109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:19:25.57 ID:kDSUoAHU0
キュウベえ『やっかいなものだね。感情っていう精神疾患は……。』

カプセルの降り注ぐお菓子の国が、崩壊を始める。

マミ 「助けてくれてありがとう。私、あなたを……」

ほむら「貴女を助けたわけじゃないわ。貴女の死がまどかに与える影響が好ましくなかっただけ。」

ほむら「今回の結果は、貴女の慢心と油断が招いた失態よ。」

ほむら「あまりにも貴女らしくないんじゃないかしら。巴マミ。」

ほむら「一般人を魔女の結界に連れ込んで自分の闘いを見せる。」

ほむら「絶対的な自信に裏打ちされた行動なんでしょうけど、貴女にそんな力はない。」

ほむら「そして……」

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:22:14.76 ID:kDSUoAHU0
さやか「転校生っ……いい加減にしなさいよ……っ」

まどか「ほむらちゃん。あんまりだよ。マミさんはみんなを守ろうとしてくれたんだよ?」

まどか「私たちが後悔しないようにって、」

マミ 「鹿目さん。いいの。いいのよ……。……私が、弱かっただけよ……。」

なぜ、美樹さやかはそんなに怒っているの?
なぜ、まどかが泣くの?
なぜ、巴さんはそんなに震えているの?
私は「私にもそんな力はない。だから、力を貸して欲しい」って伝えたかったのに……。

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:24:56.07 ID:kDSUoAHU0
虚しい金属音だけが耳に残ってる

さやか「あんたの言葉、空っぽなんだよ。そう言うの隠せるもんじゃないよ。」

ほむら「なぜわからないの?巴マミのような実力がなければ、使い魔まで倒して街を守るなんて……。」

さやか「そんなマミさんを壊したのはアンタだ!転校生っ……!」

さやか「アンタみたいな才色兼備でおまけに強いやつには、わかんないでしょうねえ!」

さやか「努力を否定して、間違ってるって決めつけて、弱いやつは切り捨ててっ!!」

さやか「……一生やってなさいよ。」


112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:27:41.47 ID:kDSUoAHU0
彼女の声だけが聞こえる。

杏子 「さやかをひとりぼっちにしたくないんだ。アンタは強いけど、あいつ……きっと泣き虫だからさ。」

ほむら「……佐倉、杏子……。」

杏子 「行きな。こいつは私が引き受ける……ッッ!!!」

なにが貴女をそこまでさせるの……?


113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:30:25.84 ID:kDSUoAHU0
インキュベーターの目をいつまでも欺いていることはできない。

QB 「時間遡行者暁美ほむら。」

ほむら「……な……っ」

QB 「僕の前で何度も能力を使ったのは、失敗だったね。今の動揺で確信したよ。」

QB 「まどかが背負った因果の量。君が君より強いはずのマミや杏子を手玉に取れたこともそれで総て説明できる。」

QB 「君たちは協力すればワルプルギスの夜を無事に乗り越えることができるはずだ。もちろん、まどかを含めての協力体制になるけどね。」

ほむら「まどかを魔法少女にはしない。私がさせない……っ」

QB 「暁美ほむら。時の牢獄のなかで絶望する気かい?」

QB 「ただ守るだけ。それが君たち地球人の健全な友情の形なのかい?」

お前の話なんて、聞きたくない。


114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:33:29.25 ID:kDSUoAHU0

濡れた頬が冷たくて目が覚めた。
目覚まし時計が鳴るよりずっと早く目が覚める。
滲んだ視界に目覚まし時計を写していると、思い出したくもない夢を思い出す。

巴さんは、何も言わずに立ち去った。
きっと私の言葉が自尊心を酷く傷つけてしまったんだと思う。

認められたかった。
こんなに強くなったのよって、見て貰いたかった。

彼女の力を借りることができれば、きっと美樹さやかとも佐倉杏子ともうまくやっていける。
まどかの信頼を勝ち取るのもずっと簡単になるはず。


115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:36:13.07 ID:kDSUoAHU0

巴さんを傷付けてしまって、美樹さやかとの隔絶は決定的になってしまった。
ジークフリードを渡して、敵意がないことを伝えようとしても無駄だった。
幼馴染のために魔法少女になって、優し過ぎて絶望してしまう。

―― 一生やってなさいよ

優しいはずの彼女の声が、胸に突き刺さる。
どうしてわからないの?
どうして自分を犠牲にしてしまうの?
呪いから、一番縁遠い人のはずなのに――。
幼馴染は、あなたの気持を知らないだけかもしれないのに――。

ベッドのうえで座り込んで胸を押さえて泣いていると、私はあの時から一歩も進んでいないんだと思い知らされる。

思い知らされなくてもわかっていた。私は弱虫のままだ。
燃えあがるようにかっこよくなんてなれない。




117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:38:38.57 ID:kDSUoAHU0

だから――

――食うかい?

