1: 名無しで叶える物語(茸) 2023/05/04(木) 13:21:19.42 ID:uichgg6M
花帆「でも、もう苦しいですよ……」

花帆「もうサウナ出ていいですか?」

梢「もう少し、そうね……。心拍数が普段の2倍になるくらいまで」

花帆「それってどのくらいですか?」

梢「軽く走った時くらいね」

花帆「えー……? よくわかりません……」

梢「失礼するわね」スッ

花帆「えっ!? ど、どうしたんですか、急に手を取って──」ドキッ

梢「脈を測っているの。……あら、結構早いわね。これだったらあと1分経ったら出ましょうか」

花帆「そんなことされたら別の意味でドキドキしちゃいますよ……」ボソッ

3: 名無しで叶える物語(茸) 2023/05/04(木) 13:24:55.17 ID:uichgg6M
花帆「サウナから出たらどうするんですか……?」

梢「水風呂に入るのだけれど──」

花帆「えー!? これから水に入るんですか!?」

花帆「さっきまで90度くらいの部屋にいたんですよ!?」

梢「その前に、きちんと汗を流さないといけないわ」

梢「かけ水は──慣れるまでやめておきましょうか」

梢「ぬるめのシャワーで汗を流しましょう」

花帆「あ、あたしはその、水風呂は遠慮しようかなー、なんて……」

梢「サウナに入って水風呂に入らないのはもったいないわ、少しだけでいいから入ってちょうだい」

花帆「えー……?」

7: 名無しで叶える物語(茸) 2023/05/04(木) 13:29:44.41 ID:uichgg6M
梢「ふぅ……」チャプン

花帆「……」オソルオソル

花帆「ひぃっ! 冷たい!」ビクッ

梢「足先から徐々に慣らしていきましょう」

花帆「梢センパイはよく平気で入れますね……」

梢「実はわたくしは水風呂が一番好きなの」

梢「サウナのヒロインは水風呂ね」

花帆「梢センパイがそこまで言うなら……! えいっ!」チャプン

梢「! すごいわ、花帆さん! 一気に肩まで浸かるなんて!」

梢「そのまま少しだけじっとしていてね」

花帆「は、はい!」

9: 名無しで叶える物語(茸) 2023/05/04(木) 13:34:13.32 ID:uichgg6M
花帆「あれ、だんだん冷たくなくなってきました」

梢「温度の羽衣ね。身体の周りに温まった薄い水の層ができるの」

梢「気持ちいいでしょう?」

花帆「なんだか不思議な感覚ですね……」

梢「羽衣は繊細だから、それ」

花帆「わっ! 急に冷たくなりました!」

梢「ちょっとした動きだけで壊れてしまうの」

梢「さて、休憩しましょうか」

花帆「休憩、ですか?」

梢「サウナ室、水風呂、休憩。これがサウナなの」

梢「休憩──外気浴がサウナの本番と言っても過言ではないわ」

梢「あそこの椅子に座って心拍を落ち着けるのよ」

花帆「へえ、それで1つの流れなんですね」

11: 名無しで叶える物語(茸) 2023/05/04(木) 13:37:16.00 ID:uichgg6M
梢「はい、花帆さんの分の椅子もお湯で流しておいたわ」

花帆「あっ、ありがとうございます」

梢「ここに座って、ただゆっくりしていて」

花帆「ゆっくり……」

花帆「……」

花帆(なんだかふわふわする……)

花帆(なんだろう、これ……。気持ちいい……)

花帆(まるで身体が空気に溶けていくみたい……)

花帆(……)トロン

13: 名無しで叶える物語(茸) 2023/05/04(木) 13:40:51.50 ID:uichgg6M
──

梢「花帆さん」

花帆「はい……」トロン

梢「そろそろ身体が冷えてしまうわよ」

花帆「え? もうそんなに経ちました?」

梢「そうね、もう20分くらい経つかしら」

花帆「そんなに!?」

花帆「ごめんなさい、お待たせしてしまって──」

梢「ふふ、気持ちよかった?」

花帆「はい! なんだかふわふわして、最高でした!」

梢「それはよかったわ。それじゃあ今日はあと2セットやって帰りましょうか」

花帆「2セットと言わずあと10セットくらい──」

梢「何事も無理は禁物よ」

花帆「あっ、そうですよね……」

梢「きちんと水分を取って、無理だけはしないように、ね?」

14: 名無しで叶える物語(茸) 2023/05/04(木) 13:43:36.75 ID:uichgg6M
──

花帆「昨日は気持ちよかったなあ……」

さやか「昨日何かあったんですか?」

花帆「梢センパイとサウナに行ったの!」

さやか「サウナ、ですか?」

花帆「そう、サウナ!」

花帆「知ってる? サウナに入った後って休憩するんだけど、休憩がすごく気持ちいいの!」

さやか「休憩、ですか……?」ジトッ

綴理「こず……」ジトッ

梢「ち、違うの。休憩ってそういう意味ではなくてね、そのままの意味で──」

花帆「休憩するとね、こうふわーってなってまるで天にも登る気持ちよさなんだよ!」

さやか「……乙宗先輩」

綴理「何も知らないかほに無理矢理するのはよくないと思う」

梢「だからそういう意味ではなくて! 花帆さんも誤解をといて!」

花帆「?」キョトン

おわり

引用元: 花帆「梢センパイ、もう我慢できません。もうでます……!」梢「もう少しだけ我慢して」