1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 16:56:10.23 ID:oEbmwXHr0
ジュン「どうした。そんな大声で叫んで」
真紅「ゴキッ! ごごご、ゴキッ! ゴキッ!」
ジュン「あぁゴキブリか。新聞紙は――」
真紅「取って、取って頂戴!!」
ジュン「取って?」
真紅「ゴキブリが服の中にぃぃぃぁあああああ!!」
真紅「ひぃっ! 中でカサカサ這いずり回ってるぅぅぅぅ!!」
ジュン「うっへぇ。想像しただけで背筋にゾクゾクしたものが走るな」
真紅「こっちはゴキそのものが走ってるのよ! 早くして頂戴っ!」
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:01:46.02 ID:oEbmwXHr0
ジュン「だけど服の中に手を突っ込むのはなぁ。ゴキブリに触りたくない」
ジュン「あ、そうだ。服を脱いだらどうだ?」
真紅「そうねっ! 向こうに行ってて頂戴!」
ジュン「はいはい。新聞紙丸めてスタンバっとくから、ゴキを出したら呼んでくれ」ガチャ
真紅「」ゴソゴソ ヌギヌギ バサッ
真紅「はぁはぁ。何とか裸にはなれたけど、あの黒い悪魔は――」
カサカサ
真紅「きぃぃぃやあああああ! まだくっ付いてるの!? このっ! 離れなさい!」
ドタバタ ブンブン ワタワタ メシャリッ
真紅「メシャリ?」
真紅「……」
真紅「ふふっ、うふふふふっ」
真紅「ふっ――」クラッ パタリ
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:07:41.49 ID:oEbmwXHr0
ジュン「倒れるような音がしたけど、どうした? 久々に失神でもしたか?」
ジュン「うわっ。すっぽんぽんで大の字になってるぞ……」
ジュン「放っておいたら後でビンタされるな。でも服を着せても裸を見た罰とかでビンタされそうだ」
ジュン「姉ちゃんは部活、翠星石は時計屋、雛苺は柏葉ん家。はぁ、僕がやるしかないか」
ジュン「毛布掛けて寝かせとくかな。それなら何とかお仕置きは免れるかも」
ジュン「っと、そう言えばゴキブリはどこへ?」
キョロキョロ
ジュン「見つけた……これはひどい」
ジュン「真紅の球体関節が……ゴキを巻き込んでる……」
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:13:58.31 ID:oEbmwXHr0
真紅「う、う~~ん?」
ジュン「起きたか。えっと、とりあえず右肘は見ないように」
真紅「」ビクンッ!!
真紅「あ、あ、あ」ブルブル
ジュン「大丈夫。僕がついてるから。な?」
真紅「ジュン……ジュン……」ヒック
ジュン「あぁ。すぐに風呂に行こうな。手伝いはいるか?」
真紅「抱っこ……抱っこして連れて行って頂戴」ポロポロ
ジュン「分かった。なーに、裸だからすぐに洗えるさ」
ひょいっ
真紅「うぅぅ」ギュッ
ジュン(泣きたいのはこっちだよ。ゴキ汁が付くから抱きつくなよなぁ……)
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:19:33.33 ID:oEbmwXHr0
風呂。
シャーーーー ゴシゴシ
ジュン「もう少しで洗い終わるぞ。ところで関節に水が染みてるけど、どうするんだ?」
真紅「外して拭くしかないわね」
ジュン「僕がやるのか」
真紅「当たり前でしょう。あなたは私の下僕よ? だからこそ肌を見られても平気なのだし」
ジュン「……そういう事にしといてやるよ」
真紅「その返事は何?」
ジュン「自分に言い聞かせてるんだろ。主従関係だから裸見られても平気、って」
真紅「あ、あなたっ!///」ガバッ
ジュン「はいはい振り向かない。見えるだろ」
真紅「くっ!?///」バッ
ジュン「見てない見てない。だから体隠してないで腕を出してくれ。洗えないだろ」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:25:24.97 ID:oEbmwXHr0
真紅「わ、私は下僕に肌を見られても何とも思わないわ」
