1: ◆SWYGzMGb56 2013/08/12(月) 21:54:50.55 ID:MBEhXeX00
幼馴染「......」
男「......」
俺の名前は男。
そして目の前で、なんとも不機嫌そうな顔で
俺を睨むこの女の子は俺の幼馴染。
彼女の特徴を一つあげるとすれば......それは
非常に照れ屋なところだ。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376312090
2: ◆SWYGzMGb56 2013/08/12(月) 22:02:42.39 ID:MBEhXeX00
例えば俺が彼女の頭を撫でたとき
幼馴染「ちょ!! なに人の頭撫でてんのよ!!」
そう言って、俺を睨みつけてくる。
しかし、ここでやってはいけないことは......
彼女、幼馴染の頭から手を退けることだ。
俺の幼馴染は非常に照れ屋だ。
この言動はその自分の感情を隠しているに過ぎない。
ここで手を退けようものなら......
幼馴染「......ぁ」
彼女は悲しげな表情をしてしまうだろう。
4: ◆SWYGzMGb56 2013/08/12(月) 22:07:49.36 ID:MBEhXeX00
幼馴染「撫でるなとは......言ってないわよ......」
しかし、時には失敗もある。
現に俺は彼女の頭から手を退けた。
さて、この場合の対処は時間が重要だ。
男「幼」
幼「......え、ふむ!?」
まずは彼女を抱き締める。
すると彼女の身長は俺の胸くらいなので
抱き締めると自然と俺の胸に顔を埋めることになる。
5: ◆SWYGzMGb56 2013/08/12(月) 22:21:07.26 ID:MBEhXeX00
幼「ちょ!! 男......はぅ!?」
そして抱き締めたら次だ
彼女が喋りだす前に決めないといけない。
幼「は、離しなさいよ......んん!?」
そして俺は自分の腕の中で、もじもじと動いている
彼女の頭を優しく撫でた。
男「幼......幼......」
この時、余裕があれば
彼女を撫でながら名前を呼んであげる。
幼「な、なによ......いきなり何なのよ......」
すると、彼女のさっきまでの
トゲトゲした雰囲気は消え、変わりに
幼「こんなことしないでよぉ......もう......バカァ......」
顔をすっかり赤くさせ、上目で俺に
睨むという反抗手段しか持たない、可愛い女の子になる。
7: ◆SWYGzMGb56 2013/08/12(月) 22:29:02.18 ID:MBEhXeX00
男「幼」
幼「な、なによぉ......」
幼は照れ屋だ、俺が何かしら
幼にアクションを起こせば
大抵は照れ隠しという名の罵倒がくる。
男「髪、綺麗だな」
幼「だ、だから何よ!! は、早く離れなさいよ......」
しかし、先でも言ったが
素直に彼女の言葉をのんではいけない。
むしろ、対抗するくらいが良い。
8: ◆SWYGzMGb56 2013/08/12(月) 22:42:04.10 ID:MBEhXeX00
今回は幼の髪を褒めちぎる。
男「こんなに綺麗なのを維持するのって大変だろ?」
幼「それはまぁ......楽ではないけど」
男「だろ? でも幼は凄いなぁ」
男「俺がこうやって撫でても崩れないし、全然引っかからないし」
男「幼はえらいなぁ......よしよし」
幼「なぁ......!?」
するとどうだろう、幼は俺の胸に顔を埋めてしまった。
幼「ふ、ふりぇしくなんて......ふぁいんだふぁら!!」
声が籠もって聞こえづらいが
幼がこの行動をしている時点で
幼が喜んでいるのは一目瞭然だ。
現に、俺が離れようとしても幼は俺の服をしっかりと
掴んで離れない。
9: ◆SWYGzMGb56 2013/08/12(月) 22:46:15.74 ID:MBEhXeX00
と、このように俺の幼なじみは
非常に照れ屋さんだ。
口調はすこし凹凸あるが
その内側、心はとても純粋で
健気な温かい女の子である。
簡単にいうと、外はツンで中はトロトロである。
22: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 12:29:12.08 ID:t6BHdBHn0
しかし、この照れ屋な幼は
俺が他人に優越感を感じる要因、そして
この睨みながらも、その愛らしい瞳で俺を見つめる幼は
幼の家族と俺の家族以外、俺だけしか知らない
なぜなら............
