1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:17:47.84 ID:DRYgifEa0
金糸雀「薔薇乙女いちの策士、金糸雀」

翠星石「よしっ、焼けたですぅ! スコーンはもう完璧ですね♪」

金糸雀「今日もアリスゲームを挑みに…」

真紅「あぁっ、くんくん……!」

金糸雀「きたかしら……おーい…」

雛苺「うぃ?」 ニュ

金糸雀「ひっ!? い、いきなり目の前に現れたらびっくりするかしら!」

雛苺「ヒナずっとここにいたもん。かなりあが気付かなかっただけなのよ」

金糸雀「むー……」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:24:33.95 ID:DRYgifEa0
雛苺「今日は何してあそぶ?」

金糸雀「遊びじゃないかしらっ。カナはアリスゲームをしに……」

雛苺「うーと」

金糸雀「ってまた勝手に開けてぅるわばぁ!?」

雛苺「あっ、マポロー!」

金糸雀「雛苺っ! 毎回毎回カナのかばんを勝手に開けるのは…」

雛苺「はい、カナ」

金糸雀「…な、なにかしら?」

雛苺「お口、あーんなのー」

金糸雀「……~~っ」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:28:15.75 ID:DRYgifEa0

金糸雀「全く…遊びにじゃなくてアリスゲームを挑みに行っても、ヒナが邪魔して何も出来ないかしらっ」

みつ「あはは、今日もJUM君の家に遊びに行ったんだ! 相変わらず遊びにも真剣なカナに」

金糸雀「遊びじゃないかしらっ!」

みつ「激萌え!!」 グァバーッ

金糸雀「きゃー!! まさつねつ~!」

みつ「おっといけないブローチがずれちゃう。すごいよねー、夢見ヶ原りりあ先生ったらドールサイズのブローチまで作っちゃうんだから……で、今日はどんな事して遊んだの?」

金糸雀「んと…今日はヒナとお絵かきして、その後お庭で一緒にみっちゃんのおやつを食べて…」

みつ「へぇ、今日もヒナちゃんと遊んだんだ。仲良しなんだね…あ、カナ首うーってして」

金糸雀「そんなことないかしらっ、薔薇乙女たるもの敵同士っ…うー」

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:31:45.18 ID:DRYgifEa0
みつ「でもヒナちゃんだけなんでしょ? カナが来たーってすぐ気付いて迎えてくれるの」

金糸雀「真紅なんて帰るまで気付かなかい時もあるかしら」

みつ「ヒナちゃんはきっとカナの事好きなんだろうねー。いい子だなぁ」

金糸雀「す……?」

みつ「あ~っ、ひと晩でいいから私の家にご招待したーい! そんでヒナちゃんも着せ替えして2ショットでの撮影をうんたらかんたら」

金糸雀「ヒナが、カナを…?」 ドキドキ


金糸雀「直に挑むとはぐらかされるから、今日は偵察に徹するかしら」

金糸雀「この木の上からだと、家の様子がばっちり丸見え…ふふふ、今日こそ薔薇乙女の弱点見抜いたりかしら」

ピチカート「」

金糸雀「そうよねそうよねピチカート、早速偵察開始かしら…!」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:34:55.53 ID:DRYgifEa0
翠星石『…で、隣の家が塀を新調したですよ』

真紅『へぇ……そろそろ推理シーンに入るわね』 ハラハラ

翠星石『もー、真紅ったらまた聞いてないですね?』

金糸雀「真紅と翠星石は相変わらずかしら…」

翠星石『チビ人間はまだ寝てるし…まーったく、たまにはドールとの絆を深める努力をして欲しいですぅ』

真紅『……』 ハラハラ

翠星石『しょーがないからチビチビの 雛 苺 でもからかって遊ぶとするですよ…』

金糸雀「っ!!」 ドキン

翠星石『チビ苺ー!』

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:37:36.80 ID:DRYgifEa0
金糸雀「(みっちゃんが変な事言うから、カナも変になっちゃったかしら…)」 ドキドキ

