1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 21:42:43.13 ID:mYz2mU/V0
御坂「またヤドクガエ太…、ついてないわねぇ。まだ百円玉あったかしら」ゴソゴソ

初春「あれ?御坂さんじゃないですか。なにやってるんですかこんな所で」

御坂「う、初春さん!? き…奇遇ねぇ、ちょっと小銭が邪魔になってきたから仕方なく…。うん仕方なく処分してたのよ」ガラガラ

初春「へぇ、ゲコ太カードダスですか。こんなの出てたんですね」

御坂「うぅ、……今度は、コバルトヤドクガエ太。なんで…なんでなのよ…」ゴソゴソ

初春「また毒ガエルですか、悪そうな顔してますねぇ」

御坂「ねぇ、初春さん百円玉もってな……」

ダッダッダッ

佐天「うーいーはーるぅー! そりゃぁぁー」ガバッ


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 21:47:40.73 ID:mYz2mU/V0
御坂「もう、佐天さんまたそんな事ばっかりして…」

佐天「ほれほれ、また可愛い声で鳴いておくれよ、初春ぅ」グイグイ

初春「え?百円玉がどうかしたんですか御坂さん」

御坂「いや…、百円玉があったら貸してほしいなぁって…。て、あれ?」

佐天「うい…はる……?ねぇ、ねぇ」

初春「ちょっと一個だけありましたよ、それじゃ私用事ありますんで失礼します」サッ

ダッダッダッダッ

佐天「な、なによあの子…。付き合い悪いんだから」




6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 21:52:03.85 ID:mYz2mU/V0
=常盤台自室=

御坂「っていうような事があったのよ、アンタどう思う?」

黒子「どうと言われましても…、フキヤガエルから体内からの毒を抽出し吹き矢に塗って、
矢毒とし狩猟等に用いたことが名前の由来だなんてわたくし初めて知りましたわよ」ペラペラ

御坂「ゲコ太カードダスの事じゃなくて、初春さんの事よ!」

黒子「あらそっちでしたの? しかし初春もいくら温厚とはいえ普通の人間ですもの、人を嫌いになることもありますわよ」

御坂「そうなのかな…? なんかひっかかるんだけど」



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 21:56:36.50 ID:mYz2mU/V0
黒子「それではお姉様、ちょっと想像してくださいまし」

御坂「想像って何をよ?」

黒子「例えばお姉様が道を歩いていて、行き成り衆目の眼前でスカートを捲し上げられましたらどう思いますの?」

御坂「親指を、そいつの目の中につっこんで、そのまま殴りぬけるわね」

黒子「そうでしょう、ですか……ってちょ、お姉様そんなことしてますの!?」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 22:02:34.29 ID:mYz2mU/V0
御坂「例えばよ、例えば。私が本当にそんな事するわけないじゃない」

黒子「怪しいものですけど…。まぁ普通の人間なら嫌な思いをしますわ、それを毎日のように繰り返されれば」

御坂「いくら温厚な初春さんでも、我慢の限界がくるって事?」

黒子「こればかりは当人同士の問題ですわ、わたくしたちが首をつっこむ事ではありませんのよ」

御坂「んーそうは言ってもねぇ、あの佐天さんの顔は……」

黒子「夜更かしは美容の敵でしてよ、今日はもうおやすみなさいませ」ドサッ


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 22:09:57.44 ID:mYz2mU/V0
佐天「おかしい…何かおかしいわね。初春にいくらメール送っても帰ってこないし、
もしかして私、無視されてのかしら」

ピッピッピッピッ

佐天「(ううん、初春が私にそんなことする訳ない…、今日のもよっぽど急いでたのよ。
メールだって忙しくて確認できなかっただけ。きっとそうよ、電話だったら)

『お客様のおかけになった番号は現在使われておりま…』

佐天「う、初春……」ガタッ



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 22:18:49.76 ID:mYz2mU/V0
=翌日=

