1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:36:59.82 ID:2qLmP3/M0
春香「そうなんだよ~、意外だよね!」

千早「家がお寺だって言うのは、中々想像できないわね」

春香「プロデューサーさん、昔は坊主だったりしたのかな」

春香「あんまり似合わなそうだね!」

千早「そうかしら、メガネを取れば案外合いそうな気がするけど」

春香「えー坊主のプロデューサーさんとか、想像しただけておかしいよ」プークスクス



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:38:18.53 ID:2qLmP3/M0
千早「でも、なぜ春香はそんな話をしっているの?」

春香「ちょっと前にね、私のお父さんが会社に遅れそうだって朝から飛び出していったんだ」

春香「でもね、3時間くらいしたら帰ってきたの」

千早「忘れ物でもしたのかしら」

春香「忘れていたって所は合ってるよ」



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:41:21.76 ID:2qLmP3/M0
春香「お父さん、その日が祝日で会社が休みだったの忘れてたの」

千早「ふふっ、愉快なお父さんなのね」

春香「愉快っていうかおっちょこちょいだよねー」

千早「春香のお父さん、って感じがして親しみが持てるわ」

春香「うぅ、プロデューサーさんにこの話をしたときもそれっぽいこと言われたよう」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:43:50.89 ID:2qLmP3/M0
千早「そこからプロデューサーの家の話になったわけね」

春香「そうそう、プロデューサーさんの家族はどんな感じでしたかーって」

千早「お寺生まれってことは、結構厳しかったりするのかしら」

春香「厳しいって話はしてなかったかな、朝早いのが大変だったんだよっとはいってたけど」

千早「たしかにお寺の朝は早いイメージがあるわね、境内の掃除とかもあるでしょうし」

春香「掃除はあまり気にならなかったって、むしろ好きなほうだったとか」

千早「プロデューサー割りと綺麗好きだものね、デスクの上もちゃんと整頓されているし」

春香「暇な時は社長と一緒に掃き掃除してるよね」

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:47:15.38 ID:2qLmP3/M0
千早「春香が羨ましいわ、プロデューサーと会話する機会が多くて」

春香「そうかなぁ、美希とか亜美、真美のほうが……」

千早「私から見れば、春香が一番だと思う」

春香「千早ちゃんだって、歌のことだと何時間もお喋りしてるよね」

千早「仕事の話や歌の話だったらいくらでも話していることは出来ると思う」

千早「でも、春香みたいな日常会話はほとんどしたことがないなって……」



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:50:48.57 ID:2qLmP3/M0
春香「千早ちゃんもどんどん話しかけちゃえばいいんだよ、他の人がいても気にしちゃダメだよ」

千早「話しかけようとは思っているんだけど、その、なんて話しかければいいか分からないし」

春香「なんでもいいんだよ!昨日の夜は何を食べたーとか、あのTV面白かったですよねーとか」

千早「昨日は夜はカロリーメイトとサプリメントしか食べてないし、ここ1ヶ月くらいTVをつけていないわね」

春香「えぇと、千早ちゃんご飯はちゃんと食べないと体に悪いよ……」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:53:12.16 ID:2qLmP3/M0
夜・駅

春香「それじゃあ千早ちゃん、また明日ね!」

千早「えぇまた明日、おやすみなさい春香」

春香「うんおやすみー」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:56:36.18 ID:2qLmP3/M0
千早「……」テクテク

……

千早「……」ピタッ

千早「……?」


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:59:08.86 ID:2qLmP3/M0
夕方・事務所

千早「おはようございます……」

春香「おはよう千早ちゃん」

やよい「千早さんおはようございますー」

千早「春香、高槻さんおはよう……」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:02:55.92 ID:2qLmP3/M0
春香「あれ、千早ちゃん今日は元気ない?」

やよい「ちょっと具合悪そうですー、大丈夫ですか千早さん」

千早「二人共ありがとう、体の方は大丈夫よ……」

やよい「でもでも、なんか顔色が悪いですよー」

春香「昨日別れた後、何かあったの?」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:06:31.53 ID:2qLmP3/M0
春香「ストーカー!?」

