1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 13:59:26.81 ID:n0HErclq0
さやか「えっ……」

恭介「だってそうだろう、そんなことを言うなんて」

さやか「ち、違うよ恭介……あたしは、ただ……」

恭介「ただ?ただなんだっていうのさ」

さやか「あたしはただ、お腹がすいたなぁって思ったから」

恭介「それで僕に、」

さやか「パン買ってきて、って……言ったんだけど」

恭介「……それがいじめじゃなくてなんだっていうんだ!」

さやか「えっ、えぇっ?!」



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:04:25.32 ID:n0HErclq0
さやか「違う、そうじゃないよ恭介」

恭介「違う?君が今言った言葉、それがパシリといういじめじゃないなら他になんだって言うんだ」

さやか「私は、だからただ……お腹すいたなぁって思っただけで……」

恭介「それでなんで僕をパシリに遣わせるんだよ!! 」

さやか「え、だってあたしが行くのは億劫だし……」

恭介「君の、君が食べるパンだろ?!君が買いに行けよ!」

さやか「よしわかった恭介、じゃあこうしよう。……半分、いや三分の一くらいは分けたげるから」

恭介「そういう問題じゃないだろっていうかちょっとケチった?!」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:09:23.77 ID:n0HErclq0
恭介「オーケーわかった、仮に僕が五体満足健康体だったとしよう。それなら買ってきてあげないこともない」

さやか「ほう」

恭介「でも……さやか。これがなんだかわかるかい」

すっ

さやか「松葉杖だね」

恭介「こんなので僕に買いに行けっていうのかい?!君はどこまで僕をいじめたいんだ!!」

さやか「ままま待ってよ恭介、べつにあたしは恭介をいじめたいわけじゃ」

恭介「それに!手だって動くようになったとはいえまだ包帯ぐるぐる巻きだ!!これじゃ会計のときに小銭も出せやしない!」

さやか「んー、じゃあお札崩そうよ」

恭介「違うっそういう問題じゃない!!」

さやか「……??」

恭介「……なんで本気でわからないって顔をするんだい」


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:14:35.60 ID:n0HErclq0
恭介「……ちなみに」

さやか「?」

恭介「ちなみに聞くけど、どこのパンが食べたいのさ」

さやか「セブンイレブン」

恭介「……今10時半だろ。つく頃には閉まってるよ」

さやか「あー……そっか……三滝原唯一のセブンイレブンはホントにセブンオープンイレブンクローズだったね」

恭介「松葉杖じゃどんなに急いだってセブンイレブンまで50分はかかる。今日はもう無理だよ、諦めてくれないかな」

さやか「んー、じゃああそこでいいよ。ほらちゃんと24時間やってるところ」

恭介「あれは向こう岸じゃないか……っていうかその君が譲歩してあげてるみたいな言い種すっげぇムカツク」


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:20:58.63 ID:n0HErclq0
さやか「むー。パン食べたい」

恭介「ああもう。家に帰って食パンでもかじってなよ」

さやか「やだよそんなの味気ない。マーガリンとイチゴジャム挟んだコッペパン食べたいー」

恭介「ああ、あれね……確かに美味しいけど」

さやか「お、恭介あんたイケるクチだね」

恭介「まぁ、安くて量もそれなりだしよく買う……ってそうじゃない。そんなの家で作れるだろ」

さやか「……」

恭介「ね、もういいでしょ諦めてよ」

さやか「わかった。パンは諦める」

恭介「分かってくれて助かるよ……って、『パンは』?」

22 ::2011/11/08(火) 14:26:28.96 ID:n0HErclq0
さやか「おでん食べたい」

恭介「はぁっ?!」

さやか「ほらほら、さいきん寒いじゃん」

恭介「いや、寒いのは確かに寒いけど」

さやか「おでんが恋しい季節だよねー」

恭介「ごくり……いや違うそうじゃない」

さやか「コンビニおでんの最強はセブンイレブンだと思うのよ!」

恭介「三滝原には他にコンビニないけどね」

さやか「というわけで。ゴッ恭介ゴッ」

恭介「……またイチから説明しなきゃいけないのかい、僕は」



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:31:38.62 ID:n0HErclq0
恭介「だからね、さやか」