御坂「ねぇ黒子? アンタ、ゲーセンいきたくない」ジャラジャラ

黒子「ゲームセンターですの? そんな所わたくし余り興味ありませんわよ、どうせならブティックなどを」

御坂「あ、でもアンタの好きだったダンスのやつの新作が…」ジャラジャラ

黒子「ふぅ…素直にお姉様が行きたいとおっしゃればよろしいですのに。またゲコ太カードダスですの?」

御坂「えっ!?違うわよ、私はアンタが行きたがっているんじゃないかなって」ジャラジャラ

黒子「そんな両方のポケットから、ジャラジャラと小銭の音を鳴らしていては説得力ありませんのよ」

スタスタ

佐天「…………」

御坂「だからこれは…、ん?あそこにいるの佐天さんかしら」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 22:24:11.22 ID:mYz2mU/V0
黒子「あら、奇遇ですわね。何をしてらっしゃいますのかしら佐天さん」

佐天「……違うの…これは…何かの間違いで…違う…」ブツブツ

黒子「佐天さん、聞いてますの?」

御坂「あ、あの…佐天さん、どうしたのどこか具合でも悪いの?」

バッ

佐天「って、うわぁ、ビックリした! 二人ともいつの間に」

黒子「全く、こっちがビックリしましたわよ。どうしましたのよ」

御坂「ん…? なんだか目が赤くない」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 22:29:45.77 ID:mYz2mU/V0
………
……

黒子「なるほど、今日も学校で一言も口を聞いてくれませんでしたの?」

佐天「お昼も、いつも一緒に食べてるのに、他の子といっちゃうし……」

御坂「う~ん……、どうも信じられないわねぇ。あの初春さんが」

黒子「だからお姉様、昨日もいいました通り、初春も人間ですの。喜びもすれば怒りもしますわよ」

佐天「ど、…どうしたらいいんだろう私…わたし…」

御坂「困ったわねぇ……」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 22:39:16.10 ID:mYz2mU/V0
佐天「お願いします助けて下さい! 謝ろうと思っても初春、全く相手にしれなくて…」ガバッ

御坂「佐天さん、頭下げてよ…、そんな事しなくても。ねぇ黒子?」

黒子「佐天さんは今まで初春の気持ちを考えた事をおありで?
こういう事態になってから他人に頼るなどといささか虫のいい話ではありませんの」

佐天「そ、…それは…初春だったら許してくれるかなぁって…」

黒子「そんな考えがそもそも間違っていますわ、誰もが嫌がることが、何故初春にだけしてもよろしいんですの」

佐天「だって………」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 22:44:49.89 ID:mYz2mU/V0
御坂「ちょっと、黒子! いくらなんでも言いすぎじゃ」

佐天「いえ、いいです御坂さん……、元はといえば私が悪いんです。自業自得なんですよ…」サッ

スタスタ

御坂「佐天さん、待って。どこに行くつもりよ」

黒子「さて、ジャッジメントとしてのお仕事はこれまでですわ。逃がしませんよ」ブォン

シュン、スタッ

佐天「な…何、白井さん…」

黒子「また初春の所に行くおつもりですか?また無視されるのがオチでしてよ」

佐天「で、でも、……それでも私は」


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 22:55:33.46 ID:mYz2mU/V0
黒子「佐天さんの言葉は聞かなくても、わたくし達の言葉なら聞くのではありませんの?」

佐天「し、白井さん。それじゃ…」

黒子「これからはジャッジメントではなく、佐天さんのお友達、白井黒子としてご協力いたしますわ」

佐天「あ、有難う……何てお礼を言っていいか」

黒子「あらあら、泣くのはお止めになりまして。水臭いですわよ、わたくしたちお友達で…」

御坂「……………」ブン

ドガッ!

