1: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/23(月)23:05:00 ID:w24
ジョジョとBLEACHのクロスSSです。
==========================
時は19世紀末!
場所はイギリス!
遠くからでもわかるほどの巨大な屋敷に続く道を走る馬車の中、
一人の少年が、心に大きな野望を秘めながら屋敷に向かっていた……
少年の名は、ディオ・ブランドー。この日から、名門と呼ばれるジョースター家の養子として迎えられる。
だが、ディオはジョースター家の養子という立場に甘んじるつもりはなかった。
(これは足がかりだ。必ず僕がジョースター家の財産を乗っ取って、世界一の金持ちになってやる……)
そう、激しい上昇志向を持つディオはゆくゆくは自分がジョースター家の当主となり、
それを元手に、巨万の富を築くつもりでいた……
そして、馬車が屋敷の前に到着する。
(ここは、バシッと決めてやる)
馬車の扉を開けると、荷物を放り出す。
その後、ディオは華麗とも言える身のこなしで馬車から飛び降り、綺麗に着地し屋敷に向き直る。
(……決まった。これで、ジョースター家の一人息子、ジョジョも僕との差を悟り始めるはずだ)
そう考えたディオの視線の先には、
「……」
全身を外套ですっぽりと覆った、異様な人物が立っていた。
2: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/23(月)23:13:45 ID:w24
「……」
「……」
外套の人物は、全く言葉を発さずにディオを見ている。
(な、なんだこいつは? 浮浪者……というわけでもなさそうだ)
その外套は、飾り気がないデザインではあったが、高級な生地を使っているであろうことは、ディオにもわかった。
さらに、左胸から腰に掛けての部分に、星のような紋章がデザインされている。
そもそも浮浪者が、こんな貴族の敷地のそばにいるはずがない。
(じゃあこいつは誰だ? まさか……)
可能性は低いとは思ったが、ディオは一応質問する。
3: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/23(月)23:20:09 ID:w24
「君はジョナサン・ジョースター……か?」
「……」
(何か言えよ!)
この期に及んで言葉を発さない外套の人物にイラついていた時、ディオが来た道から一人の少年がやってきた。
「あれ、君は?」
ディオに少年が声を掛ける。
「もしかして君は、ディオ・ブランドー?」
少年が自分の名を呼んだことで、ディオも認識を改める。
「あ、ああ……君が本物のジョナサン・ジョースターだな?」
「うん、そうだよ」
それを聞いたディオは、
(じゃあ、あいつは誰なんだよ!)
心から、そう思った。
4: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/23(月)23:24:34 ID:w24
ディオの考えていた通り!
この人物はジョースター家の一人息子、ジョナサン・ジョースターではない!
その正体は……
見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)が擁する精鋭部隊、星十字騎士団(シュテルンリッター)の一員であり!
皇帝ユーハバッハから“C”の聖文字(シュリフト)を授かった滅却師(クインシー)!
ペルニダ・パルンカジャスその人である!
星十字騎士団の一員であり、尚且つユーハバッハの親衛隊のメンバーであるペルニダは、
その名誉ある地位に就いている故に多忙であった!
そして遂に、二年ぶりに休暇を取ることが許されたペルニダは現世へと繰り出したのである!
ペルニダが影の領域(シャッテンベライヒ)から出てたどり着いた場所は、19世紀のイギリスであった!
ペルニダはひとまず仕事を探し、ある場所から内定が出た!
そして……今に至る!
