔のガキ呼ばわりたぁ良い度胸しとるやないけぇ!」

男「そこから聞いてて、何故今出て来た」

父「パパはその発言も知らないけどな!」

姉「お父さん邪魔」

母「そして タッチってなんじゃぁぁぁあ!!」

父「は? ?えっ!? !?ちょ、ちょま、 タッチってなんだおらぁぁあ!」

姉「お父さんマジで邪魔」

27: 2010/12/12(日) 09:39:05.99 ID:59GgIoSO
男「長くなる。本題言えよ」

母「……魔女ちゃん」

魔女「……はい」

母「居候して良いよ」

魔女「えっ!?あ、でも……」チラ

男「………」

母「あたしが良いって言ってんだ。ガキなんか関係あるかい」

魔女「でも……」

父「ママー、娘が反抗期だよー」シクシク

母「ッ!大事な話してんだっ!!参加しねぇならすっこんでろ!!」

父「あ、すんません」

姉「ホントにお父さん邪魔しかしねぇ」

28: 2010/12/12(日) 09:43:18.02 ID:59GgIoSO
男「……ガキだって関係あるだろ」

母「ん?」

姉「あー、ごめんお母さん。あたしもさ、関係あると思うわ。こいつに賛成」

母「親の意見に逆らうのか。そうか、逆らっちゃうんだぁ。別に良いけど」

男「一晩だけならおれだって良いさ」

男「でもな、家族にするってんなら話は別だ」

姉「うんうん」

母「家族だなんて大げさな。居候じゃんか」

男「同じ家で同じ飯を囲って食うなら家族だ。母さんの考えだろ。下手な逃げ道使うな」

姉「うんうん」

母「……なんだ?いきなりだから嫌がってんのかい?」

父「好き嫌いは良くないぞ」

男「そんなんじゃないの判ってるだろ。おれが嫌なのは別の理由だ」

母「………」

男「情報が少ないからでも無い」

男「おれはな…」

姉「はい、ストップ」

男「………いや、言わせてもらう」

姉「はぁ?止まれよ、おいっ!」

29: 2010/12/12(日) 09:45:11.11 ID:59GgIoSO
男「おい、魔女」

魔女「は、はい…」

姉「ストップ!ストップしろ!」

男「家族になるならお互いの距離は嫌でも短くなる」

魔女「……」

男「だが、タダじゃ近づかねぇぞ」

男「安心だって判ってないといけねぇ」

姉「止まれっ!!」

男「てめぇがそんな状態で安心もクソもあるかよ!!」グイ

魔女「っ……」

男「良いか!付け入りてぇのか何なのか知らないが、ふざけんな!!」

姉「このっ…!いい加減にっ――


パァァァンッ


男「……ッ!」

姉「………」

母「……パパ…」

父「急ぎ過ぎだ漠迦息子。彼女のことを考えろ」

30: 2010/12/12(日) 09:46:44.82 ID:59GgIoSO
魔女「あ、あの、パパさん!それは、あの……」

父「良いんだ。魔女ちゃんが気に病むことじゃない。こいつの玉が小さいのが悪い」

男「………」ジンジンジン

父「言いたいことは言わせてやる。ただ、俺達は魔女ちゃんを一気に責め立てんなって言ってんだ。判るか?あ?」

男「……」

男「……飯作ってくる」ガタン

父「おぉ、そうしろ」

男「食い終わったら話すぞ……」

父「好きにしろ」

魔女「あの……」

母「あー、驚かせたね」

姉「あいつもまだガキなんだ。許してやってね」

魔女「………でも…」

母「…魔女ちゃんは優しい子だねぇ。あの子も判っているとは思うんだけど」ボリボリ

姉「………」

父「……さ、暫くこの話は終わりだ。金曜ロードショーでも見ようぜ」

姉「うわぁ……その舵取りは無いわ。見るけど」

母「うわぁ……軽蔑するわ。見るけど」

父「見るなら別に良くない!?何で一々刺を刺すのさ!!」

姉「ノーコメ」

母「黙秘権」

父「辛ぇ……。魔女ちゃんも見るだろ?」

魔女「あっ、私は………」

魔女「はい!見ます!」ニコッ

父「………そうか」

42: 2010/12/14(火) 00:10:52.58 ID:UKUifASO
魔女「キンヨウロードショーって何か判らなかったんですけど、テレビの中のお芝居のことだったんですね!」

父「楽しかったかい?」

魔女「はい!」

姉「個人的には手榴弾があんな爆炎あげるのは認められねぇ」

父「いや、そこは演出として受け止めろよ」

母「これ、あたしの映画じゃん」

父「ママが出てる映画だから見るんじゃないか!」

母「やだ!恥ずかしいじゃない!」

姉「目が腐りそうだ」

魔女「仲良いですね!」

男「おい、飯出来たぞ」

姉「タイミング良いな。もしかして待ってた?」

男「……さぁな」

姉「ふふふ、ちょっとは反省してるんだね」

男「……良いから運べ」

姉「へいへい」

母「かぁーっ、可愛くねぇの。もうちょい素直になれよ」

男「無理」

母「か~ら~の~?」

男「はぁ……」

母「けっ!ノリが悪い奴!」

43: 2010/12/14(火) 00:11:34.12 ID:UKUifASO
魔女「あ、あの……」

男「お前は座っとけ」

魔女「でも……私…」

男「動かれると邪魔だって言ってるんだ。大人しくしとけ」

魔女「えぅ……」

父「こら!」ブンッ

男「…」ヒョイ、ガスッ

父「ぐはっ!まさかの反撃っ!」

魔女「あの…」

父「ぐ……どうしたんだい?」

魔女「……私、出ます」

男「は?」

魔女「…辛いですけど、何処か別の場所に行きます」

男「はぁ?」

魔女「だ、だって……私のせいで家族の雰囲気悪くなっちゃいましたし…それに……」

男「それに?」

魔女「男さんに嫌われちゃいました……」

男「……」

44: 2010/12/14(火) 00:13:38.80 ID:UKUifASO
魔女「だから、その……」

男「……ふざけんなよ」

魔女「…真剣に考えました」

男「真剣じゃないだろ。まず、誰が誰を嫌ってるって?あぁ!?」

魔女「だ、だから、男さんが…私を……」

男「嫌える程付き合いねぇだろうが!!」ダンッ

魔女「ひっ」ビクッ

男「それに、何勝手に出ようとしてんだよ!」

男「こっちはなぁ!もう、てめぇの分の夕食作っちまったんだよ!」

男「食材を無駄にする気か、このくそ女!!」

男「良いか!とにかく食え!話はそれからだ!」

魔女「……」ポー

男「返事っ!!」

魔女「は、はいっ!」

男「ふん…」

姉「おーおー、照れとる照れとる」ニヤニヤ

母「ちょっとは素直になったじゃん」ニヤニヤ

男「……準備は出来たのかよ」

姉「皿だけ出しといた」

母「机は拭いといた」

父「大人しく待ってた」

男「盛り付けまでしろよ」

姉「そこはコックの仕事だろうが!」

母「気を利かせてやったんだよ!」

父「感謝しろ!」

男「……はぁ」ガチャガチャ

45: 2010/12/14(火) 00:15:44.10 ID:UKUifASO
男「ほら、持ってけ」スッ

姉「おー、カルボナーラか。旨そうだぜ」

男「今の姉さんのな。これが俺と母さんの」スッ

母「ういうい」

男「こいつが魔女の分で」カチャ

魔女「あ、有り難うございます」

男「これが父さんのだ」コトッ

父「………」

父「なぁ、もしかして、突っ張ったこと怒ってる?」

男「別に…」

父「え、いや、だって、お前これ……カップヌードルじゃん」

46: 2010/12/14(火) 00:16:28.50 ID:UKUifASO
男「気のせいだ」

父「いやいやいや!お前これ絶対おかしいって!」

男「愛情込めた料理には変わり無い」

父「込めてねぇ!お湯入れて3分じゃねぇか!」

男「……60分だ」

父「え?うわっ!麺ののび具合やばっ!でろでろじゃん!しかも、スープ冷たっ!」

男「さ、いただきますしよう」

父「スルーとはいただけねぇ!」

姉「お父さんうっさい!」

母「パパ、諦めようぜ」

父「………救いが欲しい」

母「それじゃ、両手を合わせて」
母「いただきます!」

姉・男「いただきます」

魔女「い、いただきます!」

父「……いただきます」

47: 2010/12/14(火) 00:18:51.14 ID:UKUifASO
ワイワイガヤガヤ


姉「あ、弟、醤油取ってきて」モグモグ

男「俺のカルボナーラに醤油ぶちまける気か」

姉「あんたの味付けが悪いの」

男「……」ガタンッ

母「あ、じゃぁ、私ケチャップ」

父「パパは牛乳かな……」

男「料理人泣かせな奴らだ」

男「お前は?」

魔女「……ふぇ?」モグモグ

男「お前は頼まなくて良いのか?」

魔女「あ、私は良いです。そのままで十分美味しいですから」

男「いい子だ」

母「良くない!十分じゃまだまだ甘い!さらなる高みを目指そうぜ!」

姉「冒険こそ人生じゃないか!」

男「そうか、お前等は冒険心で俺の料理を壊そうとしてたんだな」

姉「いや、味は実際悪い」

男「傷付く」

男「……まぁ、おれが実験したのが悪かったんだけどな」ガチャガチャ

姉「ん?なんつった?」

男「何も。ほら、醤油にケチャップにミルクだ」ストッ

48: 2010/12/14(火) 00:20:26.49 ID:UKUifASO
母「………」

母「……これにケチャップかけたら失敗したミートスパみたくなるんじゃないかと今更ながら思ってる」

男「知るか」

姉「醤油をかけてみましたが、何も言えません」モグモグ

男「そうか」

父「……特濃牛乳。やむを得んか…」ドポドポ

魔女「……ぅ…」

姉「お父さん、魔女ちゃんが青ざめてる」

父「……お前達はまだ子供だから判らないだろうが、これは重要なことなんだ」ドポドポ

父「……では」パクッ

男「…どうだ?とんこつ風味になったか?」

父「……おぇ…ゲボマズだ…」

男「全部食えよ」

魔女「…わ……私もういいです……ごちそうさまします…」

男「じゃぁ、おれもご馳走様だ。後片付け頼んだ」

姉「了解。やりすぎんなよ」

母「後から結果聞くからな」

男「ん。ほら、俺の部屋行くぞ」グイ

魔女「ぅう……」

49: 2010/12/14(火) 00:21:17.20 ID:UKUifASO
―――男の部屋


男「……てりゃ」ポイッ

魔女「わわわっ!」ドサッ

魔女「ベ、ベッド……?」

男「……」ガチャン

魔女「か、鍵も閉めて……まさか!!」

男「…それ以上ピンクな思考を続けるなら、喉潰す」

魔女「っ!」ビクッ

男「注意事項言っとく」

男「これから先、おれを騙そうとしないことだ。喋れない事情があるなら秘密です、とそう言うんだ」

魔女「……っ」コクン

男「理解が良くて助かる」

男「さて、何から崩したものか……」

50: 2010/12/14(火) 00:22:04.03 ID:UKUifASO
男「……まず…お前の言う異能者の国は存在しない。そうだろ?」

魔女「………あ……ありますよ。信じられないのは――

ダンッ

魔女「ひっ…!」

男「嘘一つで拳一つだ。次は当てる」

魔女「……は、はい」

男「……お前の話は穴が多過ぎる」

男「一、少なくとも人口二百人以上の国が6世紀弱で腐る点。もしそうなら、世界に在るムラというコミュニティは崩壊している」

男「二、民族や言語の問題を避けて国が成立している点」

男「三、劣性遺伝子なのに長く異能者の国が続けられている点」

男「どうだ?それとも、こう上げられてもピンと来ないか?」

魔女「…………」

男「黙秘は肯定」

51: 2010/12/14(火) 00:23:12.29 ID:UKUifASO
男「でもな」

ドゴッ

魔女「っぅ!!」

男「今はその逃げも無し。とっとと返事しろ」

魔女「………」

魔女「………はい、そうです…」

男「いい子だ」

男「さて、次だが……おれの家には狙って来たろ。で、目標はおれだな?」

魔女「……え…?」

男「え…、じゃない。はいかいいえだ」

魔女「……い、いいえ」

男「…そうか。深読みだったか」

魔女「そ、そうですよ。ホント偶然なんですから」

男「なんて言うかよ。アウトだ」

ドカッ

魔女「ぅぐ!」

52: 2010/12/14(火) 00:23:54.44 ID:UKUifASO
男「一々説明挟まないと、諦めが付かないのか?」

魔女「ぅう……」

男「自覚持てよ。単純ガール。判り安すぎるんだよ、お前」

魔女「……ぅぅう」

魔女「………わ、私だって事情が在るんです…」グスッ

男「……」

魔女「な、なのに、悪者みたいに扱われて…殴られるし……」ポロポロ

魔女「し、したくてしたいんじゃないのに……ヒック」ポロポロ

魔女「さっき出ようとしたじゃないですか……グスッ……こ、こんなに怒るならあの時何で引き止めたんですかぁ…」ポロポロポロ

男「魔女が珍しいから」

魔女「ぅ」

魔女「ぅわぁぁぁあん!!」ボロボロボロ

男「……」

魔女「ぁぁぁあぁぁぁあ!!」ボロボロボロ

男「……」

魔女「グスッ……ぅうぁぁあんん!!」ポタポタポタ

男「……やってしまった」

53: 2010/12/14(火) 00:25:37.31 ID:UKUifASO
ガチャガキンガチャガチャ

姉「おいこら愚弟!!やりすぎんなっつったじゃん!!開けろこらっ!」

ダンダンダン

姉「開けっ……ちょ、お母さん!止めんな!!」

ドタッバタンッガタッ

母「痛い!親を殴るな!くそっ!」

母「おい息子!マズいと思ってんでしょっ!?自分で責任負えよ!!お姉ちゃん抑えとくから!!」

ガタッガタンダダン


男「……」チラ

魔女「ふわぁぁぁぁあん!!」ポタポタポタ

男「これを……無理だな」

男「……禁じ手使おう」

魔女「びぇぇぇえぇぇ…うぐっ!」

男「…」ギリ

魔女「……!…!」ジタバタ

男「…」ギリギリギリ

魔女「…………!!」ジタバタジタバタ

男「…」パッ

魔女「…!エホッ、ゲホッ、ケホッコホッ……はぁ…はぁ…はぁ………」

魔女「く、首を閉められた……」

男「泣き止んで欲しかった」

54: 2010/12/14(火) 00:26:27.63 ID:UKUifASO
魔女「嘘です!今のは殺意がありましたっ!!」

男「……涙を流すことでより深く悲しむ君を救いたかった。助けたかった。雫を……もう、零して欲しくなかったんだ」

魔女「え……」ドキ

魔女「…じゃないです!綺麗に言っても誤魔化せませんよ!!」

男「……ごめん」

魔女「あ、謝ったって許しません!!」

男「……ごめんな」

魔女「……うっ…ゆ、許しません!」

男「……」

魔女「ぐ……」

男「…さて、話の続きだが」

魔女「最低ですっ!!」

55: 2010/12/14(火) 00:27:24.00 ID:UKUifASO
男「大丈夫。もう、酷いことは言わない。流石に学習した」

魔女「…信じられません」

男「おれだって女の涙は怖いんだ」

魔女「……本当ですか?」

男「周りの女が敵に回るからな」

魔女「ッ!絶対に喋りませんから!!」

男「……」パキパキ

魔女「あ、喋ります」

男「いい子だ」

魔女「ぅう……鬼がいます…」

男「真実の探求はもうしない。そんなに沢山情報無いしな」

男「今からは質問タイムだ」

魔女「はい…」

56: 2010/12/14(火) 00:28:18.08 ID:UKUifASO
男「お前は組織の指示で動いているのか?」

魔女「い、いいえ」

男「親の指示か?」

魔女「…!ひ、秘密です!」

男「……指示は金絡みか?」

魔女「いいえ」

男「じゃあ、おれの命?」

魔女「いいえ」

男「ん?……じゃぁ、おれの存在…か?」

魔女「い、いい言えません!」

男「……」

男「お前みたいな異能者の居候は他にも沢山いるんじゃないのか?」

魔女「も、もくなんたら権です!」

男「………魔法に関係あるだろ?」

魔女「……!」ブンブン

男「以上、終わりだ」

魔女「ほっ」

男「何と言うか……」

男「お前ちょろいな」

57: 2010/12/14(火) 00:30:00.24 ID:UKUifASO
魔女「何のことです?」

男「……国の話といい人選といい、上の奴漠迦過ぎるな」

魔女「あの…まだ何かありますか?」

男「……無い」

魔女「やった!じゃ、男さん!お邪魔しました!」タタタ

男「待て」ガシッ

魔女「わっ!な、何も無いんじゃないんですか!?」

男「お邪魔しましたってなんだよ。お前は今日から居候になるんだろ?」

魔女「い、いいい嫌です!こんな酷い人だったなんて聞いて無かったんです!!」

男「凄いボロが出てるな」

魔女「とにかく、出ます!さようならっ!!」タタタ

男「だから、待て」ガシッ

男「お前の任務はおれの監視だろ?」

魔女「し、知りません!」

男「隣近所に住むつもりだろうが、それは面倒だろ?」

魔女「大丈夫ですっ!!」

男「家族の中で唯一反対してたおれが折れたんだ。ここは乗っとけよ」

魔女「無理です!無理です!」

男「じゃあ乗れ。命令だ」

魔女「あ……」

魔女「ぐぎゅぅ……」ヘタリ

58: 2010/12/14(火) 00:30:37.03 ID:UKUifASO
男「さて」ガチャン

男「みんな!魔女住むことになったから!!」

\ワカイシタノカ!/

\テマカカリスギダゴミクズ!/

\ォボロロロ/


男「宜しくな」スッ

魔女「貧乏くじ引きました……」

63: 1 2010/12/16(木) 00:56:29.94 ID:/C9WywSO
「きゃぁぁぁあ!!」

男「う……」モゾ

「いやぁぁぁあ!!」

男「……うぅ」モゾモゾ

「こないでぇぇぇぇえ!!」

男「誰だよ……こんな朝早くに悲鳴上げてるの……」

「へるぷみぃぃぃい!!」

男「…あー……魔女か?」

「食べられるぅぅぅう!!」

男「ふわぁ……」ムクリ

男「……ワニスケと挨拶中かな」

「もれなく食べられるぅぅぅう!!」

64: 1 2010/12/16(木) 00:57:28.27 ID:/C9WywSO
―――庭


魔女「ひぃぃぃい!!」

男「…おはよう」

魔女「ぁあ!男さん!助けてくださぁぁい!!」ガバッ

男「ぐぇ」

魔女「ワ、ワ、ワワワワニがっ!ワニが庭にっ!!」ユサユサ

男「落ち着け落ち着け」ガクガク

魔女「これが落ち着いてられますか!!」ユサユサユサ

男「ちょ、キツい。朝からこの揺れはキツ…ぉえ」ガクンガクンッ

ワニ「シャー」ノソノソ

魔女「こっちくるぅぅぅう!!」ギュゥッ

男「くっつき過ぎだ」グググ

男「紹介しよう」

男「こいつは我が家のペット兼門番のワニスケだ」

魔女「ふぇ?」

ワニスケ「シャー」

65: 1 2010/12/16(木) 00:58:54.48 ID:/C9WywSO
―――食卓


姉「そういえば紹介してなかったね」

父「ごめんな。びっくりしたろ」

魔女「かなり…」シャカシャカ

男「お前等は何故あの悲鳴で起きない」

姉「起きたけど二度寝した」

父「アイポ付けたままだった」

ワニスケ「シャー」

男「母さんは?」

父「寝てる」

男「……」

魔女「あの…起こしてきましょうか?」シャカシャカ

男「良い。お前は朝食作っとけ」

姉「ワニスケの出番だな」

父「よし、ワニスケ行ってこい!」

ワニスケ「シャー」トテトテ

魔女「か、賢いんですね…」シャカシャカ

男「我が家自慢のペットだ」

\グワァァァア!/

魔女「……今、悲鳴みたいなのが…」ピタッ

66: 1 2010/12/16(木) 01:00:22.27 ID:/C9WywSO
男「ワニスケの起こし方は荒い」

魔女「…そ、そうなんですか」シャカシャカ

父「乗っかってるんだろ」

姉「爪じゃない?」

魔女「か、噛んでたりしないんですか?」シャカシャカ

父「しないしない」

男「きちんと躾してある」

魔女「………大丈夫でしょうか…」シャカシャカ

姉「大丈夫だって!ほら、出て来た」

ガラガラ

ワニスケ「シャー」トテトテ

母「あ゙ー、酷い目覚めだ」

男「おはよう、母さん」

姉「おはよう」

父「おっはー」

母「はい、おはよ」

魔女「……あの」シャカシャカ

母「魔女ちゃんもおはよー」

魔女「あ、お早うございます。それで…ケガとか……」シャカシャカ

母「……あれ?ワニスケのこと話してないっけ?」

男「そうらしい」

母「んー、飯食いながら話すか」

67: 1 2010/12/16(木) 01:01:00.61 ID:/C9WywSO
魔女「……ご飯…」

魔女「…ワニスケちゃんはやっぱり生肉とかですか?」カチャカチャ

父「銀のスプーンかな」

魔女「えっ?」

父「銀のスプーンだよ」

魔女「はー、ワニって……凄い食生活してるんですね……」カチャカチャ

チーン!

魔女「あ、パンが」トテトテ

男「勘違いしてるな」

姉「別にいーんじゃない?」

男「本気でスプーン出されるぞ」

男「それは困るよなー、ワニスケ」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

カラァァン…

魔女「え…笑顔……」

68: 1 2010/12/16(木) 01:01:36.06 ID:/C9WywSO
男「失礼な反応だな」

魔女「あ、す、すみません!あわわ、スプーン落としちゃいました…」

魔女「……」チラ

ワニスケ「シャー?」

魔女「……落ちたスプーン出したら怒りますよね?」

男「大丈夫だ。そもそもそいつを食料にはしない」

魔女「え…でも、銀のスプーンって…」

父「そのスプーンが銀製じゃないから食べないんだよ」

魔女「これ、銀製じゃなかったんですか!」

男「黙ってろ」

母「銀製は左から二番目だから」

魔女「は、はい!」ガチャガチャ

男「やめろ」ビシッ

魔女「痛い!」

男「姉さん、ワニスケにご飯上げといてくれ。お前はとっとと朝飯作りに戻れ」

魔女「うー」シャカシャカ

姉「了解!」ガチャガチャ

男「……」ビシッ

姉「ぎゃおん!」

姉「何をするっ!」

男「真面目にやれ」

69: 1 2010/12/16(木) 01:02:32.64 ID:/C9WywSO
姉「はぁ…、ジョークも通じない弟を持って寂しいなぁ」カサカサ

姉「ほら、ワニスケご飯だ」カラカラカラ

ワニスケ「シャー」ガツガツ

魔女「あれ?スプーンじゃないですね」

男「キャットフード銀のスプーン」

魔女「あ、そういう……」シャリシャリ

魔女「…キャットフード?」

男「猫以外が食っても悪いワケじゃない」

魔女「そういえばそうですね」シャリシャリ

魔女「はい、出来ました!」

男「……気合い入ってるな」

魔女「えへへ、凄いでしょ!」

男「さ、持ってくぞ」ヒョイヒョイッ

魔女「あ、男さん。そんなに持つと落としますよ」

男「問題ない」グラグラ

魔女「わー!絶対落ちますって!」

男「心配しすぎだ」グラグラグラ

魔女「きゃー!」

男「さぁ、受け取れ」グラグラ

父「相変わらず無茶するな」ヒョイッ

母「何で落とさないんだよ」ヒョイッ

男「気合いだ」コトッ

70: 1 2010/12/16(木) 01:03:09.27 ID:/C9WywSO
姉「うぉっ!メチャンコ豪勢じゃん!魔女ちゃんすごっ!」

魔女「えへへ///」テレ

姉「ホテルみたいだ!」

男「普段の菓子パンから見たらな」

男「じゃ、いただきます」パクッ

魔女「ど、どうですか?」

男「旨い」モグモグ

魔女「本当ですか!」

男「嘘ついてどうするんだよ…」

父「凄いなぁ。インスタントのコーヒーでもこんなに美味しく淹れられるんだな」ズズッ

姉「幸せだー!」ガツガツ

魔女「良ければ、毎日だって作りますよ!」

男「それは結構だ」

魔女「ガーン!」

男「いつも、こんなにゆっくりとした朝じゃないんだ」

魔女「そうなんですか?」

母「平日は仕事や学校が在るしねー」モグモグ

魔女「うー、残念です」シュン

71: 1 2010/12/16(木) 01:03:47.99 ID:/C9WywSO
男「故に、普段はお前がどうしたいかにもよるが、ワニスケと二人きりになるワケだ」