千早「ちょっと春香、声が大きいわ」

春香「ご、ごめんね」

千早「ストーカーかもと言っただけで、まだ確証なんて何もないのよ」

やよい「でも、昨日の帰り道では見られてるような感じがしたんですよねー?」

千早「あくまで感覚だから……人影をみたわけでもないし」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:09:28.66 ID:2qLmP3/M0
春香「私とやよいはCランクだけど、千早ちゃんはAランクアイドルなんだからストーカーの一人や二人いてもおかしくないよね」

千早「……」

やよい「春香さん……」

春香「あ、いや、あのね!それがストーカーだって言うわけじゃないんだけど!」

春香「でも、私達アイドルやってるわけだし、そういう問題ってたぶんいつかあるんじゃないかなと思って……」



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:12:45.53 ID:2qLmP3/M0
千早「そうね、今まで考えてこなかったけど、そういうことがあってもおかしくない世界なのよね」

やよい「あぅ~、そう言われるとなんか急に怖くなって来ちゃいました~……」

春香「ああぁ、ごめんねやよい!」

春香「大丈夫!私もやよいもまだC級アイドルなんだからストーカーに狙われるほど人気はないよ!」

やよい「なんだか全然うれしくないです~……」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:15:35.78 ID:2qLmP3/M0
千早「それならそれで、なにか対策を考える必要があるわね」

春香「とりあえずプロデューサーさんに相談してみましょう」

春香「小鳥さーん、今日ってプロデューサーさんはいつ頃帰ってきますかー?」

小鳥「えーっと、プロデューサーさんの今日の予定は……」

小鳥「今日はいつになるかわからないわね、日付が変わっちゃうかも」

春香「そうですか……」

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:18:35.79 ID:2qLmP3/M0
やよい「プロデューサー、今すっごく忙しそうですもんね」

千早「美希、我那覇さん、四条さんで組んだユニット、プロジェクトフェアリーの仕事が大変なんでしょうね」

春香「プロジェクトフェアリーすごいよね、元々人気のある3人だったけどユニットになったら更に火がついちゃうんだもん」

小鳥「そうね、今月はまともにお休みが取れないくらい忙しんじゃないかしら」

小鳥「プロデューサーさんに何の用事だったの?よければ伝えておくけど」

春香「それがですね……」

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:21:37.56 ID:2qLmP3/M0
小鳥「ス、ストーカー!?」

千早「音無さん、声が……」

小鳥「ご、ごめんなさい、びっくりしちゃって」

小鳥「でも、真偽がどうでだとしても本当になにか考えないといけないかもしれないわね」

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:24:21.69 ID:2qLmP3/M0
春香「ですよね、防犯ブザーならもっていますけど」

小鳥「それだけじゃ不安よね、見られてるって感じを防いでくれるものでもないし」

小鳥「理想を言えば、帰りの時だけ車で送ってあげられればいいんだけど」

小鳥「送ってあげる車なんてこの事務所にはないし……」

千早「いきなり万全の体制にすることは無理ですし、みんなには危機意識を持ってもらうくらいはしておいたほうがいいですね」

小鳥「そうね、このことはプロデューサーさんと社長に話しておくわ」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:27:39.35 ID:2qLmP3/M0
夜・駅

春香「それじゃあ千早ちゃん、気をつけてね」

千早「春香こそ、電車だから絶対大丈夫だなんてことはないんだから」

春香「うん、ありがとう、また明日ね!」

千早「えぇ、おやすみなさい」



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:30:32.50 ID:2qLmP3/M0
千早「……」テクテク

タ……ヒタ……

千早「……」テクテク

ヒタ……ヒタ……

千早「……」ピタッ

タ……

千早「やっぱり……」

……

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:33:45.27 ID:2qLmP3/M0
夜・千早の部屋

バタンッ

千早「ハァハァ……やっぱり、本当にストーカー……?」

千早「警察、行ったほうがいいのかしら……」

ヒタ…

千早「えっ……!?」

千早「……」

千早「……」

千早「今日は早めに寝よう……」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:36:20.02 ID:2qLmP3/M0

「なんで」

千早「えっ!?」

「痛かった」

「苦しかった」

千早「ど、どうして……」

「なんで」

千早「な、なんでって……」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:39:26.31 ID:2qLmP3/M0
「なんで、助けてくれなかったの」

