2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:40:22.33 ID:YEaU0lYk0

色々あって円環の理と呼ばれる、全体的に白くどこか無機質な空間に呼び出されたほむらを始めとした魔法少女4人。

ここはどこだとか何故呼ばれたのかとか一切がわからないまま、何も無い空間から現れた概念まどかに注目を寄せる。

「最近、魔獣の活動が頻繁になってきたね。そこでさやかちゃんと話し合って、これからどうするかを皆で考えてもらうことにしたの」

「なるほど、だから魔獣の影響が一切ないここに私達を呼んだのね。流石まどかだわ」

「そうだよほむらちゃん!私を褒めて////////////」

「(うぜえ)」

ほむらは心の中で悪態をついた。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:40:57.79 ID:YEaU0lYk0

「あたしは何でもいいけどねー。出てきた魔獣をぶっつぶせばいいだけの話だし」

「でも最近は連中も力を増して来ているみたいだし、鹿目さんが危惧する気持ちもわからなくはないわ」

杏子もマミも、それぞれの思いを語っていく。
そこでほむらが疑問を口にした。

「でもまどか、考えていくのはいいけど具体的に何を話し合うかはもう決まっているのかしら?」

「うん、それはもうバッチリ。さやかちゃんホワイトボード持ってきて!」

「うーい」

どこからか引っ張ってきたホワイトボードにペンでキュッキュと文字を書き込んでいくまどか。
そこにはこう書かれていた。

「……第一回、魔法少女指導会議?」

「はいほむらちゃん、その通り!さやかちゃんホワイトボードしまって」

「これ持ってきた意味あんの!?」

こうして、まどか主催による話し合いが始まった。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:41:29.68 ID:YEaU0lYk0

「やっぱり、個々の戦力向上が一番手っ取り早い方法だと思うんだよね」

早速策を提示し始めるまどか。
この話に意欲的なのだろう。どんどん話を進めていく。

「だからまず手始めとして、皆の特徴や弱点を挙げていって、その上で無駄を省いていきたいと思うんだけど……どうかな?」

「私は構わないわ。他人の視点から見た私の実力と言うのも興味があるし」

「あたしも構わないね、どんと来いだ」

「私もよ」

「じゃあ皆OKって事だね」

「さやかちゃんは!?」

などというツッコミもスルーして、早速まどかは始めていく事にした。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:42:02.88 ID:YEaU0lYk0

「じゃあまずは、マミさんからですね」

「よろしくね、鹿目さん」

マミは先輩然としてまどかの前に立つ。ベテランの魔法少女であるマミの無駄を見つけるのはまどかと言えど苦労しそうだ。
緊迫した空気の中、まどかは口を開いた。

「えーと……。あ、じゃあまず戦闘中に何故か叫ぶ必殺技についてなんですけど」

『容赦ねえな(無いわね)』

その質問に、マミは狼狽えながらもなんとか答えようとする。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:43:42.37 ID:YEaU0lYk0

「あ、あれはなんていうか……気分的なものよ。ほら、漫画やアニメでもよく叫んでるでしょう?それと同じで――」

「それが魔獣を倒す事と何か関係あるんですか?
技名を叫ぶ暇があるなら次どうするか考えてた方がいいんじゃないですか?
実は悦に入ってませんか?
そういう病気ですか?
というかティロフィナーレって何ですか?アルティマシュートじゃ駄目なんですか?そもそもマミさん幾つですか?」

「うわああああん!」

『(惨い)』

指摘という名の苛めを見た三人は、心の中でそっと呟いた。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:44:26.61 ID:YEaU0lYk0

会話に一呼吸置く。

「じゃあ次は、杏子ちゃんだね」

「おうよろしく」

杏子の無駄を考える。

「杏子ちゃんは、実はあんまり無駄がないんだよね。突っ走っちゃう所がたまに傷だけど」

「そうなのか?まあ、この中じゃマミの次くらいには場数踏んできた自信はあるけどさ」

「うん。けど強いて言うなら協調性が杏子ちゃんには足りない、かなあ。これは無駄じゃなくて足りない物なんだけどね」

「具体的にはどんなだ?」

杏子は首を傾げる。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:45:34.57 ID:YEaU0lYk0

「仲間を思いやったりとかかな。具体的には戦闘中にさやかちゃんを敵ごと貫くのをやめたり囮とか言ってさやかちゃん埋めるのをやめたり」

「ああ、あれか」

「まあそれさえやめれば、後は特に言うことないかな」

「そうだなあ、立派な作戦だと思ったんだけど。じゃあ次から吹っ飛ばして魔獣巻き込ませるくらいにしとくよ」

「うん、それならOKだね」

「おう、サンキューな」

「ほむら、いつもみたいに突っ込んでよ」

「無理よ、介入力が足らないわ」

まどかと杏子の組み合わせに混ざっていくには、相当の勇気が必要だった。

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:46:49.48 ID:YEaU0lYk0

「でも話は変わっちゃうけど、やっぱりマミさんって、胸大きいですよね」

「グスッ……そ、そお?」

「はい、私憧れちゃいます。私ってその、小さいから……」

まどかは己の胸とマミの胸を比較し、落胆した。

「……大丈夫よ、鹿目さんだってまだまだ大きくなる可能性だってあるんだし、自信持ちなさい」

「そうですかね……」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:47:38.57 ID:YEaU0lYk0