彼女に頼った。

――さやかをひとりぼっちにしたくないんだ。アンタは強いけど、あいつ……きっと泣き虫だからさ。

そして、見捨てられた。
私は美樹さやかに負けた。

巴さんを傷付けて、美樹さやかを助けることのできなかった私の言葉は、きっとまどかにも届かない。
まどかにまで拒まれたら、私の心はきっと粉々になってしまう。
だから、何も伝えずに往こうと思う。

ワルプルギスの夜は近い。

QB 「やれやれ。強情だなぁ……。」



119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:45:18.73 ID:kDSUoAHU0

避難所施設のホール。

まどか「ほむらちゃん大丈夫かな……。」

マミ 「鹿目さん……。」

QB 「鹿目まどか。僕の話を聞いてくれるかい?」

まどか「キュウベえ……。今さら、なに……?」

QB 「この災害は、ワルプルギスの夜という魔女の影響だ。」

まどか「魔女の……? だって、こんなの……うそ、だよね。ねえ、マミさん。」

まどか「いくら魔女でも、こんなのことできないよね!?」

マミ 「キュウべえの言う通りよ。……ごめんなさい。魔女が暴れてるなら、私、本当は行かなきゃいけないのに……。」

まどか「誰もマミさんを責めないですよ。暴れてるだけでこうなっちゃうんじゃ……。誰だって……。……。」




121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:47:49.29 ID:kDSUoAHU0

QB 「恐らく、初めてではないだろうね。僕がワルプルギスの夜の情報を与えなかったにも関わらず、彼女はワルプルギスの夜が来ることを知っていた。」

まどか「何度も……? でも、ほむらちゃんは、私たちと同じ歳で……。」

QB 「時間が無いから、細かい説明は抜きにしよう。彼女は、時間遡行者だ。」

QB 「恐らく、何度も同じ時間を繰り返しているんだろう。思い当たる節はあるんじゃないのかい?」

QB 「本当に初対面なら、暁美ほむらが君にあれほど執着することはないはずだ。」


122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:50:09.09 ID:kDSUoAHU0

まどか「あ……。」

QB 「これは完全に僕の推測だけど……。彼女はもう何度もワルプルギスの夜と戦っているだろう。」

まどか「うそ……。そんなのってないよ。何度戦っても勝てないのに、戦い続けるなんて、あんまりだよ……っ」

QB 「負けても彼女は再び繰り返すだろう。そしてまた泣くんだろうね。」

まどか「あなたはそれを見て何も感じなかったの……? それに気付いて、何も思わなかったの……?」

QB 「感じないわけないだろう。そう言ったら、君は信じるかい?それなら僕は信じることにして、君に契約をお願いするよ。」

まどか「……キュウべえ……?」

QB 「……鹿目まどか。僕は君の意思を聞きたい。急かすことも、アドバイスすることもルール違反だからね。」


123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:53:19.47 ID:kDSUoAHU0
 ̄ ̄ ̄ ̄

もう視界が霞んで、まともに見えなかった。
さっき頭を打ったせいだろうか、それとも血を流し過ぎたからだろうか。

ほむら(勝てない。勝てっこない……。)

方々から集めた武器は使い果たしてしまったのに、ワルプルギスの夜にダメージが残っているようにはみえない。

QB 「やれやれ。もう少し頑張ってるかと思ったけど、これじゃあ鹿目まどかを勧誘する暇もないじゃないか。」

ほむら「インキュベーター……。勝利宣言でもしに来たの……?」

私が負ければ、まどかを止められない。
時間を戻さなきゃいけない。そう思うのに、私の手は動いてくれない。
左手のソウルジェムが、痛んだ。

QB 「そうだね。もう僕の勝ちは決まったようなものだ。」


124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 10:55:24.78 ID:kDSUoAHU0
QB 「地球も終わりさ。」

