4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:51:33.94 ID:iPgRSOF90
11月10日 娯楽部

京子「…で、それを言いに来たの?」ゴローン

綾乃「あ、当り前じゃない! 期限内に提出しないのはどこの誰!!」

結衣「本当に忘れ物が多いよね、京子は」

ちなつ「忘れ物が多い人はキライです」

京子「なっ!! そんな~。愛しきちなつちゃんに嫌われた~」ガガーン

綾乃「えっ? えっ!?」

千歳「用事も済んだし、そろそろ行こか。綾乃ちゃん」

綾乃「あっ、うん」

京子「そうだ! ねぇ、綾乃」

京子「何か面白い刺激ない?」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:52:24.85 ID:iPgRSOF90
綾乃「刺激ぃ?」

結衣「さっきから、退屈ぅ~暇ぁ~ってうるさいんだ」

綾乃「そうね……」ニヤリ 「こんなのはどう?」

綾乃「私と今度の学期末テストで勝負する。そして敗者が勝者の命令に従う」

京子「歯医者が商社の命令に従う?」

綾乃「変換が違うわよ! どんな思考回路をしているの!」

京子「冗談、冗談。でも本当にそんなこと言って良いの?」ニヤー

綾乃「えっ?」

京子「今年はもう同人誌活動がないから試験勉強するらしいよ」

綾乃「そ、そうなの?」

京子「前言撤回は認めないよ」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:53:27.52 ID:iPgRSOF90
綾乃「ま、まぁ別に良いわ。負けなきゃ良いことだし」

千歳「それにしても、綾乃ちゃんは大胆やね」

綾乃「どういう意味?」

千歳「勝っても負けても、歳納さんに身も心も委ねるんやろ?」

綾乃「ちょ、ちょっとぉ! それどういう意味よ!」

京子「そんな事も考えずに挑むとは愚か者め。悪いがこの勝負は私が勝つ。つまり」

京子「綾乃は私に弄ばれる運命なのだ!」ドォーン

綾乃「なななな! 何を言ってるのよ! 歳納京子ぉ!」

結衣「綾乃は油断しなければ勝てるよ」

千歳「そうやで」

京子「新旧の学年一位が競い合う。いいねぇ~。何かワクワクしてきたよ」

綾乃(な、何故……こんな事に)ガビーン

綾乃(試験は自信があったから、私が勝って普通に提出期限を守るように忠告しようと思ったのに)

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:53:47.48 ID:FnJdCCrx0
ケーンジくーん

あーそーびましょー

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:54:13.79 ID:iPgRSOF90
千歳「さぁ、行こか。綾乃ちゃん」

綾乃「絶対に歳納京子になんか負けないからね! お、覚えてなさい」ジロッ

ちなつ「!(今、杉浦先輩に睨まれた!?)」

綾乃「行くわよ、千歳」タタタッ ガラッ バタン

結衣「弄ぶなんて……どこで覚えたんだ、そんな言葉」

京子「ちなつちゃんに対して、近い将来使うためさ」

ちなつ「永遠にそんな時は来ません」

京子「そんなぁ」ガーン

あかり「弄ぶって、サインペンでほっぺにおひげでも書くの?」

ちなつ「あかりちゃん……」

結衣「そろそろ帰ろうか」

あかり「えぇー! 今もしかして余計なこと言ったぁ!?」

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:55:09.14 ID:iPgRSOF90
11月11日 生徒会室

綾乃「無い……無い!」

千歳「どうしたん?」

京子「アイスならあるよ」

綾乃「違うわよ! な、何でここに歳納京子が居るの!」

千歳「私がプリント整理手伝って~ってお願いしたんやで」

綾乃「そ、それなら仕方ないわね。って、さっきからアイス食べてるだけじゃない!」

結衣「それより、何が無いんだ?」

綾乃「お気に入りのヘアピン」

千歳「あぁ、大切に使ってるアレかぁ。アレを無くしたん?」

綾乃「今朝はちゃんとあったのに」オロオロ

京子「!!」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:56:31.60 ID:iPgRSOF90
京子「ちょ、ちょっと。トイレ行ってくる……」タタタッ ガラッ バタン

