1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:24:17.09 ID:C2UIs4b0p.net
ーロンドンのホテルー

右京「亀山くんのときは彼が自主的に辞職したので快く別れられましたが」

右京「神戸くんのときは本人の意思を尊重せず、はんば無理矢理部署異動したみたいですしねぇ」

右京「そしてカイトくんに至っては……」

右京「やはり僕は人材の墓場なのでしょうかねぇ、無期限の謹慎処分が解かれたらまた一人ですし」

プルるるるる

右京「おや、電話ですか、誰でしょう?」

右京「もしもし」

???「もしもし、おひさしぶりです、杉下さん」

6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:28:04.66 ID:C2UIs4b0p.net
右京「これはこれは、わざわざロンドンからおかけになるとは、なにか急用でも?」

???「いえ、そういうわけではないのですが……」

右京「用件もないのに電話ですか、亀山くんと違って時差のことを考慮に入れてかけてきてくれたのはさすがですが、一体どういうつもりでしょうか?神戸くん」

神戸「まあ別に良いじゃないですか、用もなく電話をしてはいけない、なんて法律、日本にもイギリスにもありませんし」

右京「それはそうですが、ではきみはなんの理由もなく僕に接触を図ったのですか?」

神戸「ええ、まあしいて言うならちょっと杉下さんと、お話がしたくなっちゃったんですよ」

30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:36:47.24 ID:BVGNLRiQp.net
右京「きみ、時々異常なまでに不気味なことを言いますねぇ」

神戸「ひどいことおっしゃりますね、元上司と雑談に戯れたいと思っただけで、どうして気味悪がられなきゃならないんですか」

右京「それだけで電話をかけたということが不気味なんですよ」

神戸「フフ、なにがですか?」

右京「海外に電話をかけるということは当然、国際電話のはずです。基本的に国際電話は他国との電話回線を使いますよね、ええ。ということは日本の電話会社がその国に高額な使用料を払わないといけないので、電話代が高くつくものなんですが」

神戸「それは知ってますが、どうして今そんなことを?」

右京「知っているなら、なおさら腑に落ちません。単に僕と会話を交わしたいだけで高額だとわかっている国際電話を利用なさってるんですから」

神戸「お言葉ですが、僕は電話料金をケチるほど安月給じゃありませんよ」

右京「ええ、きみの給与に関してとやかく言うつもりはありません」

40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:42:23.93 ID:BVGNLRiQp.net
右京「しかし、どうにも不自然なんですよ。今まできみは僕と喋りたいという理由だけで、電話をかけたことは一度もありませんでした」

右京「それが僕が遠方へ行ったばかりのこの時期に、初めてお話をしたくなったというのは少々タイミングが良すぎな気がするのですがねぇ。なにか他に用事があるのではないですか?」

神戸「考えすぎですよ、他意はありません。純粋に杉下さんとトークを楽しみたいだけです」

右京「まあ……。そういうことにしときますか」

神戸「なんかちょっと引っかかる言い方ですが……まあ良いです」

右京「それではなにか話題を振って頂けませんかね。なにぶんこういうことには慣れていないものですから」

神戸「ええ、構いませんよ、それじゃあですね……」

45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:46:02.79 ID:BVGNLRiQp.net
それから杉下右京と神戸尊は様々なテーマで会話をした。紅茶やチェス、最近読んだミステリー小説などなど……。二人はだいぶ談笑にふけこんだが、しばらくして右京が告げた。

右京「気づけばだいぶ長い間話してますねぇ。そろそろ切らないと電話代がとんでもないことになりそうですよ」

神戸「あ……。本当だ、さすがにこれ以上はまずいかな。それじゃあ杉下さん、また帰国なさったらお会いしましょう。甲斐享と一緒に」

右京「はいぃ?」

神戸「……。大河内さんから聞きましたよ、甲斐享。またの名をダークナイト、驚きましたまさかこの2年半、世間を賑わせていた暴行犯の正体が杉下さんの相棒だったとは」

右京「ええ、僕も正直まだ信じられません。彼がずっとあのような闇を抱えていたとは」

神戸「人間誰しも一つや二つ抱えているものですよ。俺だって裁判所で嘘の証言をしたことを悔やんでも悔やみきれないでいるんですから」

右京「……。少しきみに尋ねたいことがあるのですが」

神戸「はい?なんでしょう」

48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:47:28.68 ID:BVGNLRiQp.net
右京「これはカイトくんの父上、つまり甲斐次長がおっしゃったことなのですが、甲斐享が犯行を続けていたのは無意識の内に杉下右京、つまり僕に対抗心を燃やしていたのが要因ではないかと推察なさっているのですが、きみはこの次長の推測に関してどう思いますか」

神戸「次長の言ってることは見当違いも甚だしいです」

右京「……。即答しましたねぇ、もっと返答まで時間がかかるものだと思いましたが」

神戸「彼は杉下さんと三年も一緒に居たんですよね?だったら彼がそんなつまらない理由で人に暴力を振るうなんてことありえませんよ。彼と同じく三年あなたの部下だった僕が言うんです。間違いありません」

右京「ではきみにはカイトくんが犯罪をおかした理由がわかるのですか?」

52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:50:38.64 ID:BVGNLRiQp.net
神戸「それは……。わかりません。でもこれだけは断言できます。甲斐享が暴行を行ったことと杉下さんにはなんの因果関係もないって」

右京「その証拠はあるんですか?」

神戸「……ありません」

右京「証拠もなしに断言とはきみらしくありませんねぇ」

神戸「フフ、たまにはらしくないことをしてみるのも良いかなぁって」

右京「…………」

神戸「だから杉下さん、日本に戻ったら俺と一緒に留置所で甲斐享と面会しましょう。そして三人で話し合って考えるんです、彼がどうしてこんなことをしてしまったのか、その動機を」

右京「動機に関してなら本人がすでに自供しています、犯行をくり返すたびに世間から英雄扱いされて達成感があったから、と」

神戸「本当にそんなくだらない理由なんでしょうか」

右京「と、言いますと?」

53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:52:47.94 ID:BVGNLRiQp.net
神戸「もっと……。もっと他になにかあったんじゃないでしょうか。上手く言えませんけど達成感や対抗心なんてものじゃなく、もっと深いなにかが……」

右京「その憶測にも証拠はないのでしょう?」

神戸「……なんでも証拠、証拠ですか」

右京「警察官としては当然のことです」

神戸「そうですよね……正論です。どうしようもないほどに」

右京「……。それでは本当に長時間電話をしているので、そろそろお開きにしたいのですが」

神戸「はい、わかりました、それではまた日本で」

右京「ええ」ガチャ

58: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/22(日) 11:54:56.09 ID:BVGNLRiQp.net
ー神戸宅ー

神戸(はぁ、なんか失敗したなぁ。杉下さんを励ますつもりでかけたんだけど)

神戸(俺の『甲斐享、なにか他に深い理由があった説』も普通に論破されちゃったし)

神戸(しょうがない、長谷川副総監の目を盗んで独自で捜査するとしますか)

神戸(さしあたってはまず彼の恋人に当たってみるかな……)

神戸(よし、行くか、神戸尊!)    ドアガチャ



END

引用元: 右京「だんだん相棒との別れ方がひどくなってる気がしますねぇ」