ワニスケ「シャー」

魔女「……ふぇ?」

魔女「二人きり……?」

魔女「ワニスケちゃんと…」チラ

ワニスケ「シャー」

魔女「二人きり…」

魔女「……」

ワニスケ「シャー」

魔女「無理無理無理!!」ブンブンブン

男「そこで、流血無しで暮らす為の説明をしようと思う」

母「えー、馴れ初めから話そうぜ」モグモグ

男「時間掛かるから却下」

72: 1 2010/12/16(木) 01:04:30.17 ID:/C9WywSO
魔女「流血……」ゾッ

姉「たまに野生だけど、すっごい大人しいから怖くないって」モグモグ

魔女「野生があるなら無理です!食べられちゃいますよ!」

父「ホントに大人しいんだって。齧って来るのは年に数回だよ」モグモグ

魔女「一回でも大問題ですよ!!」

母「大丈夫。魔女ちゃんぐらい大きかったら、丸呑みはされないから」ムシャムシャ

魔女「いやぁぁぁ!!」

男「今の医療技術なら、指ぐらい欠けても生やせるんだ。襲われても、その程度の怪我に収めれば無問題」シャクシャク

魔女「ひぃぃぃ!!」

ワニスケ「シャー」トテトテ

魔女「きゃぁぁぁ!!!」

男「さて、脅しはこのぐらいにするとして…」

魔女「お、脅し……」

73: 1 2010/12/16(木) 01:05:34.12 ID:/C9WywSO
男「ワニスケはまず人には噛み付かない。これは覚えておいてくれ」

魔女「信じられません…」

男「魔法の存在よりは現実的だから、安心して受け入れろ」

魔女「……そう言われると、反論出来ません…」

男「噛み付かない。ただし、例外は存在する」

男「かなり意地悪された時とお腹がどうしようもなく空いている時」

男「この二つはまず無いな。一回だけ、おれの友人が調子乗って突きまくって、ぱっくんちょされたけどな」

魔女「こ、怖いです…」

男「お前に意地悪する勇気があるなら可能性は在るぞ」

魔女「…!」フルフルフル

男「じゃぁ、大丈夫だ」

男「後は、口の中に触れた時かな」

姉「反射で口閉じちゃうんだよねー」シャクシャク

ワニスケ「シャー」

魔女「普通触ろうとも思わないですよ!」

男「なら、無問題だ」

父「きちんと相手を知れば危険は無い。直ぐに仲良くなれるよ」モスモス

魔女「自信がないです……」

男「……」

男「聞いた話しなんだけどな…」

魔女「はい?」

74: 1 2010/12/16(木) 01:07:15.46 ID:/C9WywSO
男「動物って人の子供と一緒で、向けられている感情に凄い敏感らしい」

魔女「はあ…」

男「それで、怯えてると肉食の血を焚き付けるとかなんとか…」

魔女「わぁー!わぁー!」

魔女「……ぅう…努力してみます」

男「ちょろいな」ボソッ

母「じゃぁ、まずは挨拶だね。まだ悲鳴しかあげてないっしょ」ヒョイッ

ワニスケ「シャー」

母「ほれ」ズイッ

魔女「ひっ……あ、あの、私魔女とい、いいまして、この度ママさんの家の居候になりました」ビクビク

ワニスケ「シャー」

魔女「よ、宜しくお願いします……」ビクビク

ワニスケ「シャー」

母「ほれ、ワニスケも挨拶しな」ペシッ

ワニスケ「シャー」ペコッ

魔女「…!」ペコッ

姉「さぁ、そこでタッチだ!」

魔女「た、たっち?」

姉「ボディタッチだよ!」

魔女「ぜっったい出来ません!」

男「怯えは肉食の血を――

魔女「わー!わー!!」

魔女「さ、触ります……」

75: 1 2010/12/16(木) 01:07:56.20 ID:/C9WywSO
魔女「……」ソー

ワニスケ「シャー」

魔女「……」ソー

ワニスケ「シャー」

魔女「……」ツン

ワニスケ「シャー」

魔女「……」ツンツン

ワニスケ「シャー」

魔女「…」ペタペタ

ワニスケ「シャー」

魔女「…」ベタベタベタ

ワニスケ「シャー」トロン

魔女「…!」ナデナデ

ワニスケ「シャ……」ウトウト

魔女「…!!」ナデナデナデ

ワニスケ「zZZ」

魔女「わぁ~!」キラキラキラ

魔女「可愛く見えてきました!」

男「お前の適応力にはある種感嘆するものがあるな」

76: 1 2010/12/16(木) 01:08:45.50 ID:/C9WywSO
母「どう?もう怖くない?」

魔女「はい!牙や目が隠れていたら大丈夫です!後、眠っている時もオーケーです!」

男「全然適応してなかったな…」

魔女「だって、直ぐには慣れませんよぉ」エグエグ

魔女「怖がったら咬まれるって言うから、頑張ったんですよ!」

姉「適応Level.3ぐらいか……」

母「Level.5は欲しいな…」

父「明日にするか?」

男「触れるなら大丈夫だろ」

魔女「な、なんの話ですか?」

男「普通に馴れるだけならこんな荒療治しなくても良かったということだ」

魔女「…?よく…判らないんですが……」

男「後で判る」

姉「取り敢えず、食器片付けるか」ガタッ

母「歯も磨かないとな。あ、これ魔女ちゃんの分の歯ブラシだから」ポイッ

魔女「あ、有り難うございます…」

父「エンジン点けてくる」テクテク

男「ワニスケ、起きろ」ゲシッ

ワニスケ「くぎゅ」

男「トイレ済ませとけ」

ワニスケ「シャー」トテトテ

魔女「あ、あの…」

男「後で判るって。あ、これ歯みがき粉だから」スッ

魔女「あ、どうも…」

77: 1 2010/12/16(木) 01:09:34.13 ID:/C9WywSO
―――車内


ブロロロロ

魔女「……」

ワニスケ「シャー」

魔女「……」

ワニスケ「シャー」

魔女「…足がぱっくんちょされそうです……」シクシク

男「馴れといて良かったろ」

魔女「……こういうことだったんですね…」

姉「ワニスケ座席に乗せると爪が引っ掛かるんだよねー」

魔女「だからって足元になんて…」

魔女「後ろにスペース在るじゃないですか……」

男「あそこは荷物が入る」

魔女「……無いですよ?」

男「これから入るんだ」

魔女「ぅう…初めてのドライブがこんなだなんて……」

ワニスケ「シャー」

魔女「あ、何でもないです!楽しいですね!」

魔女「はぁ……」ガク

78: 1 2010/12/16(木) 01:10:52.24 ID:/C9WywSO
男「……今から何処へ行くか判るか?」

魔女「いえ…」

父「お買い物だよ」

魔女「何でです?」

魔女「あっ!もしかして私が朝食に材料使い過ぎたからですか?」

母「んー、食材も買うには買うけど、メインは魔女ちゃんかな」

魔女「私…ですか?」

姉「服とか食器とか色々必要でしょ」

魔女「私はこれ一着で大丈夫です」

男「汚ない」

魔女「えぅ…」

男「遠慮するなよ。そっちの方が迷惑だし、失礼だ」

姉「そーそー。我が家は金の心配無いんだから安心してね」

魔女「す、済みません。何から何まで…」

姉「気にすること無し。しっかり楽しもうぞよ」

男「となると、父さん母さんワニスケとは別行動だな」

母「あぁ、 着選びたかったなぁ」ションボリ

父「お菓子買ってあげたかったなぁ」ションボリ

男「軽く変 入ってるな」

79: 1 2010/12/16(木) 01:12:09.23 ID:/C9WywSO
魔女「え?ダメなんですか?」

男「ワニスケの居る意味を考えろ」

ワニスケ「シャー」

魔女「な、仲が良いから?」

男「それで一々外に出してたら、門番じゃないだろ」

魔女「確かに…」

姉「ま、言ってみれば虫除けだね」

魔女「虫除け?」

母「変装しても私だって気付く人は気付くのよ。マスコミはネタが欲しい時期だし、しつこいのもいてさ。でも、パパは立場上強く出れない」

父「そこでワニスケだ」

母「本物がワニを引きつれてるワケが無いって思ってくれるし、気付いても声が掛けづらくなる」

父「優秀な子だよ」

魔女「ほへー、ワニスケちゃん凄いですねぇ」

ワニスケ「シャー」

80: 1 2010/12/16(木) 01:13:42.78 ID:/C9WywSO
魔女「……あれ?何で一緒に行けないんですか?」

男「お前がびびってるからだ」

魔女「あ……」

魔女「ご、ごめんなさい!!」

母「よかよか。また、今度 着選ばせてね」

父「パパにも選ばせてね」

魔女「はい!」

男「そこは了承したらダメだろ」

キキィッ

父「さ、着いたぞ」

父「ショッピングモール"漆黒の堕天使"だ」

男「そんな痛かったか?」

姉「"血濡られた精霊の饗宴"じゃなかったけ?」

母「"輝ける神々の栄光"だろ?」

ワニスケ「"シャー"」

魔女「か、格好良い名前なんですね!」ドキドキ

男「"モルダ"だろ。看板に書いてあるし」

魔女「カッコ悪いです…」

男「少し病を患ってるみたいだな」

81: 1 2010/12/16(木) 01:14:31.38 ID:/C9WywSO
母「ほいじゃ、私達は適当に回っとくから。何か困ったら電話しんさいね」

父「後はお若い者同士ごゆっくり…グフフ」

ワニスケ「シャー」

スタスタスタ


魔女「行っちゃいました」

姉「さて……弟、ちゃんと財布持ってるよね」

男「無論だ」

姉「じゃ、私達も行こうか」

姉「"忘却の都市"へ!」

魔女「はい!」

男「あんま叫ぶな。恥ずかしい」

スタスタスタ

86: 1 2010/12/19(日) 09:33:53.28 ID:ykOfK6SO
―――ショッピングモール〈 着売場〉



姉「紐かスケスケか……」

姉「うーん、どっちが良いかな…」

魔女「い、今のトレンドなんですか?」

姉「そうそう」

魔女「だ、大胆なんですね…」

姉「最近の女の子は特にねー」

姉「おい、男代表。あんたはどっちが好き?」

男「解放してくれ」

姉「質問に答えろYo!」

男「何で女性用 着の店にいないといけないんだよ…」

男「視線が痛い……」

姉「気にするなYo!」

男「無茶言うな」

魔女「す、済みません!こんなことにまで付き合ってもらって」

男「……付き合う気は無い」

魔女「えー、そんなぁ」

87: 1 2010/12/19(日) 09:34:34.08 ID:ykOfK6SO
男「良いのか?」

魔女「…?」

男「おれに 着姿見られても良いのかってことだ」

魔女「それは…」

魔女「……」

魔女「…ッ!」ボッ

魔女「男さんの   !!」

姉「女の敵!」

男「じゃぁ、出るよ」

姉「それは許さない」

男「理不尽」

魔女「色魔!」

男「随分堅い言葉知ってるな…」

姉「さて、冗談はさておき、とっと選んでしまおう」

魔女「あっ、はい」

男「……」

88: 1 2010/12/19(日) 09:35:17.31 ID:ykOfK6SO
男「冗談止めるなら、まずはその紐とスケスケを戻してこい」

姉「結局居るつもり?」

魔女「そんなに見たいんですか!?」

男「目玉抉り取って欲しいなら、そんな遠回しに言わなくても大丈夫だぞ」ニコッ

魔女「ひっ!」ビクッ

姉「魔女ちゃんはもうちょい視界を広く持つべきだね」

魔女「どういうことですか?」

姉「愚弟が覗き魔じゃない可能性を考えろってこと」

魔女「覗き魔じゃない男さん……」

魔女「まさか!」

魔女「女装癖っ!!」

姉「大正解!」

男「だからさ、頭捻じ切って欲しいなら素直にそう言えよコノヤロー」ニコニコ

魔女「ひぃぃっ!」ビクッ

89: 1 2010/12/19(日) 09:36:49.80 ID:ykOfK6SO
姉「怒んなよ!魔女ちゃん怖がるだろ!!」

男「はい、黙れ」ゲシッ

姉「痛い!蹴るなよ!」

男「ははは」ゲシッ、ドカッ、ガスッ

姉「痛い痛い痛い!!」

魔女「あわわわわ」

店員「あの…お客様……」

男「何でしょうか?」ゲシッ

店員「お店の中での暴力行為は…その……止めていただけないでしょうか?」

男「暴力ではありません。彼女にどうしても蹴って欲しいと頼まれたのです」ゲシッ

姉「言うかボケッ!」

店員「あの…事情はともかく……他のお客様の迷惑にもなりますし…」

男「判りました」

店員「……はい。では、失礼致します…」

魔女「ご、ご迷惑をかけました!」ペコッ

店員「……」ペコ

男「怒られたじゃないか」

姉「いてて。知るかよ。あー、クソッ、土着いた」

魔女「ごめんなさい。ちょっとはしゃぎ過ぎました……」

90: 1 2010/12/19(日) 09:37:21.39 ID:ykOfK6SO
男「とっとと決めるぞ。まだまだ買わないといけないものは腐る程有るんだ」

姉「へいへい」バサッ

男「……」ポイッ

姉「ちょ、おまえっ!折角人が選んだ物を!」

男「紐とスケスケは置いてこいと言った」

姉「お前に取捨選択の権利は一寸も有らず!」

男「姉さんにもな」

姉「私は女だから有るのさ!」

男「酷い男女差別だな」

男「権利を持っているのは魔女だ。あいつに決めてもらえ」

姉「魔女ちゃんなら快諾するに決まってんじゃん!聞くまでも無し!」

男「…と、言ってるがどうだ?」

魔女「あ、あの……お姉さんのオススメですし、着てあげたいんですけど……」

魔女「や、やっぱり恥ずかしいです!」

91: 1 2010/12/19(日) 09:38:00.50 ID:ykOfK6SO
姉「は?人に選んでもろぉて恥ずかしいから着れへんやとぉ?」

姉「舐めとんのかワレェ!ゴラァッ!」

魔女「ごごごごめんなさい!」

男「最低な絡み方だな」

姉「ヘヘヘ、言葉じゃ伝わらねぇなぁ。行動で誠意を示して貰おうか?」

魔女「こ、行動で示す……」

姉「なんじゃ、こげなことも判らんがかい。脳の細き女じゃのう」

姉「おら、説明したらんかい!」クイッ

男「何処の人だよお前は……」

姉「今それ話に上がっとらんじゃろがっ!無駄口叩かんとさっさと言わんかいっ!!」

男「面倒臭いな」

男「……えー、まぁ、うん。お前の好きな柄選んで来なさいということだ」

魔女「私の思ってたのと違う……」

姉「私の思ってたんとも違うで……」

男「そういうケースも有る。ほら、行ってこい」

魔女「は、はい…」トコトコ

92: 1 2010/12/19(日) 09:38:32.16 ID:ykOfK6SO
姉「ぎぎぎ、おどりゃぁ、ふざけた真似を…」

男「だから、何処の人だよ」

姉「おんしのせいで儂の夢は潰えたがじゃ。魔女をば着せ替えて遊ぶゆう儂の夢がのぉ…」

男「着せ替え人形だけなら、どの服だって出来るだろ」

姉「判っとらん!なぁんも判っとらん!露出の少ないモノは見てて楽しゅう無いんじゃぁ!!」

男「知るか」

姉「同じ血の通う姉弟だがや!おみゃーも疼くものが有るはずだっちゃ!」

男「止めろよ。そう持ち出されると、ついついおれの中に流れる血を呪いたくなるだろ」

姉「むきゃー!!」ダンッダンッ

魔女「男さーん!お姉さーん!」タッタッタッ

男「良いタイミングで帰ってきた」

93: 1 2010/12/19(日) 09:39:04.66 ID:ykOfK6SO
魔女「えへへ。ちょっと時間かかっちゃいました」

男「問題無い。見せてくるか?」

魔女「はいっ!」バッ

男「………わぉ」

姉「………わぉ」

魔女「どうですか?」ワクワク

男「うさぎさんか……」

姉「くまさんか……」

魔女「可愛いですよねっ!」

男「……」

姉「……」

男「店員さーん!この娘に似合う 着を十着ぐらい選んで下さーい!」

姉「本人の意志とか無視して良いですから!」

店員「はい……かしこまりました……」

魔女「え?えっ!?」

94: 1 2010/12/19(日) 09:40:21.00 ID:ykOfK6SO
―――ショッピングモール〈広場〉


姉「うーん……服は買った…食器も買った…歯ブラシ、クリームにアレも買ったから……後何か必要なもの有る?」

魔女「特には無いんですけど……」チラ

男「ゼェ……ゼェ……」

姉「あ!家具とか?」

男「家具は…ハァ……此処には良いのが…ゼェ……無いだろ…」

姉「そっか。じゃぁ……布団?」

男「布団は…有る……ハァ…」

魔女「あの…一つ持ちましょうか?」

男「結構…ゼェ……だがっ…一旦車に置いてくる……わ…」

姉「鍵有んの?」

男「有る……」

フラフラフラ

魔女「…大丈夫でしょうか?」

姉「問題ないっしょ」

姉「さて、荷物持ち居なくなったけど買い物は続行します」

魔女「勝手に動いて大丈夫なんですか?」

姉「大丈夫大丈夫。何の為の携帯だよ」

魔女「あ、そっか。便利ですね」

95: 1 2010/12/19(日) 09:41:05.43 ID:ykOfK6SO
姉「欲しい?欲しいなら買いに行くよ?」

魔女「い、いえ、結構です!つ、使い方覚えられないと思いますし!」

姉「使ってれば勝手に覚えるもんだけどねー。ま、手続き面倒だし今度でもいっか」

魔女「はい」

姉「んー、ならさ、小物でも買う?」

魔女「小物?」

姉「そ。部屋に置いたり何だりするアイテムのこと」

魔女「私は今の部屋でも良いんですが…」

姉「良くない!良くないよ!女の子ならもっとド派手に飾らなきゃ!」

姉「例えば石とか置いたり並べたり飾ったりしてさぁ!」

魔女「石ってパワーストーンですか?」

姉「ぅえっ!?興味有んの!?」

魔女「はい。あの…ダメですか?」

姉「いや、駄目では無いけど……あたしの言う石って原石に裸石だよ?装飾用のキンキラリンじゃないよ?」

魔女「私も裸石の方が良いです」

姉「そ、そう…」

姉「…うん!よし!あたしに着いて来なさい!お気に入りの店を紹介してあげるっ!」ダダダダダ

魔女「えっ…あの、ちょっ、何でそんな全力で走って…」

姉「フハハハハハ!!」ダダダダダ

魔女「ま、待って下さーーい!」タタタタタ

96: 1 2010/12/19(日) 09:42:13.50 ID:ykOfK6SO
―――ショッピングモール〈石の宿〉



姉「ここがあたしのお気に入りっていうか、あたしの為のお店よ!」

魔女「いっ…息切れ…ゼェ……一つ起こしていない…ゼェゼェ……」

ガラガラガラ

姉「へい!店主居る?」

店主「おぉ、お嬢じゃないか。久しぶりだね」

姉「うん!久しぶり!相も変わらず会社をクビになり妻にも逃げられ娘に臭いと吐き捨てられ家出され三度の自殺も悉く失敗に終わった……アメフラシを踏み潰してしまったような顔してるね!」

店主「後ろの子は友達かい?」


姉「渾身のネタをスルーされ、いといたずらなりけり」

魔女「あ、どうも!お姉さんの家に居候させていただいている魔女です!」ペコッ

店主「可愛いね。それに礼儀正しい。随分良い拾い物をしたね」

姉「クハハ、もっと褒めろ」

店主「それで、君は石を見に来たのかい?」

魔女「他に何か在るんですか?」

店主「いや、無理矢理連れて来られたのかと思ってね」

97: 1 2010/12/19(日) 09:43:00.95 ID:ykOfK6SO
魔女「お姉さんはいい人ですから、そんなことしませんよ」

姉「……ごめんなさい」ガクッ

魔女「えぇ!何で謝るんですか!?しかも土下座!」

店主「ははは!罪悪感だろ」

魔女「顔を上げて下さい!」グググ

姉「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ブツブツ

店主「さて、開店前とはいえ客は客だからな。商品を出してくるから少し待っててくれな」

魔女「か、開店前だったんですか!?ご、ごめんなさい!迷惑…ですよね?」

店主「可愛いお嬢さんが来て迷惑がる親父はどの星の下を探してもいないさ」スタスタスタ

姉「もう!お世辞は止めてよ!」スクッ

魔女「わっ!」ビクッ

姉「あ、もしかしてお世辞じゃなくて本気?いや~ん、困っちゃう~!」

店主「ははは。本当に相変わらずだね」ガサガサ

店主「ほら、品物だ」ドンッ

98: 1 2010/12/19(日) 09:43:41.53 ID:ykOfK6SO
魔女「わぁ~!沢山有りますねっ!」キラキラ

店主「そうか?ウチは少ない方だぞ?」

姉「奥にアホみたいな量眠ってんじゃん」

店主「……いつ覗いた」

姉「覚えてな~い☆」テヘッ

店主「そうか」

魔女「あの…これおいくらでしょうか?」

店主「ん?あぁ、それは500円ぐらいだな」

魔女「これが500円!安いです!」

店主「普通だぞ」

魔女「いえいえ!安いですよ!」

魔女「私達の間なら、この純度だと20万はします!」

店主「そいつはかなりぼったくりだな」

姉「純度って肉眼で確認出来たかいな…」

店主「出来るが……パッと見ただけでそうとは判らないもんだぞ」

99: 1 2010/12/19(日) 09:44:18.27 ID:ykOfK6SO
魔女「はー、噂には聞いてましたが驚きです」

店主「噂ねぇ…。たまにお嬢ちゃんみたいに安い安いって興奮する客が来るけど、同郷かい?」

魔女「えっ?どんな方達ですか?」

店主「お嬢ちゃんみたいに左右で目の色が違う外人だよ」

魔女「あー……同業…ですかね…」

姉「もしかして、魔法関係?」

魔女「そ、それは……その…」

姉「魔法使いって皆虹彩異色なの?」

魔女「えと……あの…」

店主「おい、いきなりファンタジーでおじさん着いていけないんだが」

姉「説明してる暇無いの!」

店主「飴やるよ」スッ

姉「魔女ちゃん実はお伽の世界から来た魔法少女なのさ!」コロコロ

100: 1 2010/12/19(日) 09:45:06.32 ID:ykOfK6SO
店主「いや、信じられないから」

姉「なんだと!じゃぁ、証拠見せてあげな魔女ちゃん!」

魔女「…!」フルフル

姉「お姉ちゃんの言うことが聞けないってか!」

魔女「い、いや、それよりもですね、こんな所で魔法使ったら…その……」

姉「大丈夫さ!」

魔女「危険というか……その…」

姉「問題無いっ!」

店主「危険なら止めてくれ」

~~ぃぎゃぁぁあ♪死ぬぅぅう♪

魔女「な、何の音ですかっ!?」

姉「あ、着信だ」

店主「また、ハイレベルな着信だな」

ピッ

姉「うぇい、もしもし」

男『あっ、姉さん。今何処に居るの?』

姉「今?今は石の宿に居るけど」

男『判った。今からそっち向かう』

ピッ

魔女「ママさんですか?」

姉「んにゃ、弟だにゃ。姉さんと離れて寂しいって」

魔女「男さんにそんな可愛い所が…」

101: 1 2010/12/19(日) 09:47:03.60 ID:ykOfK6SO
姉「さぁ、魔女ちゃん。うるさい奴が来ないうちに済ませるんだ」

魔女「あの……危険なんです…」

姉「なんでよ!家では見せてくれたじゃん!」

魔女「こ、ここは…人目も在りますし…」

店主「石か」

魔女「!す、鋭いです…」

姉「パワーストーン?」

店主「オカルトだが、波動が関係してるってことだろ」

姉「そういえば、そんなのが各石に有ったな」

姉「で、実際どうなの?」

魔女「ま、魔翌力なんです」

姉「魔翌力?」

魔女「石には魔翌力が宿るものが有るんです」

姉「成る程。良く判らん」

魔女「説明しましょう!」

店主「ホワイトボード貸してやる」ガラガラ

魔女「有難うございます!」

102: 1 2010/12/19(日) 09:48:52.78 ID:ykOfK6SO
魔女「まず、魔力は魂が変化したものです!此処までは良いですか?」カキカキ

姉「基礎知識みたいに聞くな」

店主「超次元だよ」

魔女「むぅ、仕方ないですね」ケシケシ

魔女「この世に生きる全ての生命体は魂を持っています」カキカキ

姉「植物も?」

魔女「生きるもの全てです!」

店主「ウイルスもか?」

魔女「それは良く知りません!」

店主「……」

魔女「魂は皆一様です。種族の間で差は有りません」

魔女「生命体が死ぬと霧散するとか空に帰るとか言われてます」カキカキ

魔女「が!たまに消えないものも在るわけです」カキカキ

魔女「そういったものは、集まり安い所に勝手に引き寄せられます」カキカキ

店主「それがパワーストーンって訳か」

魔女「その通り!判っていただけましたか?」

103: 1 2010/12/19(日) 09:50:00.99 ID:ykOfK6SO
姉「それなら、直接魂集めても良くね?出来たての死体から引っ込抜くとかしてさ」

魔女「そう、思いますよね!ところがどっこいなんです!」バンッ

魔女「魂は変化しなきゃいけないんです!長い時間を掛けてゆっくりと……」

魔女「肉体が…アレです……あの…黒くてドロドロしてたりカチンカチンしてたりする……」

姉「石油か」

店主「石炭だな」

魔女「そう!その石油や石炭になるようにです!」ビシッ

店主「精神はどうなるんだ?」

魔女「全く知りません!」

店主「……」

姉「先生、魔力の創られ方は判ったんですけど、どうして此処で魔法使っちゃいけないんですか?」

魔女「はい!それはですね!元が魂だけあって名残として共鳴が在るんです!」

店主「共鳴するとどうなるんだ?」

魔女「普通なら何も起きません!」

魔女「しかしですね、魔力濃度が高い密閉空間なら爆発する危険性があるんです!」

姉「まさに此処じゃねぇか」

魔女「そうなんです!」

104: 1 2010/12/19(日) 09:51:51.69 ID:ykOfK6SO
店主「……」

店主「不思議な話だ…」

魔女「嘘じゃないですよ!」

店主「あぁ、信じよう」

姉「おっさん……その顔とその歳でメルヘンワールドへ行くのはヤバイ所じゃ済まないぞ…」

店主「宝石にまつわる奇跡や呪いの類いの話は世界中にごろごろ転がっている。波動よりか魔力と考える方がしっくりくる」

姉「にゃるほど」

店主「それに、無いより有ると思った方が人生楽しいじゃないか」

姉「楽しいじゃないかっ」キリッ

姉「とか、ちょ~ウケるんですけど~!!」ギャハハハハ

店主「お嬢は信じてないのかい?」

姉「あたしはばっちりよ!こんな可愛い娘疑うとか有り得ないし!」ギュッ

魔女「はわわ」

店主「じゃぁ、俺が信じても良いじゃないか」

姉「顔が駄目だな」

店主「おじさんもそこまで言われると傷つくな」

魔女「わ、私は信じてもらえて嬉しいですし、店主さんの顔は別に悪く無いと思ってますよ!」

店主「ありがとな、嬢ちゃん。やっぱ、いい子だ」

105: 1 2010/12/19(日) 09:53:20.89 ID:ykOfK6SO

ガラガラ

男「迎えに来たぞ」

店主「おぉ、坊主も久しぶりだな」

男「久しぶりだな店主。相も変わらず、ナマコを踏み潰してしまったような顔してるな」

店主「流石、同じ血だな」

男「は?」

店主「何でも無い」

男「そうか」

魔女「あの…男さん?」

男「どうした?」

魔女「私、男さんがシスコンでも構いませんからっ!」

男「……おい、姉さん。どういうことだ」

姉「知らな~い☆」テヘッ

男「……」ビスッ

姉「ひぎゃぁぁあ!目がぁぁぁあ!!」

106: 1 2010/12/19(日) 09:55:17.03 ID:ykOfK6SO
男「ん?何だこのホワイトボード。買い物してたんじゃないのか」

店主「超次元世間話をしてたな」

男「魔力とか書かれてるからな。見れば大体分かる」

魔女「私が講師したんですよ!」

男「はいはい、偉い偉い」

魔女「むぅ」

男「何か買わなくて良いのか?」

魔女「え!じゃぁ、コレとコレとコレ買ってください!」

男「また、随分買うな」

魔女「えへへ」

男「ほら、金だ。釣りはいらない」パサッ

店主「50円足りない」

男「……」チャリン

店主「まいど」

姉「ブワハハハ、だっせぇの!」

男「……」ビスッ

姉「ぐがぁぁぁあ!鼻がぁぁぁあ!!」ドクドク

魔女「わわっ!鼻血が出てます!」

107: 1 2010/12/19(日) 09:56:34.44 ID:ykOfK6SO
男「勝手に止まる。ほら、さっさと行くぞ。父さんと母さんが待ってる」

魔女「あ、はい!」

姉「な"、な"んでおどうざんとおがあ"ざんが待っでんの"?」ドクドク

男「今何時か判るか?」

魔女「二時くらいですか?」

男「七時だ。飯にしたいそうだ」

姉「あ"ー、時間がだつの"はばやいね"ぇ」

魔女「そ、そんなに!い、急いで作らなきゃ!」

男「良い。今日は外食の気分らしい」

魔女「外食……」

男「お邪魔したな店主」

ガラガラ

店主「また来いよ」

男「ん…」

108: 1 2010/12/19(日) 09:57:43.43 ID:ykOfK6SO
――ショッピングモール〈ちゃんこ鍋の店〉



母「遅いっ!」ガツガツ

父「一体何時間待たせるつもりだ!」モグモグ

ワニスケ「クシャー」バクバク

男「待ってないだろ…」

魔女「美味しそうですね!」

姉「だが、もう殆ど残ってねぇぞ」

母「食うものが無いなら」

父「新しくオーダーすれば良いじゃない!」

ワニスケ「シャー」バクバク

男「……ウゼェ」

姉「仕方ない」カチッ

ピンポーン

トテテテテ

店員「はいっ!お呼びでしょうっかっ!」

男「ちゃんこ四人前追加で」

姉「後、お水下さい」

店員「うっけたまわりました!五番テーブルのお客様ぁ、ちゃんこ四人前追加ー!」

\ウーイ!/

店員「直ぐ持ってまいりMAX!」バァァン

タタタタ

男「居酒屋のテンションだな」

姉「大丈夫か、この店」

魔女「楽しみです!」

109: 1 2010/12/19(日) 09:58:50.77 ID:ykOfK6SO
男「で、重大発表が在るとか言ってたが、何だ?」

母「チッ!憶えてやがったか!」

父「ムカつくヤロォだ!」

姉「忘れていればいいものをっ!」

ワニスケ「シャー」バクバク

男「茶番は良いから話せ。後、姉さんはこっち側に戻って来い」

姉「ふぁーい」

父「つれないねぇ」

母「それじゃぁ、話すけどさ。実は母さん達ね、し――

タタタタ
ズザーッ

店員「あいぃ!ちゃんこ四人前お持ちしましたぁ!」

姉「おい、慣性考えろ。もやし飛んだぞ」

店員「おっ鍋の方お汁が少なくなっておりまっすので、こちら新しい鍋と代えさせていただきます!よっろしいでしょぉか!」ガチャ、ドンッ

男「もう代えてるじゃないか」

店員「そしてお冷やでございますぅ!」ダンッ、バシャッ

姉「凄い水が散る」

店員「それでは!」

タタタタ

男「嵐の後みたいだ」

母「よし、食うか」

魔女「お鍋っ!お鍋っ!」ワクワク

男「いや、続き話せ」

110: 1 2010/12/19(日) 09:59:44.71 ID:ykOfK6SO
母「途中で遮られたから白けたわ」

男「重大発表じゃなかったのかよ」

父「考えたら、そこまで重大じゃなかったわ」

母「うん。たかだか、ママとパパが昔の仕事に戻るだけだもんね」

姉「なんだよー、そんなことかよー。ビビらせんなよもー。さぁ、入れちまおうぜ」

魔女「はい!」

姉「しかしなー、昔の仕事かー。昔の……」

姉「ぇぇぇえっ!?」

魔女「…!」ビクッ

男「やると思った」

姉「えっ?マジで!?マジで戻んの?」

母「大真面目よー」

111: 1 2010/12/19(日) 10:00:55.21 ID:ykOfK6SO
男「しかし、なんでまた急に…」

父「遊ぶのに飽きっ………周りから強く押されてな」

男「飽きたから仕事に戻るのか…。道楽かよ」

母「まぁ、そう言うなよ。真実はうっかり漏らすものじゃないぜ?」

男「せめて、否定して欲しかった」

姉「二年間も休んでて、今さら拾って貰えるのが凄い。主にお父さん」

父「ママは?」

姉「お母さんの仕事では、しょちゅう在るじゃん」

父「なるへそ」

母「皆真面目な理由だけどねー」

男「自分がイレギュラーの自覚はあるのか」

父「まぁ、パパは人望があるってことで」

姉「人望…?」

父「凄い疑いの眼差しだ」

男「理だ」

父「はぁ……本当は二年っていう約束だったんだ」

男「成る程な」

母「ママはパパが戻るならってことで戻ります」

姉「成る程、不真面目な理由だ」

112: 1 2010/12/19(日) 10:01:53.61 ID:ykOfK6SO

グツグツ

男「二年なら……おれが春休み入るぐらいか」

父「うん。後1週間ぐらいだ」

グツグツ

姉「二年か……あたしが春の長期休暇に入るぐらいか」

母「そうね。後1週間ぐらいね」

男「何故同じやり取りをした」

グツグツ

姉「同じじゃねーし!オリジナルだし!」

母「寧ろお前のがパクリだし!」

男「はいはい、そうだね」

グツグツ

魔女「そろそろでしょうか…」

男「で、お前は会話に参加する気無しか」

魔女「いや、込み入った話みたいですし……」ヒョイッ、パクッ

魔女「はふっ、暑い!でも美味しいです!」

男「食いたいだけか」

姉「なんて外道なんだ魔女ちゃん!」

魔女「えっ!?」

113: 1 2010/12/19(日) 10:03:11.89 ID:ykOfK6SO
姉「私達、まだ日は浅いけど家族じゃないか!魔女ちゃんが関係者じゃないワケが無いじゃない!」