5: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/23(月)23:39:16 ID:w24
「僕のことはジョジョって呼んでくれ、これからよろしく」
ジョジョが右手を差し出してくる。
ディオはそれをあえて無視し、気になっていたことを質問した。
「ところで、あそこにいるのは誰なんだ?」
ディオの視線の先には外套の人物、ペルニダがいる。
「ああ、あの人は今日からうちの使用人をしてもらうペルニダ・パルンカジャスさん。
住み込みで働いてもらうことになっている」
「そ、そうなのか……」
使用人。確かに屋敷にいるのは納得した。だが……
(あんなやつを雇うのか? 金持ちの考えることはまだ僕には理解できないのかもしれんな……)
6: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/23(月)23:48:10 ID:w24
ディオが軽く貧富による価値観の違いを感じていたその時、
「ワンワンワン!」
二人のもとに、一匹の犬がやってくる。
「ダニー! ディオ、紹介するよ。僕の愛犬のダニーだ。利口な猟犬だから、決して人は噛まないよ」
「……ふん」
ダニーを見たディオは考える。
(……犬。人間にへーこらする虫唾が走る生き物だ。ちょうどいい、こいつを痛めつけて僕がジョジョとなれ合うつもりはないことを教えてやるか)
そして、ディオは近づいてきたダニーに思い切り蹴りを放った。
7: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)00:00:20 ID:NRJ
「なっ!?」
当然ながら、ジョジョは驚く。
(ふん、いずれお前もこうしてやる)
だが、その時ディオは見た。
視界の端にいたペルニダの頭がモコモコと蠢くのが。
(……なんだあいつ? なにかやって……)
異変はその直後だった。
メコッ
「え?」
ディオに蹴られて吹き飛んだダニーの体が、所々へこんでいったのだ。
「ガッ! ギャウッ!」
激しくうめき声を上げるダニーだったが、ついにはへこみが頭にまで及び、
口から血を吐き出し、目玉が飛び出てしまった。
8: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)00:06:36 ID:NRJ
「え? あ、ダ、ダニーッ!」
ジョジョがダニーに駆け寄る。
(な、なんだ!? 何が起こっている!? 僕は一発蹴っただけだぞ!)
「ディオ! な、何をするだァー!! ゆるさんッ!」
「え、いや、ちょっとま、アブッ!」
不測の事態に動揺していたディオは、ジョジョのパンチに対応できずに殴られた。
「よくもっ、ダニーをっ、君が、泣くまで、殴るのをやめないッ!」
「グベェ!」
対応できずに何発も殴られるディオ。
その時、声が響いた。
9: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)00:11:00 ID:NRJ
「な、何事だ!?」
館の主、ジョースター卿が異変を察知してやってきたのだ。
「と、父さん! 聞いてくれ! ディオがダニーを蹴り殺したんだ!」
「なんだと!?」
この展開に、さすがのディオも焦る。
(ま、まずいぞ。第一印象でジョースター卿からの評価を下げるわけにはいかない。
しかし、犬を蹴ったのは事実だ。どうごまかす!?)
しかし、ディオはダニーが倒れている場所が馬車の後ろということに目を付けた。
10: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)00:12:48 ID:NRJ
「すみません! 突然この犬が近づいてきたことに驚いて蹴り飛ばしてしまったら、馬車がワープしてたんです!」
「ワープだと!?」
「え!? ち、ちがう!」
「すみません! 本当にすみません!」
ジョジョは否定するが、ディオの必死の謝罪にジョースター卿は納得したようだ。
「そうだったのか……とりあえず、ダニーを埋葬しよう。来なさい、ジョジョ」
「いやワープなんてしていなかったって! 父さん! とうさーん!」
(ふっ、われながらうまいごまかし方だ。しかし、このディオがへーこら謝ることになった屈辱、いずれ晴らさせてもらうぞ……)
11: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)00:13:41 ID:NRJ
中断
12: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)00:38:40 ID:NRJ
その後、屋敷に入ったディオは荷物を自分の部屋に運ぼうとする。
そこに、ペルニダがやってきた。
「なんだお前は? ちょうどいい、お前この鞄を僕の部屋に運べ」
「……」
「なにをしているんだ! さっさと運べ!」
屋敷に入っても外套を脱がないばかりか、養子とはいえこれから自分の主人になる男に返事もしない。
この態度に怒ったディオは、ペルニダに喰ってかかる。
「……いいか、僕はもうこの家の一員だ。僕の命令に従わなければ、こうだ!」
ディオはペルニダに対し、ひじ打ちを繰り出す。しかし……
