23 :名無しで叶える物語(やわらか銀行) :2014/09/17(水) 01:57:06.55 ID:YZvUAcXQ
――真姫の家


テレビ『街でウワサのケーキ屋さん特集!』

真姫「あっ……」ピタ

真姫「……たまにはいい番組やってるじゃない」


テレビ『甘味と酸味のバランスが~』


真姫「フムフム」ジリジリ

真姫「……」ベッタリ



まきママ「……真姫、目が悪くなるわよ」


真姫「」ハッ

真姫「あっ! 録画しなきゃ!」ゴソゴソ


テレビ『調和していて、スポンジは軽くて~』

テレビ『バースデーケーキや、大切な人への……』


真姫「……」コクコク

真姫「……」メモメモ


まきママ(どうしたのかしら?)

24 : 名無しで叶える物語(やわらか銀行) :2014/09/17(水) 01:58:05.92 ID:YZvUAcXQ
――ある日の帰り道


穂乃果「練習つかれたねー」テクテク

真姫「……」テクテク


穂乃果「おなかすいたなー」テクテク

真姫「!!」ビクッ


穂乃果「誰か誘ってクレープでも……財布は」ゴソゴソ

穂乃果「あれ、お金ないや」シュン


真姫「ほ、穂乃果っ!」

穂乃果「?」


真姫「わ、私ね、その……」クルクル

真姫「このまえ散歩してたら、ぐ、偶然、おいしそうなケーキ屋見つけてね」イジイジ

真姫「入ろうかしら……って思ったんだケド、なんか1人じゃ入りにくくてね」クルクル

真姫「だから、その……よかったら付き合って、クレナイカシラ……///」


穂乃果「え? でも……」


真姫「無理矢理つきあわせるお礼におごってあげるからぁっ!///」カァァッ


穂乃果「いいのー!?」

穂乃果「やったぁ! わーい!」ピョンピョン


真姫(穂乃果カワイイ……勇気出してよかった……///)

25 : 名無しで叶える物語(やわらか銀行) :2014/09/17(水) 01:58:42.01 ID:YZvUAcXQ
――ケーキ屋


穂乃果「わっ、人いっぱい並んでるー」


真姫「そうみたいね……」

真姫「……ごめんなさい」シュン

穂乃果「え?」


真姫「穂乃果、お腹へってるでしょ?」

真姫「あっちにクレープ屋さんあるから……そっちに」


穂乃果「もぉ~、真姫ちゃん何言ってるの? せっかく来たのに」

穂乃果「ふたりで並べばこんなのすぐだよっ!」

穂乃果「待ってるあいだ、ふたりでおはなししよっ?」にこっ


真姫「……っ///」カァアッ

真姫「そ、そうね……///」クルクル

26 : 名無しで叶える物語(やわらか銀行) :2014/09/17(水) 02:00:28.38 ID:YZvUAcXQ
穂乃果「――それでねー、うちの雪穂がさー」キャッキャッ♪





真姫(列は少しずつ……ううん、あっという間に進んでいく)

真姫(入り口のドアが近づいてくるにつれて、なんだか……)

真姫(私、少しだけ……『さびしい』って感じてる)


真姫(イミワカンナイ……)

真姫(穂乃果とケーキ屋さんに来たかったはずなのに……今は)


真姫(『この時間が、ずっと続けばいいのに』って――そう思っちゃってる)

27 : 名無しで叶える物語(やわらか銀行) :2014/09/17(水) 02:21:20.22 ID:YZvUAcXQ
――店内

穂乃果「わっ! このイチゴショートすごくおいしー!」


真姫(やっぱりイチゴが好きなのね)

真姫(穂乃果、幸せそうな顔……よかった)

真姫(私も、幸せ……///)ぽかぽか


穂乃果「真姫ちゃんのイチゴタルトもひとくちちょーだい!」

真姫「え? いいけど……はいお皿」


穂乃果「ん」アー…

真姫「え……?」


穂乃果「あーんして」アー…

真姫「っ!?///」ドキッ

28 : 名無しで叶える物語(やわらか銀行) :2014/09/17(水) 02:25:51.03 ID:YZvUAcXQ
穂乃果「はやくぅ」アー…

真姫「っ……///」プルプル


パクッ


穂乃果「――ん~、こっちもおいしー!」モグモグ

真姫「そ、そう……///」ドキドキ


真姫(急にやめてよ! 心の準備とかいるんだから!!)

