1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:01:56.30 ID:5J3PqpFU0

2年前

アレっきり会う事の無かったアポロに突然会おうと言われた時

ラムダは正直

「やっぱりなぁ…」

と思っていた。

最近良く、アポロが昔の同僚達に

ある話を持ちかけているという噂を

ラムダは聞いていたからだ。



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:03:41.63 ID:5J3PqpFU0

どうせ、アレ以来就活もせずにプラプラしているラムダに

その話を薦めるのだろうとピンと着た。

「おう、久しぶりだな。」

ラムダが呼び出された通りに

コガネシティの地下通路にある

アクアリウムバー『SANIGO』に行くとア

ポロはもうカウンターに座っていた。


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:04:28.91 ID:5J3PqpFU0

「あぁ。遅れて申し訳ねぇです。」

「突然すまんな、実はお前にちょっと話があってな」

「はぁ…」

「まぁ座れよ、何か飲むか?」

「んじゃまぁ、カルーアモーモーミルクで」

ラムダがそう注文すると、

ウンターのゴーリキーがものすごい勢いでシェイカーを振り始めた。




7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:12:50.11 ID:5J3PqpFU0

「ははっ、すげーな…」

「…。なぁラムダ、これで良いと思うか?」

「へ?」

そのとんでもないシェイキングにラムダが見入っていると

アポロもどこか納得のいかない顔で

ゴーリキーを見ながらそう問いかけてきた。

「ポケモンの使い方だよ…」

「…」

「…進化前のワンリキーでさえ人間の大人の筋力を優にしのぐ

その進化した姿、ゴーリキー。

シェイカーを振るのにコレを使うのが果たして本当に正しいのか?」

「…。さぁ、オレには良く分からないし正直…」

「関係ないか」

「…そうですね。もう、関係ない。」


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:14:53.70 ID:5J3PqpFU0

さっきまでの豪快なシェイキングとはうってかわっり

ゴーリキーは繊細な手つきでスッとラムダの前に

カルーアモーモーミルクを差し出してきた。

「甘えなぁ、うめぇ。…オレにはこれで充分だし、どうでも良いんですよ。」

俺がそう言ってタバコに火をつけると、アポロさんは呟いた。

「…ラムダ、賢いお前の事だ。もう分かっているんだろう?サカキ様の帰還はそろそろだ。今の修行を終えられて更に大きなお方となって帰ってくる」



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:40:48.75 ID:5J3PqpFU0

「…そうでしょうねぇ。3年前、サカキ様はあの小僧に負けた。

直後、ロケット団の解散を宣言し、こつ然と姿を消した。」

「あぁ。しかし姿を消したのはサカキ様だけじゃなかった…」

「…そうですね」

「あの小僧…レッドもだ…ッッ!!!」

その名を口にした瞬間

さっきまで氷の様にシンとした空気を放っていたアポロから

煉獄のようなどす黒い憎悪が放たれる。

店の水槽の中のトサキント達は、いち早くソレに気付き

ソワソワと落ち着きをなくしている様子だ。

「…シロガネ山の亡霊。」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:42:50.00 ID:5J3PqpFU0

「やはり知っていたかラムダ。

相変わらずお前は、知るべき事は尽く知っているな。」

「まぁ、あんなもん眉唾モンでしょ。そうカッカしなさんなアポロさん。

あんたらしくも無い。ほとんど都市伝説だ…。

ただまぁ気になる点があるとすれば…。」

「ピカチュウ…だろ?それにラムダ、俺がいつカッカなんてした?」

一瞬、あの子増の名前が出た瞬間、アポロから出た殺気は

ラムダの忠告で嘘の様におさまっていた。

しかし、水槽の中のトサキントはもうアポロの方を向かなくなっている。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:44:04.13 ID:5J3PqpFU0

「……うひゃひゃ。アポロさんだって知ってるんじゃぁないですか。」

「個人のお前と比較するな。私はこれでもカントー最大組織のボス代理なんだ。

それでもやっと集めた情報だぞ。

何せ奴と戦ってまともに喋れるトレーナーが少なすぎる…。」

「…いやまぁ、友達の知り合いの旦那とかそこらが大層なトレーナーだっただけですよ。」

「ふん。どうだか。」

「うひゃひゃ。…えっと、どこまで話したかな。

…そう。ピカチュウだ。これが妙に引っかかる。」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:46:24.83 ID:5J3PqpFU0

「あぁ…。」

「世にそうは居ない化け物じみたトレーナーの中で、ピカチュウ使い

となると更にその数は絞られる。まして消息不明ともなれば…」

「あぁ。十中八九アイツだろう。」

「…そして、アイツの出現はサカキ様の帰還に近い何かを感じますねぇ。

何て言うか、サカキ様とアイツはどうしたって似ている。

だからこそサカキ様はアイツを気に入っていたしアイツはサカキ様が気に食わなかった。」

「ふん。私は認めんがな。」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:48:02.21 ID:5J3PqpFU0

納得がいかないのか、アポロは手に持ったグラスを強く握りしめ

何かをごまかしている。

「うひゃひゃ。まぁ只のオレの見立てですからねぇ。そう気にしないで。

それでだ、オレが思うに、ここらが『限界』なんじゃぁねぇですかね?

