1: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:09:59.82 ID:0v+4uQkno
ポルノグラフィティの『カルマの坂』を今更小説風にしたものです。
何番煎じだって感じです。
小説風なので地の文が多いです。
というか8~9割地の文です。
短いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420535399
何番煎じだって感じです。
小説風なので地の文が多いです。
というか8~9割地の文です。
短いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420535399
2: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:11:07.21 ID:0v+4uQkno
ある時代、ある場所
乱れた世の片隅に、ひとりの少年がいた。
少年は生きるため、盗みを覚えていった。
もちろん、少年としても好き好んでこのような事をしているのではない。
全ては『生きるため』である。
醜く太った大人達などには、少年に追いつく事は出来ない。
風のように少年は走る。
今この空腹を満たすため、生きるために、ただ走る。
乱れた世の片隅に、ひとりの少年がいた。
少年は生きるため、盗みを覚えていった。
もちろん、少年としても好き好んでこのような事をしているのではない。
全ては『生きるため』である。
醜く太った大人達などには、少年に追いつく事は出来ない。
風のように少年は走る。
今この空腹を満たすため、生きるために、ただ走る。
3: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:11:46.68 ID:0v+4uQkno
「このリンゴ貰ってくよ!」
「おい、ガキ!待ちやがれ!!」
「へへっ、捕まるもんか」
少年の清らかな心は、穢れることなく罪を重ねていった。
生きるために盗む
盗まなければ生きられない
だから盗む
そんな少年を、誰が責めることが出来ようか。
「おい、ガキ!待ちやがれ!!」
「へへっ、捕まるもんか」
少年の清らかな心は、穢れることなく罪を重ねていった。
生きるために盗む
盗まなければ生きられない
だから盗む
そんな少年を、誰が責めることが出来ようか。
4: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:12:34.46 ID:0v+4uQkno
昼間は盗みをはたらき、夜は路地裏で一人うずくまって眠る。
そんな暮らしをしていた少年は、いつしかこう考えるようになっていた。
―――天国はもちろん、地獄にだって喜んで行ってやる。
ここよりマシな暮らしが出来るならね。
「人は皆平等だなんて、どこのペテン師のセリフだか知らないけどさ」
それが少年の口癖だった。
そんな暮らしをしていた少年は、いつしかこう考えるようになっていた。
―――天国はもちろん、地獄にだって喜んで行ってやる。
ここよりマシな暮らしが出来るならね。
「人は皆平等だなんて、どこのペテン師のセリフだか知らないけどさ」
それが少年の口癖だった。
5: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:13:37.65 ID:0v+4uQkno
――――――――――――――――――――
「こらアンタ、そのパンを返しなさい!」
甲高い声を背に受けながら、少年は走っていた。
(あの行列は何だろう?)
大きな行列とすれ違った。
どうやらこの街一番の金持ちが率いているようだ。
(金持ちはみんな一緒だな。
醜くブクブク太って、趣味の悪い宝石を身に着ける)
「こらアンタ、そのパンを返しなさい!」
甲高い声を背に受けながら、少年は走っていた。
(あの行列は何だろう?)
大きな行列とすれ違った。
どうやらこの街一番の金持ちが率いているようだ。
(金持ちはみんな一緒だな。
醜くブクブク太って、趣味の悪い宝石を身に着ける)
6: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:14:24.86 ID:0v+4uQkno
ふと、その行列の中のある少女に目を奪われた。
「うわぁ…」
思わず声を漏らしてしまう程に、少女は美しかった。
(俺と同い年くらいか?
とても美しい子だけど、格好が綺麗ではないし手も縛られている…
どこかの街から売られてきた奴隷なのかな)
そんなことを考えながら行列に着いていく。
果物や宝石など、様々なものを運びながら行列は進む。
「うわぁ…」
思わず声を漏らしてしまう程に、少女は美しかった。
(俺と同い年くらいか?
とても美しい子だけど、格好が綺麗ではないし手も縛られている…
どこかの街から売られてきた奴隷なのかな)
そんなことを考えながら行列に着いていく。
果物や宝石など、様々なものを運びながら行列は進む。
7: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:15:05.53 ID:0v+4uQkno
その時、ほんの一瞬ではあるが、少女と目があった。
(…っ!?
