1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/27(金) 23:19:10.86 ID:moFPpalr0.net
あかり「やめられないよぉ」

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/27(金) 23:35:11.23 ID:moFPpalr0.net
赤座あかりちゃんがお酒に溺れ出したのは

もういつのことか覚えてはいない

ただ確実なのは

中学の三年の時には

アルコールを体に入れて登校することに

抵抗がなくなってたという事だ

赤座あかりちゃんは日々のストレスの解消法を

至って不健全に

間違った方向に覚えてしまった

飛び方を知らない鶏のように

羽の使い道を知らないままその存在を当然としているように

赤座あかりちゃんはストレスの為に酒に溺れた

9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/27(金) 23:41:28.74 ID:moFPpalr0.net
それは単純な好奇心からきた

その好奇心は肥大した心労からきていた

青ざめた頬に

黒ずんだ目元は

百人に聞けば全て疲労だと答える状態だった

赤座あかりちゃんは存在が薄いだとか

部活内での扱いが酷いだとか

自律的に自己を確立させていく非常に難しい第二次性徴期に

複雑で難しい精神状態を構築する環境にいてしまった

それは赤座あかりちゃんの構成要素として定着したために

自意識で取り除くことは出来なかった

自意識で自意識をデリートするには赤座あかりちゃんはまだ幼くありすぎた

積み上げたものは

何事においても崩すのは困難だった

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/27(金) 23:48:25.12 ID:moFPpalr0.net
櫻子「話って?」

あかり「少し相談があって・・・」

櫻子「なるほど・・・」

あかり「あかりは・・・」

櫻子「この臭いはアルコールだね。おそらくストレスからきている。発散する手段がお酒だということは、誰にも相談できていない難しい問題だね」

あかり「・・・・・・・・・」

櫻子「そして相談相手が私だという事は・・・その悩みは娯楽部から来ている。そうだね?あかりちゃん」

あかり「・・・うん」

櫻子「その割にスカートへの皺や制服がよれた形跡がないことからも家庭内では良い子であろうと振舞っている」

あかり「・・・・・・・・」

櫻子「それも原因から相乗されたストレスの一部だよ、あかりちゃん」

あかり「・・・・・・うん」

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/27(金) 23:51:37.39 ID:moFPpalr0.net
皆が同じ高校に進学して

再開された娯楽部はいつにもまして

赤座あかりちゃんへの扱いが雑になっていった

慣れがもたらす無配慮な言動の端々は

実行者にとって大した意味がなかったとしても

受動者にとっては不満の蓄積として禍根となってしまう

赤座あかりちゃんは高校にきて

そしてもう通常の生活を持続できる精神状態ではないと感じてしまっていた

12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/27(金) 23:55:28.26 ID:moFPpalr0.net
櫻子「あかりちゃんが元の状態に戻るには」

櫻子「それはとても労力を要する事なんだ」

あかり「・・・・・・うん」

櫻子「正常に戻る為の長く厳しい日々が待っているよ」

あかり「・・・・・・・・・」

櫻子「でもね、一つだけ今の状態を肯定して道のりを歩くことだってできるんだよ」

あかり「えっ!?そんな事って・・・!」

櫻子「それはね、アルコールの楽園オサケーランドにいくことなんだ」

あかり「!!!」

13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/27(金) 23:57:33.06 ID:moFPpalr0.net
櫻子「そこではロクでなしのアルコホリック共が日夜お酒を飲んで」

櫻子「十字架に唾を吐いてカトリックを馬鹿にしているんだ」

櫻子「あかりちゃんなら其処にいけるかもしれない」

あかり「・・・!」

あかり「こんなあかりでも・・・?」

櫻子「そうだよ、あかりちゃん」

あかり「あかりでも行けるんだね・・・」

櫻子「そうだよ、泣かないで、あかりちゃん」

櫻子「きっとすべてよくなるよ」

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:00:52.14 ID:PkEBvm950.net


向日葵「アルコー♪アルコー♪」

向日葵「アルコーホリックのエデン♪」

向日葵「お酒が大好きー♪オサケーランッ(ド)♪」

向日葵「お酒に溺れたあかりちゃん~♪」

向日葵「オサケ~ランドに~向かっていくよ~♪」


15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:04:08.92 ID:PkEBvm950.net
櫻子「オサケーランドに行くにはこの銀河鉄道の切符が必要なんだ」

