1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 20:40:02.29 ID:7phMAMy+O
ハルヒ「あんたなんでケーブルの線なんか剥いてるのよ?」

キョン「いや、このツインファミコンの接続線を作ってるんだが」

ハルヒ「接続線?ゲームなんて三色の線をテレビに繋ぐだけでしょ」

キョン「今はそうだが、昔はこうやって多少の工作をしなきゃ駄目だったんだよ」

ハルヒ「ふぅん、なんか面倒くさいわね」

キョン「よし接続完了だ……さてソフトは」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 20:58:29.82 ID:7phMAMy+O
キョン「あったあった、これだ」

ハルヒ「なにその真っ赤なカセットは」

キョン「朝比奈さんから薦められたんだよ。子供の頃結構ハマったらしいぜ」

ハルヒ「ドクターワイリーの野望?もしかしてワイリーってヤツが内政なんかを駆使して領土を拡大し世界を征服するのかしら」

キョン「いや、違うが微妙にあってるな。お手伝いロボットが世界征服を企むワイリー博士を懲らしめるんだよ」

ハルヒ「なんでお手伝いロボットが戦うのよ?お茶汲みくらいしかできなさそうな顔よこれ」

キョン「一応戦闘用に改造されてるらしいぞ。まぁ、腰ミノ一丁でライフル片手に無人島から脱出するゲームだってあったんだから細かい事は気にするな」

ハルヒ「なんでライフルもってるのに服は腰ミノだけなのよ」

キョン「しかもある条件を満たせばマッチョに変身できるぞ」

ハルヒ「なんかもう全く理解不能な世界ね…」

キョン「ファミコンのゲームなんてそんなもんさ」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 21:07:49.49 ID:7phMAMy+O
キョン「さて、それじゃさっそくいくぞ、ポチッっとな」

ハルヒ「………なんか画面まっ暗なまま始まらないわね」

キョン「うーん、多分ロード中なんじゃないか?」

ハルヒ「あぁ、そうか。昔のゲームだから時間が掛かってるのかもね」

キョン「……それにしてもファミコンのロードって長いんだな」

ハルヒ「始めるまでに、こんな時間のかかるゲーム機でみくるちゃんは遊んでたのねぇ。ちょっと尊敬しちゃうわ」

キョン「あの人忍耐力ありそうだしな。とりあえず暇だしオセロでもするか?」

ハルヒ「いいわよ、あんたとオセロするのも久しぶりね」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 21:27:37.13 ID:7phMAMy+O
キョン「しっかし、最近急に寒くなってきたな」パチッ

ハルヒ「本当ね、スカートの下にジャージでも履こうかしら」パチッ

キョン「それは駄目だろ、俺の中で評価だだ下がりだぞ。お前が机の上で足を組んでる時にわずかに垣間見える楽園を崩壊させる気か?」パチッ

ハルヒ「あんたが、なに言ってんのか良くわからないけど、これからは年中無休で履く事にするわ」パチッ

キョン「……なぁストーブの温度でも上げるか?」パチッ

ハルヒ「灯油の無駄遣いしないの。ほんとにこのエロキョンは」パチッ

ガラガラ

長門「…………ファミコン」

キョン「よう長門、遅かったな。お前もファミコン知ってるのか」

ハルヒ「ごめんね有希、まだロード中みたいだから遊べないのよ」

長門「………そう」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 21:48:39.01 ID:7phMAMy+O
キョン「ん?朝比奈さんからメールだ」

ハルヒ「ちょっと!いまは真剣勝負の最中でしょう、携帯の電源は切りなさい」

キョン「ちょっと待ってくれ、返信くらいならいいだろ?」

ハルヒ「ダーメ、後になさい!」ブチッ

キョン「全く、しゃあねぇな」

ハルヒ「よしよし、分かればいいのよ。分かれば」

長門「……………」

キョン「長門、そんな近くでテレビ見たら目が悪くなるぞ。第一まだロード中で画面真っ暗じゃないか」

長門「わかった。離れて待つことにする」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 22:07:37.60 ID:7phMAMy+O

……
………

ハルヒ「はぁー流石にオセロも飽きてきたわね」

キョン「そりゃ毎回毎回、全部黒色に染めてりゃ飽きるだろうよ」

長門「あなたの駒が一つでも残っていたのは342戦中、14戦。これは誇るべきこと」

キョン「へいへい、そいつはどうも……ところで俺なんか忘れてないか?」

ハルヒ「負けた回数分、古泉くん家にピンポンダッシュの刑のことかしら?」

長門「………メール」

キョン「あぁ、そうだ、朝比奈さんからメール来てたんだったか」

ハルヒ「全く忘れちゃ駄目じゃない、ちゃんと謝っときなさいよ」

キョン「誰のせいだ、誰の。え~っと 何々新着メール………36件」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 22:24:12.78 ID:7phMAMy+O
ハルヒ「な、なにその量。もしかして急用だったのかしら…」

キョン「えっと、…『キョンくんそう時はカセットを引き抜いてフーフーするんですよぉ☆』……次は『オセロもいいけどファミコンもね♪』……『だからファミコンにロードなんてないんですよー。もう私怒りますよぉ』」

ハルヒ「なんだか読み進めていくのが怖いわね…」

長門「最後のメールには何と?」

キョン「『もうええ、もうええわ。いまから行くさかいお前ら正座して説明書音読待っとれや!…ですぅ☆』」

ハルヒ「き、今日はもう帰りましょうか?」

キョン「そうだな、なんか俺急用思い出して…」

パリーーン!!