俯いていてあまり良くは見えなかったけど、泣いていた?)
少女の眼には、さながら大粒の真珠のような涙が浮かんでいた。
そして、最悪の展開が頭をよぎる。
美しい奴隷の少女とそれを買った金持ちの男。
金持ちが少女をどのように扱うであろうかは、予想に難くなかった。
(…っ!?
俯いていてあまり良くは見えなかったけど、泣いていた?)
少女の眼には、さながら大粒の真珠のような涙が浮かんでいた。
そして、最悪の展開が頭をよぎる。
美しい奴隷の少女とそれを買った金持ちの男。
金持ちが少女をどのように扱うであろうかは、予想に難くなかった。
8: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:16:17.82 ID:0v+4uQkno
(そんな、信じられない…
信じたくない…
俺と歳も変わらないような子が?
やっぱり人は平等なんかじゃないじゃないか)
そうしているうちに金持ちの家に着き、行列は門の中に吸い込まれていった。
???少女を連れて。
信じたくない…
俺と歳も変わらないような子が?
やっぱり人は平等なんかじゃないじゃないか)
そうしているうちに金持ちの家に着き、行列は門の中に吸い込まれていった。
???少女を連れて。
9: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:17:16.55 ID:0v+4uQkno
「うわああああ!!!」
金持ちの家を見届けたあと、少年は叫びながら走った。
少女の身体にあの穢らわしい手が触れているのか――そう考えると、叫ばずにはいられなかった。
(絶対にあの子を救い出してやる)
心ではそう決めたが、少年はあまりに非力だった。
そして、少女は考えることを許されていなかった。
金持ちの家を見届けたあと、少年は叫びながら走った。
少女の身体にあの穢らわしい手が触れているのか――そう考えると、叫ばずにはいられなかった。
(絶対にあの子を救い出してやる)
心ではそう決めたが、少年はあまりに非力だった。
そして、少女は考えることを許されていなかった。
10: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:18:05.12 ID:0v+4uQkno
少年は神に尋ねた。
いや、神など居ないのかもしれないが、そんな事は今はどうでも良かった。
「なぜ、僕らだけは愛してくれないのですか」
いや、神など居ないのかもしれないが、そんな事は今はどうでも良かった。
「なぜ、僕らだけは愛してくれないのですか」
11: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:20:24.56 ID:0v+4uQkno
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夕暮れになるのを待って、武器商人から一本の剣を盗んだ。
それは少年にとって、初めての『生きるため』ではない盗みだった。
少女を生かすためだったのだろうか。
重たい剣を引きずりながら歩く。
向かう先は金持ちの家昼間見た少女がいるはずの場所。
今の少年の姿はあまりに痛々しく、いつもの姿とはかけ離れていた。
風と呼ぶには悲し過ぎるほどに。
少年が、カルマの坂を登っていく。
坂の上にある屋敷を目指す。
一歩一歩、カルマを踏みしめるように進んだ。
夕暮れになるのを待って、武器商人から一本の剣を盗んだ。
それは少年にとって、初めての『生きるため』ではない盗みだった。
少女を生かすためだったのだろうか。
重たい剣を引きずりながら歩く。
向かう先は金持ちの家昼間見た少女がいるはずの場所。
今の少年の姿はあまりに痛々しく、いつもの姿とはかけ離れていた。
風と呼ぶには悲し過ぎるほどに。
少年が、カルマの坂を登っていく。
坂の上にある屋敷を目指す。
一歩一歩、カルマを踏みしめるように進んだ。
12: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:22:37.74 ID:0v+4uQkno
「お前、なんの用だ?」
「…」
答えることなく唐突に剣を振るう。
「ぐああっ!」
断末魔の叫びをあげ、門番は動かなくなった。
何処かで悲鳴が聞こえた気がしたが、気にも止めない。
執事、メイド、コック――行く手を阻むものは容赦無く切った。
怒りと憎しみを切っ先に乗せ、剣を血で濡らしながら前に進む。
「…」
答えることなく唐突に剣を振るう。
「ぐああっ!」
断末魔の叫びをあげ、門番は動かなくなった。
何処かで悲鳴が聞こえた気がしたが、気にも止めない。
執事、メイド、コック――行く手を阻むものは容赦無く切った。
怒りと憎しみを切っ先に乗せ、剣を血で濡らしながら前に進む。
13: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:23:37.28 ID:0v+4uQkno
バンッ
最奥の部屋の扉を開ける。
慌てた様子の醜く太った半裸の男と、表情を失った、一糸纏わぬ少女。
抜け殻となったような少女をみて、少年は遅すぎた事を悟った。
「うわああああ!!!」
己の無力さを痛感し、少年は叫んだ。
最奥の部屋の扉を開ける。
慌てた様子の醜く太った半裸の男と、表情を失った、一糸纏わぬ少女。
抜け殻となったような少女をみて、少年は遅すぎた事を悟った。
「うわああああ!!!」
己の無力さを痛感し、少年は叫んだ。
14: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:24:27.18 ID:0v+4uQkno
「なんだお前は!?」
男の問いには答えない。
いや、その声は少年に届いてすらいなかった。
男は少年が剣を持っていることに気づいた。
「ひいっ、た、助けてくれ!