「なにっ!?」
ペルニダの姿は瞬時に消え、ディオの背後に回っていた。
(バ、バカな! 確かにこいつは僕の目の前にいた。催眠術や超スピードの類じゃあないはずだ)
実際には、ペルニダは飛廉脚という技を使って超スピードで動いただけである。
13: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)00:58:51 ID:NRJ
「くそっ、いい気になるんじゃないぞ! 所詮お前は使用人なんだからな!」
ディオはペルニダを罵倒し、その場から立ち去ろうとする。
しかし……
「……!」
ペルニダが何か唸り声のようなものを発したかと思うと、ディオの横にあったツボが割れた。
「な、なんだ!?」
ディオがとっさにツボを見てしまうと、二階からジョースター卿が降りてくる。
14: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)01:08:08 ID:NRJ
「ディオ! そのツボは君が割ったのか!?」
「え、いや、違います! 僕じゃありません! 突然ツボの摩擦がなくなったんです!」
「……そうか、摩擦がなくなったのなら仕方がないな」
ジョースター卿は去っていく。
(くそっ! この家に着いてから、何かと運が悪い! どうにかしないと……)
だが、ディオはそれが運の悪さではなく、ペルニダの仕業であることに気づいていなかった。
そして、これから楽しくなるはずのディオの生活はとてもつらいものとなったのだった。
15: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)07:31:05 ID:NRJ
夕食時。
「またグラスを割ったな、ディオ! 六度目だ! 一回の食事中に六回もグラスを割ったのだぞ!」
「くっ……」
何故か、ディオがグラスに手を伸ばした瞬間にグラスが勝手に割れるということが六回起こっている。
目の前で起こってしまえば、さすがのディオも言い訳できなかった。
「あっ!」
「……」
「あ、ありがとう」
対してジョジョは、グラスが倒れそうになった時にペルニダがとっさに対応してくれた(ペルニダはまだ外套を纏ったままである)。
(くそっ! このディオがこんな落ちこぼれみたいな評価を受けるとは……!)
上昇どころか、下降している現状にディオは我慢ならなかった。
20: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)19:06:14 ID:NRJ
数日後。
「そこだぁ、いけぇ!」
原っぱで行われているのは、少年同士で戦うボクシング大会である。
だが、遊びではない。自分自身に金を賭け、負ければ財産を失うのだ。
「それでは、次に紹介するのはジョナサン・ジョースター、チャレンジャー!」
審判がジョジョを紹介し、ジョジョがリングに上がる。
「そして、チャンピオンは……え?」
審判がチャンピオンと何かを話し合い、そして試合進行に戻る。
21: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)19:26:29 ID:NRJ
審判がチャンピオンと何かを話し合い、そして試合進行に戻る。
「えーと、今回から新しい友人を招くことになりました、ディオ・ブランドーです!」
「なっ、ディオ!?」
ジョジョは突然のディオの出現に驚愕する。
ダニーのこともあり、あまりディオをよく思っていない彼は、警戒を強める。
一方ディオも、この試合に全てを賭けていた。
(ここだ、ここでジョジョとの上下関係をはっきりさせなければならない。そのためにもこの試合、なんとしても勝つ!)
22: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)19:54:43 ID:NRJ
「ではディオ、賭け金を出してもらおうか」
「ほら、これでいいか?」
「なっ、こんなに!?」
「あ、あれは今月分の小遣い全部だ!」
ディオはあえて全ての財産を賭けることで、集中力を極限まで高めた。
そして……
「入ったぁ! ジョジョの負けだぁ!」
「まだだ! 親指を目の中に突っ込んで殴りぬけるっ!」
ジョジョの顔面にパンチを入れたことで、試合はディオの勝ちとなった。
23: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)20:10:33 ID:NRJ
「すげえぞ、ディオ! 今の動きはどうやって……」
(ふふふ、ジョジョの友人たちを味方につけることに成功したぞ。これで……)
だが、ディオにとって予想外の出来事が起こる。
「おっと!? また新たな友人が、ディオへの挑戦を望んでいるようです!」
審判が、新たな人物を紹介する。
「えーと、名前は……ペルニダ・パルンカジャスさんです!」
「なんだとっ!?」
驚くディオの前に現れたのは、もはや見慣れた外套を着たペルニダだった。
24: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)20:27:36 ID:NRJ
(あいつ……! どういうつもりだ!?)