魔女「あぅ…」

姉「それとも、魔女ちゃんは家族と思ってくれてないの?」

魔女「そ、そんなこと在りません!」

姉「なら、一緒に聞こうよ!一緒に考えようよ!それに、魔女ちゃんは……いや、魔女ちゃんだからこそお父さんとお母さんのこと知ろうと思わなきゃ駄目だよ!二人が昔の仕事に戻ったら、家を空けることも多くなっちゃうんだ!その理由も何でで済まして良い筈が無いだろっ!私達が教えてくれるだろうからとか思わないで!二人から聞くから価値が有る!家族として近くなれるんだ!一人だけ呑気に飯食いやがってムカつく!」

男「おい、最後本音漏れたぞ」

魔女「ごめんなさいっ!」

114: 1 2010/12/19(日) 10:03:44.71 ID:ykOfK6SO
魔女「私、皆さんの愛を信じれなくて距離を置いてました…」

魔女「そんな自分が恥ずかしいですっ!」

姉「良いよ。これからじゃないか」

魔女「お姉さんっ!」ギュッ

姉「よしよし」ナデナデ

母「うるっ、と来たぜ」スンッ

父「これが……家族愛っ!」ブワッ

ワニスケ「シャー」

男「………」

魔女「パパさんママさんも!」ギュッ

母「ふふっ」ギュッ

父「へへっ」ギュッ

姉「さぁ!魔女ちゃん手を取って!」スッ

魔女「はいっ!」キュッ

姉「一緒に語り合おうっ!」

魔女「はいっ!!」

男「あー、ちゃんこマジうめぇ」モグモグ

ワニスケ「シャー」

115: 1 2010/12/19(日) 10:04:49.86 ID:ykOfK6SO
魔女による話のまとめ


・ママさんは元女優さん

・パパさんは元社長さん

・政治家とのいざこざからパパさんが社長を辞める

・社員一同に止められる

・妥協に妥協を重ねて、取り敢えず二年間は絶対に仕事しません宣言

・話を聞いたママさんも折角だからと女優を休業

・遊び回る

・飽きたしモヤモヤも取れたから、契約通り二年で復帰しようとパパさんが決意する

・ママさんも折角だからと女優に復帰することを決意←今ココ

・お姉さんのお気に入りはアンバー

・ワニスケさんは相変わらず怖い

・ちゃんこ鍋は美味しい

・そういえば、男さんが会話に入ってこなかった

123: 1 2010/12/24(金) 01:10:50.07 ID:7q.mm6SO
―――高校

野球部員「誰か粉塵プリーズ!」カチカチ

男「ほら」カチカチ

野球部員「おい!誰がこやし玉投げろつった!」カチカチ

野球部員「あ、ぎゃぁぁあ!死んだぁぁあ!」

サッカー部員「おい、ふざけんな!二回も死にやがって!」カチカチ

サッカー部員2「後、一回で終わりじゃねぇか!」カチカチ

男「切腹だぞゴラァ!」カチカチ

野球部員「お前等が粉塵使わねぇからだろうが!」

男「うわっ!サイテー!自分のゴキブリ   を人のせいにしやがった!」カチカチ

サッカー部員「死ねハゲ頭」カチカチ

野球部員「坊主だゴルァァッ!」

サッカー部員2「お前もうこっち来んな。俺等で倒しとくから」カチカチ

男「勿論剥ぎ取りはさせない」カチカチ

野球部員「は?行くし!ガンナーのオレが行かなかったら、部位破壊出来ないだろ?」カチカチ

サッカー部員「バカッ!今来たら!」カチカチ

野球部員「へ?ぁあ!!入った瞬間体当たり食らった!!」カチカチ

ダダーン!