命だけは!」
その声も、少年には届かない。
少年の意識の先にあるのは、少女ただ一人。
男の問いには答えない。
いや、その声は少年に届いてすらいなかった。
男は少年が剣を持っていることに気づいた。
「ひいっ、た、助けてくれ!
命だけは!」
その声も、少年には届かない。
少年の意識の先にあるのは、少女ただ一人。
15: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:25:20.33 ID:0v+4uQkno
少年を見た少女は、壊されてしまった魂で微笑んだ。
そして一言
「私を…殺して…」
彼女にとって、このまま生きる事ほど辛いことは無いのだろう。
そんな少女の絞り出すような掠れた声は、はっきりと少年の耳に届いた。
そして一言
「私を…殺して…」
彼女にとって、このまま生きる事ほど辛いことは無いのだろう。
そんな少女の絞り出すような掠れた声は、はっきりと少年の耳に届いた。
16: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:26:07.74 ID:0v+4uQkno
剣を引きずりながら、ゆっくりと少女に歩み寄る。
少女の前に立った少年が剣を持ち上げる。
少女は、もう一度微笑んだ。
「うわああああ!!!」
三度目となる少年の叫び。
その叫びとともに、最後の一振りを少女に向けた。
少女の前に立った少年が剣を持ち上げる。
少女は、もう一度微笑んだ。
「うわああああ!!!」
三度目となる少年の叫び。
その叫びとともに、最後の一振りを少女に向けた。
17: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:27:15.01 ID:0v+4uQkno
――――――――――――――――――――――――――――――――――
金持ちの家をあとにした少年は、泣くことをも忘れていたことに気づく。
地獄のようなこの暮らし
この世の不平等さ
そして、救うことの出来なかった少女
様々な事が頭を駆け巡る。
だが、涙が出ることはない。
少年は泣き方を忘れてしまっていた。
金持ちの家をあとにした少年は、泣くことをも忘れていたことに気づく。
地獄のようなこの暮らし
この世の不平等さ
そして、救うことの出来なかった少女
様々な事が頭を駆け巡る。
だが、涙が出ることはない。
少年は泣き方を忘れてしまっていた。
18: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:27:59.88 ID:0v+4uQkno
続いて思い出したのは空腹感。
空腹は、自分が生きていることの証でもある。
もはや空腹も感じなくなっていた少年にとって、その感覚はひどく懐かしく感じられた。
空腹は、自分が生きていることの証でもある。
もはや空腹も感じなくなっていた少年にとって、その感覚はひどく懐かしく感じられた。
19: ◆g/ChnI.qIuu2 2015/01/06(火) 18:29:00.96 ID:0v+4uQkno
その刹那、少年は痛みを覚え、倒れ込む。
屋敷の追手にやられたのか、心の痛みなのか、それとも他の原因か、はっきりとはしない。
だがそれでも構わなかった。
ただ、ありのままの痛みを確かに感じていた。
-お話は、ここで終わり。
ある時代のある場所の物語-
屋敷の追手にやられたのか、心の痛みなのか、それとも他の原因か、はっきりとはしない。
だがそれでも構わなかった。
ただ、ありのままの痛みを確かに感じていた。
-お話は、ここで終わり。
ある時代のある場所の物語-
引用元: ・ある時代のある場所の物語
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