1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:02:04.76 ID:oOcpzjeFM.net[1/12]
狼「なんだい。赤ずきんや」
赤ずきん「どうしておばあさんのお耳は、そんなに大きいの?」
狼「これはね、お前の声が良く聞こえるようにだよ」
赤ずきん「そうなの」
狼「そうだよ」
赤ずきん「どうしておばあさんのお口は、そんなに大きいの?」
狼「それはね。……お前を食べるためさ!」ガバッ
赤ずきん「>>5」
5 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:05:41.74 ID:EZNi6GUs0.net
キャオラッッ
9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:08:31.40 ID:oOcpzjeFM.net[2/12]
赤ずきん「キャオラッッ」
狼「……っ!?」
赤ずきんの放った蹴りは、狼の頬スレスレをかすめた。
赤ずきん「……わざと外してやったが、次はもうないものと思え」
トントンとつま先で軽く跳び、赤ずきんは構える。
狼「>>11」
11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:12:14.54 ID:KLLD6mis0.net
狼牙風々拳
12 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:16:42.12 ID:oOcpzjeFM.net[3/12]
狼「狼牙風々拳」
呟くように言うと、狼は滅茶苦茶に殴打と蹴撃を繰り出した。
赤ずきんはそれを鼻で笑い跳躍し、渾身の回し蹴りを狼の胸部に叩き込む。
狼「がふっ……!?」
壁を突き破り、狼は屋外へと投げ出された。
赤ずきん「ふん……。狼牙風々拳は武術を極めた人間ならではの技。
狼である貴様に扱えるわけがない」
狼が開けた大穴から外へ飛び出すと、
赤ずきんはとどめの>>14を狼に向けて放った。
14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:24:22.91 ID:5o7OceWt0.net[1/2]
すごいぱんち(あいてはしぬ)
15 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:27:40.91 ID:oOcpzjeFM.net[4/12]
赤ずきん「すごいパァンチ!」
狼「……ッ!」
仰向けに倒れる狼の腹部に、赤ずきんの拳がめり込んだ。
爆炎のごとき砂埃が舞い、視界が一瞬で失せる。
赤ずきん「他愛のない」
おもむろに頭巾を脱ぐと、赤ずきんは狼の血で汚れた拳をそれで拭った。
17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:30:14.18 ID:oOcpzjeFM.net[5/12]
赤ずきん「ひとつ、答えろ」
砂埃が晴れ、大きく抉れた地面に横たわる狼の姿が浮かび上がる。
赤ずきん「おばあさんはどこだ」
か細い呼吸を繰り返す狼に、赤ずきんは氷のように冷たい声を吐いた。
赤ずきん「どこだ。答えろ」
狼「>>19」
19 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:33:59.87 ID:beOrLtM10.net[3/3]
滋賀
21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:37:06.12 ID:oOcpzjeFM.net[6/12]
赤ずきん「滋賀……」
それはどこ?
