1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 00:35:38.19 ID:radfW+JC0
佐天「ういはるー」
初春「あれ? 佐天さんの声がしたような……ええっ!?」
佐天「よいしょー!」ゴロゴロ
初春「きゃー!!」
佐天「あっ、ごめんごめーん。初春も巻き込んじゃったよー」ゴロゴロ
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 00:43:17.84 ID:radfW+JC0
佐天「初春、大丈夫?」
初春「さ、佐天さん……助けてください」
佐天「あー、ごめん。あたし、くっつけて転がす事はできても自由に外せないんだよねー」
初春「えー!? じゃあ、どうすればいいんですか!?」
佐天「まあ、やり方はあるんだけどね。いっくよー!」ゴロゴロ
初春「えっ? 佐天さん! このままだとビルにぶつかりますよ!?」
佐天「えーい!」ドゴオン
初春「きゃー!! ……あっ、離れた……ううっ」
佐天「ぶつかったら取れるんだよ」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 00:59:26.05 ID:radfW+JC0
初春「でも、この塊……結構大きいですね」
佐天「五メートルくらいはあるかもね」
初春「よく見たら、机とかもくっついてますね」
佐天「いやー、暇だったから教室で消しかすをこねて遊んでたんだけどさ」
初春「はあ」
佐天「そうしたらどんどんくっついて、気付いたらこうなってんだよ」
初春「すごいですねー……」
佐天「ねえ、初春? これ、どこまで大きくなると思う?」
初春「うーん……分からないです」
佐天「実はあたしも分かんないんだ。だから、どこまで大きくできるかやってみよっか」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:10:51.39 ID:radfW+JC0
十分後
初春「さ、佐天さん……ビルと同じくらいの大きさになっちゃいましたね」
佐天「いやー、まさかこんなに大きくなるとはねー」
「うわああ!!」 「助けてくれえええ!!」 「どうなってるのよおお!!」
初春「これ以上は、さすがに……たくさん人も巻き込んじゃいましたし」
佐天「初春、あたし思うんだけどさ。学園都市って、物が多すぎるよね」
初春「うーん、それはあるかもしれませんね」
佐天「だからさ、一回……全部、くっつけちゃおっか」
初春「ええっ!?」
佐天「行くぞー初春! まずは第七学区からだー!」ゴロゴロ
初春「さ、佐天さーん! 待ってくださいよー!」
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:16:47.19 ID:radfW+JC0
佐天「よいしょー!」ゴロゴロ
初春「うわあ……車、街路樹、信号機、本当になんでもくっついちゃうんですね」
佐天「あたしもびっくりしちゃった。そろそろ小さいお店くらいなら巻き込めるかな?」
初春「うーん、いけそうですね」
佐天「よーし! おっじゃっましまーす!」ゴロゴロ
「わああああ!? み、店があああ!?」
佐天「おっ、いけたよ初春」
初春「やりましたね、佐天さん」
佐天「この調子でどんどん行くぞー!」
初春「おー!」
現在の大きさ 40m50cm8mm
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:22:19.49 ID:radfW+JC0
十分後
佐天「いやー、すっきりしたねー」
初春「周りに何も残ってませんね……あるのはこの塊だけ」
佐天「でも、そろそろ騒ぎになってもおかしくないよね」
初春「そうですね。もう既に、あそこに警備員の方々が集まってますよ」
佐天「本当だ……どうしよっか?」
初春「うーん、巻き込んじゃいますか」
佐天「そうだね、巻き込んじゃおっか。よーし!」ゴロゴロ
黄泉川「そこの女子生徒! 大人しくするじゃん……って、わあああああ!?」
佐天「よいしょー!」ゴロゴロ
初春「警備員があっという間に……すごいですね、佐天さん」
佐天「あたしもびっくりだよ」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:27:00.25 ID:radfW+JC0
初春「聞いた事があるんですけど」
佐天「なに、初春?」ゴロゴロ
初春「一人で軍隊と戦えたら、超能力者級の力を持ってるって事みたいですよ」
佐天「本当に? じゃあ、御坂さんは軍隊とドンパチできるんだね」ゴロゴロ
初春「佐天さんもいけるんじゃないですか?」
佐天「あたしは無理だよ。だって、銃とか怖いし」ゴロゴロ
初春「それもそうですね。でも、私としては表情変えずに人を巻き込んでいく佐天さんの方が怖いですよ」
佐天「初春は冗談がキツイなー」ゴロゴロ
「うわああああ!!」 「たすけてえええ!!」 「じゃんよおおお!!」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:34:04.21 ID:radfW+JC0
佐天「第七学区はだいたい巻き込んだかな?」
初春「そうですね。あっ、常盤台中学が近くにありますよ」
佐天「本当に? 御坂さん、いるかな?」
初春「きっといますよ。あれ? あそこにいるの、御坂さんじゃないですか?」
佐天「本当だ、おーい、御坂さーん!」
美琴「佐天さん! 今すぐやめなさい! あなた、何をしてるか分かってるの!?」
佐天「だって、どうするよ初春?」
初春「うーん、やっちゃいますか」
佐天「そうだね。よいしょー!」ゴロゴロ
美琴「ちょ、ちょっと!? 止まりなさいってば! ええい、こうなったら電撃で……」
初春「御坂さん、塊の中には人がいるから電撃は駄目だと思いますよー」
美琴「えっ!? じゃ、じゃあどうすれば 佐天「よいしょー!!」ゴロゴロ
美琴「きゃあああ!!」
佐天「やったね、初春」
初春「やりましたね、佐天さん」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:40:23.79 ID:radfW+JC0
佐天「いやー、ずいぶん大きくなったものだね、初春」ゴロゴロ