みくる「………………」ブロロブロロ

ハルヒ「み、みくるちゃん!…カッコいいわねぇそのバイク……」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 22:39:22.61 ID:7phMAMy+O
みくる「あんたら、あたいがおらんかったらなんや、この有様は……」ブロロブロロ

キョン「い、いや、てっきりロード中かと思って…」

みくる「ファミコンにロードなんかあらへん言うてるやろ!ほんまに、そんなんでグダグダ、グダグダやってどないするんや」

ハルヒ「だって……私達高校生だしそんなの」

みくる「だっても明後日もあらへん!……ええか、あたいはオセロがみたいんとちゃう…、ロックマンがみたいんやッ!ヴォスキャラ選択したときのあの曲がききたいんや!!」

ハルヒ「(な……なんか大変な事になってないかしら……。なんでみくるちゃん関西弁なのよ)」

キョン「(なんだかわからんが、ここは言われた通りにせねばなるまい)」

ハルヒ「(そうね…あの目はバイクで躊躇なく本気で轢く目だわ)」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 22:50:49.91 ID:7phMAMy+O
長門「フーフー………」

ガチャ

チャラララン♪チャラララ

みくる「長門さんナイスですぅ~ようやく始まりましたねぇ。……ひぇぇこのオープニングの高層ビルたかいです~」

ハルヒ「な、なんだかゲームが始まったとたん元に戻ったわよ……」

キョン「どうやらゲームをしている間は俺たちの命は無事みたいだな…」

みくる「さぁキョンくんはやく初めてくださぁい」

キョン「わ、わかりました!」

ハルヒ「キョン……頑張るのよ、あたし達の命はあんたにかかってるんだから!」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 23:04:05.05 ID:7phMAMy+O
キョン「おっと、なんか色んなキャラの顔が並んでますね」

みくる「自分で好きなステージを選んで攻略していけるのがロックマンの特長なんですよぉ」

キョン「へぇ、そうなんですか。どれから始まるか迷うな」

ハルヒ「あっ、あたしこのトンガッてるやつがいいわ!なんかカッコいいし」

キョン「クイックマンか?よーしそれじゃまずこいつから軽く倒してやるぜ」

ハルヒ「そうよ、その意気よキョン!」


ドカッ!

チャラララン♪チャラララン

みくる「はい、ストップー」

キョン「あ、あれ?オープニング…」

ハルヒ「みくるちゃん…なんで木刀でリセットボタン押してるのかしら……というよりどこから持ってきたの…」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 23:16:59.94 ID:7phMAMy+O
みくる「ねぇキョンくん…あんたいま何したのかな?自分がなにをしたのか分かってるのかな」

キョン「なにって…このクイックマンってやつを倒そうかと…」

みくる「ロックマンルーキーのあんたがいきなりクイックマンに勝てるあらへんやろ!タイムストッパーも無しに即死ビーム地帯を突破出来るわけあらへんやろぃぃぃ!」
キョン「す、すいません朝比奈さん!!」

ハルヒ「キョン、あたし達なにか悪いことしたの!?なにか間違ってたの!」

長門「………うかつな動きは死に繋がる。ここは慎重に行動するべき」

キョン「あぁ、わかった、どうやら俺は甘くみていたぜ、……ファミコンを…そしてロックマンを…」

みくる「なにコソコソしてるんですかぁ?禁則事項ですかぁ?わたし、はやく再開したいなぁ」

キョン「は、はいっ、ただいま!」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 23:40:58.88 ID:7phMAMy+O
ハルヒ「もうキョン、今度はちゃんと正解選びなさいよ!」

キョン「正解って言われても、俺ロックマンなんかやるの初めてだし、どれかわかんねぇよ」

ハルヒ「困ったわねぇ……ねぇ有希、なにかいい方法ないかしら?」

長門「ステージを選択しながら朝比奈みくるの顔色を伺うのが得策…」

キョン「なるほど、さすが長門だぜ!……それじゃこのヒートマンは……」チラッ

みくる「…………………」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/04(金) 23:42:31.84 ID:7phMAMy+O
キョン「うーむ…どうだハルヒ?」

ハルヒ「なんだか心無しか眉にシワが寄ってるような感じがするわ…」

キョン「はずれって事か…、それじゃこのクラッシュマンは……」チラッ

みくる「…………………」

キョン「今度はどうだろうか、これは正解じゃないのか」

ハルヒ「うーん少し微笑んでるけどあの口元のシワが気になるわ、…恐らくフェイクね」

キョン「くそっ、一体どいつが正解だってんだよ、このエアーマンか?」チラッ

みくる「てぃ☆」

グサッ!!