翠星石『翠星石が遊んでやるですよチビ苺ー! どこですー?』

金糸雀「……反応が無いかしら」

真紅『雛苺なら、巴に連れられて出かけているわ』

翠星石『そういえば朝、のりの部活の試合を応援するって言ってたですねぇ…つまらんですぅ』

金糸雀「そうだったのね…」 ガッカリ

ピチカート「」

金糸雀「っ! 何言ってるかしらピチカート! カナはがっかりなんてしてないかしら!」

金糸雀「やる気リンリン200%オーバーかしら……」 ガクーン

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:42:08.85 ID:DRYgifEa0

のり「ふー、巴ちゃん達が応援してくれてるから緊張しちゃったぁ」

巴「お疲れ様でした」

雛苺「あっ」 ↑

のり「なんとか勝てて……あらどうしたのぅ?」 ↑


金糸雀「……むにゃむにゃ…今日こそは…むにゃ」 ズリーン


巴「大変……!」

雛苺「カナが落っこちそうなの!」

のり「えっ、えっ?」

金糸雀「やった…ついにアリ……」 ズルッ

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:45:07.38 ID:DRYgifEa0
雛苺「きゃ―――――っ!」

のり「あわわわわ~っ」 オタオタ

巴「あっ、もう少し左です…っ!」

ドサァーッ

金糸雀「スっ!?」



のり「……ぶなかったぁ~」

金糸雀「あれ? カナ、木の上にいたのに…」

巴「そう、その木の上から落ちちゃったんだよ。大丈夫…?」

金糸雀「あ、のりとヒナのマスター……」

雛苺「ぶー?」 ジッ

金糸雀「!!」 ドキン

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:49:00.30 ID:DRYgifEa0
のり「ヒナちゃんが気付いてくれたのよぅ」

雛苺「カナすっごくすーっごく目立ってたのよ、ぶらんぶらーんって」

巴「危なかったね」

金糸雀「(またどきどきするかしら…)…もうっ」 ジタジタ

のり「あら、降りたいの? ごめんねぇ」

ストン

金糸雀「……」

雛苺「うゅ?」

金糸雀「こ、この借りは」

雛苺「狩り?」

金糸雀「そっちの狩りじゃないかしらっ! とにかくっ、この借りはいつか返すかしらっ」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:52:09.21 ID:DRYgifEa0
雛苺「う……?」

巴「いつかお礼してくれるって」

雛苺「そうなのっ? わーい、お礼っ、お礼っ」

のり「カナちゃん、今日は晩御飯食べる?」

雛苺「あのねっ、今日はねっ、お祝いのWはなまるハンバーグなのよっ」

金糸雀「今日はみっちゃん早く帰ってくるから…」 モジ

のり「そう……じゃあ急いで帰らなくっちゃね?」

雛苺「カナ」

金糸雀「っ!」

雛苺「またねー、なの~」 ブンブン


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 00:56:56.32 ID:DRYgifEa0
みつ「おっかえりカナー!」

金糸雀「ただいまかしら…」

みつ「……? どうしたの? 元気ないねカナ……はっ、まさかみっちゃんが生きてるせい!? とうとうそこに気付いちゃった!?」

金糸雀「実はかくかくしかじか…かしら」

みつ「ぎゃ~~~っ!? 私のカナ危機一髪!!!」 グゥワバラァッ

金糸雀「ぴきゃーっ!!」

みつ「どっか怪我してない!? 体がきしんだりしない!? ああカナ、カナぁ~」 オロオロ

金糸雀「みみみみみっちゃん、カナは大丈夫かしら、どこも怪我なんてしてないから落ち着いてーっ!」

みつ「本当……?」

金糸雀「ヒナ…が見つけてくれたかしら」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:03:24.73 ID:DRYgifEa0
みつ「ヒナちゃんが? ああ、だからお礼をしたいんだ?」

金糸雀「…かしら」 コクン

みつ「そっかぁ、お礼かぁ。それにしてもヒナちゃんって……あっ」

金糸雀「?」

みつ「実は今日、かねてより待ってたある品が届いてるんだけどぉ……」 ニヤニヤ

金糸雀「みっちゃん…顔が怖いかしら……?」


のり「うっふっふ~♪ さっき物置のお掃除してたら、こんなの見つけちゃった♪」

ドサドサッ

翠星石「コレ、何ですか?」

真紅「あら、絵本ね」

雛苺「ぅ絵本っ!?」 グワバァッ



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:09:15.28 ID:DRYgifEa0
のり「私やJUM君が小さい頃に買ってもらった絵本なのぅ。ヒナちゃんが喜ぶかなーって」

