1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:13:41.80 ID:1DAQm+uH0
女「憎いよね。男くんも。話しかけてくる人も。みんな、みんな」

男「落ち着け、その手の包丁離せよ」

女「嫌だよ、男くん。憎いもん」

男「一時の気の迷いだ。気を確かにしろよ」

女「私は正気だよ・・・・っ」

男「・・・・・わかった、声を荒げるなよ。・・・・・・仕方ないな。大人しく刺されるから」

女「有難う。男くん」

男「ああ」

女「じゃあね」


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:19:13.60 ID:1DAQm+uH0
男「やっぱり馬鹿真面目に突っ込んでくるか・・・・・・っ」

女「っ」

男「あいたた、ギリギリで止められたら格好良かったのに。服破けた上に切り傷が」

女「刺される・・・・って、言ったのに」

男「お前は正気じゃない。お前らしくもない」

女「私らしいってなに? わかったように言わないでよ。何も、何も知らないくせに」

男「お言葉だが」

女「・・・・何」

男「何も知らないって言うのは良いけど、ちゃんと伝えたか?相手に。テレパシーで伝わると思ったか?そんなわけ、無いだろ」

女「・・・・・・・」

男「言葉にしないと分かんないんだぜ」

女「そんなの詭弁だ」

男「でも正論だろ」

女「伝えられる環境、そんなの、私にあるわけ無いじゃない」

男「作れよ」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:23:41.06 ID:1DAQm+uH0
女「作れたら、作れるなら、作ってるよっ」

男「言い訳だろ」

女「言い訳? そうだね、男くんみたいな、人生順風満帆みたいな人には言い訳にしか聞こえないよね」

男「そうだな。順風満帆かどうかは置いといて、言い訳にしか聞こえない。」

女「私みたいに、教室の隅っこで、居るのかいないのか分かんないような。そんな奴の気持ちなんて」

男「分かんないな」

女「知ってた」

男「じゃあ聞くなよ」

女「良いじゃない。いい機会だし、知っときなよ」

男「面倒」

女「酷いね、相変わらず」

男「どうも」

女「女の子にする態度じゃないよ、それ」

男「女の子がする態度じゃないよ、それ」

女「・・・・・・・・・・うるさいな」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:27:38.77 ID:1DAQm+uH0
男「人を刺そうとしといて、それかよ。五月蝿いのぐらい我慢してほしいね」

女「うるさい。うるさい」

男「そろそろ包丁から手を離せよ」

女「先ずそっちが手を離してよ。私、離せないじゃない」

男「緩めるだけな」

女「抜かりのない奴」

男「褒め言葉?」

女「嫌味」

男「そ」

女「じゃあ、ほら、緩めてよ」

男「・・・・・・・・・・・・はい」

女「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ、緩めて、ないじゃん」

男「・・・・・やっぱり、刺してきたか」

女「殺したいもん、男くん」

男「本当、おかしいよお前」



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:30:50.63 ID:1DAQm+uH0
女「おかしいよ? わかってるよ」

男「わかってるのかよ」

女「わかってるよ? じゃあどうしろって言うの? 我慢? したよ? いっぱいしたよ?」

女「男君が女の子と喋ってる時」

女「男君が女の子と楽しそうに喋ってる時」

女「男君が女の子とじゃれ合ってる時」

女「男君が女の子と楽しそうにじゃれ合ってる時っ」

女「楽しそうにっ」

女「どれもこれもっ」

女「私もっ」

女「混ざりたかった」

女「混ざりたかったっ」

男「・・・・・・・・・・・・へぇ」

女「へぇ、って」

男「それだけしか言えねえよ。そんなに言われても」



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:35:32.24 ID:1DAQm+uH0
男「言っとくけどな、俺はお前みたいな奴に優しく声をかけられるほど出来た人間じゃねぇ」

女「・・・・・・・・・・」

男「俺にそういう事言ったところで、俺の反応は、お前の怒りを助長させるだけだろうな。」

女「・・・・・・・・・・・・・そうだよ」

男「まあ、でも言うぜ。じゃあなんで行動しなかったんだって」

男「いくらでも俺に話しかけれただろ?」

女「それができたらっ」

男「それができたら、っつーけど」

男「人殺そうとしてる奴が言っても、説得力無いよ」

女「・・・・・・・・・・・・・・・・」

男「こう言う行動力はあるのに、なんで何も言わなかったんだよ」

男「そこがお前の駄目なところだろ、多分」

女「五月蝿いな・・・・五月蝿いなっ」

男「五月蝿いよ、俺も、お前も。」



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:38:38.49 ID:1DAQm+uH0
女「違うんだよ。そういう行動力と、こういう行動力は」