黒子「はぅ! いきなりなんですのよ、お姉さま?」

御坂「……いや、なんとなく」

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 23:03:12.95 ID:mYz2mU/V0
黒子「とは言ったものの、どうしたらいいんでしょうねぇ」

佐天「初春のスカートを捲り上げて怒ったんだったら……」

黒子「あら、何かいい案でも浮かびましたの?」

佐天「逆に考えるのよ、「初春のスカートの下にジャージを履けさせたらいいさ」と考えるの」

黒子「……いつもの佐天さんに戻ったのは大変宜しいですが、即却下ですわ」

佐天「や、やっぱり? ねぇ、御坂さん何かあります?」

ガラガラ

御坂「アイゾメヤドクガエ太……、機械のクセに私を怒らせないほうがいいわよ…」ピクピク

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 23:11:44.91 ID:mYz2mU/V0
通行人A「どうぞー、よろしくお願いしますー」ペラ

通行人I「遊園地だってー、私行ってみたいんだよー」

通行人T「無茶いうな、そんな金なんてウチに無いって…」

サッ

佐天「遊園地の割引券か…、前に初春が行きたがってたけど、今の私には必要ないか」

御坂「そんなこと無いわよ、こういうわだかまりは一緒にパーッと遊んだらどこかに吹き飛ぶんだから」

佐天「そうでしょうか? でも私が誘ってもきっと初春はこないと思います」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 23:16:12.68 ID:mYz2mU/V0
黒子「そういう時の為のわたくし達ですわよ、少々お待ちくださいまし!」サッ

プルルルルル…

初春『あ、白井さん。どうしたんですか?』

黒子「初春、遊園地へ行きますわよ。今から五分以内に駅前に集合ですわ」

初春『えっ? 五分ですか…、それはちょっと』

黒子「四の五の言わずに来なさいまし。十分なお金を忘れるんじゃありませんのよ、おーばー!」ピッ

御坂「アンタ…、あんまり偉そうに佐天さんの事言えないわよ……」

黒子「あら? なんでですの」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 23:24:00.74 ID:mYz2mU/V0
=駅前=

黒子「十五分経過ですわね、全くお姉様を待たせるなどど、初春ったら何をしていますのやら」ユサユサ

御坂「もう、貧乏ゆすりは止めなさいよ。…あ、あそこから走ってくるの初春さんじゃない?」

ダッダッダッ

初春「す、すいません……、急いで用意したんですけど」

佐天「いいよ、全然気にしてな…」

スタスタ

初春「私前から遊園地に行きたかったんですよ~。今日は楽しみですね、白井さん、御坂さん」

佐天「い…………」

御坂「むむ……」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 23:30:55.40 ID:mYz2mU/V0
初春「あっ、あそこの方に席が空いてますよ」

黒子「良かったですわ、わたくし最近立ちっ放しだと腰にひびきまして」

御坂「何よ、そんな年寄りみたいなこと言って。ま、遊園地に着くまでは体力は温存しとかないとね」

スタスタ

初春「さ、皆さん座ってください」ドサッ

御坂「え……と、うーんと…」

佐天「あ、いいですよ私立ってるんで、二人とも座った座った!はは……は…」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 23:36:26.49 ID:mYz2mU/V0
黒子「(そ…そうは言われましても…こんなの、めちゃくちゃ気を使いますわよ)」ダラダラ

初春「どうしたんですか? 早くしないと誰かに取られちゃいますよ」ニコッ

御坂「あはは…、うん、でももうすぐ目的地だから。ねぇ、黒子?」ダラダラ

黒子「そ、そうですわねぇ…だから全然大丈夫でございますのよ!」

佐天「…………………」

アナウンス『次は~……』

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 23:44:26.27 ID:mYz2mU/V0
御坂「さぁ、佐天さん着いたわよ。早く降りないとね」ガシッ

佐天「え? ……あ、はい…」

御坂「大丈夫だって、きっと初春さんだってそのうち耐えられなくなるから。頑張って」

佐天「ん…、だったらいいんですけど…」

ダッダッダッ

初春「ほら白井さん、遠くからでも見えますよ! 大きなジェットコースターですね」

黒子「ちょっと初春、少しはしゃぎ過ぎですわよ」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/02(火) 23:52:52.21 ID:mYz2mU/V0
=遊園地内=