櫻子「おばあちゃんのおばあちゃんの代から受け継いだものだけど」

櫻子「有効期限は99年だからまだ使えると思うよ」

あかり「こんな高価なもの・・・!」

櫻子「いいんだよ、あかりちゃん」

あかり「でも・・・!」

櫻子「私は使う予定もなかったし、きっと使うべき人が使う為にあったんだよ・・・98年」

櫻子「私は友達のために渡せることが出来て光栄だよ」

あかり「さくらこちゃん・・・・・・・・・!」

櫻子「泣かないで、あかりちゃん」

16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:07:16.46 ID:PkEBvm950.net
櫻子「さぁ、行っておいで、あかりちゃん」

あかり「・・・うんっ!」

櫻子「さようなら、あかりちゃん」

あかり「・・・さようなら、櫻子ちゃん」

あかり「・・・・・・・・・ありがとう・・・!」

赤座あかりちゃんは夏の夜の草原で櫻子ちゃんと別れた

ビロードのような夜空は不思議に明るく

草原を吹き抜ける風は夏の暑さを吹き飛ばして爽やかであり

見上げれば妙に星が良く見える

そんな特別な日だった

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:13:01.52 ID:PkEBvm950.net
赤座あかりちゃんが駆けつけた駅は深い谷間の

霧のかかった何処でもない場所だった

銀河鉄道は空から降りてきて

赤座あかりちゃんを乗せた後夜空へと飛び立った

火星は瞬く間に過ぎ去った

木星へのスイングバイは行わかなかった

ただ太陽系最大の雷であるフラックスチューブに

赤座あかりちゃんは悲鳴を上げた

荒々しい怒号でありながら一種荘厳な青の光の渦中に

赤座あかりちゃんは宇宙の度に少し不安を抱いた

19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:15:13.99 ID:PkEBvm950.net
あかり「怖いよぉ」

結衣「やぁあかり」

あかり「結衣ちゃん!なんでここに」

結衣「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・・・・」

結衣「イオと木星を繋ぐ雷見たか?」

あかり「見たよぉ凄い怖かったなぁ」

結衣「私はもう五度目だ」

あかり「えっ・・・!」

結衣「とても贅沢ではあるけどとても悲しいことだよ、あかり・・・」

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:19:42.42 ID:PkEBvm950.net
あかり「それってどういう意味なの・・・」

結衣「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「あかりはなんで銀河鉄道に乗ってるんだ?」

あかり「それは・・・ごめんねぇ言えないよぉ」

結衣「そうか。まぁ私の場合も敢えて人に言う類の話でもないしな」

あかり「そうなんだぁ・・・」

結衣「この鉄道に乗るには理由が必要だなんだよ、あかり」

あかり「・・・・・・・・・うん」

結衣「私が五度フラックスチューブを見たのは五度の理由があったからだよ」

あかり「・・・・・・悲しい事が五回もあったのぉ・・・?」

結衣「そうだよ、あかり。こんなものは見ない方が良いってことだよ。見るには理由がいるから」

あかり「・・・そうだねぇ」

22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:23:24.75 ID:PkEBvm950.net
結衣「必要なものは大体用意されてるんだ、人生の中に」

結衣「だけど何か外側に出ないと見えない光景もあるということ」

結衣「それが何を意味するかは解らないけど」

結衣「得てしてそれはxxxxなことだよ」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「もうすぐ冥王星だよ、またね」

24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:26:14.62 ID:PkEBvm950.net
娯楽部で赤座あかりちゃんを雑に扱っていた一人の結衣ちゃん

そのお友達が銀河鉄道に五度乗っていることに

赤座あかりちゃんは少なからず驚いた

だけどそれは赤座あかりちゃんにとっては

最早気にすべき重要なことではなかった

赤座あかりちゃんが乗る銀河鉄道は

過ぎ去る距離と共に赤座あかりちゃんの余分思考を後方に流した

赤座あかりちゃんは宇宙と共に自分自身の事を

考えるだけになっていった

25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:31:42.72 ID:PkEBvm950.net
ビッグバンといわれる事件は

無と無限の狭間の揺らぎの中で生み出された

0と∞は最小の瞬間でのみ有限を生み出し消滅させていた

と数式は担保する

しかし有限がこの世界に誕生し宇宙は創られた

何故それが起きえたのか

宇宙の元々の理由は例外から生み出されている

赤座あかりちゃんもまた銀河鉄道に乗ることを許された

一つの理由の持ち主だった

26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:36:17.38 ID:PkEBvm950.net
あかり「ぶっひぇー宇宙ってどこまでも暗いだけだよぉ」

