1 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 10:41:09.14 ID:586bexWS0.net
いつもの放課後のティータイム、テーブルの上には紅茶とキャベツ太郎が乗っていた。
澪「なんだ? 唯はキャベツ太郎嫌いなのか?」
唯「いや、そうじゃなくて…」
紬「この間、家にキャベツ太郎が5トンほど送られてきてねぇ」
唯「ムギちゃんの家、嫌われてるの?」
律「まじかよ! キャベツ太郎をトン単位で食べれるなんて羨ましいなあ!」
澪「ああ、毎日キャベツ太郎を食べられるだなんて夢のようだよな…」
唯「えっ」
紬「うふふ、じゃあこれからのティータイムのお菓子は
キャベツ太郎にしましょうか?」
澪「本当か!?」
律「やった! キャベツ太郎で毎日お茶飲めるなんて最高だな!」
唯「ちょっ…ちょっと待ってよ!」
3 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 10:43:38.88 ID:586bexWS0.net
澪「どうしたんだ唯?」
唯「ティータイムにキャベツ太郎って正気で言ってるの!?
キャベツ太郎って紅茶と絶望的に合わないじゃん!?」
律「たしかに合わないな」
澪「私も紅茶飲んでて吐きそうになったよ」
唯「でしょ!? じゃあなんでキャベツ太郎なんか食べようだなんて――あっ」
そこまで言って唯はようやく気付いた。澪と律が何故キャベツ太郎を食べたいなんて言い出したのか、
そんなの家にキャベツ太郎を5トンも送られた紬に気を使って言っているからに決まっている。
唯「ごめん……私……全然気がつかなくて…」
紬「いいのよ、唯ちゃん……」
澪「まぁ紅茶との相性が最悪なだけでキャベツ太郎自体は旨いしな」
律「ああ、今は紅茶しかないから食べるのが苦痛で仕方ないけどな」
6 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 10:46:25.04 ID:586bexWS0.net
紬「キャベツ太郎で喉が渇いてるのに飲み物が紅茶しかないってもう地獄よね」
律「紅茶の甘みとキャベツ太郎の香ばしさが見事にお互いの魅力を殺し合ってるよな」
唯「あっ、それなら!」
澪「ん? どうしたんだ唯?」
唯「ちょっと待っててね」
唯は音楽室の外へと行ったかと思うと、何かを持って再び戻ってきた。
律「おい、それまさか……」
唯「うふふ、外の自販機でコーラ買ってきたんだぁ。みんなの分もあるよ!」
紬「………」
律「………」
澪「………」
7 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 10:49:36.74 ID:586bexWS0.net
唯「あれ、どうしたの? コーラよりジンジャエールの方がよかった?」
澪「…………」
律「唯……私たちのバンド名はなんだ?」
唯「放課後ティータイムでしょ?」
律「そうだろ? その私たちが放課後にコーラなんてどうするんだ?」
律「自身のバンド名に嘘をついた私たちに人の心を動かす音楽
が出来ると思うか?」
唯「…………」
澪「唯、律の言うとおりだぞ。ティータイムをやめてしまったら
私たちはバラバラになってしまうよ」
唯「…りっちゃん達の言いたいことは分かるよ」
唯「でも、私はコーラを飲みたいの!」
唯はそう叫ぶと、缶を開けて一気にコーラを喉の奥へと押しやった。
律「ば、馬鹿!」
8 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 10:53:25.61 ID:586bexWS0.net
唯「!!! おいしいよ! コーラがこんなにおいしく感じるだなんて!」
紬「………」
唯「キャベツ太郎との相性も最高だよ! ソースの口当たりに流れこむ刺激的な炭酸の味、
コーラに引き立てられてキャベツ太郎もその本領を遺憾なく発揮してるよ!
これなら何袋でも食べれるよ!」
律「………」
澪「………」
律「放課後コーラタイムってバンド名かっこいいと思わないか?」
澪「いいなそれ、改名しようか」
終わり
9 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 10:58:54.40 ID:586bexWS0.net
………………
梓「言い出すタイミングが無くてなかなか言えなかったんですけど」
澪「どうした? 梓?」
梓「今日のお菓子はシュークリームですよね」
紬「そうよ?」
梓「それなのに飲み物がコーラっておかしくないですか!?」
律「別におかしくないだろ」
唯「私たちは放課後コーラタイムだしね」
梓「えっ!?」
10 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:02:53.21 ID:586bexWS0.net
梓「なんですかそのダサいバンド名? というか、いつの間に変わったんですか?」
律「正直私たちもすごい後悔してるよ」
澪「ああ、なんでこんな変なバンド名に変えたんだろうな」
梓「私嫌ですよ! 放課後ティータイムに戻しましょうよ!」
紬「でも、そうコロコロ変えるのもねぇ…」
澪「私たちに信念がないと思われてしまうよな」
唯「そうだ!」
唯がなにやら閃いたようだった。
11 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:06:32.65 ID:586bexWS0.net
唯「ちょっとずつ変えていけばバレないよ!」
梓「ちょっとずつ…?」
唯「三日に一文字くらいのペースでバンド名を徐々に変えていくんだよ!