ほむら「……絶望の煽りかたが下手ね。」

ほむら「地球なんて、私にはどうでもいい。」

QB 「話は最後まで聞くものだよ。暁美ほむら。」

QB 「ワルプルギスの夜。そして、幾多の平行世界を歩いてきた君が魔女になれば、いくら鹿目まどかが魔法少女になっても勝ち目はない。」

ほむら「その前に、私は時間を遡る。」

QB 「その黒ずんだソウルジェムに、そんな魔力が残されていないことは、君自身が一番わかっているはずだ。」

ほむら「……魔女になる前に、ソウルジェムを壊せばいい。」

QB 「もう手もろくに動かせないだろう? 絶望を跳ね除ける気力もなさそうだ。」

ほむら「……っ……」


126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:00:46.10 ID:kDSUoAHU0

QB 「君に殺される鹿目まどかは、深い絶望に沈んで魔女になるだろう。」

ほむら「私が、まどかを殺す……。」

それだけは嫌だ。

QB 「君たちは女神だね。たったふたりで宇宙を救ってしまう。」

こいつの思い通りになるのも嫌だ。

時間を戻さなくちゃ。

QB 「君はそれでいいのかい?」

絶望になんて、負けてられない。

QB 「エントロピーを凌駕するほど焦れた祈りを忘れてしまったのかい?」

――暁美さんには、爆弾以外の武器ってないのかしら

QB 「地球人は、感情を武器に変えられるからこそ、祈りを形にできる。」

――奇跡も魔法もあるんだよ

QB 「いつか絶望に身を委ねることになる。けれど、その時を自らの手で先延ばしにすることはできるはずだ。」


127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:04:03.51 ID:kDSUoAHU0
QB 「今絶望に身を委ねるのは、最悪の結果生むことになる。」

――アンタは、アンタの一番大事なものを守るんだ

今だけでいい。
言葉だけでいい。
私のためじゃなくていい。
まどかのために、あなた達の生きた世界のために――

ほむら「黙りなさい。インキュベーター。絶対、まどかを殺したりしない……ッ!!」

――力を貸して……!!

QB 「僕もそう思うよ。暁美ほむら。きっと君は、この夜を越えるだろう。」

ワルプルギスの夜が倒壊したビルを差し向けたのだろう。
地鳴りのような音が響いた。
その音が重なって、インキュベーターの最後の言葉は聞き取れなかった。


128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:06:11.73 ID:kDSUoAHU0

QB 「彼女たちと一緒にね。」

音が近づいてくる。
聞こえない言葉を気にしている余裕がなくなる。
すぐに時間遡行をするために盾に手を添えようとして、まだ動かないことに気付いた。

ほむら(そんな……っ)

?? 「もう大丈夫!鹿目さんから、聞いたわよっ」

光の弾丸が、迫り来る倒壊したビルを粉々に打ち砕く。

?? 「うっわっ……ぼろぼろじゃん。すぐ治すから……っ」

青い光に包まれて、手足が動くようになる。

?? 「ったく、最初から全部喋ればいいんだよっ」

巨大な槍が、踊り狂う使い魔たちをなぎ払う。

QB 「鹿目まどかの願いは、死者さえ呼び戻した。」

インキュベーターが、抑揚のない声で言った。


129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:09:26.66 ID:kDSUoAHU0

QB 「鹿目まどか。早く暁美ほむらにグリーフシードを使うんだ。」

?? 「うん。ありがとう、キュウべえ! もう大丈夫だよ。ほむらちゃん!」

絶望に染まったソウルジェムに、グリーフシードが添えられる。

ほむら「まどか……。」

QB 「後は君たち魔法少女の仕事だね。」

霞んでいた視界がはっきりして、力の戻った四肢に希望が加わる。

マミ 「鹿目さん、暁美さんをお願いね。」

杏子 「時間は稼いでやる……っ」

さやか「うっわ、あれ魔女!? でか……っ」

私の前に――


130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:13:09.89 ID:kDSUoAHU0

――魔法少女になったまどかが、立っていた。

まどか「お願いしたの。マミさんに助けて欲しいって……。生き返ったさやかちゃんと杏子ちゃんに、一緒に戦って欲しいって……っ」

ほむら「どうして……。あなたが契約したら、ぜんぶおしまいなのに……。」

まどか「キュウベえから、全部聞いたの。」

ほむら「インキュベーター……っ」

まどか「ごめんね。ほむらちゃん。でも、ほむらちゃんだけ苦しむなんて、そんなの絶対間違ってる。教えてくれたキュウベえに、お礼が言いたい。」


131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:15:36.65 ID:kDSUoAHU0
まどか「私がほむらちゃんを苦しめてる。私がほむらちゃんに苦しい時間を繰り返させるかもしれない。」