千早「そんな……あれは……」

「助けてくれなかった」

「助けられたのに……」

千早「私は……!」

「お姉ちゃん……助けて……」

グシャ


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:42:17.22 ID:2qLmP3/M0
千早「あぁぁ!」

千早「ぁ……はぁ……はぁ……」

千早「……優」

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:45:29.25 ID:2qLmP3/M0
朝・事務所

春香「おはようございまーす!」

P「おー、おはよう」

小鳥「おはよう春香ちゃん」

春香「あ、プロデューサーさん今日はお仕事ないんですか?」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:48:33.02 ID:2qLmP3/M0
P「ないって、そんなわけないだろう」

P「30分もしたら現場に戻るよ」

春香「あははー、ですよね」

春香「そうだプロデューサーさん、あの話は聞きましたか?」

P「あの話って、千早のストーカーのことか?」

春香「そうです、って本当にストーカーだったんですか!?」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:51:20.73 ID:2qLmP3/M0
P「あーいや、なんか違ったらしいんだが……」

春香「違った?」

小鳥「今朝、千早ちゃんから連絡があって、今日は休ませてほしいってことと」

小鳥「ストーカーの件は私の勘違いでしたって」

春香「勘違いって……」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:54:23.66 ID:2qLmP3/M0
小鳥「そうなのよ、少し疲れがたまって神経質になっていたからみたいで今日は休ませてほしいって」

春香「千早ちゃん、大丈夫かな」

P「今日のレコーディングは明日以降に伸ばしてもらったから、ゆっくり休めって連絡はしておいたぞ」

春香「そうですか、ありがとうございます!」

P「春香は本当に千早が好きなんだな」

春香「あたりまえですよ!仲間ですからね!」



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:57:39.75 ID:2qLmP3/M0
P「それはそうと、ストーカーの件はちゃんと考えていかないとな」

P「なかなかみんなと話し合える機会がつくれないが、今は複数人で行動することを意識付けてもらうよう声をかけている」

春香「そうですね、今はそれくらいしかできないですし」

小鳥「社長も、送迎が出来るような営業車の購入を検討してくれるみたいですよ」

P「みんなが不安なく仕事に取り組めるようにしていかないとな」

春香「プロデューサーさん、ありがとうございます」

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:00:28.34 ID:2qLmP3/M0
夜・千早の部屋

千早「……」

ヒタ……

千早「……」

ヒタ……ヒタ……

千早「優……」

……

千早「ごめんなさい……」

……ヒタ……

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:03:15.51 ID:2qLmP3/M0

「お姉ちゃん、痛いよ……」

千早「ごめんなさい……」

「お姉ちゃん、助けて……」

千早「ごめんなさい……」

「お姉ちゃん、寂しいよ……」

千早「優……」

「お姉ちゃん……」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:06:26.83 ID:2qLmP3/M0
夕方・事務所

千早「おはようございます……」

春香「あ、千早ちゃん!おはよう!」

やよい「千早さんおはようございまーす!」

春香「千早ちゃん、大丈夫だったの?」



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:09:21.34 ID:2qLmP3/M0
千早「大丈夫って、何が……?」

やよい「あぅ~、その疲れがたまっていたこととか」

千早「そのことね……」

春香「すっごい心配したんだよ、本当にストーカーじゃなかったの?」

春香「もしかしたら…」



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:12:28.80 ID:2qLmP3/M0
千早「優はストーカーなんかじゃないわっ!」

春香「えっ?」

やよい「あぁう……」

千早「ご、ごめんなさい……」


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:15:27.33 ID:2qLmP3/M0
春香「ストーカーじゃなくて、優君だった?」

やよい「優さんって、あの、千早さんの弟さんですよね?」

千早「えぇ、そうよ……」

春香「でも、あの、優君って……えーっと……」

千早「9年前に他界しているわね……」

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:18:18.82 ID:2qLmP3/M0
やよい「そ、その優さんということは、あの、幽霊ってことで……」