キョン「目がぁぁぁぁぁ!?木刀で目があぁぁ!!」

ハルヒ「キ、キョーーンッ!!?」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/05(土) 00:02:42.21 ID:7phMAMy+O
ハルヒ「大丈夫キョン!これが何本だか分かる?」

キョン「……心配するな、瞼を少しやられただけだ、眼球には傷一つついちゃいねぇ」

長門「正確にはつけなかったが正しい。朝比奈みくるは何故かあなたがロックマンをプレイすることに固執してる。故に過度に操作の支障をきたすような事はしない」

みくる「一体なんの事ですかぁ、たまたま当たっちゃっただけですよぉ」

キョン「へっ、長門それを聞いて安心したぜ…、ロックマンが死ぬ前に俺が死んじゃ話にもならねぇからな」

ハルヒ「キョン……あんた」

キョン「今度こそ迷わない!俺が選択するのはこのメタルマンだぁぁ!!」バンッ!

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/05(土) 01:22:17.25 ID:9RjQuQAgO
長門「その後、なんやかんやでメタルマンを倒した彼の快進撃が始まった。そして、なんやかんやでわたし達は順調にステージをクリアーしていった」


……
………

―バブルマン―

ハルヒ「危ないっ、残りライフ1メモリだけどなんとか倒せたわ、キョンのメタルブレードのお陰ね!はい、次みくるちゃん」


―ヒートマン―

みくる「ふぇぇ、ボスの動きが早すぎて攻撃できません~」

キョン「パターンは決まってるんで、落ち着いて動きを見れば大丈夫です、カウンターでバブルリードを!」

みくる「えっと、こうですかぁ?……えぃ!」


―ウッドマン―

長門「………見える」

ハルヒ「凄いわ、横と上同時に襲いかかる木の葉を全て回避するなんて!」

みくる「ノーダメージなんて凄いですぅ」

長門「これは当然の結果」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/05(土) 01:34:59.67 ID:9RjQuQAgO
―クイックマン―

キョン「こいつは特にこれといって弱点のない強敵だ、だが次のワイリーステージの為にもE缶は温存してロックバスターのみで倒してくれ朝倉っ!」

朝倉「わかったわ…ってそれ無理!?なんでよ特殊武器は回復するからいいでしょ!」

………
……


―ワイリーステージラスト―

キョン「やっとここまできたか…長い道のりだったな…」

ハルヒ「そうね、なんだか打ち切りみたいな感じだけど長かったような気がするわ」

長門「最後まで気を抜いてはいけない」

みくる「そうです、最後の力を振り絞っていきましょう!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/05(土) 01:48:13.87 ID:9RjQuQAgO
キョン「朝比奈さん…ここまでこれたのもあなたの演技のお陰です、ありがとうございました」

みくる「ばれてました?結構大変だったんですよぉ」

キョン「ふふっ、あのエセ関西弁じゃすぐバレますよ」

ハルヒ「でも、そのお陰であたしたちの絆もより深まったじゃない、結果オーライよ!」

キョン「よし、それじゃいくぞラストステージだ!」


ガチャ

古泉「おや、やはりまだここにいましたか?あなたにお客さんですよ」

キョン「ん?古泉………と妹か」

妹「キョンくんが全然帰ってこないから向かえにきたんだよ~」

キョン「あぁ、すまん、いまいい所なんだ後一時間まってくれないか」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/05(土) 02:04:12.19 ID:9RjQuQAgO
シャミセン「ニャーニャー」

キョン「なんだお前シャミセン連れてきたのか」

妹「だって一人じゃ怖かったんだもん」

キョン「悪い悪い、帰りは俺も一緒だからな、安心しろ」

ハルヒ「ちょっとキョン、なにやってんの~?折角の士気が下がっちゃうわよ!」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/05(土) 02:06:30.34 ID:9RjQuQAgO
キョン「悪い、いま行く。さぁ、お前も見ておけお兄ちゃんの最後の勇姿を……」

シャミセン「ニャァ」プチッ




長門「…消えた」

みくる「…消えましたね」

ハルヒ「…消えたわね」
朝倉「……これが噂に名高い、ネコリセット」

キョン「………結構ドクターワイリーの野望ってなんだったんだろうな?」

ハルヒ「…………さ…ぁ」

妹「ねぇねぇ古泉くん、なんで皆死んだマグロのような目をしてるのぉ?」

古泉「僕から言える事とといえばゲームは一日一時間……ですかね」

おしまい

引用元: ハルヒ「ドクターワイリーの野望?」