結衣「アイツは何しにここへ来たんだ」

向日葵「船見先輩。歳納先輩の分は私がやりますわ」

結衣「ごめんね。迷惑ばかりかけて」

櫻子「向日葵じゃ効率良くプリント整理なんて出来ないよ」

向日葵「何を根拠に仰っているのかしら?」

櫻子「嫌味な    の重みで、長時間同じ姿勢でプリント整理が出来る訳ない」フフーン

向日葵「その口、縫って閉じますわよ」

櫻子「そう言ってる間に、私は着実にプリント整理進んでるもんね~」

向日葵「あっ、櫻子。今綴じようとしているのは同じプリントですわ」プルン

櫻子「    禁止!」

結衣(堂々と を触るなんて……)

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:56:53.32 ID:iPgRSOF90
教室

京子(ま、まずい。あれは綾乃のヘアピンだったんだ)

京子(古そうなヘアピンだったからゴミかと思って捨てちゃったよ)

京子(あぁ、ゴミ箱が空っぽ。もう収集しちゃったんだ……どうしよう)

ちなつ「京子先輩」

京子「ち、ちなつちゃん! どうして二年の教室に?」

ちなつ「えっ? あ、部室の鍵を忘れたので借りようと思って」

京子「鍵? 鍵なら結衣が持ってるよ。今、生徒会室にいるから」

ちなつ「じゃあ、生徒会室に行きますね」

ちなつ(何か京子先輩らしくないなぁ)

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:57:24.37 ID:iPgRSOF90
生徒会室

ちなつ「失礼します」

結衣「ちなつちゃん、あかり。どうしたの?」

ちなつ「結衣先輩! 部室の鍵を忘れたので、貸して下さぁい」

綾乃「……」ジーッ

ちなつ(あっ! また睨まれてる)

千歳「船見さん。プリント整理なら4人でやるから、一緒に行ってあげたらええよ」

結衣「そう? それじゃお言葉に甘えて。じゃあ三人で一緒に部室へ行こうか」

ちなつ「行きましょう!」

綾乃「……」ジーッ

千歳「綾乃ちゃん。嫉妬に満ちた眼差しはアカンよ」

綾乃「嫉妬の眼差しなんてしてないわよ!」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 21:58:07.36 ID:iPgRSOF90
結衣「綾乃。ヘアピン見つけたら必ず言うからね」

綾乃「ありがとう」

あかり「どうしたの?」

結衣「綾乃が大切にしているヘアピンを無くしたんだ」

あかり「えーっ! どこで?」

結衣「それが分からないんだ」

ちなつ「どんなヘアピンなんですか?」

綾乃「紫色のヘアピン。白くて小さなくらげが付いてるわ」

あかり(白くて小さなくらげ……何かどこかで見たことがある)

結衣「それにしても、京子のやつ、何階のトイレまで行ったんだ?」

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:00:02.34 ID:iPgRSOF90
結衣「手伝えなくてごめんね」

千歳「ええよ。それよりヘアピンはお願い。あれはほんまに大切なものなんや」

結衣「分かった」

千歳「それと、吉川さん」

ちなつ「は、はい!?」

千歳「綾乃ちゃんの嫉妬は気にせんでええからね。いつかこの娘は素直になれる日が来るはずやから」

結衣「何だ、その大人目線」

ちなつ「は、はぁ」

京子「おーい、皆ぁ」

結衣「やっと戻ってきた。ずいぶんと長いトイレだったな」

ちなつ(トイレ? さっき教室に居たのに)

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:01:29.21 ID:iPgRSOF90
ちなつ「結衣先輩。杉浦先輩って誰か好きな人がいるんですか?」

