1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:00:27.72 ID:PNdeq5110
 長い長い一日が終わり

「今日はハルヒのやつは何を言い出すんだろうか」

などと考えながら文芸部室の扉を開けた

それと同時に、ハルヒの意気揚々とした声が、俺の耳に飛び込んできた



「遅いわよバカキョン!今日はゲームをするわよ!」



部室には既に俺以外の全員が揃っていた

どうやら俺の到着を待っていたらしい



「雑用係なんだから団長より先に来なさいよ!!」



「へいへい」



授業が終わると同時に、駆け足で教室を飛び出していく団長様に

一体どうすれば勝てるのか、甚だ疑問である


2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:04:24.34 ID:PNdeq5110
「何よその気のない返事は

 次遅刻したら死刑だから!!わかった!?」



「へいへい」



「へいは一回!!」



「へいへい」



そうしていつもの席に着いた俺に、目の前のニヤケ野郎が話しかけてきた



「あなたも大変ですね」



「全くだ」



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:09:28.19 ID:PNdeq5110
「それより古泉、ゲームってのはなんなんだ?」



「それについては今から涼宮さんからの説明があるでしょう

 僕達もまだ内容は聞いていないのですよ」



「そうか」



いずれにせよ、良い予感はしないな・・・・・・



古泉との会話の途中に、朝比奈さんに差し出されたお茶を啜る

やはりうまい

俺は毎日が暇でもこのお茶さえ飲むことができれば何も言うことはない



「おいしいです、朝比奈さん」



「ふふっ、ありがとうございます」



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:13:47.11 ID:PNdeq5110
ああ、天使のようだ

ハルヒの考えている「ゲーム」とやらが一日中朝比奈さんを眺め続けるというルールだったら、どんなにいいか

しかし、あのハルヒに限ってそんなことは絶対にない

どうせいつものように、無茶苦茶な提案をしてくるだろう



「それじゃあ説明するわよ!!」



頃合いを見計らって、ハルヒが立ち上がった



「今回のゲームは、宝探しです!!」



・・・・・・

ハルヒにしてはマシな提案だな

俺はてっきりバトルロワイアルだとか、コスプレ大会だとか

そんなことを言い出すのかと思っていたんだが



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:17:06.61 ID:PNdeq5110
「宝探し、ですか」



古泉もそう感じたのか、意外そうな口調で言葉を返す



「そうよ!!既に四枚の紙が隠してあるわ!!

昼休憩の間にちょちょいと隠しといたの!!

それを一人一枚ずつ探してきてちょうだい!!」



「なんだなんだ、宝ってのはただの紙か?」



「ムッ、何よ。何か文句があるのなら今のうちに言っておいた方がいいわよ!!」



言いたいことは山ほどあるのだが・・・・・・

しかし、今更言ったところでハルヒの意見が変わることはないだろう



「ど、どこに隠したんですか?」



「よく聞いてくれたわね、みくるちゃん!!ズバリ校舎の中よ!!」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:19:26.29 ID:PNdeq5110
「ふ、ふえぇ~。学校全部ですかぁ?」



「そうよ!とは言っても、そんなに難しくないからきっとすぐ見つかるわよ」



「ヒントとかはないのか?」



「ないわ!自力で探してちょうだい!!」



「それと一つだけ!

 協力はしないこと!一人で探してちょうだい!!」



「それじゃあ、スタート!!

 あたしはここで待ってるから、見つけたらこの部室に来るように!!」



「お、おいちょっと待てy」



「あ!、やっぱりヒントを一つだけあげるわ!!

 この部室には1枚も隠していません!!以上!!」



ハルヒがそう言い終わると同時に、今まで静かに本を読んでいた長門が急に立ち上がり

トコトコと部室を出ていった


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:21:14.14 ID:PNdeq5110
「ほらっ!有希はもう探しに行ったわよ!!

 一番最後に見つけた人は罰金だから!!