ディオがペルニダの真意をつかみかねる中、ペルニダは審判に近寄る。
「ペルニダ、さっきディオにも説明したが、これはガキの遊びじゃない。
試合に出るからには自分に金を賭けてもらう。それも、ある程度まとまった金だ」
審判の言葉に対し、ペルニダは外套から手だけを出して、審判の帽子に何かを入れる。
「なっ!?」
それを見た審判、そしてディオと観衆も驚く。
「あ、あいつ、ディオの倍の金額を賭けたぞ!」
「あいつ何者なんだ!?」
25: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)20:31:38 ID:NRJ
(くそっ、計算外だ! まさかあいつがあんな大金を持っているとは!)
ペルニダの賭けた金額に、さすがのディオも躊躇する。
(しかしここで退いてしまえば、腰抜け扱いされる上にさっきの勝利も水の泡になる。やるしかない!)
ディオはペルニダの挑戦を受けて立った。
26: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)20:42:11 ID:NRJ
二人がリングに立つ。
「えーと、ペルニダはその格好で試合をするんだな?」
審判の問いにコクリとうなずく。
ペルニダはこれからボクシングをするというのに、外套を着たままだった。
そして外套からグローブを着けた両手だけが出ている。
(バカめ、そんな格好で思い通りに動けるものか)
そして、ゴングが鳴らされる。
(よし! やつが試合に慣れる前に!)
一気に勝負を決めようとしたディオは気づいた。
(あれ? こいつ、どこからどこまでが頭なんだ?)
27: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)20:56:07 ID:NRJ
ここでこのボクシングのルールを説明しよう!
お互いにグローブを着けて戦い、顔面にパンチを喰らったらその時点で負け!
逆にボディは何発打たれても負けにはならないが、ノックダウンした状態で10カウントとられた場合も負けになる!
28: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:00:16 ID:NRJ
そのルールを踏まえて、ディオは改めてペルニダを見る。
ペルニダは相変わらず外套を着て、全く実体を見せない。
さらに、ペルニダの頭と思われる部分はやけに大きかった。
普通なら外套を着れば肩と頭が浮き出るシルエットになるはずだが、ペルニダの場合は体より頭の方が幅があるように見える。
そのため、わからないのだ。
ペルニダのどこからどこまでの部分が頭なのか。
さらに、フードの中の素顔は陰になっていて全く見えない。
これでは、どこにパンチを入れればわからなかった。
31: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:03:37 ID:NRJ
>>30
……はい
ちょっと中断しています
……はい
ちょっと中断しています
33: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:09:54 ID:NRJ
(こいつッ! まさかそれを計算してこの格好を!?)
まさかの作戦にディオは驚いたが、すぐに考え直す。
(いや待て、どちらにしろ思うように動けるはずがない。一気に行く!)
そしてペルニダに向かって突進する。
「うおおおおっ!」
そして華麗なステップでペルニダの斜め前に回り、
フードの外側の部分にパンチを繰り出す。
34: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:16:32 ID:NRJ
(勝ったッ!)
