1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 19:48:27.80 ID:cbPU6B9x0
~綾の家~

綾「……」カリカリ

綾「はぁ……疲れたー」

綾(おやつでも食べて息抜きしよう)

綾(確か取っておいたプリンが冷蔵庫にあったはず……)ガタッ

カサカサ……

綾「うん?」

綾(今なにか聞こえたような……)



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 19:51:49.99 ID:cbPU6B9x0
綾(気のせいか……)

カサカサ……

綾「……」

綾(タンスの裏から聞こえる……)チラッ

カサカサ……

綾「……っ!」

綾「いやああああ!」


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 19:54:35.92 ID:cbPU6B9x0
綾(ゴキブリだいっっきらい!)

綾「あああー、どうしよどうしよ」

カサカサ……

綾「こっちこないでええ!」バタバタ

綾(ここ二階よ……?)

カサカサ……

綾「助けてええええ! お母さああん! 陽子おおおおお!」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 19:56:53.89 ID:cbPU6B9x0
綾(そうだ、お母さんに退治してもらおう)

~リビング~

綾「お母さん!」

シーン

綾「あれ? いないの?」

綾「お母さーん!」

綾(いないわ)

綾(ああ、まずいわまずいわ)

綾(どうすればいいの……?)

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 19:59:58.76 ID:cbPU6B9x0
綾(自分で立ち向かうしかないの……?)

綾(まさか新聞紙丸めて戦うわけには……)

綾(そうだ、殺虫剤……)

綾(どこにしまってあったっけ……?)

綾(最近遣ってないから忘れちゃった……っ!)

綾(ああ、こうしている間にも私の部屋をゴキブリが這いまわって……)ゾクゾク

綾「いやああああ!」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:02:32.50 ID:cbPU6B9x0
綾「はあ、はあ……」

綾(落ち着くのよ綾……)

綾(こういうときは、どうすれば……)

綾(誰かを呼べば……そうよ!)

綾(陽子、陽子なら虫は平気そうだわ)

綾(陽子の家に電話して、来てもらうのよ……)

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:05:14.45 ID:cbPU6B9x0
prrrr……

陽子「はい、もしもし」

綾「はあ、はあ……」

陽子「おい、どうしたんだ?」

綾「今すぐ、私のうちへ……来て……」

陽子「よ、よし分かった。ちょっと待ってて!」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:08:44.29 ID:cbPU6B9x0
ピンポーン

綾(や、やっと来てくれたのね……)

ガチャ

陽子「綾! 大丈夫か!?」

綾「う、うん、なんとか……」

綾「ちょっと落ち着いてきたわ」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:11:24.96 ID:cbPU6B9x0
陽子「なにがあったんだ?」

綾「驚かないで、聞いてくれる?」

陽子「うん」

綾「じ、実は……」

綾「私の部屋に、ゴキブリが……」

陽子「うん、それで?」

綾「私じゃどうしようもできないから、陽子に退治してもらおうと思って……」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:14:23.01 ID:cbPU6B9x0
陽子「へ?」

綾「へ、ってなによ」

陽子「もしかして私、それだけの為に呼ばれたの……?」

綾「そ、それだけの為って……ゴキブリが、あのゴキブリが出たのよ!」

陽子「はあ……」

綾「はいこれ新聞紙。これ丸めて早く私の部屋に来て!」

陽子「う、うん、わかった」

陽子(私の心配を返してほしい)

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:17:39.99 ID:cbPU6B9x0
綾「このドアを開けると私の部屋よ」

陽子「いや、知ってるよ……」

陽子「じゃあ、綾はここで待ってて」

綾「うん」

綾(で、でも陽子がゴキブリと戦ってる間に、見られたくないもの見られたら困るし……)

綾「や、やっぱ私も入る!」

陽子「なんで!?」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:21:02.92 ID:cbPU6B9x0
ガチャ

陽子「おじゃまします」

綾「い、今はどこかに隠れてるみたいね」ドキドキ

……

陽子「……あのー」

綾「え?」

陽子「私にしがみつくの止めてもらっていい?」

綾「はっ!?」バッ


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:24:10.49 ID:cbPU6B9x0
カサカサ……

綾「ひっ」

陽子「出たな」

陽子(実は私もあんまり得意じゃないんだよな)

陽子(でも、綾の為だし……)

陽子「えい!」バシッ

陽子「避けられたか」

綾「ひい、早くやっつけてぇー!」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:27:38.67 ID:cbPU6B9x0
陽子「やあ!」バシッ

カサカサ……

綾「ひい、こっち来た!」

陽子「ほっ!」バシッ

カサカサ……

綾「いやああああ!」

陽子(うるさい)

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:30:13.25 ID:cbPU6B9x0
陽子「よっ……と」バシン

