1 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 21:24:02.41 ID:N+oCH7em.net
1日が終わって、みんながおうちへと急ぐ頃、にこの1日は始まるの。
メニューはこれだけ。
・にこにー定食 252円
・にっこにっこにー 600円
・にっこにー 500円
・ラブにこ☆ 450円
☆にこにーは一人3回までニコ♪
あとは勝手に注文してくれれば、できるものなら作ってあげるってのがにこの営業方針なの。
営業時間は夕方5時から夜10時頃まで。みんな「深夜にこにー」なんて言ってるわね。
深夜じゃないじゃないかって?夜更かししてたらお肌が荒れちゃうじゃない!
だ・か・ら・アイドルにとっては十分深夜なの。それにお客さんだって結構来るのよ。
4 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 21:25:37.91 ID:N+oCH7em.net
――
――――
――――――
ガラッ
「こんばんはー。相変わらず誰もいないね!」
「失礼ね!いるわよ!さっきまで満員だったわよ!」
この子は凛。近くの小学校で先生をやってるの。
「あー、つっかれたにゃあ~…」
先生先生なんて言って持ち上げられてもやっぱりストレスが溜まる仕事みたいね。
よくこの辺で飲んでは最後ににこのお店にやってくるわ。
「ラーメンひとつ!」
それで、いっつもこれ。
「はいはい。サッポロ?チャルメラ?チキンラーメン?」
「チャルメラ!醤油ね!」
7 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 21:29:41.06 ID:N+oCH7em.net
…なによ。文句あんの?うちはラーメン屋じゃないの。ラーメンって言ったらコレよ。
最近のは結構おいしいのよ。…せめて生麺にしろって?日持ちしないし高いじゃない!
ガラガラ
「――はあ・・・はあ・・・凛ちゃん・・・早いよぉ~。」
今入って来たこの子は花陽。凛の昔からの親友ね。暇さえあればこうしてつるんでるわ。
「いらっしゃい。おにぎりでいいの?」
「こんばんは、にこちゃん。たらこんぶと梅干しでお願いします!」
この子もよく食べるわよね。手を少し濡らして塩を振る。
ぴんと立ったお米を手にとって硬すぎないように、口の中でほどけるようにそっと握る。
花陽は海苔が好きだからぐるぐるまきにしてあげる。
すみっこにお新香をひとつまみ。これはサービスね。梅干しは花陽が実家からもらってきた特製よ。
8 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 21:35:06.03 ID:N+oCH7em.net
「はいお待たせ。凛のもすぐにできるわよ。」
「ありがとにこちゃん。」
お湯で温めておいた丼にスープの元を入れる。出汁で溶くのがにこにー流☆
食欲をそそるいい香りがする。あとは煮立った小鍋から麺をあげて…
はい!にこにー特製ラーメン出来上がり!
「うわ~、これこれ!やっぱコレだよね!」
「凛ちゃん…いっつも思うんだけど…何も具をいれないでいいの?」
「いいのいいの!このジャンクな感じの味が『夜食!』って感じがしていいんだよね~!」
ズルズルと派手に音をたてて凛が麺をすする。
花陽もそれを見ておにぎりをはむはむと食べ始める。
「うん。おいしいよにこちゃん。お米変えた?」
「さすがね。ちょっと安かったからね。ゆめぴりかにしてみたの。」
9 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 21:41:16.44 ID:N+oCH7em.net
ガラッ
「――こんばんは。よろしいでしょうか?……あら、凛、花陽。」
「あっ!海未ちゃんだにゃ!」
「むぐっ…こ、こんばんは…」
このいかにも大和撫子な感じの子は海未。日本舞踊の先生なんだって。
「久しぶりね海未。にっこにーにする?」
「はい、今日は冷えるので熱くしてお願いします。」
「はーい!アツアツにっこにー入るにこ~!はい!にっこにっこにー!」
「にっこにっこにー!」
「にっこにっこにー!」
「に…にっこにこ……にー…///」
「もう!海未!恥ずかしがってちゃダメでしょ!かわいく言わないとにっこにー出してあげないわよ!」
10 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 21:49:14.37 ID:N+oCH7em.net
「――凛、またラーメンですか?」
「も~、ほっといてにゃ!凛はこれが好きなの!」
「お酒を飲んだ後にそんなもの…体によくありません。ほら、野菜もきちんととりなさい。」
「え~っ!いらないよぉ~…」
そういって海未は自分の法蓮草のおひたしを少し凛のラーメンに入れてあげる。
「まったく…昔とちっとも変わってないにゃ…おせっかいばっかり。」
「ふふ、そういうあなたも昔とちっとも変わりませんね。」
「ズルズル…あっ、美味しい!…ねえねえ、合宿の時みたいだね!」
「合宿?」
「ほら、『山頂アタックです!』って海未ちゃんが!」
「ああ…懐かしいですね。あの時も希が食べられる野草をとってきて…」
「うん!凛のラーメンに入れてくれたよね!…ちょっと苦かったけど…」
「そうでしたね、…実は私も苦いと思っていたんですよ。」
「えっ?そうだったの?」
11 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 21:53:04.88 ID:N+oCH7em.net
この二人、学生時代の先輩後輩らしくてね。
ここで顔を合わせるといつも海未が凛におかずをあげて、思い出話を始めるの。
それを横で花陽がにこにこしながら聞いて…
本当、仲の良い姉妹って感じだったわ。
12 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 21:59:24.45 ID:N+oCH7em.net
それがある日――
ガラガラ!