男「そして即死したー!!」

サッカー部員2「あぎゃぁあ!」

野球部員「……皆、ごめんな!」ニカッ

サッカー部員「死ね!ハゲ死ね!何回目だよ!」

野球部員「四回目だ!」

男「学習しやがれ!」

野球部員「もう一回やろうぜ!」

サッカー部員「死ね!」

124: 1 2010/12/24(金) 01:11:58.75 ID:7q.mm6SO
金パツ女「ねぇー、邪魔なんだけど。男以外の男子どっか行ってくんない?」

サッカー部員2「何で男は良いんだよ!」

金パツ女子「男だから」

野球部員「分からねぇよ!」

男「クケケケケ!信頼度の違いだ!」

ピアス女子「男は自分の席。あんたらは私達の席占領してんのよ」

サッカー部員「そんなこと気にしてんの?小学生のガキかよ」

金パツ女子「教科書取るんだよ!」

サッカー部員2「うひー!出た!顔の割に真面目人間!」

金パツ女子「なんだってぇ!」ムカ

ピアス女子「ホントッ、あんたら程度が低いわ!男も良くこんなのと付き合ってるね」

男「友情の前にレベルとかそんなのは関係ねぇのさ」フッ

野球部員「良く言った!」

サッカー部員「男格好良いぜ!」

サッカー部員2「漫画の台詞のパクりだけど格好良いぜ!」

男「余計なこと言ってんじゃねぇよ!」

金パツ女子「類トモか」

ピアス女子「セーフじゃない?」

125: 1 2010/12/24(金) 01:13:02.35 ID:7q.mm6SO
オカッパ女子「あの…男くん……」

男「んあ?どうしたよ」

オカッパ女子「勉強……」

男「あー、約束してたな。ごめんごめん」ガタッ

野球部員「はぁ?おい、俺達との熱い狩猟ライフはどうするんだよ!」

割れ厨「男抜けんの?なら、俺入るわ」

男「おー、頼むわ」

サッカー部員「どうせなら、もう一人呼ぼうぜ」

サッカー部員2「そうだな」

野球部員「なんで?」

男「答えは唯一つ!てめぇが雑魚だからだ!」

野球部員「なっ!?雑魚じゃねぇし!」

金パツ女子「いいから、さっさとどけぇ!」

オカッパ女子「勉強……」

男「悪ぃ。お前等さ、あっちに移れよ」

サッカー部員「そーするわ」ガタッ

サッカー部員2「女子うるせぇしな」ガタッ

ピアス女子「ウザッ!」

割れ厨「おい、まだかよ」ウズウズ

126: 1 2010/12/24(金) 01:14:37.51 ID:7q.mm6SO
男「んで、おーいガリ!」

ガリ「どうした」

男「野球部員の代わりにこいつらと一戦してやれ。おれの貸す」

ガリ「うーい」スチャ

野球部員「男ぉお!俺除けんのか!」

男「てめぇーはちとお手本見せてもらえや」

オカッパ女子「男くん…」

男「うぃうぃ、行こうぜ」

オカッパ女子「うん!」

ショート女子「男ー、何か女の子が呼んでるよー!」

男「なんか今日忙しいな…」

男「だれー?」

ショート女子「知らない子ー!多分別クラスー!」

サッカー部員「男ー!新しい女じゃねぇだろな!」カチカチ

サッカー部員2「このモテモテ野郎ー!」カチカチ

野球部員「爆散しろー!」

割れ厨「主に下半身爆散しろー!」カチカチ

ガリ「去ねっ!」カチカチ

男「うるせぇー!黙ってろ!」

127: 1 2010/12/24(金) 01:15:06.58 ID:7q.mm6SO
ショート女子「男ー!早くこーい!」

男「たくっ……」チラ

オカッパ女子「早く行ってあげて…」

男「ん。絶対時間作ってやるから!」タタタタ

オカッパ女子「うん…」

タタタタ

ショート女子「待たせすぎ!」

男「1分2分の遅れだろうが」

ショート女子「女の子にはその1分2分が大事なのっ!」

男「クハッ!男女一号の口から乙女論言われてもねぇ」

ショート女子「ッ!良いから出るっ!」

男「へいへい」

ガラガラガラ

男「お待たせ」

魔女「……」ポカーン

男「……おい、何でお前が此処にいるんだよ」

魔女「わ、私の知ってる冷酷無慈悲な男さんじゃない……」

128: 1 2010/12/24(金) 01:17:34.14 ID:7q.mm6SO

…………………


野球部員「はぁーん?居候ぉ?」

サッカー部員「ふざけた真似やがってぇ」

サッカー部員2「何時からだオラァッ!」ダンッ

男「先週の金曜からだ…」

割れ厨「何で黙ってたんだよこの下衆ッ!」

男「言ったらこうなるからだろぉが!」

ガリ「うっわ、逆ギレ。逆ギレしましたよ、奥さん」

野球部員「最近の若い子は嫌ねぇ」

男「てめぇら…」イラッ

129: 1 2010/12/24(金) 01:18:30.51 ID:7q.mm6SO
サッカー部員「で、実際何処まで手を伸ばしてんだ?」

男「ぁあ?」

サッカー部員2「セクースはしたかって聞いてんだよ!」ダンッ

割れ厨「どうせ、無理矢理ヤったんだろ?」

男「……」ガッ

割れ厨「痛い痛い!男君っ!腕はそっちに曲がらないと思いますっ!」

男「知るか」ギリギリ

ガリ「   じゃないなら……合意か!」

サッカー部員「それだっ!」

男「それだじゃ……ねぇだろうが!!」ブンッ

割れ厨「いぎゃぁぁあ!」ヒュン

ドガッガシャン

ガリ「ひぐぅわぁぁ!」

サッカー部員「ガリぃぃぃい!!」

野球部員「野郎ォ……こうなりゃ力付くで聞き出してやる!」

サッカー部員2「よっしゃぁぁあ!!」

男「やれるもんならやってみやがれぇぇえ!!」

ドガッ、ガシャン、ガスッ、バキッ、グシャッ、バシッ

魔女「……あの…」

ショート女子「気にしないの。バカなのよあいつら」

魔女「男さん、大丈夫でしょうか…」

ピアス女子「本気じゃないから、大丈夫でしょ」

130: 1 2010/12/24(金) 01:19:00.77 ID:7q.mm6SO
金パツ女子「しかし、魔女ちゃんだっけ?めっちゃ可愛いじゃん」

魔女「はぅ!有り難うございます!」キューン

ピアス女子「だよねー!ちっこいし、ふわふわしてるしー!」

ショート女子「銀髪にオッドアイなんてお伽噺の妖精さんみたいだよね!」

金パツ女子「相変わらず乙女趣味かよ」

ショート女子「良いじゃんか!」

魔女「あはは…」

ピアス女子「でも、ホントに妖精みたーい!」

金パツ女子「えー、あんたも?」

ピアス女子「だって、それが一番近いじゃん!」

金パツ女子「ま、確かにね」

131: 1 2010/12/24(金) 01:19:33.37 ID:7q.mm6SO
ショート女子「ねぇ!魔女ちゃんは何処から来たの?」

魔女「えっ!?えーと……ロシアです!」

ショート女子「ロシアっ!?」

ピアス女子「納得かも。向こうの女の子規格外だもんね」

金パツ女子「にしては、日本語ペラペラじゃん」

魔女「日本人学校でしたから」

金パツ女子「へー」

ピアス女子「そりゃまた何でよ?」

魔女「何ででしょうね」

ピアス女子「…?」

魔女「…?」

ショート女子「親の都合じゃないの?」

ピアス女子「それだ!」

金パツ女子「国籍が日本とか?」

魔女「えーと……良く知らないんです」

ピアス女子「ま、親なんてそんなもんだよね。うちもさー、自分達彫ってんのにダメとかマジウザくてさー」

魔女「は、はあ…」

金パツ女子「ちょい、話題ズレてるって」

ピアス女子「あり?」

132: 1 2010/12/24(金) 01:20:15.34 ID:7q.mm6SO
ショート女子「何でこっち来たの?」

魔女「研修です!」

金パツ女子「研修ね。珍しい。普通、その年でこっち来るの留学生ぐらいだよ」

魔女「が、学業は向こうで修めましたから」

ピアス女子「と、飛び級ってこと?」

金パツ女子「頭良いんだね」

魔女「えへへ…///」テレ

ショート女子「やーん、赤くなった!可愛いっ!」

魔女「そ、そんな…///」テレテレ

金パツ女子「魔女ちゃんさ、男に手出されて無い?」

魔女「はい?」

ピアス女子「あー、あいつ手出すの早いって聞くもんねー」

ショート女子「一つ屋根の下だしね。こんなに可愛かったら、直ぐにでも出してそう」

魔女「手を出す……」

ショート女子「そうそう!有るでしょ!」

金パツ女子「無かったら寧ろ男ED説疑うわ」

133: 1 2010/12/24(金) 01:21:04.14 ID:7q.mm6SO
魔女「……あっ!在ります!」

ピアス女子「やっぱり!」

金パツ女子「どうだった!?」

魔女「どうって……普通に痛かったです」

ピアス女子「初物か…」

金パツ女子「結構ヤられた?」

魔女「そうですね。何回か」

ショート女子「うっわー!噂に勝る最低ぶりだよ」

魔女「後、首を絞められたりしました」

ピアス女子「ハード!超ハードじゃん!」

ショート女子「それ、合意で?」

魔女「泣いてたら急に……」

ショート女子「男ぉぉお!!」

金パツ女子「男子一端散れぇぇえ!!」

ピアス女子「男を此処に連れて来い!!」

男「なんだよ…」ボロッ

魔女「お、男さん大丈夫ですか?怪我痛く無いですか?」オロオロ

男「痛ぇよ…」

ショート女子「魔女ちゃん!こんな社会のゴミの心配しちゃダメっ!」

男「何時の間にかおれの株が暴落してる…」

ピアス女子「他の男子は?」

男「縛って放置」

金パツ女子「男つぇー……流石クズ」

ピアス女子「喧嘩馴れしてる……」

男「どういう経緯でこうなった」

134: 1 2010/12/24(金) 01:22:06.57 ID:7q.mm6SO
オカッパ女子「男くん…」クイッ

男「いてて。何?」

オカッパ女子「…魔女ちゃんに手を出してるって本当?」

男「は?」

ショート女子「そうだ男!聞くと初めて奪ったそうじゃないか!」

男「はぁ?」

ピアス女子「それだけじゃない!首締め   まで!」

男「……あ"?」

金パツ女子「し、しかも泣いてる所を無理矢理らしいじゃないか!」

男「……」

男「…おい、魔女。ちょっと来い」グイッ

魔女「痛い!ど、どうしたんですか急に!」

ショート女子「校内で欲を吐き出すつもりか!」

男「…」ギロッ

ショート女子「ひっ!」ビクッ

ガラガラガラ
バァァァアンッ

ショート女子「男怖い…」

金パツ女子「マジギレしてた…」

ピアス女子「近づけねぇ…」

ガタァァン

ショート女子「あ、扉壊れた……」

135: 1 2010/12/24(金) 01:23:07.44 ID:7q.mm6SO

ダンッ

男「おい…どういうことだ……」イライラ

魔女「あの…手を出されたか聞かれたので……その…出されたと…」

男「…   されたって答えたのか?」

魔女「ぇえっ!///」カァァア

魔女「そ、そんな有りもしないこと言いませ……」

魔女「はっ!先程の会話って、もしかしてそういう話で……」

男「……」

魔女「あぅぅ……男さん、気を悪くしないで下さい。気付かなかったんです…」

男「はぁ……」ガクンッ

魔女「お、男さん!?どうしたんですか!?怪我が痛むんですか?」

男「脱力した…」

魔女「な、なんだ…。良かったです」

男「魔女さ…」

魔女「はい?」

男「どうして、おれの学校に来た。ご丁寧に制服まで着て」

魔女「それはですね……」

136: 1 2010/12/24(金) 01:24:24.26 ID:7q.mm6SO

――30分前〈男の家〉


魔女「あっ!男さんお弁当忘れてる!」

魔女「どうしよう…」

ワニスケ「シャー」

魔女「届けに行ったほうが良いんでしょうか…」

ワニスケ「シャー」

魔女「でも、場所知らないし…」

魔女「ワニスケちゃんはどう思います?」ナデナデ

ワニスケ「シャー」トテトテ

ワニスケ「シャー」カリカリ

魔女「電話ですか?」

ワニスケ「シャー」

魔女「うーん、男さんの番号は覚えて無いんです…」

ワニスケ「シャー…」

魔女「お姉さんの番号なら覚えてますし、掛けてみましょうか」

ワニスケ「シャー!」

魔女「えーと確か…090の……」

ピポパピ
プルルル
ガチャッ

魔女「あっ、お姉さんですか?」

姉『お掛けになった電話番号は現在使用されておりません』

魔女「ぇえっ!ま、間違えちゃいました!」

ワニスケ「シャー」

137: 1 2010/12/24(金) 01:25:05.98 ID:7q.mm6SO
姉『ヒヒッ…冗談冗談!お姉ちゃんで間違いないよ』

魔女「お姉さん!びっくりさせないで下さいよ!もうっ!」

姉『めんごめ~ん。で、どうしたの?』

魔女「あ、それがですね、男さんがお弁当忘れて学校に行っちゃったんです」

姉『え?おびぃんとぅ?』

魔女「はい。持って行ってあげたいんですけど、学校までの道知らなくて……」

姉『ふむ……』

魔女「あの…教えて貰えますか?」

姉『………』

魔女「お姉さん?」

姉『魔女ちゃん。そのまま学校行くと捕まっちゃうよ?』

魔女「な、なんでですかっ!?」

姉『最近物騒だからね。警備が厳しいから、学校関係者以外は不審者扱いされちゃうんだ』

魔女「そ、そうなんですか。確かに関係無い人は入れられませんよね……」シュン

姉『その電話、子機?』

魔女「えっ?あっ、はい!子機です!」

姉『だったら、今からお姉ちゃんの言うこと良ーく聞きなさい。学校に入れてあげる』

魔女「ホントですかっ?」

姉『お姉ちゃんに不可能は無いのよ』

魔女「わぁ~!カッコいいです!」

138: 1 2010/12/24(金) 01:26:54.40 ID:7q.mm6SO
姉『ししし、まずはお姉ちゃんの部屋に行きなさい』

魔女「はい!」

ドタドタ
ガチャッ

魔女「着きました!」

姉『押し入れを開けて』

魔女「はい!」

姉『中に有る大きな箱を取り出す。0003と書かれている筈だ』

魔女「0003………あっ!有りました!」

魔女「よいしょ!…うっ……結構重いです…」ズリズリ

ドシンッ

魔女「ふぅ、出せました!」

姉『蓋を開け、中に有るセーラー服と学生鞄を取り出せ』

魔女「鞄は有りましたけど……セーラー服……」ガサガサ

姉『この前君に着せた学校用制服のことだ』

魔女「スカートとポロシャツみたいなので一対を成すあの服ですか?」

姉『そうだ』

魔女「うーん……」ガサゴソ

魔女「有りましたっ!」バッ

139: 1 2010/12/24(金) 01:27:05.51 ID:7q.mm6SO
姉『では、それを着たまえ』

魔女「はい!」

魔女「えーと…」ヌギヌギ

魔女「……」モソモソ

魔女「着ました!」

姉『よろしい。鞄を持ち、再びリビングだ』

魔女「はい!」

ドタドタ

魔女「次はどうするんですか?」

姉『メモを取る準備をしろ』

魔女「はい!」スチャ

姉『今から言う番号をメモするんだ。090……』

魔女「ふむふむ」カキカキ

姉『出来たか?』

魔女「バッチリです!」

姉『では、この電話を一旦切り、その番号に掛け、迎えに来るよう言え。それが終わってから、再び私に掛けろ』

魔女「えっ!?あのっ…」

ブツッ
ツーツーツー

魔女「切れちゃいました」

ワニスケ「シャー」

魔女「とにかく、お姉さんを信じて掛けるしかありませんよね…」

ワニスケ「シャー」

ピポパピ
プルルル プルルル
ガチャッ

??「はい。お呼びでしょうか」

140: 1 2010/12/24(金) 01:28:38.40 ID:7q.mm6SO
魔女「あ、あの、迎えに来てくれませんか?」

??「聞いたことの無い声ですが……判りました。御自宅でよろしいでしょうか?」

魔女「は、はい!」

??「直ぐ参ります」

ブツッ
ツーツーツー

魔女「き、緊張しました…」

ワニスケ「シャー」

魔女「電話の人は誰でしょうか?ワニスケちゃんは知ってますか?」

ワニスケ「シャー」

魔女「ですよね。さ、お姉さんに掛け直さないと」

ピポパピ

姉『上手く行ったんだね。おめでとう』

魔女「有り難うございます」

姉『鞄の中にお弁当を入れ、待機だ。車が来たら、知らせろ』

魔女「はい!」

魔女「…」ゴソゴソ

魔女「あ、水筒を用意してませんでした」

魔女「ワニスケちゃん、車が来たら知らせて下さい」

ワニスケ「シャー」

魔女「では、水筒の準備をしてきます」トテテテ

ワニスケ「シャー」

141: 1 2010/12/24(金) 01:29:15.49 ID:7q.mm6SO
魔女「茶葉入れてー♪」サッサッ

魔女「お湯っを注いでー♪」トポトポ

魔女「ふん♪ふふーん♪」

キキィッ

ワニスケ「シャー!」

魔女「あ、来ましたね」トテテテ

ピンポーン

魔女「はーい!……お姉さん来ましたよ」

姉『私を連れて行け』

魔女「はい!」

トタトタ
ガチャッ

魔女「あ、どうも。こんにちは」
??「おや、やはり知らないお嬢さんだ。一体、何故私の番号を知っているのですか?」

魔女「あの、お姉さん。この人は……」

姉『彼にこの子機を渡すのだ』

魔女「あ、はい」

魔女「あの……これ…」スッ

??「電話ですか?ふむ…」カチャ

??「代わりました」

姉『よー、運転手』

運転手「っ!?お嬢様っ!!」

魔女「へ?」

142: 1 2010/12/24(金) 01:30:12.36 ID:7q.mm6SO
運転手「お嬢様、この娘は一体誰ですかっ!」

姉『新しい妹』

運転手「いもぉぉとぉぉお!?聞いていませんよっ!」

姉『そりゃ、言ってないもん』

運転手「はぁ……。私にどうしろというのですか?」

姉『その子をさ、弟の学校まで連れていってあげてよ』

運転手「お坊ちゃまの学校にですか?」

姉『うん。お弁当届けに行くんだって』

運転手「お弁当?確か今日は――

姉『それ以上言ったら眼鏡割っちゃうぞっ☆』

143: 1 2010/12/24(金) 01:30:54.84 ID:7q.mm6SO
運転手「うぐっ…。何をお考えかは判りませんが、運びましょう」

姉『しっしっし、そうこなくちゃ』

運転手「帰りもですか?」

姉『んにゃ、行きだけ頼む。帰りは弟が連れて帰るっしょ』

運転手「畏まりました。では、行きだけということで」

姉『うぇーい、任せたよー』

ブツッ
ツーツーツー

魔女「あの、お姉さんは何て…」

運転手「紹介が遅れました。私、父様の専属ドライバーを努めさせて頂いております、運転手です」ペコッ

魔女「よ、よろしくお願いします!」ペコッ

運転手「本日はお嬢様のご要望により、貴女様をお坊ちゃまの御学校まで運ばせて頂きます」

魔女「わぁ!有り難うございます!」

運転手「では、此方へ。車は外に着けておりますので」

魔女「あ、ちょっと待って下さい。水筒の準備がまだでして…」

運転手「そういう事でしたら、私が。貴女様は早くお車へ」スッ

魔女「あ、はい。じゃぁ、お願いします」

運転手「はい」スタスタ

魔女「じゃぁ、ワニスケちゃん行ってくるね」ヒラヒラ

ワニスケ「シャー」

144: 1 2010/12/24(金) 01:32:42.46 ID:7q.mm6SO

……………


魔女「……というワケなんです」

男「姉さん…分かっててやったな……」

魔女「男さん、もしかして、もうお弁当食べちゃいました?」

男「一つ言っておく」

魔女「はい」

男「今日は終業式につき、午前終了だ」

魔女「え?」

男「お弁当はいらないんだ」

魔女「私……無駄足ですか?」

男「よく判っているじゃないか」

魔女「そんなぁ」ガクッ

男「恨むなら姉さんだな」

魔女「お姉さんもきっとこの事知らなかったんですよ」

男「幸せな方に考えてろ」

魔女「……突き放した言い方になってきましたね」

145: 1 2010/12/24(金) 01:33:28.98 ID:7q.mm6SO
男「教室戻るか」

魔女「あっ、お疲れ様でした。今日はご迷惑をおかけして済みません。私は家に帰っておきますね」タタタ

男「待て」ガシッ

魔女「何ですか?」

男「運転手は多分いないぞ」

魔女「またまたー」

男「というかいない。窓の外見てみろ」

魔女「窓の……」クルッ

魔女「あっ、車が有りません!」

男「よって、お前は帰れない」

魔女「えぇー!」

男「そして何よりも、このままだと禍根を残すことになる」

魔女「…禍根?」

146: 1 2010/12/24(金) 01:34:51.03 ID:7q.mm6SO

………………

男「こいつは魔女。先週の金曜日から我が家に居候中。性別は女」

魔女「えへへ、よろしくお願いします」ペコッ

男「質問有るなら手を上げろ」

野球部員「はい。魔女さんのTWBを教えて下さい」

男「ワケが分かりません」

野球部員「身長、体重、バストのことです。判れや」

魔女「測ったこと無いですねー」

野球部員「じゃぁ、今からおじさんと測りに行きませんか?」

男「変 くんは没ッシュートです」パチン

サッカー部員「……」ガシッ

野球部員「え、何?」ズルズル

ガラガラガラ
ポイッ
ガラガラガラ

サッカー部員「没ッシュート完了しました」

男「よろしい。他に質問は?」

ドンドンドン

ガリ「はい。2人の関係は何処まで行きましたか?」

魔女「家族になりました!」

\アケロー!/

ガリ「それは届を書いたと云うことですか?」

男「養子的な家族になりました」

ガリ「判りました」

147: 1 2010/12/24(金) 01:35:59.98 ID:7q.mm6SO
男「他に」

ショート女子「はい。過ちは在りませんでしたか?」

男「在りません」

ショート女子「真実ですか?」

魔女「はい!」

男「他」

ピアス女子「はい。先程痛かった等述べていましたが、あれは何だったんですか?」

魔女「普通に殴られました……」

金パツ女子「下衆には変わり無いですね」

男「強 疑惑よりはマシなので、良とします」

割れ厨「はい。男君は何処がもげますか?」

男「君は今から速やかに臓物ぶちまけて死んで下さい」

サッカー部員2「はい。魔女さんの好みのタイプは俺ですか?」

魔女「タイプ?」

男「第一印象で決める際に恋愛対象として見れる可能性が有るのかってことだ」

魔女「あ、それは無いですね」

サッカー部員2「撃墜されました」

男「良かったですね」

サッカー部員「はい。男は今何人キープしてますか?」

男「零人です」

サッカー部員「セフレはいますか?」

男「はい」

サッカー部員「何人ですか?」

男「企業秘密です」

魔女「セフレって何ですか?」

男「セルフフレンドです」

148: 1 2010/12/24(金) 01:36:40.09 ID:7q.mm6SO
オカッパ女子「……」スッ

男「どうぞ」

オカッパ女子「勉強…」

男「誠に申し訳無い」

ガラガラガラ

担任「……お前等、まだ残ってたのか…」

男「こんにちは先生。いつも遅くまでお勤めご苦労サマです」

担任「毒でも盛られたのか?態度がおかしいぞ」

魔女「……」ジー

担任「おっ、誰だこの可愛い子?」

魔女「イ、イケメンです!」

担任「………」ポカーン

担任「……へぇ」ニッ

男「……」

152: 1 2010/12/26(日) 10:31:22.90 ID:G8n2dkSO
魔女「はー、あんなカッコいい人が居るんですねー」

男「そうだな」

魔女「タレントさんですか?」

男「教員だ」

魔女「先生っ!?あの人先生なんですか!」

男「そうだ」

魔女「勿体ないですねー」

男「そうだな」

魔女「それにしても、男さん酷いですよっ!あの後、担任さんが折角学校紹介してくれるって言ったのに、此処にいろ!だなんて」

男「……」

魔女「オカッパ女子さんとの勉強会見てるだけなんて、退屈だったんですから!」

男「悪かったな」

魔女「え?」

男「担任と回りたかったろ」

魔女「こ、好意を無下にしてしまったのはアレですが……その…」

男「…惚れてはいないんだな」

魔女「な、ななな何でそんな話に!?//」ボッ

男「イケメンイケメン叫んでたから」

魔女「そ、そんなに言ってないですよ!!///」カァァア

153: 1 2010/12/26(日) 10:31:53.38 ID:G8n2dkSO
男「良かった。人の恋路ならクソッタレでも邪魔はしたくないからな」

魔女「…?」

男「あいつに警戒しとけ」

魔女「な、何でですか?」

男「お前、多分目をつけられた」

魔女「…それだけで警戒なんて……」

男「意味が判らないワケじゃないだろ」

魔女「……」

男「狙われてんだよ」

魔女「信じられません」

男「おれの方が日が長い。素直に信じとけ」

魔女「だって、あんなに優しそうな人が狙うだなんて!そんな悪いこと!」

男「優しい?第一印象だろ?」

魔女「第一印象で何がいけないんですか!」

男「第一印象なんて、この世で最も信用してはいけないモノの一つだ」

魔女「だ、第一印象だけじゃありません!仕事の合間を縫って学校紹介してくれようとしてくれました!」

男「狙っているなら当然」

魔女「むぐ……」

男「判ったら、あいつに気を許すな」

154: 1 2010/12/26(日) 10:32:19.63 ID:G8n2dkSO
魔女「……」

魔女「……嫌ってるからだ」

男「あ?」

魔女「男さんは担任さんを嫌っているんです!だから意地悪なことばっかり言うんですね!!」

男「……よく判ったな」

魔女「やっぱり!」

男「確かにおれはあいつが嫌いだ」

魔女「あの時も邪魔したんですね!」

男「イエス」

魔女「最低ですっ!」

男「だが、嫌うにも理由有り、だ」

魔女「自分よりカッコいいから僻んでいるだけなんじゃないですか?」

男「取られたんだ」

魔女「地位をですか?」

男「彼女  られたのさ」

魔女「あ……それは…」

男「おれはな、経験で警告してるんだ。気紛れじゃない」

155: 1 2010/12/26(日) 10:32:46.72 ID:G8n2dkSO
魔女「……あ、愛です…」

男「なんの話だ?」

魔女「男さんの彼女が奪われたのが本当の話だとします!」

男「事実だ」

魔女「仮にそうします!でも、その話は男さんの主観です!」

男「成る程…」

魔女「想いは時に残酷なんです!誰かが愛する女性を自分が愛してしまうかもしれません!」

男「……」

魔女「担任さんもきっとそうだったんですよ!」

男「良い返しをするかと思えば、とんだお花畑論だな…」

魔女「良く有る話じゃないですか!」

男「何処の情報だ」

魔女「私の先生です!」

男「あぁ、あの鼻が折れて然るべき先生か」

魔女「む……漠迦にするんですか?」

男「さぁな。あー、そう言えば先生で思い出したな」

男「男は皆獣だったけ?」

魔女「……それは男さんが違うって言いましたよ」

男「……訂正しとこう」

男「下衆もいる」

156: 1 2010/12/26(日) 10:33:21.19 ID:G8n2dkSO
魔女「憶えておきます」

男「でも、あいつには当てはまらないってか?」

魔女「それはこれから決めます」

魔女「これから、経験を経て評価しますよ」

男「じゃ、精々歪められないことだ」

魔女「…ッ!いい加減にしてください!」

男「は?」

魔女「悪い情報ばかり流して歪めようとしているのはそっちじゃないですか!」

男「悪くはあるが、歪めてはいない」

魔女「そんなに仲間が欲しいんですかっ!」

男「仲間?」

魔女「担任さん嫌い同盟です!男さんしかいなくて寂しいんでしょ!」

男「てめぇ、おれがそんな下らない理由で言ってると思ってるのか……」ギリ

魔女「違うって言うならどんな理由なんですか!!」

男「…あいつの思惑をぶち壊してやりたい」

魔女「ほら!それです!」

男「あ?」

魔女「本当に担任さんが危険な人なら私が心配だからって言いますよ!」

男「なんで心配なんか…」

魔女「野望を壊すも嫌いを広げるも同じレベルで下らないです!!」

157: 1 2010/12/26(日) 10:33:47.90 ID:G8n2dkSO
男「……」

魔女「…沈黙は肯定でしたっけ?」

男「……うるせぇな」

魔女「でも、今日はそれもみ――

男「うるせぇっつってんだよ!!」ダンッ

魔女「っ!」ビクッ

男「決め付けるには情報が少な過ぎんだよ!!」

男「てめぇの本心も野郎の本性も!」

魔女「わ、私は…」

男「黙ってろ!!」

魔女「は、はい!」ビクッ

男「そうだよ!そうだよ!おれは彼女を取られたから嫌ってる!下衆かどうかは所詮後付けの想像だ!」

男「だって、あいつとは何も聞けないまま終わったんだ!」ジワ

魔女「……!」

男「必死に尻尾を掴もうとしても聞く噂聞く噂全部良し!中には辛そうな奴も怯えた奴も居たが、結局聞き出せなかった!」ポロッ

魔女「……男さん?」

男「…!!」グシグシ

158: 1 2010/12/26(日) 10:34:18.26 ID:G8n2dkSO
男「…はぁ……悪い。感情的になった」

魔女「い、いえ……私の方こそ……」

男「……お前が決めろ」

魔女「はい?」

男「あいつが優しいかどうか」

魔女「お、男さんがどうしても嫌ならしません……」

男「……権利がない」

魔女「男さん……」

男「結局、お前の言う通り、全ては主観だ。1割以下のおれの意見でお前の交友を止めることは出来ない」

魔女「……判りました。自分で見て決めます」

男「それが良い」

魔女「……」

男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……あっ!」

男「どうした?」

魔女「そもそも、担任さんには会えないことに気付きました」

男「いや、会うだろ」

魔女「だって、お互いの家を知らないんですよ?」

男「…会うさ。あいつはそういう奴だ」

159: 1 2010/12/26(日) 10:34:45.09 ID:G8n2dkSO
―――翌日


魔女「今晩何が良いですか?」

姉「何でも良いにゃー」

魔女「何でも……」

男「一番困る返事だな」

魔女「…お、男さんは何か食べたいもの有りますか?」

男「魚。フライ以外の魚が食いたい」

魔女「フライ以外……」

魔女「刺身で良いですか?」

姉「私が断る」

魔女「えぇっ!」

男「何でも良いんじゃなかったのか」

姉「ナマザカナタベルトカドウカシテマース。ニホンジンハバンゾクデース」

男「おい、そこのジャパニーズ」

魔女「お刺身がダメなら……煮魚!」

姉「それも断る」

魔女「えぇぇぇっ!」

男「何でだよ」

姉「あたし今日魚の気分じゃねーから」

男「先に言え」

160: 1 2010/12/26(日) 10:35:11.05 ID:G8n2dkSO
魔女「お魚にしたいけどお魚はダメ……うーん」

魔女「あっ!鯨にします!」

男「折衷に近くとも遠い案だな」

姉「ふざけるな!」ダンッ

魔女「ダ、ダメなんですか?」

姉「ダメも何も大ダメだ!あんなに知性が高い生物を食べるとかどうかしてるぜ!!悪魔か!」

魔女「あ、悪魔っ!?」

姉「鯨の気持ちになって考えてみろよ!」

魔女「……うぅ、そう言われると非道いことに思えてきました」

姉「そうだろう!」

男「……姉さん、好物ベスト3を言ってみろ」

姉「麻婆豆腐!シチュー!鯨の竜田!」

魔女「えっ?鯨?」

男「素直で助かる」

魔女「お姉さん、鯨さんを食べるのは可哀相と…」

姉「あんな美味いもの食わないとかどうかしてるぜ!!」

魔女「先程と言ってることが違いますー!」ガーン

姉「迷いこそが人生だよ」

男「百八十度の転換を三秒ですることが人生なら、迷惑極まりないな」

161: 1 2010/12/26(日) 10:35:47.72 ID:G8n2dkSO
魔女「えと……結局何を買ってくれば…」

男「鯨か鶏肉」

姉「鶏肉どっから出てきた」

男「個人的な要望」

魔女「魚じゃ無くても良いんですか?」

男「鯨は哺乳類だ。まぁ、あっさりしてたら何でも良い」

姉「諦めるなよ!」

男「……」

姉「どうして諦めるんだよ!お前ならやれる!やれるって!もっと意志を強く持てよ!自分の欲しいままにしろよ!!」

男「じゃぁ、鰤で頼む」

姉「認めねぇ!!」

男「面倒臭いな」

魔女「……ぜ、全部買ってくるというのはどうでしょうか?」

姉「全部だと!?鰤も鯨も鶏肉もアンコウも和牛もキャビアも松茸も雲丹もフォアグラもカキも黒豚もアワビも猪肉も伊勢海老も買うと言うのかっ!?」

男「良く噛まずに言えるな」

魔女「買ってきます!」グッ

男「作る方もだが、食う方も面倒だ。鶏肉だけにしとけ」

姉「認めねぇ!」

男「……そうか。姉さんは今日は断食するのか」

魔女「えっ?そうなんですか?」

姉「初耳だよ」

162: 1 2010/12/26(日) 10:36:18.90 ID:G8n2dkSO
男「なら、肉にも魚にも駄目出しするの納得だなー。さぁ、俺達の分だけ鶏肉買ってこーい」

魔女「は、はい!」

姉「……いいぜ。お前があたしの食事を無しにしようってんなら…」

姉「まずはそのふざけた以下略!!」バァァン

魔女「じゃぁ、行ってきます」ペコッ

姉「ふざけた以下略!!」バァァン

男「あっ、ちょっと待て」

魔女「ふぇ?」

姉「略っ!!」バァァン

男「あー、その……チョコレートも頼む」

魔女「また甘いモノですか?」

姉「………」

男「別に良いだろ」

魔女「太っちゃいますよ」

男「要らない心配だ」

姉「オーケー。私が悪かった。頼むから無視は止めてくれ。心がひび割れてしまいそうだ」

男「やっとか」

姉「もう、だだっ子しないからお姉ちゃんの分の鶏肉も買ってきてちょ~うだい」

魔女「了解しました!」ビシッ

163: 1 2010/12/26(日) 10:37:25.68 ID:G8n2dkSO
魔女「では!」スタスタ

男「あ、おい」ガシッ

魔女「…どうしました?まだ他に何か要るんですか?」

男「いや…その……」

魔女「…?」

姉「……」

男「えと…」

魔女「言いにくいことですか?」

男「いや……だが…」

姉「……」

姉「…あー!そう言えば御守りを作ったんだったなー!」

魔女「御守り?」

姉「もー!シャイな弟だ!女の子へのプレゼントだからって意識し過ぎだにゃー!ちょっと取ってくるね!」

魔女「あ、はい」

ドタドタ

魔女「……そうなんですか?」

男「……」

魔女「……」

ドタドタ

姉「ほらっ!これだよ!」スッ

魔女「わっ!ターコイズのネックレスです!」

164: 1 2010/12/26(日) 10:37:58.18 ID:G8n2dkSO
姉「付けて貰って良いかなー?」

魔女「は、はい!」

姉「ん、ちょい待ってね」カチャカチャ

姉「ほい!出来たよ!」

魔女「…」シャラン

魔女「えへへ!有り難うございます!」ニカッ

姉「よかよか」

魔女「似合ってますか?」

姉「勿論さ!なぁ、愚弟!」

男「ん、あぁ…。似合ってるな」

魔女「えへへ!///」

姉「服の中にしまっときーね」

魔女「あ、はい」スッ

魔女「じゃぁ、行ってきますね!」タタタ

姉「行ってらー」ヒラヒラ

男「ん」ヒラヒラ

ガチャッ
バタンッ

165: 1 2010/12/26(日) 10:38:32.76 ID:G8n2dkSO
男「……」

姉「……心配なら着いていけば良かったのに」

男「……」

姉「恥ずかしいの?」

男「女々しくはあるな」

姉「だっせぇな」

男「判ってる」

姉「不器用」

男「男は皆そうさ」

姉「堅い」

男「悪い」

姉「漠迦」

男「全くだ」

姉「守ってやれよ」

男「愛なら動いたかもな」

姉「ライクでも動けるだろ」

男「動けない」

姉「臆病者」

男「まぁな」

姉「逃げてる」

男「……そうだな」

166: 1 2010/12/26(日) 10:39:39.77 ID:G8n2dkSO
姉「……」

男「……」

男「……家族の中であいつだけ力が無い」

姉「当たり前。女の子なんだ」

男「…危なっかしいんだよ」

姉「純情だからね」

男「そんな奴が狙われているかもしれない」

姉「だから心配?」

男「………不安なんだ」

姉「なんか、今日は随分弱ってるね」

男「……普通だよ」

姉「昨日、私に話したこと以外に何か有ったっしょ」

男「……」

姉「そんだけ思ってて動けないのがチキンだけとか有り得ない」

男「……」

男「……魔女にさ」

姉「うん」

男「主観って言われたんだ。で、正鵠を射ていると思った」

姉「うん」

男「おれはあんな事が在ったからあいつを悪者と思い込んでるだけだって気付いたんだ」

姉「悪い事じゃない」

男「悪くはない。でも、正しいワケじゃない」

姉「……成る程ね」

167: 1 2010/12/26(日) 10:40:25.46 ID:G8n2dkSO
男「あいつが噂通りの人物なら、付き合いは良い交流になる」

姉「それを止める権利は無いって思ってるワケだ」

男「…1割以下の意見には力が無いんだよ」

姉「………」

男「あぁ、勿論権利もだが…」

姉「卑屈ボーイ!」ベシッ

男「いてっ!」

姉「ヒヒッ、大漠迦野郎だな。てめぇは」

男「……かもな」

姉「そういう意味じゃない。喧嘩一つで何暗くなってんだって言ってんだよ」

男「……暗いか?」

姉「あぁ、暗いね!超ネガティブだ!」

男「……そうか」

姉「考えてみろよ!あんなことあいつが悪人じゃねぇと起きねぇさ」

男「…事故」

姉「たまたま部屋が密室で、たまたま塩素が発生したってか?面白いね」

男「…他に要因が在った」

姉「彼女の様子見てたのに、本当にそう思ってんの?」

男「……」

姉「直感が信じられないなら確立論を信じろよ。一番起こりそうなパターンじゃないか」

男「……正鵠を射ている」

姉「そうこなくちゃ」

168: 1 2010/12/26(日) 10:40:55.35 ID:G8n2dkSO
男「そうだな…。うん。有り難う姉さん」

姉「イヒヒ、弟を慰めるのも姉の役目さ」

男「直感も確立論信じてやる」

姉「良し。じゃぁ、迎えに行くか」

男「行かない」

姉「…おい。そりゃぁ、今日いきなりって可能性は低いけどさ」

男「そうじゃない。おれは、大衆論も信じてみようと思う」

姉「皆が良い子良い子するから、釣られてみようとしてるのか」

男「あぁ。全否定も全肯定も愚かなことだからな。まして、人の心だ。どっちかに絞れるワケなかったんだ」

姉「そりゃそうだ」

男「善人、改心、逃避、躊躇。色んな可能性がある以上、今は動かない」

姉「動いても良いんじゃない?」

男「全てが確証するに足りない。それに、お邪魔虫には成りたくない」

姉「成る程にー」

男「これが精一杯」

姉「もし直感が正しかったらどうすんの?」

男「首の骨へし折ってやる」

169: 1 2010/12/26(日) 10:41:30.41 ID:G8n2dkSO
姉「怖いねー。でも、あたし達で気付けるかな?魔女ちゃん携帯無いんだよ」

男「おれ達で気付けるワケがないだろ」

姉「じゃ、どうすんの?」

男「何てことは無い。我が家には優秀なゲートキーパーが居るんだ」

姉「そう言えば、最近見ないが良い予言者だったな」

男「家族なら守ってくれるさ」

姉「でもさ、判っても間に合わないかもよ」

男「大丈夫だ。間に合わない予言は予言じゃない」

姉「クハハ、その通りだ」

男「それに、御守りが在る」

姉「魔力付きのね」

男「それを持ってるのが本物の魔女ときたもんだ」

姉「鬼に金棒かな」

男「……だか、虎に翼とまでは行かない」

姉「人だよなー。この曖昧な感じ」

男「100%にならないのがな」

姉「なら、準備だけでもしとく?」

男「無論」スクッ

170: 1 2010/12/26(日) 10:42:08.54 ID:G8n2dkSO
―――スーパー



店員「えー、鶏胸肉が3点。白葱が2点。トマトピューレが……」ピッピッ

店員「……が1点でチョコレートが4点。以上で合計6,783円になります」

魔女「7,000円でお願いします」スッ

店員「はい。7,000円お預かりします」ピピッ

チーン

店員「217円のお返しとレシートです」スッ

魔女「有り難うございます」

店員「またのお越しを」ペコッ

魔女「はい!」ペコッ

テクテク
ウィーン
テクテク

魔女「うーん…買い過ぎた感が有りますね……」ズシッ

担任「あれ?魔女ちゃんじゃん」

魔女「え?あ、た、担任さん!」

担任「やっほー」ヒラヒラ

魔女「こんにちは!」ペコッ

担任「こんにちは。昨日ぶりだね」

魔女「は、はい!」

担任「また、随分買い込んでるね」

魔女「あっ、その、特売日で…」

担任「あー、判る判る。安かったら、ついつい手が出ちゃうんだよなー」

魔女「あはは…」

171: 1 2010/12/26(日) 10:42:50.51 ID:G8n2dkSO
担任「どう?良かったら送るよ?」

魔女「え?背負うんですか?」

担任「ハハハ、違うよ。向こうに車が有んの」

魔女「あっ、そうなんですか」

担任「どうする?」

魔女「えーと……」

担任「それ重たいでしょ」

魔女「……」

魔女「…じ、じゃぁ、お願いしても宜しいでしょうか」

担任「よしきた。ほら、貸して」ヒョイ

魔女「あ……」

担任「ん、結構重いね」ズシッ

魔女「すみません」

担任「女の子がコレ持つのは辛かったろ」

魔女「はい」

担任「さ、こっちだよ」テクテク

魔女「あの…本当に良いんですか?」テクテク

担任「大丈夫大丈夫。今日非番だしね」テクテク

魔女「はあ…」テクテク

ガチャッ

担任「さぁ、乗った乗った」

魔女「お、お邪魔します」イソイソ

担任「いらっしゃい」

ガチャン
カチッ

担任「男君の家で良いんだよね?」

172: 1 2010/12/26(日) 10:43:52.62 ID:G8n2dkSO
魔女「はい」

担任「じゃぁ、行こう」

ブロロロ

魔女「家の場所分かりますか?」

担任「自分の生徒の家ぐらい把握してるさ」

魔女「クラス全員分ですか!?」

担任「まぁね」

魔女「それは凄いです!」

担任「先生なら普通だよ」

魔女「こちらの普通は敷居が高いんですねっ!」

担任「そうかな」

魔女「はい!」

担任「んー、そう言われると照れるね」

キキィッ

担任「着いたよ」

173: 1 2010/12/26(日) 10:44:36.79 ID:G8n2dkSO
魔女「あ、有り難うございました!」

担任「良いって」

魔女「何とお礼をして良いやら…」

担任「別にいらないんだけどなー」

魔女「あっ……そうだ……」ガサガサ

担任「でも、折角だからちょっとしてもらおうかな」

魔女「あの、このチョコレ……え?」

担任「魔女ちゃんこの後暇?」

魔女「え、あっ、はい。7時までなら」

担任「そう。ならさ、お茶に付き合わない?」

魔女「お茶……ですか?」

担任「うん。色々聞きたいと思ってたんだ」

魔女「別に良いですけど……つまらないですよ?」

担任「それでも良い」

魔女「うーん…分かりました」

担任「有り難う。じゃ、此処で待ってるよ」

魔女「あっ、はい」

トテテテ

174: 1 2010/12/26(日) 10:45:10.82 ID:G8n2dkSO

ピンポーン

魔女「男さーん!お姉さーん!」

魔女「……?」

ピンポーン

魔女「……お姉さーん?」

ガチャッ

魔女「留守……ですね」キョロキョロ

魔女「……」トテトテ

魔女「取り敢えず、お肉を冷蔵庫に入れないと……」

ガサガサ
ガチャガチャ

魔女「……困りました」ガサガサ

魔女「…勝手に出ていったら心配しちゃいますし……」ガチャガチャ

魔女「……」

バタンッ

魔女「…あっ!そうだ!メモを残しておきましょう」スチャ

~メモ~

男さん、お姉さんへ

担任さんとお出掛けしてきます。7時までには帰って来ます

お夕飯はそれから帰ってからちゃんと作りますから、心配しないでください

魔女より

魔女「これで良しっ!」

175: 1 2010/12/26(日) 10:45:50.39 ID:G8n2dkSO
―――カフェ


担任「席、此処で良い?」

魔女「あ、はい」

担任「此処ねー、俺の行きつけの店なのよ」

魔女「お洒落ですねー」

担任「良い雰囲気だろ。いかにも、カフェ!みたいな」

魔女「はい!」

担任「マスターの入れてくれるコーヒーがまた美味くてね。学生時代に見つけてからずっと通ってる」

魔女「ほへー、そうなんですか」

担任「ま、学生時代からって言ってもほんの八年前だけどね」

魔女「結構前な気がします」

担任「魔女ちゃんはまだ若いから。俺ぐらいおっさんになると短く見えてくる」

魔女「えー、担任さんはまだ若いでしょう」

担任「29のおっさんだよ」

魔女「二十代じゃないですか」

担任「ギリギリで見栄張ってもなぁ」

魔女「二十代って言えるうちはそう言ってた方が良いですよ」

担任「……思ってたより、現実的なこと言うんだね」

魔女「えっ!?そうですか?」

担任「うん。以外だよ。……さて、流石に駄弁で終わるのは店に申し訳無いな」

魔女「そ、そうですね!何か頼みましょう!」パラパラ

176: 1 2010/12/26(日) 10:46:26.34 ID:G8n2dkSO
担任「そうだね。俺はコーヒーかな。魔女ちゃんは?」

魔女「あっ、じゃぁ、私も同じで」

担任「良いの?」

魔女「美味しいんじゃないんですか?」

担任「そうだけど……ま、頼んじゃおうか」

魔女「お願いします」

担任「マスター!コーヒー二杯ちょうだい!」

マスター「……」コクッ

魔女「楽しみです」

担任「コーヒーは良く飲む方?」

魔女「一回しか在りません」

担任「それは……こっちで?」

魔女「はい。男さんが一回だけ淹れてくれて、その時飲みました」

担任「へー。でも、インスタントだろ?」

魔女「良く判りません」

担任「あぁ、そっか。別に淹れてるところ見てたワケじゃないんだ」

魔女「はい」

カツカツ

マスター「コーヒーです」コトッ

魔女「有り難うございます」ペコッ

マスター「…」スッ

カツカツ

担任「さ、比べてでごらん」

魔女「あ、はい!」ズズ

担任「どうかな?」

177: 1 2010/12/26(日) 10:48:27.88 ID:G8n2dkSO
魔女「……ゥ」

魔女「苦いです…」

担任「ハハハ!深いって言ってほしいな!」

魔女「なんでこんなに苦いんですか…」エグエグ

担任「あいつの淹れた奴は甘かった?」

魔女「はい。甘かったです…」

担任「大分砂糖入れたんだろうな」

魔女「うぅ…」

担任「ミルクとコーヒーシュガー取ってくるよ」スクッ

魔女「…お願いします」

担任「うん」

スタスタ

魔女「はぁ……」

魔女「……男さんは私が苦いと飲めないと判っていたんですかね…」カンカン

スタスタ

担任「カップを叩くのは少し行儀が悪いよ」

魔女「あっ、ごめんなさい!」

担任「なるべくしないようにね。はい、ミルクと砂糖」スッ

魔女「有り難うございます」

魔女「……」ザーッ、トポトポ

担任「ちゃんと混ぜないと意味ないよ」

魔女「そのぐらい判ってます!」カチャカチャ

担任「ごめん。ちょっとからかった」

魔女「むぅ……」ズズッ

178: 1 2010/12/26(日) 10:49:21.44 ID:G8n2dkSO
魔女「……ブラックって言うんですよね」

担任「ん?これのこと?」カチャ

魔女「甘くしないと飲めないなんて、なんだか子供っぽくて悔しいです」ズズッ

担任「…コーヒーってね、刺激物なんだよ。本当はミルク入れて飲むぐらいが丁度良い」ズズッ

魔女「でも、ブラック飲んでるじゃないですか」

担任「良い豆に良い淹れ方してたら大丈夫」ズズッ

魔女「私も飲めるようになりますか?」ズズッ

担任「なるなる。皆やせ我慢を積み重ねて、苦味を美味さに変換してきたんだから」カチャ

魔女「修行みたいです」カチャ

担任「上手い例えだね」

魔女「あの…それで聞きたいことって」

担任「色々在るなー」

魔女「色々……」チラッ

魔女「まだまだ時間は有りますね。幾つでもどうぞ」

179: 1 2010/12/26(日) 10:50:03.86 ID:G8n2dkSO
担任「んー、なら、男君の家に居候することになった経緯聞いていい?」

魔女「えー……適当に決めました」

担任「……本当に?」

魔女「はい」

担任「いやいや、嘘だろー」

魔女「う、嘘じゃないですよー」

担任「魔女ちゃんは今15、6でしょ?」

魔女「16です」

担任「そんな若い子が学校にも行かないで住み込んでるんだから、何も無いはないでしょー」

魔女「…ないんですよー」

担任「許嫁とか、そういうのじゃないの?」

魔女「違いますけど……許嫁って、また随分発想が古いですね」

担任「最近の子は言わない感じ?」

魔女「本の中で出て来ます」

担任「うーん…そっかぁ。時代を感じるな」

魔女「フフッ、初めて担任さんがおじさん世代に見えました」

担任「おっ、マジで?貫禄感じた?」

魔女「独特の寂しさを感じました」

担任「そっちか。そっちのおじさん化が進んでたか。参っちんぐだね」

魔女「アハハ」

担任「で、付き合ってるワケでもないんだよね」

魔女「はい」

担任「うーん…ちょっとがっかりだなー」

魔女「何でです?」

担任「もうちょっとドラマチックでラブロマチックなのかと思ってたからな」

180: 1 2010/12/26(日) 10:50:34.30 ID:G8n2dkSO
魔女「担任さんって以外と……ふわ…」

魔女「あっ!すみません!欠伸が……」

担任「眠たいの?」

魔女「ん……何でしょう…急に眠気が……」フラッ

担任「大丈夫?」

魔女「…昨日……あんまり寝て…ないから……」ウッツラ

担任「寝不足か。気を付けないとダメだよ」

魔女「男さんが……泣いてて……気に……」ガクッ

担任「男君が?何て言ってた?」

魔女「うー……」カクン

担任「……魔女ちゃん?」

魔女「スー…スー……」

担任「寝ちゃった……」

魔女「スー……」

担任「うーん……弱ったな。どうしたら良いんだ?」

188: 2011/01/07(金) 11:14:21.58 ID:FvhuqYSO

プルルル、プルルル
ピッ

「よぉ、久しぶり」

『久しぶりだな。こんな昼間っからどうしたんだ?』

「いや、休みに入ったし遊びたくなってね」

『遊びつぅと…いつものか?』

「あぁ。そっちは皆いる?」

『いるよ』

「皆、来れそうか?」

『ちょっと待て。聞いてみる』

「ん」

『……行けるみたいだ』

「良かった」

『あ、待て!………後輩呼んで良いかだと』

「あぁ?マジかよ……」

『久しぶりにはしゃぐのも良いんじゃないのか?』

「そうだけど……うーん…」

『なんだよ。大勢は嫌になったのか?』

「そうじゃないが……最上級品が入ったからさ…」

『…嘘だな』

「嘘じゃねぇよ」

『お前が上玉を流した試しがない』

「一回だけあるじゃん」

『……あぁ、あいつ関係か』

「そーゆーこと」

『それでも、お前が手放すなんて考えられないけどな』

189: 2011/01/07(金) 11:15:12.13 ID:FvhuqYSO
「俺もさー、最初は正攻法で行きたかったんだけど、どうもあいつから色々聞いてるみたいでな」