陽子「ふう、やっと潰せたか」

陽子「なかなかの強敵だった」

綾「はあ、はあ……。やっと、終わったのね……」

陽子「なんで綾のほうが疲れてるんだよ……」

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:33:30.95 ID:cbPU6B9x0
綾「よ、陽子、ありがと」

陽子「いや、別にいいよ」

綾「なんだか、すごくかっこよかった」

陽子「そ、そう?」

陽子(ちょっと照れるな……)

綾「まるでお父さんみたいに頼りがいがあったわ」

陽子「それほめてるのか?」

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:36:34.97 ID:cbPU6B9x0
綾「じゃあもう帰っていいわよ」

陽子「いやいやちょっと待ってよ!」

綾「どうしたの?」

陽子「お礼のお茶ぐらいあってもいいと思うんですけど……」

陽子(心配させられたんだし……)

綾「そ、そうよね、ごめん」

綾「じゃあおやつ取って来るわね」スッ

ガチャ、バタン

綾(今にして考えると、こんなことで呼び出して迷惑だったかも……)

綾(来てくれてよかった……)


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:39:16.34 ID:cbPU6B9x0
陽子(ゴキブリの後始末でもするか)

陽子(新聞紙に丸めときゃいいよな)グルグル

ガシャーン!

陽子(あっ、タンスの上のかごが)

陽子「ちょっと派手に戦いすぎたかな……」

陽子(片づけてやるか……)ガサガサ

陽子(あれ、かごになにか紙が貼ってある)

宝物

陽子(宝物か、ふーん……)


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:42:12.53 ID:cbPU6B9x0
陽子(ん、これなんか見覚えあるな……)

陽子(これもだ)

陽子(なんだっけな……)

陽子(えーと、そうだ!)

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:45:19.68 ID:cbPU6B9x0
陽子(このペンも、このキーホルダーも、綾の誕生日に私が買ってあげたやつだ……)

陽子(綾、大切にとっといてくれてるんだな……)

陽子(さて、片づけたし、元に戻すか)

ガチャ

綾「お待たせー、って」

綾「な、ななななにしてるのよ///」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:48:54.82 ID:cbPU6B9x0
陽子「いや、落ちてきたからさ」

綾「な、中身は……」

陽子「片づけといたよ」

綾「え……」

陽子「そりゃあ落ちてきたら中身も散らばるだろ」

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:51:07.78 ID:cbPU6B9x0
陽子「片づけてあげたんだから感謝ぐらいしてよ」

綾「う、うん、ありがと……」

綾「でも、中身見たのよね……///」

陽子「うん、見た」

綾「……///」

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:54:31.72 ID:cbPU6B9x0
綾「も、もう!」バシッ

陽子「なんだよ、痛いな」

綾「だって、見るなんて信じられない……///」ポカポカ

陽子「偶然だろうが!」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:56:51.65 ID:cbPU6B9x0
綾「これ陽子にあげるつもりだったけど、あげないもん!」

陽子「おいしそうなプリン……」

綾「はいこれお茶! 早く飲んで帰って!」

陽子「な、なんでそんなに怒ってんだよ……」ズズー

綾「もう……」パクパク

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 20:59:06.92 ID:cbPU6B9x0
陽子(なんか不機嫌みたいだし、やっぱ帰ったほうがいいのかな)

陽子「お茶ご馳走さま。帰るよ」

綾「うん、さよなら」

陽子「……」

ガチャ、バタン

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 21:02:04.23 ID:cbPU6B9x0
綾(宝物を見られた……)

綾(ゴキブリは出るし、見られたし、ひどい一日だったわ)

綾(ああ、恥ずかしい恥ずかしい!)

綾「はあ……」

シーン

綾(……寂しい)




36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 21:05:13.41 ID:cbPU6B9x0
綾(はっ! 私なんで陽子を帰しちゃったんだろ)

綾(陽子はなにも悪いことしてないじゃない……)

綾(虫退治までしてもらったのに……)

綾(しかも陽子にあげる予定だったプリンも食べちゃったし……)

綾(明日、陽子に謝らなきゃ)



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 21:08:21.56 ID:cbPU6B9x0
~翌日、教室~

綾「陽子、ごめん!」

陽子「いきなりだな」

綾「昨日せっかく来てもらったのに、あんな帰らせ方して」

陽子「ああ……」

陽子「私が綾の宝物見ちゃったからでしょ?」

綾「そ、そうだけど」

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 21:11:05.45 ID:cbPU6B9x0
陽子「私のほうこそ、見ちゃってごめんね」

綾「も、もうそれはいいの。たまたまじゃない……」

陽子「私嬉しかったよ。ああして大事にプレゼント保管してくれてて」

陽子「綾って友達思いだね」ニコッ

綾「っ! なによ///」

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/09/29(日) 21:14:06.91 ID:cbPU6B9x0
綾「別に陽子の為にとってあるんじゃないんだから……」

綾「でも、私もそう、言ってくれて……嬉しいわ///」


おわり