凛「にこちゃん!にこにーちょうだい!」
にこ「な、何よ急に!」
凛「いいから!ほら!やればいいんでしょ!にっこにっこにー!にっこにっこにー!」
にこ「わかったわよ!ちょっと待ってなさいよね…」
にこ「…はいお待たせ。」
凛「んっ…んっ……ぷはー!」
花陽「り、凛ちゃん!そんな一気に飲んじゃダメだよ!」
凛「いいでしょ別に!そういう時もあるの!…おかわり!」
にこ「…3回までだからね。…何があったのよ?」
凛「ふんだ!にこちゃんには関係ないでしょ!」
花陽「あ、あのね…海未ちゃんが…その…男の人と歩いてて…」
にこ「はあ?」
13 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 22:11:27.03 ID:N+oCH7em.net
凛「いいよかよちん!海未ちゃんなんて…海未ちゃんなんて…」グイッ
花陽「凛ちゃん…」
へえ、あの子がねえ…
海未「――こんばんは。」
にこ「げっ!」
海未「な、なんですか!お客に向かって!」
にこ「あ、ああ、ごめんね。いらっしゃい。」
海未「はい、熱いのをお願いします…凛?」
凛「…」
海未「凛?どうしたんです?こっちを向いてください!」
凛「…誰?」
海未「はい?」
凛「今日一緒歩いてた男の人、誰なの?」
海未「えっ…あ、あの…見られて、いたのですか。」
15 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 22:21:50.96 ID:N+oCH7em.net
凛「彼氏?」
海未「か、彼氏だなんて!そんな…」
凛「じゃあ何?海未ちゃんが男の人と一緒なんて珍しいよね?」
海未「う…その…」
花陽「海未ちゃん、凛ちゃんさっきからずっとこうなの…どうしても話せないなら仕方ないけど…もしよかったら…」
海未「…わかりました。いつかはお話しようと思っていたことですから。」
…一緒に居た男ってのは海未の婚約者だったみたい。
って言ってもほとんど親同士が決めた話らしくて、会ったのも今日で2回目だったみたい。
ふーん…日本舞踊の家元なんかに生まれるとめんどくさいことがたくさんあるのね。
にこはぁ~永遠のアイドルだから、ずぅ~っと、みんなのものだよ☆
海未「――と、いうわけなのです。わかっていただけましたか?」
凛「…なにそれ。」
海未「凛?」
凛「それって、結婚するってことでしょ!なんでそんな大事なこと凛に黙ってたの?」
17 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 22:48:16.98 ID:N+oCH7em.net
海未「それは…その…」
凛「もういいよ!海未ちゃんなんて友達でもなんでもないから!」
花陽「お、落ち着いて…」
海未「凛!」
ドンッ
にこ「はいっ!アツアツにこにーお待たせ!」
海未「…どうも…」
凛「…」
海未「…凛?ほら、一緒に飲みませんか?」
凛「いらない。」
海未「あ、じゃあ何かおつまみをいただきましょうか!にこ、今日のおすすめは何ですか?」
凛「いらない。」
海未「で、でも、お酒だけでは体に良くないですから…」
凛「ほっといて!大体海未ちゃんは凛の何なの?凛のお姉ちゃんでもないくせにお節介なんだにゃ!」
…あーあ。言っちゃった。
18 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 22:56:46.27 ID:N+oCH7em.net
――それから、あれだけ仲の良かった二人なのに知らん顔になっちゃったわね。
っていっても凛が一方的に怒っているだけなんだけど。
子どもよね、まったく。
それからしばらくした雪の降る晩の事。
にこ「うわっ…つもってきたじゃない…もうお客さん来ないわね…」
凛「もともと来ないにゃ!」
にこ「うっさいわね!」
街の喧騒も降る雪に吸い込まれて届かない静かな、静かな夜。
カウンターしか無い小さな店にいるのはにこと凛と花陽だけだったわ。
もう今日はこれでおしまいかしらね。そう、思った時、急に扉が開いたの。
海未「――こんばんは。」
19 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 23:00:36.42 ID:N+oCH7em.net
花陽「あっ、海未ちゃん…こんばんは。…凛ちゃん、海未ちゃんだよ?」
凛「…」
海未「こんばんは、花陽、凛。……凛。またラーメンですか?」
凛「…関係ないでしょ。」
海未「…」
あーあ、にこほどじゃないけど、そこそこ可愛い顔が台無しじゃないの。
にこ「…なんにするの?」
海未「あ、ごめんなさい。熱いのを。」
にこ「はいはい、にっこにっこにー。」
にこ「――はいお待たせ。」
海未「ありがとうございます。」
にこ「で?どうなのよ、その後。」
凛がにこの背中側のカウンターで聞き耳を立てるのがわかる。
海未「あ、はい――来週、結納することになりまして――」
20 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 23:05:29.33 ID:N+oCH7em.net
凛「…っ!」
花陽「ピャアッ!?」
にこ「へえ、よかったじゃないの。おめでとう。…にしては浮かない顔ね。」
海未「そう、見えますか?」
にこ「まあね。少なくともこれから新婚さんになる幸せいっぱいの女の子の顔には見えないわよ。」
海未「――幸せいっぱいの新婚さん。ですか。」
海未「そんなものを無邪気に信じていられたら――どんなによかったか。」
にこ「?」
海未「他に恋人がいるんです。あの人。」
花陽「エエ゛ッ!?」
にこ「…」
海未「…」
花陽「…」
21 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 23:15:50.68 ID:N+oCH7em.net
海未「政略結婚…というほど大げさなものでもないですけど…まあ、つまりはそういうことです。」
にこ「…」
海未「おかしい、ですよね。今どき手もつないだことがない男女が結婚するなんて。」
にこ「拒否すればいいじゃないの。今どきナンセンスよ。」
海未「…今まで父母には散々迷惑をかけましたし…これで、いいんです。」
海未「奥手な私には恋愛なんてどの道…」
それから、海未はアツアツにこにーを一息に飲み干してから立ち上がって言ったの。
こんな時でも背筋をピンと伸ばして堂々とした態度なのはさすがよね。
海未「凛!そういうわけです。黙っていたこと…ごめんなさい。」
海未「不思議ですよね。あなたと話さなくなってから余計にあなたの心配ばかりして…凛のことばかり考えてしまって…」
海未「小さな頃から人の心配ばかりしてきましたから…性分なんでしょうね。きっと。」
海未「でも、もうお節介もおしまいです。こんな私じゃ、凛に偉そうにお説教なんてできませんものね。」
海未「凛、あなたは本当に自分のしたいことをしてくださいね――ありがとう。それじゃ。」
…海未が出て行った引き戸から小さな雪が舞い込んできたわ。…外は寒いでしょうに。
22 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 23:21:22.81 ID:N+oCH7em.net
凛「…凛ね…本当はちゃんと具が乗ったラーメンが好きだった。」
花陽「凛ちゃん…?」
凛「ナルトやチャーシューや、海苔とか、メンマとか…そういうのがのってるの…」
凛「でもね、わざとここではこのかけラーメンを食べてた…だって…」