幼「学校......怖いよぉ......男ぉ......」
学校での彼女は他人と接するのが不器用な女の子だからだ
24: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 12:39:42.02 ID:t6BHdBHn0
彼女は照れ屋だ
そしてそれが、他者が幼に近づきがたいという
非常に残念な効果を発揮している。
幼は基本的に受け身の立ち位置
つまり自分からは、他人に話しかけない。
学校では非常にクールで可愛い女の子だ。
それにより命名されたニックネームは
雪ダルマ
幼「......私って......太ってるの?」
半ば泣きながら俺に相談を持ちかけた昨年が懐かしい......。
男「きっと幼が校庭で楽しそうに雪ダルマを作っていたからだよ」
男子生徒曰わく、ギャップ萌えだとかなんとか......。
25: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 12:50:05.64 ID:t6BHdBHn0
というわけで
俺の幼は学校でこそクールな女の子ではあるが
俺と二人きりになると
幼「ねぇ......男」
たちまち快活な女の子になる。
男「どうした?」
幼「学校で会話してたあの女の子だれ?」
男「ああ、同じ委員会の子」
幼「ふ~ん、そうなんだ......」
26: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 12:58:33.47 ID:t6BHdBHn0
本などで見る照れ屋な女の子は
自身の照れを隠すために、多少暴力的な行動をする
それは彼女も例外ではない
現に幼は俺の脇腹にパンチしてきた
しかし、それは弱々しいものだ
幼の暴力は物理的な痛みでの暴力ではない
幼のその本質は先にも述べた......
健気さである。
幼「............」
ポス ポス
男「幼、言いたいことがあるなら口で言わないと駄目だぞ?
27: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 13:05:30.10 ID:t6BHdBHn0
幼「ず......ずるいわよ」
男「うん」
幼「私はあんな風に男と話せないもん......」
幼「あの女の子、ずるいわよ......」
幼「私だって......男と学校で、あんな風に楽しく話せたらなって......」
幼「そ、それだけ......終わり」
ポス ポス
そんな、小さい女の子が大事ものを横撮りされて
拗ねているような表情の幼には
男「そっか、ごめんな......」
謝るのが一番効果がある。
28: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 13:17:41.39 ID:t6BHdBHn0
幼「別に、謝らなくて......いいわよ」
と、幼は言うが、これは逆に慰めて欲しいと言っている証拠である
さて、ここで重要なのは
幼の健気な努力を褒めてやることだ
男「俺がその女の子と話しているとき、幼、物陰でこっち見てただろ?」
褒める材料は
学校で、もじもじ、しながら俺とその女の子を見ていた幼
そして、放課後に委員会で遅くなった俺を待ってくれた幼だ
幼「......む」
男「会話に混ざろうって頑張ってたもんな~」
幼「......うぅ」
男「そうやって努力してんだから、幼は偉いよ、よしよし」
ナデナデ
幼「べ、別に、嬉しくなんか......」
31: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 13:29:37.02 ID:t6BHdBHn0
男「それに俺のこと待っててくれたじゃないか」
幼「あれは......その、なんというかその......」
ここで高等テクニック、とは少し言い過ぎだが
幼が話している途中に、理不尽な愛情を与える
男「幼」
幼「なによ......ひぅ!?」
男「ああ~、幼~」
理不尽な愛情、それは幼を抱っこし、抱きしめることだ。
幼「ちょっと!! 降ろしてよ!! 私重いから......」
ちなみにここは俺の家なので問題はない。
男「幼」
幼「な、なによ......」
33: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 13:43:34.82 ID:t6BHdBHn0
そして幼を見つめ続ける
それは幼が照れて俺から目をそらすまでだ
それまで幼から目をそらしてはいけない
幼「な、なによもう......」プイ
幼が俺から目を逸らしたら
勝ちだ。
男「幼、ありがとうな」
幼「......!!」
男「幼のそんな健気なところ......」
男「大好きだ」
幼「!!??」
すると、彼女はたちまち
俺に視線を戻し、しかし言われたことが事なので
照れてまたすぐ逸らす、それを数セットほど繰り返す。
幼「な、なんでそんなこと堂々と......!!