千早「……そうね」

春香「ほ、本当に優くんなの?やっぱりまだ疲れが取れてないとか……」

千早「さっきまでずっと一緒にいたわ……」

千早「私の周りからくっついてはなれないの」

やよい「離れないって……うぅ、怖いです~……」

千早「怖いなんてことはないのよ、甘えん坊だから、優は……」

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:21:32.93 ID:2qLmP3/M0
千早「事務所まで入ってくるのは恥ずかしいらしくて、今はいないんだけど……」

春香「ね、ねぇ千早ちゃん、プロデューサーさんに相談してみない?」

千早「プロデューサーに……?」

春香「そう、プロデューサーさんってお寺の生まれだからすごいんだよ!」

春香「こう、はぁ!ってやると霊が成仏するの!」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:24:07.87 ID:2qLmP3/M0
バンッ

千早「優を成仏させるっていうの!?」

やよい「あぅ……」

千早「優は、ずっと寂しかったのよ!」

千早「私が、あの時助けてあげられなかったから!!」

千早「この9年間、ずっと一人で寂しがっていた!」

千早「やっと私が優を感じてあげられるようになったのに、それを成仏させるってどういうことなの!!」


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:27:18.96 ID:2qLmP3/M0
春香「で、でも……死んじゃった人と、生きている人は一緒にいちゃいけないと思うよ……」

千早「そんなこと、誰が決めたっていうの!」

千早「優は、私しかいないのよ!」

千早「だから、私に助けを求めてきた!」

千早「9年前は、私は幼くて、怖くて、助けてあげる事が出来なかった……」

千早「だから、今度は絶対助けてあげなくちゃいけない!」

春香「……」

やよい「……」

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:30:56.63 ID:2qLmP3/M0
千早「今日は、もう帰るわ……」

春香「あ、それなら私も」

千早「来なくていいわ」

やよい「でも、一人だと危険かもですし……」

千早「大丈夫よ、私は優と二人で帰るから……」

千早「それじゃあ……」

バタン


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:33:33.21 ID:2qLmP3/M0
やよい「あぅぅ、春香さんどうしましょう」

春香「どうしようって、本当にどうしよう……」

やよい「その、プロデューサーに連絡したほうが」

春香「でも、千早ちゃんあんなに怒って……」

やよい「でもでも、もし本当に幽霊だったら、なにがあるかわからないですし……」

春香「うん……とりあえず、連絡だけでもしてみようか」

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:36:14.74 ID:2qLmP3/M0
事務所前

千早「優、待たせてごめんね」

……

千早「寂しかった?すぐ家に帰りましょう」

……

千早「……」テクテク

ヒタ……ヒタ……

千早「ふふっ、本当に甘えん坊ね、優は……」

ヒタ……ヒタ……


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:39:30.87 ID:2qLmP3/M0
午前0時・千早の部屋

千早「それでね、春香ったら何もない場所で転けてるのよ……」

……

千早「それと、プロデューサー」

……

千早「今、私がこうしてアイドルとして歌っていられるのはあの人のお陰なの」

……

千早「優……」

……

千早「どうすれば、あたなを助けてあげられるの……」

……

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:42:16.46 ID:2qLmP3/M0
千早「どうすれば……」

……

(春香「で、でも……死んじゃった人と、生きている人は一緒にいちゃいけないと思うよ……」)


千早「私たちは一緒にいちゃいけないのかな……」

……

千早「私が生きているから……」

……

千早「そうよ……私が生きているからいけないのね……」

……

千早「優を殺して、寂しい思いをさせた私が生きていていいはずがないわよね……」

……

千早「……」

ヒタ……

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:45:31.89 ID:2qLmP3/M0
午前1時・大通り

千早「私も優と同じ苦しみを受けなくちゃいけないわね」

ヒタ……ヒタ……

千早「……怖くない……こんな怖さ、優が受けた痛みと比べたら……」

ヒタ……

千早「……」スゥーハァー

……



69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:48:12.70 ID:2qLmP3/M0
千早「春香……みんな……ごめんなさい……」

ヒタ……

千早「プロデューサー……」

ヒタ……

千早「今行くわ、優……」

ヒタ……ヒタ……



キキキキキーーーッ!!


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:51:55.94 ID:2qLmP3/M0
千早「……」

千早「……優?」

P「千早、なにやってんだ!!!」

千早「ぅ……プロデューサー……」

バカヤローシニテーノカー!!