あかり「つまんなくなってきたよぉ」

あかり「あ!あれが冥王星さんかなぁ」

あかり「なんだか陰気くさい星だねぇ」

ちなつ「いまのあかりちゃんといい勝負ね」

あかり「ちちちちちち、ちなつちゃん!?」

27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:39:31.19 ID:PkEBvm950.net
ちなつ「あかりちゃんも乗ってたの?」

あかり「そうだよぉ・・・ちなつちゃんも?」

ちなつ「そうよ。悪い?」

あかり「ぜ、全然悪くないかなぁ・・・あはは・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「あかりちゃん最近学校来てなかったわよね」

あかり「そ、そうだっけかなぁ」

ちなつ「そうよ。ちーなちょっとは心配してたんだから」

あかり「あははだよぉ・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:42:54.19 ID:PkEBvm950.net
ちなつ「心配って言ってもそれほどのものじゃないけど」

あかり「あはは・・・」

ちなつ「でも少しは心配してたし・・・おうちにも行ってみたりしたけど・・・」

あかり「えっ・・・」

ちなつ「でもなんだか呼び鈴鳴らすのも悪い気がして」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「ほら、高校ってなんだか・・・馴れ合いがすぎると・・・」

あかり「・・・うん」

ちなつ「ダサいっていうか子供っぽいからあかりちゃんも嫌だろうなって」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・」

29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:45:06.55 ID:PkEBvm950.net
あかり「あかりは・・・」

ちなつ「結衣先輩も京子先輩も高校生だから色々あるよなぁって言いながら」

ちなつ「本当は心配して気にかけてたし」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「それでも、今日あかりちゃんを見られて・・・」

あかり「銀河鉄道で・・・?」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「それは・・・」

31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:50:58.48 ID:PkEBvm950.net
あかり「ごめんねぇあかり言い過ぎたよぉ」

ちなつ「ううん、いいのよあかりちゃん」

あかり「銀河鉄道は何処まで行くんだろうねぇ」

ちなつ「むかしは銀河鉄道に夢を見た時代があったんだよね」

あかり「・・・そうだねぇ」

ちなつ「今では連れてってくれるのはちーなたちみたいなものだよ」

あかり「・・・うん」

ちなつ「どうしてこうなったかは誰にも理由は解らないけど理由があること自体が」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「ちーなたちがここにいる意味なんだよ」

あかり「・・・・・・・・・」

32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:55:08.75 ID:PkEBvm950.net
ネットメディアの興隆が世界を一つに繋げる

ワン・ワールド――

一つの世界へと導くものだと思っていた時代はとうに過ぎ去り

残された技術の残滓はひたすら独自の進化と

奇怪な複雑系の様相を表すのみとなった

赤座あかりちゃんたちもまた

銀河鉄道に乗る一人だという事を

評価するに値する理由を明確に定めることは出来ない

そもそもが銀河鉄道だから

33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:59:39.77 ID:PkEBvm950.net
ちなつ「良く眠ってね、あかりちゃん」

あかり「・・・・・・・・・うん」

ちなつ「朝も昼も夜もないよここでは」

あかり「そうだねぇ」

ちなつ「地球の上でくるくる回らないと時間がないんだよ、あかりちゃん」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「だけど幸いな事にココアはあるから心配しないで、おやすみ」

あかり「おやすみだよぉ」

赤座あかりちゃんは眠くなって就寝した

期せずしてそれは日本時間の21時丁度だった

グリニッジが定めなくても赤座あかりちゃんは規則正しく生活出来た

34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:08:24.42 ID:PkEBvm950.net
オサケーランドが何処にあるのか

あとどれくらいの距離があるのか

そもそもこの銀河鉄道は何処まで向かうのか

赤座あかりちゃんはわからなかった

わからなくてわからなくて

また不安が押し寄せてきた

あかりちゃんは泣いてしまいたかった

溜めたストレスも全部

洗い流して捨てる様に泣いてしまいたかった

35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:11:07.90 ID:PkEBvm950.net


向日葵「オサケ~ランッ(ド)♪」

向日葵「あかりちゃんが向こうよそこは~♪」

向日葵「果てしなく遠くて辿りつけるかわからない~♪」

向日葵「オサケ~ランッ(ド)♪」

向日葵「泣かないであかりちゃん~♪」

向日葵「アルコ~ホリックのエデン~必ず辿り着く~♪」


36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:20:10.38 ID:PkEBvm950.net
赤座あかりちゃんにストレスを与えていた中でもう二人も