翠星石「ふぅ~ん、チビ人間の絵本ですかにんぎょ姫にしらゆき姫…お姫様の絵本ばっかりですぅ」

真紅「美しい挿絵ね、ご両親が選んだのかしら?」

のり「そうなの~。JUM君が描くお姫様に似てるでしょ? ほら、このシンデレラとか」

翠星石「チビ人間がこの間作ったドレスに似てなくもないですね」

真紅「子供に見せるものだからこそ、本物を選んだのね…ご両親は確かな目をお持ちだわ」

雛苺「……」 ジッ

翠星石「チビ苺のヤツ、早くも絵本の虜ですぅ」


ピンポーン・・・グァラゴトガタンッ!


のり「!?」 ビクーッ

翠星石「ついに抗争がおっぱじまりやがったですかっ!?」 ビクビクーッ

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:14:03.58 ID:DRYgifEa0

・・・・・・

のり「どっ、どっ、ドロボーかしら…翠星石ちゃん、着いてきてくれない?」 ガタガタ

翠星石「やっ、やぁです…人間は苦手ですぅ……」 プルプル

のり「ヒナちゃんは……」

雛苺「……」 ジッ

のり「~~~~~」 ダァー

真紅「JUMの通販が届いたとか、そんなところでしょう。私が一緒に行くわ」 トテトテ

のり「あーん、ありがとう真紅ちゃん~っ」 トテト

ガチャ

真紅「……」

金糸雀「ばたんきゅー」

のり「……金糸雀ちゃん?」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:19:08.03 ID:DRYgifEa0
金糸雀「――…ふー。やっと一息ついたかしら…」

のり「落ち着いた?」

真紅「説明して頂戴。どうしてトランクに乗らずにわざわざ担いで来たのか」

金糸雀「それは……」 チラッ

雛苺「……」 ジッ

ドキ・・・ン・・・

金糸雀「(って、真剣な横顔にときめいてる場合じゃないかしら、いよいよおかしいかしら)」 プルプルッ

真紅「どうしたの?」

金糸雀「なんでもないかしらっ。担いできたのはコレ、コレを持ってきたから…」 カチャ

真紅「…ドレス?」

翠星石「コレはまるで……蒼星石の」

金糸雀「ヒナへのお礼にって、みっちゃんが王子様ドレスをくれたかしら」



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:24:12.88 ID:DRYgifEa0
真紅「ヒナに王子様ドレスを?」

翠星石「どう見ても、王子様ってガラじゃねえですぅ」

雛苺「……」 ジッ

翠星石「ほら、今だって絵本に夢中ですしぃ…こういうドレスは蒼星石がいっちばん似合うに決まってます」

金糸雀「ローゼンメイデンがいつも同じカッコなのはもったいないって、いっつもみっちゃんが言ってて…これなら動きやすいし……」

金糸雀「(なんて…そんなの嘘かしら。本当は……)」


金糸雀「王子様とお姫様ろまんちっくかっぷるせっと?」

みつ「そっ! お姫様のドレスをひと目見て、これは絶対カナのためのドレス!って思って落札したんだけど、王子様のドレスもセットでついてきちゃったんだよね~」

金糸雀「でも、ヒナは王子様って感じじゃないかしら……」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:30:33.21 ID:DRYgifEa0
みつ「そんなこと無い無い! 話聞いてると、ヒナちゃんってまるでカナの王子様みたいだもん」

金糸雀「」

みつ「今日だってほら、カナのことばっちり守ってくれたでしょう? 結構似合うと思うんだよね~」

金糸雀「~~~~っ/// か、カナがヒナに守られてるみたいな言い方やめて欲しいかしらっ!」

みつ「そう~? ま、いいから軽い気持ちで持っていってごらん? そんで、似合ってたら一緒に撮影しよってお願いしてきてうんたらかんたら」


金糸雀「(……でも、やっぱり王子様って感じじゃ)」 チラッ

雛苺「……」 ジッ

金糸雀「(そうでも無い気がしてきたかしらあわわわわ)ほ、ほら今日はこっちも持ってきたかしら!」 ドキドキ

翠星石「わぁ…」

真紅「まぁ、お姫様のドレスね」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:35:01.31 ID:DRYgifEa0
雛苺「」 ピクッ