ディオが勝利を確信した直後、
「……」
「えっ?」
ペルニダの頭と思われる部分がへこみ、パンチが外れた。
「おおっと! 完全に当たるかと思ったディオのパンチを華麗にかわしたぁーッ!」
「いやいやちょっと待てタイム」
ディオは審判にタイムを申し出る。
35: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:21:52 ID:NRJ
「どうしたぁーッ!? ディオ!?」
「いや……おかしいだろ今の」
「何が?」
「どう考えたって、人間の動きじゃなかったろ今の! 頭がへこんだんだぞ!」
「そう言われてもねぇ、パンチを躱す方法には違いないしねぇ」
「え! 反則だろ!?」
「いや反則じゃないよ。それでは試合を続けよう!」
(くそっ、吐き気を催す審判だぜ……! しかしどうする? へこむ前にパンチを当てるしかないか……)
36: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:25:24 ID:NRJ
しかし、ペルニダの頭が要所要所でへこむため、ディオのパンチはことごとく空を切る。
ボディを打とうとしても、まるで手ごたえがなくダメージもないようだ。
さらに……
「なっ!? 消えた!?」
「……」
ペルニダは飛廉脚を使い、ディオの前から瞬時に移動する。
ディオが気づいた時には、ペルニダが真横にいた。
39: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:30:51 ID:NRJ
「ちいッ!」
「……」
顔をガードするディオの腕に、ペルニダのパンチが当たる。
ダメージは無い、と思われた。
「残念だった……ぐあああああっ!?」
その直後、ディオの左腕に激痛が走る。
恐る恐る左腕を見てみると……
「ひいっ!」
ディオの左腕が何か所も曲がってはいけない方向に曲がっていた。
41: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:33:57 ID:NRJ
「ぐあああああああっ!」
「おっとぉーッ! ディオがダウンしたぁーッ!」
「あ、ああああ! い、医者を……」
「カウントをとります! ワン、ツー……」
「いやカウントいいから! 負けでいいから! はやく医者呼んできて!」
「いやぁ、10カウントか顔面へのパンチしか決着しないんだよこの試合、だから我慢して」
「くそおおおおおおおっ!」
ディオは地獄のような10カウントを聞いた後、ようやくゴングが鳴った。
42: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:38:24 ID:NRJ
「これは意外な展開! なんとペルニダが一発でディオの腕をへし折りました!」
「すげえっ!」
「ペルニダの動き! 今までに見たことのない動きだったぞ!」
(あんな人間離れした動きを見たことがあってたまるか!)
もはや文句を言う気力も失いかけているディオの目に、ある光景が飛び込んでいる。
いつのまにか、ペルニダがジョジョの前に立っていた。
43: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:44:20 ID:NRJ
もはや文句を言う気力も失いかけているディオの目に、ある光景が飛び込んでいる。
いつのまにか、ペルニダがジョジョの前に立っていた。
「ど、どうしたの、ペルニダさん?」
「……」
「こ、これは! さっき僕がディオとの試合で巻き上げられたお金!」
(巻き上げられたってなんだよ! 公正な試合の結果だろ!)
44: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:45:15 ID:NRJ
「……」
「ま、まさか、僕のお金を取り返すためにディオと試合を?」
「……」
ペルニダはジョジョから顔を逸らす。
「おおおっ! すげえっ! ジョジョのためにあんな賭けにでたのかぁ!」
「すげえぞペルニダ! かっこいいぞ!」
「ありがとうペルニダさん!」
ペルニダに対し称賛の声があちこちから上がる中、ディオは涙目でその光景を見ていた。
(……早く医者呼んでくれぇ)
46: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:54:34 ID:NRJ
七年後。
「トライ! 最後の試合も、ジョナサン・ジョースターの活躍で勝ちました!」
ジョジョは大学に入り、ラグビー部で活躍する傍ら考古学を学んでいた。
そしてディオはと言うと……
「くそう、ジョジョと俺、どこで差がついた……」
大学に落ち、酒浸りの日々を送っていた。
(酒ッ! 飲まずにはいられない! 飲まずにいられるかちくしょう!)
47: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)21:59:56 ID:NRJ
ディオはジョジョのラグビーの試合を泣きながら観戦していた。
すると、
「……」
「ああ、ありがとうペルニダ」
ペルニダがジョジョにタオルを差し出す。
「君にはこの七年間助けられっぱなしだね、本当に。正直、親友と言っても過言じゃない存在だと思っている」
「……」
ジョジョにタオルを差し出したペルニダは、顔を逸らし、そそくさと立ち去って行った。
それを見ていたディオは思う。
(思えばあいつ、ペルニダ・パルンカジャスがいたからだ! 俺の人生がうまくいかないのは!)
48: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)22:02:53 ID:NRJ
ディオはこの七年間を思い出す。
ディオが勉強をしようとすればたびたび机が壊れ、上級生とぶつかれば上級生の腕がバキバキに折れ、
そのためにディオは謹慎処分になったり、札付きのワルという噂を囁かれたりした。
噂は広がり、ディオはスカートめくりの常習犯という噂や、人形の服を脱がせてあそこが本物と同じかどうか確かめようとしているという噂もあった。
そのためにいじめにあい、転落人生となったのだ。
(こうなったら殺してやる! ジョジョもペルニダも!)