まどか「だけど、ほむらちゃんにわかって欲しかったの。マミさんも、さやかちゃんも、杏子ちゃんも、誤解してただけなんだって。」

まどか「一人ぼっちで戦い続けなきゃいけないなんて、そんなことないって、わかって欲しかったの。」

まどか「何度も繰り返してるなら。何度も繰り返すなら、なおさら。」

ほむら「私の力が足りなかったから……。」

まどか「だから仲良くするんだよ。一緒に戦おう。ほむらちゃん。」

最悪の時を今にしないために、私は頷いた。
嘘みたいに、体が軽くなって、気持ちが張ってくる。


132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:19:38.27 ID:kDSUoAHU0

さやかが傍らに立った。

さやか「アンタも努力してたんだね。ごめん。酷いこと言った。」

ほむら「暁美ほむらよ。アンタは名前じゃないわ。」

さやか「……っ……」

ほむら「ほむらでいいわ。」

さやか「最初からそんな感じ話しかけてくればいいのに……。」

133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:22:30.31 ID:kDSUoAHU0
杏子が背中を向けたまま槍を構えなおす。

杏子 「悪かったよ。アンタのこと、気付いてやれなかった。」

ほむら「埋め合わせはしてもらう。今、すぐにね。」

杏子 「ああ、任せな……っ」

巴さんが、先頭に立っていた。

ほむら「謝らなくてはいけないわね。」

マミ 「謝らなくていいわ。あなたは間違ってなかった。私はたしかに思い上がってた。」

マミ 「だから、その思い上がりを現実にしてみせる。」

マミ 「向き合う勇気をくれたのは、暁美さん。貴女よ。」

マミ 「今なら言えるわ。私たち、協力しましょう。」



136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:25:09.52 ID:kDSUoAHU0
杏子 「まどかっ、ほむらっ、消耗戦は不利だ。」

マミ 「そうね……。私と杏子が道を作るから、直接叩きこんじゃいなさい。」

さやか「しっかり狙ってね。直接突っ込んでくるザコはさやかちゃんが片っ端から蹴散らしちゃうから!」

ほむら「まどかの魔力だけじゃアイツを倒せない。」

ほむら「私の魔力も、まどかの魔力も全部使わないとアイツに勝てない。」

まどか「うん。なんとなくだけど、わかるよ。」

まどか「あはは……ちょっと、怖いね。魔力を使い果たしても、魔女になっちゃうんでしょ?」

まどか「でも、一緒にがんばろ……っ……ほむらちゃん!」



138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:27:16.56 ID:kDSUoAHU0

巴さんが、無数の弾丸でワルプルギスの夜の攻撃を相殺する。

ほむら「大丈夫よ。何も怖くないわ。」

ほむら「今、私のなかにはあなたがくれた、みんながくれた希望がある。まどかは必ず私が守る。」

ほむら「絶対に魔女になんてならない……っ……ならせない……っ」

杏子の一撃が、ワルプルギスの夜を追いやる。

私たちが、射程から外れる。

まどか「ほむらちゃん……。」

まどかの手を取って、一緒に弦を引き、狙いを定める。

ほむら「前を見て、胸を張って、足を開いて、集中して――まどかの力は、私が引きだすから。」

さやかが、群がる使い魔を蹴散らす。

まどか「うんっ」


139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:37:32.49 ID:kDSUoAHU0
ほむら&まどか「「いっけぇぇぇ……っ……!!!!!」」

私とまどかが引き絞った弦から放たれた矢は、パープルとピンクの光の螺旋を描いてワルプルギスの夜を貫いた。







ワルプルギスの夜が明ける。
誰も欠けることなく、絶望が這い寄って来ることもなく、青空が広がっている。

ほむら「まさかあなたが私を励ましてくれるなんてね。キュウべえ。」

QB 「勘違いだよ。君が時間を繰り返すことを諦めてしまったら、君がいつか生み出すはず膨大なエネルギーが手に入らなくなる。」

QB 「エネルギーが大事なんだ。エネルギーが生み出せるなら、君のことはどうでもいいんだよ。」


141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:41:25.17 ID:kDSUoAHU0
さやか「転校生が魔女化して、魔女になった転校生に殺されそうになったまどかが魔女化すればそれで十分なエネルギーが手に入るっていってたじゃん……。」