金糸雀「せっかくだから遊んでおいでって、みっちゃんがこっちも貸してくれたかしらっ」

真紅「そう…2着のドレスでトランクが満杯だったのね」

翠星石「きれーですねぇ……ん」

雛苺「……それ、カナの?」 ジィイイイッ

金糸雀「あっ(やっとカナに気付いてくれた)」

真紅「こちらの王子様ドレスを、貴女に持ってきたそうよ。お礼ですって」

雛苺「お礼? 昨日のー?」

翠星石「昨日何かあったですか?」

金糸雀「…カナが落ちそうになってたのを、ヒナが見つけたかしら」



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:40:23.26 ID:DRYgifEa0
翠星石「落ちそうに……っ」 プークスクス

金糸雀「笑わないで欲しいかしらーっ!」

雛苺「うー…」

真紅「雛苺? あまり嬉しそうじゃないのね」

雛苺「ヒナ……こっちのがいいの」

→お姫様ドレス

金糸雀「え…でも、そっちはみっちゃんが貸してくれた方で……」

翠星石「そりゃそうですぅ。どっちもチビチビ苺のイメージじゃないけれど、まだお姫様ドレスの方がマシってもんですよ」

雛苺「チビチビじゃないもんっ! ねぇかなりあ、ヒナこっちのドレスが欲しいわ」

金糸雀「でも、でも……」



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:46:50.71 ID:DRYgifEa0

みつ『ほらカナっ、この服どう? かわいいでしょ? あー、この服をカナが着てるとこ、早く見たーい!』

みつ『カナ~、今日はこっちの服着てみよっか! …うん、かわいいっ! カナのおかげで私、いくらだって仕事頑張れちゃうよ』

みつ『残業なくなったから、今日は腕によりをかけてご馳走作っちゃった! ほら、一緒に食べよう!』

みつ『カナが一番かわいいから!』



金糸雀「こっちは…こっちはあげられないかしら…」





34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 01:53:15.31 ID:DRYgifEa0
雛苺「nom! ヒナはお姫様になりたいのよ!」

金糸雀「……っこっちはダメかしら! 貸りただけかしらっ!」

真紅「あまり我侭を言って困らせるものではないわ、雛苺」

翠星石「金糸雀も、今だけでも貸してやったらいいじゃないですか」

雛苺「ヒーナーのー!」 グイーッ

金糸雀「カナのかしらー!」 ググイーッ

真紅「……聞いていないわね」

雛苺「ヒナの、ヒナのーっ」 グイグイ

金糸雀「カナの、カナのっ」 ググググイ

翠星石「やめやがれですぅ! そんなに引っ張ったら…」

雛苺「ヒナヒナヒナヒナ」 ググイグイグイ

金糸雀「カナカナカナカナ」 ググイグイ

ブチィ・・・ンッ



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:00:39.70 ID:DRYgifEa0
JUM「はーやれやれ…今日の通販はろくなモンが無かったなー……ん?」

翠星石「チビ人間!」

雛苺「……!」 エグエグ

金糸雀「………!」 メソメソ

JUM「何でコイツら泣いてんの?」

真紅「これなのだわ」

→(元)お姫様ドレス

JUM「うわっ、また破いたのか!」

金糸雀「また…じゃっ…ないかしら……!」 メソメソ

雛苺「JUM~、なおしてなのぉ~!」 エグエグ

JUM「しょーがないなぁ、ったく……お前ら無機物なんだからもうちょっとモノを大事にしろよな」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:08:00.07 ID:DRYgifEa0
JUM「……ほら、なおったぞ」

→(新生)お姫様ドレス

雛苺「……!」 プルプル

金糸雀「…すごい……!」

翠星石「前よりきれいになってませんか?」

JUM「ついでに気になるところ手直ししただけ」

真紅「さすがねJUM…この短時間で出来る仕事じゃあないのだわ」

雛苺「すごいの…すごーいのー! JUMだいすきぃーっ!!」 ガバーッ

JUM「うわぁ!?」

金糸雀「」 ズキッ

翠星石「あっ、こら! 降りろですチビ苺ーっ!」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:11:53.13 ID:DRYgifEa0
雛苺「JUMの指は魔法使いの指ねっ!」 キャ キャ

