1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 02:40:41.40 ID:/9SkLXNH0
P 「いやぁ、いよいよ冬も本格化って感じですね。この前なんか雪が積もったし。」

楓「そうですね。事務所の子たちも楽しそうでした。私も歳がいもなくはしゃいで久しぶりに雪だるまなんか作っちゃいました。」

P 「ああ、あれですか。一つだけやけにおっきいの。」

楓「そうですけど、よく分かりましたね。」

P 「左右の目の色が違ってましたからね。というかあれ宝石でしょう? アクセサリかなんかの。雪だるまなんかに使わないでくださいよ。」

楓「良いじゃないですか、綺麗なんですから。それに安物ですから平気です。」

P 「いやいやいや、そういう問題では無いでしょうに。」


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 02:45:20.37 ID:/9SkLXNH0


楓「Pさんは、熱燗と冷、どちらが良いですか?」

P 「うーん、悩むところですねぇ。こたつがあったかいんで冷にします。」

楓「じゃあ、私もそうします。」

P 「それじゃ、しますますか。」

楓「はい。」

「「乾杯。」」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 02:47:49.47 ID:/9SkLXNH0
P 「いやぁ、やっぱり仕事終わりの一杯はいいですねぇ。生き返ります。」

楓「はい。歌った後のお酒は最高に美味しいです。」

P 「まぁ、強くは言いませんけど、程々にしてくだいね? 喉、大事なんですから。」

楓「分かっていても、止められないものというのはあるんです。」

P 「気持ちはわかりますけどね。」

P 「ところで、どうしたんですか? 何だか悩んでるみたいですけど。」

楓「分かりますか? よく見てくださっているんですね。」

P 「そりゃあ、目の前でうんうん唸られちゃ嫌でも気が付きますよ。」

p 「それで、何をそんなに悩んでいるんです? 俺で良ければ聞きますけど。」

楓「本当に良いんですか? 大した悩みでも無いんですけど。」

P 「アイドルの悩みや愚痴を聞くのはプロデューサーの仕事のうちですから。何でも来いです。」

楓「なら、言いますけど。」



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 02:50:11.51 ID:/9SkLXNH0
楓「おこたの用意をおこたらない。」

P 「え?」

楓「こたつに入ってた子立つ。」

P 「え?」

楓「どっちが良いでしょう?」

P 「どっちでもいいんじゃないですか?」


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 02:54:21.23 ID:/9SkLXNH0
楓「ひどい。Pさん、どんな相談にも乗ってくれると言ったのに。アイドルの話を聞くのも業務内なんじゃありませんか?」

P 「本日の営業は終了しました。」

楓「じゃあ、急患なら?」

P 「PではなくDに言ってください。」

楓「D……? ディレクター?」

P 「いえ、ドクターのDです。というか恥ずかしいんで真顔で返さないで下さい。」

楓「あぁ、なるほど。微妙ですね。」

P 「だからやめて。」

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 02:58:12.44 ID:/9SkLXNH0
P 「というか、こたつの用意をってやつのは以前に聞きましたけど。」

楓「あの時は、Pさんがあんまり反応してくれなかったから。」

P 「いやいやいや、あれ以上どうしろって言うんですか。」

楓「それに、天丼は基本です。」

P 「つまらないものは何度重ねた所で白米だけです。」

楓「それも微妙ですね。」

P 「全部お酒のせいです。」

楓「次の日頭が痛いのも?」

P 「お酒のせいです。」

楓「気がついたら秘蔵の一升瓶が空になってたのも?」

P 「お酒のせいです。」

楓「私のギャグが全然なのも?」

P 「それは違います。」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:02:11.75 ID:/9SkLXNH0
楓「ひどい。ひどすぎます。渾身の出来をつまらないと一蹴するなんて。」

P 「仕方ないでしょう。笑わせたいならもうちょっと頑張ってください。ただでさえここの所、忙しくて疲れ気味なんですから。」

楓「イベント目白押しでしたからねぇ。」

P 「年末年始に稼がなくていつ稼ぐって、ちひろさんが鬼のようにスケジュール組んでましたからね。正直しんどかったです。」

楓「おかげで事務所は随分と潤ったようですけど。」

P 「最近のちひろさん、肌艶良いもんなぁ……。こっちはドリンク代が嵩んでカッツカツですよ。」フェスニ、ガッシュク、ニューイヤー

楓「仕方ありません。今回のお酒代とおつまみ代は私が持ってあげましょう。」

P 「いや、流石にそれは……。折半の決まりなんですし。」

楓「今月終わったとしてもバレンタインデーですよ?」

P 「うっ。」

楓「再来月は雛祭り。」

P 「うぐっ。」

楓「四月は……そうですね、新人プロデュースとか。」

楓「どうです、厳しいんじゃないですか?」

P 「……お言葉に甘えさせて頂きます。」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:05:58.75 ID:/9SkLXNH0
楓「でも、大丈夫ですか? 本当に大変そうですけど。」

P 「まぁ、なんとかなるとは思いますよ。後はドリンク代さえ負けてくれれば。」

楓「お金ないって言ってますもんね。」

P 「全部ちひろさんが悪いんや。」

楓「忙しかったのも?」

P 「ちひろさん。」

楓「疲れてるのも?」

P 「ちひろさん。」

楓「お財布が軽いのも?」

P 「ちひろさん。」

楓「おにーあくまー」

P 「ちひろーって何言わせるんですか!」

楓「Pさんが勝手に言ったんです。」

P 「明らかに誘導してたじゃないですか。」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:09:49.21 ID:/9SkLXNH0
楓「冗談はともかく、本当に体は大切にして下さいね。Pさんに倒れられたりでもしたら、きっと私泣いちゃいますから。」

