1: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 19:44:22.30 ID:hZAQ0nQR
彼方「も、もう一度言って貰ってもいいかなぁ?」

遥「うん……。おやすみする時って、瞼を閉じるでしょ?でも、瞼は眼球を覆っているだけ。目は閉じてないんだよ!」

彼方「あ~……なるほどねぇ」

3: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 19:53:26.18 ID:hZAQ0nQR
彼方「だいじょうぶだいじょうぶ。ほら、お姉ちゃんが頭撫でてあげるから。安心してすやぴしてね~」ナデナデ

遥「うん……。ありがとうお姉ちゃん」

彼方「可愛い遥ちゃんのためだもん。これは、彼方ちゃんがやりたいことなんだよ」ナデナデ

遥「えへへ……。やっぱりお姉ちゃんは、やさ、し……」

遥「……すやぴ」クタッ

彼方「ふふ。よく分からないこと言ってたけど、彼方ちゃんの手にかかればこんなもんですよ!」ドーン

彼方「……さて、彼方ちゃんも寝ようっと」バサッ

4: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 19:57:11.33 ID:hZAQ0nQR
彼方(……)

彼方(あれ……瞼を閉じてるけど、眼球は閉じてないよね)

彼方(あれあれ?じゃあ眼球って実は、ずっと開いてるってこと?)

彼方(少し触れるだけで痛いのに、ほんとは剥き出しなの?)

彼方(それって大丈夫なの?)

10: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:01:49.90 ID:hZAQ0nQR
彼方(……もし、瞼を事故とかで失っちゃったら、眠れなくなっちゃうの?)

彼方(あ、あれれ?眠気が飛んでくよ?)

彼方「……ね、眠れない」ギンギン

彼方(い、いやいや、こんなしょうもないことで眠れないなんてお笑い種だよ)

彼方(……)

彼方(よく見れば、完全な真っ暗じゃない。カーテンを閉めた部屋みたいに、眼球に瞼が覆い被さってるだけだ)

彼方(う、うわあああああああああああああああああああああああああああ!)

彼方(こんな事実!気付きたくなかったよ~~~~~!!!!)

12: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:04:45.84 ID:hZAQ0nQR
~数時間後~

ツンツン、ツンツン、ツンツン

彼方「ん、んん~~~~?どうしたの?遥ちゃん……ふわぁ~……」ムクッ

遥「お姉ちゃん……助けて……」ウルウル

遥「息が上手く吸えないよ~……」

彼方「……え?」

13: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:09:35.90 ID:hZAQ0nQR
彼方「今度はどういうことかなぁ?ふわわわわわ……」

遥「私たちって、普段は無意識で呼吸をしてるでしょ?」

遥「でも、そこに気付いちゃったら意識して呼吸をするようになっちゃって……」

遥「どうしようお姉ちゃん……。私、このまま永遠に意識して呼吸をして生きていくのかな……」

彼方「……だ、大丈夫だよ。ほら、また撫でてあげるから」ナデナデ

遥「うん……ありがとうお姉ちゃん」

遥「それ、と……心臓も……ちゃんと、動いてるか……心配に……」

遥「すやぴ……」クタッ

彼方「……」

遥「心肺だけに……(寝言)」

15: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:15:13.14 ID:hZAQ0nQR
彼方「さ、さ~て、彼方ちゃんも寝よっと!」バサッ

彼方(……)スースー

彼方(……)スーッ、スーッ

彼方(……?)スッ、スッ、ススススッスッスッ

彼方(……?????)スーハースーハースハスハススススハッ

彼方(呼吸って、どうやってするんだっけ……)

18: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:20:19.59 ID:hZAQ0nQR
彼方(あ、あれ?もっと規則的だよね?)スーハースーハハハースースー???

彼方(確か、こう……)スー?スー?

彼方(そうそう……こういう感じだよね)スースースースー……ドクン

彼方(……ん?)スー、ドクン、スースー、ドクンドクン

彼方(心臓の鼓動って、こんなに強かったっけ……)スッ

彼方(あれ、またバストおっきくなったかなぁ……)ドクンドクン、スースー?

彼方(……)スースー???スッスッ、ドクンドクン、スッハーッ、ドクンスーッ!!

彼方(う、うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!)

19: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:26:38.37 ID:hZAQ0nQR
~数十分後~

ユサユサ、ユサユサ、プルプル

彼方「ん、んんやあぁあああああ、ど、どうしたの遥ちゃん……。ふわあ~お」

遥「助けて、お姉ちゃん……」ウルウル

遥「死んじゃった後って、意識も何も残らないんだよ……?」

20: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:31:57.62 ID:hZAQ0nQR
彼方「……うん。死ぬのは生まれる前と同じだって宇宙兄弟で言ってたよ。だから、安心して」

遥「お姉ちゃんは怖くないの……?死んじゃったら本当に、もうな~んにも考えられなくなるんだよ?」

遥「自分の存在が完全に抹消される未来が絶対に来るって考えたら……私……(´;ω;`)」

彼方「……大丈夫だよ。彼方ちゃんが傍にいるから。怖くなんてないよ」ナデナデ

遥「うん……ありがとう、お姉ちゃん……」

遥「それ、と……死について考えると……余計に、心臓、が……気になる……」

遥「すやぴ……」クタッ

彼方「……」

21: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:37:57.01 ID:hZAQ0nQR
彼方「う、うぅ……」バサッ

彼方(死ぬのなんて怖くないぞ!うん!彼方ちゃん、死なんて怖くないもん!)