JUM「だーっ! くっつくなうっとおしい!!」

金糸雀「……(どうしてかしら……今すっごく寂しくて哀しい)」


金糸雀「今日はへとへとだから、トランクでぐっすり就寝かしら」

ピチカート「」

金糸雀「……」

金糸雀「……ねぇ、ピチカート」

ピチカート「」

金糸雀「ヒナは喜んでくれるかなぁ? あの王子様ドレス」

ピチカート「」

金糸雀「カナがお姫様ドレスを着て……そうやって、一緒に遊んでくれるかしら?」

金糸雀「でもカナはね、ヒナがどうしてもって言うなら、カナが王子様役をやってあげてもいいと思ってるの」

金糸雀「カナは、カナはヒナの……」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:16:24.19 ID:DRYgifEa0
金糸雀「……ふぁ」

金糸雀「もう疲れが限界スレスレかしら……おやすみなさいかしら」

ピチカート「」

金糸雀「むにゃ……明日も楽しく遊べるといいなぁ…」


金糸雀「(忘れてたかしら…欲しいって言われて、とっさにみっちゃんの事を思い出して…)」

金糸雀「……っ(こんなところで泣いたら、乙女番長の名がすたるかしら)」 グシ

真紅「……このドレス…この絵本の挿絵にそっくりだわ」

雛苺「うぃ?」

JUM「やっと降りた……あぁ、何かと思ったら昔の絵本じゃん。ねむり姫か」

雛苺「……」 ジッ

翠星石「どんな話ですか?…チビ苺、早速読み始めてますね」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:20:05.79 ID:DRYgifEa0
JUM「よく覚えてないなー……ねむりについたお姫様を、王子様が助けに行くんだけど…」

雛苺「……」 キラキラ

JUM「いばらの森をくぐり抜けたり、ドラゴンを退治したりで結構大変で…壮大な冒険の果てにようやく姫を助けるみたいな話じゃなかったっけ」

翠星石「ざっくりとしすぎですぅ」

JUM「うるさいなぁ、昔読んだっきりの絵本の内容なんて覚えてられるかよ」

雛苺「……カナ」 キラキラ

金糸雀「? な、なにかしら」

雛苺「ヒナ、王子様やるわ」

金糸雀「」

真紅「あら、一件落着ね」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:26:27.08 ID:DRYgifEa0
雛苺「ヒナ王子なのよー! 姫、今助けにゆきますー、なのー!」

翠星石「ふぅん……蒼星石には劣るけれど、思ったより悪くないですね」

JUM「手に持ってるのは折った新聞紙か…あれ、アイツは?」

真紅「金糸雀ならのりの部屋でねむり姫の役をやらされているのだわ」

雛苺「いばらの森を越えるのよー!」 ピョイピョイ

JUM「って何だよこれ!? マポロを床じゅうにばらまいて……っ!」

雛苺「後でスタッフが美味しくいただきますなのっ」 ピョイ

JUM「そういう問題じゃないだろ!」


金糸雀「……」

金糸雀「………っ」

金糸雀「…………やっぱり緊張して眠れないかしらっ!?」 ガバァ



46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:33:07.44 ID:DRYgifEa0
金糸雀「まさか本当にヒナが王子様をやるとは、この才女・金糸雀も予想だにしなかったかしら」 ソワソワ

