1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:37:46.11 ID:/seEH7ago
加蓮へ
まさかあの奈緒がそんなことするなんてな
笑ったよ
なんか事務所の雰囲気が思い出されてすっごくなつかしくなった
久しぶりにみんなに会いたいよ
Pより
加蓮「……Pさん」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402033065
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:38:47.88 ID:/seEH7ago
加蓮『Pさんへ』
加蓮『私も奈緒がそこで店員さんにそれを言うとは思わなかったよ』
加蓮『ほんと、おもしろいよね』
加蓮『相変わらず、トライアドはそんな感じです』
コンコン
加蓮「はーい」
加蓮母「おはよう、加蓮」
加蓮「おはよ、忙しい中わざわざお見舞いなんか来てくれなくてもいいのに」
加蓮母「来たいから来てるんだからいいのよ」
加蓮「そっか」
加蓮母「ええ」
加蓮「……」
加蓮母「リンゴでも食べる?」
加蓮「……いらない」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:39:28.51 ID:/seEH7ago
加蓮『私はPさんがアメリカに行っちゃってからも学校にアイドルに』
加蓮『Pさんに言われた通りに』
加蓮『頑張ってるよ』
加蓮『加蓮より』
加蓮「……お母さん、私の病気って治るんだよね?」
加蓮「またアイドル活動できるよね?」
加蓮母「……もちろん、そうに決まってるわ」
加蓮母「だって私の娘だもの」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:39:59.28 ID:/seEH7ago
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:40:47.91 ID:/seEH7ago
P「新年度からアメリカに転勤ですか?」
社長「そうだ、ウチとアメリカの大手プロモーションが経営統合したのは君も知ってるだろ?」
P「はい」
社長「その一環としてウチの社員をアメリカの本社に一人置くことになってな」
社長「何も強制してるわけじゃない」
社長「ただ、今までの君の能力を評価して適任だと判断したまでだ」
社長「君のキャリアアップにもつながるだろう」
社長「……どうだね?」
P「……」
P「考えさせてください」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:41:21.61 ID:/seEH7ago
P「社長のバカ野郎!!」ゴクゴク
ちひろ「プロデューサーさん、飲みすぎですよ」
P「今日はいいんです!」
P「なにが『強制してるわけじゃない』だよぉ!!」
P「そもそも俺しか英語できる奴いないの分ってるくせに!!」
ちひろ「ま、そうかもしれませんけど……」
P「しかもそういう話ならもう少しはやく……」
P「もう三月末じゃねぇーかよぉ!!!」
ちひろ「……」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:41:52.24 ID:/seEH7ago
P「ちひろさん、グラス空いてますよ」
ちひろ「いや、私はもう……」
P「……そうっすか」
ちひろ「……」
P「……」
P「……今までみんなをプロデュースしてきて」
P「困難も一緒に乗り越えてきて」
P「喜びだってずっといっしょだったのに」
P「家族みたいに一緒に頑張ってきたのに……」
P「……やっとここまで来たのに」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:42:18.06 ID:/seEH7ago
ちひろ「……」
P「……」
P「よりによって……あっ、ビール追加お願いします」
ちひろ「それ、お冷にかえてください」
P「ちょっ、なんでですか、ちひろさん!!」
P「ビール、ビール!!」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:43:05.68 ID:/seEH7ago
P「おはようございまーす、……うっ、頭いてぇ」
ちひろ「おはようございます、あれだけ飲んでたらそりゃそうなりますよ」
加蓮「えっ、何? 二人で昨日飲みに行ってたの?」
P「ま、ちょっとな」
加蓮「いいなぁー、Pさん、今度は私も連れて行ってよ」
P「何言ってるんだよ、未成年」
加蓮「えー!!」
P「分った、成人したらいくらでも連れて行ってやるよ」
加蓮「ほんと?約束だよ?」
P「ああ」
ちひろ「……」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:44:15.07 ID:/seEH7ago
ちひろ「そのかわりと言ってはなんですけど」
ちひろ「今度、お花見でも行ってみたらどうですか?」
加蓮「お、お花見!?」キラキラ
P「あっ、もうそんな時期なんですね」
加蓮「行こうよ、Pさん、お花見!!」
P「うーーん、さすがにみんなのオフ、重ならないからな~」