ジュン「分かってるって」
真紅「いいえ、分かってない。あなたこそ、主人にやましい感情など抱かない事ね」
ジュン「そんな感情は無いってば」
真紅「……」
真紅「ジュン。私の体を洗いなさい」
ジュン「だから洗ってるだろ」
真紅「そうじゃないわ。腕だけじゃなく、他の所もよ」
ジュン「っ!?///」
真紅「そんな感情は無い、ですって? よくそんな事が言えたものね」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:31:24.47 ID:oEbmwXHr0
ジュン(そもそも下僕じゃないんだけど、ここで引き下がるのも負けな気がする)
ジュン「分かりました真紅さん。僭越ながらこの桜田ジュンが湯浴みの手伝いをさせて頂きます」
真紅「えっ?」
ジュン「風呂イスの上に立ってもらいますね。その方が綺麗に洗えるので」
ひょいっ 背中ゴシゴシ
真紅「~~~~っ! ちょ、ちょっとジュン!///」
ジュン「何か至らない所がありましたか?」
真紅「そういう事じゃなくて……」
ジュン「精一杯ご奉仕しますので、どうかご容赦を。そしてよろしければご指導を」
真紅「あっ、うっ、……な、何でもないわ。続けなさい」
ジュン(『見られても平気』『洗え』と言った以上、いまさら止めろとは言えないよな)
ジュン(真紅に難癖つけられないようにする為にはちゃんと丁寧に洗わないと)
ゴシゴシ ゴシゴシ
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:37:36.28 ID:oEbmwXHr0
真紅「///」
ジュン(改めて見ると本当に綺麗な体をしてる。人体バランスの黄金比。まさに芸術品だ)
ジュン(僕も14歳男子だから当然、女性の体には興味はあるけど、 い気持ちが吹っ飛んだ)
ジュン(女の子の体を洗うというよりは、芸術品を磨き、補修する職人になったような気分だ)
ジュン(あ、やばい。職人魂がうずく。ドレスを作る時みたいに一切の妥協を許さない情熱が、湧き上がってくる)
ジュン「」ヌギヌギ
真紅「!! な、何であなたまで服を脱ぐの!?」
ジュン「服が邪魔だから」
パンツ一丁になったジュンが真紅の髪に手を添える。
ジュン「上から順番に洗うから、髪、解くぞ」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:43:31.86 ID:oEbmwXHr0
シャワーで頭からお湯をぶっかける、なんて事はしない。
お湯を手桶に一度溜めてから、ゆっくり丁寧に髪を濡らしてゆく。
ジュン「シャンプーとかリンスは使っていいのか? 髪、逆に痛まないか?」
真紅「そ、そうね。シャンプーだけで良いわ。埃を落として頂戴」
シャンプーを軽く泡立てて髪を洗う。爪を立てないように注意し、指の腹で髪を掻き分けた。
そして入念に何度も濯ぎ、泡を落とす。
タオルを巻いて髪をまとめ、髪を洗う行程は終了した。
次は体だが、最初の一歩目からつまづく。適したタオルが無いのだ。
ジュン(さっきまで使ってたタオルはダメだ。あんなゴシゴシ削るようなのは使っちゃいけない)
ジュン(柔らか素材の拭きタオルを、新品未使用のまま一度洗濯したものとかが良さそうだな)
ジュン(だけど残念ながらそんなものは無い。それなら……)
ジュン「……手で、洗うぞ」
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:49:31.04 ID:oEbmwXHr0
洗顔用の石鹸すら無い事を悔しく思いながら、ボディソープを泡立て真紅の顔を洗い、流す。
そしてジュンの手は真紅の首筋へと伸びる。
さわっ
真紅「んっ///」ピクン
思わず真紅の口から声が漏れた。しかしジュンは自分の行為に没頭していた。
ジュン(……おかしいな。僕は喜んでるみたいだ。うん。芸術に触れられる事を、喜んでる)
泡をまとった手が真紅の体を滑り降りていく。首から肩、そして両腕へ。
羞恥によってスイッチが入っているのか、ジュンの手が敏感な部分に触れる度に真紅は小さく体を震わせた。
ジュン「」スッ