あう......うぅ.....もぉ......恥ずかしと思わないの?」
そして、そんな彼女からを目を逸らさず見つめ続ける。
優しく見つめるのが大切だ。
幼「むぅ、ちょっとぉ、そんなに見つめないでよ!!」
幼「ああ、もぅ......んん!!」チラチラ
34: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 13:53:34.81 ID:t6BHdBHn0
幼「お、降ろしてよぉ......!!」
前に対抗するのがいいと言ったが
今回は少し捻りを加えてみようと思う。
男「嫌なら、抜け出せばいい」
男「俺、そんなに力入れてないよ?
抜け出そうと思えば、楽勝だよ?」
俺がそう言うや、幼は不意をつかれたような表情を浮かべ
そして、俺が本当に力を入れてないかを確認して
容易く俺の腕から抜け出した。
35: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 14:09:35.01 ID:t6BHdBHn0
そして、俺をまるで恨みがましく、しかしもの足りないような表情で
幼「......バカ......」
そう言い残し、俺の部屋の窓から自分の部屋の窓へと
飛び移ろうと足をかけたところで幼は
こんな言葉を、呟くように言った。
幼「う、嬉しくなんてないんだから......」
そして自分の部屋へと帰ってしまった。
幼は照れ屋だ。
しかし、それは本人も理解している。
だからこそ、ささやかに努力をし続けている。
俺は幼のそんな健気なところが......
男「ふぅ、可愛いやつめ」
とても、魅力的だと思う。
44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/13(火) 17:26:41.38 ID:t6BHdBHn0
幼は照れ屋で、健気だ
ある意味自分の気持ちを素直にさらけ出している。
そして、学校では俺と話したいなと
もじもじ、しながら機会をうかがう小動物だ
しかしながら、時に幼は、凄い行動力を見せる。
あれは昨年の2月、バレンタインデーだった。
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/13(火) 17:33:10.96 ID:t6BHdBHn0
残念ながら俺はチョコが苦手だった。
苦手というよりチョコを食べると鼻血がでる。
だからチョコは極力食べない。
しかし、その時ばかりはそうも言ってられなかった。
幼「お、男ぉ......」
その日はいつものように俺の部屋で
幼と他愛ない話しをしていた。
男「ん~なんだ?」
ふと、会話が途切れた時だ
幼が急にそわそわし始めた。
46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/13(火) 17:40:13.21 ID:t6BHdBHn0
幼「え、えと......その......」
そんな幼を俺は黙って見守っていた。
言いたいことは分かっていたが
こんな風に手をしきりに動かしながら
俺にどうやってその話を切り出そうかと
そわそわしている、この可愛い奴を
見ているのも悪くないと思ったからだ
47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/13(火) 17:51:32.11 ID:t6BHdBHn0
幼「......こ、これ......」
そしてそんな幼を見つめて数分......
俺の目の前には、手作りであろう
雪だるまの形をした平たいチョコレートが
俺に差し出すような感じで、幼の両手にのっていた
幼「た、たまたまお母さんが沢山チョコレート
買ってきたから......」
幼「だから、作っただけなんだから......」
幼「べ、べつにバレンタインデーとか......そういうわけじゃないから」
幼「か、勘違いしちゃいけないんだから......」
50: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 18:07:54.21 ID:t6BHdBHn0
そう言いながら
幼が作ってくれたチョコを受け取る
しかし、俺はチョコを食べると鼻血がでる
男「なぁ幼、俺チョコを食べると鼻血でるんだけど」
そう俺が言った瞬間、幼は俺を意地悪な目で俺を睨みつけてきた
幼「男ぉ......前に私に言ったわよね」
幼「食べ物の好き嫌いは駄目だって」
51: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 18:14:15.65 ID:t6BHdBHn0
男「これは好き嫌いではないと思うんだが......」
幼「でもチョコを食べて鼻血でるなんてマヌケよ
克服しないと駄目」
男「えぇ......」
男「でも毎年鼻血でるし......」
そう、この特訓らしきものは以前からしている
しかし、今だに克服できていない。
幼「そう言うと思って、私は策を考えてきたんだから!!」
男「ほう、どんなの?」
52: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 18:20:54.66 ID:t6BHdBHn0
俺がそう言うと幼は堂々と言った
幼「チョコを食べると鼻血がでる」