結衣「どうしてそんな事聞くの?」

ちなつ「さっき池田先輩が杉浦先輩の嫉妬は気にしなくて良いって」

結衣「ああ、千歳が言っていた事ね。居るよ。好きな人」

ちなつ「それってもしかして」

結衣「察しの通りだよ」

ちなつ「やっぱり」

結衣「どこで気付いたの?」

ちなつ「杉浦先輩に思い切り睨まれました。この前部室に来たときと、今さっきも」

結衣「あぁ……なるほどね」

ちなつ「本人は気付いているんですか?」

結衣「全く気付いてないだろうね」

京子「何か言った?」クルリ

結衣「何も言ってないよ」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:03:13.49 ID:iPgRSOF90
ちなつ「京子先輩」

京子「何? 愛しきちなつちゃん」

ちなつ「……あ、あの、さっき教室に居ましたよね?」

京子「!!」

ちなつ「忘れ物でも取りに行ったんですか?」

京子「そ、そうだよ」

ちなつ「トイレに行った後、教室に行ったんですか?」

京子「そう。それで生徒会室に戻るのが遅れたんだ」

結衣「……」ジーッ


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:03:50.92 ID:iPgRSOF90
11月13日 授業終了後 休憩時間

綾乃「……」

結衣「綾乃のやつ、ヘアピン無くした日から元気ないね」

京子「そ、そうだね」

千歳「あのヘアピンはクリスマスプレゼントでもらったものやからね」

結衣「そうなのか? それは辛いな」

京子「ヘアピンの一個ぐらいで、あんなに落ち込まなくても」

結衣「京子、今のはひどいぞ」

京子「えっ?」

千歳「歳納さん、今のは無いわ」

京子「千歳まで!」

綾乃(あのヘアピンだけは無くしたくなかった……)

京子(今更、無くしたのは私なんて言えない……)

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:04:17.68 ID:iPgRSOF90
同日 放課後


結衣「ねぇ、京子。一つ聞いて良い?」

京子「何?」

結衣「この前、生徒会室でプリント整理中にトイレへ行った時、教室に寄ったの?」

京子「えっ? ああ、あの時は寄ったよ」

結衣「何を忘れたんだ?」

京子「国語の教科書だよ」

結衣「そっか。それなら良いんだ」

結衣「綾乃のヘアピンが紛失したことが分かった直後だから。てっきり」

京子「てっきりって、何が言いたいんだよ。結衣!」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:04:46.82 ID:iPgRSOF90
結衣「綾乃のヘアピンの事。本当は何か知ってるのかなと思って」

京子「私は何も知らないよ!」

結衣「そんなに大声を出すなよ。悪かったよ、疑って」

京子「いくら幼馴染みでも許さないぞ」

京子「白いくらげがアクセントで付いてるんだから、目立つしすぐ見つかるよ」

結衣「!!」

千歳「と、歳納さん!」

京子「んっ? 何?」

綾乃「何で歳納京子がヘアピンの特徴を知ってるの?」

結衣「京子は生徒会室に居なかったはず……」

京子「あ、これはまずい展開……」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:05:18.92 ID:iPgRSOF90
京子「と、特徴はちなつちゃんから聞いたんだよ」

結衣「ちなつちゃんはその次の日から風邪で休んでるよ」

京子「あ、あかりから」

結衣「あかりも風邪で休んでるよ。部室でもヘアピンの話はしなかったし」

京子「結衣から……」

結衣「言ってない。京子から聞かれてもしなかった」

京子「千歳から……」

千歳「歳納さん。素直に吐いた方が楽になると思うよ」

京子「千歳~」

綾乃「どういう事なの?」

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:06:08.63 ID:iPgRSOF90
京子「ご、ごめん。綾乃! 私が捨てた。てっきりゴミかと思って」

綾乃「えっ……てっきりゴミかと?」

京子「あの日は私が掃除当番だったんだけど」

京子「ヘアピンは床に落ちてて、ホコリまみれだったから」

千歳「ホコリまみれ? それ、ほんま?」

綾乃「嘘よ! 私は大切にしてるヘアピンを常に机の上に置くか、鞄の中に入れてるのよ!」

綾乃「それが床に落ちてて、ホコリまみれになってる訳がない!」

綾乃「面白半分で捨てたんでしょ!」

京子「それは違う。信じてよ。本当にホコリまみれだったんだから」

綾乃「許さない」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:06:52.46 ID:iPgRSOF90
綾乃「千歳。今日は生徒会の仕事は無いから、先に帰るね」ダッ