『そいつはウゼェな』

「あぁ。アホだが、良いところで身を引くだろう」

『ふーん』

「それに、ブッ壊してみたくなったんだ」

『おいおい、上玉なんだろ?』

「人形みたいにして飼うのさ。そそられないか?」

『……それは…捕まらないか?』

「安心しろ。警察は動かない」

『は?』

「戸籍も無けりゃ、こっち来たっつー正式な記録も無し。法律上人間じゃないのさ」

『……ハハッ、成る程な。そいつは良い』

「だろ?」

『なぁ、やっぱ大勢呼ばねぇか?』

「それだと、右手のお世話になる奴が出てくるぞ」

『だから、他の女も呼ぶのさ。休みだろ?』

「止せよ。価値が薄れちまう」

『バァーカ、寧ろ輝くんだよ。VIPの持ち物らしくな』

「…あぁ、はいはい。分かったぜ。二人占めか」

『上流は高級品。雑魚はジャンクで遊ばせる。良い考えじゃないか?』

「ハハッ、乗った」

『オーケー。先走りすんなよ?』

「分かってるさ」

『楽しみに待ってるぜ』

「おう」

ピッ

190: 2011/01/07(金) 11:15:56.20 ID:FvhuqYSO
―――――

ピシッ

魔女「う……」ムクッ

魔女「こ、ここは……?」キョロキョロ

魔女「見たことない……そうだ…私眠って……」

魔女「……眠って?」

ガチャッ

魔女「…!」ビクッ

担任「ん?あぁ、気が付いたのか」

魔女「担任さん?」

担任「そうだよ」

魔女「此処は何処ですか?」

担任「俺の家」

魔女「担任さんの……」サッ

担任「おいおい。そう身構えないでくれ」

魔女「……何をするつもりですか?」

担任「非道いなぁ。君が寝ちゃったから連れて来たんじゃないか」

魔女「それで納得すると思います?」

担任「んー、君が寝て、家に送ってあげようかと思ったけど男君の家には入れない」

魔女「……」

担任「堅い車の座席で眠らせるのも可哀想だから、連れて来た。疾しい気持ちは無いよ」

魔女「信じられません」

担任「まぁ、それが普通だよね。でも、本当に疾しい気持ちは無いんだ」

魔女「……嘘ですね」

担任「…随分態度が変わったね」

魔女「お喋りするのと……家に連れ込まれるのではワケが違いますから」

191: 2011/01/07(金) 11:16:51.39 ID:FvhuqYSO
担任「成る程ね。でも、家に入れただけでそこまで嫌われちゃうと、流石に悲しいなぁ」

魔女「なら、せめて同意を得てからにして下さい」

担任「刺々しいね。そんなに状況は変わらないだろう?」

魔女「……何がです?」

担任「俺と家で二人きり。男君と家で二人きり」

魔女「違います!」

担任「違わない。キミにとってはどちらも他人の家で異性と二人きりというシチュエーションだ」

魔女「男さんは家族です!」

担任「他人だよ。血の繋がりも無ければ、書類も無いんだから」

魔女「…心と言葉が有ります」

担任「無いかもよ?」

魔女「えっ?」

192: 2011/01/07(金) 11:17:29.63 ID:FvhuqYSO
担任「だって、男君はキミに暴力を振るったそうじゃないか。それも初日に」

魔女「……事実です」

担任「非道い奴じゃないか。そんな奴が親愛を理解しているとは思えないね」

魔女「あれは私が悪かったんです。男さんが最低なワケじゃありません」

担任「いいや、女性に手を上げる時点でクズだよ」

魔女「酷いものなら…そう思うかもしれません……」

担任「あいつはその危険性を持っている」

魔女「……」

担任「その点俺はどうだい?」

魔女「…はい?」

担任「俺は暴力を振るって無いという点で、少なくともあいつよりは安心が出来るんじゃないかな?」

魔女「評価出来る程付き合いが在りません」

担任「例えそれが0であっても評価はしているよ。無意識にね」

魔女「…そうかもしれませんね」

担任「なぁ、魔女ちゃん。男君を捨てる気は無い?」

魔女「捨てる……」

担任「うん。それで、俺の方に来なよ。あいつみたいに酷いことはしないからさ」

魔女「……」

ピシッ

193: 2011/01/07(金) 11:18:02.11 ID:FvhuqYSO
―――男の家



ピリッ

ワニスケ「……!」ピクッ

男「ん?」

ワニスケ「シャー!」カリカリ

男「どうしたワニスケ。餌か?」

男「それとも魔女のことか?」

ワニスケ「クシャー!」

男「ハハッ、お前は本当に優秀だよ…」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

姉「やれやれ、  極まりないな。昨日の今日で手を出すか、普通」

男「焦ってんのさ」

姉「何に?」

男「さぁな。おれが知るかよ」

姉「そりゃそうだ」

男「それに、手を出したかどうかは判んないな。ワニスケは危機を知らせただけだし」

ワニスケ「シャー」

姉「貞操以外の危機ってあるか?」

男「……無いな」ニッ

姉「ヒヒッ、んじゃ早いとこ行こうぜ」スクッ

男「姉さんは魔女を頼む」スクッ

194: 2011/01/07(金) 11:18:37.39 ID:FvhuqYSO
姉「おいおい。ヒーローチャンスを逃すのか?」

男「こういう時は同性の方が安心するだろ」

姉「いや、女の子を救うのは古来より王子様だと相場は決まっている」

男「……服着てなかったら気まずいだろ…」

姉「ブハッ!恥ずかしいから渋るのか!」

男「真っ当な理由だ」

姉「確かにそうだが…ククク……いや、笑わせるね」

男「ギャグじゃないぞ」

姉「解ってるって。まぁ、そういう事情ならお姉ちゃんが魔女ちゃん救うさ」

男「おれは雑魚と住みかを潰す」スクッ

ワニスケ「シャー」トテトテ

姉「ワニスケは此処で待ってな」

ワニスケ「シャ…」ショボン

男「お前は家を守ってくれよ。此処が一番の安全地帯じゃなきゃ困るんだ」

ワニスケ「シャー!」

姉「頼むぜ」

男「これで良いな」

姉「さて…」

姉「……準備万端かい、愚弟」カチャッ

男「勿論……」カチャッ

195: 2011/01/07(金) 11:19:25.99 ID:FvhuqYSO
―――担任の家



魔女「お断りします」

担任「へぇ。暴力振るった奴を取るのか」

魔女「貴方を捨てるんです」

担任「そうかい。まぁ……」

ガンッ

魔女「うっ……!」

担任「拒否権無いんだけどね」

魔女「フー……フー…」ギッ

担任「バカだよなぁ。人が折角最後のお情けでペット以外の道を示してあげたのに」

魔女「どちらもお断りです!」

担任「強気だね。こんな状況なのにたいしたもんだ。或いは本当の阿呆か」

魔女「担任さんは……随分態度が変わりましたね」

担任「そうか?いつも通りだぜ?」

魔女「いつもはこんなに最低な人だったんですね」

担任「そりゃそうさ。女の子に手を上げるからな」

魔女「貴方みたいな人は直ぐに捕まります!」

担任「捕まるのはお前だよ。不法入国者さん」

魔女「…ッ!」

担任「バレねぇと思ってたんだろ。めでてぇなぁ」

魔女「それが……それがどうしたって言うんですかっ!」

担任「あ?」

魔女「貴方が捕まることに変わりはありません!!」

担任「ハハハ、道連れってか。泣かせるねぇ。そのムダな決意」

魔女「ムダ……?」

196: 2011/01/07(金) 11:20:41.73 ID:FvhuqYSO
担任「警察は来ない」

魔女「お姉さん達が連絡してくれます!」

担任「バーカ。お前が捕まるリスクが在るのに通報なんてするかよ。あの甘ちょんどもが」

魔女「し、しますよ!」

担任「ねぇよ。仮にするとしてもまだしねぇ」

魔女「え……まさか……い、今一体……」

担任「今か?今は2時だ」

魔女「そんなっ!?」

担任「7時に帰るって言ったんだろ?それまでは誰も怪しみやしねぇよ」

魔女「ぐ……男さんの言ってた通り、最初から狙ってたんですね」

担任「いいや、ただの思い付き」

魔女「お、思い付き!?」

担任「本当はこんなんじゃなくて、ちゃんとした形でキミを手に入れたかった」

魔女「………なら、今は随分落ちぶれたことをしてるんですね」

担任「ハハハ、だからさ…」

ガッ

魔女「カハッ!」シャラン

担任「言葉には……ん?何か出たな」グイッ

魔女「うぐっ……」

197: 2011/01/07(金) 11:22:12.84 ID:FvhuqYSO
担任「……ペンダントか」

魔女「そっ…それは……」

担任「ひび割れてるじゃねぇか」

魔女「そんな……」

担任「ダッセェ。何でこんなモノなんで着けてんだ」ブチッ

魔女「あ……」

担任「俺のもんになったら、もっと良いもんで着飾ってやるよ」スッ

魔女「……このっ!」ヒュンッ

パァァァンッ

担任「…!」ジンジン

魔女「返してください!」

担任「ってぇな…」ジンジン

魔女「お姉さん達から貰った大切な物なんです!」

担任「いってぇなこのガキッ!!」ダンッ

魔女「うぐっ!」

担任「決めた。てめぇは向こうに着く前に痛い目見せてやる」

魔女「……やれるものなら」ギッ

担任「良いね。その強気な目。そそるよ」グイッ

チュッ

魔女「んむっ!?」

198: 2011/01/07(金) 11:22:41.41 ID:FvhuqYSO

クチュックチュッ

魔女「んんー!!」グググ

クチュックチュッ

魔女「んー!んー!!」グググ

担任「……!!」バッ

魔女「はぁ……はぁ……うぅ……」ポロッ

担任「……」ガタガタガタ

魔女「……こんな…」ポロポロ

担任「……おぃ…」ガタガタガタ

魔女「……?」グスッ

担任「て……め……なに……しやがっ…」ガタガタガタ

ドサッ

魔女「た、倒れた………?」スン

カッ

魔女「……え」ビクッ

ピカァァ

魔女「ま、魔法っ!?」

199: 2011/01/07(金) 11:23:11.24 ID:FvhuqYSO
「例の魔法の発現を感知」

「こっちもだ」

「場所、2037-3664-332」

「座標は判るか?」

「教会を0とする座標、12998、55647、12」

「相手はどうだ?」

「少々お待ちを……」

「…」

「魔力の霧散は有りません」

「じゃぁ、問題ねぇな」

「ですが、妙な流れを感じます」

「まー、行ってみれば判るだろ」

「貴方は少々適当過ぎます」

「オレ達に異常はつきもんだ。気にしてびびってたら何もできねぇよ」

「……一理有ります」

「んじゃ、飛ぶぞ」

「はい」

200: 2011/01/07(金) 11:23:50.42 ID:FvhuqYSO
―――町外れの廃屋



サッカー部員1「せんぱーい、まだですかー?」

チンピラ1「そうがっつくんじゃねぇよ」

サッカー部員1「えー、だって待ちきれないっすよー」

サッカー部員2「そうそう。もう大分待ちましたよ?」

チンピラ1「まだ、約束の時間まで一時間近く在るんだ。ゆっくりイメトレでもしてろ」

サッカー部員1「そんなぁ。早くしたいっすよ、脱  」

サッカー部員2「脱  !」

チンピラ2「うるせぇな!」

サッカー部員2「あ、すんません」ペコッ

チンピラ2「ったく……これだから青臭いガキは」

チンピラ1「てめぇもつい最近まで  だったろうが。大人ぶってんじゃねぇよ」

チンピラ2「バッ!テメッ!」

サッカー部員1「大丈夫っすよ先輩!オレ達、そんな先輩が大好きっすから!」

サッカー部員2「から!」

チンピラ2「黙ってろ!」

チンピラ1「ハハハ!」

チンピラ2「笑うなっ!テメェ、なんでこんな奴ら連れて来たんだよ!」

チンピラ1「可愛い後輩だからだよ」

サッカー部員1「先輩カッコイイー!」

サッカー部員2「格好良さが留まるところを知らなーい!」

201: 2011/01/07(金) 11:24:37.03 ID:FvhuqYSO
チンピラ2「見るからにバカで、お調子者じゃねぇか。しかも、学生だろ?」

サッカー部員1「酷いっ!でも、否定出来ない!」

チンピラ1「まぁ、大丈夫だろ。下手に広めたらどうなるかぐらい、判ってるだろ。なぁ?」

サッカー部員2「そ、それは勿論っす!誰にも漏らしたりしないよな、な?」

サッカー部員1「あ、当たり前じゃないですか!」

チンピラ2「ふーん?本当か?」

サッカー部員1「本当です!」

チンピラ2「変な情とかも湧かないか?」

サッカー部員2「じ、情ってこれから来る女にですか?」

チンピラ2「あぁ」

サッカー部員1「   に抵抗あったら、そもそも誘いにもノらないっすよ」

チンピラ2「知り合いでもか?」

サッカー部員2「えっ!?」

チンピラ1「は?知り合いなの?」

チンピラ2「こいつら、あいつんとこの生徒だろ?可能性十分じゃねぇか」

チンピラ1「マジで?」

サッカー部員1「あの……相手って一体誰なんですか?」

コンコン

チンピラ1「あ?誰か来たみたいだな」

サッカー部員1「……」

202: 2011/01/07(金) 11:25:14.78 ID:FvhuqYSO

コンコン

チンピラ2「あいつが女連れて来たんだろ」

チンピラ1「そっか」

サッカー部員2「えと……」

チンピラ2「なんだテメェら、今更びびってんのか?」

サッカー部員1「いや、でも……」

チンピラ2「残念。諦めろ。もう、逃げられねぇから」

サッカー部員2「……嫌だなぁ。判ってますよ」

チンピラ2「なら、良い」

コンコンコン

チンピラ1「……あいつら、入って来ねぇな」

ガチャガチャ

チンピラ2「鍵が閉まってんのか?」

コンコンコン

チンピラ1「おい、誰か開けてやれよ」

チンピラ2「後輩、テメェらの仕事だろうが」

サッカー部員1「あっ、はい!開けてきます!」タタタ

ガチャ

サッカー部員1「あれ?鍵開いてる…」

ヒュンッ

サッカー部員1「え?」

ドカッ

サッカー部員1「……ぐえっ」ドサッ

ガスマスクの男「………」

203: 2011/01/07(金) 11:25:56.46 ID:FvhuqYSO
―――担任の家



ピカァァ

魔女「うっ……これ転移の……」

シュンッ
スタッ

ローブの女「転移完了。座標のずれ無し。流石です」

ローブの男「まぁな」

魔女「……!」

ローブの女「ターゲット1確認」チラ

ローブの男「2もいるな」

ローブの女「ですが、様子が変です」

ローブの男「気を失ってるな」

ローブの女「情報では心を喪失するだけの筈。気を失うようなことは書かれていませんでした」

ローブの男「……契約が不完全なのかもな」

ローブの女「……可能性は有ります。ですが、微小なものです」

ローブの男「普通の奴なら、消えるって話だ。こうして、原型留めてるだけで証拠てしては十分だ」


ローブの女「確かにそうですが……ターゲット3の存在も認識出来ませんし……」

ローブの男「漠迦か。こんな場面に第三者を置くワケないだろ」

ローブの女「……そうなんですか?」キョトン

ローブの男「お前はなんか抜けてるよ」

204: 2011/01/07(金) 11:27:40.33 ID:FvhuqYSO
魔女「……違う…」

ローブの男「ん?」

魔女「貴方達は本家の人じゃありませんね……」

ローブの女「……黙らせましょう」スッ

ローブの男「まぁ、待て。こいつが気を失うと向こうの束縛が解ける可能性が有る」

ローブの女「なら、早く縛って下さい」

ローブの男「おぉ」

魔女「やれるものなら……」

ガチャッ

ローブの男「……!」バッ

ローブの女「誰か来ましたか…」

魔女「……誰?」

カツカツ

刺青男「おい、迎えにき……!!」

刺青男「担任っ!なんで、お前倒れて…」

ローブの女「彼の友人のようですね」

205: 2011/01/07(金) 11:28:24.90 ID:FvhuqYSO
刺青男「……てめぇ等か!てめぇ等が何かしやがったんだな!!」

ローブの男「邪魔だな」

ローブの女「私が殺します」スッ

刺青男「あ?なにざけたこと言ってんだ?痛い目見たいのか?」チャキッ

ローブの女「『短く刈り取られた稲穂。人の手ではない。もっと鋭い何か。』」

刺青男「…ク……ククク……何をするかと思えば……神へのお祈りかぁっ!?」

ローブの女「『常に動く何か。常に駆ける何か。常に遊ぶ何か。常に貴方に付き纏う何か。』」

魔女「あの詠唱………」

刺青男「人を舐めやがって!!」ダダダ

ローブの女「『気紛れに気を付けて。』」

魔女「ダメです!逃げて下さい!!」

刺青男「うるせぇっ!」ダダダ

ローブの女「『ほら、今にも吹き荒れそう』」

ローブの女「『ミンシート』」

シュンッシュンッ
ズバッ

刺青男「……え?……腕が……」ゴトッ

シュンッシュンッシュンッ
ザシュザシュザシュッ

刺青男「カハッ……」

ドチャドチャドチャッ

魔女「ヒッ……」

ローブの男「うへっ、よりにもよって細切れかよ。趣味悪いな」

ローブの女「確かに。臭いが酷い。反省」

ローブの男「いや、そっちじゃなくてさ……」

魔女「酷い……こんな……」ヨロッ

206: 2011/01/07(金) 11:28:54.80 ID:FvhuqYSO
ローブの女「次はあっち」

ローブの男「へいへい」

魔女「貴方達一体……」

ローブの男「知った所でどうしようもないだろ」

魔女「……まさか、教会の!」

ローブの男「さぁな……」スッ

バリィィン

ローブの男「ッ!今度は何だっ!?」

ガシャンッ

ローブの女「カメラ?」

ローブの男「は?カメラが投げ込まれたのか?」

カッ

ローブの男「ん?」

ピカッ

ローブの女「うっ!目がっ!」

ローブの男「ぐっ!フラッシュか!」

タタタ
ガシッ

魔女「え?」

タタタ

魔女「わっ!わわわ!ちょ、これ一体!?」

仮面の女「助けに来たんだよ」

魔女「えっ?」

207: 2011/01/07(金) 11:29:58.32 ID:FvhuqYSO
―――町外れの廃屋



サッカー部員1「うぐ……」

サッカー部員2「お、おい!大丈夫か!?」

ガスマスクの男「……」

チンピラ1「誰だテメェ」ギロッ

ガスマスクの男「多対一における戦闘方法」

チンピラ1「あ?」

ガスマスクの男「一、多人数であるが故の弱点を突くこと」

チンピラ1「……テメェ、何言ってんだ?」

ガスマスクの男「二……」スッ

チンピラ2「ボール?」

ガスマスクの男「敵から多人数であることをを奪うこと」チンッ

ヒュンッ
パンッ
プシュゥゥゥ

チンピラ1「何だっ!?ガス……ケホッ!」

チンピラ2「エホッ!涙が!目が痛ぇ!」

サッカー部員2「咳もくしゃみも…エッキシ!」

ヒュンッ
パンッ
ブシュゥゥゥ

サッカー部員1「こ、今度は…クシッ!スモーク!?」

チンピラ1「クソッ!…ケホッコホッ!前が!」

ボフッ

ガスマスクの男「……」

チンピラ1「エックシッ!…えっ?」

208: 2011/01/07(金) 11:32:42.57 ID:FvhuqYSO
ガスッ

チンピラ1「ッ……!」

バキッ、ドガッ、ゴッ

チンピラ1「ぐぁっ!」

ガスマスクの男「……」ガッ

ミシミシ

チンピラ1「ゴホッ!おい、止めっ……」

ボキッ

チンピラ1「あぁぁあぁぁあ!腕がぁぁ!」

ゴシャッ

チンピラ1「カッ……」ドサッ

209: 2011/01/07(金) 11:33:30.22 ID:FvhuqYSO
チンピラ2「おい!何がっ…ハクシュッ!」

ボフッ

チンピラ2「あ?」

ガスマスクの男「……」

ドグッ

チンピラ2「……ッ!」

ガスマスクの男「……」

ヒュンッ
ドシュッ

チンピラ2「ガァッ!!」

グシャッ

チンピラ2「げふっ!」

ドガッ

チンピラ2「おぁ……」ガクッ

バキッッ

チンピラ2「……」バタッ

210: 2011/01/07(金) 11:34:36.93 ID:FvhuqYSO
サッカー部員1「い、今何が…ゲホッ」

サッカー部員2「クシュンッ!分からない!」

ボフッ
ガシッ

サッカー部員2「えっ!?」

ガスマスクの男「……」

ゴシャッ

サッカー部員2「ガハッ……!」

ガッガッガッ

サッカー部員2「ぎゃっ!あっ!ぐぇっ!」

ドグシャッ

サッカー部員2「……ぅげ!」ガクッ

サッカー部員1「ヒッ!」

ガスマスクの男「……」ジロッ

サッカー部員1「う、うわぁぁぁぁ!!」ダダダ

サッカー部員1「こっ、殺される!殺されちまう!」ダダダ

ガチャガチャ

サッカー部員1「クソッ!ドア開けっ!開けよっ!!」

ガチャン

サッカー部員1「開いたっ!」ダッ

サッカー部員1「逃げっ――

ザクッ

サッカー部員1「痛っ!」ドサッ

サッカー部員1「え?は?て、鉄線っ!?」

211: 2011/01/07(金) 11:35:03.42 ID:FvhuqYSO

カツカツカツ

サッカー部員1「あ……」

ガスマスクの男「……」

サッカー部員1「助け……」

ゴシャッ

ドサッ

ガスマスクの男「……」カチャッ

男「……ふぅ」

男「終わりだな」

213: 2011/01/07(金) 11:37:05.68 ID:FvhuqYSO
―――担任の家



ポイッ

魔女「へぶっ!」ガンッ

仮面の女「そこで待っててね」

魔女「あ、あのっ…」

仮面の女「後で聞くから」

バタンッ

仮面の女「さて……」

ローブの男「クソッ!」

ローブの女「まだ、チカチカする……」

仮面の女「あんたら、随分マジョマジョしてるね」

ローブの男「邪魔が次々と…!」

仮面の女「……」チラッ

仮面の女「この肉塊はあんたらがやったの?」

ローブの女「消えて。貴女もこうなりたくはない筈」

仮面の女「確かに……」

仮面の女「もし、万が一あんたらの攻撃に当たったら嫌かもね」

ローブの女「木刀持ってるぐらいで強気に……」

ローブの男「待て。俺がこのガキ、燃やしてやる」スッ

仮面の女「おっと」ビュンッ

バキィッ

ローブの男「ぐぁっ!」

仮面の女「下手な真似すんなよ?この間合いなら、あたしは拳銃にだって負けない」チャキッ

ローブの男「ガキが……」

ローブの女「……厄介」

214: 2011/01/07(金) 11:37:50.78 ID:FvhuqYSO
ローブの男「息づきやがって。ぜってぇ燃やしてやる……」ギロッ

仮面の女「…ッ!」ゾッ

仮面の女「…やってみろよ!」


ローブの男「あぁ!今すぐやってやる!」

ローブの女「落ち着いて」グイッ

ローブの男「止めんなっ!」

ローブの女「彼女は強い。場所も私達には向いていない」

ローブの男「だから俺が負けるってかっ!?」

ローブの女「そろそろ、障壁が崩れる。本家に気付かれる」

仮面の女「……?」

ローブの男「チッ!判ったよ。そいつだけ連れて帰ろう」

ローブの女「最善だね」

ローブの男「今は、下手にリスク負う時じゃねぇしな」

仮面の女「良く判んないけど、何?逃げんの?」

ローブの男「命拾ったな小娘」

仮面の女「あんたがね」

ローブの女「次は邪魔しないようにね。死ぬから」

仮面の女「どうかな?ヒーローは女の子のピンチは見過ごせないから」

ローブの男「けっ!」

カッ

ローブの女「バイバイ」

シュンッ

仮面の女「………」

仮面の女「…危ねー」カチャッ

姉「死ぬところだったわ」

215: 2011/01/07(金) 11:38:25.62 ID:FvhuqYSO
姉「…………さてと」

ガチャ

魔女「あ……」

姉「迎えに来たよ、魔女ちゃん」

魔女「お姉さん……」ジワ

魔女「お姉さぁぁぁん!!」ダキッ

姉「おっとと、よしよし」ナデナデ

魔女「ほ、ホントはず、ずっと怖くて……」ポロポロ

姉「うんうん」ナデナデ

魔女「おっ、 されそうになるし……ひ、人が死んで……」ポロポロ

姉「うん」ナデナデ

魔女「お姉さんもころっ、殺されちゃうんじゃないかって……ふ、不安、でっ……」ポロポロ

姉「うん。ごめんね。怖かったね」ナデナデ

魔女「うわぁぁぁぁん!」ポロポロ

姉「もう、大丈夫だから」ナデナデ

魔女「うぅ……ぁぁぁあ!」ポロポロ

姉「さ、家に帰ろ」ナデナデ

魔女「はい゙っ!」ポロポロ

姉「………」

216: 2011/01/07(金) 11:40:12.55 ID:FvhuqYSO
―――町外れの廃屋



バキッ、ベキッ、ボキッ
ガシャンッ

男「これで、携帯は全部だな」

男「他の持ち物は貰っとこ」ガサゴソ

コンコン

男「……!」サッ

男「……」

コンコン

男「どうぞ」

ガチャ

男「…」バッ

??「えっ!?」

ガッ

??「ぅぐっ……」

男「……」ギリギリ

??「っ……!」

男「あれ?」パッ

ショート女子「エホッ!エホッ!」

男「男女一号じゃん」

ショート女子「エホッ………誰?」

男「あー、これ着けてるから判らないか」カチャッ

男「おれ様だよー」

ショート女子「男っ!?」

男「うん。正真正銘、純度120%おれです」

217: 2011/01/07(金) 11:42:08.55 ID:FvhuqYSO
ショート女子「そっか……男も呼ばれたんだ……」

男「は?」

ショート女子「とぼけなくて良いよ。それとも驚いてるの?私が相手で……」

男「あー、成る程。玩具の一人ってお前だったのか」

ショート女子「うん……」

男「いやまー、びっくりだわ。何でお前なのかね」

ショート女子「……ごめんね」

男「いや、そういう意味じゃなくてな。お前が屈服するような奴に見えなくてさ」

ショート女子「誰だって……あんな映像撮られたら、従うしかないよ……」

男「裸の映像か?」

ショート女子「……もっと……色々……」

男「ふーん?気にすることないんじゃない?」

ショート女子「え……?」

男「だって、  の人とかめっちゃ撮られてるじゃん。でも、胸張って生きてるしー」

ショート女子「そんな……」

男「動画サイトに   な映像流してる子も多いじゃん。あいつらも、多分気にしてないよねー。あっ、寧ろ一回流されてみたら?」

ショート女子「ッ!」バシッ

男「いてっ!」

ショート女子「私は普通の女の子として生きたいのっ!流されたら……流されたらっ……」ポロッ

男「いてて、今でも普通の女の子じゃないじゃん」

ショート女子「うぅ……ヒック……」ポロポロ

男「やっぱ、辛い?」

ショート女子「づら゙いよっ!!」ポロポロ

男「オーケー」ガシッ

ショート女子「え?」ポロポロ

男「おまけだ。お前も他の奴も助けてやる」

218: 2011/01/07(金) 11:43:51.93 ID:FvhuqYSO
―――男の家


姉「……」

魔女「……」

魔女「男さん、帰って来ませんね……」

姉「……うーん」

魔女「もう、5時過ぎたのに……」

姉「何処ほっつき歩いてんだか……」

魔女「や、やっぱり、男さんやられたんじゃ……」ポロッ

姉「あー、もう!泣かないの!あいつなら大丈夫だから!」

魔女「でも!でも!」ポロポロ

姉「多人数相手なら大得意だから」

魔女「もし、魔術士がいたら…」ポロポロ

姉「それは……」


ワニスケ「シャー」ピクッ

姉「…!」

魔女「…!」

ガチャ

男「ただいま」

ワニスケ「シャー!」

男「おー、ワニスケ。お留守番ご苦労な」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

ダダダ

魔女「男さーん!」ダキッ

姉「弟ー!」ダキッ

男「ぐえっ」

219: 2011/01/07(金) 11:44:40.38 ID:FvhuqYSO
姉「この漠迦っ!」ギュッ

魔女「心配したんですよ!」ギュッ

男「ちょ、ごめん!謝る!謝るから離れてくれ」

姉「断る!」ギュー

魔女「嫌です!」ギュー

ワニスケ「シャー」カリカリ

男「いたっ!痛いし苦しい!」

魔女「本当に……」

男「ん?」

魔女「本当に心配したんですから…」ギュッ

男「……はぁ」

男「悪かったよ」ナデナデ

魔女「はい……」

男「ちゃんとワケ話すから、一旦離れてくれ」

魔女「……」ギュッ

姉「……」ギュッ

ワニスケ「シャー」カリカリ

男「おい、聞えてたろ」

魔女「もう少しこのまま……」キュッ

姉「ぐひひひ、もう少しこのままでぐひひひ……」ギュッ

男「……」ベリッ

姉「ぁんっ!」

魔女「あうっ!」

男「大概にしろ」

220: 2011/01/07(金) 11:45:04.04 ID:FvhuqYSO
魔女「うぅー」

姉「良いじゃんかケチ!減るもんでも無いし!」

男「おれの気力が削がれるわ」

魔女「……あの、男さん」

男「なに?」

魔女「お帰りなさいっ!」

男「はっ、バーカ」

魔女「はうっ!」

男「おれの台詞だよ。お帰り、魔女」

魔女「はいっ!」

221: 2011/01/07(金) 11:45:40.37 ID:FvhuqYSO
姉「さてさて、じゃぁ、美少女二人を心配させたワケとやらを聞かせてもらおうか」