凛「だって…そうすれば…海未ちゃんが凛におかずを分けてくれるから…」
凛「あの時っ…ヒグッ…みたっ、みたいにっ…合宿っ、のっ、時っ、みたいにっ…」
凛「海未ちゃんと…一緒だった時のことっ…楽しかった時のことっ、お、思いだせっ、だせるからぁっ…」
…知ってたわよ。バカ凛。
23 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 23:24:54.67 ID:N+oCH7em.net
花陽「――凛ちゃん!何やってるの!」
突然、花陽がカウンターを叩いて立ち上がった。
…薄いからそんなに強く叩かないで欲しいんだけどなあ。
花陽「追いかけて!早く!」
凛「で、でも…」
花陽「いいから!行って!凛ちゃんなら追いつけるよ!」
凛「…」
花陽「お願い…行って…凛ちゃん…はやくっ!」
凛「かよちん・・・」
花陽「でないと…ずっと、このままだよ?いいの?」
24 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 23:28:18.22 ID:N+oCH7em.net
にこ「…これ、あの子が忘れてったわよ。…届けて欲しいんでしょうね。」
嘘。これはにこの私物。
凛「…」
にこ「さっさと行きなさいよ。そんな顔してたらお客さん来なくなるじゃない。」
花陽「凛ちゃん…」
凛「…かよちん…にこちゃん…ごめん!」
そう言って凛は飛び出していった。
…せめてコートぐらい羽織っていけばいいのに。
ま、いいでしょ。二人でいれば温かいわよね、きっと。
25 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 23:32:52.97 ID:N+oCH7em.net
――
――――
――――――
にこ「よかったの?チャンスだったのに。」
花陽「エヘヘ…いいの。凛ちゃんが泣いてるほうが花陽は辛いから。」
にこ「そ。まあ、別にいいわ。アンタがいいならね。」
花陽「ねえにこちゃん…花陽にもにこにー、もらえるかなぁ?」
にこ「…アンタ飲めないじゃないの。」
花陽「うん…でも、ね…お願い…グスッ…」
にこ「…」
花陽「…にこちゃん…?」
ビリッ ☆にこにーは一人3回までニコ♪
花陽「…!」
にこ「今日はもう店じまいにしましょ。どうせこの雪じゃ誰も来ないわよ。」
26 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/21(水) 23:36:33.86 ID:N+oCH7em.net
にこ「今日は特別。にこも付き合うから、好きなだけにこにーしていいわよ。ほら、にっこにっこにー!」
花陽「うん…うん…ありがと…にこちゃん…にっこにっこにー…」
にこ「何よ、元気ないじゃないの。ほら、もう一回。」
花陽「うん…うん…!にっこにっこにー・・・・にっこ…にっこにー…」
花陽「ぐすっ…ふぇ…楽しいね…楽、しいね…うっ…うぅ…」
――――――
―――
――
おしまい
43 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 00:17:15.08 ID:06dekjQk.net
1日が終わって、みんながおうちへと急ぐ頃、にこの1日は始まるの。
メニューはこれだけ。
・にこにー定食 252円
・にっこにっこにー(ビール) 600円
・にっこにー(お酒) 500円
・ラブにこ☆(焼酎) 450円
☆にこにーは一人3回までニコ♪
あとは勝手に注文してくれれば、できるものなら作ってあげるってのがにこの営業方針なの。
営業時間は夕方5時から夜10時頃まで。みんな「深夜にこにー」なんて言ってるわね。
深夜じゃないじゃないかって?夜更かししてたらお肌が荒れちゃうじゃない!
だ・か・ら・アイドルにとっては十分深夜なの。それにお客さんだって結構来るのよ?
44 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 00:17:38.13 ID:06dekjQk.net
第2夜 「焼肉定食」
45 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 00:25:31.77 ID:06dekjQk.net
「こんばんは~、今、ええ?」
にこ「こんばんは、希。もう上がり?」
『音の木坂のスピリチュアル・マザー』って言ったらちょっとした有名人でね、最近じゃテレビにも出ているわ。
希「ううん。お客さんが一段落したから一休みや。いつもの頼むわ。」
にこ「はーい。ちょっと待っててニコ☆」
いつもの、っていうのは焼肉定食のことね。
醤油ベースのタレにい~っぱい摩り下ろしたりんごを入れた、特製にこにーソースが決め手なの。
これを熱々のフライパンにごま油をひいて焼き付けるニコ♪
ジュワ~っとごま油のいい香りがにこの小さなお店に漂ってくる。
これにキャベツの千切りとトマトを添えて、にこにー特製の豚汁にライスをつけて完成!
キャベツには和風ドレッシングとマヨネーズを半々でかけるニコ♪
47 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 00:33:24.97 ID:06dekjQk.net
希「あんがとな~。いただきます。」
端っこの少し焦げたお肉をホカホカのご飯に乗っけて一口。
希「うん、今日もおいしい。さすがにこっちやんな。」
それから豚汁を一口。味を確かめてから七味を振ってもう一啜り。
キャベツをわしっとつかんで口に押し込む。少し味が濃いぐらいでもちょうどいいわね。
お新香で口直ししたらまた香ばしく焼けた肉を一切れ。
希は本当に美味しそうに食べる。
にこ「…相変わらずいい食べっぷりねえ。よくこの時間にそんなもの食べられるわ。」
希「ええやん。座ってるだけやけどな、これはこれで結構辛い仕事やねんで?」
希「せやからしっかりパワーつけんとな。この後も予約た~くさん入ってるんやから♪」
にこ「そうだと思ってにんにくは抜いてあるわよ。…ま、太らない程度にしなさいよね?」
希「ありがとな。…にこっちはもうちょっと食べたほうがええんちゃう?」
にこ「うっさいわね!」
48 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 00:39:11.33 ID:06dekjQk.net
――ふと、表の路地を誰かが歩く音がする。
にこ「希。」
希「うん。」
そういうと希は素早く紫色のフードをかぶる。
商売柄、イメージダウンを避けるためらしいわ。
確かに、神秘的な占い師が大口開けて焼き肉頬張ってたんじゃサマにならないものね。
「――う~っ…寒いわね…ロシア並だわ…」
にこ「いらっしゃい。随分ご無沙汰だったじゃないの。絵里。」
入ってきたのはこの近くでバレエ教室を開いてる絵里だったわ。
絵里「ちょっと、ここんとこコンクールで遠征してたりしてね…ウオッカちょうだい?」
にこ「…わざと言ってんの?」
49 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 00:46:12.46 ID:06dekjQk.net
絵里「ごめんごめん。ビールでいいわよ。はい、にっこにっこにー♪」
にこ「…アンタ、酔ってんの?…ったく…」
プシュ、という小気味良い音をさせて褐色の瓶の栓を抜く。
にこ「はいどうぞ。」 トットット
絵里「スパシーバ、にこ。」
一杯目は注いであげるの。宇宙ナンバーワンアイドルにお酌してもらえるなんて素晴らしすぎるサービスだと思わない?