ディオは身勝手な復讐心を燃え上がらすのであった……
49: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)22:11:54 ID:NRJ
そしてディオは、ジョジョが研究している石仮面に目を付けた。
「よし! この石仮面の骨針をジョジョに食い込ませればあいつは即死だ!」
石仮面を持って、ディオはジョジョの部屋を出る。
しかしそこに、ペルニダが待ち構えていた。
「お、お前! ここで何をしている!」
「……」
「俺はジョジョに貸していた本を探していただけだ! とっとと離れろ!」
「……」
ペルニダはディオに顔の部分を向けたまま離れる。
50: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)22:18:15 ID:NRJ
(……まずいな。このことをジョジョに伝えられたら、怪しまれるかもしれない。先にこいつにするか?)
ディオは石仮面を握りしめる。
「おいペルニダ、やはりこっちに来い」
ペルニダはディオの言葉に従い、近づいてくる。
「そうだ、そうそう……バカめ!」
ディオは一瞬の隙をつき、ペルニダの顔の部分に石仮面を被せようとした。
――が!
(か、顔がどの部分かわからん!)
「……」
51: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)22:25:21 ID:NRJ
石仮面を持ったままペルニダの前で固まってしまうディオ。
そこにジョジョが通りかかった。
「……なっ! ディオ、君は一体今何をしようとしていた!?」
「え?」
「僕には、ペルニダに無理やりキスをしようとしていたように見えた!」
「え、ちょっと待て」
「……」
ディオが否定しようとする前に、ペルニダはジョジョに向かって走る。
そして、ジョジョの胸に顔を押し付けて体を震わせた。
52: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)22:28:39 ID:NRJ
「……ペルニダがこんなに震えているぞ」
「いやいやいや、冷静になろうジョジョ?」
「君は、こんなに怯えさせるまで……」
「いやおかしいって、この展開はおかしいって」
「ペルニダに何をしたーッ!」
ディオの懇願もむなしく。
ジョジョの鉄拳がディオの顔にめり込んでいた。
「グベェーッ!」
ボロ雑巾のように吹き飛ぶディオは考えた。
(なんでこうなった……)
53: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)22:33:43 ID:NRJ
ひと月後。
「……本当に行ってしまうのかい?」
ペルニダは突然、使用人を辞めるという手紙をジョジョに渡した。
「そうか……君の考えたことなら仕方がない」
「……」
そしてジョジョは、ペルニダに話す。
「君は最後まで言葉を話すことは無かったが、君は僕を十分すぎるほど支えてくれた。
そのおかげで、僕は一人前になれたんだ」
「……」
「だから君との別れは寂しい。だけど、君との友情は忘れない」
「……」
その時、ペルニダはジョジョに何かを渡した。
「これは……? きれいなメダルだね」
「……」
ペルニダはジョジョにメダルを握らす。
「これをくれるのかい? しかし、大事なもののようだけど……」
「……」
「……そうか、ありがとう」
54: ◆BEcuACNawuaE 2015/03/24(火)22:34:37 ID:NRJ
ジョジョはメダルを握りしめながら、離れていくペルニダの背中を見送った。
その後
「まさか、石仮面が化け物を作り出す道具だったなんて……」
「やったぞ、俺は人間を超えた! 全ての人間を支配してやるぞ!」
石仮面の本当の秘密に気づいたディオは石仮面を被り、吸血鬼となった。
「ははは、貧弱、貧弱ゥ! その程度かジョジョォ!」
「くっ……」
だがその時、ペルニダにもらったメダルが発動した。
「なっ! ち、力が抜けていくぅ……」
「こ、これは!?」
ディオの体がどんどん萎んでいき、老人のようになっていく。
「こんな、こんなはずではぁ……」
一気に老け込んだディオが見たものは、ジョジョの後ろに映るペルニダの影だった……
完
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