初春「さて、着きましたね。うわ、結構混んでますねぇ…」

黒子「最近、ここに新しく巨大観覧車が出来ましたのよ、恐らく皆さんそれが目当てなのかと」

御坂「なるほど、それで駅前でビラ配って宣伝したのね」

佐天「…………………」ボリボリ

黒子「さ、さて、それでは折角四人おりますもの。ここはダブルデートと洒落込みましょうではありませんか!」

御坂「そうねぇ、じゃあ二、二で分かれて乗り物に乗りましょ…」

初春「あ、私コーヒーカップに乗りたいです、行きましょう白井さん!」ガッ

黒子「え? ちょっと、話は最後まで聞きなさいまし」

ダッダッダッ





31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:00:14.77 ID:wk74SPGF0
御坂「え~っと…、それじゃ佐天さん一緒に乗りましょうっか?」

佐天「……御坂さんも食べます? 美味しいですよ……これ」ボリボリ

御坂「あ、ありがとう。それじゃ一個だけ」ボリボリ

佐天「…………………」ボリボリ

御坂「大丈夫、大丈夫! 私を誰だと思ってるのよ、学園都市第三位よ、三位なんだから」

佐天「…私少し考えていたんです」

御坂「え、な、なにを…?」

佐天「今まで、初春は私のすることをずっと我慢してたんじゃないのかって。もしかして私と友達でいることすらも我慢してたんじゃ……って」

御坂「そ、そんなことないわよ、初春さんがそんな…」



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:04:27.45 ID:wk74SPGF0
初春「まだまだ行きますよ~、ほらー!」ブォンブォン

グルグル

黒子「ちょ、初春、回し過ぎでございま…うっぷ!」

グルグル

御坂「ほらコーヒーカップなんだから、佐天さんも回しましょうか?」

佐天「……白井さんと一緒にいる初春、楽しいそうですね」

御坂「そ、そうかしらいつも通りに見えるけど?あ、…はは」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:10:11.57 ID:wk74SPGF0
黒子「うっ……これは、…中々…うっぷ! …危険な乗り物で…おっつぷ!」

フラフラ

初春「ん~楽しいなぁ、やっぱり遊園地はこうじゃないといけませんね」

御坂「そ、そうよね。……結局一回も回さなかったわ」

初春「それじゃ次は……」

佐天「ね、ねぇ。嫌なのは分かってる、でも…でも次は私と一緒に乗ってくれない? お願いだから初春! 私たち友達じゃない」

御坂「さ、佐天さん…」

初春「………………」

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:14:26.37 ID:wk74SPGF0
黒子「う、初春…げっぷ…。佐天さんの、佐天さんの気持ちも分かって上げてくださいま…ぐっぷ!」

ガシッ

初春「いきましょ、御坂さん! あのジェットコースター一回乗ってみたかったんです」ニコッ

御坂「えっ、ちょっと待って」

ダッダッダッダッ

佐天「……そうだよね、今更友達なんて、白井さんの言うとおり虫のいい話だったのよ」グッ

黒子「さ、佐て……ぐぶっぷ!」ガクガク

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:22:27.69 ID:wk74SPGF0
=観覧車=

黒子「き、気になさらずに、まだまだ仲直りのチャンスはありますわよ。それより、ほら絶景ですわよ~」

佐天「仲直りなんて…、初めから初春は私の事友達なんて思ってなかったんだよ…」

黒子「佐天さん、それは言い過ぎでしてよ。初春も人間、怒ることもありますわ、しかしその様な考え方をするような子ではありません」

佐天「だったら…だったらこれは何だっていうのよ! いくら話しかけても、話しかけても目もあわせようとしない…」

黒子「そ、それは……」

佐天「私、もう辛いの…。初春とはずっと友達と思っていたいの…だからここにいるのが…もう辛い」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:28:10.52 ID:wk74SPGF0
黒子「佐天さんが本当にそう思っているのなら、仕方ありません。当人同士の問題、わたくしたちが首をつっこむ事ではありません」

佐天「………………」

黒子「しかし、わたくしは初春を信じてあげてほしい。それだけ言わせてくださいまし」

佐天「あの子を……信じる…」

黒子「……うっぷ! す、少し気分が悪くなったのでわたくし横になりますわ」

佐天「私だって信じたい……でも、でも…」ガッ

ガチャリ

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:32:03.89 ID:wk74SPGF0
佐天「な……なによこれ!? 扉のロックが掛かってなかったの!」

ビユゥゥゥゥゥゥ!