幼「その考えを壊せばいいのよ!!」
つまり固定観念を壊すということだが
男「で、どうやって破壊するの?」
幼「ま、まぁ......それは......ね?」
男「はぁ......」
幼「ほ、ほら私達......こ、恋人じゃない?」
男「うん」
53: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 18:29:22.42 ID:t6BHdBHn0
幼「つ、つまり......私にとっては男が.......ね?」
男「うん」
幼「で、でも私って学校とかだと男と話せないから......」
幼「そ、その分も兼ねての策を考えてきたわけで......」
男「つまり......?」
幼「......なんだから......」
男「へ?」
幼「今日だけ、特別なんだからね!!」
と、大きな声で幼はそう言い放った後
雪だるまチョコを一口サイズにしてゆく
そして......全部バラバラにしたあと
その内のひとつを自身の口へ持っていき、それをくわえ
幼「ん!!」
俺に突き出してきた
55: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 18:39:18.65 ID:t6BHdBHn0
ここはあまり覚えてないから割愛しよう。
しかし、唯一覚えているのは
雪だるまチョコが全部なくなっていたことと
そして
チョコを食べて鼻血がでるのが治ったことだ
と、こういったように幼は
照れ屋で健気な一面をもち、そして
凄まじい行動力を見せる。
あ、あと一つ覚えていた。たしか幼が言っていたような......
幼「男......」
幼「お、美味しかった?」
幼「も、もしそうなら......」
幼「また......してあげても......いいんだから......ね?」
......今度は別の意味で鼻血がでないようにしよう。
そう俺は心に誓った。
67: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 21:56:16.02 ID:t6BHdBHn0
さて俺の幼の魅力、少しは理解してくれたかと思う。
しかし、今でこそこんな可愛い奴だが
付き合う前は中々に暴れん坊な奴だった
だが、それは敢えて言わない
なぜなら、当時の幼を明かしてしまえば
今の幼とのギャップについていけなくなる
それほどに暴れん坊な奴だった。
まぁ......中身はやっぱり今と変わらなかったが......
68: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 22:03:34.50 ID:t6BHdBHn0
その証拠に............
ピラ
ここに一通の手紙がある。
これは幼が俺にあてて書いた......そうラブレターだ
文面にはなんともスタイルの良い文字が連なっている
そして......照れ屋ながらも
自分の感情を懸命に言葉で表現した
幼の健気さも紙一杯に盛り込んである。
69: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 22:10:40.06 ID:t6BHdBHn0
これを俺はすっかり暗記するほどに読み込んだ。
それくらい俺にとって、幼の手紙に書かれた言葉達が
甘ったるくて、そして心地よかった。
というわけで今日も読むことにする
まぁ、寝る前に読むのが日課になっているからだが......
では、開始。
70: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 22:24:34.41 ID:t6BHdBHn0
男さんへ
こんにちは。男さん。
単刀直入ですが、私はアナタが好きです。
とってもとっても大好きです。
でもその気持ちとは裏腹にアナタには
つい無愛想な態度をとってしまいます。
でもそんな私にアナタはいつも笑ってくれます。
笑顔のアナタが好きです。
頑張る姿のアナタが好きです。
ちょっと抜けているアナタが好きです。
今はまだこの気持ちを直接伝えることは出来ませんが
近いうちに絶対、明かそうと思います。
それまで待っててください。
アナタを慕う人より。
71: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 22:32:36.17 ID:t6BHdBHn0
............
ふと見れば、ありふれた言葉だろう。
だが俺にとってはそんな言葉が
強く、強烈に、色鮮やかに刻まれた。
なぜならこの手紙を、俺のげた箱に入れる
幼の幸せそうな顔を見てしまったからだ。
その瞬間、俺は幼に惚れた。
手紙なんか見るまえにだ
何時もとは違う、屈託のない笑みを浮かべ
頬を淡く染めながら
その手に持った恋文をげた箱に入れる
そんな、初めて見つけた幼の心に
惚れないわけがなかった......。
72: ◆SWYGzMGb56 2013/08/13(火) 22:40:55.92 ID:t6BHdBHn0
ーーーーーーーーー
男「......」
男「......幼」
そして俺はこうして幼と恋仲になった。
あの温かくて、照れ屋で健気な、そして時には大胆な行動をする
そんな、小さくて可愛い奴と一緒になれた。
男「......おやすみ」
そして......できることなら......