男「美少女?姉さん大丈夫か?無茶して頭打ったのか?」

姉「こら」ベシッ

男「あいてっ!」

姉「心配かけさせといて何だその態度はっ!無礼であるぞ!」

男「ごめん。どうしても、見過ごせなかった」

姉「まったく……」

男「でも……うん。まぁ、そうだな」

姉「何が?」

男「何かタダで話すのが癪になってきた」

姉「……条件付けようってか」

男「イエス」

姉「生意気な奴」

男「姉さん達の方も何かあったろ」

姉「……!」

男「それを話してくれ」

姉「あんた、鋭いね」

男「鋭くない。こっちも、そうと推測出来る事態に遭遇したんだ」

魔女「ま、まさか、魔術に……」

男「……そこら辺も向こうでな」

222: 2011/01/07(金) 11:46:22.58 ID:FvhuqYSO
―――男の家〈リビング〉



男「さて、何から話そうか」

魔女「……」

男「うーん、敵は弱かった。楽に倒せたな」

姉「そう」

男「で、まぁ、そっからなんだが……ちょっとした気紛れで、あいつに捕まってる女の子を助けたくなって」

男「それぞれの家に押し入って、データ媒体破壊したり、PCにウイルスぶちこんだり、写真燃やしたりして」

姉「うわ……弟が 罪者だ……」

男「あ、後、大切にしてそうな物盗んで売ったわ」

魔女「やり過ぎな気が……」

男「そんで、最後に担任の家に行ったんだよ」

姉「……酷かったろ」

男「空だった」

魔女「えっ!?」

姉「は?」

男「空っぽだった。完全に空き家状態だよ」

魔女「……」

男「おれからは以上。じゃ、お前達の知ってること話せ」

223: 2011/01/07(金) 11:47:17.29 ID:FvhuqYSO
魔女「……担任さんは倒れたんです」

姉「あいつらにやられてだろ?」

魔女「いえ、あの、違うんです。私に……その……」

魔女「その……」

魔女「……キ、キス……したら……」ジワ

姉「な、なんだってぇー!?」

魔女「あっ!ごめんなさい!なんか、ちょっと涙が」ポロポロ

男「……」ナデナデ

魔女「ふぇ」ポロッ

男「ま、今日のことだもんな。嫌なら言うな」ナデナデ

魔女「はい。でも……大丈夫ですから」グスッ

男「そうか」

魔女「そ、それから、魔術士が二人来て…」

姉「あー、うん。そっからあたしが話そう」

姉「多分、担任の友達が来たんだわ。でも、そいつは細切れにされてた」

男「スプラッタだな」

姉「魔術士は二人居て、ローブ着込んだ男と女だった。細切れにしたのは女の方だろうね」

男「趣味の悪い女」

姉「かなり強かった。命落とす可能性もあったよ」

魔女「えぇっ!?やっぱりあの時無茶して……」

姉「いや、まぁ、本気でぶつかる前に本家に見付かるからとか言って、担任持って逃げたんだけどね」

魔女「本家に……」

男「ふむ……」

224: 2011/01/07(金) 11:48:35.24 ID:FvhuqYSO
男「なぁ、魔女」

魔女「あっ、はい!」

男「答えれる範囲で良い。久々に質問タイムだ」

魔女「はい」

男「担任の家の中、姉さんの言ってた細切れ死体も含め、全部無くなってた。魔法に因るものか?」

魔女「はい。魔法です」

男「担任が倒れた理由は判るか?」

魔女「判りません」

男「ローブの二人組ってのはお知り合いか?」

魔女「違います」

男「正体は知ってるか?」

魔女「…………恐らくですが、教会です」

男「教会ってなんだ?」

魔女「ごめんなさい。言えません」

男「まったく持って謝る必要は無いんだがな。まぁ、良い。本家ってのは?」

魔女「……私の実家です」

男「かなり強いんだろ?」

魔女「判りません」

男「そうか。次で最後だ」

男「おれ達のことは好きか?」

魔女「……え?」

男「おれ、姉さん、父さん、母さん、ワニスケは好きかって聞いてんだ」

魔女「だ、大好きです!///」カァァア

男「以上だ」

魔女「はい!」

姉「うーん、流石我が愚弟。想像の遥か上を行く」

225: 2011/01/07(金) 11:50:53.11 ID:FvhuqYSO
魔女「あの……最後の質問って…」

男「気紛れかな」

魔女「は、はあ…」

姉「まぁ、お姉さん的には幸せなこと聞けたから意味なんてどーでも良いけどねー」

魔女「えへへ///」

男「さ、飯にしようか」

姉「早くない?」

男「今日は早く食って早く寝る!流石に疲れた」

魔女「な、なら、私がご飯作ります!」

男「一緒に作ろう」

魔女「えっ、あ、はい!一緒に作ります!」

姉「私は気持ちだけ送っとくね」

男「絶対に貰わない。風呂沸かしとけ」

姉「お姉ちゃんを働かせるのか!」

魔女「私がします!」

男「お前はおれと飯作るんだよ!」

魔女「えぅ!」ビクッ

姉「こら!苛めるな!」

男「なら、風呂沸かせ!」ヒュンッ

ガンッ

姉「いった!お玉投げんな!」

魔女「け、喧嘩しちゃダメです!」

男「日常風景だろ、こんなの」

姉「そーそー」

226: 2011/01/07(金) 11:53:37.80 ID:FvhuqYSO
姉「何て言うかボケッ!」

男「なんでやねん」

姉「それはツッコミ」

男「2ゲット」

姉「それはカキコミ」

男「食べるラー油」

姉「あぁ、あのクチコミの…って、もういいわ!このやり取り!」

男「なんでやねん」

姉「それはツッコミ」

魔女「プッ…」

姉「うぇ?」

魔女「ごめんなさい!でも、面白くて…アハハハ!」

姉「えっ!そうかな?」

男「M-1目指せるかもな」

姉「もう終わったよ」

男「マジで!?」

姉「マジマ…ハハ…アハハハ!ダメだ!何か可笑しくなってきた!」

男「おい、そんなに…ククッ!」

魔女「アハハハ!男さんっ!」

男「何だ?」

魔女「私、今日沢山怖い目に逢いましたけど、こうして無事に皆さんと居られるのが嬉しいです!男さんもですか?」

男「ハッ!」ナデナデ

魔女「わっ!」

男「とびきり良い方に考えとけ!!」

魔女「えへへ!そうします!」ニコッ

236: 2011/01/16(日) 19:47:08.19 ID:W4mPV/uSO
【その日の夜】



コンコン

男「……?」ムクリ

コンコン

男「誰?姉さん?」

「あ、魔女です」

男「魔女か。どうした?」

「あ、あの……入って良いですか?」

男「……どうぞ」

ガチャ

魔女「えへへ、有り難うございます」トテトテ

男「何か用か?」

魔女「はい!あの……一緒に寝てもらって良いですか?」

男「ブフッ!」ガタッ

魔女「男さんっ!?」

男「ゲホッ!エホッエホッ……」

魔女「だ、大丈夫ですか?」

男「ね、姉さんとこ行けっ!」

魔女「もう行きましたよぉ」

男「……聞くまでもないが結果は?」

魔女「一人が良いからって追い出されました……」

男「……あのアマ……明日辺り天日干しにしてやる……」ギリ

魔女「えっ!?」

男「いや、何でもない」

魔女「そ、そうですか…」

237: 2011/01/16(日) 19:48:27.92 ID:W4mPV/uSO
男「それで……何で一緒に寝ようと?」

魔女「…怖いんです。一人で、暗い部屋に居ると、音に怯えて、不安が……不安が這い上がってきて……」

魔女「誰かが自分を狙ってるって……目を閉じているうちに近付いてきてるんじゃないかって……」

男「……なら、おれの所に来るな」

魔女「……安心出来る人の傍に居たいんです」

男「おれはお前を殴ったりしたんだぞ」

魔女「男さん、質問しましたよね。好きか、って」

男「したな」

魔女「私は大好き、って答えました」

男「あぁ」

魔女「殴られたりしたのは良い思い出じゃないですけど、もう昔のことです」

魔女「今は大好きで安心出来る特別な人の一人なんです」ニコッ

男「良く、さらっと言えるな……」

魔女「男さんは、私のこと嫌い…ですか?」

男「いや、好きだよ。好きだけど……添い寝はない」

魔女「どうしても、ダメなんですか?」ウルッ

男「ぐっ……」

魔女「お願いします。今日だけですから……」ウルウル

男「ーーーッ!」

男「ぁぁぁあ!クソッ!」

ダンッ

魔女「……!」ビクッ

男「……はぁ…」

魔女「男……さん…?」

238: 2011/01/16(日) 19:49:59.13 ID:W4mPV/uSO
男「……ここ」ボスボス

魔女「え?」

男「此処に来い。さっさと眠るぞ」

魔女「あ、有り難うございます!」パァッ

トテトテ

魔女「えへへ!お邪魔します!」モゾモゾ

男「ん…」

魔女「温かいです…」

男「安心する?」

魔女「はい…」

男「そうか…」

魔女「えへへ…」ギュッ

男「……」

魔女「……」ギュッ

男「おい」

魔女「はい」ギュー

男「抱き付くな」

魔女「嫌ですか?」ギュー

男「寝にくい」

魔女「私は……落ち着きます…」ギュー

男「……魔女」ポン

魔女「はい…」ギュー

男「一緒に寝れるだけでも奇跡なんだから、それ以上にベタベタしてきてんじゃねーよ」ギリギリギリ


魔女「痛い痛い痛い!頭割れます!頭割れちゃいますって!」

男「ったく……」パッ

魔女「うぅ…痛い……」ズキズキ

男「自分の業だ」

魔女「傷心なんですから、もうちょっと優しくしてくださいよ…」

男「これが限界。さっさと、寝ろ」

239: 2011/01/16(日) 19:50:47.70 ID:W4mPV/uSO
魔女「ふん!寝ますよーだ!」ガバッ

魔女「……」

魔女「……」

魔女「……あの、男さん?」

男「何だよ……」

魔女「わ、私が眠るまで何かお話してくれませんか?」

男「……幼稚」

魔女「判ってます!でも……やっぱり眠れそうになくて……」

男「はぁ……良いよ。そのぐらいならしてやる」

魔女「わぁ!ありがとうございます!」

男「そうだな……」チラ

魔女「……?」ドキドキ

男「興奮して寝付けないとか笑えないからな。適度な面白さの話をしようか」

魔女「宜しくお願いします」

男「……日本国憲法」

魔女「……はい?」

男「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて……」

魔女「え?あの、適度な面白さって……」

男「再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し……………

…………享受する……

……日本……

…へい…

……



240: 2011/01/16(日) 19:53:44.21 ID:W4mPV/uSO

チュンチュン


魔女「んー……」モゾ

魔女「んんー……」モゾモゾ

魔女「……みゅ」ムクリ

魔女「ふわぁ……」

魔女「……朝…」ボー

男「ようやく起きたか」

魔女「……えっ?」

男「あ?」

魔女「えぇぇぇぇええぇぇっ!?///」カァァア

男「がっ……!うるさい!」ガンッ

魔女「いたっ!」

男「おまえが入って来たんだろうが!アホみたいに騒ぐな!!」

魔女「え……あー……そ、そうでした…」

男「ったく。姉さん起きるだろうが……」ガチャ

魔女「ごめんなさい……」

男「気を付けろよ」ガチャガチャ

魔女「……はい。あの、それで、何ですかソレ?」

男「お早うバズーカ」

魔女「おはようばずーか……ですか?」

男「これで、あの漠迦を叩き起こす。その後、ベランダに昼飯まで放置する」

魔女「お外寒いですけど……」

男「大丈夫。姉さんにとっては、ご褒美だ」

魔女「……そ、そういうもななんでしょうか」

男「おれを信じろ。じゃ、行って来る」

魔女「あ、いってらっしゃい」ヒラヒラ

男「ん」

ガチャ
バタン

魔女「……」

ドォォォォン

\ミギャァァア!/

魔女「あっ、悲鳴ですね」

246: 2011/01/17(月) 12:30:40.19 ID:+ZXzgb5SO
【父母】



母「魔女ちゃーーん!!」ダダダ ダキッ

魔女「わっ!ママさん!!お久し振りです!」

母「話聞いたよ!大変だったね!」ナデナデ

魔女「い、いえ、男さんとお姉さんが助けてくれましたから……」

母「漠迦。それで、辛くなくなった訳じゃないだろうに」

魔女「……はい」

母「心配したよ……」ギュッ

魔女「はい…。有り難うございます……」ギュッ

母「……」

母「……」モ ッ

魔女「ひゃうっ!?」ビクッ

母「おぉ~」モ モ

魔女「あっ、ちょっと、ん…、く、擽ったいです」

母「ふむふむ」モ モ

魔女「んっ!だ、だから、擽ったいですって!  むの止めて下さい!」

母「ごめんごめん」

魔女「き、急にどうしたんですか?」

母「あたしの    が魔女ちゃんの豊かになりつつある  に包まれてム ム した」

魔女「……次から無しでお願いします」

母「えぇー」ワキワキ

魔女「そ、その しい手は、ももしかして狙ってるんですか!?」

母「フフフ、どうかな?試してみるかい?」ワキワキ

魔女「お、おおおお断り!お断りの方向でお願いします!」

母「ヒェッヒェッヒェ、遠慮するこたぁ無いよ?」ワキワキ

魔女「ええ遠慮してません!」

247: 2011/01/17(月) 12:31:57.08 ID:+ZXzgb5SO

ガチャン
ダダダ

父「魔女ちゃん!!大丈夫だったかい?」

母「チッ……」

魔女「助かりました……」

父「ん?どうした?」

魔女「いえ!何でもないんです!そ、それよりもパパさんもお久し振りですね!」

父「うん。久しぶりだね。それで……魔女ちゃんは……」

母「パパ、ちょいカマンッ!」

父「……?」テクテク

母「それで……」ゴニョゴニョ

父「ふむふむ」

魔女「…嫌な予感がします……」

母「……こうで…」ゴニョゴニョ

父「あー、なる…」

母「……ということ。分かった?」

父「うん。分かった」

魔女「あの……」

父「さて」クルッ

父「ま、ままま魔女ちゃん!ハァ…辛かったね!ハァハァ……パ、パパの胸にとと、飛び込んでおいで……ハァ……ハァ……」ワキワキ

魔女「うぇーん!助かってないですぅぅ!」

父「だだ、大丈夫!パパははは、大人だから…ハァハァ……」ワキワキ

魔女「手をっ!手をワキワキしないでください!!」

ドタドタドタ
ガチャン

男「お?帰ってたのか?」

魔女「助かっ……いや!男さんも可能性が……」

男「何の話だ」

母「息子には関係ない!」ワキワキ

父「保護者には色々秘密があるんだよっ!!」ワキワキ

男「……大体把握した」

248: 2011/01/17(月) 12:33:09.77 ID:+ZXzgb5SO
男「おい、魔女」

魔女「ひっ!男さんもワキワキするつもりですね!!」

男「……」

男「父さん、母さん」

魔女「む、無視……」

母「何だ?」ワキワキ

父「『可愛い義娘をワキワキする会』に混ざるのか?」

男「死んでも入らない。なぁ、仕事はどうした?」

母「……な、何のことかにゃー?」

父「さ、最近耳が遠くて聞こえないでやんすねー」

男「母さん、フランスで撮影だったよな?」

母「……さぁ」

男「父さんはアメリカで会食だったよな?」

父「……ぱ、ぱぁどぅん?」

男「サボったな」

魔女「えっ!お仕事休んじゃったんですか!?」

男「おまえが心配だからだろうがな」

魔女「ごめんなさい……私のせいで…」シュン

母「いやいやいや!違うんだ!決してサボタージュした訳じゃないぞ!!」

父「そうだぞ!無断欠席などしていないからな!!」

母「ちゃんと書き置き置いて来たさ!!」

男「スタッフの了承取れよ」

父「ちゃんとメール送っておいたさ!!」

男「軽いわ。取引潰れたらどうするんだ」

母「うるせぇ!バーカ!!」

男「えぇ……」

249: 2011/01/17(月) 12:33:38.31 ID:+ZXzgb5SO
母「親が子を心配して何が悪いんだよ!」

男「仕事流してまでする心配じゃないだろ。魔女は無事だったんだし」

父「だから、来ない方がマシってか?」

男「魔女だって家族の危機を自分で巻き起こしたくはないだろ。そうだろ?」

魔女「えっ、あ、いや……心配してくれるのは有難いです。それだけ、大切に思われてるんだって感じれますから……」

魔女「でも、私のせいでママさんとパパさんがお仕事失っちゃったら嫌です……」

母「魔女ちゃん……」

男「ほらな。逆に心配掛けさせる行為なんだよ」

魔女「でも、男さんは少しキツいです。デリカシーと思いやりがもっと必要だと思います」

男「……は?」

父「ってか、お前が俺達を問い詰めるようなことしなきゃ、こうなってないだろ」

男「え……?」

母「普通にお涙ちょうだいなホームドラマ展開で締まってたよな」

男「……」

魔女「男さん?」

男「……ごめんなチャイナ」

母「……」

父「……」

魔女「……」

男「……クソッ」

ガチャ
バタン

母「逃げた」

父「逃げたな」

魔女「逃げましたね」

252: 2011/01/23(日) 17:31:17.67 ID:l/+xuqKSO
投下

二章みたいのが始まります

253: 2011/01/23(日) 17:33:24.71 ID:l/+xuqKSO
女1『最近、面白い噂が流れてるの知ってる?』

女2『知ってるー!アレでしょ?神隠しの奴』

女3『半日で家の中身ごと空っぽなんでしょ。怖いよねー』

女1『あぁー、それも有ったね』

女2『違うの?じゃぁ何?』

女3『ローブ着た超能力者の話?』

女1『違うよ』

女3『えぇ……じゃぁ何?』

女2『他に……あっ!分かった!マスクの通り魔!』

女1『いや、それは知らないかな……』

女2『違うんだー』

女3『ギブギブ。正解教えてよ』

女1『じゃぁ、言うね』

女1『あのね……ヴァンパイアが出るらしいんだ』

女2『ヴァンパイア?』

女1『うん』

女3『……』

254: 2011/01/23(日) 17:34:04.43 ID:l/+xuqKSO
女1『一番新しい奴だから知らなくても無理ないよ』

女2『ヴァンパイアって……あの血を吸う?』

女1『うん。前さ、近くで変死体見つかったじゃん』

女2『見つかったね』

女1『それさ、全身の血抜かれてたんだって……』

女2『エグッ……』

女1『しかも、首に噛み跡見つかってさ』

女2『うっわー……』

女1『警察はさ……って、大丈夫?』

女3『……えっ?』

女2『あ、顔青いよ?もしかして、グロいの駄目だった?』

女3『そうじゃないんだけど……』

女1『それか、怖くなった?』

女2『マジで?いや、大丈夫だよ』

女1『そうだよ。根も葉も無い噂なんだから』

女3『……うわさ…』

女2『そうそう。実際に居るわけねーじゃん』

女3『うん……』

女1『おっ!元気になった?』

女3『そうだったら良かったのにね……』

女2『……は?』

女3『本当に噂だったら良かったのにネ?』ニタァ

女1、2『『ヒッ!!』』


イヤァァァァァァァァア!!

255: 2011/01/23(日) 17:34:59.64 ID:l/+xuqKSO
魔女「キャァァァア!!」

男「……」ブツンッ

魔女「ァァ………」

男「早く寝ろ」

魔女「男さぁぁん!!」

男「早く寝ろ」

魔女「何するんですかっ!?今、良いところだったのに!!」

男「早く寝ろ」

魔女「何でですか!?」

男「魔女、知らなかっただろうから言っておく。休みは今日までだ」

魔女「そ、そうなんですか?」

男「だから、遅寝はもう出来ない」

魔女「なら、仕方ないですね……」

男「あぁ…」

魔女「って、それ男さんの都合じゃないですか!!」

男「残念。お前も俺の弁当を作る為に早起き必須なのさ」

魔女「なるほどー」

魔女「……とは言いませんからねっ!!」

男「……ッチ!」

魔女「さぁ!チャンネル返してください!」

男「分かったよ。ほら」ポイッ

魔女「わわっ!投げないでくださいよ!」パシッ

男「見ても良いがホラー禁止な」

魔女「へ?」

男「うるさいんだ」

魔女「音小さくします」

男「お前の悲鳴な」

魔女「……ち、小さくします」

男「無理だろ」

魔女「努力で……」

男「無理だろ」

魔女「……はい」

男「じゃ、おやすみ」

魔女「おやすみなさい」

ガチャ
バタン

256: 2011/01/23(日) 17:38:32.10 ID:l/+xuqKSO
魔女「……」チラッ

魔女「……ち、ちょっとだけなら…」カチッ

シーン

魔女「……あれ?」カチッカチッ

シーン

魔女「……」カパッ

魔女「で、電池が抜かれてます……」

魔女「……」

魔女「フ、フフフ……」

魔女「舐めてもらっては困ります…。こっちには魔法が在るんですから!」スチャ

魔女「えーと……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「良し!」

魔女「『空を砕くまでは望まない。天に馳せる高さも欲っさない。謙虚な力で良い。掴める低さが理想だ』」

魔女「『控えめな我儘を聞き入れてくれるなら、誓約の口付けを甲に落としてくれ。痺れるように甘く』」

魔女「『ハドニング』」

バリバリバリッ

魔女「んー……帯電したら、電池にしたいから……」バリバリッ

魔女「親指と中指を+にして……」バリバリッ

魔女「弱くして……」ビリッ

魔女「これでどうだ!」カチッ

ブゥゥン

魔女「やった!点きました!」

――TV――

ナレーター『身に迫るヴァンパイアの影……』

ナレーター『彼らは何者なのか……』

ナレーター『我ら取材班は彼らの正体を知るある人物とのコンタクトに成功しました……』

ナレーター『それは、また次の時に……』

――――

魔女「……」カチッ

ブツンッ

魔女「終わり……」ガクッ

魔女「……」

魔女「…寝よう」

ガチャ
バタン


………………………ブゥゥン……
………ザッ……
ザザーッ………ザ…………ザザッ………
…ザーッ………
……ザッ…………ミツケタ……………ザザ……
……………ブツンッ……
……………