言いかけて、赤ずきんはその言葉を飲み込んだ。
地理に疎いことを狼にばれるのが、なんだか気恥ずかしかったからだ。
赤ずきん「なるほどね……、おばあさんは滋賀に……」
虫の息で横たわる狼を置いて、赤ずきんは>>23で滋賀に向かうことにした。
23 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:41:53.24 ID:79wnieeL0.net
ホバーボード
24 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:45:53.49 ID:oOcpzjeFM.net[7/12]
赤ずきん「こっちの準備はOKよ!」
狼「それじゃあ発進」
ぶるるるるるる。
独特のエンジン音を奏で、狼の所有するモーターボートが海上をゆっくりを進みだした。
狼「つーかそれ独立して走れるんだから、俺いらないんじゃないの?」
赤ずきん「途中で転んだらどうするのよ! サポートは任せたからね!」
狼「それならこっちに乗ればいいのに……」
25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:48:30.97 ID:oOcpzjeFM.net[8/12]
赤ずきん「滋賀!」
狼「まだここは福井だよ。滋賀まではもうちょっと」
赤ずきん「なんでわざわざ福井経由するのよ!」
狼「君が飛行機嫌がるからでしょう……。滋賀まですぐだから」
赤ずきん「まったく! 使えないわね!」
狼「……」
27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:50:23.40 ID:oOcpzjeFM.net[9/12]
赤ずきん「今度こそ滋賀!」
狼「そうだね」
赤ずきん「おばあさんはどこ!?」
狼「琵琶湖だよ」
赤ずきん「琵琶湖!? 鳥人間コンテストで有名な!?」
狼「うん」
赤ずきん「ああ。うちのおばあさん鳥人間だものね」
狼「そうだね」
28 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:51:51.57 ID:oOcpzjeFM.net[10/12]
赤ずきん「おばあさん!」
おばあさん(鳥人間)「赤ずきんや!」
二人は抱きしめ合った。感動の再開である。
狼「へへっ……。歳取ると涙もろくなっていけねぇや」
狼の目には光るものがあった。
赤ずきん「ところで。おばあさんはなんで琵琶湖へ?」
おばあさん「それはね。>>30だからだよ」
30 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:55:04.69 ID:aPTFhVX+0.net[2/2]
存在
31 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:57:34.48 ID:oOcpzjeFM.net[11/12]
赤ずきん「存在?」
おばあさんは何を言っているんだろう。
赤ずきんの頭にたくさんの疑問符が湧いた。
赤ずきん「存在って……。どういうこと?」
そのまま、質問にしてぶつける。
おばあさんは無表情のまま口を開いた。
おばあさん「私が琵琶湖に来たわけじゃないんだよ。
私はね、琵琶湖そのものなんだよ」
赤ずきん「なんですって……!?」
32 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/09(火) 23:59:14.66 ID:oOcpzjeFM.net[12/12]
赤ずきんは当惑した。
よく考えれば、おばあさんはかなりの高齢である。
妄言の類が始まっていてもおかしくはないのだ。
赤ずきん「おばあさん……。何を言っているのよ……」
無表情で佇むおばあさんに、赤ずきんは恐怖を感じていた。
琵琶湖そのもの……?
赤ずきん「どういうことなのよ……」
33 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:00:38.19 ID:QFzFjNK8M.net[1/23]
狼「危ない! 赤ずきん!」
狼の声で我に返った。
赤ずきんはその身を伏せる。
赤ずきん「うわ……っ!」
突如風を感じ、周囲の木々がなぎ倒された。
赤ずきん「おばあさんっ!!!」
鳥人間のおばあさんが、羽を広げて上空を舞っていた。
35 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:03:00.89 ID:QFzFjNK8M.net[2/23]
おばあさん「分からないのも無理が無いだろうねぇ……」
赤ずきん「ぐう……っ!」
狼「……っ」
おばあさんを中心に、とてつもない突風が巻き起こっていた。
琵琶湖の湖面は時化の海上のようだったし、
緑樹は台風の直撃を受けたかのように薙いでいた。
おばあさん「私は”存在”しているんだよ。この場、この時にね……」
赤ずきん「おばあさん……っ!」
36 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:05:19.92 ID:QFzFjNK8M.net[3/23]