千歳「あ、綾乃ちゃん!」

京子「……何で、信じてくれないんだよ」ダッ

結衣「京子!」

結衣「これは深い亀裂が出来てしまったかもしれない」

千歳「そうやね」

結衣「どうすれば良いんだ」

千歳「船見さん。一つ聞きたいんやけど」

結衣「何?」

千歳「あの日、部室でもヘアピンのこと話さなかったん?」

結衣「私は私の出来る範囲で探そうと思ったし、あかりやちなつちゃんも口にしなかった」

結衣「京子は自分が犯人だから言わなかっただけ……だろうね」

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:07:17.73 ID:iPgRSOF90
京子「綾乃! 待ってよ!」

綾乃「来ないで!」

京子「お願いだから許して」

綾乃「あれは限定品でも無いけど、あまり売ってるところを見たことはない」

綾乃「けど私は、あのヘアピンだけは無くしたくなかったのよ」

京子「そんなに大切なものだったのか」

綾乃「……覚えてないの?」

京子「へっ?」

綾乃「えっ?」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:07:44.56 ID:iPgRSOF90
綾乃「去年のクリスマスパーティでプレゼント交換したじゃない」

京子「ああ、皆で輪になってやったね」

綾乃「私の手元に来たのが、歳納京子からのプレゼントだったのよ!」

綾乃「そして中身が捨てられたヘアピンなのよ!」

京子「……そうだったのか」

綾乃「何で当の本人が知らないの?」

京子「あの時はプレゼントを買う時間が無くてお母さんに買って来てってお願いしたんだ」

綾乃「はいっ!? じゃあ、中身を知らずに参加したの?」

京子「そういう事になるね。それよりヘアピンって、どんだけケチったんだ。うちのお母さん」

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:08:18.73 ID:iPgRSOF90
綾乃「そ、それでも嬉しいものは嬉しいのよ!」

京子「そっか。それならプレゼントした私も嬉しいよ」

綾乃「中身も知らなかったくせに良く言うわね」

京子「でもどうして、私からのプレゼントって分かったんだ?」

綾乃「本当に覚えてないのね。箱の底に”歳納京子からの愛”とか書いてあったのよ!」

京子「ああ! 後で私のが誰に届いたか知るために書いたんだ!」

綾乃「ああもう! 段々腹立ってきたわ」

京子「で、許してくれる?」

綾乃「仕方ない……なんて言うわけないでしょ!!!」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:08:43.02 ID:iPgRSOF90
綾乃「初めから素直に謝ればいいものを」

京子「だからごめんて言ってるじゃん」

綾乃「そうだ。今度のテストの勝負……私が負けたら許してあげる」

綾乃「私が勝ったら……絶交よ」

京子「ぜ、絶交!? 綾乃ぉ、本気か!」

綾乃「もう振り回されるのはうんざりよ」

京子「考え直してくれよ」

綾乃「テストで負けなきゃ良いのよ。出来るものならね」

京子「……」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:09:01.86 ID:iPgRSOF90
11月21日 結衣宅

結衣「あれから綾乃は猛勉強してるけど」

あかり「京子ちゃんは……ずっと遊んでるね」

京子「私は一夜漬けで勝つよ~」

結衣「仲直りする気ないだろ」

京子「あるよ~。綾乃の機嫌が直らないと、ストレス発散のためにいじる相手が減る」

ちなつ「うわ~。それって杉浦先輩が聞いたらショックで寝込みますね」

京子「同感」

ちなつ「結衣先輩と意見が一致した~」パァ~ッ

京子「それは誰でも感じると思うよ」

あかり「結衣ちゃん、パソコン使うよ」

結衣「良いよ」

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:09:25.42 ID:iPgRSOF90
ちなつ「あっ、そろそろ帰ります」

