1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:18:52.11 ID:cOBVSZK4O
琥珀自室
琥珀「年末ですねー」オコタデミカンムキムキ
志貴「ですね。今年も色々ありました」ミカンムキムキ
琥珀「秋葉様が怒声を上げた日は最早数えきれませんよ」オヨヨヨ
志貴「まぁ秋葉はいつもあんな感じだから、諦めてください」
琥珀「志貴さんが抱きしめてそっと耳元で一言言って頂ければそうでも無さそうですけどねー」
志貴「またまた冗談。俺の手にはもう負えませんよ」
琥珀「(……志貴さんが素直になってさえいただければ遠野家乗っ取り計画も現実味を帯びるんですけどねぇ)」
志貴「あ、琥珀さんテレビのリモコン取ってください」
琥珀「はいはいー」
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:21:35.44 ID:cOBVSZK4O
志貴「……やっぱり年末だとどこもかしこも特番ばかりですね」タナカアウトー
琥珀「毎年毎年殆ど同じ内容ですからそろそろ飽きがきちゃいます。ゲームでもやります?お勧めハードはプレステです!」
志貴「いいですね。何があるんですか?」
琥珀「グルーヴ地獄Ⅴですっ!」
志貴「ちょっと年末に無間地獄を体験するのはよしたいので他にありませんか?」
琥珀「あら、残念です。じゃあ無難なところで桃鉄でも」
志貴「まぁ、さっきよりかはましですね。でも二人でやるのもあれですから秋葉たち呼んできますか?」
琥珀「その必要はありませんよっ!秋葉様なら翡翠ちゃんと仲良くランデブーしているから行っても無駄です!」
志貴「?」
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:24:22.11 ID:cOBVSZK4O
――三咲町内某所
秋葉「翡翠。何故私たちは年末にスーパーを梯子しているのかしら」
翡翠「志貴様が秋葉様が買ったシャンバリーレを早急に欲しいと仰っていたので」
秋葉「翡翠。シャンバリーレの用法を知っているかしら」
翡翠「いえ」
秋葉「主に、果てしないお使いよ」
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:27:08.19 ID:cOBVSZK4O
志貴「圧敗です」
琥珀「志貴さん。さすがに弱すぎますよ」
志貴「琥珀さんが強すぎるだけなんじゃ……」
琥珀「いえいえ、ただすこーしセリフを熟読したり無意味にカーソルを上下させた後にルーレットを振っていただけですよ♪」
志貴「たぶんそれって普通の人ができない様な技術なんじゃ。じゃないとひと月目で桃太郎ランドは買えませんって」
琥珀「もうちょっと強くなって私と遊びましょうね。志貴さん」
志貴「その日は多分永遠に着ませんよ」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:30:18.09 ID:cOBVSZK4O
琥珀「それにしてもお腹すきましたね」
志貴「そうですね。今日は昼間から大掃除などで色々忙しかったですし」
琥珀「今からお食事を用意するとなると少し時間が遅くなってしまいますけど、どうします?」
志貴「年末ぐらいは自宅でゆっくりしたいので、よかったら琥珀さんお願いしてもらってもいいですか?」
琥珀「わかりました。せっかくだからお蕎麦でも作りますね♪しばしお待ちくださいませ~」スタコラサッサ
志貴「それにしても、今年の年末は嫌に静かだな。いつもならアルクェイドなんかが襲撃来てそうなもんだけど」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:33:29.23 ID:cOBVSZK4O
――アルクェイド宅
アルクェイド「誰かから呼ばれたような気がする」
シエル「それよりも真祖貴女のターンですよ。早く引いてください」
アルクェイド「別に引くのは構わないんだけど、なんで私達二人でババ抜きやってるのよ」
シエル「き、急にやりたくなったんですよ!」アセアセ
アルクェイド「ふーん。まぁいいけどね」
シエル「(言えるわけないじゃないですか……。普段おちゃらけたあの人が真祖を一日足止めしてくれって頼んできただなんて)」
アルクェイド「あ、私の勝ちー」
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:36:48.34 ID:cOBVSZK4O
琥珀「はい。出来上がりましたよー」
志貴「ありがとうございます。やっぱり年末は蕎麦に限りますね」ズルルル
琥珀「やっぱりお蕎麦ですね。ちなみにですけど年越し蕎麦は五臓の毒を取ると信じられていたこともあるんですよ」ズルル
志貴「へぇ、琥珀さんは物知りですね」
琥珀「やですねぇ。志貴さん。私は志貴さんと同い年ですよ」エンドーアウトー
志貴「そういえばそうでしたね。どうにも大人びすぎていて同い年とは思えませんよ」
琥珀「……志貴さん志貴さん」チョイチョイ
志貴「なんですか?」
琥珀「私年増に扱われるとは傷つきました。こんなピチピチの十七歳のいたいけな少女を秋葉様と同格に見られるなんて」オヨヨヨ
志貴「それ本人の前で言ったら輸血しても生きられるかわかりませんよ」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:39:31.78 ID:cOBVSZK4O
琥珀「というわけで!」ピカーン
志貴「はい」
琥珀「私のいうことを一つ聞いてもらいますー!」
志貴「はい!?」
琥珀「大丈夫ですよー。死にはしませんから♪ ただ、向こう側の岸が見えるかもしれませんけど」