狼「話し合いが通じる相手じゃねぇ! ここはいったん引いて……」
言いかけた狼を、赤ずきんが強いまなこで制した。
赤ずきん「退いてどうするのよッ!? あれは……、あそこにいるのは……。
私のおばあさんなのよッ!!!」
狼「赤ずきん!」
必死に叫ぶ狼の制止も聞かず、赤ずきんは嵐の渦中へと飛び込んでいった。
おばあさん「おいで……、赤ずきん……。私の孫よ……」
赤ずきん「そこで待っていろッ! おばあさんッ!!!」
37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:08:36.91 ID:QFzFjNK8M.net[4/23]
狼「なんだよ……、ありゃあ……」
呟くように言った狼は、驚愕に目を大きく見開いていた。
赤ずきんの背中に、何やら巨大な白いものが見える。
おばあさん「おやおや……。お前も目覚めたようだねぇ……」
赤ずきん「この穢れた血筋……! 私の代で終わらせてやる……!」
琵琶湖の上空。
吹き荒れる嵐の中で笑う、鳥人間のおばあさん。
そこへと飛び立つ赤ずきんは、
背中で天使の白い羽をはばたかせていた。
38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:11:24.42 ID:QFzFjNK8M.net[5/23]
おばあさん「あんまり子供が調子に乗るもんじゃないねぇ……」
赤ずきん「くっ……!」
おばあさんが力強く羽を振ると、あたりにいくつもの竜巻ができた。
赤ずきんはそれに飲まれないよう、必死に翼を動かし続ける。
おばあさん「天使と鳥人間。どちらが強いか、ここではっきりさせようじゃないかッ!」
赤ずきん「ああっ!」
おばあさんが大きく目を剥くと、赤ずきんは荒波の琵琶湖へと真っ逆さまに落ちていった。
狼「赤ずきんーーーっ!!!」
39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:14:56.61 ID:QFzFjNK8M.net[6/23]
私はここで死ぬのだろうか。
湖面が、白く泡立つ波が、眼前へと迫る。
暴風の中で、自分の翼は役に立たないようだった。
どう羽ばたいても落ちるスピードは変わらなかったし、
何より生えたばかりの翼は、あまり言うことを聞いてくれない。
ここまでか。
諦めかけた赤ずきんは、誰かの声を聴いた気がした。
懐かしいような、そうでないような。
赤ずきん「……こんなところで、死ぬわけにはいかない」
生と死のはざまの中で、赤ずきんは>>41の能力に目覚めていた。
41 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:17:43.33 ID:yuC7D49h0.net[1/3]
滋賀県の県庁所在地を彦根にする
43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:20:45.99 ID:QFzFjNK8M.net[7/23]
おばあさん「うふふふふ……。こんなものか、赤ずきん……」
赤ずきん「どこを見ているの!? 私はここよ!」
おばあさん「何ィ!?」
はるか上空で笑うおばあさん。
その、さらに上。
大きな白い翼をはためかせて、赤ずきんは不敵な笑みを浮かべていた。
赤ずきん「今、滋賀県の県庁所在地は彦根になった……。
ここからは……、私の番よ!」
おばあさん「そんな……、馬鹿な……っ!」
44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:24:16.04 ID:QFzFjNK8M.net[8/23]
おばあさん「そんな……。滋賀県の県庁所在地は大津のはず……。
ああ……、私の法則が……、私の”存在”が乱れる……」
頭を掻きむしりながら、おばあさんは呻くように呟いた。
そこに向け、赤ずきんは全力で突進する。
ポールスター
赤ずきん「”永久不滅の座標点”! それが私の能力よ!」
力なくうなだれるおばあさんの腹部を、赤ずきんは右の拳で貫いた。
赤ずきん「……覚えておきなさい」
45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:26:25.73 ID:QFzFjNK8M.net[9/23]
狼「赤ずきん! 大丈夫か!」
嵐がおさまり、凪のようになった琵琶湖のほとりを、狼が不恰好に駆けてきた。
赤ずきんは、血に染まった拳を頭巾で拭いながら、憔悴しきった顔に笑みを浮かべる。
赤ずきん「ええ、なんとかね……」
狼にそう答えながら、湖面に浮かぶおばあさんを振り返る。
赤ずきん「さすが私のおばあさん。恐ろしい、相手だったわ」
48 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:28:25.14 ID:QFzFjNK8M.net[10/23]
赤ずきん「あっ……」
狼「赤ずきん!」
ふらりとよろめき、地面に膝をついた赤ずきんに、
狼が必死に駆け寄った。
