1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 19:08:42.20 ID:P9lUHuXA0
 

まどか「行ってきまーす」

まどか(今日はあの子に会えるかなぁ…ふふっ)


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 19:10:33.30 ID:P9lUHuXA0
まどか(昨日はこの辺の道で会えたけど…)

まどか(今朝はいないかな…?)

まどか「あ…」

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 19:12:26.52 ID:P9lUHuXA0
ほむら「まどか」

まどか「…」

ほむら「まどか」

まどか「わっ、ほむらちゃん!」

まどか「ご、ごめん今ちょっとボーっとして…」

ほむら「何を見てたの?」

まどか「それは…」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 19:14:17.65 ID:P9lUHuXA0
ほむら「あの子ね」

まどか「…うん」

2人の視線の先は道路に向かっていた。行き交う車の隙間から見えるぐったりと動かない黒猫に。

まどか「…昨日、この辺の道で見かけたんだ」

まどか「ノラみたいだったけど人懐っこくて…」

まどか「今日も会えるかな…と思ってたんだけど…」ジワ…

ほむら「まだ生きてるわ」

まどか「えっ?」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 19:17:07.08 ID:P9lUHuXA0
まどか「どう…かな…?」

ほむら「傷も深いし、かなり弱っているわ」

まどか「ねぇ…この子何とか助けられないかな」

ほむら「無理だわ、どんな獣医に診せても立てるようにすらならないでしょうね」

まどか「そんなぁ…」

ほむら「かわいそうだけど、このまま死ぬのを待つしかないわ」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:11:05.07 ID:P9lUHuXA0
ほむら「この猫は私に任せて、あなたは学校に行きなさい」

まどか「その子…どうするの?」

ほむら「息絶えるのを待って、それから公園にでも埋葬するわ」

まどか「ほむらちゃん…もしよかったらなんだけど」

まどか「それ…私もついてっていい?」

ほむら「…遅刻しても知らないわよ」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:12:40.64 ID:P9lUHuXA0
2人は近くの公園を見つけ、そのベンチに並んで座った。

ほむらが膝に抱えた猫を心配そうにまどかが覗き込む。

まどか「どう…?ほむらちゃん…」

ほむら「まだ息はあるわ」

まどか「そう…」

まどか「あのね、勝手なお願いだってわかってるんだけど…」

まどか「その子、抱かせてもらえないかな…?」

ほむら「…いいわよ」

ほむら「この猫もあなたに抱かれた方が嬉しいと思うわ」

まどか「…ありがとう」

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:15:42.28 ID:P9lUHuXA0
ほむら「あ…制服が汚れてしまうわよ…?血も出てるし」

まどか「ううん、全然かまわないよ」

ほむらはそっと猫の体を持ち上げて、まどかに渡した。

まどか「よーしよーし…痛かったよねー…」ナデナデ

まどか「もうすぐ…楽になるから…それまで我慢してね…?」ポロポロ

まどか「あれ…ごめんね…急に…涙が…」グスッ

ほむら「…」

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:17:57.26 ID:P9lUHuXA0
まどか「昨日帰り道にこの子に会って…」

まどか「野良猫みたいだったから…もしママが許してくれたら家に連れてこうかと思ったの」

まどか「街の中じゃ危ないし…それにひとりぼっちで可哀想に思って…」

まどか「もし飼えたら、と思って名前も考えてたんだ、エイミーって」

まどか「バカみたいだよね…私…この子の為に何もしてあげられなかった」

まどか「もし昨日会った時…その時連れて帰ってあげたら…助けられたのに…」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:19:43.71 ID:P9lUHuXA0
ほむら「…」

まどか「…ごめんね、急に変な話しちゃって」

ほむら「…その子を助けてあげましょうか?」

まどか「…え?」

まどか「どうやって…?いくらなんでもそんなことは…」

ほむら「出来るわ、魔法の力でね」

まどか「…え?」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:21:38.79 ID:P9lUHuXA0
まどか(どうしたんだろ…ほむらちゃん…こんな時に…)

まどか(やっぱり変な人?でも…なんだか…)

まどか(嘘をついてるようには…見えなくて…もしかしたら…)

まどか「本当に…出来るの?」

ほむら「ええ、でもその代わりに…」

ほむら「あなたにも協力して欲しいことがあるわ」

まどか「もし、それが本当なら私、何でも協力するよ!」

ほむら「そう…?じゃあ」

ほむら「あなたの命をちょうだい?」

まどか「!」

ほむら「あなたはその子の為に命を捨てられる?」

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:22:46.61 ID:P9lUHuXA0
まどか「ほむらちゃん…どうしてそんな意地悪…」