金糸雀「眠くないから眠れないし」 ソワソワ

金糸雀「ヒナの王子様ドレス姿がどうなってるかも気になってしょうがないかしら」 ソワソワ

ピチカート「」

金糸雀「ピチカート…そうね、才女たるもの、役作りも怠らないものよね。持ってきた絵本で勉強かしら」

金糸雀「それにしても、部屋の外が異様に騒がしいかしら…」


雛苺「ついにあらわれたなのっ、どらごん~!」

翠星石「どっ、どっ、翠星石が、どっ……」

JUM「ははは、緑色だからドラゴンか、こりゃいいや」

翠星石「あんまりですぅ! チビ苺もちょっとは落ち着きやがれですっ!」

雛苺「どらごんの手下にも負けないのよ~!!」

JUM「なんだと!」



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:38:31.12 ID:DRYgifEa0

金糸雀「あわわわ……」 ガタガタ

ピチカート「」

金糸雀「な、ななな…なんという事かしらピチカート、これ、これこれここれこれ…」

金糸雀「き、キスしないと目覚めないかわわわ…?」 バクバク

金糸雀「という事は? ヒナと、カナが、き、き……愛のある、き」

金糸雀「き、きき、きききききっ…」

金糸雀「ばたんきゅ~」


雛苺「いやぁ~! はなしてぇ~!!」 ジタジタ

JUM「ははははは! 呪い人形風情が人間様に勝てるわけないだろ!」

翠星石「JUM、その王子様帽子をこっちにパスですぅ!」



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:42:58.80 ID:DRYgifEa0
雛苺「それが無くなったら王子様じゃなくなっちゃうの~!」 ジタジタ

翠星石「ほ~らほ~ら、悔しかったら取ってみやがれですよ~」

JUM「金糸雀のとこ行ったら終わりなんだろ? ほら、行くぞ」

雛苺「JUMが行っちゃだめぇ~! カナ姫はヒナ王子が助けるのよっ!」 バシバシ

JUM「あいてっ」

スタッ

雛苺「帽子返せなのーっ!」

翠星石「ヘイ、パスですぅ」

JUM「……っと!」

雛苺「あ~ん、JUM返してなのぉ~!!」

真紅「――……まったく、騒がしい下僕どもね」 テクテク



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:44:41.81 ID:DRYgifEa0
真紅「黙りなさい」



ギャルルルルルルルッ!




53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 02:48:06.73 ID:DRYgifEa0

・・・・・・・・・・・・

ピチカート「」 ソロ・・・

ピチカート「!」

翠星石「」

JUM「」

雛苺「」

真紅「……ふぅ」

ピチカート「」 ガタガタガタガタ

真紅「…これで静かに、くんくんを鑑賞できるというものだわ」 テクテク

翠星石「」

JUM「」

雛苺「」 ピクッ

ピチカート「」

雛苺「ヒナ王子…が……行く、のよ…」

雛苺「今、助けに行きます……なの……!」 ジリ・・ジリ・・・


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:32:53.63 ID:DRYgifEa0

ピチカート「」

金糸雀「」

ピチカート「」

ピチカート「」

金糸雀「うぅ…ん……? 何かしらピチカート…カナはたまご焼きを追うので忙し……」

キィ・・・

雛苺「ふぃー」

金糸雀「!!!」 ビクーッ

雛苺「のりの部屋のドアは重たいのよ~…」

金糸雀「(つっついにこの時がきてしまったかしら!!!)」 バクバク

84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:39:01.57 ID:DRYgifEa0
金糸雀「はっ(いけない、眠ったふり眠ったふり……)」 スヤスヤ

雛苺「うと…いばらの森を抜け、どらごんをやっつけて……とにかく来たのよっ!」 ビシッ

金糸雀「(とにかくって、色々と略しすぎかしら)」

雛苺「お~」

金糸雀「……」 バクバク


雛苺「これはなんとうつくしいカナ姫、なの」


金糸雀「!」 ギャーン

金糸雀「(心臓の音がありえなすぎて、一瞬目を開けそうになっちゃったかしら…危ない危ない)」 スヤスヤ

雛苺「……?」 ジッ

金糸雀「……っ(目を閉じてても、見つめられてるのが分かるかしら)」 ギュウ

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:42:08.85 ID:DRYgifEa0
雛苺「…ほんとに寝てるの?」

金糸雀「……ねむり姫だから当然かしら」

金糸雀「はっ!!(しまったァ―――!! 起きてるって気付かれたかしらーっ!?)」

雛苺「うぃ」

金糸雀「(でっでも目は閉じたままだからセーフよね? かしら)」

雛苺「……うーと、つぎは…」

金糸雀「……」

雛苺「えっと……?…」

金糸雀「…………ねぇ、雛苺」

雛苺「う?」

金糸雀「雛苺は、その……JUMのことが好きなのかしら?」



87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:46:02.51 ID:DRYgifEa0
雛苺「JUM~? うん、だぁい好き」

