12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:08:38.24 ID:bH/fA3nu0
水瀬伊織ソロコンサート楽日終幕
武道館楽屋
ガチャ
P「お疲れ様、伊織」
伊織「ええ……終わったわ……終わったのね」
P「ああ。大成功だったな。」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:16:04.13 ID:bH/fA3nu0
伊織「なんだか……ウソみたいね」
P「?何がだ?」
伊織「全部よ。今日こうしてソロツアーが終わった事、トップアイドルとして活動出来てること」
P「どうした?いつもなら、『私を誰だと思ってるの?これくらいトーゼンじゃない!ニヒヒッ』くらい言いそうなもんなのに」
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:22:25.71 ID:bH/fA3nu0
伊織「そ、それはそうよ!あんたなんて居なくても私ならソロツアーなんて……でも今日くらい、いいじゃない」
P「そうだな。伊織ならもっとでっかいライヴも夢じゃないよな」
伊織「そうよ!早く次のライヴやるわよ!それで海外進出して、世界中を魅了して、宇宙ライヴをやるわよ!あんたには月面アリーナ席を用意してあげるわ♪ニヒヒッ」
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:26:45.52 ID:bH/fA3nu0
伊織「でもね、……でも今日くらいいいじゃない。ちょっと疲れちゃったのかな?」
P「伊織」
伊織「ホントはね……一年前じゃ考えられなかった。あんたが来て私の世界を変えてくれた。色んな仕事して、色んなとこ行って、色んな話もした。そりゃね……悔しい思いもいっぱいしたわ」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:30:57.83 ID:bH/fA3nu0
伊織「……ありがとう。あんたがいたからやれたわ、出来たわ。次は、次はどんな仕事かしらね?」
P「伊織」
伊織「た、旅番組とかやってみたいわ。この伊織ちゃんがセレブに世界を旅するの。あんたも勿論同行させてあげるわ!」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:35:24.61 ID:bH/fA3nu0
P「ハハッ、伊織の旅番組か悪くなさそうだね」
伊織「!そうでしょ?それからね!それから……」
P「伊織……もう伊織は大丈夫だから」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:40:53.18 ID:bH/fA3nu0
伊織「!?」
P「俺の仕事はここまでだから。明日からは別の、俺よりずっとずっと凄いプロデューサーが来てくれる。もっともっと仕事が増えるし、それこそ宇宙ライヴだって夢じゃないかもな」
伊織「……ッツ!何で分かってくんないのよ。この伊織ちゃんがあんたがイイって言ってあげてるのよ!?尻尾振って付いてきなさいよ!?」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:45:42.52 ID:bH/fA3nu0
P「ごめんな。……もう決定したことだから」
伊織の眼から大粒の涙が溢れる
気丈で気高く優しく儚い。
そんな少女の見せる涙。
P「お膝においで、伊織」ポンポン
伊織「な……っ///」
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:50:16.26 ID:bH/fA3nu0
伊織「ば、バカなの?変 なの?この変 大人!」
P「ハハッ。変 プロデューサーか。そういや伊織に最初に会ったときに言われたな。変 プロデューサーでいいからもっと近くで話をしよう?」
伊織「グッ……分かったわ。今日はと、トクベツだからね」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 06:56:14.93 ID:bH/fA3nu0
靴を脱ぎソファーに上がり、靴を揃える
そんな些細な伊織の仕草も感慨深かった
完璧主義で感情的で負けず嫌いで涙脆くて
そっと膝に頭を置くと、涙のためか気恥ずかしさのせいか温かな頬の温度が伝わってきた
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 07:03:10.41 ID:bH/fA3nu0
伊織「こ、これで……いいの?」
P「ああ」
首にまだ力が入ってるのが分かる
亜麻色の髪をそっと撫でてやる
P「伊織、ライヴお疲れ様」
伊織「ん……フフッ……くすぐったいけど、わ、悪くないわ」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 07:08:53.48 ID:bH/fA3nu0
それから少しずつ思出話をした
出会って最初は伊織の着替えを覗いてしまった事
レッスンでうまくいってスポーツドリンクで乾杯した事
オーディションに落ちて落ち込んだ俺を逆に励ましてくれた事
伊織の家に招待された時は迷子にもなったっけ
それから、それから
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 07:13:54.42 ID:bH/fA3nu0
P「なあ伊織」
伊織「なに?プロデューサー」
P「ありがとうな。楽しかったよ」
伊織「……私もよ。」
伊織「ホントにね……全部ウソで、夢でもう一回最初からでもいいのに」
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 07:22:53.98 ID:bH/fA3nu0
P「それはダメだよ……ファンが悲しむ」
伊織「分かってる。分かってるけど……」
P「ファン1号を月面アリーナ招待してくれよな」
伊織「うん……うん」
P「旅番組は出先で嫌なことあっても笑顔たぞ。あと水。水には気を付けろ」
伊織「あんたは、海…外行ったことない…じゃない」
P「ッツ!本に書いてあったんだよ!」
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/11(土) 07:33:40.35 ID:bH/fA3nu0
膝に涙が滲みている
P「頑張れ伊織。頑張れ」
伊織「……うん……うん。あんたも……私のファン1号として、絶っー対に死んでも応援しなさいよね!」
P「勿論だ。約束するよ」
伊織が顔を膝に擦り付ける
涙を拭いているのか
それからガバッと立ち上がると、良く通るいつもの声で
伊織「さあ夢の時間は終わり!打ち上げ行くわよ!今日は朝まで付き合ってもらうんだからね?プロデューサー!」
振り返った彼女の顔は涙の痕がのこり、眼は赤く、髪も少し乱れていたけれど
その笑顔はとても綺麗だと思った
おしまい
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