ほむら「意地悪でも何でもないわ、あなたはその猫を助けたいと願った」

ほむら「そのためにはあなたの命が必要なのよ」

ほむら「あなたが『うん』と言ってくれれば、すぐにでも猫は何もなかったように元気になるわ」

ほむら「あなたは死んでしまうけどね」

ほむら「どうする…?それと、猫が死んでしまったら私でも助けられないわ」

ほむら「あと数分で決めなくちゃね」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:25:24.67 ID:P9lUHuXA0
まどか(どう、しよう)

まどか(本気で、言ってるのかな)

まどか(どうしたんだろ…そんなこと出来っこないってわかってるのに)

まどか(もし本当だったら…!?)

まどか(私が死ねば…この子が助かる…?)

まどか「だったら…私…!」

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:27:53.80 ID:P9lUHuXA0
まどか「…っ!」

ほむら「どうしたの?返事はイエス?ノー?」

まどか「えっと…その…」

ほむら「ダメよ、はっきり言わなくちゃ」

まどか「待って!ちゃんと言うから…」

まどか「お願い…!その子を助けてあげて…!」

ほむら「死んだわ」

まどか「…」

まどか「…え?」

ほむら「たった今、息が止まった。残念だったわね」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:29:41.60 ID:P9lUHuXA0
まどか「そ、」

まどか「そんなぁ…!」

ほむら「うふ、うふふふ」

ほむら「ごめんね、まどか」ギュッ

ほむら「いいのよ…あなたは何も悪くない…悪いのは全部私だもの…」

まどか「うっ…ううう…」ポロポロ


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:32:08.48 ID:P9lUHuXA0
ほむら「あなたは最後までこの猫を助けようと願ったわ…」

ほむら「でもその時、頭によぎったのよね、あなたの大切な人たちが」

ほむら「家族…友達…あなたを失ったらとても悲しむ人たちがいる」

ほむら「その人たちを悲しませたくない…そう思ったのよね」

ほむら「いいのよ、それで」

まどか「でも…私…私…!」ポロポロ

ほむら「ああそれと、さっきのは全部嘘だから」

まどか「…え?」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:34:39.99 ID:P9lUHuXA0
ほむら「うふふ…優しいまどか…私の話を信じてくれたのね…」ナデナデ

まどか「そんな…どうして…」

ほむら「さっき猫を拾い上げてきたのも、変な嘘を吐いたのも、」

ほむら「あなたが身を挺して何かを守ろうとする姿を、見たかっただけ」

ほむら「いいでしょ?たまにはね…うふふ…」

まどか「あなた…一体…」

ほむら「でも安心していいわ、絶対にあなたにそんなことはさせないから」

ほむら「たまたま見つけた不幸に手を差し伸べていたらキリがないの」

ほむら「そんなものは私がぜーんぶ…」

ほむら「忘れさせてあげるから」パン

まどか「え?」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:36:32.45 ID:P9lUHuXA0
まどか「え?」

和子先生「鹿目さーん…?どうしたの?体調悪いのかな?」

まどか「あ…すみません…ボーっとしちゃって…」

まどか(あれ…?私…?)

まどか(そうだ…今朝はほむらちゃんと会って…)

まどか(それで一緒に学校に来たんだった…)

まどか(どうしたんだろ…寝不足かな?)

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:39:03.16 ID:P9lUHuXA0
放課後____

まどか「~♪」

さやか「おっまどかご機嫌だね~何かあったの?」

まどか「うん、あのね、昨日帰る時に野良猫を見つけてね」

まどか「その子がすっごく可愛かったの~とても人懐っこくてね~」

さやか「へぇ~いいな~」

さやか「じゃあ今日もその猫に会いに行くんだね?ねぇねぇ私も一緒に行っていい?」

まどか「もちろんだよ、あ、ほむらちゃんも誘っていい?」

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:40:45.71 ID:JKqzh9ny0
猿j

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/01(日) 20:42:43.51 ID:P9lUHuXA0
まどか「ねぇほむらちゃん、今朝話した黒猫なんだけど」

まどか「帰りには見つかるかもしれないし、一緒に見に行かない?」

ほむら「申し訳ないけど…遠慮しておくわ、猫はちょっと苦手なの…」

まどか「あ…そっか、ごめんね」

ほむら「見つかるといいわね…猫」

まどか「うん、ありがとう」

まどか「じゃあまた明日ね、ほむらちゃん!」

ほむら「またね、まどか」


終わり