 アンタ達も早く行きなさい!!」



「ふえぇ~!罰金ですかあ?」



「おやおや、それは急いだ方がよさそうですね」



「やれやれ」



そうして部室を後にした俺は、朝比奈さんと古泉に軽く挨拶をしてから

ルール通り一人で歩き出した


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:23:54.82 ID:PNdeq5110
 しかし一体どこに隠したと言うのか

全く予想もつかない

「宝探し」なんてハルヒにしては・・・・・・と思っていたのだが

これは想像よりも遥かに大変そうだな

この広い校舎の中で、小さな紙切れを一人で探すなんて無茶すぎる

日が暮れちまうぞ



「あれ?キョン何してるの?」



「国木田?お前こそこんな時間に何してる

 もう帰ったんじゃないのか?」



「それが谷口が岡部に呼ばれちゃってさ

 それを待ってるんだよ」



「お前も大変なんだな・・・・・・」



「で、キョンはどうしたの?」



そこで俺はこのゲームについて、簡単に説明した


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:26:42.07 ID:PNdeq5110
「へぇ、涼宮さんらしいね」



「こっちは迷惑してるんだがな

 いやしかし、一体どこに隠したのか全く想像がつかんのだ」



「ん~、僕が思うにそういう時は普段あまりいかないところには隠さないと思うよ」



「どういうことだ?」



「知らない人相手ってなら別だけど、SOS団でやってるんだから

 それにゆかりのある場所に隠すとか

 それこそ、普段関係のない場所はどこに隠そうか考えた時にあまり思い浮かばないでしょ?

 昼休憩の間にパパっと隠したのなら、尚更だよ」



「なるほどな

 すまん、助かった」



「がんばりなよ」



「ああ」


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:31:01.59 ID:PNdeq5110
偶然とはいえ、国木田に会えてよかった

これは俺が最初に宝を見つけることになるかも知れんな

SOS団にゆかりのある場所となれば部室以外で俺の頭にはもうあそこしか残っていなかった

駆け足で目的地へと向かう



懐かしい

突然ハルヒにネクタイを掴まれ、無理矢理に連れてこられた屋上へと続く階段

ここしかないだろう

ここで俺はハルヒに色々と雑用を押しつけられたのだ

そうと決まれば早速探すか



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:34:05.75 ID:PNdeq5110
積み上げられた段ボールの中

鉄でできたラックの隙間

掃除道具箱の中

ありとあらゆる場所を探した

の、だが・・・・・・

どう言う訳か、その宝は気配すら見せなかった

おかしいな、ここにはないのか?

もう随分とここを探している

これ以上探す意味はなさそうだな

同じ場所をずっと探しているよりは、どこか別の場所へ移動した方が効率がいいだろう

そう思い、階段を降りていると、朝比奈さんと出会った



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:36:58.40 ID:PNdeq5110
「あ、キョンくん」



「朝比奈さん、どうですか?」



「ん~、ダメです 

 全然見つかりません」



「そうですか」



「はい、何か私達に関係のある場所だろうと思って探してはいるんですけど・・・・・・」



朝比奈さんも国木田と同じ意見か

失礼な言い方ではあるが、この朝比奈さんがそのことに気がついているということは

どうやら気づいていなかったのは俺だけみたいだな

途端に自分の頭の悪さに嫌気がさす



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:39:14.87 ID:PNdeq5110
「ど、どうしたんですかぁ?私、何か言いましたか?」



「あ、いえ、なんでもないです

 気にしないでください」



「そうですか

 それならよかったです」



ホッとする朝比奈さん



「古泉や長門には会いましたか?」



「あ、はい!

 どうやら長門さんは既に見つけて部室に向かったみたいです」



なんだと

いや、考えてみれば当たり前か

長門相手にこのゲームはちょっとイージーすぎただろう



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:42:35.52 ID:PNdeq5110
「古泉は?」



「古泉くんは、何か手掛かりを見つけたみたいで、一目散にどこかに向かって行きました」



と、なると古泉も時間の問題か

まずいな



こうしちゃいられない



「朝比奈さん、そろそろ行かないと・・・・・・

あんまり待たせるとハルヒのやつに何を言われるのか分かりませんから」



「そ、そうですね!