初春「そうですねー。あれ、あそこのビル、なんか変じゃありませんか?」
佐天「本当だ、窓が無いね。巻き込んでみよっか」ゴロゴロ
初春「お願いします」
佐天「よいしょー!!」ゴロゴロ
初春「あっ、いけましたね」
佐天「変なビルだったね。次行こっか」
初春「そうですね」
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:45:13.80 ID:radfW+JC0
窓の無いビル 内部
アレイスター「まさか、この建物が巻き込まれるとは」ビシャ
土御門「ずいぶん冷静だな」
アレイスター「なに、動じる事では無い」ビシャ
土御門「そうか。回転するたびにビーカーの中身がこぼれているけどな」
アレイスター「なに、動じる事では……へぶっ!? 無い……」
土御門「中身だけこぼれて、ビーカーの中でぶつけまくってるが大丈夫か?」
アレイスター「なに、ぐはっ、どうじ、がぼっ、る、げふっ」ゴン ガコン
土御門「キチンと蓋はすべきだったな」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:52:18.90 ID:radfW+JC0
戦況報告
佐天「第七学区はこれで全部かー。いやー、意外と大変だったね」
初春「そうですね。でも、固めたこれはどうしますか?」
佐天「うーん、まあ、置いとけばいいよ」
初春「それもそうですね」
佐天「ところで初春、見てごらんよ。何も無いってのはこういう事なんだね」
初春「さっぱりしましたねー」
佐天「あたし達って、便利な生活に慣れてるけど、それって物に囲まれて生活してるって事だよね」
初春「そうですね」
佐天「だから、一度こうしてリセットしてみるのもいいと思うんだよ」
初春「佐天さん、カッコいい事言いますね」
佐天「もっと褒めていいよ、初春」
初春「でも、やっぱりそろそろ戻しましょうか」
佐天「それもそうだね、戻そうか。……あっ」
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 01:56:41.62 ID:radfW+JC0
初春「どうしました、佐天さん?」
佐天「今気付いたんだけど、あたしが知ってる戻し方って、ぶつける方法しかないじゃん?」
初春「そういえばそうですね。……あっ」
佐天「これだけ大きいと、ぶつけるものが無いよね」
初春「うーん、今どれくらいですか?」
佐天「八百メートルくらいはあるよ」
初春「スカイツリーもびっくりですね」
佐天「でも、困ったね。ぶつけるなら後は、山とか?」
初春「近くて大きな山と言えば……」
佐天「……富士山?」
初春「ですね」
佐天「……よっしゃー!」ゴロゴロ
初春「佐天さん、ファイトー!」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:01:24.05 ID:radfW+JC0
佐天「……初春、やっぱり富士山は遠いね」
初春「そうですね。第八、九学区を通過した後に言うのもアレですけどね」
佐天「困ったなー……誰か、何とかしてくれないかな」
初春「塊を解除する能力があればいいんですけどねー」
佐天「やっぱり、あたしは落ちこぼれなのかな……」
初春「元気出してくださいよ。でも、いったいどうしたら……」
??「おっ、いたいた。おーい」
佐天「あれ? 誰かこっちに来てるよ」
初春「本当だ、誰でしょうか?」
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:05:45.09 ID:radfW+JC0
??「いやー、ずいぶん派手にやったもんだな」
佐天「そうなんですよねー……あたし達も困ってたんですよ」
初春「何かいい方法知りませんか?」
??「あぁ、俺に任せてくれよ。そのために来たんだからさ」
佐天「おー! その発言、カッコいいですね!」
初春「佐天さんもカッコいいですよ」
佐天「ありがと、初春」
??「よーし。危ねえから、ちょっと離れてくれ」
佐天「どうするんですか?」
??「まあ、見てろって。……いいぜ、テメェが何でもかんでもくっつけて転がるって言うんなら――」
初春「誰に向かって言ってるんですかね?」
佐天「うーん、誰だろうね?」
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:10:29.23 ID:radfW+JC0
上条「――まずは、そのふざけた塊(げんそう)をぶち壊す……ッ!」キュイーン
ドガッ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ガゴーン
佐天「うわっ!? 塊が崩れる!?」
初春「佐天さん、危ない!」ドンッ
佐天「初春!?」
初春「ぐはっ……」
佐天「初春……飛んできたペコちゃん人形から、あたしをかばって……」
初春「さ、佐天さん……私達、ずっと……ともだち、ですよ、ね……」
佐天「初春……だめだよ、死んじゃだめだよ!」
初春「なかな、いで、佐天、さん……わた、し、さてんさんのこと……っ」バタッ
佐天「初春……? 初春……ういはるー!!」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 02:19:40.93 ID:radfW+JC0
佐天「――あれから、あたしは塊の欠片が散らばった景色を見て思いました」
佐天「この世はもので溢れてる。でも、それ以上に人の心が溢れてる」
佐天「だから、謝ろうと思うんです。あたしの勝手な思い込みで、多くの人に迷惑をかけた事を」
佐天「……そうしないと、きっと初春は許してくれないから」
佐天「初春、あたし……もう、消しゴムのかすで遊ばないから。だから……」
佐天「あたしの事、見守っててね。初春」
初春「佐天さん、せっかくカラオケに来たのに何も歌わないんですか?」
佐天「あっ、ごめんごめーん。よーし、歌うぞー!」ピッ
カモーン! エブリバディ!
初春「あー、この曲いいですよねー」
佐天「さすがしげるだよね。じゃあ、いくよ!」
佐天「OK、ミスターサンシャーイン!」
初春「今、始まりますね。佐天さんの未体験アドベンチャー」
佐天「そうだね、初春」
劇終
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