絵里「…はあ…」
またため息ついてる。…ってことは色々うまくいってないってことね。
ま、にこも無理には聞かないけど。そんなに弱い子じゃないし。
絵里「…ん?」
希「…」
絵里「…ひょっとして、スピリチュアル・マザー?」
50 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 00:50:48.46 ID:06dekjQk.net
希「…っ」ビクッ
絵里「やっぱり!テレビで見たことあるのよ!」
希「あ、ああ…どうも。ありがとうございます。」
絵里「…?焼き肉?おいしそうね!にこ!私にも焼き肉ちょうだい!ご飯はいらないわよ!」
にこ「…はいはい。」
あーあ、つかまっちゃった。
普段はクールな子なのに…お酒が入ってるとダメなのよねえ…
51 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 00:57:05.07 ID:06dekjQk.net
絵里「――それでね?みんなどんどんやめてっちゃってね?」
希「あ、あはは…大変ですね…」
絵里「もぉ~、どうすればいいのよ!エリチカ一生懸命教えてるのに!」
希「…変わってへんなあ。」ボソ
絵里「え?」
希「ううん、なんでもないですよ。…それより、教室の玄関に大きなぬいぐるみが飾ってあるでしょう?」
絵里「え?ああ、ああ!確かにあるわ!」
希「そのぬいぐるみが運気の流れを妨げていますね。寝室に移すことをおすすめしますよ。」
絵里「…すごい。…すごい!すごいわ!そんなことまでわかっちゃうのね!」
希「…それから。教室の生徒さん達はプロになろうと考えてるわけではないのですから、もう少し優しく…」
絵里「…ふんふん。」
にこ「…」
52 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 01:03:20.38 ID:06dekjQk.net
それからしばらくして。
ガラッ
絵里「にこ!スピリチュアルマザーいる?」
にこ「ああ、うん…」
カウンターの隅を目で見やる。
絵里「ハラショー!あなたの言うとおりにしたら教室の生徒がすっごく増えたのよ!」
希「あ、ああ…よかった、ですね…」
絵里「お礼に今日はごちそうさせて!にこ!焼き肉定食!ビールもね!」
にこ「…はいはい。」
ま、案の定その後二人は意気投合。
絵里はちょくちょくうちの店に来て希のアドバイスを聞くようになったわ。
53 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 01:12:33.19 ID:06dekjQk.net
絵里「…それじゃ、かんぱーい☆」
希「乾杯!」
最近、絵里のバレエ教室は絶好調。おまけに絵里自身も調子いいみたいね。
絵里「…と、いうわけでぇ~…エリチカからみんなに重大発表がありまーす!」
またこの子は…いい感じに酔っ払ってるわね。
絵里「実はぁ~…ジャァ~ン!ロシアのバレエ学校に招待されちゃいましたぁ~!」
そういってなんだかよくわからない字で書かれた手紙を懐から取り出したわ。
ま、要約すると最近の絵里の活躍が認められて本場から声がかかった、ってことみたいね。
教室は続けるけど拠点はロシアに移すみたい。
54 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 01:23:39.54 ID:06dekjQk.net
絵里「…どう思う?私にとってもすごくいい話なんだけど。」
希「え?」
絵里「あなたに聞いてるのよ?ね、ね、どうすればいいと思う?」
希「え…え…」
絵里「ねえ、お願い!どう?」
希「…」
絵里「?」
希「…やっぱり、一緒に来てくれとは言ってくれないんやね。」
ゆっくりと紫のフードをとる希。
…絵里の顔色がみるみる変わっていったわ。
絵里「…希…」
55 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 01:37:23.65 ID:06dekjQk.net
希「…ごめんな。うちにもわからへんよ。どうするのがええか、なんて。」
絵里「え、嘘…なんで…?」
希「なんて、うちも言えた義理やないけどな。」
そう言って希はお財布から一枚のチケットを出したわ。
端がボロボロに擦り切れた航空券…行き先は…モスクワ。
希「…あの時…やっぱ追いかけられへんかったんよ。ごめんな。エリチ。」
絵里「…あ…」
希「ホンマは行かないで、って言いたいけど…そうもいかへんよね。」
絵里「…え…え…」
ガラッ
――迷子になった子どもみたいな顔して、絵里は出て行ったわ。
56 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 01:46:47.64 ID:06dekjQk.net
にこ「…」
希「…」
にこ「どうすんの?…とりあえず…焼き肉でも食べる?」
希「…ううん。やめとく。…おうどんさん。くれる?」
にこ「…そ。」
57 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 02:09:32.52 ID:06dekjQk.net
それからね、スピリチュアル・マザーもテレビに出なくなって…焼肉定食も出なくなったわ。
絵里「…昔ね。一緒に暮らしてたの。」
久しぶりに顔を見せたと思ったら、相当やつれていた絵里が聞いてもいない昔語りを始めたの。
絵里「楽しかったわ…先のことなんてわからなくても、占いなんてなくても…明日にはわけもない希望があった。」
絵里「いつからかしらね…臆病になって…怖くなって…」
絵里「一緒に来て欲しかった…ただそれだけ…そしたら…きっと…」
にこ「…」
何もかける言葉が見つからないまま、にこはフライパンを磨いていたの。
絵里「…う…うぅ…」
にこ「…」
絵里「…うう…」
にこ「…・絵里?」
絵里「…おな、かいたい…」
58 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 02:12:38.71 ID:06dekjQk.net
――言っとくけど、にこの出した焼き肉が生焼けだったわけじゃないわよ。
あの子、ろくに食べてなかったみたい。
そんなところに焼き肉なんて食べたら、そりゃ、ねえ…
59 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/23(金) 02:18:45.32 ID:06dekjQk.net
希「――はい、エリチ。ちゃんとふーふーせなあかんよ?」
絵里「もう…わかってるわよ。」
希「だ~め。エリチはうちがいないとすぐに無理するんやから、な?」
絵里「もう、希ったら…」
キャッキャッ
――ま、結局納まるところに納まるわけよね。
希「にこっち~♪うちには焼き肉定食な~?」
絵里「希!私も食べたい!」
希「エリチはまだおうどんさんな?」
にこ「はあ…」
第2夜 終わり
第3夜 サンドイッチ
68 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/24(土) 21:54:42.27 ID:4vvapi//.net
――
――――
――――――
「マスター、冷奴ちょうだい!」
「マスター!ビールおかわり!」
にこ「その『マスター』っていうのやめなさいよ!…じゃなくって、『にこにー♪』だよ?」
驚いた?前にも言ったけど結構お客さんは来るのよ。
女の子だけじゃなくて男のお客さんもね。
ま、こ~んなかわいいにこにーがやってるお店なんだもん!当然よね~?
「ママ!肉じゃがちょうだい!」
「ママ、カラオケ!」
にこ「うちにはないわよ!それにママじゃないし!…な、ないニコ~っ☆」
今日もにこは大人気。まさにこのお店の、ううんこの街の、いいえ、この宇宙のアイドルよねぇ?