 私ももう行きます

 それじゃあ、お互い頑張りましょうね」



「はい」



ニコリと天使のような笑顔をその場に残し、幼い先輩はトテトテと行ってしまった

宝探しが始まって、もう1時間は経っているな・・・・・・

やはりこうしちゃいられない

これは急いで紙を見つけてしまわないと

外も暗くなっちまう



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:46:18.26 ID:PNdeq5110
とは言っても、次に思い当たる場所がどこにもないので

俺はフラフラと校舎内を彷徨うことしかできなかった

途中、なんとなく目に着いた場所に入って紙を探してみたりしたのだが

そんなに簡単に見つかりはしなかった



もうあれから5か所目になるのか

男子トイレを一通り探し、廊下へ出ると

今度は古泉に会った



「おやおや、調子の方はどうですか?

 その様子ではまだ見つかっていないようですけど」



いちいち一言多い男だな



「ああ、その通りだ

 古泉の方はどうだ?

 朝比奈さんによると手掛かりを見つけたらしいが」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:54:01.67 ID:PNdeq5110
「そのことなんですが

 どうやら僕の予想は外れていたようです

 一目散に目的地に向かったはいいものの、探し損でしたよ」



「そうか、お前にしちゃ珍しいな

 ってことは古泉もまだ見つけていないのか?」



「いえ、つい先程見つけました

 今は部室へと向かっているところです」



「なんだそうだったのか

 ところで、何かヒントをくれたりはしないのか?」



「それはできませんね

 神に逆らうことは重罪ですから」



「大げさなやつだな

 少しくらいいいだろう」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 17:56:51.30 ID:PNdeq5110
「分かりました

 それでは一つだけ」



「なんだ?」



「僕も長門さんも、位置は違いますが、同じものに隠してありました」



「さっぱりわからん

 もう少し詳しく話してくれないか?」



「さすがにこれ以上は・・・・・・

 申し訳ありません

 それでは、僕は部室へ向かわないといけませんので」



「ああ、分かったよ

 それじゃあな」



「はい」



位置は違うが同じもの?

どういう意味だ?

同じものなのに位置が違うなんておかしくないか?



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:00:05.71 ID:PNdeq5110
「おや、キョンくんじゃないか!」



悩みながら廊下を歩いていると、鶴屋さんに出会った



「キョンくんもまだお宝を見つけられてないのかい!?」



「どうして知ってるんですか?」



「みくるに聞いたって訳さ!」



「なるほど」



「それで、まだなのかい?」



「はい、全く見当がつかなくて・・・・・・

 一応ヒントは貰ったんですけど」



「ヒント?」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:08:05.13 ID:PNdeq5110
「ええ

 古泉によると『位置は違うが同じもの』らしいんですけど」



「なーに!めがっさ簡単にょろ!」



「え?分かるんですか!?」



「つまりそれは複数あるのだよ!!

 そしてそれを長門っちも古泉くんもキョン君もみくるも持っているという訳さ!!」



「・・・・・・なるほど」



そんな簡単なことにどうして気がつかなかったのか

やはり俺はバカなのだろうか



「ありがとうございます鶴屋さん」



「なーに、気にすることはないっさよ!!」



「それじゃあ、俺は時間がないので」



「うん!めがっさがんばるにょろよ~!」



「はい」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:10:55.85 ID:PNdeq5110
『位置は違うが同じもの』の意味は分かったものの

一体それが何なのかは、まだ分からなかった

俺も朝比奈さんも古泉も長門も持っているもの?

そして校舎内にあるもの?

なんだそれは

そんなものが存在するのか?

ん?

もしかして「制服」なんて言い出すんじゃないだろうな?