QB 「余計なことは言わなくいいんだ。美樹さやか。」

まどか「ティヒヒw ほむらちゃん、キュウべえが照れてるよw焦ってるよw」

QB 「何を言ってるんだい。鹿目まどか。わけがわからないよ。僕は宇宙のエネルギー問題を解決するために……。」

マミ 「ふふ、キュウベえは面食いなのね。」

QB 「僕はエネルギーのことしか考えてないよ。」

ほむら「そうね。あなたは、そういうやつよね。」

QB 「君はよくわかっているね。暁美ほむら……。」ショボン


143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:47:18.21 ID:kDSUoAHU0
さやか『ねぇ……杏子。これって……w』

杏子 『がっかりしてるよな……w』

マミ 『暁美さんにキュウべえを取られちゃう……w』

ほむら『いらないわw』

まどか『キュウベえ、ふられちゃったw』

さやか『その間10秒であったw』

まどか『さやかちゃんw数えてたの?w』

マミ 『キュウベえ一人ぼっちねw』

杏子 『マミw引き取らねえのかよw取られちゃうとか言ってたくせにw』

ほむら『リボンを着けて進呈するわw』


144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:50:46.62 ID:kDSUoAHU0

QB 「テレパシーは僕に聞こえてるんだよ。これが地球の苛めかい?」

さやか「ってか、ほむら容赦ないw」コレヲイジルッテイウノヨ

ほむら「……w」ニヤニヤ

さやか「テレパシー弁慶wそんなキャラだったのかあんたw」ホレル

杏子 「刀集めてんのか?」チョットマテ

まどか「杏子ちゃんっwそういう意味じゃないよw」ネタニマジレスカッコワルイ

マミ 「キュウべえをスルーしないであげてw」イイゾモットヤレ

杏子 「リボン着きキュウべえをスル―したお前が言うなw」アオルナ

QB 「きゅっぷい……w」ヤッテラレナイネ

キュウベえが背中を向ける。
こんなに不本意そうなキュウベえを見たのは初めてで、ふきだしそうになってしまった。
まどかと目配せして、くすくす笑う。
なんだか胸が温かくなった。


145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:53:04.75 ID:kDSUoAHU0

ほむら(楽しい……。……まどかも、みんなも、楽しそう……。でも……。)

QB 「暁美ほむら、早く行んだ。迷う前にね。君が生み出すであろうエネルギーに期待してるよ。」

背中を向けたままのキュウベえの言葉が、場を凍らせる。
楽しそうだったまどかは俯いてしまった。

ほむら(この楽しさは続かない……。そんなこと、わかってる。)

私の願いは叶っていない。
一番大事な祈りが通じていない。

ほむら「そうね。このままでは、なにも変わらない。」

このままじゃまどかが魔女になる未来は避けられない。
行かなければならない。
目頭が熱くなって、声が震える。
早くしないと、私は行けなくなる。
心地いい時間から、離れられなくなる。
私が盾に右手をそえる


146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 11:56:25.44 ID:kDSUoAHU0

マミ 「一番に私のところに来るのよ。あなたの口下手、補ってあげるから。」

巴さんが、後ろから抱きついてきた。

杏子 「無理すんじゃねーぞ。ゴールはあんたが決めるんだ。」

さやか「そして私の嫁になるのだぁ~!」

杏子が私の右手を抑え、さやかが私の頬をつついてくる。

杏子 「そしてが繋がってないぞw」キキズテナラネェ

QB 「君たちはいつもそうだw」ネンニゴフンクライマジメニナレ

それが温かくて


147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 12:00:44.40 ID:kDSUoAHU0

ほむら「……っ……! ぅ……ぁ……っ……」

嗚咽が、抑えられない。
みっともないと思っても、止められない。
涙だけは流したくない。見せたくないのに――

まどか「なにがあっても私たちは友達だよ。ほむらちゃん。だから――」

俯いていたまどかが顔をあげて

まどか「必ず、また会おうね。」

QB 「応援してるよ。それだけ宇宙が救済に近付くからね。」


148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 12:02:47.40 ID:kDSUoAHU0

まどかの瞳が、潤んでいるのを見て

ほむら(まどか……必ずあなたを守ってみせる……っ……次がだめでも、何度でも、何度でも繰り返す……っ……!!)

こらえ切れなくて、涙が溢れてくる。

仲間たちが離れて行く。
自由になった右手で、勢いを付けて盾を回す。

歯車が、鳴る。
砂時計が、さらさらと音を立てる。
その音が、手を振るみんなが、私は前に進んでいるんだと教えてくれる。

たとえこの記憶が褪せてしまっても――
私は絶対に諦めない。

終わり

マミ 「キュウべえ、最後もスル―されたわね。」

QB 「これが教室での君の位地なのかい?マミ。」