真姫(ドキドキしちゃうデショォォォォオ!?///)ドキドキドキ




穂乃果「はい、真姫ちゃん」

スッ

真姫「え?」

穂乃果「はい、おかえし! あーんしてっ!」にこっ

真姫「っ!?///」ドキッ


真姫「ベ、ベツニワタシハ…!///」アセアセ

穂乃果「いいからいいから」グイッ


穂乃果「あ~ん」


真姫「あ、あー……んむ///」パクッ


30 : 名無しで叶える物語(やわらか銀行) :2014/09/17(水) 02:47:11.38 ID:YZvUAcXQ
真姫「……///」モキュモキュ



穂乃果「まきちゃんおいし?」にこにこ

真姫「……アマイ」


穂乃果「えへへっ」

真姫「……///」


48 : 名無しで叶える物語(庭) :2014/09/21(日) 12:22:42.39 ID:eT8s9Idv
真姫「土日は穂乃果にあげるケーキを作るわ」

~夜中~

真姫「この時間なら料理人さんにも見つからないでしょうし」コソコソ ドキドキ

真姫「ふふ。この真姫ちゃんが作ったケーキをあげれば、きっと穂乃果も喜んでくれるわ」ニヤニヤ

真姫「まずは、卵を泡立てるのね」スマホ

真姫「う~ん、ハンドミキサーはどこにあるか分からないわね・・・」ゴソゴソ

真姫「普通の泡立て器でかきまぜましょう」カチャカチャカチャ

~10分後~

真姫「ふぅ、ふぅ、も、いいでしょう・・・。もったりしてきたから、粉を入れるわ」ガサーッ

真姫「お、重いぃ~! 疲れて力が入らない・・・」ガクガクガク シャッシャッ

真姫「ふぅぅ・・・とりあえず生地が混ざったわ。次はこれをオーブンで焼くのね」バタン ジーッ

真姫「・・・うふ、いい匂いがしてきた♪」ニヤニヤ

真姫「やっぱり私ったら天才ね! はじめてでもケーキだって作れちゃうんだわっ!!」ピョーン

49 : 名無しで叶える物語(庭) :2014/09/21(日) 12:25:43.94 ID:eT8s9Idv
~30分後~

真姫「そろそろ時間よね・・・もうこれ以上は焦げそうだし・・・」カタン

真姫「ど、どうしよう・・・生地がぜんぜんふくらまなかったわ・・・」ペシャ

真姫「たぶん、かきまぜるときにあまり空気が入らなかったのかしら・・・」グスッ

真姫「ンッ・・・ヤダ。こんなことで泣いたりしない」キッ

真姫「ペラペラだけど、切って重ねればいいんだわ。クリームやフルーツを挟んで・・・」

真姫「・・・よし。生地を冷ます間に、クリームを作りましょう」カチャカチャ

~10分後~

真姫「ハァ、ハァ、手、いたい・・・もう、握っていられないわ・・・」ガタガタガタ

真姫「でもまだ、クリームが固くなってない・・・今度こそ、失敗はできないわ・・・」

真姫「穂乃果に食べてほしいんだから・・・そうよ、私のケーキで、穂乃果のあの笑顔が見たいの」

真姫「・・・」カチャカチャカチャカチャ

50 : 名無しで叶える物語(庭) :2014/09/21(日) 12:33:05.95 ID:eT8s9Idv
~5分後~

真姫「・・・ふふ、ふ。うふ、いいんじゃない?」ニタァ

真姫「ちゃんとツノが立つわ。売りもののクリームみたい!」チョン

真姫「ぺろっ。うん、甘い!おいしいわ!」ヤッタア!

