1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 19:39:58.601 ID:2K1Dj9dg0
あかり「わぁい!わぁい!」

7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 19:46:44.739 ID:2K1Dj9dg0
あかりちゃんは濁った街路を歩いていた

誰もあかりちゃんに目を向けないし

あかりちゃんも誰にも目を向けない

吸っていたアメリカンスピリットを道端に吐き出し

唾と一緒に

自分の苛立ちをそこに唾棄した

曇った濁り空は一向に晴れる気配はなかった

8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 19:49:00.262 ID:2K1Dj9dg0
レジデンシャル・セグレゲーション

という言葉がある

赤座あかりちゃんが貧民たることを理由として

富裕層との生活圏を完全に分断している

この国の本質を正直に体現している

至極明快で単純な論理がそれだった

赤座あかりちゃんは生まれてから此処

掃き溜めの街しか知らないし

自分が富裕層に軽蔑されているという事も

生まれてからそれを疑問に思わない程

自然に納得していた

10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 19:51:40.497 ID:2K1Dj9dg0
だけど赤座あかりちゃんは成長するにつれ

この国の不合理

世界に名だたる国家そのの内部で起こる

競争と勝者と敗者の区別

競争こそが発展への原動力と信じてやまない国家の

敗残者の掃き溜めに対して

並々ならない不満を抱いていた

資本のかたに労働力を提供して崩れていく父と母を見て

赤座あかりちゃんは確固として

その論理を是としていなかった

11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 19:54:24.103 ID:2K1Dj9dg0
あかり「見てよあかりのこの姿」

あかり「上層を歩く人間のきらびやかな姿とは裏腹に」

あかり「あかりは生まれも育ちもこの掃き溜めのせいで」

あかり「あかりはとてもまともな生活を」

あかり「送れていないよぉ」

あかり「上層の誰かがおとす気まぐれな施しに」

あかり「あかりたちはプライドもなく群がっていく」

あかり「これが世界の在り方かよぉ」

12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:01:45.932 ID:2K1Dj9dg0
力はすなわり金だった

金は即ち身分だった

身分はすなわち人生だった

赤座あかりちゃんはそれら全てのものに対して

得るなことのできるにがしかの要素も

持ってはいなかった

ここ街区の人間は誰も何も

必要なものなどもってはいなかった

13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:06:12.847 ID:2K1Dj9dg0
かつて永遠に追放された彼らの聖地を

取り戻したドナウの民のように

赤座あかりちゃんは

自身の市民的生活の

復興や返り咲きを心に秘めていた

しかし強者の論理で進むこの世界が嫌いであるのに

その論理に従って自身の生き方を

良い軌道へ持っていこうとすることに

赤座あかりちゃんは唾棄していた

赤座あかりちゃんの右手には市政官候補生への辞令書が握られていた

赤座あかりちゃんは唾棄しながらも

貧困の中で研鑚し

支配する側に回ろうとしていた

そしてそれは今成功を収めたことを結果として受け取っていた

14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:09:14.368 ID:2K1Dj9dg0
あかり「この矛盾」

あかり「あかりは滑稽なのさだよぉ」

あかり「あかりはこんな掃き溜めが作られることに」

あかり「疑問を抱いていたのに」

あかり「あかりはそれを管理する側に」

あかり「回ろうとしているよぉ」

あかり「・・・強いものが勝つ論理」

あかり「あかりのようなロクでもない出自でも」

あかり「知力で周囲を上回れば」

あかり「あかりはそこで力を得られるよぉ」

あかり「でも敗者は・・・?」

15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:10:37.722 ID:2K1Dj9dg0
あかり「敗者はきっとここにおとされるんだよぉ」

あかり「惨めで卑屈で」

あかり「暗くジメジメしたこの街」

あかり「暴力と示威がここでの正義だよぉ」

あかり「だけど」

あかり「だけどあかりは・・・」

結衣「やぁあかり」

あかり「結衣ちゃん・・・」

16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:15:07.570 ID:2K1Dj9dg0
結衣「ん?様子がおかしいな、どうしたんだ?」

