1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:08:59.05 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「おや……◆」

ヒソカ「てっきりあの十字傷のサムライも一緒だと思ってたけど、キミ一人かい?」

斎藤「未だに“不殺”を引きずっているあいつがいると、はっきりいって邪魔なんだよ」

斎藤「お前を殺すにはな」

ヒソカ「殺す? このボクを?」

ヒソカ「そそられるねェ……◆」

4 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:11:12.38 ID:76Z9m4UU0.net
斎藤「お前が宇水か……」

宇水「いらっしゃい」

宇水「おや……」

ヒソカ「てっきりあの十字傷のサムライも一緒だと思ってたけど、お前一人かい?」

斎藤「未だに“不殺”を引きずっているあいつがいると、はっきりいって邪魔なんだよ」

斎藤「お前を殺すにはな」

宇水「殺す?このわしを?」

宇水「そそられるねェ……」

5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:15:13.96 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「ずいぶんと昂ぶってるようだけど……」

ヒソカ「ひょっとしてキミ……」

ヒソカ「キミの仲間である警官50人を殺したことを、恨んでるのかい?」

斎藤「!」

ヒソカ「ボク、マジシャンだからねぇ◆」

ヒソカ「キミの考えてることなんて全部お見通しなんだよ◆」

斎藤「……フン」

斎藤「お前は奇術師などと呼ばれ、人の心を見透かすことに長けると聞いていたが」

斎藤「どうやら眉唾モノだったようだな」

ヒソカ「いうねえ◆」

8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:21:23.60 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「分からぬのなら教えてやる」

斎藤「この俺が昂ぶるのはただ一つ」

斎藤「“悪・即・斬”という俺自身の正義の為だけだ!」

ヒソカ「いいねェ~、キミすごくいいよ◆」ズキュゥゥゥン

ヒソカ「ボクのオモチャになるにふさわしい相手だ◆」

9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:25:06.50 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「いくぞ!」

ドウッ!

グニィッ……

斎藤の牙突が、ヒソカに命中する寸前でなにかに阻まれた。

斎藤「!」

ヒソカ「キャッチ◆」

11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:29:05.16 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「これがウワサに名高い牙突か……ぬるいねェ◆」

ヒュヒュヒュヒュッ! グササッ!

反撃のトランプが、斎藤の体に数枚刺さる。

斎藤「…………」ブシュゥ…

ヒソカ「へぇ、三枚しか刺さらないなんて、なかなかやるね◆」

14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:33:17.82 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「ちなみに今、キミの牙突をガードしたのは、これ◆」グニィ

ヒソカ「“伸縮自在の愛(バンジーガム)”◆」

ヒソカ「ガムとゴムの性質を併せ持つボクのオーラの前では」

ヒソカ「キミの牙突もただの突き同然みたいだね◆」

ヒソカ「ま、クロロを殺る前のいい準備運動ぐらいにはなりそうだけどねェ◆」ニィィ…

斎藤「…………」

18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:38:04.55 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「着ている衣装もそうだが、頭の中身もなかなかめでたい奴だ」

ヒソカ「なに?」

斎藤「能力のご高説わざわざどうも」

斎藤「その礼代わりといってはなんだが、俺も一ついいものを見せてやろうか」

ヒソカ「へぇ……なにを見せてくれるのかな?」

斎藤「数多の視線をくぐり抜けた剣客だけが持つ読み……洞察力ってやつだ」

ヒソカ「ふうん……面白い◆」

ヒソカ「で、いったいなにを洞察したっていうんだい?」

19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:44:39.11 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「その前に確認しておくが……」

斎藤「お前はたしか、幻影旅団のクロロ=ルシルフルを長年つけ狙っていたな?」

ヒソカ「その通り◆」

斎藤「さて、俺が洞察したのは──」

斎藤「ずばり、“お前が本当にクロロ=ルシルフルと戦いたいかどうか”」

ヒソカ「!」

斎藤「お前のご高説の中の、クロロ=ルシルフルを殺るといった下り──」

斎藤「狙った獲物となかなか戦えないでいるなど、本来恥ずべきことのはずなのに」

斎藤「お前はうすら笑っていた。それでピンときたんだ」

斎藤「“ああ、こいつはクロロ=ルシルフルと戦う気なんかない”」

21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:49:39.66 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「もしお前が奴と戦えば、敗北は必至」

斎藤「お前には、敗北するかもしれない闘いに挑む気概などさらさらない」

斎藤「ようするに、お前は強者との対戦を熱望し、戦闘狂を気取ってはいるが──」

斎藤「結局は自分より格下としか戦えない、卑劣漢に過ぎない」

斎藤「しかし、それを認めてしまっては、お前の自我は崩れてしまう」

斎藤「だからお前は“自分は強者と戦う機会に恵まれない不幸で最強な人間”と」

斎藤「常に心の中で自分をなぐさめ、だまし続けているんだ」

斎藤「どうだ……当たらずとも遠からずってとこだろ」

23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 00:55:04.75 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「……フ」

ヒソカ「フフフ◆」

斎藤「ハハハ」

ヒソカ&斎藤「ハーッハハハハハハハハハハ!!!」







ヒソカ「 何 が 可 笑 し い ! ! ! 」

27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:00:10.43 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「斎藤一……◆」

ヒソカ「まったく好き勝手いってくれたねェ◆」

ヒソカ「キミにはボクの真の技で死んでもらおう◆」サッ

斎藤「闘いもせず尻尾を巻いた負け犬が、偉そうに吠えるな」スッ…

29 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:04:18.29 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「今度はお前の能力ごと、牙突で貫いてやる!」

ドウッ!