真姫「えへへ、これをさっきの生地に乗せて、周りにも塗って・・・」

真姫「わぁ~、できたわ。 私のはじめてのケーキ・・・」

真姫「ほんとうはみんなにも食べてほしかったけど、こんなに小さくなってしまっては無理ね」

真姫「今度はもっと大きいのを作りましょう」

真姫「・・・それに、やっぱり素直に料理人さんに教えてもらうのがいいわね」アシタハペンガニギレナイワ

真姫「でも、すごく疲れたけど、すごく幸せな気持ち」


53 : 名無しで叶える物語(庭) :2014/09/21(日) 12:39:07.19 ID:eT8s9Idv
~翌日 昼休み~

真姫「ホノカ、ちょっと来て」グイ

穂乃果「真姫ちゃん! どうしたの?」

海未「真姫・・・。ためらいなく上級生の教室に入ってくる度胸には、恐れ入りますね」

ことり「うふふ♪ 真姫ちゃんには穂乃果ちゃんしか見えてないみたいだね」

真姫「海未、ことり・・・ごめんなさい。二人には、今回は内緒にしたいの」

真姫「穂乃果だけを連れて行ってもいいかしら」

ことり「ふふ、いいよ♪」

海未「ことり・・・。まぁ私も異論はありません。今度おしえてくださいね」

真姫「ええ。きっと、必ず」

真姫「それじゃあ」グイッ

穂乃果「ちょ、待ってぇ~! ひきずらないでぇ!」ズルズル



55 : 名無しで叶える物語(庭) :2014/09/21(日) 12:44:56.58 ID:eT8s9Idv
~屋上~

真姫「ごめんなさいね。急にこんなところに連れてきて」カミノケクルー

穂乃果「いいよ♪ ところでそのクーラーボックスはなぁに?」ワクワク

真姫「実は、あなたのためにケーキを作ったの」パカッ

真姫「はい。どうぞ」ドキドキ・・・ スッ

穂乃果「えっ!? うわあ~、かわいいっ! 苺ショートだあ!!」パアアッ!

真姫「えへ・・・」ポカポカ

穂乃果「でも、どうして? 何かの記念日だったっけ」

真姫「それは・・・私が作りたかったの」

真姫「この間のお店で、穂乃果がとてもおいしそうにケーキを食べていたから・・・」カアア

穂乃果「えええっ!? それで、わざわざ作ってクレチャッタノォ!?」スピョーン

真姫「そうよっ! モォ、いいから食べなさいよ~!」グイグイ

穂乃果「わわっ、わかったよっ! それじゃあ、いただくね」モグモグ

56 : 名無しで叶える物語(庭) :2014/09/21(日) 12:52:20.52 ID:eT8s9Idv
真姫「ど、どう・・・?」ドキドキドキドキ

穂乃果「んふ♪ ん・・・」モグモグモグ ジワッ・・・

穂乃果「んん・・・。うん・・・」ゴックン ポロッ

真姫「ご、ごめんなさいッ! どこか、いけなかったかしら! 私、ケーキなんて初めてで、」

穂乃果「ううん、違うの。ごめんね・・・。とても、おいしかったよ」ダキッ

穂乃果「真姫ちゃん。すごく、がんばったんだね。ありがとう・・・」ギュッ

真姫「ホノカ! でも、あなた、泣いて・・・本当は、おいしくなかったんでしょう?」グスッ

穂乃果「ううん。それは、この間のお店と比べたら、クリームもすごく甘いし、スポンジはギュッて固かったし」

穂乃果「でも、とても手作りの味がしたの。真姫ちゃんが一生懸命つくったんだなぁってことが、すごく伝わってきたよ」

穂乃果「穂乃果が食べた中でも、一番おいしかったよ。ありがとう」

57 : 名無しで叶える物語(庭) :2014/09/21(日) 12:55:40.02 ID:eT8s9Idv
真姫「ホノカ・・・ありがとう・・・」

真姫「ありがとう・・・」ポロポロ

穂乃果「・・・えへへ。 ねぇ、穂乃果もなにか、真姫ちゃんに作ってあげたくなっちゃった」

真姫「ヤダ・・・そんなつもりでやったんじゃないのよ」ゴシゴシ

穂乃果「ううん。これは、私からのお礼だよ。素敵な気持ちをくれた真姫ちゃんに」

真姫「そう・・・? ふふ、でも、穂乃果の作ってくれるものなんて、とても楽しみだわ」ニコッ

穂乃果「よかったぁ・・・うん! 穂乃果も頑張るよ!!」ニッコリ

真姫「穂乃果・・・」

真姫(思っていたのとはちょっと違ったけど、穂乃果はにっこり笑ってくれた)

真姫(穂乃果の笑顔は、やっぱりかわいい)