P「本当に轢かれる寸前だったんだぞ!」

千早「なぜ……死なせてくれなかったんですか……」


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:54:20.43 ID:2qLmP3/M0
P「自分が何をしたか分かっているのか」

千早「私は、優を助けなきゃいけないんです!」

P「そうか……春香から聞いていてよかった……」

千早「優が寂しがっているから、助けを求めているから」

千早「邪魔をしないでください、死なせてください!」

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 02:58:18.93 ID:2qLmP3/M0
パァン

千早「……えっ」

P「死にたいなんて言うんじゃない!」

P「千早、お前にまとわりついていたモノを見せてやる」

P「はぁ!」


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 03:01:25.41 ID:2qLmP3/M0
千早「こ、これは……」

P「鬼だ、人間の後をついて回って心をすり減らせる」

P「さらに獏、こいつも悪夢をみせて人の精気を吸う」

千早「うそよ……うそ……」

P「それだけじゃない、陰鬱な空気に吸い寄せられて溜り込んだ雑多な霊共が心労の原因になっている」

千早「わ、私の周りにこんなにも……」



77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 03:04:18.45 ID:2qLmP3/M0
千早「それじゃあ優は……」

P「優君は、こんな低俗な霊としてこの世に残っちゃいない、ちゃんと成仏したんだ」

P「こいつらは、千早と優君の絆を食い物にしている、ただの悪霊だ」

千早「そんな……」

P「お前ら、俺のアイドルをたぶらかしたことを後悔しろ!」

P「破ぁぁ!!」



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 03:07:18.07 ID:2qLmP3/M0
T「霊とか、妖怪とか、そういうやつらは強い想いを持ってるヤツが好きなんだよ」

T「憧れ、愛、憎悪とかでもいいし、慙愧の念でもいいな」

T「とにかく強い想いってのは見えない物を呼び寄せる」

T「大概の人は気づかずに終わるんだが」

T「死者に対して強い想いを抱いている奴ってのは、こいつらに敏感だ」

T「霊が霊を呼んで、そいつを食い物にしにやってくる」

T「1匹だと大したことはないものが、どんどん集まってとんだ悪霊なるってこともままある話だな」

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 03:08:23.17 ID:2qLmP3/M0
深夜・千早のマンション前

春香「ぢばやぢゃぁん!!」ズズー

千早「春香……」

春香「うあぁぁん!!」ダキッ

千早「春香、ごめんなさい」

春香「千早ちゃんのバカ!音痴!まな板!!」グス

まな板「……」



82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 03:09:02.13 ID:2qLmP3/M0
春香「あの時、言ったじゃん……」

春香「優くんは、千早ちゃんの笑顔が何より大好きだったんじゃないかって……」

春香「そんな優くんが、千早ちゃんに悲しい思いをさせるはずがないじゃん……」グスッ

千早「そうね……私の勝手な思い込みかもしれないけど、私はまだ優のことを信じきれていなかったのかも……」

春香「千早ちゃんは優しいから、しょうがないけどさ……」

P「死者を尊ぶことはとても大事な事だ、それこそ、千早にはつらい過去があったわけだし」

P「俺が、その心を理解することは出来ないかもしれないけど」

P「でも、千早がもし死んでしまったら、俺は千早が優君を失った時と同じくらい悲しくなると思う」

P「千早は俺の大切な人だからな」

千早「プロデューサー……」

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 03:09:40.18 ID:2qLmP3/M0
春香「えへへ、プロデューサーさん告白ですか」

P「あ、え、いや、そういう意味じゃないぞ、大切なのは本当だけど!」

P「こんなおっさんに告白されたって、千早は嬉しくないだろうし……」

千早「……嬉しいです」

P「そ、そうかまぁ喜んでもらえたならいいんだ……」

春香「……プロデューサーさんってほんと分かってないですよね」

P「え、そうなのか?」

千早「ふふっ、でもそんなプロデューサーが私は好きなんですよ」

春香「千早ちゃん、私も負けないからね」




千早「優、ごめんね、私はまだそっちに行けない」

千早「でも、いつかかならず行くから、1番に会いに行くから」

おわり