念のためポケットの中を調べてみる

すると、右ポケットに何やら入っている



「おいおい、まさか・・・・・・」



右ポケットに手をつっこんだ俺は、中に入っているものを引っ張りだした

カサッ・・・・・・と小さな音を立て、俺の手に握られたそれは、小さな紙だった



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:13:11.86 ID:PNdeq5110
「ま、まじかよ」



一瞬心躍った俺であったが、なんのことはない

今日の帰りのHRで配られたプリントを鞄に入れるのが面倒で、ポケットに入れたのを思い出した



「何してんだ俺は・・・・・・」



自分の哀れさにがっくりときた俺は、もう順位など諦め、少し休むことにした

今の疲労を回復するか、罰金を免れるか、どっちがいいかと言われたら

今は疲労を回復するべきだろう

大体、後残っているのは朝比奈さんと俺だけなんだ

もし俺が勝っちまったら、必然的に朝比奈さんが罰金を払うことになってしまう

それだけは避けなきゃならん

いや、さすがに朝比奈さんももう見つけているだろうな

それならもう何を考えたって無駄だ、ええい!休んでやる!



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:15:04.76 ID:PNdeq5110
そうして休む場所を考えた結果、自分の教室へ向かうことにした

部室へ戻れない今、ここしかないだろう

ガラッと扉を開けると、窓から綺麗な夕陽が射しこんでいた

もちろん、教室の中には俺だけである

正直に言おう、虚しい

しかし、疲れたな

なんせもう2時間以上ひたすら探し回っている

ハルヒは一体何がしたいんだ

このゲームになんの意味がある

単なる暇つぶしなんて理由だったら、さすがの俺も黙ってはいられない

いや、見つけられないのは俺の責任なんだが・・・・・・

と、その時、突然教室の扉が開かれた



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:18:40.65 ID:PNdeq5110
「WAWAWA、忘れ物~♪」



前にもこんなことがあったな・・・・・・

しかしあの時とは違って今は長門がいない

虚しさを感じていた俺にとって、悔しいことに谷口の出現はありがたいことだった



「あれ、キョン何してんだ?」



「ちょっとハルヒに振り回されていてな・・・・・・

 お前の方こそどうした」



「俺は見ての通り忘れ物しちまったんだよ」



一体お前のどこを見たら「忘れ物」をしていると気がつけるのだろうか



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:21:49.60 ID:PNdeq5110
「HRに貰ったプリントなんだけど、机の中かな~」



「キョン、お前見なかったか?」



「知らん」



「そうか、おかしいな

 確かに机の中に入れたはずなんだが」



「机の中に入れたことを覚えているのならその中以外ないだろう

もう少しよく探してみろ」



「ああ、分かってるんだが・・・・・・おかしいな」



「さてはキョン・・・・・・」



「な、なんだよ」



「お前、隠したな?」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:22:51.98 ID:PNdeq5110
「何を言ってやがる

 何故そんなつまらんことをせにゃならんのだ

理由を教えてくれ」



「いや、お前なら可能性がありそうだ

 ちょっと机の中を調べさせてくれ」



「はあ?ちょ、何しやがる!!」



無理矢理俺の机の中を探ろうとする谷口を、力づくで止める



「な、なんだよ

 そんなに必死になって守るほど見られたくないもんが中に入ってんのか?」



「そういう訳じゃないぞ

 ただ、納得がいかないだけだ」



「いいじゃねぇか、ちょっとくらい調べさせてくれてもよぉ!」



「ダメだっつってんだろうが!」



ガタンッ!!


36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:23:55.53 ID:PNdeq5110
格闘している谷口と俺の足がぶつかり

結構な衝撃音と共に机が倒れてしまった

見事なまでに中身がぶちまけられる



「何しやがる・・・・・・」



これまでの疲労も重なって、いつも以上にイライラしてしまった

それが谷口にも伝わったのだろう



「いや、す、すまん、少し冗談が過ぎた

 手伝うから許せ!」



そして2人で片付けに取りかかる

俺はわざわざ教科書を持って帰らず、学校に置いておく派なので、結構な量が散乱している

しばらく片付けていると、谷口が何かを拾い上げて言った



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:25:35.25 ID:PNdeq5110
「ん?なんだこりゃ?