京子「もう帰るの~」

ちなつ「私だって忙しいんです」

あかり「気をつけてね~」

京子「じゃあね。愛しの天使」

ちなつ「チッ」

京子「舌打ちされた~」

京子「ところで、あかりは何調べてるの?」

あかり「内緒だよ」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:09:47.32 ID:iPgRSOF90
あかり「あれっ?動かない……フリーズ!?」

あかり「目立てる方法を検索しようとしただけなのに」

あかり「あっ、動いたぁ。良かった。で、検索結果は」

あかり「404 Not Found!!!」

あかり「ゆるゆりの主人公ってあかりだよね!?」

京子「さっきから何を言ってるんだ?」

あかり「えっ? 声に出てた?」

京子「うん。思い切り」

あかり「心の中のシーンのつもりだったのに」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:10:12.89 ID:iPgRSOF90
あかり「あっ、あった。京子ちゃん、これ見て」

京子「う~ん。なぁに……こ、これは!」

あかり「前にお姉ちゃんが持ってたのを思い出したんだ」

京子「良くやった!」

あかり「えへへっ」

京子「このお店、駅前のお店だ。よしっ、今から買いに行ってくる」

あかり「あっ、あかりも行くよ」

京子「結衣~。今日は帰るわ~」

あかり「じゃあね、結衣ちゃん」

結衣「お、おい。二人とも! カレーの準備はもうすぐ出来るのに……って、もう行ったか」

結衣「パソコンで何を調べたんだ?」

結衣「あっ、これって綾乃のヘアピン。売っているお店を見つけたんだ」

結衣「……チッ」

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:10:36.36 ID:iPgRSOF90
12月2日 試験結果発表日

千歳「今日やね。結果発表」

綾乃「そうね……」ズーン

千歳「あ、綾乃ちゃん。ちゃんと息してる?」

綾乃「たぶんしてると思うよ。ハハッ」

千歳(これはかなり危険な状態やな)

綾乃「高校受験に影響するから、わざと低い点数なんて取れない」

綾乃「でも歳納京子に勝った時を考えると……あまり考えたくない」

千歳(見てるこっちも辛いわ)

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:10:53.36 ID:iPgRSOF90
千歳「綾乃ちゃん。ほんまに絶交する気なの?」

綾乃「……う、そ、それは……」ズーン

千歳「ほんまは絶交なんてしたくないんやろ」

綾乃「あ、当り前じゃ……ない! そんな……こと」グスッ

千歳「あの時、相当頭にきたから絶交なんて言ったん?」

綾乃「う……」

千歳「図星やね」

千歳「まぁ、仮に勝ったとしても普通に許してあげたらええと思うで」

綾乃「そうだよね。やっぱりそうだよね! 許してあげるって言うべきだよね。そうする!」

千歳「綾乃ちゃん。可愛いわ」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:11:33.61 ID:iPgRSOF90
結衣「京子。自信はあるのか?」

京子「あ~る~よ~。へっへっ」

結衣「寝てないだろ」

京子「寝られないよ」

結衣「そりゃそうだよね」

結衣「あ、もう掲示板に結果が貼られてる。綾乃もいるよ!」

京子「絶対に勝ってますように……」

千歳「一位は……」

結衣「千歳! 一位は?」

千歳「船見さん。今、ちょうど確認しようと思ったところ……」

?「勝ったぁ!」「負けたぁ!」

結衣「どっちがどっちのセリフを言ったんだ!?」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:11:53.43 ID:iPgRSOF90
結衣「で、結果は、まず8教科800満点中、795点の綾乃」

結衣「一方、8教科800満点中、799点の京子」

京子「私の勝ちぃ!」

綾乃(良かった……負けて。負けて嬉しいなんて初めてだけど)

結衣「それにしても799点って奇跡だね。それじゃあ、約束通り敗者は勝者の言う事を聞く」

京子「そう。そのために頑張ったんだよ」

綾乃「じゃあ早く言いなさい。命令とやらを」

京子「絶交だ」

綾乃「!!!!!!!!!!!!!!!!」

京子「嘘だ」

綾乃「心臓が止まるかと思ったわよ!!!!!!」

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:12:13.76 ID:iPgRSOF90
京子「綾乃。ヘアピンを捨ててごめん。許して下さい」