さやか「うん」

恭介「今からじゃセブンイレブンに行っても間に合わないの」

さやか「あ・そっかこの時間帯はまだ具をあっためてるくらいの……」

恭介「だから違うって言ってるだろ?!」

さやか「それとももう売り切れかな?」

恭介「売り切れかどーかは分からないけど……それ以前の問題だって。だから、今行ってもつく頃には閉まってるの、店が」

さやか「あ……あ、ああー!そっか、それで無理なんだ!!」

恭介「……チッ」

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:37:22.54 ID:n0HErclq0
さやか「よしじゃああそこ行こう!ちゃんと24時間開いてるとこ!」

恭介「……天丼」ぼそ

さやか「ん?なに恭介天丼食べたいの?」

恭介「いや、なんでもないよ。だからあれは向こう岸じゃないか」

さやか「行こうよ、向こう岸」

恭介「フェリー使うんだよ?」

さやか「使おうよフェリー」

恭介「マジでか……マジで言ってるのか……さやか☆マジか……」

さやか「ちなみになんてコンビニだっけ?」

恭介「グリーンマート高橋」

さやか「あはは変な名前」


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:45:40.17 ID:n0HErclq0
恭介「ん?まてよ」

さやか「?」

恭介「フェリーもう終わってるわ」

さやか「へっ」

恭介「最終便が16:45だったはずだからね」

さやか「がーん!!」

恭介「残念だねさやか、どうやら今日のところは本当に無理みたいだ」

さやか「……むむむー」

恭介「おでんでもパンでも、もう少し早く言ってくれたらよかったんだけど」

さやか「そだね……この時間に食べると太るしね」

恭介「え、そっちの反省?」

さやか「ぐぅ。仕方ないね、今日はお腹からっぽだけど仕方ないか。諦めるよ」

恭介「そう……」

恭介(ってちょっと待てなんで僕買いに行けたら行くみたいなこと言っちゃったんだ)



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:50:56.61 ID:n0HErclq0
さやか「よし!じゃあ恭介!」

恭介「うん?」

さやか「明日いこう!」

恭介「……え?」

さやか「あした、朝イチのフェリーで向こう岸いこう!そんでおでん食べようよ!ごぼうとからし分けたげるから!!」

恭介「……はは。なにその妙なチョイス。せめて汁も欲しいんだけど」

さやか「む、しょうがないなぁ。じゃあ汁もちょっとあげるね」

恭介「うん。ありがとう」

さやか「いやいやこちらこそ。ゴチになります」

恭介「え?!奢るの僕?!」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 14:59:21.39 ID:n0HErclq0
さやか「あ、パンも買おう。マーガリンとイチゴジャムのあれ」

恭介「はいはい……僕もちで、ね」

さやか「七分の二くらいは分けたげる」

恭介「え?うんそれ……減った?さっきより減ったの?」

さやか「えへへ。楽しみだね」

恭介「はぁ……。そう、さやかが楽しみなら、それでいい……」

恭介(……こんな言葉が、すらっと出てくるなんて)

恭介(そうか……僕は、さやかのこと……)

さやか「おし!食うぞー!」

恭介「……さやか」

さやか「ん?」

恭介「……いや、なんでもないよ。呼んでみただけ」

さやか「なにそれ。ヘンな恭介」

恭介「君にヘンとか言われたくはないな」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 15:14:01.58 ID:n0HErclq0
恭介「あ、そういえばフェリーの始発だけど」

さやか「?」

恭介「昼過ぎだからね」

さやか「ふむ。じゃあおでんとパンはお昼ご飯だね」

恭介「そうだね」

さやか「ふふふ」

恭介「嬉しそうだね、さやか」

さやか「えへへ。恭介とお出かけ、そんでご飯。楽しみだなあ」

恭介「さ、もう今日は遅いから帰りなよ。松葉杖で送っていくと時間かかるから、見送りくらいしかできないけど」

さやか「うん。そうする」

恭介「じゃあねさやか、気を付けて。また明日ね」

さやか「うん!また明日!」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/08(火) 15:18:51.65 ID:n0HErclq0
~~~~向こう岸~~~~

恭介「え?!」









恭介「ここ、おでんないんですか?!」




おわり