黒子「さ、佐天さん一体何を! 早まった考え方はお止めくださいまし」

佐天「え? 違うの、なんかロックが掛かってなかったみたいで…」

黒子「ジャッジメントとして必ず保護してみせま……うぇっぷ!」

ドンッ!

佐天「え…………?」

黒子「あ……………」

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:36:42.11 ID:wk74SPGF0
初春「はぁ、三回転捻り凄かったですねぇ! やっぱり遊園地といえばジェットコースターですよ」

御坂「は…はは…、楽しんでもらってなによりだわ」フラフラ

ザワザワ

初春「あら? なんでしょう、観覧車の方に人が集まっているみたいですね」

通行人B「おい、なんだか女の子が観覧車から落ちそうになってるらしいぞ!」

通行人C「大変じゃない、鍵とか掛かってなかったのかしら…」

御坂「女の子……観覧車…まさかっ!」ダッ

初春「あ、御坂さん、どこに!?」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:43:54.32 ID:wk74SPGF0
初春「一体、御坂さんどこに行ったんだろう…」キョロキョロ

通行人I「ほら、あの観覧車なんだよ! んーよく見えないよ、肩車してほしいな」

通行人T「そんな事ある訳ないだろ、遊園地のイベントじゃないのか?」

ドンッ!

初春「あ、ごめんなさい。私前を見てませんでした」

通行人T「あ、いえいえ、こっちこそすいません」

『だーれーかーたすけて下さいまーおっぷ!!』

初春「し、白井さんの声!? たしかコレって百円を入れれば望遠鏡になる…」サッ

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:49:37.92 ID:wk74SPGF0
御坂「こぉらぁぁ!! アンタが付いててなにやってんのよ、早くテレポートしなさい!」

ビユゥゥゥゥゥゥ!

黒子「そ…それが、余りに気分が悪くて…テレポー…うっぷ…ができませ…おっぷ!」

佐天「はは……、これはきっと神様の罰なんだよ…そうなんだよきっと」

黒子「ちょっと、何言ってますの佐天さん、気をしっかりと! 黒子は何も悪くありませんわぁぁ」

『佐天さんー、白井さんー。もうちょっとの辛抱です、耐えてくださいー!』

佐天「なんだか初春の幻聴まで聞こえてきたよ…嬉しいな私の名前呼んでくれてる…」

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 00:56:57.06 ID:wk74SPGF0
=放送室=

カタカタカタ

初春「御坂さーんー! 聞こえていたら観覧車の隣のタンクを超電磁砲で撃ち抜いてくださいー!」


御坂「隣……あそこね。迷ってる暇はないわね、ったくどうにでもなれよ!」サッ

黒子「も、もう腕が限界ですわ…おえっぷ……。お姉さま、黒子の先立つ不幸をお許しくださま…」バッ

御坂「いっけぇぇ!」ブォン

ドガァァァァァン!!

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 01:03:40.63 ID:wk74SPGF0
………
……

佐天「こ、ここは天国…かな? いや、もう地獄でもどこだっていいや」

初春「ふふどっちでもないですよ、佐天さん」

佐天「う、初春……本物に初春なの? 幻聴ないよね…幻覚じゃないよね…」

初春「ど、どうしたんですか、本物の初春ですよ? 本当に、無事でよかったです佐天さん…」

佐天「う、うーいーはーるぅー!」ガバッ

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 01:05:51.32 ID:wk74SPGF0
ダッダッダッ

御坂「黒子、あんたも大丈夫!? 隣のネットに落ちたとはいえ怪我とか…」

黒子「お……おねえさま…もう限界…です…の…」

御坂「全く、なにいってんのよ。助かったのよアンタ達、その様子じゃ大丈夫みた……」

バッ!