志貴「それって大丈夫な気がしませんけど……」
琥珀「大丈夫ですよぉ。志貴さんですもの。死にはしません。それに死んでも私が何とかして生き返らせますから存分に死んでくださいな♪」
志貴「できるだけ死なないように努めろということですねそれは」
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:42:18.72 ID:cOBVSZK4O
志貴「で、何をすればいいんですか?」
琥珀「そうですねぇ。私を年増扱いした罪はとてーもとてーも重いですからね」
志貴「別段そういうわけで言ったわけではないんですけどね」
琥珀「しゃらっぷ!年上扱いは思春期真っ只中の十七歳のぴちぴち少女である私にはとても耐えがたき屈辱!ですので!」
志貴「はいはい」
琥珀「私を今から学校に連れて行ってください!」
志貴「はい!?」
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:45:15.88 ID:cOBVSZK4O
志貴「学校はさすがにまずいですよ!無理に侵入したら警備員さんたち来ちゃいますって!」
琥珀「うふふ。大丈夫ですよ。志貴さん。何故だか今日警備員さんたちはとってもやる気がないような気がしますもの♪」
志貴「……琥珀さん。何やりました?」
琥珀「秘密です♪ただすこーしお金を警備員さんの前で落としちゃっただけですよ」
志貴「秋葉に知れたら大変なことになるのわかってます?」
琥珀「大丈夫ですよ。その時は志貴さんが守ってくださると信じていますから♪」
志貴「……もしですけど断ったらどうなります俺?」
琥珀「新薬で試したいのが数個ほど倉庫に眠っておりまして。てへっ」
志貴「……はぁ。わかりました。じゃあ外寒いので準備したら俺の所にもう一度来てください」
琥珀「かしこまりました~♪」トテテテ
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:49:20.70 ID:cOBVSZK4O
――遠野家前門
志貴「戸締りしました?」
琥珀「ばっちりです♪これで内部で誰かが死のうと暴れようと外部に漏れることはありませんよー」
志貴「物騒なこと言わないでくださいよ。じゃあ行きますよ」
琥珀「はいはいー♪」
志貴「さすがに寒いですね」ホワイトブレスプハー
琥珀「今年で一番寒いらしいですからねえ」
志貴「何も最後にそんな日が当たらなくてもと」
琥珀「まぁ、いいじゃないですか。寒ければ温かさというものはより実感するものです」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:52:26.37 ID:cOBVSZK4O
志貴「確かに屋台で食べるラーメンは一段と美味く感じますね」
琥珀「高校生男子らしい食生活ですねー」
志貴「有彦とよくいくんですよ」
琥珀「私も行ってみたいですねー」
志貴「今日はさすがにこの時間ですしやってないと思いますけど、機会があれば俺が奢りますよ」
琥珀「へーんだ。そんなので先ほどの発言は許しませんからね」プリプリ
志貴「これは手強い」
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:55:31.83 ID:cOBVSZK4O
志貴「それにしても」
琥珀「何ですか?」
志貴「こうして毎日通っている通学路を琥珀さんと一緒に歩くだなんて妙な年末だな」
琥珀「そうですねぇ。私もまさか偶然にも秋葉様たちがどこかに出かけ遠野家の来訪者がおらず志貴さんが私を年増扱いして学校の警備員さんたちがやる気の起きない年末に学校に行くことになるとは」
志貴「わざとらしいですね」
琥珀「いえいえ。ただの偶然ですよ。ええ」
志貴「もう何も言いませんよ」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 19:58:18.16 ID:cOBVSZK4O
琥珀「でも」
志貴「でも?」
琥珀「こうやって志貴さんが普段見ている光景を見れるというのは中々にうれしい体験です」
志貴「んーそうですか?俺から見れば常日頃変わらない生活の一部ですけど」
琥珀「私はまだお屋敷から出る機会に恵まれている方ですが、翡翠ちゃんは殆どお屋敷から出る機会ありませんからね。新鮮ですよ」
志貴「そういえば普段翡翠や琥珀さんは俺たちがいない間に何をやっているんです?」
琥珀「うーん、レンさんたちが来ればお話したり一緒にお茶したりはしてますけど。来ないときは殆ど家事ですね」
志貴「……そっか」
琥珀「おやー、浮かない顔をしていますね」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:01:14.48 ID:cOBVSZK4O
志貴「いえ、俺がもし琥珀さんの立場ならたまにサボりたくなるだろうなって」
琥珀「うふふ。お気持ち察していただけたならこの事は秋葉様にはお伝えならずにくださいまし♪」
志貴「いいませんよ。俺も門限破っているんですから」
琥珀「利害の一致ですね♪」
志貴「っと着きましたよ」
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:04:34.69 ID:cOBVSZK4O
――夜の学校
琥珀「ここが志貴さんの通っている学校ですか」
志貴「はい。といっても俺自身こんな夜更けに学校に来ることはほぼありませんが」
琥珀「じゃあさっそく乗り込んじゃいましょう!」
志貴「門しまっていますけど……」