加蓮「いいじゃん、2人で行けば」
P「いや、さすがに2人っきりはまずいだろ」
加蓮「この前、私、舞台頑張ったじゃん」
P「そのご褒美は確かにやるっていったけどさ……」
加蓮「じゃ、シャネルのバックとお花見の二択!!」
P「……お花見でお願いします」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 14:44:42.52 ID:/seEH7ago
急用入ったのでまた夜にやります
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:39:22.93 ID:/seEH7ago
加蓮「ふふっ」
P「何笑ってるんだよ、加蓮」
加蓮「Pさんも案外ロマンチストなところがあるんだなって思って」
加蓮「小さい丘の上に桜の木が1本なんて……」
加蓮「普通お花見って桜がいっぱいある公園とか行くんじゃないの?」
P「だってそういうところは混むだろ?」
加蓮「……」
P「それに俺、ここが大好きなんだ」
加蓮「……」
加蓮「……私も好き、かな」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:40:02.62 ID:/seEH7ago
加蓮「じゃーーん!!!」
P「おっ、お弁当?」
加蓮「なんと手作りなんですよ、Pさん」
P「手作り? うわ、めっちゃうれしい!」
加蓮「あれっ、Pさんちょっと涙目になってない?」
P「そりゃ、お前、まさか加蓮の手作りが食べられるなんて思ってなかったからな」
加蓮「感謝する気持ちがあるならシャネルのバックを」
P「それとこれとは話が別だ」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:41:11.75 ID:/seEH7ago
加蓮「じゃ、Pさん何食べたい?」
P「え?なんでだ?」
加蓮「いいから」
P「……この卵焼きかな」
加蓮「それじゃ、あーん」ヒョイ
P「は?」
加蓮「は?っていいじゃん、別に、私たちしかいないんだし」
P「でもな……」
加蓮「もしかして間接キスとか気にしてるの?」
P「アイドルだし……」
加蓮「……もし、Pさんがいなかったら私は普通の女の子だよ?」
加蓮「だからPさんの前では普通の女の子でもいいの」
加蓮「それに知ってる?」
加蓮「今どきの女の子は間接キスとかそういうのあんまり気にしないんだよ?」
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:43:56.08 ID:/seEH7ago
P「……わかったよ」
加蓮「じゃ、あーん」ヒョイ
P「……」パクッ
P「なにこれ、めっちゃうまい!!!」
加蓮「ほ、ほんと?」
P「ああ、こんなおいしい卵焼き、初めて食べたよ」
加蓮「ふふっ」
加蓮「ありがと、お世辞でもうれしいよ」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:45:15.40 ID:/seEH7ago
加蓮「もう一個、あーん」ヒョイ
P「さ、さすがにもう自分の箸で食べるから」
加蓮「そっか」
P「うん」
P「からあげ、いただきます」パクッ
加蓮「……」
P「……」モグモグ
加蓮「……」
P「これもうまいな」
加蓮「……」
P「ってどうした、加蓮、箸をじーっと見つめて」
加蓮「べ、別に何も気にしてないから」パクッ
P「?」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:46:04.34 ID:/seEH7ago
P「ふーっ、お腹いっぱい、ごちそうさまでした」
加蓮「おそまつさまでした」
P「それにしても加蓮の手作りなんてほんとにうれしいよ」
加蓮「そういって貰えると早起きした甲斐があったかな」
P「……」
P「なあ、加蓮」
加蓮「なに、Pさん」
P「あんまり無茶はするなよ」
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:46:41.29 ID:/seEH7ago
加蓮「あーーっ、なんか今のPさんのまだ出会ったばっかりの時のPさんみたい!!」
P「えっ?」
加蓮「ちょっとくらい早起きしたぐらいで、今の私がへばると思う?」
P「……確かにそうだな」
P「ごめん」
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:47:34.05 ID:/seEH7ago
加蓮「……それにさ」
加蓮「Pさん、私が大変にならないように」
加蓮「色々とスケジュールとか管理してくれてるじゃん」
P「バレてた?」
加蓮「もちろん」
加蓮「だからさ、こーやってPさんがいつまでも私を見ていてくれたら」
加蓮「私はずっと元気でいられると思うよ?」
加蓮「だから、よろしくね?」
P「……ああ」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:49:11.28 ID:/seEH7ago
加蓮「あっ、この部分、もう葉っぱになっちゃてるんだね」
P「そうだな」
P「……桜って綺麗だけどあっという間に散っちゃうんだ」
加蓮「そうなんだ」