再び牙突をしかけるが──

ギュルッ!

斎藤「!」

ヒソカ「“伸縮自在の愛(バンジーガム)”で刀を捌き──」

ヒソカ「トランプで突く◆」シュッ

ドスッ!

斎藤の足にトランプが刺さった。

ヒソカ「これがボクの編み出した最高の技──」

ヒソカ「“伸縮自在の愛(バンジーガム)”と“トランプ”の基本的戦法◆」

31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:08:07.58 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「フン……」

ドウッ!

三度目の牙突。

ヒソカ「無駄だってば◆」

ギュルッ! ドスッ!

斎藤「…………」ブシュゥゥ…

33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:13:19.01 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「キミは楽には殺さないよ◆」

ヒソカ「だってキミは、クロロですら知らないボクの心を知ってしまったんだからねェ◆」

斎藤「そうやってクロロ=ルシルフルを始めとした強者を倒すという満たされぬ欲求を」

斎藤「自分より弱い人間をなぶり殺すことで晴らしてきたわけか」

ヒソカ「!」

斎藤「クロロ=ルシルフルが知らない?」

斎藤「あの男がそんな阿呆なわけないだろうが」

35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:20:28.09 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「おそらくお前の陳腐な自尊心などすでに見抜いている」

斎藤「その上であえて知らんふりして体よく利用しているんだ」

斎藤「お前が幻影旅団にいた時も、抜けた今もな」

ヒソカ「…………!」

ヒソカ「う、うるさい!!!」バッ

“薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)”で黒くなったハンカチが、斎藤の顔を覆う。

ヒソカ「これでもう前が見えないだろ?」

ヒソカ「しかも、キミの両足には“伸縮自在の愛(バンジーガム)”をくっつけてある◆」

ヒソカ「つまりキミは視界を遮られ、牙突も撃てないってわけ◆」

ヒソカ「これでもまだ減らず口を叩けるのかい?」

36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:24:24.06 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「…………」

ヒソカ(ククク……◆)

ヒソカ(暗闇の中で、たっぷり恐怖してもらうよ◆)

ヒソカ(最後はボクのトランプで首をかっ切ってあげよう◆)

ヒソカ(これでこの不愉快な戦いは、お死枚◆)チャンチャン

斎藤「…………」

37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:29:42.49 ID:GN9LDTJt0.net
ギュアッ!

ヒソカ「!?」



斎藤から放たれた一撃が、ヒソカの上半身を下半身と分断し、吹き飛ばした。

そのまま壁に叩きつけられるヒソカ。



ズドォッ!!!

ヒソカ「ごふっ……!」

ヒソカ「な、なんだ……? 今のは……牙突、かい……?」

39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:32:37.93 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「牙突には幾つかの型分けがあってな」

斎藤「通常の“壱式”、斜め上から突き下ろす“弐式”、対空迎撃用の“参式”」

斎藤「そして今のが奥の手」

斎藤「間合いのない密着状態から上半身のバネのみで繰り出す“零式”」

斎藤「いずれ抜刀斎と決着をつける時のためのとっておきだ」

斎藤「光栄に思え」

41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:36:59.48 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「しくじったねェ……◆」

ヒソカ「クロロならいざ知らず、キミなんかに殺られちゃうなんて……◆」

ヒソカ「こ、こんなはずじゃ、なかったんだけどねェ……◆」

斎藤「“惨め”だな」

斎藤「クロロ=ルシルフルに闘わずして負けた時」

斎藤「お前は念能力を封印し、闘いそのものをやめるべきだった」

斎藤「それを形だけでも取り繕おうと虚栄を張ったのが、そもそもの間違い」

42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:42:23.57 ID:GN9LDTJt0.net
斎藤「己の信念を貫けなかった男など──死んでも生きてても惨めなものだ」

斎藤「正真正銘、ただの道化だ」

ヒソカ「キ、キミってやつは……」

ヒソカ「どこまでも……容赦しないヒトだ、ねェ……◆」ゴプッ…

斎藤「なんだ、慰めの言葉でもかけてもらいたかったのか?」

ヒソカ「クク……そんなわけ、ないだろ……◆」

44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/08/12(火) 01:49:12.18 ID:GN9LDTJt0.net
ヒソカ「自分の道をまっすぐ歩く……ってカンタンそうで……」

ヒソカ「とっても難しいねェ……◆」

ヒソカ「キミは……これから先、“悪・即・斬”を……」

ヒソカ「どこまで……貫ける、か、な……◆」



斎藤「無論、死ぬまで」






                                   ~ 完 ~