琥珀「大丈夫ですよ。ほら警備員さんが偶然にも鍵を刺しっぱなしで帰っちゃったみたいですし」
志貴「……何も言うまい」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:07:24.09 ID:cOBVSZK4O
――廊下
志貴「えっと、学校に入ったのは良いですけどどこに行きますか?」
琥珀「じゃあ志貴さんのクラスに行きましょう!」
志貴「俺のクラスですか?いいですけど何するんですか?」
琥珀「ただ私が行きたいから行きたいだけですよー」
志貴「じゃあ、俺が先頭行きますんでついてきてくださいね」
琥珀「はいはいー。ぜひとも私をこの夜の学校という恐怖空間をエスコートしてくださいね!」
志貴「怖がってないですよね……?」
琥珀「……だって秋葉様の方が怖いですし」
志貴「ですね」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:10:24.32 ID:cOBVSZK4O
志貴「こっちですよ」
琥珀「それにしても志貴さんよくこのくらい中すいすい行けますね」
志貴「なんというか体が覚えていますので、灯りがなくても大丈夫みたいです」
琥珀「ああ、私が毒薬を飲んでしまったときになんとなくわかるあれと同じなんですね」
志貴「違います」
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:13:27.76 ID:cOBVSZK4O
――教室
志貴「着きましたよ」
琥珀「ここが……」
志貴「ええ、といってもどこにでもあるような学校の教室ですが」
琥珀「志貴さんの机はどこですか?」
志貴「窓際の後ろから二番目ですね」
琥珀「座ってもいいですか?」
志貴「どうぞ」
琥珀「これが、志貴さんの見ている景色ですか」
志貴「ええ」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:16:26.00 ID:cOBVSZK4O
琥珀「……志貴さん」
志貴「なんですか?」
琥珀「私は十七歳で、志貴さんも十七歳なんですよね」
志貴「ええ」
琥珀「たーまにですけど、学校に行く志貴さんを見て思うことがあるんです」
志貴「なんですか?」
琥珀「もし、私が、普通の、いわゆる一般的な人生を送れていたらこういう場所に立てたのかなって」
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:19:40.13 ID:cOBVSZK4O
志貴「どうしてそう思うんです?」
琥珀「なんといいますか。嫉妬ではなく羨望と言いますか。今日志貴さんと隣で歩いてこんな風に毎日歩けたら楽しいだろうなと」
志貴「はい」
琥珀「別に私は今の立場が嫌いかといわれるとそうは思いません」
志貴「はい」
琥珀「こんな面白い立場に立てる今はとても幸せな事だと思います。そりゃ辛い過去があったことも確かですけど」
志貴「ええ」
琥珀「でも、もし、私が違う人生を歩んでいて、それでこそ、本当に、偶然に、志貴さんにただの同い年として、逢っていたらどうなったのかと考えることがあります」
志貴「たぶん、今と変わらないと思いますよ。俺が事あるごとに琥珀さんにいじられて、琥珀さんはそれを面白がっていたと思います」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:22:50.55 ID:cOBVSZK4O
琥珀「……志貴さん。ここは教室ですよね」
志貴「ええ、ですけどどうしました?」
琥珀「同じ教室にいて同い年ですよね私たちは」
志貴「はい」
琥珀「じゃあ今の私は遠野家の使用人「琥珀」でなく志貴さんの愉快なクラスメートの一人「琥珀」です」
志貴「琥珀さんがそう思うのであればそうなると思いますよ」
琥珀「志貴さん。じゃあ私がここで告白でもしたらどうなるんでしょうか?」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:25:25.28 ID:cOBVSZK4O
志貴「えっと、それは……」
琥珀「ふふ、悪戯が過ぎましたね。冗談ですよ。私は今の立場が好きなんですから、そんな秋葉様に怒られるようなまねはしません」
志貴「……琥珀さん」
琥珀「ただしっ!正義の味方!マジカルアンバーここに参上!」
志貴「うわっ!びっくりした!なんですかいきなり!?」
琥珀「ふっふっ、そこの少年!」
志貴「は、はい?」
琥珀「私はマジカルアンバー!遠野家の使用人である琥珀とは一切関係のない人物です!」
志貴「は、はぁ」
琥珀「だから何を言おうが秋葉様に怒られることもありません!だから何でも言い放題です!告白だってオッケー!」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/31(火) 20:29:05.69 ID:cOBVSZK4O
志貴「……屁理屈ですねそれ」
琥珀「……すいません。今はこういう格好して屁理屈こねないと伝えられない立場ですので」
志貴「それはいつか「琥珀さん」で俺に言ってくれるっていうことを期待してもいいんですね」
琥珀「もちろんです♪そう遠くない未来、遠野家を乗っ取りますので楽しみにしてくださいな♪だから今はマジカルアンバーでの言葉ですけど我慢してください」
志貴「乗っ取り、か。構いませんよ。俺は面白い未来があればそれを甘んじて受けとります」
琥珀「ではでは。志貴さん」
志貴「はい」
琥珀「――私を貴方が望む限り貴方の傍にいさせてください」
END
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