金糸雀「……」

金糸雀「そう…そうよね……」

雛苺「あのね、JUMはね、ヒナが呼んだら必ず立ち止まってくれるのよ。トモエものりも、翠星石も真紅も好き」

金糸雀「……」

雛苺「トモエはヒナとお友達になってくれたし、のりはお料理上手だわ。真紅はとっても優しいし、翠星石はいじわるだけど…でもお家で一番ヒナと遊んでくれるわ」

金糸雀「……ナは」

雛苺「でもね、でもね……うゅ?」

金糸雀「カナは…っ?」


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:50:18.09 ID:DRYgifEa0
金糸雀「ヒナは、カナのことをどう思っているの? カナも、ヒナの大切な人の中に入っているのかしら?」

雛苺「……」

金糸雀「カナは、ヒナのこと…ヒナのこと……っ」

雛苺「――…ヒナ、姉妹の中でカナと一緒にいるのが一番好きよ」

金糸雀「……え?」

雛苺「だってね、だってね……翠星石はヒナと遊んでくれるけど、カナはヒナと一緒に遊んでくれるのよ。カナと一緒だと、お絵かきも、くんくんを見るのも、お散歩もピクニックもす~~~…っごく楽しくなるの! すっごく、すっごく、楽しくなるんだから!」

金糸雀「……」



91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:55:45.36 ID:DRYgifEa0
雛苺「カナと遊んだ日の夜は、へとへとですぐに眠たくなっちゃうの。いつもはね、あんまり寝付けないの。このまま目が覚めなくなったらどうしようって……」

金糸雀「…っ(どうしてかしら)」

雛苺「きっと、カナと遊んだ日はひとりぼっちじゃないって思えるからなのね。だからカナと仲良しになれて、ヒナはとっても嬉しいの…」

金糸雀「(泣きそうかしら)」 ギュウウ

雛苺「ねぇ、カナ。カナは、ヒナが寝たままだったら起こしてくれるかしら? カナも、ヒナのこと起こしてくれる?」

金糸雀「……っ」 コクコクコク

金糸雀「もちろんかしら、トランクを開けて、耳の傍で大きな音を立てて、うるさくして起こすかしら…!」

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:56:36.17 ID:DRYgifEa0

雛苺「ありがとう」


チュ






94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 20:59:51.02 ID:DRYgifEa0
金糸雀「……」 パチ

雛苺「えへへ…ヒナも、カナが寝たままだったら起こしてあげるからね」

金糸雀「…今、おでこに」

雛苺「カナ、お姫様ドレス似合うのね。ほんとのお姫様みたいなのっ!」

金糸雀「……!!(ヒナの王子様姿も似合いすぎかしらっ!!)」 ボシューッ

雛苺「あっ忘れてた、おお姫よ目覚め…うと、なんだっけ…」

金糸雀「ばたんきゅ~」

雛苺「…あれ? カナ~?」 ユサユサ

金糸雀「」

雛苺「キスしたのにまた眠るなんておかしいのよ、ねーえー」

金糸雀「」

雛苺「起きて、かなりあ起きてぇ~、マポロをスタッフが美味しくいただかなきゃなの~」 ユサユサ


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:05:21.22 ID:DRYgifEa0
カチャ

翠星石「チビヒナっ、いつまで散らかしっぱなしですか? 手伝ってやるからそろそろ片付けるですぅ」

雛苺「翠星石ぃ~、かなりあが熱を出して死んじゃったのぉ~!」 ビャー

金糸雀「…」

翠星石「死っ!? でっでもローザミスティカ出てないですよ!?」

雛苺「キスして、目が覚めたのに…っカナ死なないでぇ~!」 エグエグ

翠星石「キっ!? ちょっ、ちょっとどういう事か説明しやがれですう!」

雛苺「おでこだもん~」 エグエグ

金糸雀「…むにゃ……」 ・・・クスクスッ



98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/14(水) 21:08:39.31 ID:DRYgifEa0


金糸雀「(今日もヒナのおかげで、楽しく遊べたなぁ)」

金糸雀「(きっとこの後、みんなでくんくんを見て、それから晩ごはんをごちそうになって…)」

金糸雀「(お家に帰ったら、みっちゃんに話さなくっちゃ。一緒に楽しんでくれるかな)」

金糸雀「(ああ)」

金糸雀「(カナは、ヒナのこと)」

金糸雀「(姉妹の中でいっとう大好きかしら)」




おわり