彼方(怖くない怖くない怖くない!!怖くないも~~~ん!!)

彼方(……でも、いつかは絶対死んじゃうんだよね)

彼方(こうやって考えることもできなくなって、でも、彼方ちゃんが死んじゃった後も世界は動き続けるんだよね……)

彼方(でも……いつかは太陽だって赤色巨星だか白色矮星になって消えちゃうし、宇宙だって膨張には限りがあるって地学で習ったし……)

彼方(絶対……終わりはあるんだよね……)ブルルルッ

彼方(こ、こわいなぁ……。しにたく、ないよぉ……)

彼方(うぇえええええん……)グスグス

23: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:43:26.97 ID:hZAQ0nQR
~数十分後~

ユサユサ、ユサユサ、ユサユサ

彼方「……な、なにかなぁ、遥ちゃん。ふわああああああああああああ~~~~~」ムクリ

遥「あのね、お姉ちゃん……」

遥「ベッドの下に誰かいるんじゃないかって考えたら怖くなっちゃって……」

遥「でも、私の下はお姉ちゃんだから大丈夫だよね」

遥「二段ベッドの上で寝られて幸せだよ、お姉ちゃん。ありがとね。おやすみ」スタスタ

彼方「……」

彼方「え……( ゚д゚)」ポカーン

彼方「……え?なんで起こしたの?」

25: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:48:02.83 ID:hZAQ0nQR
彼方(遥ちゃんってば甘えん坊でしょうがないなぁ……。甘えん坊……?)

彼方(ささ、寝よ寝よ……すやぴ……)

カサカサ

彼方(……なんか、ベッドの下から音がしたような。う、うぅん、気のせい気のせい)

……

彼方(ほら、気のせいだった。でも……意識すればするほど聴覚が敏感になっていくような──)

カサカサッ!!カサカサッ!!

彼方(……え、嘘でしょ。これ、幻聴じゃないよね?)

……

彼方(ど、どっち……緩急を付けないで欲しいよぉ!)ギンギン

……

彼方(……よ、よし。いない。いないね?うんうん。それでいいんだよ床くん……)ゴロリ

カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ!!!!

彼方(うわあああああああああああああああああ!!)

26: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:52:29.60 ID:hZAQ0nQR
彼方「だ、誰っ!!」バサッ!!


璃奈「こんばんは、彼方さん」


彼方「ぴゃあああああああああああ!?!?!?!?!?」ドテーン!!

彼方「……って、え?り、璃奈ちゃん……?な、なんでベッドの下に……?(尻餅ついて立てない)」

璃奈「うん。ベッドの下に人がいるのが一番怖い説を実験しただけ。よいしょっと……」スタスタ

璃奈「お邪魔しました」ペコリ

彼方「え……えぇ……?」

29: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 20:58:21.81 ID:hZAQ0nQR
彼方「はぁ……今度はちゃんと寝られるといいなぁ……」バサッ

彼方「すやぴ……」

彼方「……」

ギシッ

彼方(……?まあ、軋みくらい、普通にあるよね。気付いてないから気にしないぞ~……)

ギシッ、ギシッ、ギシシシッ

彼方(……あれ。これって。本当に誰か来てない?)

彼方(もしかして、目を開けたら誰かいる?というか、めっちゃ人の気配する!)

彼方(目を開けて確認したい!でも、怖くて目が開けられないよ~!)

彼方(助けて遥ちゃ~~~ん!)

遥「……起きて、ないよね」モゾモゾ

彼方(え……?)

31: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 21:03:42.70 ID:hZAQ0nQR
遥「ごめんねお姉ちゃん……。私、まだ一人で寝るのちょっと怖くて……」

遥「それもこれも全部、お姉ちゃんが悪いんだからね。いつもいつも、私を甘やかすから……。こんなにシスコンになっちゃたんだから」

遥「でも、一緒に寝たいなんて言い出せなくて……。変に繕った言い方しちゃった。起こしちゃってごめんねお姉ちゃん……」

遥「だから、ちょっとだけ……。うん。ほんのちょっとだけ……お姉ちゃんの隣にいさせてね……」

遥「すやぴ……」クタッ

彼方(遥ちゃん……)

33: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 21:08:11.94 ID:hZAQ0nQR
彼方(……)ギュッ

遥「あれ……もしかしてお姉ちゃん……うぅん、なんでもない……」

遥「……」スヤスヤ

彼方(遥ちゃん……。彼方ちゃんが一番安心して寝られるのはね、遥ちゃんを抱きしめている時なんだよ?)

彼方(だから、もっと素直になってくれると、お姉ちゃん嬉しいなぁ……)

彼方「……すやぴ」


おしまい

35: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ) 2023/06/01(木) 21:15:01.83 ID:hZAQ0nQR
おまけ

彼方(毛布をかけると暑いんだけど、ないと寒いよぉ~)

彼方(眠くなるBGMがうるさいよぉ~)

彼方(無心になるって思ったら無心じゃないよぉ~)

彼方(羊が一匹、羊が二匹……。あれ、全然無心じゃないよぉ~)

彼方(さっきお水飲んだばかりなのに喉が渇いた気がするよぉ~)

──

かすみ(ベッドの下もなかなか寝心地いいね)

璃奈(特に彼方さんの下だと寝やすい電波がでてる)

エマ(ふわぁ~、ここで寝泊まりするのもありだね~)

引用元: 遥「お姉ちゃ~ん。瞼を閉じても目を閉じてないことに気付いて眠れないよ~」彼方「え?」