男「へぇ、どこが違うんだろうね」

女「分かんないの? だからだめなんだよ、男くんは」

男「へぇ」

女「何時まで経っても、フラフラ、フラフラ」

女「誰ともくっ付くでもなく」

女「誰にでも仲良くして」

女「誰にでも話しかけられて」

女「ムカつく」

男「なあ」

女「何」

男「それは俺に対する嫉妬なの? 俺の周りに対する嫉妬じゃなかったの?」

女「・・・・・・・・」

男「言うことがブレるね。主体性がないんだよ」

女「わかってるよ、わかってるよ・・・・・・・」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:41:42.92 ID:1DAQm+uH0
男「わかってるんだ」

女「そうだよ、わかってるんだよ、全部、全部っ」

女「私は、私らしくなくてっ」

女「いつも周りのことばかり気にしてる」

女「軽く頷けば全てが解決する」

女「周りの言うとおりっ」

女「流されてっ」

女「流されて・・・・・・・・・・っ」

男「結局自分が嫌なんじゃん」

女「っ」

男「とばっちりは止めろよ」

女「・・・・・・・・・・」

男「本当、迷惑」

女「うっさい、うっさい」

男「おーおー、言葉が荒っぽくなってきた」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:45:48.49 ID:1DAQm+uH0
女「五月蝿いなっ こっちのほうが私なんだよ」

男「そ」

女「そうだよっ 口汚くて」

女「頭の中では嫌なことばっか考えてっ」

女「優しいとか言われるけど、そんな事全然なくてっ」

女「ない・・・・のに」

男「んじゃ、そっちに変えろよ?」

女「は、はは。そんな事出来るわけ無いじゃん。何いってんの」

男「何でだよ」

女「今更?私が?」

男「ああ、そうだよ。今更、お前が」

女「出来るわけ無いじゃん、・・・・・・・・出来るわけ無いじゃんっ」

男「諦めてるのがうざい」

女「・・・・・・」

男「テンプレなこと言うけど。諦めんなよ」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:49:13.13 ID:1DAQm+uH0
女「簡単に言ってっ」

男「言うしか無いじゃん。諦めまくりな奴には、よ」

女「うっさ」

男「お前が言うなよ。うるせえ」

男「いいから諦めんなよ」

男「ちょっと変わってみろよ」

男「できねーの?」

女「言ってるじゃん、出来ないって」

男「わかった」

男「じゃあ、俺がお前殺すわ」

女「ちょ・・・・・・・・・や、め」

男「男の力舐め過ぎなんだよ、お前」

女「い、や・・・・・」

男「フザケてるの? 殺そうとした奴が、返り討ちを考えてないなんて。笑わせるね」

女「っ・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・・・」


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:54:05.16 ID:1DAQm+uH0
男「いきなり過ぎてあれだった?」

女「・・・・・・・・・っあ・・・・はぁ・・・・はぁ」

男「とかいって力緩めると思った?」

女「ひっ、あっ」

男「今お前がやられてることは、お前がしたこと。」

男「どう? 喉元に刃物を突きつけられる気分は」

女「・・・・・・・・・っ」

男「怖くて声も出ない?」

男「面白くない。面白くないよ、お前」

男「今さっきのお前は何処行ったの?」

男「今のお前は皮のほうだよ」

男「本当、面白くない、皮」

男「その、皮。剥いじゃおうよ」

男「この包丁を」

男「お前の喉元に突き刺して、さ」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 00:57:08.07 ID:1DAQm+uH0
女「い・・・・・・・・・・や」

男「せーの」

女「――――――――――――――――――――――――っ」









男「お前、今死んだから」

女「・・・・・・・・・は?」

男「あー、面白くねー。俺もお前も。」

女「ちょっと、巫山戯んなよ」

男「・・・・・・・その様子だと、本当に前のお前、死んだみたいだな」

女「・・・・・・・・・・・・・・」

男「あーあ、我ながらアホな芝居をヤッたもんだよ」

女「芝居だったのかよ・・・・・・」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 01:01:50.84 ID:1DAQm+uH0
男「そうだよ、芝居。まあ彼処まで首尾よく行くとは思わなかったけど」

女「うぜぇ」

男「掛かったお前が悪い」

女「うるさいな」

男「今さっきまでの根暗女子は何処いったんだろうな」

女「しらねーよ」

男「そ」

女「――――――――だってよ、男が殺したんだろ?」


男「うわ、なんか本当、これもまたテンプレで吐き気する」

女「うるせえ。お前のせいだろ」

男「ところで」

女「何?」

男「殺気は何処に行ったの?」

女「・・・・・・・・・・・・・それもお前が殺したんじゃないの」



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/12(火) 01:05:54.19 ID:1DAQm+uH0
男「恥ずかしい台詞だな」

女「あーあ。本当、なんでこんな奴殺そうと思ったんだろうな」

男「まぁ」

女「・・・・・・・・何」








男「――――――――また、殺したくなったら、来いよ」

女「・・・・・・・わかった、次は返り討ちに合わない様に、気をつける」











           ~fin~