天才トレーナー様たちの。」

「どういう事だ?確かに、私は奴の出現を確認した時

何故かサカキ様の帰還が連想された。

しかし、どうにもそれを言語化出来ていない。」

「言語化なんて大層なもんじゃねぇですがね、多分しびれを切らしてるんですよ

あの人達は。禁ポケモンバトルのね。うひゃひゃ。

全く、バトル馬鹿の気はしれねぇですがね。

あの小僧が1年持たなかったんだ、サカキ様だってそう長くは持ちませんぜ?」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:49:28.25 ID:5J3PqpFU0

久しぶりに思い出した二人がバトルをしている時の

あの顔があんまりにもおかしく感じてしまい、ラムダはにやついていた。

「成る程な…。

確かにシロガネ山の亡霊という噂も、都市伝説の様に扱われては居る。

しかし実際、奴に挑もうと登山する者が後を断たんという…。」

「そう。それも奴が望んだ事ですよ。

現に奴はシロガネ山から動かない。

もし、本当にポケモンバトルに嫌気がさし、まだそうならば

そこから動くべきだ。じゃないと挑戦者はひっきりなしに来る。」

「しかし動かないという事は…。」

「待ってるんでしょうんねぇ。強いトレーナーとのバトルを。

もう限界なんですよ。バトルがしたくてしたくて仕方ないんです。」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:51:12.06 ID:5J3PqpFU0

「ふっ。成る程な、妙に納得がいったぞ。

やはり見立て通りだ。サカキ様のご帰還は近い!!

そして、ラムダ。俺には…いやロケット団にはお前が必要だ。」

「…何だか気が着けば、俺も気が乗ってぺらぺらぺらぺら喋ってましたねぇ。

それに面白そうだ。まぁ、手伝える事があれば、手伝いますぜ。」

「良く言ってくれた。お前が居てこそのロケット団だ。」

「…うひゃひゃ。ソレは買いかぶり過ぎだアポロさん。

んじゃまぁ、ブランクもありますし、手始めにっと…。」

そう言うとラムダは、腰に着けていたモンスターボールの2つを店の中央に投げた。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:52:07.95 ID:5J3PqpFU0

ボールからはドガースがまず飛び出す。

「ドガース。『黒い霧』。」

ドガースから真黒な霧が噴出され、ただでさえ暗い店内は真っ暗になる。

何が起きたのか、起きているのか分からずに叫び

客達は場の混乱を一層厄介にさせている。

「お客様!!どうか慌てずに!!落ち着いて下さい!」

どうにかその場を落ち着かせようと、必死に店員は呼びかける。

「あぁ。うっせぇ。うひゃひゃ。うるせぇなぁ?ドガース。

お前も手伝え、『さわぐ』だ。」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:52:53.99 ID:5J3PqpFU0

店員の懸命なそれはドガースの不愉快な鳴き声に打ち消され、

どんどんと店内は乱れる。

慌てふためく客や店員達を尻目に、

シルフスコープをかけたラムダは依然座ったまま指示を出す。

「モンジャラ。『成長』。」

2つ目のボールから飛び出したモンジャラは、

黒い霧の中でグングンと成長し、そのツルの数を倍以上に増やしている。

「続けて『泥棒』。」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:53:30.32 ID:5J3PqpFU0

ラムダがそう指示を出すと

モンジャラはそのツルを店の中央から放射状に伸ばしその無数のツルで

客という客、店員という店員のもちもの、モンスターボールを『どろぼう』した。

「うひゃひゃ。人のモノをとるから泥棒。」

そう言って立ち上がり、ポケモンをモンスターボールにおさめると

ラムダは店を出て行き、地下通路を後にした。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:54:22.40 ID:5J3PqpFU0

「遅かったな。やはり少しなまっているようだな。」

地上に出ると、いつの間にか居なくなっていたアポロが

皮肉めいた笑みを浮かべて立っていた。

「うひゃひゃ。そう言うなよアポロさん。

それより…ソレ、どうやったんですかい?

進化してるし、しかも色違いじゃねぇですか…。」

ラムダが視線を向けた先には

さっきまでバーテンを勤めていたゴーリキーがカイリキーに進化し

アポロに付き従っていた。

「そう焦るなよ、らしく無いぞ。そうだな…俺たちは

ポケモンの『進化』を操ろうとしている。コレだけ教えておこう。」



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:54:56.00 ID:5J3PqpFU0

「うひゃひゃ。こりゃ楽しくなりそうだ。」

「そうだろう、まずは基地に来てくれるかラムダ。これからお前の歓迎会だ。

…それはそうと、『ロケット団の在り方』覚えているか?」

「あぁ。あのだっせぇ奴ですか。覚えてませんよあんなもん。」

「こら、それではいかんぞ!そもそもロケット団と言うのはだな…」

「へいへい。うひゃひゃ。」

悠長に歩きながら、二人は夜の闇に沈んで行く。

まるで、さっき犯した犯罪を忘れたかの様に。

犯罪の報いを忘れたかの様に。


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:55:33.56 ID:5J3PqpFU0

『SANIGO』の店内は彼等が忘れた犯罪を忘れる事なく、荒れている。

ある人は気を失い

ある人は恐怖のあまり部屋の隅やテーブルの下に隠れていた。

「キャー!!!!!!!!!!!!!」

事の終わりを感じ、恐る恐るその体をテーブルの下から出した

大人のお姉さんが何かを見てもう一度大声で叫んだ。


『Raid On the City Knockout Evil Tusks』


トサキント達が泳ぐ水槽には、黒いヘドロでそう描かれていた。


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/07(月) 03:56:06.46 ID:5J3PqpFU0

終わり

すっきりしたー

オリジンおもしろかったよな