ガラッ
ことり「――にこちゃん、こんばんはぁ~っ♪」
69 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/24(土) 22:01:03.09 ID:4vvapi//.net
「…!」
「おい…」
「すげぇ…」
うわ…この子が入ってくると店の雰囲気が一気に変わるのよね…
ことり「ブルブル…寒いねぇ?…あっ、ごめんなさぁ~いっ。」
「あ、いや…」
…これよ。男どもが一気に色めき立つの。ソワソワっていうか、ギラギラっていうか…とにかくいやな感じよね。
こぉ~んなに可愛いにこにーがいるっていうのに?
ま、仕方ないわよね。にこにーはみんなのアイドル。どんなに恋い焦がれても手の届かない存在。
ことりはにこほどじゃないにしても!…まあ可愛いし。スタイルもそこそこ…いいし。
それにあの声よね。あのとろけるような声を耳元でささやかれたら…そりゃ、ねえ…
百歩譲って、いいえ、一万歩譲って!わからなくもないかも?
70 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/24(土) 22:09:04.03 ID:4vvapi//.net
にこ「いらっしゃい。なんにするの?」
ことり「う~んとね、ことり、何か甘いのが飲みたいなあ?」
にこ「…うちにはあれしか飲み物無いんだけど…」
ことり「えぇ~…でも…ビールとか、ことりには苦くって飲めないし…」
「いいじゃんママ!なんなら俺が買ってこようか?」
「お、俺が行くよ!」
「いや俺が俺が!」
にこ(―外野うっさいわよ!)
ことり「おねがぁい…」ウルウル
にこ「はあ…しょうがないわねぇ~…」
ことり「やったぁ☆ありがと、にこちゃん。」
流しの下からにこ特製の梅酒を取り出す。いい感じでつかってるからこっそり飲んでたんだけどなあ…
ソーダで割ってクルクルクル。
にこ「はい、どうぞ。」
ことり「わぁ~、いただきまぁす!」
71 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/24(土) 22:14:29.52 ID:4vvapi//.net
グラスを両手で受け取るとストローにそっと口をつけることり。
それから、ゆっくりと唇を離して、髪をかきあげながら「ふう…」と小さくため息。
ああ、もう…そういうことするから…
「…」
「…」
ったくこの男どもは…
にこ「…今日は一人なの?」
ことり「ううん!もうすぐ穂乃果ちゃんも来るから!」
にこ「ああ、そうなの…」
ってことはまた『アレ』が始まるわけね…やれやれ…
72 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/24(土) 22:25:11.76 ID:4vvapi//.net
ことり「――それでね?ことり、またフラレちゃったの…。」ベソベソ
穂乃果「そっか…でも大丈夫だよ!ことりちゃんすっごく可愛いんだからきっといい人が見つかるよ!」
ことり「本当?えへへ…穂乃果ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいな♪」ギュ
ことり「はい、穂乃果ちゃんも飲んで飲んで♪」
穂乃果「あ、ごめんね…穂乃果、明日も朝から仕込みだから…」
ことり「あ、そっか…穂乃果ちゃん頑張ってるんだね。」
穂乃果「うん!大変な事もあるけど毎日成長してる!って実感できるよ!」
ことり「夢に向かって進んでいる人って素敵!…ことり、そういう人のお嫁さんになりたいなあ…」
ことり「たとえばぁ…お菓子の職人さんとか?」
穂乃果「パティシエかぁ~、ことりちゃんに似合ってるかも!」
ことり「う~ん…そうじゃなくて、もっと和風な感じの…」
にこ「…はい、穂乃果。…サンドイッチできたわよ。」
穂乃果「わっ!待ってました!ありがとねにこちゃん!」
73 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/24(土) 22:31:16.96 ID:4vvapi//.net
…これが大体2ヶ月に1回くらいのペースであるのよね…本当に勘弁してほしいわ…
ことりの名誉の為に言っておくけどね。彼氏にフラれたっていうの、全部ウソだから。
ここで男の人に声かけられる度にうまくかわしてるわよ。
中にはちょっとした芸能人やモデル、社長なんかもいるのにね、もったいな…ってどうでもいいわね。
ま、見ての通り穂乃果一筋だから男の手も握ったことがないわ。
その点にこはぁ~、お店でCDを買ってくれた人には握手会を開いてるニコ♪
え?売れてるのかって?…話を戻すわね。
74 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/24(土) 22:45:55.14 ID:4vvapi//.net
穂乃果「いやー!今夜もパンがうまい!」
にこのサンドイッチは近所のパン屋さんで焼いてる昔風のどっしりしたパンを使うの。
これを薄く切ってバターと辛子を塗って、具材はハムときゅうりのハムサンド。ゆで玉子をマヨとあわせたたまごサンドが定番ね。
ことり「穂乃果ちゃん、おいしそう♪」
穂乃果「ことりちゃんも食べる?」
ことり「いいの?」
穂乃果「うん!はい、どうぞ!」
ことり「あーん///…うん!おいしい!」
イチャイチャ
にこ「…」
75 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/24(土) 22:52:24.81 ID:4vvapi//.net
――
――――
あの二人が散々いちゃついて帰った後、カウンターを拭きながらついため息が出ちゃった。
にこ「――はあ。」
「お疲れみたいね。」
あっ、やば。まだ一人残ってた。
にこ「あっ、ごめんね!」
「別にいいわよ。…それよりさっきの子、よく来るの?」
にこ「…ことりのこと?」
にこ「やめといた方がいいわよ、あの子ああ見えて結構手強いんだから―」
「ああ、違う違う。後から来た子。」
にこ「ああ、穂乃果ね。そこの和菓子屋さんの見習いよ。まあ、しょっちゅうじゃないけど、たまにね。」
ツバサ「……へえ、穂乃果さんっていうんだ…」
80 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/26(月) 23:21:47.43 ID:X2O94AVR.net
――
――――
にこ「いらっしゃい穂乃果。待ち合わせ?」
穂乃果「うん!ことりちゃんと!お父さんがもういいぞって言ってくれたから早くついちゃった!」
にこ「お疲れ様。明日は休みでしょ。何か飲む?」
穂乃果「うん!えっとね…」
ツバサ「――はい。お疲れ様。」スッ
穂乃果「え?」
ツバサ「お仕事だったんでしょ?一杯ごちそうするわ。」
穂乃果「え、でも悪いですよ…」
ツバサ「いいのよ。一人じゃ味気なかったから、付き合ってくれない?」
穂乃果「じゃあ一杯だけ…」
ツバサ「うん。ありがと。」トットット
穂乃果(きれいな人だなあ…)
81 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/26(月) 23:27:52.89 ID:X2O94AVR.net