真紅「えっ? きゃあっ! ちょっと、何で前に来るの!?」
ジュン「後ろからだと特に弱い部分を洗うには不都合があると思うから。ほら、手をどけて」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 17:55:25.61 ID:oEbmwXHr0
真紅(ジュンは一体何を考えているのかしら? 全く分からない)
真紅(でも、いやらしい目をしてる訳ではない。それどころかとても純粋な、こう、熱意のようなものが伝わってくる)
真紅(……仕方ないわね)
真紅「思うようにやってみなさい」
真紅は手をどけた。一糸纏わぬ姿をジュンに晒す。
ジュンは間違っても引っ掻いてしまわないように、手の平を使って真紅の を優しく擦り洗った。
真紅はもう意識を保つのに必死である。少しでも気を抜いたらまた気絶しそうだった。
ジュン「次は僕の膝の上に、足を乗せて」
真紅「そ、そんな事をしたら、み、見えてしまうわ……」
ジュン「…………」
真紅「う……分かったわ」
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 18:01:51.68 ID:oEbmwXHr0
真紅は風呂イスの上に立ち、その前にジュンが膝立ちで構える。
そこから真紅は片足を上げてジュンの膝の上に乗せた。
ジュンの眼前30cmに真紅の があるわけだが、しかしジュンはただ足を洗うことに集中している。
真紅はと言えばジュンが真面目にやっているので怒る訳にもいかず、かと言って大事な部分を晒す恥ずかしさを無視できる訳でもなく、ひたすら堪えるしかない。
ジュン「」スルッ ヌルッ
真紅「は、ぁ……」
足は腕に比べて敏感な部分が多いのか、真紅の吐息に熱が混じっていく。
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 18:07:17.99 ID:oEbmwXHr0
両足を洗い終わって真紅がホッと安堵するのも束の間、ジュンは真紅の腰を両手でそっと支えて膝を動かした。
膝に乗せている真紅の右足が横に開かれる。当然、股も開かれる。そしてそこに伸びるジュンの手。
真紅「そ、そこは駄目よ!」
ジュン「中途半端で終わっていいのか?」
真紅「~~~~っ! 何と言っても駄目! そこだけは絶対に駄目よ!///」
ジュン「…………」スッ
真紅「ひゃうっ!?」
ジュンの手が真紅の を擦る。泡が滑るので、それはどちらかと言えば心地良い感触である。
しかし真紅は唇を噛んでその感覚に抗った。憎たらしい水銀燈の顔を思い浮かべて必死に我慢した。
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 18:12:45.61 ID:oEbmwXHr0
真紅「よ、ようやく終わったわね……」ハァハァ
ジュン「うん。これからが本番だな」
真紅「本番?」
ジュン「全ての球体関節を外して水を拭き取るんだろ」
ジュン「素材が木じゃないとは言え、濡れてて良い訳が無いだろ。浸食するぞ」
真紅「え、えぇ、そうね」
ジュン「何だかんだで全身洗っちゃったしな。オーバーホールするしかないか」
風呂場では狭いので、自室でやった方が良いだろう。だがその前に、ジュンはざっと拭いておく事にした。
そっと真紅の手を握り、タオルでぽんぽんと軽く叩くようにして水滴を吸い取っていく。
跪いて足を拭くジュンの姿を見て、真紅はまた頬を染める。
真紅(……体を重ねるよりもいやらしい気がするのは、私の気のせいかしら///)
関節以外を拭き終わると、ジュンはタオルを数枚を持ち、裸の真紅を抱きかかえて自室に戻った。
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 18:18:35.82 ID:oEbmwXHr0
ジュン「関節の外し方を教えてくれ。拭くから」
もはや観念した真紅は言われるがままである。
真紅「……ここをこう捻って、そしてこの角度で引くのよ」
ベッドの上にタオルを敷き詰め、そこで真紅を分解していく。いくらもしない内に真紅はバラバラになった。