赤ずきん「ふふ……、無様ね……」
今さらになって恐怖がこみ上げてきたのか、
赤ずきんの足は、ガクガクと震えていた。
49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:31:09.27 ID:QFzFjNK8M.net[11/23]
赤ずきん「どうしたの? 狼……」
自身の肩に手を乗せた狼が、何やら呆然と琵琶湖を眺めているのに気付いた。
赤ずきん「何か見つけ」
言いかけ、琵琶湖へと視線を送った赤ずきんは、狼同様固まってしまう。
そんな馬鹿な。
あれを食らって、生きているわけがない。
赤ずきん「あ……、ああ……」
震えがさらに激しくなった。
湖面に浮かぶ影に、心中を占める感情は絶望。純粋な絶望だった。
おばあさん「赤ずきん……。よくもやってくれたね……」
50 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:34:39.59 ID:QFzFjNK8M.net[12/23]
大きく開いた腹部の孔から、大量の血液と湖水を垂れ流しながら、
ゆらゆらと体を揺らめかせて、おばあさんが羽音をたてさせ湖上に浮いていた。
おばあさん「次はこうはいかないよ……。悪ガキにはお仕置きをしないとねぇ……」
赤ずきん「ひっ……、ひっ……」
もう悲鳴も上げられなかった。
身体は震え、顔は雪のように、白い。
狼「に……、逃げるぞ……」
お互いに震える手を取り合いながら、狼と赤ずきんは立ち上がる。
おばあさんはそんな二人を見て、邪悪な笑みに顔を歪ませた。
おばあさん「誰が逃がすものかい……。私の能力>>53……、受けて、死んでおいきよ……」
56 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:41:19.51 ID:QFzFjNK8M.net[13/23]
赤ずきん「に、逃げない……」
ガクガクと震える足を手で押さえ、赤ずきんは大きく翼を広げた。
赤ずきん「私は……、絶対にもう……、逃げない……」
大きく羽ばたき、中空へと舞う。
狼「赤ずきん!」
伸ばした手は届かなかった。
赤ずきんはおばあさんへ向け、翔ぶ。
赤ずきん「絶対にもう! 逃げない!」
おばあさん「馬鹿な子だねぇ……」
57 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:44:12.40 ID:QFzFjNK8M.net[14/23]
赤ずきん「!?」
何が起きたのだろう。
急に、身体が鉛のように重くなった。
赤ずきん「がぼっ!?」
苦しい。
湖面に激しく衝突し、口から鼻から水が入り込んでくる。
おばあさん「うふふふふ……。さっきのお返しだよ……」
激しく泡立つ湖を見て、おばあさんは笑う。
アクイノカタマリ
おばあさん「”善意の欠片”……。もっと人気が出るようにって、マスコットを変えてやったよ……」
相変わらず、赤ずきんの落ちた場所から白いあぶくが立つ。
おばあさん「ひこにゃんを……、あずにゃんにねぇ……」
60 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:46:44.36 ID:QFzFjNK8M.net[15/23]
狼「なんだって……!?」
おばあさんの言葉に、狼は自分の耳を疑った。
ひこにゃんを……、あずにゃんにだと……?
いくらBDBOXが出たばかりとはいえ、知名度でははるかにひこにゃんに劣るはずだ。
それを、なぜ……。
狼の頭は混乱し、思考は迷走を繰り返していた。
おばあさん「うふふ……。滋賀県の未来は……、あずにゃんにかかっているんだよ……」
湖面がひときわ大きく泡立ち。
そして。静かになった。
61 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:50:02.26 ID:QFzFjNK8M.net[16/23]
絶望。悲観。恐怖。
狼の心中は、あらゆる負の感情で埋め尽くされていた。
赤ずきんも殺られた。
眼前の敵に、打つ手立てはない。
がっくりとうなだれ、狼は自分の死を待つことしかできなかった。
おばあさん「うふふふふふふふ……。素直な子は好きだよ。
あずにゃんとともに、心中するがいい」
ばさり。
羽音を立てて、悪魔が近づいてきた。
63 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:52:48.64 ID:QFzFjNK8M.net[17/23]
狼「?」
おかしい。
急に静かになった湖面に、違和感を覚えた狼が顔を上げた。
相変わらず、おばあさんは湖上に浮かんでいる。
その足元。
奇妙なものを狼は見つけた。
呆然自失といった狼の表情が、ひきつった笑みへと変わる。
狼「はっは! やってくれるぜ、あの野郎……!」
おばあさんの足首を、何者かの手が掴んでいた。
64 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:55:35.37 ID:QFzFjNK8M.net[18/23]
ざばぁん!