穂乃果「――そうなんですよ~。もう朝が早くって大変で!」
ツバサ「へえ、そんなにやることがあるのね。」
あっという間に仲良くなったわね。まあ、穂乃果だしね。こういうところは素直にうらやましいわ。
ツバサ「大変な仕事なのね、尊敬するわ。」
穂乃果「そんな、穂乃果なんてまだ見習いで…」
ツバサ「ううん。穂乃果さんはとっても素敵よ。…きれいな手ね。職人さんってもっとゴツゴツしてるのかと思ってた。」
ナデナデ
穂乃果「あ、いえ、その…///」
ことり「…穂乃果ちゃん!」
82 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/26(月) 23:37:44.42 ID:X2O94AVR.net
穂乃果「あっ、ことりちゃ」
ことり「ごめんねぇ~!遅くなっちゃって!『変な人』にナンパなんかされてないか心配だったよぉ~!」
ズイッ
ツバサ「ちょ、いたっ…」
ことり「あっ、すいません♪さ、穂乃果ちゃん。今日はことりがたぁ~っくさんお疲れ様してあげるね?」
穂乃果「あ、ありがと。…なんか怒ってる?」
ことり「え?そんなことないよ?さ、飲んで飲んで♪」
穂乃果「あ、ツバサさんのくれたのがまだあるから…」
ツバサ「大丈夫よ穂乃果さん。ゆっくりやってちょうだい。…夜は長いんだから、ね?」ギュ
ことり「…!」
…さすがの穂乃果もその日はサンドイッチを頼まなかったわね。
なにせ自分がサンドイッチになってたんだから。
…まったく、他所でやってほしいわよ…ったく…
83 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/26(月) 23:52:57.20 ID:X2O94AVR.net
――
――――
穂乃果「…はあ。」
にこ「珍しいわね。あんたがため息なんて。」
にこがなんだか元気のない穂乃果を見かけたから、連れてきたのは開店前のにこのお店。
お茶でも飲んでいったら?そう言いおいて仕込みをするにこの隣で大きなため息が聞こえたの。
穂乃果「…にこちゃん。穂乃果、どうすればいいのかなあ…」
にこ「どうすれば、って…そんなのわかるでしょ。」
茹でたじゃがいもの皮を剥きながら、目も合わさずに答える。
穂乃果「穂乃果、こういうのよくわかんなくって…」
にこ「もう、しっかりしなさいよね。…やっぱり、はっきりさせるのがいいんじゃないの?」
穂乃果「はっきり?」
84 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 00:07:24.03 ID:Vh/0zizV.net
にこ「ツバサ、最近じゃ穂むらにも来てるそうじゃない。」
穂乃果「うん、よく来てくれるよ!お饅頭好きなんだって~。」
にこ「…あんたのそういうとこがダメだって言ってるの。…熱っ。」
穂乃果「え?」
にこ「あのねぇ…そうじゃないでしょ?ツバサがあんたに求めてるもの…わかるでしょ?」
穂乃果「…」
にこ「ことりだって、このままじゃかわいそうだわ。…辛いかもしれないけどね、ここでキチンとさせるべきよ。」
わざと穂乃果を見ないようにして仕込みを続ける。こういうのってどうも苦手なのよね…
穂乃果「あ…うん。」
にこ「何かを手に入れたら何かを失うこともあるわ…悲しいけどね。」
にこ「頑張りなさいよ。応援してるから。」
穂乃果「にこちゃん…!」ガタッ
にこ「フン!…ってこら!厨房に入ってくるんじゃないわよ!」
穂乃果「にこちゃんありがとっ!」ギュー
にこ「おわっ!ちょっと!離れなさいよ あほのか!」
85 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 00:18:32.25 ID:Vh/0zizV.net
それから、穂乃果もとうとう覚悟を決めたみたい。
一人で店に来て「今日は特別なサンドイッチを作って!」って。
大方、自分の好物で二人の将来をお祝いするつもりなんでしょ。子どもっぽいわね…
そして、やってきたのは…
ことり「お待たせぇ~♪」
86 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 00:32:32.02 ID:Vh/0zizV.net
引き戸を開けたのは――ことり。
ま、そうなるわよね。幼なじみって定番だもんね。
ことり「穂乃果ちゃん、今日は大事なお話があるって…」
穂乃果「うん。まあ、座って?」
ことり「あ、うん…グスッ」
穂乃果「え、どうしたのことりちゃん?」
ことり「ううん、ことりね…嬉しいの・・穂乃果ちゃんがことりのことを考えてくれて…」
穂乃果「ことりちゃん…穂乃果はいつだってことりちゃんのことを考えてるよ。」
ことり「うん…うん…幸せにしてね…?」
穂乃果「うん!任せてよ!」
ことり「ホノカチャン!」
あー…そういうお店じゃないんだけどなあ…まあ、まだしばらくはお客さんもこないからいいかな…
ガラッ
ツバサ「穂乃果さん。お待たせ!」
87 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 00:50:56.77 ID:Vh/0zizV.net
にこ「えっ」
ことり「えっ」
ツバサ「えっ」
―――お店の中の時が止まったわ。
穂乃果「あっ、ツバサさん!」
ツバサ「――あの、穂乃果、さん?今日は、大事な話があるって…」
穂乃果「うん!そうだよ!さっ、こっちに座って!」
ツバサ「え、ええ…?」
88 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 00:58:55.04 ID:Vh/0zizV.net
ことり「えっと…あの…どういう、ことかな…?」
穂乃果「うんうん!何も言わなくていいよ!穂乃果はちゃーんとわかってるからね!」
ツバサ「わかってるって…こんなの…」
そう得意満面の顔で頷くと穂乃果はことりの手をとって
ことり「あ…穂乃果ちゃん…」
ツバサの手をとって…ってええ!?
ツバサ「あ…」
二人の手を重ね合わせたの。
穂乃果「はい!…も~、二人とも素直になりなよ!」
89 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 01:06:12.60 ID:Vh/0zizV.net
ああ…そっか、こういう子だったわね…
穂乃果「二人ともダメだよー。恥ずかしいのはわかるけど、穂乃果をダシにしないでさ、はっきり言わないと!」
穂乃果「何かを手に入れたら何かを失うこともある…穂乃果との時間は減っちゃうけどこれからはツバサさんと仲良くね。ことりちゃん。」キリッ
ことり「え…えええ…」
穂乃果「ツバサさん。本当はことりちゃんと話したかったんだよね。ごめんね、穂乃果にぶちんだから…」
ツバサ「あ、あの…」
穂乃果「へいマスター!アレを!」スカッ
指パッチンしようとしてはずしてる…ってかマスターじゃないんだけど…もう突っ込む気力も起きないわね…
ことり「…」
ツバサ「…」
…今日はお客さん、来てもすぐ帰っちゃいそうね…
90 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 01:10:19.28 ID:Vh/0zizV.net
――
――――
――――――それから、どうしたかって?
