1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 22:57:01.69 ID:hwFDfAMBe.net
知りたい…どうしても知りたい…
今、俺には知りたくて堪らない事がある。それは…

俺「ごめん、待たせちゃったかな?」
由美「いいえ、私も今来たところですよ」
この、とてもかわいい俺の彼女、由美の事についてだ。
彼女とは見合いが縁で知り合ったのだが、俺は所謂一目惚れをしてしまった。
幸い彼女の方も俺の事を気に入ってくれたようで、今もこうしてお付き合いを続けている。
彼女はとても優しく家庭的で、正しく俺の理想のお嫁さん像である。
いずれは結婚を申し込みたいと考えているのだが、一つ気になることがあった。

まあ、それが俺の知りたいことなんだが…俺の知りたい…それは…
 彼 女 の 過 去 だ。

彼女の過去、具体的に言えば彼女の家族関係の事なのだが
何故か彼女は自分の家族の事は頑なに話してくれないのだ。

2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 22:58:13.00 ID:hwFDfAMBe.net
俺「いい歳してペアルックで出かけるんだよね、俺の両親…
  一緒にいる俺のことも考えて欲しいよ」

由美「中がいい証拠じゃないですか。素敵なご夫婦ですよ」

いざ話題を振ってみると…

俺「で、由美ちゃんのご両親はどうなの?気になるな~」

由美「え、私のですか…」

由美「…ごめんなさい昔の事はあまり思い出したくないの」

俺「あっ!こっちこそそんな事聞いてゴメンね」

4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 22:59:01.87 ID:hwFDfAMBe.net
万事この調子である。

「思い出したくない」ということは、何か辛いことがあったのは想像はつく。
これ以上は気まずくなるので聞き出してはいないが、やはりどうしても知りたい。
それが”愛する人のこと全て知りたい”か”他人の不幸は蜜の味”かどっちかは解らないが…

由美「…─さん? どうしたの?

俺「えっ! な、なんだい? 」

由美「さっきからボーっとして…調子が悪いのですか? 」

俺「う、うん。いや大丈夫だよ!いや~実は普段はコンビニ弁当が主食だから、外食なんて久しぶりでね…
  我ながら偏った食生活だな~と思って…アハハ…」

5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 22:59:41.74 ID:hwFDfAMBe.net
由美「えっ…?それは本当ですか! あの、でしたら…不躾ですが… 」

俺「んっ? 」

由美「私が貴方のお料理作りましょうか? 」

俺「………… も、もちろんOKに決まっているよ!君の手料理ならウェルカムだよ!うわー明日から楽しみだ~(ハァト 」

由美「うふふ…じゃあ明日材料買ってお邪魔しますね。」

くそっ!俺は何を考えているんだ! 
こ ん な に 幸 せ な の に !

7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:00:44.63 ID:hwFDfAMBe.net
俺「今日は最高のデートだったな~ しかも明日から彼女の手料理も食べられると来た!うふふ…」

俺「でもこんなに幸せだからこそ、余計に彼女の過去が 気になるんだよな~ 俺にも言えないことってなんだろう?」

彼女がどんなに壮絶な過去を持ってたとしても、俺なら受け入れられるの筈なのに

いつの間にか我が家が目の前に見える程歩いていた、ポケットから鍵を取り出しドアをガチャっと鳴らす。

俺「 ただいま~ っと!」ギィ

俺「さて、まずはゴミを片付け…ん?」

しかし、俺の視界に広がったのは汚らしい我が家ではなく、正に大豪邸といった感じの家だった。

俺「何時から家の玄関がど◯でもドアになったんだよ!」

急いでドアに入り直そうと振り向くが、そこにはドアどころか、壁一つすらない。真っ暗闇。

俺「なんてお約束な展開なんだ!!!なんだよ… この展開…急展開すぎるだろう…ヤバイヤバイよ…」ブツブツ

俺「此処は何処なんだ?俺はこれからどうすれば・・・」ブツブツ

「…外が騒がしいと思ったら、『客人』が来ていたのね」

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:01:32.08 ID:hwFDfAMBe.net
メイド長「初めまして。私はこの『館』の『メイド長』よ。よく来たわね客人、歓迎するわ」

俺「メ、メイド長?!ん?歓迎?てことは、俺は招待されたってこと? 」

メイド長「さあ?偶々貴方が目に付いたのかもね。私からはそれ以上何も言えないわ
     ただこの館に来れるのには一つの条件があるの。その条件は… 」

メイド長「 ” 知 り た い ” という欲望や欲求が強い者よ。  貴方何か”知りたい”事があるんでしょ?」

俺「はぁ?なんだよそれ! 人間一つや二つ知りたい事があって当然じゃないか!まさか君が俺の知りたい事を教えてくれるっていうのかい!?
  そんな事出来るわけ…」

メイド長「出来るわよ」

俺「えっ…!マ、マジ?」

メイド長「本当よ。ただし、それが出来るのは私ではなくこの館の『主様』だけどね。…もう一度聞くわよ。貴方、”知りたい”事ある? 」
     
ある…! 僕にはどうしても知りたい事がある!