257: 2011/01/23(日) 17:39:23.74 ID:l/+xuqKSO
―――高校


男「いやぁ、今年も同じクラスとは僥幸ですなぁ」

オカッパ女子「うん」

男「いやはや、知らない顔触ればかりだったらと不安だったわー」

オカッパ女子「男くんは友達多い…」

男「それは、どうかなぁ」

サッカー部員1「げ……男……」

男「おやおやぁ、骨折って春休みを棒に振った人じゃありませんかぁ」

サッカー部員1「ぐ……」

男「あなたもご一緒でしたかぁ」

サッカー部員1「……あ、あのさ…」

男「ん?」

サッカー部員1「ごめんっ!」

男「いや、急に謝るなよ」

サッカー部員1「俺っ、ホントに誰が相手かなんて聞かされてなくて……」

男「……」

サッカー部員1「知ってたら、その……ちゃんと断ったし!だから…」

男「おい」トンッ

男「そういう問題じゃねぇだろうが?あ゙?」ギロッ

サッカー部員1「……ッ!」

男「縁もクソもねぇ他人なら良かったってか?ざけんなよ!!」

サッカー部員1「わ、悪い……。そういう意味で言ったんじゃないんだ……」

男「……ま、何も起きてないし、反省してるならそれで良いわ」

サッカー部員1「あ、あぁ……反省はしてるよ…」

男「相方も勿論反省してるんだよな?」

サッカー部員1「別クラスだから此処にはいないが、相当参ってる……」

男「そうか」

サッカー部員1「それで……男…」

男「なんだ?」

サッカー部員1「神隠しって……アレ、お前の仕業?」

男「は?」

258: 2011/01/23(日) 17:40:20.94 ID:l/+xuqKSO
サッカー部員1「い、いや、だってお前なら…さ……」

男「しねぇよ。そんな暇ねぇ」

サッカー部員1「先輩達の家も滅茶苦茶にしたみたいだし……」

男「……変な罪被せんなよ。マスク付けた奴が実行 って話じゃねぇか」

サッカー部員1「だから……それお前じゃん…」

男「……推測?」

サッカー部員1「書いてあったんだよ。あ、でも、多分気付けるの俺とあいつぐらいだか――

男「おい」グイッ

サッカー部員1「うっ…」

男「何処に書いてあった」ボソボソ

サッカー部員1「お、お前の母ちゃんのブログにそれっぽいことが……」

男「え、マジで?」

サッカー部員1「家族の絆万歳ってタイトルで、我が家の息子がなんたらって」

男「あいつ……」

男「マスクした意味考えろっ!!バラしたら駄目だろうが!!阿呆めぇぇぇえ!!」

サッカー部員1「お、おとこ……」

男「おいっ!」

サッカー部員1「はいっ!!」ビクッ

男「他言無用だからな!!バラしたらてめぇらの四肢バラしてやる!!」

サッカー部員1「サ、サーイェッサー!!」

男「んで、おれは担任が消えたのは知らねぇ!分かったか!?」

サッカー部員1「了解です!!」

オカッパ女子「ねぇ」ツンツン

男「あ?」

オカッパ女子「何の話?」

男「内緒のお話だ」

オカッパ女子「教えて欲しい」

男「やだねー!」

オカッパ女子「ズルい……」ムスッ

男「無理は無理でーす」

259: 2011/01/23(日) 17:41:03.06 ID:l/+xuqKSO

タタタ

ショート女子「おーとこっ!」ピョコッ

男「……あれ?お前、引っ越すんじゃなかったのか?」

ショート女子「止めた!この町でトラウマ乗り越えてやることにしたんだっ!」

男「そりゃまた、修羅の道を選んだな」

ショート女子「大丈夫だよ!いざとなったら男に助けて貰うから!」

男「漠迦が。てめぇの家族頼れ。おれはおまけ程度だ」

ショート女子「おまけなら頼って良いんだよね?」

男「あぁ。勉強ぐらいは見てやるよ」

ショート女子「ありがとっ!」

男「ハッ!」

サッカー部員1「あ、あの……」

ショート女子「なに?」

サッカー部員1「お前もごめんっ!俺凄い漠迦だった!滅茶苦茶反省してる!!」

ショート女子「ふーん…」

サッカー部員1「気が済まないなら、殴っても良い」

ショート女子「良いよ、別に。きちんと謝ってくれたし、あんたには何もされてないから許したげる」

サッカー部員1「有り難う……」

ショート女子「ただ、もう二度とすんな!」

サッカー部員1「わかってる」

オカッパ女子「ねぇ」グイッ

男「教えないよ?」

オカッパ女子「……」ムッ

男「ごめんにー」

260: 2011/01/23(日) 17:43:18.25 ID:l/+xuqKSO

ガラガラ

教師「ほら、席に付けー」

ショート女子「やばっ!また後でね!」

タタタ

男「あいつ別クラスだったのか……」

サッカー部員1「俺たちも座ろう」

男「あぁ」ガタンッ

教師「さて、今日は皆に嬉しいお知らせがある」

教師「転校生だ」

男子1「先生ぇ、美人ですか?」

教師「あぁ」

ザワザワ

教師「おっと、余り緊張させてはいけないな」

教師「君、入ってきなさい」

「は、ハイ!」

ガラガラ

ザワッ

教師「名前を」

「えト……」カッカッカッ

ザワザワ

スゲェ、カワイイ…
ガイジン?
キレー

ロシア少女「皆サン、初めまシテ!えート、ロシアから来まシタ。少女と申しマス」

ロシア少女「今日からこのクラスの一員デス。よろしくお願いしマス!」ペコッ

\ヨロシクー!/

教師「転入生の席はあの一番後ろの席だ」

ロシア少女「ハイ!分かりまシタ!」テクテク

ガタンッ

教師「じゃぁ、今日は解散」

ガラガラ
バタンッ

261: 2011/01/23(日) 17:43:52.74 ID:l/+xuqKSO

ワッ

「ねぇ!ロシアの何処から来たの?」
「日本語上手だね!独学?」
「好きなタイプ教えてくれ!」
「日本に来たのってお父さんの仕事?」

ロシア少女「あノ……一辺には答えられないんデスガ……」

「ハーフ?」
「何時日本に来たの?」
「学校案内させてください!」
「今は何処に住んでるの?」

ガヤガヤ

オカッパ女子「きれい……」

男「……」

オカッパ女子「男くん?」

男「オッドアイだ……」

オカッパ女子「えっ?」ジー

オカッパ女子「……本当だ。青と紫だね」

男「偶然か…それとも……」

オカッパ女子「何の話?」

男「……いや、多分おれの考え過ぎだ。何でも無い」

オカッパ女子「そう」

男「それより、ほら!挨拶してこいよ!」ポンッ

オカッパ女子「え、い、良いよ。怖いもん」

男「いつまで人見知りでいるんだよ。話たいんだろ?」

オカッパ女子「……うん」

男「なら行った行った!善は急げ!」

オカッパ女子「大丈夫……かな?」

男「大丈夫だって!」

オカッパ女子「分かった。行って来る」

トテテテ

男「………」

男「……魔法使い…か?」

268: 2011/01/25(火) 22:25:34.07 ID:G80dAFHSO
魔女「……」カチッカチッ

魔女「……」カチッカチッカチッ

魔女「……ふぅ」

ワニスケ「シャー」トテトテ

魔女「あぁ、ワニスケちゃん。慰めてくれるんですか?」

ワニスケ「シャー」スリスリ

魔女「ふふっ!有り難うございます」

ワニスケ「シャー」

魔女「でも……はぁ……。解決はしませんよね……」

ワニスケ「シャ、シャー……」

魔女「……」カチッカチッ

シーン

魔女「どうしましょうか、このチャンネル……」

魔女「やっぱり、私が壊したんですよね……」

ワニスケ「シャー」

ガチャンッ

男「魔女っ!魔女居るかっ!?」

魔女「ひゃうっ!!」ビクッ

ワニスケ「シャー」トテトテ

男「ん、ただいまワニスケ」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

男「魔女もただいまな」

魔女「あっ!はいっ!お帰りなさい!!」サッ

男「今何か隠した?」

魔女「い、いや!何も!何も隠していません!」

男「……ふーん」

魔女「そ、それよりも、今日は随分早いお帰りですね!何かあったんですか?」

男「あぁ。ちょっとお前に用があってな」

魔女「私に……ですか?」

男「お前さ、ロシアにオッドアイの知り合い居る?」

魔女「それは……魔術関連ですか?それとも単純に交友関係の疑問?」

男「魔術関連に決まってんだろうが。お前にロシアの友達なんかいないだろ」

魔女「あの、私一応ロシア出身なんですけど…」

男「その設定はもういらないから」

魔女「せ、設定……」

男「お前がロシアにずっと居たなら、日本の終わりかけの冬なんか寒がらない」

魔女「あっ……」

269: 2011/01/25(火) 22:29:03.49 ID:G80dAFHSO
男「で、居るのか居ないのか?」

魔女「待ってください!」

男「あ?」

魔女「男さんは人を疑い過ぎです。私は純粋なロシア人ですから」

男「……面倒臭いな。じゃぁ、俺の理論壊してみろよ。出来なかったら、今はぐらかした魔術関連の質問答えて貰うから」

魔女「私は寒がりです。以上」

男「あうとー」

魔女「えぇっ!?」

男「3℃で震える奴が-何十℃で生きられるかアホ」

魔女「……さ、寒がりだから」

男「蹴るぞ」

魔女「……はい。違います」

男「こうして、お前の神秘のベールは一枚一枚剥がされて最後には一糸纏わぬ裸体が現れる訳だ」

魔女「おじさんです。最低鬼畜なおじさんが此処にいます……」

男「さぁ、話してもらおうか」

魔女「はぁ……居ませんよ」

男「そうか。じゃぁ、この地区にお前以外の魔術士が寄越されるってのは聞いてるか?」

魔女「……聞いてません」

男「有り難う」

ガチャ
バタンッ

魔女「……」

ワニスケ「シャー」

魔女「いつも一方的です……」

ワニスケ「シャー」

270: 2011/01/25(火) 22:30:08.36 ID:G80dAFHSO
魔女「……ちょっと怒ったので、今日は男さんの嫌いな食べ物で晩御飯作ります!」