赤座あかりちゃんはこの銀河鉄道の中でみた

そのことについても

赤座あかりちゃんはたまらなく悲しい思いになった

そして恐ろしかった

あかりに銀河鉄道に乗る理由を与えた人が

二人もこの銀河鉄道に乗ることが許されていることに

赤座あかりちゃんは耐えられない恐怖を感じた

37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:24:45.96 ID:PkEBvm950.net
苦痛を与えたものは絶対的優越があるという

赤座あかりちゃんの想像してた図式と

あまりに駆け離れていた

単純化されたその想像は必ずしもそうとは言えないかもしれないけど

それでも二人もの人が銀河鉄道に乗ってる事自体が

推測できる通常の範疇を越えて

仕組みの奇妙さに慄いた

むかし

櫻子ちゃんはこう言っていた

赤座あかりちゃんはそれを思い出した

38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:32:06.54 ID:PkEBvm950.net
櫻子「現実は状態としてのチェスにとてもよく似ているよ、あかりちゃん」

あかり「どういうことぉ?」

櫻子「ほら、ナイトを動かせばルークはポーンにとられ」

櫻子「ポーンを動かせば自陣のキングは酷く無防備になる」

櫻子「こうやって複雑相互に関係してるのが現実なんだよ」

あかり「なるほどだよぉ」

櫻子「でもね、それは状態としてなんだ」

あかり「・・・・・・状態?」

櫻子「現実にはキングを詰めるという共通目的理念なんてほとんどの場合ないからね」

櫻子「無防備になったルークを必ずしもポーンがとるとは限らない」

櫻子「理論的な手順を踏まないのが現実なんだよ。だから状態としての現実なんだ」

あかり「なるほどだよぉ・・・」

櫻子「だけど複雑相互な関係は状態として必ず関係していることを」

櫻子「忘れない事が大事だよ、あかりちゃん」

39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:35:12.65 ID:PkEBvm950.net
複雑相互な関係が状態として必ず存在している事

赤座あかりちゃんは車内販売のカートから

500mlのアサヒビールを六本買って

太陽系外縁部へと向かう

うら寂しい漆黒の宇宙を見ながら

一息に煽った

40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:38:56.46 ID:PkEBvm950.net
京子「なぁ、あかり」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「顔上げろよ、綺麗なシリウス星系だぞ」

あかり「こんにちは、京子ちゃん」

京子「ああ・・」

あかり「京子ちゃんも乗ってたんだね」

京子「・・・・・・まぁな」

41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:40:47.41 ID:PkEBvm950.net
あかり「あかり銀河鉄道に乗ってからの方が解らないことだらけなんだよぉ」

京子「誰も他人の全てはわからないんだぞ」

あかり「それでもあかりはあかりだけも守りたいよぉ」

京子「人と付き合うことが人生なんだぞ。そんなの無理だ」

あかり「それなら人と付き合いたくないよぉ」

京子「銀河鉄道にずっと乗るのか?」

あかり「あかりはそれでもいいよぉ」

42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:44:46.45 ID:PkEBvm950.net
京子「・・・なぁ、シリウス見た事あるか?」

あかり「ないよぉ。あかり銀河鉄道は初めてだもん」

京子「私は二度目だぞ」

あかり「京子ちゃんたちは何の為に銀河鉄道に乗ったのぉ?」

京子「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「それはそれぞれの行先によるな」

あかり「はぐらかしたよぉ」

京子「今日は結構ぐいぐい来るな、あかり」

あかり「あかりはいま捨て鉢だよぉ。お団子すら捨ててしまいそうだよぉ」

京子「それはいけないぞ」

43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:51:50.91 ID:PkEBvm950.net
京子「気持ちはわからなくもないけど」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「銀河鉄道はずっと乗る事を理由としてないんだよ」

あかり「・・・・・・・・・ん」

京子「あかりが本当に欲しているものはなんだ?」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「あかりが頼っているものは手段でしかないんだよ」

あかり「・・・そうなのかな」

京子「理由が必要なんだよ銀河鉄道には」

あかり「・・・・・・うん」

京子「理由には然るべき結論が必要なんだ」

あかり「・・・結論?」

京子「そうだぞ、理由は結論があって初めて理由として成り立つんだ」

あかり「そうなのぉ・・・?」

京子「あかりが持つであろう結論が銀河鉄道に乗った理由で乗っている理由なんだよ」

44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:57:30.12 ID:PkEBvm950.net
あかり「あかりにはわかんないよぉ」