9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:02:06.47 ID:hwFDfAMBe.net
俺「うーん…勢いに任せて館にお邪魔したのはいいけど不安になってきた…」

ここに来る途中、どういう方法で”知る”事ができるのか聞いてみると…

メイド長「詳しくは知らないわ。ただ”知る事”はできるのは確かよ。もうすぐ『執事』が来るから、不安なら彼に聞きなさい。」

と… なんとも曖昧な答えと来た。

メイド長「私は主様に報告してくるから客人は此処で待ってなさいな」

俺「っと言ってメイド長さんは出て行ってしばらく経つけど正直心もとない気分だ…」

料金はいくら掛かるのかとか…怪しい実験に使われないかとか…考えれば考える程不安になっていく。

俺「お金は今日のデート代に消えたし…ドウシヨウ 」 コンコン>

「失礼します。お茶をお持ちしました。」

俺「おっどうやら執事さんが来たみたいだ!はーい」

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:02:48.63 ID:hwFDfAMBe.net
執事「ようこそお客人。私、この館の『執事』を務めてる者です。御用がある時にはなんなりと私にお申し付けください」

俺「だったら早速質問しますけど、どういう方法で”知りた事”を 教えてくれるんですか?後これってもしかしたら有料ですか? 」

執事「矢継ぎ早い質問攻めですね。まあイキナリこんな所に来たのだから しょうがない事ですが… どういう方法ですか、そうですね…
   主様の”特別な力”としか言えませね。曖昧な回答で申し訳ありません」

俺「はぁ… そうですが。(スゲエ厨二臭いな)」

執事「それは良かった。ではもう一つの質問の料金の件ですが 、もちろん料金…というか報酬は頂きます」

俺「やっぱり!? でいくら位… はっ!もしかして報酬は俺の命とかいうベタベタな厨展開とかですか!」

執事「(ネガティブ思考な客人だな…)落ち着いてください。私達が貰うのはお金でも命でもありません」

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:03:15.03 ID:hwFDfAMBe.net
執事「私達は貴方の『 魂 』を貰います」

俺「魂?魂って命と同じじゃないですか!取るときは超痛そうだし!」

執事「魂の採取をする時は苦痛は感じませんよ。なにせ採取をする時は…貴 方 は お 亡 く な り に な っ て い ま す か ら」

俺「僕が死んだ時って… でもまあ死んだ後だし気にしてもしょうがないけど… 」

執事「ん?内線か…メイド長からですね少し失礼しますね」

12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:03:49.10 ID:hwFDfAMBe.net
でもよく考えると、俺にはデメリットが無い取引なんだよな。曖昧で怪しいけどやってみてもいいかも…   オツカレサマデス>  …ソウデスカワカリマシタ>  デハノチホド…>

執事「お客人お待たせしまた。主様の準備が出来たみたいなので主様の 所へご案内しますが、その前にここで最終確認をさせて貰います。
   これより後はもう引き返せませんよ。よくお考えください。貴方はこのまま自分が知りたい事を知るために前に進みますか?」

よし!決めた!この先どんなに怪しくても怖くても俺は…

俺「大丈夫です!会わせてください、この館の主様に!」

自分が知りたい事のために前に進んでいくぞ!

13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:04:13.25 ID:hwFDfAMBe.net
執事「このトビラの向こうに主様が居られますよ」

俺「は、はい!(緊張してきたなあ…)」

執事「失礼します。主様、お客人を連れて参りました」

主「ご苦労様、そして客人ようこそ私の館へ 」

うぉ!凄い美人!もっとおっさんかと思ってたよ!

執事「しかし主様、今日の”お体”は随分と妖艶ですね。昨日のお体を見ていたから余計にそう感じますよ。それに…服装もこれまた大胆ですな」

主「確かにな、昨日の体は今日のとはまったく逆のむさ苦しい体だったからな」

ん?なんか今凄い発言があったようだが、目の前の    に釣られて聞き取れなかった!

主「ああ、この服か。これはメイド長が選んでくれたんだ。胸元がスースーして 変な気分だが、客人が気に入ってくれたみたいだから良しとしよう」

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:04:33.34 ID:hwFDfAMBe.net
メイド長「素材( )の良さを活かした服をチョイスしてみました」

GJ!だメイド長さん! 