そして各部のパーツを順番に拭いていった。
や が拭かれる時こそ目を閉じた真紅だが、後はずっと慈しむような手つきで自らに触れるジュンの手を見詰めていた。
ジュン「大体終わったな。後は乾燥させるだけか。今の内に服を洗濯しておこう」
そう言ってジュンは腰を上げる。
真紅「待ちなさい。身動きできない私をここに放っていく気?」
ジュン「それもそうか」
ジュンは真紅の首を抱いて一階に下りていった。
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 18:24:22.07 ID:oEbmwXHr0
ガチャ
のり「ただいま~」
ジ・紅「お帰りなさい」
のり「っ!?」ビクンッ
ジュン「おーおー、驚いてる驚いてる」
真紅「見慣れた相手が首だけになってるのだもの。当然の反応よ」
のり「や、やだぁ、ジュン君ったらパンツ一丁で///」
ブシュッ クラッ パタン
ジュン「……物凄~く幸せそうな顔で鼻血噴いて倒れたな」
真紅「……のりのブラコンにも困ったものね」
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 18:29:55.60 ID:oEbmwXHr0
ジュン「まぁいいや。姉ちゃんは放っておくとして、洗濯しなきゃ」
真紅「先にのりを介抱しなさい」
ジュン「え? でも……」
真紅「あなたは私の下僕である前に、のりの家族なのでしょう?」
ジュン「分かったよ。ソファーに寝かせて毛布でもかけておくか」
二階からの声「きゃああああああああああ! ば、バラバラ殺人ですぅぅううううう!!」
ジュン「……帰ってきたな」
真紅「これで二人きりの時間もお終いね」ボソッ
ジュン「何か言ったか?」
真紅「いいえ。何も」
102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 18:35:28.56 ID:oEbmwXHr0
パニクる翠星石を宥め、のりの介抱をしている間に真紅のパーツは乾いた。
最後の仕上げとジュンが真紅のパーツを組み合わせていくのだが、
翠星石「真紅ぅ! てめーには恥じらいってものが無いんですかぁ!」
真紅「大口開けて喚くあなたに言われたく無いわ」
翠星石「馬の骨に裸を晒すなんて、薔薇乙女にあるまじき行為ですぅ!」
ジュン「誰が馬の骨だ誰が」
翠星石「うぅ~~~~~」
翠星石(そりゃチビ人間は悪い奴じゃないですけども、そんな無防備な姿を見せるだなんて)
真紅「これが信頼というものよ」
ジュン「へぇ。頼られてるのか。悪い気はしないな」
紅「……」ジーッ
ジュン「……」ジーッ
ジ・紅「ふふっ」
翠星石「なに目と目で通じ合ってんですか!」
110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 18:41:02.63 ID:oEbmwXHr0
それからというもの、ジュンのドールズへの接し方が変わった。
人形でありながら心を持つドールを、時に人として扱い、そして時に芸術品の人形として扱うようになったのだ。
そこには美しいものは変わらず美しく在って欲しいと願う、少年の純粋な想いがあった。
もう真紅のスカートをめくって顔を赤くしていたジュンとは違うのである。
今までとは打って変わって優しくなる、なんて事は無かったが、とりあえずドールを邪険に扱う事は無くなった。
喜んだのは雛苺で、ジュン登りしてもポイ捨てされなくなったので四六時中ジュンの頭に居座っている。
真紅は触れ合っている時間の分だけ心の距離が近づくと思っているかのように、ずっとジュンの傍にいた。
困ったのは翠星石である。ドール二人とジュンのスキンシップが大幅に増えたのでやきもきしっぱなしだ。
皆でテレビを見たり昼寝をしたりする時にそっと寄り添うのが翠星石の精一杯である。
そして今日もまた桜田家の平穏な日常が繰り返されるのだった。
真紅「あのゴキブリに感謝すべきなのかしらね」
ジュン「いや、それはちょっと違うんじゃないか?」
おしまい。
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