P 「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。楓さんの言葉で元気が出てきました。まだまだやれます。」

楓「無理しないでくださいって、言っても多分無駄なんでしょうね。今は信じてあげます。」

P 「済みません。」

楓「謝らないでください。皆のため、私のために頑張ってくれているの知ってるんですから。Pさんは悪くなんてありません。」

P 「そうですね。悪いのはちひろさんでした。」

楓「もう、あとで怒られても知りませんよ?」

P 「良いんです。酒の席くらい文句言ったってバチは当たりませんよ。何だかんだでちひろさんも俺の体調には気を使ってくれてますし。」

P 「だから、ちょっとした八つ当たりみたいもんですよ。こればかりは、やっぱり酒が悪いですね。」

楓「じゃあ、私の――」

P 「それは違います。目を輝かせて何言おうとしてるんですか。というか天丼は二回までって自分で言ったじゃないですか……。」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:13:11.55 ID:/9SkLXNH0
P 「今更ですけど、良いんですかねぇ。週末はほとんどここに来ているような気がするんですけど。」

楓「事務所から近い。こたつとお酒完備。おまけに綺麗なお姉さん付きの優良物件に何か不満がおありですか?」

P 「ただの楓さんの部屋じゃないですか。確かに優良物件ではあるけど記者とかパパラッチとかが怖いんですよ。」

楓「私、アイドルとして紙面を大きく飾りたいです。」

P 「このタイミングで言わないでください。」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:16:22.71 ID:/9SkLXNH0
P 「今度は何ですか? また唸りだしたりして。」

楓「分かりますか? ちょっと気になることがあるんです。」

P 「どうせ大したことでは無いんでしょう?」

楓「まぁ、そうなんですけど。」

P 「じゃあ、捨て置きなさい。」

楓「あんまりです。私、気になって今夜は眠れそうにありません。」

P 「わかりましたよ。聞けばいいんでしょう、聞けば。」

楓「そう言ってくれると思ってました。」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:21:06.06 ID:/9SkLXNH0
楓「なんでみかんって、こんなに美味しいんでしょう?」

P 「こたつに入ってるからですよ。」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:23:59.63 ID:/9SkLXNH0
P 「わざわざ言うことでは無いんですけど、もっと悩むべきこととかあるでしょうに。例えば、結婚とか。」

楓「結婚、ですか?」

P 「ええ、気は引けるんですが、やっぱりこれからってのも考えなくちゃならないんですよ。
  楓さんは歌唱力がありますからこのままでも大丈夫でしょうけど、本人の希望もありますし。」

楓「あっ」

P 「どうかしました?」

楓「アルミ缶の上にあるみかん。」

P 「どんだけ使い古されたネタだと思ってるんですか……。」

楓「まぁ、いいじゃないですか。今日のプロデューサー業はもう店仕舞いなんでしょう? それに、結婚なんてまだ考えていないです。」

P 「……そうですね。どうも酒が入ると説教臭くなっていけない。」

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:27:03.66 ID:/9SkLXNH0
楓「それより、Pさん方はどうなんです? 結婚とか考えてないんですか。」

P 「俺ですか? 俺もまだですね。」

楓「恋人はどうです?」

P 「恋人も今はいないですねぇ。強いて言うなら仕事が恋人ってやつですか?」

楓「不況ですからね。恋人に振られないように頑張ってください。」

P 「さらりと怖いこと言いますね。」

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:30:30.16 ID:/9SkLXNH0
楓「じゃあ、好みのタイプとかってあるんですか?」

P 「まぁ、そりゃありますけど……。」

楓「教えてください。」

P 「いや、ちょっと恥ずかしいですね。流石に。」

楓「中学生じゃないんですから、恥ずかしいはないでしょう。」

P 「それはそうなんですが。やっぱり照れくさいものがありますね。」

P 「タイプかぁ。そうだなぁ、優しくて、料理も出来るあったかい人ってところでしょうか。」

楓「あたたかい人……。」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:34:30.31 ID:/9SkLXNH0
楓「こたつよこたつよこたつさん。この世で一番あたたかい人はだぁれ?」

楓「それは楓さまにございます。(裏声)」

楓「だそうです。」

P 「いや、なにやってんですか。」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:40:23.78 ID:/9SkLXNH0
P 「流石にもういい時間ですね。」

楓「あぁ、もうこんな時間ですか。Pさんといると時間が早くて困ります。」

P 「俺もですよ。そろそろお暇します。」

楓「遅くまで付き合わせて言うのはなんですが、ゆっくりと羽を休めてください。」

楓「アイドルとプロデューサーは二人三脚。Pさん、いつも言ってますよね。」

楓「だから、私だけでは飛べません。Pさんと、私と、二人の羽があって初めて高く飛べるのですから、体調を崩しちゃだめですよ。」

P 「分かってます。ゆっくり骨休めしてきますよ。」

楓「やっぱり、わかってない。」

P 「何がです?」

楓「いいえ、何でもありません。ではまた事務所で。」

P 「ええ、また。」

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:47:07.24 ID:/9SkLXNH0
楓「相変わらず鈍いのか、それともちょっと遠回し過ぎたのか。」

楓「とはいえ、天にあっては、なんて言い出したら露骨過ぎるし。」

楓「難しいものね。というか本当に気づいてないんでしょうか?」

楓「しかたのない人ですね。今度は月見酒にでも付き合ってもらおうかしら。」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/19(土) 03:49:53.29 ID:/9SkLXNH0
おわりです