男「......また明日」
これからもずっと幼と同じ道を歩んでいきたい。
87: ◆SWYGzMGb56 2013/08/16(金) 23:59:18.78 ID:I41Q4L9d0
俺の幼の特徴の一つに
学校での彼女は他人と接するのが不器用な女の子だ
と、俺は言った。
なら学校以外は? 検証してみた。
結果......。
男「幼~幼~」
幼「なに? そんなにニコニコしてどうかしたの?」
男「買い物いこう」
幼「......コンビニ?」
男「いや、商店街で......」
幼「やだ......」
男「え.....どうして?」
幼「人ゴミ......嫌い」
どこででも、幼は人見知りでした。
88: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 00:04:46.89 ID:l2KONt8z0
男「えー 幼行こうぜ?」
幼「い、嫌なものは......イヤなの!!」
さて幼の人見知りが
学校限定ではなく
もっと広い範囲であったことが分かった。
しかし......
男「だったら俺、一人で行ってくるよ?」
幼「ぇ......」
買い物に出掛けないと
今夜の夕食がなくなる
89: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 00:09:46.49 ID:l2KONt8z0
男「そんじゃ留守番よろしくな」
幼「え!? そんな......うぅ」
ということで、少し悲しいが今回は乱暴に扱う
男「行ってきまーす」ガチャ
幼「あ......お、男ぉ......」
おどおどしている幼を背に
俺は家を出た。
すると......。
ピリリリリ......。
90: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 00:15:40.06 ID:l2KONt8z0
男「幼、なに?」
幼[わ、私も行く!!]
男「でも人ゴミ嫌いって......」
幼[そ、それは気にしなくていいの!!]
幼[今から準備するから待ってて!!]
幼[お、置いていったら......許さないんだから......]
プツ、ツー ツー
91: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 00:22:13.41 ID:l2KONt8z0
幼は人見知りだ。
でも、俺といるのが好きだから
そして学校だとどうしても離れてしまうから......
幼「男......」タタタタタ
その分を取り戻すように、それ以外では
ほとんど俺の隣にいる。
男「お、来たか」
幼「ほ、ほら......買い物行くわよ?」そわそわ
男「はいはい、あそうだ......ほら」
男「はぐれないように、手繋ごっか」
92: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 00:27:58.89 ID:l2KONt8z0
幼「は......恥ずかしいわよ......」
男「ん、そうか......分かった」ナデナデ
幼「で、でも!!」
それに俺もなるべく幼の隣にいたい
幼「お、男がどうしてもって言うなら......」
だから、俺は幼の人見知りを
少しだけ克服させようと思う。
男「幼」
幼「......な、なによ」
93: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 00:38:08.97 ID:l2KONt8z0
男「俺と、手を繋いでくれ」
幼「......ぁ」
そうすれば......
この真っ赤で可愛い奴と色んな場所に行けるから
幼「と、とくべつ......なんだから......」
これは幼への愛情だ
ギュ
男「......行こっか?」
幼「......」コクン
幼を俺好みに染め上げる。な
97: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 01:22:46.88 ID:l2KONt8z0
さて、幼の人見知りを少しだけ克服させる
俺のささやかな目標が出来たわけだが
いかんせん、上手くはいかない。
学校では......