大きな波音を立てて、天使が湖上へと舞い戻った。
おばあさん「なんで……、お前が……」
口を開くたび、腹部の孔がゴボゴボと音を立てる。
赤ずきんは不敵に笑いながら、それを眺めていた。
赤ずきん「いいじゃない……。あずにゃんでも……」
力強く拳を握りしめ、叫ぶ。
赤ずきん「年寄りがッ! あまり舐めるなよ、オタク文化をッ!」
65 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 00:58:54.06 ID:QFzFjNK8M.net[19/23]
おばあさんは奇妙な感覚にとらわれていた。
眼前で叫んでいる人間は、一人のはずだ。
しかし。
赤ずきん「毎クールごとに嫁が変わる!? はっ! ふざけないで!
私はね、変わらないわよ! 自信をもって言えるわ!
いつなんどきでも、一人のキャラを愛し続けると!」
その背後に。
何人もの人影が見える。
……いや。
それは、何十、何百。千、万、億のうねりとなって、おばあさんへと襲い掛かった。
赤ずきん「あずにゃんも、唯も律ちゃんもムギも澪も! 全員まとめて私の嫁よッ!」
66 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 01:01:55.21 ID:QFzFjNK8M.net[20/23]
おばあさん「馬鹿な……。もう5年も前の……、旬を過ぎたアニメのはず……」
その身をボロボロと崩しながら、おばあさんは呻いた。
赤ずきん「旬を過ぎた、ですって?」
静かに笑い、そして赤ずきんは言った。
赤ずきん「そんじょそこらのにわかと一緒にしないで。
私は毎年、みんなの誕生日を祝っているわよ」
キラキラと輝く光に飲まれながら、おばあさんも笑みを浮かべたように見えた。
赤ずきん「それこそ赤ずきんちゃんのように、時代を超えて愛されていくものなの」
67 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 01:04:36.07 ID:QFzFjNK8M.net[21/23]
狼「大丈夫か!」
おばあさんが完全に消滅するのを確認してから、狼は赤ずきんに駆け寄った。
冷笑を浮かべ、赤ずきんは狼を睨む。
赤ずきん「あんた何もしてないじゃない。来た意味あったの?」
狼「それは……」
無理矢理連れてこられて文句を言われる筋合いはないのに。
狼はやや憤慨していた。
赤ずきん「はぁ。役立たずは胃袋に石を詰めて、湖に沈めてやろうかしら」
狼「それは絶対にやめて」
なんだか本当にそういうオチにされそうなので、狼は必死に懇願するのだった。
68 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/12/10(水) 01:08:23.72 ID:QFzFjNK8M.net[22/23]
狼「やめてって言ったじゃん! なんで詰めるの!?」
赤ずきん「うるっさいわね! これしか思いつかなかったのよ!」
掻っ捌いた狼の腹腔から、ぎゅうぎゅうと石を詰めながら赤ずきんは叫ぶ。
赤ずきん「ちょうどいいじゃない! 湖もあるんだし!」
狼「やだやだやだやだぁ!」
どぼぉん!
赤ずきんが蹴り落とすと、狼は水底へと沈んでいった。
ぶくぶくと泡立つ湖面も、しばらくすると静かになった。
赤ずきん「これにて、一件落着ね」
尊い命を犠牲にして、一つの話が完結するのだ。
静かな湖畔に、赤ずきんの高笑いが、いつまでもいつまでも響いていた。
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