励まされ、曖昧な顔をするまどか。
そんなやりとりの中さやかが口を挟んだ。

「でも胸と言えば私さやかちゃんはバ  バ  だとして、杏子も中々あるよね」

「……別にあった所で、なんも得なんかないけどな」

「そんな事言っちゃって、このこの!」

「なっ!?  んじゃねえ!」

「あはは」

「テメエさやか!」






「暁美さん」

「いいの、構わないで」

「ほむらちゃんを馬鹿にするな!」

「まどか、本当に止めて」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:48:14.89 ID:YEaU0lYk0

「じゃあ次はさやかちゃん!」

「……どーせ私は無駄しかないんでしょ、いいよいいよ」

先程の会話でさやかは拗ねてしまったようだ、言葉にやる気が見られない。そんなさやかを無視してまどかは言い放った。

「そうだね、まずさやかちゃんはなんといっても太刀筋が粗いね。無闇に突っ込むしなにより危なっかしい。それに遠距離の攻撃をする人間がいると邪魔でしか無い点も頭に入れておいた方がいいよ。あと杏子ちゃんはともかくほむらちゃんと組む場合の有効的な立ち回りは―――」

「ちょっ!?何その無駄に真面目な考察!もっとギャグっぽくしなさいよ!」

「今のはそれっぽかったわね」

ほむらの言葉に全員が頷く。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:48:48.57 ID:YEaU0lYk0

次にまどかが声を出した。

「そういえば全く話とは関係ないけど、もうすぐバレンタインだよね。皆は誰かにチョコ渡したりするの?」

「私は別に……。杏子はどうなのかしら?」

「あたしは食う専門だ。というわけでさやか寄越せ」

「そこであたし!?……まあ、どうしてもっていうならいいけど。このさやかちゃんがとびっきり美味しい物作ってあげるから、感謝しなさいよ!」

「おう、頼むぜ!」

「私は当然ほむらちゃんにあげるよ!」

「ありがたいけど、念のため中身とか聞いてもいいかしら」

「そりゃ決まってるよ!リボン巻いた私をダイレクトプレゼント!」

「今チョコの話じゃ無かったかしら。却下」

「ええ!?ほむらちゃんそういう   が好きって前言ってたよ!?」

「ごめんなさい、貴女の妄想癖を失念してたわね」

ほむらのツッコミは冷たい。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:49:37.54 ID:YEaU0lYk0

そんな時マミが口を開いた。

「私はQBにあげるわね」

『ええええええええ!?』

全員が大声を出す。その表情は物凄かった。

「マミさん……。QBってあのQBですか?」

「他にどのQBがいるのよ」

「あいつってそもそも何か食べたりするのか?」

「食べるわよ、この前は私の靴下とか食べてたわね」

「汚なっ!……まあでも、アイツがチョコ食べてる姿ってのはちょっと想像しづらいかなあ」

「そうかしら?去年もあげたけど……『これはチョコレートだね。カカオマスを主原料とし、それに砂糖やココアバターなどを混ぜて作られた食物だ。この食物はそもそも(中略)というわけで、僕もこの食物は嫌いじゃない、いただきます』とか言って美味しそうに食べてたけど」

「普通に頂きますって言えよ」

珍しく杏子が突っ込んだ。食べ物が絡んでいるからだろうか。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:50:20.37 ID:YEaU0lYk0

そこでまどかがそういえば、と声をあげた。


「私達、何の話してたんだっけ?」

「まどか、自分から話題振っておいて忘れないでくれるかしら」

「あっごめんごめん、ほむらちゃんに私をどう美味しく食べてもらうかの話だったね」

「次」

ほむらは華麗に受け流した。

「それじゃあ最後にほむらちゃんだけど……」

再び場を持ち直し、まどかはほむらと向き合う。

「ほむらちゃんに無駄なんかないよね!なんせ私の最高の友達だし!」

「そ、それでいいのかしら?何か挙げてくれないと指導にならないんじゃ」

「ほむらちゃんは指導する必要がないんだよ!戦うほむらちゃんもかっこいいし魔獣探索するほむらちゃんもかっこいいし眠るほむらちゃんもかっこいいし休日に寝そべって尻掻きながらお昼番組見てるほむらちゃんもかっこいいし……」

「それ全部貴女の主観よね」

ほむらは極めて乾いた笑みでそう言った。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/03(金) 22:51:14.77 ID:YEaU0lYk0

「じゃあこれで全員終わりかな、お疲れさま!」

まどかは疲れきった表情をする五人に労いの言葉を送った。
そしてほむらは、ここまでずっと抱いていた質問を口にした。

「まどか、一ついいかしら?」

「え、なに?愛してる」

「うっさい。ところで私達、結局何のために呼び出されたのかしら」

その言葉にまどかは少し考える素振りを見せ、やがて満面の笑みで言った。









「暇潰し!」

おわり