京子「それならそれでいいんだよ」

あかり「・・・・・・でもそれじゃああかりはずっとわからないまま銀河鉄道に永遠に乗り続けるの?」

京子「あかり」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「あかり・・・必要なものはいずれ出てくるよ遅いか早いかなだけで」

あかり「そもそも京子ちゃんたちがあかりを・・・!」

あかり「あかりを雑に扱ったからあかりはこんな目に・・・!ごくごく」

京子「・・・・・・・・・あかり」

あかり「ごくごくぷはぁ・・・なにだよぉ」

京子「銀河鉄道は目的地まで連れてってくれるから必ず」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「おやすみ」

45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 02:00:24.35 ID:PkEBvm950.net
あかりちゃんはお酒を飲み続けた

浴びるように飲んで

そこら中に空き缶を捨てた

銀河鉄道は酒臭い客車を意にもせず

宇宙を奔り続けた

やがて一つの駅にとまった

赤座あかりちゃんは自分の降りる駅だと思った

気付けば娯楽部のみんなは既に銀河鉄道を降りた後だった

いつ降りたのか赤座あかりちゃんにはわからなかった

赤座あかりちゃんは銀河鉄道から一歩を踏み出した

46: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 02:01:55.47 ID:PkEBvm950.net
あかり「オサケーランドなのかな・・・?」

あかり「アル中が聖書に唾吐いてケツ拭く紙にしてるところなのかな・・・」

あかり「もしもーし・・・アル中さんいますかー・・・?」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「誰もいないよぉ・・・」

47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 02:19:38.47 ID:PkEBvm950.net
櫻子「あれ?あかりちゃん?」

あかり「・・・えっ?ええっ?」

櫻子「どうしてこんなところにいるの?銀河鉄道は?」

あかり「あかり今まで乗ってたよぉ!」

櫻子「私は今頃あかりちゃんが宇宙にいるんだと思って星を眺めてたんだよ」

あかり「ここ!チケットを渡してくれた草原だよぉ!なんでぇ」

櫻子「戻ってきちゃったんだね、あかりちゃん」

あかり「どういうことなのぉ?」

櫻子「そういうことだよ、あかりちゃん」

48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 02:22:24.90 ID:PkEBvm950.net
あかり「だってあかりはアル中だからオサケーランドでアルコホリックとして生きるつもりだったのに・・・」

櫻子「銀河鉄道の行先はそうなってたよ確かに」

あかり「あかり、だって・・・そのために銀河鉄道に・・・」

櫻子「あかりちゃんじゃ行けなかったのかもね」

あかり「」

櫻子「そういうことなんだよ、あかりちゃん」

あかり「」

櫻子「どうしたの?」

あかり「あかり・・・お酒・・・・・・」

49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 02:26:38.79 ID:PkEBvm950.net
櫻子「銀河鉄道に乗るには理由がいるけどね、あかりちゃん」

あかり「・・・うん」

櫻子「理由のための結論は必ずしも決まってるわけじゃないんだよ」

あかり「・・・・・・・・・うん」

櫻子「気持ちい風だね」

あかり「宇宙にも風が吹いてたよ」

櫻子「えぇーほんとに?」

あかり「ほんとうだよぉあかり飛ばされそうだった」

櫻子「銀河鉄道の中で?」

あかり「そうだよぉ」

櫻子「それはとても難儀な風だね」

あかり「あかり困っちゃったよぉ」

52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 02:33:50.82 ID:PkEBvm950.net
櫻子「踊ろうよ、あかりちゃん」

あかり「うん」

櫻子「宇宙の風がどんなのかわからないけど、この気持ちいい風なら上手く踊れる気がする」

あかり「わぁい!」

夏の夜空は高く明るく

闇は肯定的な悠久を思わせる

草原は緑の香りをしなやかに風に散らせ

舞い上がる風は何処にも逃げずに二人を纏っていく

風に乗ってあかりちゃんと櫻子ちゃんはワルツを舞う

53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/02/28(土) 02:35:19.52 ID:PkEBvm950.net
銀河鉄道に乗ること

それはとても印象的な出来事のその後の物語ではあるけど

落ち着くべき帰結はまだそこじゃなかった

あかりちゃんと櫻子ちゃんはワルツを舞う

それが帰結だとあかりちゃんはその時思う

櫻子ちゃんの瞳が回る世界と共にあかりちゃんに居場所を与える

さぁ草原でワルツを

おわり

引用元: あかり「ビールおいしいよぉ」