あかり「大丈夫だよぉ」

結衣「そうか?でも少し具合悪そうだし心配だな」

あかり「ありがとうだよぉ」

結衣「熱でもないのか?少しなら薬もってるから」

結衣「分けてあげようか?」

あかり「ありがとう・・・ごめんねぇでも大丈夫だから・・・」

17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:16:09.437 ID:2K1Dj9dg0
結衣「そうか・・・でもやっぱり心配だからおでこ触って熱だけでも」

あかり「!!!!」

あかり「それ以上近づいちゃダメ!!!だよぉ」

結衣「・・・・・・・・・」

あかり「ベルトの後ろにあるナイフを取ってもあかりは元気だから」

あかり「刺し違える事くらいできるよぉ」

結衣「・・・・・・」

結衣「そうか・・・残念だな・・・」

あかり「結衣ちゃん・・・」

18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:19:45.202 ID:2K1Dj9dg0
結衣「病気の京子に少しでも」

結衣「いいものを食わせてやれると思ったのに」

結衣「私が死んでしまえば」

結衣「京子がどうなっちゃうかわからないからね」

結衣「今日はごめんね、あかり、また今度」

あかり「今度もあかりは結衣ちゃんに」

結衣「殺されたりしないよぉ」

結衣「・・・・・・・・」

結衣「それは残念だ」

あかり「・・・結衣ちゃん・・・」

結衣「それじゃあね、あかり、でもこれだけは覚えてて」

結衣「誰も悲惨な目になんて遭っちゃいない。 悲劇がお楽しみに変わっただけなんだよ」

結衣「それじゃあ」

あかり「結衣ちゃん・・・」

19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:24:24.765 ID:2K1Dj9dg0
サンマリノは悲観などしてないなかった

彼はむしろ英雄のように丘を下ったからだ

結衣ちゃんは悲しんでなどいない

なぜなら京子ちゃんが守るべき約束の場所だからだ

世界はそのように回る

赤座あかりちゃんは悲しみにくれる

辞令書は手放さない

生きる希望にすがりつく大切さは

その状況にあるものしか解らない

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:32:07.724 ID:2K1Dj9dg0
あかり「あかりが失ったモノは」

あかり「きっと元からあかりに」

あかり「必要じゃなかったんだよぉ」

あかり「結衣ちゃんも」

あかり「あかりにとって大切だったけど」

あかり「必ずしも必要なものじゃなくて」

あかり「結衣ちゃんにとってのあかりも」

あかり「きっとそうなんだよぉ」

あかり「・・・・・・・・・ふえぇぇん」

21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:37:02.500 ID:2K1Dj9dg0
あかり「あかり・・・あかりは・・・」

そういってあかりちゃんは


貧困街区を駆け抜けた

手に持った辞令書は決して手放さなかった

欲しいものはここにはなかった

ここにいることを望まれる事もなかった

赤座あかりちゃんは駆け抜けた

流星のように尾を引いた

世界は直線の連なりになった

悉く貧民街の意味は還元され

ただ偏に去る場所としての痕跡となった

赤座あかりちゃんは自身を構成する

この街区で育んが細胞も全て

置き去りにする気持ちで

上層への扉を叩いた

22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:42:10.000 ID:2K1Dj9dg0
京子『あかりはひよこみたいだな』

あかり『え?ひよこさんみたに可愛いってこと?あかり照れるよぉ』

京子『いやそういうわけじゃなくて』

あかり『えぇーっ!違うのぉ!?』

京子『イエース、そうじゃなくてだな』

あかり『んもうぅーあかりのどこがひよこさんみたいなのぉー!』

京子『きっといつでも信じられるからんだよ、あかりは』

あかり『え?それってどういうことなの?』

京子『ほら、ひよこって親のあとについていくだろ?』

あかり『きいたことあるよぉ』

京子『あかりはそういうところがあるんだよ』

あかり『えぇー!!!』

23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:44:15.661 ID:2K1Dj9dg0
あかり『あかりそんな単純じゃないよぉー!』プンスコ

京子『んにゃ、単純とかじゃなくて』

あかり『うん』

京子『まず、あかりがついていくのは私や結衣とかそういうんじゃないんだ』

あかり『そうなの?それじゃああかりは誰についていくんだろう・・・』

京子『不審者?』

あかり『んもうぅー!京子ちゃん!!』

京子『あはは、冗談冗談』

24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:47:24.185 ID:2K1Dj9dg0
京子『そうじゃなくてだな』