黒子「おねえさばぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」ガシッ!

ゲロゲロゲロゲロ

御坂「………………」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 01:13:23.99 ID:wk74SPGF0
…………

佐天「そ、それじゃ初春は私が遊園地に居たことに気づかなかったっていうの!?」

初春「それどころか、ここ数日佐天さんの姿を見ていなかったような…なんで今頃気づいたんでしょう…」

黒子「見えていない…? 初春、もしや今コンタクトなどつけておりませんか」

初春「え? よく分かったですね、度は入ってないんですけど」サッ

ピッピッピッ

黒子「ふむ…ふむ…やはりそうでしたのね」

御坂「アンタなに携帯で調べてるのよ?」


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 01:26:54.43 ID:wk74SPGF0
黒子「やはり、このコンタクトは「フォクヒラ」という製品ですわね」

御坂「なに、それ。聞いたことないわね」

黒子「特定の人物のIDを入力した煮沸液に漬けて洗浄するだけで、眼球から脳へ電気信号を送り込み、
その特定の人物の姿や声しか認識されなくなる。ようはバカップルが使うような百害あって一利無しな品物ですわね」

初春「そ、そうだったんですか? 友達ともっと仲良くなれるアイテムだって言われたんですけど」

ガバッ

佐天「う、うーいーはーるーぅー」スリスリスリ

御坂「でも、だったらなんで佐天さんだけが認識されなく…」

黒子「恐らく不良品か何かだったのではありませんか? 作用がまったく逆に働いてしまった…というわけですわね」

御坂「なるほどね、でも元に戻ったのは一体…。なんでなの黒子?」

黒子「……わたくしをバトル漫画の解説者扱いしないでくださいまし。大方…」

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 01:32:12.81 ID:wk74SPGF0
初春と佐天さんのお互いの想い……なんじゃありませんの


佐天「うーぃーはぁぁーるぅぅー、うーいーはぁぁる!!」

スリスリスリスリ

初春「ちょ、ちょっと~、ほっぺたが痛いですよー、佐天さんー!」


そうお姉様とわたくしの様な深く、いとおしく結ばれたきず…

アンタ私にゲロ吐いたわよね。

………ごめんなさいですわ。



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 01:39:23.29 ID:wk74SPGF0
=翌日=

黒子「はぁ~、佐天さん達も仲直りできましたし、ようやく肩の荷がおりましたわね、お姉様」

御坂「…………………………」

黒子「ちょっと…お姉様…? あの…もしもし…」

御坂「…………………な~んちゃて。ビックリし」

ダッダッッダッダッ

黒子「黒子はぁ、黒子はぁもうお姉さまに無視されては生きていけませ…」ドンッ

ガチャリ

御坂「だから冗談だってば~、ゴメンゴメンくろ……」ピタッ







58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 01:45:18.16 ID:wk74SPGF0
寮監「……………………」

黒子「あのぉ、寮監? いまからオチに入るところのなので、その手を離していただけると大変あり難いのですがぁ……」

寮監「オチ……か。という事はもう終わりなのだな」

御坂「そ、そうなんですよ。だ、だから寮監黒子を離してあげてくださ」

寮監「とどのつまり、私の出番は無しに終わりなのだな」ギリギリギリ

御坂「は…はは……、さぁて、ゲコ太カードダスでも回しこようかしら」バッ

ダッダッダッダッ

黒子「ちょっとお姉さまぁ、お待ちくださいまし! わたくしたちの絆はそんなものではぁぁぁ…」

私は走った、黒子の叫びを振り払いただひたすらに。そう、私に出来る事は一つしかなかったのだ……。
そして一心不乱に回した、そうゲコ太カードダスを……


御坂「あ、一回でキラキラゲコ太ゲット! 幸運だわぁ」


=おしまい=