主「さて、余興はこれくらいしてそろそろ始めるか。執事!最終確認は取ったか? 」

執事「ハイ!確認は取りました。OKです」

主「そうか、では早速…」

俺「あっ!すいませんちょっと待ってくれますか? 」

メイド長「今更怖気ついたのかチキンネ」

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:04:49.34 ID:hwFDfAMBe.net
俺「違うよ!ちょっと質問したいだけだよ!」

主「言ってみろ、ただし手短にな」

俺「そもそも、なんでこんな事をしてるんですか?」

主「ふむ最も疑問に思うかつ、よくある質問だな。その質問に回答ただ一つ…自分自身のことを知るためよ
  この館の住人まあ三人しかいないが、自分の名前・家族・出身etc..を思い出せない… いや知らないのだよ。特に私は自分の体もいやこれはいいか…
  辛うじて思い出せるのは、私がこうして他人の知りたい事を伝えて見返りに 魂を得ていたことだけさ。私達は縋っているのさ、唯一思い出せるこの行為に…」

メイド長「ふっ、他人の知りたい事を伝える立場の私達が実は自分自身の事を知りたいなんて皮肉にも程があるでしょ? 」

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:05:09.99 ID:hwFDfAMBe.net
俺「(そうか、だから主とか執事って呼び合っていたのか…)ありがとうございます…質問は終わりです。始めてください」

主「 …うむ分かった、ではそこに座り目を閉じるのだ」

俺「は、はい!こうですか?」

主「よろしい。ではそのままの状態で、頭の中で自分の知りたい事をイメージするのだ」

俺「はい。俺の知りたい事知りたい事は… 」

彼 女 の 家 族 に 何 が あ っ た っ て 事 だ !

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:05:45.83 ID:hwFDfAMBe.net
大丈夫…大丈夫…私は幸せになれるから…
そうよ、もう少ししたら手に入る… 私の幸せが、いや、正確には幸せのパートナーかしらね。
彼みたいな実直な人に出会って私は、生まれて安らぎを感じたと思う。彼とならきっと本当の「家族」が築けるはず。
少なくともアイツ等よりは真っ当な家族が…

確かここね… でも今更だけどあの人の好物を聞いておけばよかったわ。定番の肉じゃがを作ろうと思ってるけど大丈夫かしら…?
あら? あの人の部屋が騒がしいわね… あの人の声だわ。でも凄く怯えてる声…

俺「…これが俺の知りたかった事。確かに俺は彼女の事が知りたかったさ…!そして受け入れようとも思ったさ!
  でもまさかこんな事があったなんて!彼女が…彼女が… 」

えっ? なにっ? 私の事? 知ったってなにを?!

俺「人殺し・・・ しかも自分の親を殺したなんて…知るんじゃなかった… こんな事知るんじゃなかった!!」

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:06:16.76 ID:hwFDfAMBe.net
??!! 何で知っているの?
あの事は誰も知らないはずよ!どうして…!なんで…なんで…なんで…
なんで…なんで…なんで…なんで…なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
どうして?なんで?どうして?なんで?どうして?なんで?どうして?なんで?どうして?なんで?

な ん で 貴 方 が 知っ て い る の よ !

…消さなきゃ、あの事を知っている者は消さなきゃ…誰にも知られちゃいけない事なのに!知られると私は不幸になる!
不幸になるのよ!もうあんな思いをするのは嫌!嫌よ!

俺「どんな理由で殺したかは知らないけど殺人は殺人だし…でも警察に通報するのも… うーーん… 」

私は幸せになるのよ! 絶対に!だから…だから…

俺「くそっ! どうすればいいんだよ!!! 」

21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:07:25.94 ID:hwFDfAMBe.net
貴方となら…貴方と一緒なら、幸せになれると思ったのに…! どうしてこうなってしまったの…? 誰も知らなかったはずなのに!
知りたい… 貴方がどうして私の家族のことを知ったか知りたい… でも無理、私が殺しちゃったから… ゴメンナサイ…ゴメンンサイ…

由美「…我侭な言い分かもしれませんが、私これから警察に行き自首してきます。そして償ってから貴方の所に行きます。それまでさよなら…私の愛しき人…」



執事「どうやら貴方には足りなかったみたいですね”知る覚悟”が 。まあ、今回は貴方の自業自得の感がややありましたが…ですが… 私達は契約を果たしました。約束通り報酬の”魂”を貰いますよ」

22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/03/21(土) 23:08:02.54 ID:hwFDfAMBe.net
執事「お、出ましたね。どれこの魂は… はぁ…今回も”後悔”の魂ですか…でも魂には違いはないですが
   こう数が多いと… おや?メイド長から連絡が…何の用でしょか」

メイド長「どう? 種は採取できた?」

執事「ええ、また”後悔の魂”ですが採取完了です」

執事長「そう… 残念ね、主様も悲しむわね」

執事「こればかりは客人の資質なのでどうしようもありませんよ。 ところで私に何の用ですか?何か起きましたか? 」

メイド長「当たりよ。執事、申し訳ないんだけどすぐに館に帰ってきてもらえないかしら? 」

ここは?! 私は確か警察に行こうとして…

執事「ええ、今から帰るつもりでしたから別に…… ん?メイド長、もしや? 」

メイド長「そうよ客人が来たのよ」

執事「 …こんなに早く再会するとは予想外ですよ」

終わり

引用元: 俺「ごめん、待たせちゃったかな?」