あかり『うん』

京子『あかりは信じてるものについていくんだよ』

あかり『信じてるもの?』

京子『うん私たちが忘れていく幼い時の・・・』

京子『なんていったらいいのか・・・道徳?』

あかり『よくわからないよぉ』

京子『次第に失っていく美しいものとか光ってるものとかそういう』

京子『人の矜持みたいなものにあかりは』

京子『あかりは常に歩いていける、強くて優しい子なんだ』

あかり『うぅよくわからないよぉ』

京子『なはは、言ってる私もよくわかってない』

あかり『えぇ~京子ちゃ~ん!』

25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:50:45.258 ID:2K1Dj9dg0
京子『つまりはそういうことだから』

京子『あかりはきっと』

京子『幸せになれるんだよ』

あかり『うぅ・・・よくわからないけどありがとだよぉ』

扉が開かれる

あかり「きっと全部嘘なんだね」

あかり「きっと全部全部」

あかり「見てよあかりのこの矛盾を、京子ちゃん」

あかりは汚れた服を身にまとう姿のまま

上層へ入る第一歩に決意を込めて踏み出した

27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:58:59.821 ID:2K1Dj9dg0
結衣『なぁ、あかり』

あかり『なぁに、結衣ちゃん』

結衣『あかりにはすごく大切なものってあるか?』

あかり『んんー、お友達みんな大切だよぉ』

結衣『そうか、じゃああかりは』

結衣『お友達みんなを殺そうとする奴が現れたら』

結衣『あかりはどうする?』

あかり『えぇーこわいよぉ!』

結衣『怖くても答えて』

あかり『うぅ・・・』

28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:01:08.853 ID:2K1Dj9dg0
あかり『あかりならきっと・・・』

結衣『うん』

あかり『その怖い人を説得するよぉ』

結衣『そうか、じゃあ説得じゃ抑えきれないのがわかったらあかりは』

結衣『どうするんだ?』

あかり『そうなったらあかりは』

あかり『・・・あかりは』

あかり『あかりを殺してもらってそれで納得する様に』

あかり『してもらうよぉえへへぇ』

結衣『そうか・・・・・・』

結衣『・・・・・・』

あかり『結衣ちゃん・・・?』

29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:02:59.956 ID:2K1Dj9dg0
結衣『そうだよな、あかりは・・・』

あかり『どうしたの・・・?悩みがあるなあかり・・・』

結衣『いや、いいんだ』

あかり『・・・結衣ちゃん・・・?』

結衣『なぁ、もしその殺人者が』

結衣『わたしでもそうするのか・・・あかり・・・?』

あかり『・・・結衣・・・ちゃん・・・?』

30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:04:38.489 ID:2K1Dj9dg0
曰く、不可解

必要なものは在るのに

用意はされていない

それはただそこにあるだけだった

誰かが見つけた時

誰かが使おうとしたとき

それははじめて意味を持つ

しかし意味をもつことに意味はない

それは既に在るもので

誰もそれを否定できないから

31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:07:06.046 ID:2K1Dj9dg0
辿れるものを出来るだけ辿ってみる

赤座あかりちゃんに必要なものは

物事の源泉だった

積み重なる現実が

赤座あかりちゃんの本質を


ぼやけさせていた

本当の赤座あかりちゃんは何処なのか

本当の自我など最初から存在しないのか

赤座あかりちゃんを定義する記憶は

何処にあるのか

考えながら

赤座あかりちゃんは二歩三歩と光の道をあゆむ

光り輝く上層世界への道

32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:09:17.246 ID:2K1Dj9dg0
あかり「誰もあかりのことなど」

あかり「わかってはいなかった」

あかり「あかりはなるべくして」

あかり「この道を歩いているのだ」

あかり「あかりは今日から」

あかり「あかりでなくてすらいいのだ」

あかり「ほんとうに必要なものは」

あかり「私が決めていくのだ」

あかり「私のみが私を規定できる」

あかり「わたしはもう私でいる必要はない」

34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:11:46.748 ID:2K1Dj9dg0
あかり「不必要なものは切り捨てよう」