綾乃「まっ、まぁ勝負に負けたから仕方ないわね。許してあげる」

京子「あと、これを受けとってほしい!」

綾乃「へっ?」

千歳「何か、婚約指輪を出してプロポーズするみたい……」ブハッ バタッ

結衣「千歳!」

綾乃「あっ、全く一緒のヘアピン! さ、探したの!?」

京子「売ってるお店を見つけたのはあかりなんだけどね」

綾乃「そういう時は自分で見つけたって言いなさいよ」

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:12:34.47 ID:iPgRSOF90
京子「実は私も同じもの買ったんだ。これでおそろい」

綾乃「と、歳納京子!」

京子「以前のヘアピンに色々思い出があったかもしれないけど」

綾乃「別に良いわよ。歳納京子から直接もらえた事が一番嬉しい」

京子「綾乃……」

綾乃「きょ、きょ、きょ……」

京子「きょ? 巨峰?」

綾乃「違うわよ!! もう、何でもない!」

京子「そうだ。試験も終わったし今日は仲直り記念にデートしようぜ。今から」

綾乃「で、デート!?」

千歳「」ブハッ

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:13:00.03 ID:iPgRSOF90
エピローグ

京子「そう言えば、この前さぁ。綾乃が私のことを好きって事に、私は気付いてない」

京子「そう思ってるって会話が聞こえちゃって」

綾乃「だ、誰が、どどど、どこでそんな事を!」

京子「それは誰でも良いんだけど。私は気付いてたよ」

綾乃「へっ?」

京子「それに私も綾乃の事が好き」

綾乃「と、歳納京子!」

京子「京子で良いよ」

綾乃「きょ、きょ、きょ、京……子」



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:13:18.15 ID:iPgRSOF90
綾乃「で、でも吉川さんは? 良い……の?」

京子「ちなつちゃん? ちなつちゃんは諦めたよ。ちなつちゃんには結衣がいる」

京子「あっ! だからって、その、穴埋めじゃない。本当だよ」

綾乃「本当かな~。あやしい~」

京子「綾乃ぉ~」

綾乃「フフッ、冗談よ」ニコッ

京子「やっぱり綾乃の笑顔は癒されるな。その笑顔のために頑張った甲斐があったよ」

綾乃「なっ! そんな事言われると恥ずかしいじゃない!」カァッ

京子「綾乃、手つなごうぜ」

綾乃「う、うん」ギュッ

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:13:37.67 ID:iPgRSOF90
京子「他人からだとどんな風に見えているかな? 友達同士? カップル?」

綾乃「そ、そんなの友達同士じゃないかしら。当然トーテムポールよ」

京子「それじゃあ、カップルに思われるようにしよう」

グイッ

綾乃「きゃっ」

京子「もうちょっと近付いて良いぜ、綾乃」ニヤリ

綾乃「きょ、京子。恥ずかしいわよ」

京子「大丈夫。そのうち慣れる。今日は最高に楽しいデートになりそうだな」

綾乃「じゃあ、今日はいっぱい甘える」ハグッ

京子「綾乃ぉ!」

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/10(土) 22:14:04.55 ID:iPgRSOF90
エピローグ?

結衣「あ~あ、やっぱり二人は結ばれたか」

結衣「綾乃には悪い事したな。でも綾乃が京子に対してもっと早く素直になっていれば」

結衣「二人の仲に入る余地がなければ…辛い想いもしなかったはずだ」

結衣「だからヘアピンを思い切り床に投げ捨てた……」

結衣「京子がヘアピンをゴミ箱に捨てたと知った時は、正直嬉しかった」

結衣「やがて二人は離れてゆく。そして京子を守るのは私の役目になる。はずだったのに」

結衣「はぁ~、どこで歯車が狂ったかな……」

あかり「結衣ちゃん」

結衣「あっ、あかりのせいか」

あかり「あかりまだ何も言ってないよね!?」


おわり