それなら誰にもバレずに改名できるよ!」
律「なるほど……それは名案だな!」
澪「唯にしてはなかなか聡明な意見じゃないか」
唯「えへへ~」
13 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:11:50.75 ID:586bexWS0.net
紬「じゃあ、どう変えていくべきかしら?」
梓「『ほ う か ご コ ー ラ タ イ ム』」
梓「個人的には「か ご コ ー ラ」の部分の語感が悪くて最悪な気分になるんですよ
だから、 まずはこの辺りを変えたいですね」
律「じゃあまずはそこから変えるか」
紬「元の『放課後ティータイム』に近づけるためにも『放課後テーラタイム』が無難かしら」
律「いや、待てよ。5日後には学園祭ライブがあるんだぞ」
律「そんな場で『どうも~放課後テーラタイムです』とか言う事になるんだぞ」
澪「それは嫌だな…」
14 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:18:03.63 ID:586bexWS0.net
梓「『放加護テーラタイム』って書くとビックリマンっぽくなりますね」
澪「『放課後コアラタイム』ってどうだ? かわいくないか?」
律「いや、全然可愛くないよ」
梓「『放課後コーンタイム』はどうでしょう?」
紬「放課後にトウモロコシ食べるなんて嫌よ……」
唯「じゃあ『放課後コーラタイム』ってどうかな?」
律「それいいな、それにするか」
終わり
16 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:24:57.54 ID:586bexWS0.net
………………
唯「ねぇ、みんな、実は相談があるんだけど……」
律「どうした?」
唯「今朝、郵便受けを見たらこんな手紙が入ってて……」
『冬ノ日
ドンナニ寒クテモ 僕ハ幸セ
君ヲ見テイルト 僕ハ幸セ
君ヲ僕ノモノニシタイ 僕ダケノモノシニタイ
今夜キミヲムカエニイクヨ 赤イクルマデムカエニイクヨ』
律「な、なんだよこれ!怖すぎるだろ!」
紬「ストーカーかしら……」
唯「怖いよぉ……」
17 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:30:44.96 ID:586bexWS0.net
律「警察には連絡したのか?」
唯「うん、私の家の周りを重点的にパトロールしてくれるって言ってくれたけど…」
紬「安心はできないわね…」
澪「やぁ、みんな、何の話してるんだ」
唯「澪ちゃん……実は……」
澪「あっ、そういえば今朝私が郵便受けに入れておいた歌詞、見てくれたか?」
唯「へ?」
18 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:36:59.30 ID:586bexWS0.net
澪「へへ、いい歌詞だろ~あれ自信作なんだ」
律「澪が私たち以外に友達いない理由がわかった気がするな」
紬「こんな怪文書みたいな歌詞を自信作と呼べる澪ちゃんが怖いわ…」
澪「怪文書!? いくらなんでもひどくないかそれ!?」
唯「あはは~でも、澪ちゃんのイタズラだって分かってよかったよぉ」
唯「この歌詞は不気味だから破ってゴミ箱に捨てておくね」ビリビリ
澪「…なんだよお前ら……そんな言い方ないじゃないか……」グスッ
20 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:45:53.93 ID:586bexWS0.net
…………………
唯「ふふ、今日は安心して家に帰れるよ」
唯「あっそうだ、アマゾンで注文した鼻毛カッターもう届いてるかな」
唯が郵便受けを覗くと、底の方の見えにくいところに一通、宛名のない封筒があるのが目に入った。
唯「あれ、なんだろうこれ」
唯が封筒を開けて中を見てみると、澪からの手紙が入っていた。
21 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:50:33.83 ID:586bexWS0.net
『唯へ
なかなかいい歌詞が出来たから読んで欲しい
ラクダのような恋
作詞:秋山澪
砂漠を歩く私 ラクダのようだよ
背中のコブに水を溜めて サボテンをかじりながら進んでいく
私だけのオアシス目指して
ラクダみたいな恋 辛いけど楽しい道のり
どうかな? 学校で感想を聞かせてほしいな
澪より』
唯「このイカれた歌詞……まさしく澪ちゃんの詞だ…」
唯「じゃあ、今朝のあの手紙は……」
その時、唯の背後に一台の車が停まった。赤い車だった。
25 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 11:58:16.63 ID:586bexWS0.net
唯「えっ……」
唯が茫然とその赤い車を眺めていると、中から一人の男が出てきた。
「迎えに来たよ」
男は四十歳くらいの年齢で小太りの体系をしており、髪は短い坊主頭で、目は焦点が定まってなく、
右手に包丁を握り締めていた。どう見ても正常ではなかった。
唯「ひぃぃぃっ」
「さぁ……行こうか……」
唯「嫌ぁ!! 誰か助けてぇぇええ!!!」
26 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 12:05:23.79 ID:586bexWS0.net
律「とりゃあああああ!!」
突如、闇の中から表れた律が男に飛び蹴りを放った。
「――――ッ!!」
男は突然の衝撃にバランスを崩し、地面に崩れるように倒れ込んだ。
唯「りっちゃん!」
澪「私もいるぞ」
唯「澪ちゃん」
27 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2015/01/03(土) 12:06:17.91 ID:586bexWS0.net
紬「りっちゃんだけに、いいカッコはさせられないわ」
唯「ムギちゃん……」
律「おかしいと思ってたんだよ、怖がりの澪があんな変な歌詞書く訳ないってな」
紬「私は最初から澪ちゃんの詞じゃないって分かってたわ」
澪「みんな………」グスッ
「なんて美しい友情なんだ……感動したよ……」
唯達は抱き合って笑った。
終わり
コメントする
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。