ことり「はい穂乃果ちゃん、あ~ん♪」
穂乃果「あ、あ~ん…」
ツバサ「はい、次はこっちよ。あ~ん。」
穂乃果「むぐ…まだふちにふぉこっへ…むごっ」
ツバサ「早くして、ね?」
サンドイッチになってるわよ。
91 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 01:11:05.38 ID:Vh/0zizV.net
第3夜 「サンドイッチ」終わり
次回 「玉子焼き」 次で最後です。
97 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 21:54:35.56 ID:Vh/0zizV.net
「――こんばんは。一曲演らせてもらえないかしら?」
その子がにこのお店に来たのはあと数日で今年も終わるっていう晩のことだったわ。
にこ「はあ?…悪いけど、そういうのは間に合ってるの。…だってぇ~ここには宇宙一のスーパーアイドルがいるんだも~ん!」
「…宇宙一?プッ…ふふ、なにそれ、イミワカンナイ。」
とびっきりのにこにースマイルを前にしてそんな失礼なことをのたまったわ。
気の強そうな目元と赤髪がちょっとだけ可愛いけど…なんて失礼な奴!
にこ「ちょっと、今なんつったの?…何度も言うけどね、うちはそういうの間に合ってるの。出てって。」
「間に合ってるって…さっきからお店に流れてるこれのこと?」
これ?…まさか天下の名曲「にこにーにこちゃん」のことを言ってるの?
にこ「そうよ、にこの作ったにこのための名曲『にこにーにこちゃん』素晴らしいでしょ?」
98 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 21:55:24.63 ID:Vh/0zizV.net
「え?…」
その子が軽く目を見開いた。
それから、ゆっくりと目を閉じて、指先や足でリズムをとりはじめる。
にこ「…ちょ、ちょっと、何やってんのよ…」
「ん…こんなもんかしらね。完成には程遠いけど。」
そういってカバンの中からアコーディオンを取り出したわ。
「いつもはグランドピアノなんだけどね。…そこのピアノ・バー、つぶれちゃったから。」
にこ「ちょっと!やめてったら!」
「これだって中古のガラクタなの。…まあいいわ。それじゃ、始めるわね。」
その子は呆気にとられるにこを無視して演奏を始めたわ。
「~~~♪」
99 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 21:56:51.65 ID:Vh/0zizV.net
――――正直驚いたわ。
しがない流しだと思ってたけど…
それは『にこにーにこちゃん』のアレンジだった。
悔しいけど、にこの歌じゃないみたい。ううん…何倍も…何十倍も素敵。
それに…
パチパチパチパチ!
店内のお客さんから盛大に拍手が送られる。
100 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 21:57:24.13 ID:Vh/0zizV.net
「どう?悪くないでしょ?」
にこ「え、ええ…そうね…まあまあ、ね。」
「じゃあ何かご馳走してくれない?お腹ペコペコなの。今日のお代はそれで勘弁してあげる。」
にこ「はあ!?…まあ、いいわ。そこに座って。」
「ありがと。何にしようかな…とりあえず冷やしトマトとビールちょうだい。」
にこ「…図々しいわね。」
101 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 21:58:47.58 ID:Vh/0zizV.net
「――zzz」
にこ「呆れた。お酒、弱いんじゃないの。」
その子はカウンターの隅でいつの間にか船を漕いでいたわ。
にこ「まったく…ちょっと、起きて。もう店じまいなの。」
「…ヴェ?…あ、ご、ゴメンナサイ」
にこ「はいこれ、食べたらかえんなさい。」
そういって出したのは黄色くてふわふわの特製玉子焼き。
「え…?いいの?」
にこ「さっきお腹へってるっていってたじゃないの。それなのに何も食べずに寝ちゃって…」
「あ、うん…そ、その…ありがと…」
にこ「これ、好きでしょ?…いっつもにこのお弁当、羨ましそうに見てたもんねぇ~?」
「えっ?」
にこ「…でしょ? 真姫ちゃん。」
103 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:00:36.73 ID:Vh/0zizV.net
真姫「にこちゃん…気づいて…」
にこ「ちょっと似てるな、って思ったけどね。真姫ちゃんこそ、なんですぐに言ってくれなかったの?」
真姫「そ、それは…」
ま、大方今の自分を見られるのが恥ずかしかった、ってとこでしょ。
…苦労、してるみたいだしね。
真姫「――やっぱり、音楽を諦められなくて、パパと大げんかして出てきたところまではよかったんだけどね…」
にこ「で、今は流しの仕事で食いつないでるってわけ?」
真姫「それは最近のことよ!…ちょっと前までは会員制の高級クラブで弾いてたんだから…」
にこ「はいはい。ま、とりあえず食べたら?…それから、ゆっくり聞くから。」
真姫「…うん。いただきます。」
真姫ちゃんが嬉しそうにふわふわの玉子焼きを切って口に運ぶ。
本当、この子はすぐに顔に出るわね。変わらないわ。
104 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:01:09.26 ID:Vh/0zizV.net
にこ「どう?おいしい?」
真姫「…」
あれ?真姫ちゃん微妙な顔してる?