あかり「必要な支配は肯定しよう」

あかり「見よ、この矛盾を」

あかり「誰もこれが以前のあかりだとは思わない」

あかり「夜になると胸が苦しくなる」

あかり「わたしがわたしでないことに涙が出る」

あかり「夜風がとても懐かしく感じるのだ」

あかり「あの日キャンプをした衒いのない仲間を思い出すのだ」

あかり「わたしはもうそこにはいない」

35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:15:13.514 ID:2K1Dj9dg0
あかり「わたしはもうそこにはいないのだから」

あかり「これで全てが一つの結末となって」

あかり「私はまたあらたに始まる」

あかりちゃんは遂に踏み入れた

光と絢爛の世界

ネクタイとノリのきいたシャツに身を包んだ

形式的な世界

革靴の鳴る高い音と

規則正しく清潔であり厳格な空気を身にまとう

あかり「あかりはあかりではなくなるのだ」

37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:18:54.913 ID:2K1Dj9dg0
以前そこにあった大切なもの

あの日身を寄せ合い

掃き溜めの街

薄暗い路地裏で

隠れる様に過ごした

桃色の髪の親友

互いにパンを分け合い

綺麗な水を守り

寒さに体を寄せ合った親友のことを

赤座あかりちゃんは思い出す

38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:22:24.845 ID:2K1Dj9dg0
いつから一緒にいたかはわからない

始めのうちはうまく言ってなかったことは

なんとなく覚えている

このままきっとこの子とは

そりが合わないまま過ごすんだろうと思っていた

だけどそれも

変っていく現実の中の一つの瞬間でしかなくて

お互いの親が遂に倒れた時には

自然とストリートの隅

どこかの路地裏の

さらに小さな穴から通じる

下水道への配管が貫いている

煉瓦の小さく空いた空間の隙間に

二人の寝床を見つけてから

ずっと二人で生活を助け合っていた

39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:24:13.582 ID:2K1Dj9dg0
イデオロギーは常に

底流に流れていた

何がしか思想めいたビラは

この世界の隅に思える路地裏にまで

投棄されていた

ちなつちゃんは熱心にそれを読んでいた

あかりちゃんは興味がなかった

今があればそれでよかった

だけどちなつちゃんはこの生活から抜け出すことに

当時のあかりちゃんよりもなお

積極的だった

ちなつちゃんは貧乏が大嫌いだった

40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:26:46.260 ID:2K1Dj9dg0
日々の糧は食べ物に消えた

服も装飾も

通常の少女なら興味の出る事について

ちなつちゃんもまたそれを欲した

だけどそれは

自身の身分を自覚したうえでの

叶わない願いだった

それがちなつちゃんの本質だった

だけど赤座あかりちゃんには

決して嘘は言わなかった

ちなつちゃんは欲しいものを欲しいとあかりちゃんに

言った

あかりちゃんは困った笑顔でちなつちゃんの

頭を撫でる事しか

出来なかった

41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:30:34.368 ID:2K1Dj9dg0
本質を変える事は難しい

たぶんそれは本質であるが故の命題だった

アルメニアがアルメニアであるのは

幾度もの侵略と略奪を経てもなお変わらないのだから

だから赤座あかりちゃんは

頭を撫でる事しかできなかった

持たざる者は他人に出来る事が少ないのも

一つの不幸だから

42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:33:18.119 ID:2K1Dj9dg0
ちなつ『あかりちゃん私は』

あかり『うん』

ちなつ『いつかきっとここを出ていく』

あかり『うん』

ちなつ『・・・驚かないの?』

あかり『あかりはちなつちゃんがどうしたいか知ってるから』

ちなつ『・・・・・・』

あかり『だから・・・』

ちなつ『・・・・・ごめんね、あかりちゃん・・・』

あかり『・・・ううん』

ちなつ『・・・いつも慰めて貰ってばかりだね』

あかり『あかりはちなつちゃんが幸せになってくれればそれで・・・』

ちなつ『あかりちゃん・・・』

43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:38:18.378 ID:2K1Dj9dg0
あかり『だから二人で貯めたお金もっていって』