 キョン、お前も涼宮に影響されちまったのか?」



「?

 なんのこt・・・・・・まじかよ」



谷口の手に握られていたそれは、見覚えのない「紙」だった

間違いない

宝だ



「でかした、谷口」



「は?」



「すまんがここはお前に任せる」



「え?いやちょっと待ってくれよ!おい!」



一目散に教室を飛び出した俺は、部室へと向かった

辺りは既に暗くなっている

ハルヒのやつは、さぞ機嫌を損ねているだろう

急がないとな



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:28:14.85 ID:PNdeq5110
ガチャッ!

部室の扉を勢いよく開け、中に入った



「ハルヒ!!」



・・・・・・しかし、そこにハルヒの姿はなかった



「どういうことだ?」



「ようやくですか

 待ちくたびれましたよ」



「ハルヒはどこに行った?」



「私が紙を見つけた時点で、既にここから姿を消していた」



「は?俺達を置いて帰ったってことか?」



「そう」



「なんだよそれ・・・・・・」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:29:04.76 ID:PNdeq5110
「涼宮ハルヒは、この紙にメッセージを残している」



「ん?」



長門に促され、握りしめていた紙をよく見てみると

確かに裏面に文字が書いてあった

いつぞやの校庭に描いたあの字と似ている



「なんだこれは?」



「私のにも書いてあります!」



「もちろん、僕のにもです」



「私も」



「全員書いてあるのか・・・・・・

で、これはなんなんだ?」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:29:56.29 ID:PNdeq5110
「あなたはここに置いて」



「え?」



長門に言われるがまま、長机の中心にその紙を置く

その後、俺の横に長門の紙、その横に古泉、朝比奈さんと続いた



「一体なんなんだ?」



「4つの文字を繋げることで、一つの言葉が完成するように作られている」



「なるほど・・・・・・」



「で、なんて書いてあるんだよ」



なんと書いてあるのか、解析でもしているのだろうか

長門はジーっとその紙を見つめている



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:30:56.33 ID:PNdeq5110
そして、しばらくの沈黙の後、ようやく長門が口を開いた



「『あ・り・が・と』」



「・・・・・・これはこれは」



「す、涼宮さん・・・・・・」



「ったく」



なんて面倒くさい奴なんだ

こうまでしなければ、俺達にお礼の一つも言えないのだろうか

なにか?その場に自分がいるのが恥ずかしいから帰ったってことか?

ふざけんじゃねえ



「素直に喜んでおきましょう

 涼宮さんが普段、このようなことをおっしゃることは滅多にないですから」



「そうですよぅ!私・・・・・・私・・・・・・うぐっ」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:31:52.18 ID:PNdeq5110
確かにな

ハルヒが人にお礼を言うなんてことが過去にあっただろうか

やり方は面倒くさいが

ハルヒらしいと言ってしまえばそれまでである

事実、俺は面倒くさいと思いながらも、心のどこかで喜びを感じていた

何故だか、今までのハルヒの無茶な行動も

笑って許してやろうと

そう思えたのだ



しかしな、ハルヒ

俺達を置いて帰っちまったのは許されることではないぞ

だってそうだろう

お前のお礼に対する返事ができないじゃないか

もし、この場にハルヒがいたら俺はこう言ってやるだろう



「気にするな」



ってな



終わり


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/17(土) 18:41:27.38 ID:PNdeq5110
どうせ誰も読めないだろう

そう思ってハルヒはキョンの紙だけ「好きです」と書いた

それに長門は気づいているんだけどあえて言わなかった

がしかし、結局その後、キョンにそのことがばれてしまう

ハルヒの気持ちを知ったキョンは自分の気持ちに気づく

そして数日後、キョンはその紙をハルヒに渡すことで気持ちを伝える



なんて設定も考えていたんだが正直飽きた

読んでくれてありがとうございました


引用元: ハルヒ「今日はちょっとしたゲームをするわよ!」