にこ「真姫ちゃん?」
真姫「――あ、うん。おいしい。さすがにこちゃんね。」
にこ「あら?随分素直じゃない。」
真姫「べ、別に!思ったことをそのまま言っただけ!にこちゃんって昔っからそうよね!」
にこ「え~?にこにーわかんなぁ~い!」
105 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:01:34.35 ID:Vh/0zizV.net
それから、真姫ちゃんは毎晩お店にやってきた。
「~~~♪」
真姫ちゃんは本当に嬉しそうに歌って。お客さんもすっごく喜んでた。
にこ「…グスッ」
時々、お店を閉めてから真姫ちゃんは『あの頃』のすっごくすっごく懐かしい歌を歌ってくれた。
そういう時はにこも真姫ちゃんも最後には決まって泣いちゃって、歌にならなかった。
106 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:03:05.91 ID:Vh/0zizV.net
――その日も真姫ちゃんはやってきた。
みんなで歌って、みんなで食べて、にこのお店が前よりずっとずっと明るくなったみたい。
最近じゃ真姫ちゃんの歌を目当てにくるお客さんまでいる。…ま、アイドルには引き立て役が必要よね。
「――すいません。こちらに真姫さんとおっしゃる方がいるって…」
突然、品の良さそうな女の人が入ってきたの。
おばあちゃん…とまではいかないけど、もう結構なお年みたい。あまりうちのお店に来るタイプではないわね。
にこ「ああ、ごめんなさい。悪いけどもう閉店――」
そう言いかけた時。
真姫「和木、さん―。」
「お嬢様!」
真姫ちゃんが声を上げた。
107 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:03:42.70 ID:Vh/0zizV.net
真姫「何しに来たの?…悪いけど、家には帰らないわよ。」
「お嬢様…」
真姫「どうせ、パパに言われて来たんでしょ?…自分で来ればいいのよ。いっつもそう、そうやって人を見下して…」
「…無理、なんです。」
真姫「は?」
「…先日、お仕事中に脳梗塞でお倒れになって…それからずっと…」
真姫「え…」
「ずっと意識が戻らないままで…お願いですお嬢様!どうかお戻りに…」
真姫「…」
「お嬢様!」
108 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:04:07.79 ID:Vh/0zizV.net
真姫「…い、いやよ。」
にこ「ちょっと!何いってんの!?」
真姫「わ、私が出て行く時…あの人が私に何を言ったか…知ってるでしょ?」
「それは…もののはずみで…」
真姫「い、いやったらいやよ!絶対…絶対…」
そうつぶやきながら真姫ちゃんは自分の腕を抱いて震えていた。
109 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:04:45.11 ID:Vh/0zizV.net
にこ「――アンタねえ、いい加減にしなさいよ。」
真姫「にこちゃんには関係ないでしょ!」
あーあ、もう何度目かしらね。このやりとり。もうすぐ日付も変わるっていうのに…
にこ「どうすればいいか、なんてわかってるでしょ?」
真姫「…」
…ったく。
にこ「――ねえ、おなかへったでしょ。これ食べなさいよ。」
もう日付も変わった頃、にこは玉子焼きを作ったの。
真姫「いらない、食べたくない。」
にこ「いいから。せっかく作ったんだから一口ぐらい食べなさいよね。」
真姫「…」
渋々、真姫ちゃんが玉子焼きに箸を伸ばす。
110 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:05:18.17 ID:Vh/0zizV.net
真姫「…」
真姫「え?…これ…この味…」
にこ「一緒でしょ?…あの頃と。」
真姫「にこちゃん気づいてたの?」
にこ「こころ達も大きくなったからね。もう甘いのは作らなくなっちゃったの。…ほら、うちはお酒を飲む人も多いから、ね?」
真姫「…」
にこ「意地っ張りでお子様の真姫ちゃんにはぴったりでしょ?あっまぁ~いお砂糖たっぷりの玉子焼き。」
真姫「なによそれ…イミワカンナイ…」
にこ「ねえ、真姫ちゃん…ずっとお子様ではいられないわよ?…変わっていくの。何もかも。」
真姫「…」
にこ「でもね、にこはここにいるから…このお店でずっと待ってるから…変わらないで、ずっと待ってるから…」
にこ「いってきなさい、真姫ちゃん。」
111 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:05:43.09 ID:Vh/0zizV.net
真姫「にこちゃん…」
真姫「…私ね…にこちゃんのお弁当がうらやましかった。」
真姫「素朴で、可愛らしくて…『お母さんのお弁当』ってこんななのかな、って…ずっと思ってた。」
にこ「…」
真姫「勿論にこちゃんが作ってるって知ってたけど…私にとっては温かい家庭の象徴だったの。」
真姫「私には、そんなの、なかったから…だから…だから…」
にこ「…そう。」
その後、真姫ちゃんはもう玉子焼きには箸をつけなかった。
112 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:06:11.58 ID:Vh/0zizV.net
次の日から真姫ちゃんは来なくなったわ。
お店はまた、静かになった。
113 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:07:16.87 ID:Vh/0zizV.net
――
――――
――――――――
真姫「――うん、なんとか一命はとりとめたわ。ありがと。にこちゃんのおかげよ。」
真姫ちゃんがもう一度やって来たのはもう大分暖かくなった頃のことだった。
にこ「そう、よかったわね。」
あの後、真姫ちゃんはずっとお父さんのそばにいたみたい。
お母さんもお手伝いさんも喜んだのは言うまでもないわね。
真姫「でもね…後遺症が残っちゃって、私が誰かもわからないの。」
にこ「…そう。」
真姫「…罰があたったのかしらね。パパじゃないわよ。私に。」
にこ「そんなことあるわけないでしょ!」
114 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:07:52.63 ID:Vh/0zizV.net
真姫「っ!」
にこ「ご、ごめん…」
真姫「…ううん。ありがと。」
にこ「そ、それで?ピアノはどうするの?」
真姫「うん。経営の勉強しながらだから前みたいには弾けないけど…週2で病院のラウンジで弾かせてもらってるわ。」
にこ「へえ、よかったじゃない。」
真姫「うん。それで…それで、ね…?」
115 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:08:52.56 ID:Vh/0zizV.net
『――お嬢さん。ピアノが上手だねえ』
『――コンクールをひらいたらきっと一番だねえ。』
『――僕は君のピアノが好きだなあ。』
真姫「――パパがね、わた、私のっことなんか誰だかわからないのに、ね?」
真姫「真姫ちゃんの、ね?ピアノはっ、ね?…上手だって…一番だ、って…」
真姫「パパっ、パパ、パパがね?私の、ピアノが、好きだって…好き、だって…」
真姫ちゃんの目からぽろぽろと涙が落ちていく。
にこは何も言わないで真姫ちゃんのことをそっと抱きしめた。
116 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:09:44.00 ID:Vh/0zizV.net
真姫「うわああああああああっ!!」
頑張ったわね真姫ちゃん。辛かったわね真姫ちゃん。
真姫ちゃんの肩についた桜の花びらがもう春だと告げていた。
もう少し落ち着いたら、みんなでお花見でも行きましょう。あの頃みたいに。
玉子焼きをつめたお弁当を持って。
第4夜「玉子焼き」終わり
117 :名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/:2015/01/27(火) 22:10:52.07 ID:Vh/0zizV.net
1日が終わって、みんながおうちへと急ぐ頃、にこの1日は始まるの。
メニューはこれだけ。
・にこにー定食 252円
・にっこにっこにー 600円
・にっこにー 500円
・ラブにこ☆ 450円
☆にこにーは一人3回までニコ♪
あとは勝手に注文してくれれば、できるものなら作ってあげるってのがにこの営業方針なの。
営業時間は夕方5時から夜10時頃まで。みんな「深夜にこにー」なんて言ってるわね。
深夜じゃないじゃないかって?夜更かししてたらお肌が荒れちゃうじゃない!
だ・か・ら・アイドルにとっては十分深夜なの。それにお客さんだって結構来るのよ。
「――いらっしゃい。何にする?」


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