加蓮「私、今まであんまり花見とかしたことなかったからさ」
加蓮「……」
加蓮「咲くときはみんなの話題の的だけど」
加蓮「散るときは誰にも見られずにいつの間にか散っていく」
加蓮「……」
加蓮「なんだか寂しいね」
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:49:37.32 ID:/seEH7ago
加蓮「……」
加蓮「……Pさんは」
加蓮「Pさんは、いつの間にかいなくなったりなんかしないよね?」
P「……」
P「……どうだろうな」ボソッ
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/06(金) 18:50:42.37 ID:/seEH7ago
加蓮(数日後、)
加蓮(桜がちょうど散ってしまった頃)
加蓮(いつも通り、事務所に行くと)
加蓮(Pさんは居なくなっていた)
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:12:01.37 ID:WP0eoPhQo
加蓮「おはよーございます」
ちひろ「あっ、加蓮ちゃんおはよう」
加蓮「今日のお仕事は何でしたっけ?」
ちひろ「午後から撮影があったはずよ」
加蓮「わかりましたー、じゃ、それまでの間レッスン室行ってますね」
ちひろ「……加蓮ちゃん、最近頑張りすぎじゃない?」
加蓮「これくらい今の私なら平気ですよ」
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:12:30.71 ID:WP0eoPhQo
加蓮「あっ、そうだ」
加蓮「この手紙、いつものようにPさんに送っておいてください」
加蓮「愛をこめて書きましたので」
加蓮「なーんて」
ちひろ「……」
ちひろ「……いつも言ってるけど」
ちひろ「加蓮ちゃんだけ特別だからね」
加蓮「わかってますって、レッスン行ってきまーす」
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:13:11.03 ID:WP0eoPhQo
加蓮(私にはわからない)
加蓮(なんでPさんが私には何も言わずにアメリカに行ってしまったのか)
加蓮(ならばと私は心に決めたのだった)
加蓮(アメリカにいるPさんにも届くように)
加蓮(今度は私のことを無視できないようにと)
加蓮(そんなビッグなアイドルになってやるんだって)
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:14:10.64 ID:WP0eoPhQo
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:15:36.68 ID:WP0eoPhQo
コンコン
看護師「北条さーん、検温の時間ですよー」
看護師「って、北条さん?」
加蓮(だけど、)
加蓮(分っていたことだけれども)
加蓮(やっぱり、私ひとりじゃダメだったのだ)
加蓮(Pさんがいなくなって一か月もしないうちに)
加蓮(私はPさんと出会う前の私に戻ってしまったのだ)
加蓮(病弱で夢ばっかりみてる)
加蓮(普通の女の子な私に)
加蓮「Pさん…………会いたいよぉ」ポロポロ
看護師「だ、大丈夫ですか、北条さん!?」
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:16:20.67 ID:WP0eoPhQo
Pさんへ
今日はなんとオーディションを受けてきました
結果はなんと合格!!!
これで私も主役……じゃなくて、脇役なんだけどさ
でもこういう仕事も大事なんだよね、Pさん!!
私、成長したんだよ!
追伸
Pさんもアメリカでいろいろと大変だと思うけど
体には十分気を付けてね
加蓮より
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:17:29.62 ID:WP0eoPhQo
加蓮へ
合格おめでとう!!!
そうだ、さすが加蓮!
そういう仕事の積み重ねがだいじなんだ!
しっかり脇役をこなしてやれよ!
追伸
そういえばそろそろ日本では桜が咲くころか
アメリカにはあんまり桜がないから
お花見はできそうにもないよ
だから俺の分もお花見を楽しんで
Pより
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:17:55.45 ID:WP0eoPhQo
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/07(土) 12:20:32.06 ID:WP0eoPhQo
看護師「北条さん、見てくださいよ、窓の外」
看護師「今年も桜がきれいに咲いてますよ」
看護師「……えっ?」
看護師「……そうですね、ちょっと残念ですけど手術が終わるころには」
看護師「桜のシーズンはちょうど終わりかもしれません」
看護師「……あはは、その方が都合がいいって」
看護師「北条さんは変わってますね」
看護師「桜が枯れるのを見届けたいなんて」
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