~ワイワイ ガヤガヤ~
男「(幼、頑張れ~......)」
幼「ぁぅ......!! ぇ......!!」もじもじ
モブ女「幼ちゃんどうしたの?」
男「(お、これは......!!)」
幼「......!! な、なんでもない......」プイ
男「(あらら......)」
98: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 01:28:09.40 ID:l2KONt8z0
商店街......。
幼「............」ソワソワ
男「幼、大丈夫?」
幼「こ、こんなのどうってこと......ないもん」
口ではこう言っているが、か細い声と
俺に引っ付いているという
この二つの要素のせいで
説得力がまるでない。
男「帰る......?」
幼「......うん」
99: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 01:41:19.64 ID:l2KONt8z0
~男の部屋~
とこのように
難航してしまっているのが現実だった。
男「ふーむ」
しかし、諦めるのはまだ早い。
幼「すぅ......すぅ......」スヤスヤ
この俺の肩にもたれて眠る小動物の
人見知りを克服させるのを諦めるのは
まだ早い。
幼「......ふにゅ、ジュル」タラリ
男「ああ!! 幼、俺のシャツに!! はぁ......」
101: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 12:09:25.55 ID:l2KONt8z0
幼「あ、挨拶運動......?」
男「そ、明日の朝に幼もするから」
幼「そんなの聞いてないわよ......」
この、目の前でムスっとした顔で俺を睨んでいる美少女は
みんなご存じ、照れ屋な幼だ。
そんて人見知り。
ちなみに挨拶運動というのは
俺の入っている生活委員会が行う
学校生活をより良いものとする活動の一つだ
朝、昇降口前に立ち
登校してくる生徒に挨拶する。
102: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 12:17:53.40 ID:l2KONt8z0
男「幼にはぜひ参加してほしい」
そう俺はこの挨拶運動で
幼の人見知りを克服させることにした。
幼「そんなの、生活委員だけで足りるでしょ」
男「幼の人見知りを克服させたいんだ」
幼「む......」
男「な?」
幼「もう、分かったわよ......し、仕方なくなんだから......」
そして何だかんだ言いつつも
頷いてくれる、この頑張り屋は
男「よっしゃ、頑張ろ」ワシャワシャ
幼「ふん......」
やっぱり俺の好きな幼だ。
104: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 12:24:13.40 ID:l2KONt8z0
~翌日~
しかし、現実は中々に厳しい。
ワイワイ ガヤガヤ
男「おはようございまーす!!」
幼「ぅ......ぁぁ......ぇぅ-......」もじもじ
只今俺達は、生活委員会数名と挨拶運動をしている。
生活委員会「おはようございまーす!!」
オハヨー オ~スッ
幼「............ぉ、ぉぅ.......ぬぅ」もじもじ
105: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 12:31:00.62 ID:l2KONt8z0
幼が顔を伏せながら、何かを言っているのは
分かるが......。
男「幼、声小さいよ......」
幼「......好きで小さくしてるわけじゃ......ないもん」
男「はぁ~ほら、頑張って」ペシペシ
幼「......負けないもん......負けないもん」
106: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 12:38:26.40 ID:l2KONt8z0
テイク1
オハヨー
幼「お、おはよ.......ござ......「おはようございまーす!!」
幼「バカ......バカ......!!」ポスポス
男「ほれほれ~もっと大きい声で言わないと~」
テイク2
オイ~ス
幼「お、おはよ.....」
~ ああ~幼ちゃんじゃん ~
~ 幼ちゃんおはよー ~
幼「お、おす......」
男「運動部かお前は......」
107: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 12:44:02.49 ID:l2KONt8z0
テイク3
オハザース!! アザス!!
幼「お、おはよ......」
男「(お......?)」
幼「おはようございます......」もじもじ
~声 ちっさ!! ~
~ オウオウ 挨拶は大きくだぞ? ~
男「(まぁ、言うとおりだよ......)」
108: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 12:48:13.39 ID:l2KONt8z0
~ ほら頑張って ~
男「(なんか捕まった......)」
幼「お、おはよ......」
~ あーあー聞こえなーい ~
幼「おはよう......!!」
~ 小さいぞー小さいぞー ~
幼「......おはようございます......!!」ピクピク
~ 俺、耳遠いんすわw ~
幼「......!!」ブチ!!
109: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 12:52:28.86 ID:l2KONt8z0
幼「もう!!! うるさいうるさいうるさーい!!!」
男「!?」
幼「別にあんたのために挨拶してるわけじゃないもん!!」
~ お、おう ~
幼「おはようございます!!」
~ お、おう、おはよう~
幼「くぬぅ............もぉぉぉぉ......」
幼「バカーーーーーー!!!」
ダダダダダ!!!