ワニスケ「シャ…」

魔女「料理番の特権フル活用です!!」

ワニスケ「シャー」

ガチャ

男「ちょっと言い忘れてた」

魔女「ひゃぁぁ!」ビクッ

魔女「ち、違うんです!い、言ってみただけで、本心ではなくて!」

男「何の話だよ」

魔女「あ、いや…何でもないです」ホッ

男「まー、ジョロキア級の辛さが苦手とだけ言っておく」

魔女「……き、聞いてるじゃないですか…」

ワニスケ「シャー」

男「後一時間ぐらいで電気屋さん来るから」

魔女「……へ?」

男「背中に隠してるリモコンちゃんと見てもらえよ」

ガチャ
バタンッ

魔女「……」

魔女「適いません……」ガクッ

ワニスケ「シャー」スリスリ

魔女「有り難うございます…」

271: 2011/01/25(火) 22:31:49.51 ID:G80dAFHSO
―――高校



茶髪男子「少女ちゃーん!」

ロシア少女「ハイ、何でショウカ?」

茶髪男子「今日暇?」

ロシア少女「暇デスヨ」ニコツ

茶髪男子「ならさ!ならさ!俺と出掛けない?」

ロシア少女「うーン、どうしまショウ……」

オカッパ女子「……」ギュッ

ロシア少女「どうしたんデスカ?」

オカッパ女子「私も遊びたい……」

茶髪男子「あ?邪魔だよ、地味女。失せろ」

オカッパ女子「…ぅ!」ビクッ

ロシア少女「大丈夫デスカ?」キュッ

オカッパ女子「うん…」

ロシア少女「ワタシ、暴力的な人好きじゃないデス」

茶髪男子「……ってのは冗談でー」

カツカツカツ

男「クカカカ。人気爆発だな」

茶髪男子「げ……」

ロシア少女「あ、男サン」

オカッパ女子「どうしたの?」

男「おれも転校生に用があんだよ」

ロシア少女「ワタシに?」

男「お前、今日暇らしいな。なら、おれとデートしない?」

272: 2011/01/25(火) 22:33:47.92 ID:G80dAFHSO
オカッパ女子「……ッ!」

茶髪男子「はぁっ?」

ロシア少女「……それハ、口説いテ?」

男「幸せな方に考えて良いぜ?」

ロシア少女「……フフッ!面白い人デスネ!良いデスヨ。デートしまショウ」

茶髪男子「おいっ!そりゃマジかよ!?」

ロシア少女「ハイ」

茶髪男子「……男っ!」

男「あ?」

茶髪男子「てめぇ!ふざけんなよ!」ブンッ

男「おっと」ヒョイッ

茶髪男子「人のもんに手ぇだしやがって!」

ロシア少女「人のモノ?」

男「おいおい、暴力的な奴は嫌われちまうぜ?」

茶髪男子「ぐ……」

男「それに、デートぐらいでカッカすんなよ。純情坊やかてめぇ」

茶髪男子「はっ!?ど、  ちげーし!!」

男「んなこと言ってないんだけどなぁ」

オカッパ女子「男くん……」グイッ

男「大丈夫。お前の友達取ったりしねぇよ」ナデナデ

オカッパ女子「うん……」

ロシア少女「あの……もめてますガ、良いんデスカ?」

男「心配無し」

茶髪男子「ちょっと待てや!」

男「嫌だね。さ、行こうぜ」

ロシア少女「ハイ」スクッ

男「それでは、皆さまさようなら」ペコッ

ガラガラガラ

茶髪男子「……」

茶髪男子「クソッ!」

273: 2011/01/25(火) 22:34:27.05 ID:G80dAFHSO

テクテク

ロシア少女「それデ、アナタは何処へ連れて行ってくれるんデスカ?」

男「んー……何処が良い?」

ロシア少女「まさカ、決めてないんデスカ?」

男「決めてるワケがねぇじゃねぇか」

ロシア少女「デートに誘ったノニ?」

男「ノープランも燃えるだろ」

ロシア少女「アハハッ!成る程!デモ、最初のデートで何も考えていないのはダメデスヨ」

男「そうか?」

ロシア少女「アナタはもうちょっと女の子の扱いを習うべきデスネ」

男「良いよ面倒臭い」

ロシア少女「しっかり楽しませないト、二回目は誘えませんヨ」

男「へいへい。んじゃま、あのゲーセンでも行きますか」

ロシア少女「ロマンチックじゃないデスネ」

男「嫌いか?」

ロシア少女「いいエ。かねてより行きたいと思ってまシタ。日本のゲーム大好きデス」

男「なら文句言うなよ」

ロシア少女「雰囲気デスヨ。雰囲気。初デートなら背伸びでも華やかな場所に行きたいのが乙女デスヨ」

男「知ったこっちゃねーな。入るぞ」テクテク

ロシア少女「ハーイ」テクテク

ウィーン

274: 2011/01/25(火) 22:36:31.46 ID:G80dAFHSO
―――ゲームセンター



ガヤガヤ

ロシア少女「うーン、賑やかデスネ」

男「平日の昼間から暇な奴が多いこって」

ロシア少女「ワタシ達もその暇人なんデスネ」

男「漠迦か。おれ達はデートだから違うんだよ」

ロシア少女「あらあラ。視線が厳しくなりましたヨ?」

男「どーでも良い。で、何か遊びたいのある?」

ロシア少女「そうデスネ……アレなんかどうでショウ」

男「クレーンゲームか」

ロシア少女「デートでは抑えたいとこですカラネ」

男「結構楽しんでんね」

ロシア少女「でなきゃ損ですカラ」

男「ふーん」

ロシア少女「アッ、お金はどうしマスカ?」

男「良いよ。おれ持ちで」

ロシア少女「へー、その辺りは理解してるんデスネ」

男「別に。金持ちが賤民に恩恵を与えるのは普通だろ」

ロシア少女「照れ隠しデスカ」

男「勝手に解釈してろ」

ロシア少女「そうしマス」

男「それで、おれはあの不細工極まりないグロテクスの妖精を取れば良いのか?」チャリン

ロシア少女「あんな大きなモノは要りまセン。あっちの小さなパンダ取ってくださいヨ」

男「あいよー」ガチャガチャ

ロシア少女「アッ……もうちょっと右じゃないデスカ?」

男「黙って見てろ」ガチャガチャ

ロシア少女「ハーイ」

275: 2011/01/25(火) 22:37:26.98 ID:G80dAFHSO
男「ここだ」カチッ

ウィンウィン
ウィーン
ガシッ

ロシア少女「おオ!掴みまシタ!」

ウィンウィン

ロシア少女「後少シ……」ドキドキ

パッ
ガシャンッ

ロシア少女「ヤッタ!」

男「楽勝だな」ヒョイッ

ロシア少女「上手いんデスネ」

男「普通だな。ほら」ポイッ

ロシア少女「有り難うございマス」ギュッ

男「ん…」

ロシア少女「サァ、次は何処に行きまショウカ」

男「ゲーセン」

ロシア少女「……エ?」

男「動かねぇぞ」

ロシア少女「えェー……」

男「ロマンチックな場所希望なら後で連れてってやるよ」

ロシア少女「……どのくらい後デスカ?」

男「空が薄暗くなるぐらいかな」

ロシア少女「もしかして、夕陽が見える丘にでも連れて行ってくれるんデスカ?」

男「さぁねー」

ロシア少女「……」

ロシア少女「フフッ!楽しみにしてマスネ!」

男「しとけしとけ」

ロシア少女「でハ、そのお楽しみまでアレで時間を潰しまショウ」

男「ガンシューか」

ロシア少女「アナタとワタシならワンコインクリア余裕デス!」グッ

男「最近の日本語学校は下らねぇ言葉ばかり教えてんな」チャリン

…………
………
……

276: 2011/01/25(火) 22:42:11.74 ID:G80dAFHSO

テクテク

男「口先だけの漠迦ナリ」

ロシア少女「……」ムスッ

男「金を湯水の如く使うとはあのことナリ」

ロシア少女「……」ムスッ

男「お陰で拙者の財布はすっからかんナリ~」

ロシア少女「もウ!その話は良いじゃないデスカ!」

男「あそこまで酷い   は久しぶりに見た」

ロシア少女「ゲームバランスがおかしいんデス!」

男「てめぇが攻撃避けないのに難有りだ」

ロシア少女「なんであの程度の攻撃を避けないと行けないんデスカ!」

男「おしとやかと思ったら、とんだ熱血野郎だ」

ロシア少女「野郎とはなんデスカ!ワタシは乙女デス!」

男「えらく猪突猛進な乙女がいたもんだな」

ロシア少女「フン!」

男「事実だ。拗ねんな」

ロシア少女「……ところデ」

男「ん?」

ロシア少女「今歩いているのはどう見ても住宅街なんデスガ、本当に夕陽の見える丘なんて在るんデスカ?」

男「ねぇよ」

ロシア少女「エッ!?」

男「もっと良い場所だ」

ロシア少女「こんなとこにそんな場所ガ……」

男「ほら、あそこだ」

ロシア少女「……民家?」

ロシア少女「……ッ!」

277: 2011/01/25(火) 22:43:00.77 ID:G80dAFHSO
―――男の家



ギャァァァアアァ♪

姉「おっ、メールだ」カパッ

姉「愚弟からか」

姉「ふんふん……」

姉「魔女ちゃーん!」

トテテテ
ガチャ

魔女「はい。何ですか?」

姉「弟から魔女ちゃんへラブメールだ」ズイッ

魔女「男さんから?」ヒョイッ

魔女「……ふむふむ」

魔女「家の前で待っておけって書いてありますね」

姉「あいつも大きく出たね~」

魔女「どういうことですか?」

姉「好きな娘によるお出迎えを所望してるってこった」

魔女「……?」

姉「判んないかなー。お帰りなさいあ・な・た♪って奴だよ」

魔女「それ、外で待つ必要がないですよね」

姉「……」

魔女「うーん、男さんのことだから何か善からぬ考えが……」

姉「ごちゃごちゃ言ってないでお外へGO!」グイグイ

魔女「あっ!ちょっと、押さないで下さい!」

姉「せいっ!」ドンッ

魔女「わっ!あの、まっ――

バタンッ

魔女「……」

ガチャ

姉「これ、忘れてた」ポイッ

魔女「何ですかコレ?」

姉「無限プチプチ。暇ならそれで遊んでてね」

バタンッ

魔女「……はぁ」

魔女「……」プチプチ

魔女「……」プチプチ

魔女「……少し楽しいのが悔しいです」プチプチ

魔女「……」プチプチ

アハァーン

魔女「わっ!」ビクッ

魔女「い、今変な音が……」

279: 2011/01/25(火) 22:52:49.73 ID:G80dAFHSO
\オーイ、マジョー!/

魔女「男さんの声!」

魔女「はーい!お帰りなさ……?」

魔女「あれ?まさか、隣にいるのって……」

テクテクテク

男「ただいま」

魔女「少女ちゃん!」

ロシア少女「……ッ!」

男「無視か」

魔女「あ、男さんお帰りなさい!」ペコッ

男「ん…」

魔女「あのっ!何で少女ちゃんと一緒何ですか!?」

男「……ビンゴ」ニタァ

魔女「へ?」

男「いやぁ、こいつがお前と同郷っての聞いてな。もしかしたら、知り合い同士なんじゃないかと思って連れて来たんだよ」

魔女「そうなんですか!」

男「友達だったのか?」

魔女「はい!仲良くしてました!」

男「当たって良かった。どうだ?異国の地で旧友と再会なんてロマンチックだろ?」

ロシア少女「そ、そうデスネ……」

男「今日はもう遅いし、泊まっていかないか?」

ロシア少女「エッ!?」

男「ほら、お互い話したいことも在るだろうし。魔女もしたいよな?」

魔女「はい!お喋りしたいです!」ニコニコ

男「お前もそうだろ?」ポンッ

男「なぁ、魔法少女……」ボソッ

ロシア少女「貴様ッ……!」キッ

男「おや?顔が怖いぜ?」

280: 2011/01/25(火) 22:54:17.70 ID:G80dAFHSO
魔女「ど、どうしました?」

男「びっくりしてんのさ」

魔女「判ります!さ、入ってください!」

ロシア少女「ワ、ワタシは……」

男「あ、もしかしてお泊まりは許可がおりない?」

ロシア少女「そ、そうなんデス!」

魔女「そんなぁ」ガクッ

男「一人暮らしで誰が許可出すのか知らねぇが」

ロシア少女「それを何処デ!」

男「さぁな」

魔女「……あの、お泊まりが嫌ならせめて晩御飯食べていってください!」

ロシア少女「……グ…」

男「良かったな。食費が浮くぜ?」

ロシア少女「他の家族の迷惑ニ……」

ヒュンッ、ダンッ
ゴロゴロゴロ

ロシア少女「!?」

姉「魔女ちゃんの友人と聞いて!」

男「二階から飛び降りて来るとは予想外だ」

魔女「お、お姉さん大丈夫ですか?」

姉「受け身とったから問題ナッシング」

魔女「それなら良かったです」

姉「さて……」

ロシア少女「ア、アノ……」

姉「流石魔女ちゃんの友人。綺麗だわ」ペタペタ

ロシア少女「チョッ…!」

姉「さぁ!行こうぜ我が家!」ガシッ

ロシア少女「ご、ご迷惑ガ……」ズルズル

姉「かからーん!魔女ちゃん!四人分の夕飯の準備だ!」テクテク

魔女「あっ、はい!」トテトテ

男「流石姉さんだな」テクテク

姉「弟、貸し一だからな」ボソッ

男「へいへい」

魔女「一杯話しましょうね!」ニコニコ

ロシア少女「う、うン」

ロシア少女「……」ギリッ

290: 2011/01/30(日) 23:08:24.23 ID:kus2GtHSO
魔女「腕によりをかけて作りました!」コトッ

ロシア少女「ピザ?」

姉「にしては香が……」

魔女「和風ピザです!」

男「あぁ、だから醤油っぽい匂いが」

姉「弟の実験癖が魔女ちゃんに移ったか……」

魔女「これはちゃんとしたメニューです」チャキチャキ

姉「こんなの在るんだ。何考えて作ったんだか」

魔女「はい!切れましたよ!」スッ

男「ん」ヒョイッ

魔女「少女ちゃんもどうぞ!」スッ

ロシア少女「あ、ありがト…」ヒョイッ

姉「ふむ……」パクッ

魔女「どうですか?」ドキドキ

姉「普通に食える」モグモグ

魔女「普通ですか……」

ロシア少女「美味しイ」モグモグ

魔女「わぁ!有り難うございます!」パァッ

男「……」モグモグ

魔女「男さんはどうですか?」

男「……おれも今度作ってみようかな。和風ピザ」モグモグ

姉「うえっ!?」

男「こう……ピザソース代わりに味噌にみりん、酒、七味、鰹だしを加えたものとか良さそうだな……」モグモグ

姉「そ、想像出来ねぇ……」モグモグ

魔女「生地にお味噌が合うんでしょうか…」

男「作ったらお前も呼んでやるよ」モグモグ

ロシア少女「は、ハァ、有り難うございマス……」

291: 2011/01/30(日) 23:10:02.25 ID:kus2GtHSO
男「それで、だ」モグモグ

ロシア少女「何でショウカ」

男「久しぶりの再会でてめぇら二人、話したいこと大盛り大サービスだとは思う」

ロシア少女「ハア……」

男「だが、まずはちょっとした質問をしたい」

ロシア少女「……数ハ?」

男「……二つだ」

魔女「男さん!」

男「あ?」

魔女「お客さんなんですから、いきなりそういう事は失礼だと思います!」

男「こっちは急ぎ情報が欲しいんだよ」

魔女「それでもです!」

姉「悪く思わないでね。もしかしたら、命かかってるかもしんないからさ」

魔女「…!あ……そ、そうですよね。もう、私だけの問題じゃ無いんですよね……」

ロシア少女「……」

男「そういう事だ」

ロシア少女「……良いデショウ。質問に答えマス」

魔女「うぅ……ごめんなさい少女ちゃん。折角来て貰ったのに……」

ロシア少女「いエ、良いんデス。男さん達にも然るべき事情が有るようナノデ」

男「何言ってるんだ、お前?」

魔女「え?」

男「魔女、お前も質問の対象だ」

魔女「えぇっ!私も疑われているんですか!?」

ロシア少女「……ワタシだけでは無いのデスカ?」

男「勿論お前もだが、こっちは疑うよりも魔術に関する情報が欲しいんだ」

ロシア少女「……そうデスカ」

292: 2011/01/30(日) 23:12:02.71 ID:kus2GtHSO
男「先に忠告だ」

男「下手に誤魔化すな。こっちは本当の故郷のこととかある程度聞いてる」

魔女「……!」

ロシア少女「……ッ!」

魔女「あ、あの時の同郷って……」

ロシア少女「……」ギロッ

魔女「えっ!どうしたんですか少女ちゃん!?私、何かしましたか!?」

ロシア少女「別ニ……」

男「それじゃ、質問其の一。お前は何でこっちに来た?」

ロシア少女「ワタシは……」

男「観光とか言うなよ」

ロシア少女「……護衛デス」

男「護衛?」

ロシア少女「えェ」

男「……ってことは、教会に本家か」

ロシア少女「……!そこまで知っているんデスカ……」

男「まぁな」

ロシア少女「全ク……お喋りなのは変わらないネ」キッ

魔女「あ、あはは……」

ロシア少女「……本家は教会の動きを察知シ、ワタシに護衛の任を与えたのデス」

男「なら、近くに居た方が得策だと思うがな」

ロシア少女「秘匿任務ですシ、家の知らせを知る為には外へ出なければなりませんカラ」

男「……は?」

姉「灯台下暗しって意味だな」

ロシア少女「……良く判りましたね」

姉「友達に諺マニアが居てね」

男「変な交友してるな」

姉「助かった癖にダメ出しか」

男「意味が判らなくても問題無かった」

姉「我が弟ながらウザい」

男「今更だ。しかし……」ジー

ロシア少女「……?」

男「こんなボロい……間違えた。細い身体で護衛が勤まるとは思えないな」

ロシア少女「ア?」

293: 2011/01/30(日) 23:14:13.80 ID:kus2GtHSO
魔女「大丈夫ですよー」ニコッ

男「何で?」

魔女「少女ちゃんヴァンパイアですから、超強いんです!」

ロシア少女「魔女ッ!!」ガタッ

魔女「うえっ!マズかったですか!?」ビクッ

男「……は?」

姉「……え?」

ロシア少女「……」

男「ちょっと、待てってか……いや、それ……は?」

姉「えと、ま、マジ……ヴァ……え?」

ロシア少女「……違いますヨ」ニコッ

魔女「え!違うんですか!?」

ロシア少女「ダマレ」ギロッ

魔女「あ、はい……」

男「……オーケー、落ち着いた」

姉「お姉ちゃんもオーケー……」

男「ヴァンパイア、か……」

ロシア少女「もしかシテ、信じるんデスカ?」

男「魔法以上の衝撃だがな……」

ロシア少女「ワタシ、牙も何も無いんデスヨ?」

カシャッカシャッ

男「魔女がそう言ってるんだ。おれ達はそれを信じる」

カシャッカシャッ

ロシア少女「……信じル?甘いことヲ」

カシャッカシャッ

ロシア少女「……」

カシャッカシャッ

姉「お姉ちゃんフラァァァァァアアアッシュ!!」

カシャッカシャッカシャッ

ロシア少女「何をしてるんデスカッ!?」

カシャッカシャッ

姉「いや、マジモンのヴァンパイア様なら写真に収めとかねぇと女が廃るってか、漢が泣くってか、人間止めちまうから」

カシャッカシャッ

ロシア少女「勝手に撮るナァァア!!」

カシャッカシャッ

姉「……写真、写るんだね」

ロシア少女「あんなクズ共ト……アッ!」

男「一乙だな」

ロシア少女「……ッ」ギリッ

294: 2011/01/30(日) 23:16:13.78 ID:kus2GtHSO
魔女「男さん!」

男「何だよ」

魔女「そういう夢だったんです!!」

男「……は?」

魔女「つ、つまり、私が少女ちゃんをヴァンパイア的な――

姉「魔女ちゃん……」ポンッ

魔女「はい」

姉「もう良い……。もう良いんだ……」

魔女「えっ?何がですか?」

ロシア少女「……ハァ。そうですヨ。ワタシは吸血鬼デス」

男「認めたか。何で隠して……っと、秘匿任務だからか」

ロシア少女「そうデス」

ロシア少女「誰かのせいで隠せませんでしたケド」ジロッ

魔女「ごめんなさい……」シュン

ロシア少女「それデ、二つ目とやらハ?」イライラ

男「……ちょっと待て。路線変更する」

ロシア少女「それハ、ワタシが吸血鬼と判ったからデ?」

男「まぁな」

ロシア少女「……ふぅン」

男「さて……二つ目…」

男「……そう言えば」

ロシア少女「何デス?」

男「全身の血を抜かれて殺されるって事件が在ったな」

姉「あぁ、1週間前のやつ」

魔女「昨日テレビでやってましたね!」

男「……」

ロシア少女「その事件が何カ?もしかシテ、それをワタシに聞くんデスカ?」

男「いや、思い出しただけ」

ロシア少女「……そうデスカ」

男「……良し、決めた」

295: 2011/01/30(日) 23:19:43.56 ID:kus2GtHSO
男「其の二、ヴァンパイアは本当に血を飲むのか?」

ロシア少女「えェ、血は飲めマス」

男「可能じゃなくて必要かって聞いたんだ。判っててとぼけてんじゃねぇよ」

ロシア少女「……必要は無いデスネ」

男「ま、そう答えるしかないよな」

ロシア少女「……」

男「さ、面倒な事終わりだ。茶でも飲もうぜ」ガタッ

ロシア少女「今ので私への懐疑は晴れたんデスカ?」

男「都合の良い方に考えとけ」ガチャガチャ

魔女「あっ!私も下げます!」ガチャガチャ

男「頼んだ」ガチャガチャ

ロシア少女「ワタシも何かしまショウ」スクッ

姉「まーまー。客人に手伝わせるワケにはいかないのよさ」ガシッ

ロシア少女「へェ。今更、普通の客人扱いするんデスネ」

姉「ありゃ。やっぱ、気分悪くした?」

ロシア少女「魔術と言いながラ、ワタシだけしか攻めませんでしたカラ」

姉「正体割れた時から、ある程度聞かれることは覚悟してたっしょ」

ロシア少女「一応」

姉「二つだけってのは良心的だと思うけど?」

ロシア少女「でモ、曖昧な約束するのは最低デス」

姉「クハッ!そりゃそうだ。乙女の敵だわ」

ロシア少女「全くデス」

カツカツ

男「敵で悪かったな」スッ

ロシア少女「猛省してくだサイ」

男「元々の二つ目は魔女用だったんだよ。変更したけど。……あ、紅茶で良かったか?」コトッ

ロシア少女「……ハイ。頂きマス」

296: 2011/01/30(日) 23:23:03.03 ID:kus2GtHSO

トテテテ

魔女「少女ちゃん!ケーキです!ケーキも有りますよっ!」コトッ

ロシア少女「ありがト」

男「それじゃ、後はお二人水入らずってことで」

魔女「あれ?もう、上がるんですか?お茶は?」

男「おれと姉さんは今から宿題する」

姉「茶もケーキも持ってって頂くさ」

男「では」

ガチャ
バタンッ

魔女「宿題なら仕方ないですね」

ロシア少女「……」

魔女「ミルク入れます?」

ロシア少女「魔女……」

魔女「はい、何ですか?」

ロシア少女「男さんのこト、詳しく聞きたいナ」

魔女「良いですよ。と言っても、私もそこまで知ってるワケじゃないんですけどね」

ロシア少女「答えられる範囲で良いヨ」

魔女「判りました」

ロシア少女「そうだネ……弱みとか知ってル?」

魔女「弱みですか……うーん……」

ロシア少女「小さくても良いヨ」

魔女「……あっ!有りました!」

ロシア少女「何?」

魔女「ジョロキア級の辛さが苦手らしいです!」

ロシア少女「……」

魔女「ところで、ジョロキアって何ですかね?」

ロシア少女「自分で調べロ」

297: 2011/01/30(日) 23:25:56.83 ID:kus2GtHSO
姉「で、さっきのことだけど」

男「……」スッ

姉「……紙とペン?」

男「……」カキカキ

男【筆談】

姉「……?」

男【ヴァ 能力 不明】

姉「……」カキカキ

姉【OK】

男「……」カキカキ

男【判明】

男【護衛 偽】

姉「……」カキカキ

姉【任務 秘 ×喋る】
 【喋った】

男「……」コクッ

姉【他】

男【故郷 ×ロシア】

姉【両?】

男「……」カキカキ

男【魔女 ○】
 【少女 △】

姉【了】

男「……」カキカキ

男【不明】

男【吸血 事件 目的 組織】

姉【(;°д°)多っ】

男【意見求】

298: 2011/01/30(日) 23:28:09.51 ID:kus2GtHSO
姉「……」カキカキ

姉【私見】

姉【吸血 ○】

男【理由】

姉【アイデンティティー】

男「クハッ!」

男【確かに】

姉【理由 不明】

男【仮定 魔力】

姉【×】

男「……?」

姉【吸い出し不可らしい】

男「……」カキカキ

男【仮定 精神】

姉「……」カキカキ

姉【有力】

男【他】

姉【事件 ×】

男【同】

姉【なら聞くな】

男【一応】

姉「……」カキカキ

姉【組織 不明】

男【了 目的は?】

姉【仮定】

姉【お前】

299: 2011/01/30(日) 23:29:15.61 ID:kus2GtHSO
男「……」カキカキ

男【理由】

姉「……」カキカキ

姉【接近 好意 本家と教会の標的 確率論】

男「……」

姉【疑え】

男「……」コクッ

男【そっち】

姉「……」カキカキ

姉【判明】

姉【二人 接点 日本】

男「……?」

姉【下】

男「……!」

男【会話 日本語】

姉「……」コクッ

男「……」カキカキ

男【他】

姉【仮定 吸血方法 ×噛む】

男「……」カキカキ

男【魔女 怯え無し?】

姉「……」コクッ

男【仮定 傷作る】

姉【だろうね】

男【他】

姉【なし 情報少ない】

男「……」

姉「……」

男「……」カキカキ

男【助かった】

姉「……?」

男【諺 意味聞く手前だった】

姉「……」コクッ

300: 2011/01/30(日) 23:30:13.68 ID:kus2GtHSO
男【頭脳良し】

男【情報引き出し無理】

姉【魔女ちゃんに聞く】

男【× 漏れる】

姉「……」

男「……」カキカキ

男【実験 手探り】

姉「……」カキカキ

姉【ばれるな】

男【ねぇよ】

\オトコサーン!オネエサーン!/

男「……」

姉「……」クイッ

男「……今降りるー!」

ダダダ
ガチャ

男「どうした?」

魔女「あ、それがですね。少女ちゃん話してる途中で眠っちゃったんです」

ロシア少女「スー…スー……」zzZ

姉「あらあら」

男「あー、疲れが溜まってたんだろ。無理に起こすのも悪いし、今日は家で寝かせよう」

魔女「判りました!」

男「魔女は自分の寝室にもう一枚布団敷いて来い」

魔女「はい!」

トテテテ

男「姉さんは少女さん運んでくれよ」

姉「……」カキカキ

姉【実験?】

301: 2011/01/30(日) 23:31:27.20 ID:kus2GtHSO
男「……さぁな。早くしてくれ」

姉「へいへい。人使いの荒い弟だこと」

男「おれが乙女の身体を無断で触ったらマズいだろ」

姉「ハハハッ!そりゃそうだ、っと!」グッ

男「力持ちだな」

姉「案外軽い」

男「筋肉無いのか?」

姉「持った感じ無いね」

男「強いって言われてんのにか」

姉「別の力が働くってことだろ」

男「……かもな」

姉「暗器も無いみたいだしな」ペタペタ

男「なら、戦闘は素手か魔法か」

姉「そうなるだろうね」

男「魔法頼りで有って欲しいな……」

姉「ロマンチックだから?」

男「野獣みたいなのは嫌だろ」

姉「見たくないのは確かだ」

男「ゴミはおれが焼却しとくわ」

姉「当然、それぐらいはして貰わないと」

男「任せとけ」

309: 2011/02/03(木) 22:37:37.66 ID:EtTmLuXSO
男「芥子マヨネーズ……」カチャカチャ

男「入れるか否か……」カチャカチャ

ドタッドタドタ
ガチャンッ

ロシア少女「コレはどういうことデスカッ!!」

男「おぉ、お早う」

ロシア少女「何故ワタシが此処で寝ているんデス!!」

男「寝たから」

ロシア少女「説明になってまセン!」

男「……あそこにチョコレートが有るの判るか」

ロシア少女「この箱デスネ。それガ、ワタシが眠ったのと何の関係ガ?」

男「酒弱いんだな」

ロシア少女「ハァ!?」

男「それさ、酒入ってるんだよ。結構強いやつ」

ロシア少女「ワタシが記憶する限りでハ、食後はケーキと紅茶しか食べていまセン」

男「ケーキのチョコにそれ使ったんだよ。酒の香りしたろ?」

ロシア少女「……確かにしましたガ、その程度で酔ったりしまセン」

男「疲れてたんだろ」

ロシア少女「疲レ?」

男「日本に来て幾日。慣れない環境で苦労も多い。さらに、昨日はおれが色々つれ回したりなんだり……」

ロシア少女「……」

男「そして、止めにアルコール」

ロシア少女「……それで納得するとデモ?」

男「おれが薬盛ったと疑ってるのか?」

ロシア少女「それが一番の可能性デス」

男「なら、病院で血液検査でも受けに行くか?多分、アルコールしか検出されないぞ」

ロシア少女「……」

男「家の中探索しても良い」

ロシア少女「ハァ……判りまシタ。そこまで自信が有るなら違うのデショウ」

男「そうだよ。こっちはお前を眠らせる理由も無いしな」

ロシア少女「理由なラ……」

男「どうした?」

ロシア少女「いエ、何でもありまセン」

男「そうか。朝食はどうする?」

310: 2011/02/03(木) 22:38:16.55 ID:EtTmLuXSO
ロシア少女「結構デス。そこまでお世話になるワケにはいきませんノデ」

男「じゃぁ、もう帰るのか」

ロシア少女「ハイ」

男「なら、これ持ってけ」ヒョイッ

ロシア少女「サンドイッチ?」

男「おれ特製のな。そんぐらいは受け取れ」

ロシア少女「……有り難うございマス」

男「後、洗面所は廊下出て左端だから」

ロシア少女「……?」

男「服は仕方ないとして、乙女が寝起きの顔とボサボサの髪して外出たらたらマズいだろ」

ロシア少女「……お借りしマス」

男「しとけしとけ」


311: 2011/02/03(木) 22:39:02.16 ID:EtTmLuXSO
…………………



魔女「えぇー!少女ちゃん帰っちゃったんですか!?」

男「うん」

魔女「そんなぁ……」ガクッ

姉「まぁ、落ち込むなよ。いつでも会えるじゃないか」

魔女「せめて挨拶ぐらいはしたかったです……」

男「早く起きるべきだったな」

魔女「……男さんも悪いです!」

男「……は?」

魔女「男さんがもう少し愛想良くしていれば、少女ちゃんも帰らなかった筈です!」

姉「……一理有る」

男「ねぇよ。そんな仮定の話されても困る」

魔女「昨日も口々、今日も口々!少女ちゃんが可哀想です!!」

男「別に……いや、そうだな。確かに少し意地悪し過ぎた」

魔女「ちゃんと謝らなきゃダメですからね!」

男「判った」

魔女「なら、善は急げです!今から行きましょう!」

男「無理」

姉「まぁ、無理だわな」

魔女「えっ?」

男「家知らないし」

魔女「電話で……」

男「知らないし」

魔女「……」

男「無理」

魔女「……お友達なのになんでそんな大事なこと知らないんですか!!」

姉「また、凄いハンドル操作だな」

312: 2011/02/03(木) 22:40:13.67 ID:EtTmLuXSO
男「お前は知ってんのか?」

魔女「……む、昔の家なら…」

男「へぇ、何処?」

魔女「アゼ……あっ!モスクワです!」

男「……そりゃまた大都会だな」

姉「安牌切ってくるか」

魔女「あんぱい?」

姉「気にしなくて良いよ。麻雀の話だから」

魔女「麻雀ってあのじゃらじゃらするやつですか?」

姉「じゃらじゃらがっしゃーん、かな」

魔女「がっしゃーん!?がっしゃーんもするんですか!?」

姉「いや、がっしゃーんなんてモンじゃねぇな。じゃらじゃらがっしゃーんてぃんてぃろりん、だな」

魔女「じゃらじゃらがっしゃーんてぃんてぃろりん!?」

姉「そう!じゃらじゃらがっしゃーんてぃんてぃろりんぷぷっぴどぅ!!」

魔女「じゃらじゃらがっ――

男「ウザい。酷く耳障り。目障り」

魔女「えぅ……」

姉「じゃ――

男「そして癪に障る」ゲシッ

姉「いてっ!蹴るなよ!」

313: 2011/02/03(木) 22:40:50.93 ID:EtTmLuXSO
姉「あたしの何が悪いって言うんだよ!」

男「……うーん」

姉「おい、早く言え」

男「……頭?」ニッ

姉「うっ、うわぁぁあん!ちくしょぉぉお!!こんな家出て行ってやるぅぅう!!」ダダダ

ガチャ
バタンッ

魔女「お姉さんっ!?」

男「行ってら」ヒラヒラ

魔女「ちょっ!男さん!今すぐ追い掛けて下さい!!」

男「面倒臭い」

魔女「あのまま帰ってこなかったらどうするんですかっ!!」

男「寂しくなったら帰ってくるさ」

魔女「こう……連れ去られたりするかもしれないじゃないですか!」

男「アハハハッ!姉さんを連れ去ることが出来る物好きな高段者なんていねぇよ!」

魔女「むぅ……上手いフォローが……」

ガチャ

テクテクテク

姉「お財布忘れた」

魔女「……」

男「お前……少しは粘れよ……」

姉「無理な相談だよ、坊や」

314: 2011/02/03(木) 22:42:10.86 ID:EtTmLuXSO
―――高校



男「体育はサッカーか」

サッカー部員1「俺達の舞台だな」

男「本職のお前と同じカウントすんな」

サッカー部員1「上手いじゃん」

男「そこそこだ」

茶髪男子「男っ!」

男「どうした?」

茶髪男子「今日の試合、俺はお前に勝つ!」

男「……これ、クラス対抗別の試合だぞ」

サッカー部員1「つうか、そもそもサッカーは団体戦だ」

茶髪男子「甘いな。あいつにチェンジしてもらったんだよ」

野球部員「やぁ、お二方!お久っ!」

男「……クソゴミハゲ野郎のクセに勝手しやがる」

野球部員「坊主です」

サッカー部員1「まぁ、良いんじゃね」

野球部員「そうそう。楽しけりゃ、それで良いんだよ」

茶髪男子「つぅワケで、どっちがより多く点取れるか勝負だ!」

男「良くて一点の勝負なんか盛り上がらねぇよ」

茶髪男子「じゃぁ、こかして泣かす」

男「おい、誰かこの漠迦の両目抉り取れ。五万やる」

サッカー部員1「てか、目的何だよ」

315: 2011/02/03(木) 22:42:37.90 ID:EtTmLuXSO
野球部員「漠迦だな。そんなの噂の美人転校生、少女さんの為に決まってるだろうが」

茶髪男子「そう言うことだ!彼女は俺のモン!てめぇには絶対渡さねぇからな!」

男「はぁ……あんなの所有するつもりねぇよ」

サッカー部員1「それで、どうしてそこで勝負なんて発想に至るんだ?」

野球部員「彼女に格好良いとこ見せたいからに決まってる」

男「その彼女もソフトの試合に忙しいから、こっちなんか見てないだろ」

茶髪男子「少女さんは見学だ」

男「……見学?」

茶髪男子「身体が弱いんだろうな。嗚呼、何処までも可憐だ……」

サッカー部員1「ホントだ。ベンチに座ってる」

男「……ふぅん」

野球部員「どうした?」

男「ちょっと会いに行ってくるか」

茶髪男子「はぁ!?」

男「着いて来ちゃダメだぜ、純情ボーイ」

茶髪男子「なっ!てめっ!」

男「心配すんな。謝ってくるだけだ」

茶髪男子「……謝る?」

316: 2011/02/03(木) 22:43:40.82 ID:EtTmLuXSO

テクテクテク

男「よぉ」

ロシア少女「……どうモ」

男「身体弱いらしいな」

ロシア少女「まさカ、本気にしているワケではないデショウ」

男「当然」

ロシア少女「でモ、残念。ホントなんですヨ、これガ」

男「……強いんじゃないのかよ」

ロシア少女「日光がダメなんデス」

男「ハッ!皮膚が焼け落ちるってか」

ロシア少女「フフッ!そんな伝承みたいなことは起きませんヨ」

男「なら、気分が悪くなるとかか?」

ロシア少女「そうデス。頭が痛くなるんデスヨ」

男「難儀な身体だな」

ロシア少女「そうは思いませんけどネ」

男「ってことは、体育館で在ったら出るのか」

ロシア少女「出ませんヨ。屋外がダメで屋内は良いなんテ、可笑しな話じゃないデスカ」

男「確かに」

ロシア少女「なのデ、可憐でか弱い乙女で行かせて貰いマス」

男「窮屈じゃないか?」

ロシア少女「いいエ」

男「そうか。他に理由は無いのか?」

ロシア少女「……他の理由?」

男「例えば……怪我をしたくない、とか」

ロシア少女「……どういうことデス?」

男「いや、小説か何かでヴァンパイアは皆して血友病ってのを見た記憶が在ってな」

ロシア少女「……フフッ。おバカさんですネ、男サン」

男「あ?」

ロシア少女「怪我なんテ、何処にいてもしちゃうじゃないデスカ」

男「……あー、言われてみれば確かに」

317: 2011/02/03(木) 22:45:26.05 ID:EtTmLuXSO
ロシア少女「それデ、本件は?」

男「気付いてたか」

ロシア少女「アナタが容態を聞くだけなんて無駄を働くとは思えませんカラネ」

男「……良く観察していらっしゃる」

ロシア少女「早くした方が良いデスヨ。お友達が呼んでイマス」

男「そうだな。なら、言わせて貰おうか」

ロシア少女「どうゾ」

男「超ごめーん」

ロシア少女「……ハ?」

男「昨日と今朝のことな。悪いことしたよー、マジでー」

ロシア少女「……謝罪ならバ、もう少し誠意を持った方が良いのデハ?」

男「自分の心に嘘吐きたくない」

ロシア少女「つまリ、謝る気持ちは無いト」

男「うん」

ロシア少女「なラ、何故?」

男「謝っておかないと、魔女に怒られるからだ」

ロシア少女「……フフッ」

ロシア少女「アハハハッ!確かニ!それハ、回避したいデスネ!」

男「イエス。気持ちが無くても事実だけ有れば十分だ」

ロシア少女「分かりまシタ。貴方は誠心誠意謝っタ。魔女にはそう言いマショウ」

男「有り難い」

ロシア少女「それでハ、試合頑張って下さいネ。応援してマス」

男「試合っつう程のモンになるか怪しいがな」

ロシア少女「アナタが盛り上げてくれれば良いんデス」

男「軽く行ってくれるぜ」

318: 2011/02/03(木) 22:46:11.97 ID:EtTmLuXSO

テクテクテク

ザッ

茶髪男子「話は済んだのか?」

男「まぁな」

茶髪男子「どうせ、君の為にシュートを決めるとでも言ってきたんだろ」

男「何が悲しくてそんなキザッたらしいセリフ吐かないといけないんだよ」

茶髪男子「だが、俺がそれをさせねぇ!」

男「誰か気付け薬持って来い。この漠迦のアルコール抜く」

茶髪男子「さぁ!キックオフだ!」

男「……パス」ポーン

サッカー部員1「よっしゃ!」タタタ

茶髪男子「……」

男「ほら、良いとこ見せたいなら動け」タタタ

茶髪男子「てめぇ!」ガシッ

男「何だよ」

茶髪男子「ふざけんな!普通勝負するだろうが!」

男「興味無いな」

茶髪男子「このっ!」グイッ

ピピー

茶髪男子「……」

審判役「ファール」

茶髪男子「……え、マジ?」

男「ほら、離せ」

茶髪男子「……まさか、お前此処まで読んで…」

男「ねぇよ!」

319: 2011/02/03(木) 22:47:25.20 ID:EtTmLuXSO
………………



男「疲れた…無駄に……」クタッ

サッカー部員1「お前も大変だな」

男「何でアイツあんなに絡んでくんだよ。ウゼェ……」

サッカー部員1「ライバルだからだろ」

男「……さっきも言ったが、別にあの女狙ってるワケじゃねぇんだが」

サッカー部員1「最初のデート発言がマズかったな」

男「失策だ……」

サッカー部員1「何であんなこと言ったんだ?」

男「お前、魔女って憶えてるか?」

サッカー部員1「お前の家の居候さんか」

男「あいつと同郷らしいから、サプライズで会わせてやろうと思ってな」

サッカー部員1「ふーん。お前がねぇ……」

男「何だよ」

サッカー部員1「似合わないと思ってな」

男「何で?おれ超紳士じゃん」

サッカー部員1「えっ!?」

男「おいおい、今更気付いたのかい?」

サッカー部員1「お前……冗談にしてもキツいぞ……」

男「……オーケー、面出ろよ。おれの紳士っぷりを骨髄まで染み込ませてやる」

サッカー部員1「紳士はそんな物騒な言葉使わない」

ロシア少女「そうデスヨ」

男「……人の話に割り込むな」

ロシア少女「すみまセン。目眩のするようなジョークにつイ……」

男「そこまで言うか」

サッカー部員1「寧ろ当然だな」

オカッパ女子「うん……」

男「お前もか」

サッカー部員1「……あれ?二人は一緒に帰んの?」

ロシア少女「ハイ。彼女が美味しいクレープ屋さんを紹介してくれるんデス!」

男「ふーん、仲良いじゃん。良かったな」

オカッパ女子「うん」

320: 2011/02/03(木) 22:51:13.46 ID:EtTmLuXSO

ダダダ

茶髪男子「ちょっと待った!」

男「うわ……来たよ……」

茶髪男子「少女さん!今の話本当なのか!?」

ロシア少女「ハイ」

茶髪男子「俺との約束は!?」

ロシア少女「ワタシ、断りましたヨネ?」

茶髪男子「えっ!?」

ロシア少女「流石のワタシでモ、いきなり遊園地は無理だと言っテ」

男「それは断られるわ」

サッカー部員1「誘い下手ってレベルじゃねぇな」

ロシア少女「また今度、普通の場所行きで誘ってくださいネ」

茶髪男子「……判った」

ロシア少女「でハ、行きまショウカ」

オカッパ女子「うん!」

茶髪男子「……」ギロッ

オカッパ女子「……!」ビクッ

ロシア少女「どうしまシタ?」

オカッパ女子「な、何でもないよ……」

ロシア少女「……?」

ガラガラガラ
バタンッ

321: 2011/02/03(木) 22:51:53.42 ID:EtTmLuXSO
茶髪男子「……」

男「おい、あいつに変なことすんなよ」

茶髪男子「しねぇよ。ムカつくけどな」

サッカー部員1「へぇ。大人になったな」

茶髪男子「少女さんは暴力が嫌いだ」

男「言ってたな」

茶髪男子「近付かねぇように脅したりは出来ねぇ」

サッカー部員1「まぁ、そうだな」

茶髪男子「勝負なら正々堂々しなきゃいけねぇんだよ!」

男「成る程。それで、最近微妙に熱血なキャラになってたのか」

茶髪男子「好かれる為なら何でもするぜ!」

男「その意気込みや決意は称賛してやる。だがな……」

茶髪男子「ん?」

男「そのキャラでおれに絡むな。ウザい」

茶髪男子「じゃぁ、てめぇとはどう勝敗付けたら良いんだよ」

男「あのな、そもそもおれはあいつを彼女にしたいとか、そう言った願望は無ぇんだよ」

茶髪男子「嘘吐くな!」

男「いや、嘘じゃ――

茶髪男子「デートに誘って、いつも親しげに話しかけ、それで好意が無いワケねぇだろうが!」

男「……」

サッカー部員1「諦めろ。こいつ、根が漠迦で直線的なんだよ」ポンッ

男「そうらしいな……」

322: 2011/02/03(木) 22:53:16.50 ID:EtTmLuXSO
今日は此処まで

最後は決まっているのに間が思い付きません

325: 2011/02/06(日) 16:09:09.40 ID:LD6eLgoSO
オカッパ女子「男くん……」グイッ

男「どうした?」

オカッパ女子「取られた……」

男「何を?」

オカッパ女子「少女ちゃん……」

男「……誰に?」

オカッパ女子「……茶髪男子くん」

男「それは……あいつがとうとうデートに誘えたってことか?」

オカッパ女子「……うん」

男「別に良いじゃないか」

オカッパ女子「良くないよ……」

男「彼氏彼女の関係に成ったワケでもなし。独占されることなんかねぇよ」

オカッパ女子「……あの人嫌い…」

男「あー、いや、でも、それでどうこうするってのは間違いだろ」

オカッパ女子「……間違いじゃないもん」

男「いや、他人の交友邪魔すんのはダメでしょう」

オカッパ女子「粗暴だし……」

男「大丈夫。度胸は無いから手は出されねぇ。まぁ、出した所で骨の一、二本折られて終わりだろうが」

オカッパ女子「漠迦だし……」

男「あ、うん。それは、歪み無い事実だけど……」

オカッパ女子「少女ちゃんに悪い影響が出そう……」

男「……」

オカッパ女子「心配……凄く……」

男「母親かっ!」ペシッ

オカッパ女子「いたいっ!」

男「初めて同性の友達が出来てべったりしたいのは判るが、束縛までいっちゃマズい」

オカッパ女子「……」プイッ

男「こっち見ろよ」ギギギ

オカッパ女子「むぐぐぐ」

男「あのな、同性でも異性でも友人は友人だ。諸々の感動は在るだろうが、そこは変わらない」

オカッパ女子「……」

男「ラフで良いんだ、ラフで。おれ達みたいにさ。判るか?」

オカッパ女子「……うん」

男「誰かに……例えばおれに少女さんとお前の交友邪魔されたらどうだ?」

オカッパ女子「嫌……」

男「だろ?だったら、もう誰かを排他するような考えはするな。したら、お兄さん泣いちゃうからな」

オカッパ女子「…………判った……」

326: 2011/02/06(日) 16:11:22.15 ID:LD6eLgoSO
男「はい、いい子いい子ー」ナデナデ

オカッパ女子「……」ペシッ

男「おっと。しっかし、何であいつだけなんだ?」

オカッパ女子「……理由はもう言ったよ」

男「お前は嘘を吐いてる。おれには判る」

オカッパ女子「……」

男「優しすぎるんだよ。誰かを嫌いになることが出来ない程に。さっきの陰口も胸痛めながらだろ」

オカッパ女子「違う……」

男「その意固地な反応……もしかしておれに論破されたいのかにゃ?」ニッ

オカッパ女子「言い方がいやらしい……」

男「そりゃ、隠し事聞き出そうとする悪党だし」

オカッパ女子「聞からたくないから隠すのに……」

男「相談持ちかけられて手ぶらってのはどうもね」

オカッパ女子「……その性格、そろそろ変えた方が良いと思う……」

男「無理な相談だぜ、お嬢ちゃん」

オカッパ女子「……」

男「それで、黙り、論破、告白。どれ選ぶんだ?どれ選んでも結果は変わらねぇぞ」

327: 2011/02/06(日) 16:12:16.29 ID:LD6eLgoSO
オカッパ女子「……笑わない?」

男「無論」

オカッパ女子「気味悪がったりしない?」

男「しない」

オカッパ女子「言い触らさない?」

男「あぁ」

オカッパ女子「……私を……嫌いにならない?」

男「絶対にな」

オカッパ女子「……」

男「……」

オカッパ女子「……あの人…少女ちゃんのこと好いてる……」

男「好きな奴なら腐る程いるだろ」

オカッパ女子「あの人だけだもん…」

オカッパ女子「本気で……本気で少女ちゃんを彼女にしたいって思ってるの……」

男「……確かに。他の奴等は高嶺の花って見てるな」

オカッパ女子「うん……」

男「で?」

オカッパ女子「……え?」

男「なんでそっから邪魔したいに繋がるんだよ」

オカッパ女子「鈍い」

男「あぁ?」

オカッパ女子「……もん…」ボソッ

男「声小せぇ。モアラウドボイス」

オカッパ女子「好きなんだもん!」

男「お、おぉ?」

オカッパ女子「……うぅ///」カァァア

男「……好きって……ラブ……?」

オカッパ女子「……///」コクッ

男「……」

男「マ、マジ…かよ……」

328: 2011/02/06(日) 16:14:23.31 ID:LD6eLgoSO


男「おい」

おさげ女子「……?」キョロキョロ

男「あんただよ」

おさげ女子「えっ、私?」

男「お前」

おさげ女子「……何で?」

男「お前少女さんと仲良しじゃん」

おさげ女子「男くんも仲良しじゃない」

男「別にそう言うつもりで言ったんじゃねぇよ」

おさげ女子「じゃぁ、何?」

男「単純に仲良しだなって話」

おさげ女子「ふーん」

男「お前、少女さん好きか?」

おさげ女子「えっ?」

男「好きかって聞いたんだ」

おさげ女子「……それ、答えなきゃダメ?」

男「ダメですねー」

おさげ女子「……好き」

男「へぇ」

おさげ女子「……」

男「……」

おさげ女子「……ぁぁあ!もう!小恥ずかしい!!これで満足した!?」

男「それ、友達としてだよな」

おさげ女子「……?当然じゃない」

男「そうか」

おさげ女子「……あ!もしかして、男くんって百合萌えなの?」

男「富士樹海に投棄されたいならそう思ってくれても構わないぜ?」

おさげ女子「じ、冗談よ……」

329: 2011/02/06(日) 16:16:02.48 ID:LD6eLgoSO


サッカー部員1「好きな奴?」

男「あいつ以外で誰かいねぇか?」

サッカー部員1「うーん……ガリが怪しいが……」

男「あいつ直接に話したこともないだろ」

サッカー部員1「俺の知る限りでは見たことないな」

男「おれが言ってんのは、良く話しをしてて好意持ってる奴だ」

サッカー部員1「ちゃ――

男「そいつ以外っつってるだろうが」

サッカー部員1「なら知らねぇよ。皆が皆、恋心をオープンにしてるワケじゃねぇし」

男「だよなぁ」

サッカー部員1「ってか、お前が知らないのに俺が知ってるワケねぇだろ」

男「何で?」

サッカー部員1「パイプはお前の方が多いよ」

男「そうか?」

サッカー部員1「あぁ、自信持って言える」

男「やっべー、自分の中で当たり前と思ってたから気付かなかったわー。当たり前過ぎてー」

サッカー部員1「カチンと来た」

男「お前はどうなんだ?」

サッカー部員1「俺?俺は彼女いるしなぁ」

男「それ初耳なんだが」

サッカー部員1「あっ、いっけね!周知の事実と思ってたからうっかり言っちまったよー。別に自慢する気無いのにうっかり言っちまったよー」

男「殴って良いか?ってか、殴らせろ。御祝儀代わりにさ」パキパキ

サッカー部員1「骨の鳴らし過ぎは関節痛の元だぞ」

男「んなの気にしていられないよ 若者だもの    みつを」

サッカー部員1「お前、先生に謝ってこい」

男「面倒臭い」