ちなつ『・・・あかりちゃんは・・・そうやって私のこと・・・』

あかり『ううん、いいから』

ちなつ『あかりちゃんはこれからどうするの?一人でお金また溜めて何て・・・』

あかり『あかりは上層に行ってしたいことなんてないよぉ』

ちなつ『でも・・・』

あかり『あかりは結衣ちゃんと京子ちゃんの事も気になるし』

あかり『それにあかりは一人だって・・・』

あかり『一人だって・・・』

ちなつ『・・・・・・・・・あかりちゃん・・・』

あかり『いいの、ちなつちゃんはあかりのこと』

あかり『信じてあかりもちなつちゃんのことを信じて』

あかり『二人でやってこれた思い出があるだけであかりは満足だよぉ』

44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:45:44.742 ID:2K1Dj9dg0
あかり『またお手紙書いて』

あかり『あかりは』

あかり『あかりはそれで・・・』

あかり「そうやって送り出したちなつちゃんが」

あかり「わたしたちの溜めたお金を持ってたせいで強盗にあったちなつちゃんが」

あかり「わたしの前から消えたのも」

あかり「わたしが心に従ってちなつちゃんを引き止めなかった」

あかり「業なのかもしれない」

あかり「この世は心の従って行動するように」

あかり「作られている」

あかり「走らなければ。今から倒れるまで」

45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:53:51.568 ID:2K1Dj9dg0
赤座あかりちゃんを駆り立てるものは

最早何かわからない

今にして思えば些細であり

確定的な要因とは言えない

全ての何がしかに対して

赤座あかりちゃんは確定し

そして気に入らない何がしか全て唾棄して回った

47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:57:43.085 ID:2K1Dj9dg0
奇妙さは何処にでもついて回った

あの日見た風の匂いも

向日葵畑も

蝉の声も

全て遠くにあるの幻だという真実しか

この世界にはなかった

そこにある過去との比較で現実は見えてこないし

意味をなさなかった

あるべきものは過去をみるときにのみ

確定して

そして悲しかった

48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:59:20.506 ID:2K1Dj9dg0
関わりは全てを拒否し

赤座あかりちゃんはここにはいない

在るべきものを取り戻して

世界の均衡を図るにも

時間は恐ろしく強固な意志で

進むのみで赤座あかりちゃんはまた

地面を向いて歩くしかなかった

49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 22:01:53.799 ID:2K1Dj9dg0
正しいものを正しいと規定することを

愚かさの極みとして断定した

今よりもむしろ過去が鮮烈なのも

その迂回した思考からくる端数のような

切れ端のせいだった

今はただ静かに祈ることをする赤座あかりちゃんも

教会なんて言うものは

上層に来るまで知らなかった

ステンドグラスという色とりどりの光の採光も

赤座あかりちゃんが許しがほしくてやまない

全てのものへ通じてるように錯覚させているという事も

赤座あかりちゃんはしっかりと自覚していた

50: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 22:05:39.465 ID:2K1Dj9dg0
何もない状態のものが世の中に溢れていた

それはラベルが貼られていない何がしかだった

正義とか善とか人とか矜持とか

そういうものを拾い集めて赤座あかりちゃんは

机の奥底にしまっていた

いつか使う事を期待して

だけどそれが永遠にこないことも

赤座あかりちゃんはまた知っていた

神がお休みになられた日曜日にはまた繰り返すための反復記号が

譜面のように記されていた

いったい何度世界の創世をするのか

人々には理解でない

51: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 22:10:04.754 ID:2K1Dj9dg0
理解できない物を集めて

赤座あかりちゃんは両手に包み

祈りを捧げた

櫻子「いつも祈りを捧げていますね」

あかり「お友達の為です」

櫻子「確かなものはここにしかありません」

52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/11(土) 22:10:35.575 ID:2K1Dj9dg0
あかり「ならあなたは何を提供できるのでしょう」

櫻子「あなたと通じ合う事しか捧げられません」

あかり「そんなことどうやって」

櫻子「手をとって踊るだけです」

あかり「踊る?」

櫻子「それでひと時の夢をみられます」

あかり「ほんとうに?」

櫻子「全てを忘れて。なぜならそれは」

ワルツだから。だから私と

おわり

引用元: あかり「わぁい!」