110: ◆SWYGzMGb56 2013/08/17(土) 13:01:46.34 ID:l2KONt8z0
幼はそのままどこかへ走り去っていった。
男「(......まぁ、最初はこんなもんかぁ)」
~ なんかわりぃな ~
~ ごめんな ~
男「いいよいいよ、気にすんな」
俺の幼の人見知り克服計画は
男「さて、探しにいかねぇと」
始まったばかりだ。
ーーーーーー体育館裏
そして
幼「悔しくないもん......悔しくないもん」グスン
男「よしよし、今日は頑張ったな偉いぞ」ナデナデ
幼「うぅ.......激おこむか着火ふぁいゃ......グスン」
男「お、落ち着け......」
道のりは険しい。
117: ◆SWYGzMGb56 2013/08/18(日) 13:14:51.47 ID:D+fU02cl0
幼の人見知りを克服する。
そして俺はこれともう一つ
幼の照れ屋なところも克服させようと思った。
だが結論を言うと、これは失敗した。
というより、止めた。
俺には、これを克服させることなんて
とても出来なかったからだ。
118: ◆SWYGzMGb56 2013/08/18(日) 13:18:57.74 ID:D+fU02cl0
男「幼」
幼「な、なによ」
男「好きっていってくれ」
幼「はぁ!?」
俺が幼の照れ屋を克服させたかった理由。
それは幼に直接、好き、といってほしいからだ。
男「幼、俺はお前が好きだ。幼は?」
幼「......な、なによ突然、そんなこと言えるわけ......」
119: ◆SWYGzMGb56 2013/08/18(日) 13:25:16.67 ID:D+fU02cl0
男「俺は正直、不安だ。幼に好きって
口で言われたことがない」
幼「そ、そんなの態度で察しなさいよ......」
たしかに態度ではもう明らかな幼ではある。
しかし、俺はなんとしても、目の前で
もじもじしてるコイツから、好きといってほしかった。
幼「じゃあ......変わりにハグで......」
男「却下」
幼「ぬぅ......なら、き......」
男「ボイスで」
幼「なぁぁ......」
幼から妥協案が提案されるが
俺は譲らなかった。
121: ◆SWYGzMGb56 2013/08/18(日) 13:29:15.50 ID:D+fU02cl0
男「幼」
幼「むぅ......そんな顔で見つめないでよ......!!」
幼「こ、断れなくなるじゃない......」
と幼はせわしなく身体やら視線やらを動かし
もそもそと何かを呟く。
そして......
幼「わ、分かったわよ......」
男「おお!! 本当か?」
ついに幼が頷いた。
124: ◆SWYGzMGb56 2013/08/18(日) 13:36:38.10 ID:D+fU02cl0
しかし。
幼「でも、やっぱり恥ずかしいから......」
男「え?」
幼「か、紙頂戴......」
男「え、いや紙に書くとか......」
幼「いいから!!」
男「ふぅ、分かった ほい」
そして俺は授業ノートの紙一枚を幼に渡す。
幼「......」
それに幼は何かを書く始める。
125: ◆SWYGzMGb56 2013/08/18(日) 13:44:07.04 ID:D+fU02cl0
幼「ん!!」
そして書き終えた紙を、自身の顔を隠す形で
俺に見せた。
男「嘘?」
紙には大きく嘘と書かれていた。
俺は最初意味が分からなかった。
男「幼、これなん......」
幼「嫌い」
男「.......へ?」
126: ◆SWYGzMGb56 2013/08/18(日) 13:49:09.33 ID:D+fU02cl0
幼「嫌い、男のこと嫌い......」
男「(......あ、そうか)」
幼「嫌いなんだから......男なんて嫌いなんだから」
男「(これは、なんとも斬新な......)」
幼「男のことなんか......大嫌いなんだから......」
男「うん、そっか」ナデナデ
幼「あ、頭なでないでよ......」
127: ◆SWYGzMGb56 2013/08/18(日) 13:53:12.06 ID:D+fU02cl0
俺は幼の照れ屋を克服させようとしたが
諦めることにした。
男「まったく可愛いことしてくれちゃって」
幼「う、嬉しくなんて......ないんだから」
なぜなら......
男「幼らしいな」
幼「......ふん」
この照れ屋なままの方が
幼がとても魅力的だからだ。
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