1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 18:46:29.90 ID:+M62xdoh0
ギャン「なんだ? 朝っぱらから」

ハルヒ「どういうことなのよ!」

ギャン「だから何だと言うんだ?」

ハルヒ「なんでアンタが我がジオン公国軍の次期主力量産MSになってるのよ!」

ギャン「それは軍の上層部にでもきいてくれ」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 18:51:01.08 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「まったく……、信じられないわ」

ギャン「俺だって寝耳に水だよ」

ハルヒ「どう考えたってゲルググの方が優れているはずなのに……」

ギャン「仕方ないだろう? 軍のお偉方が決めたことだ」

ハルヒ「あんたのどこにゲルググより優るところがあるっていうのかしら?」

ギャン「さぁな」

ハルヒ「だいたい主戦場はすでに宇宙に移っているのよ! 空間戦闘よ!」

ハルヒ「それなのに、なんで今更、白兵戦に長けているアンタなんかが選ばれたのよ!」

ギャン「だから俺は知らんと言うとるだろ」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 18:58:22.52 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「はあ……、連邦の白い奴に戦場で相まみえる度に
     私だってビーム兵器を搭載したMSに憧れていたっていうのに……」

ハルヒ「よりによって、飛び道具がミサイルだなんて……」

ギャン「そいつは残念だったな」

ハルヒ「時代遅れもいいところだわ」

ギャン「そうは言うがなハルヒ、実弾兵器にだってそれなりの使い道があるってもんだぞ」

ハルヒ「へ~。言ってみなさいよ」

ギャン「まずはビーム撹乱幕に対して何の制約も気にせずに戦闘を続けることができる」

ギャン「連邦の主力量産MSはビーム兵器が標準装備されているものが多い」

ギャン「そうなれば、相手は引くか突っ込んでくるかだ」

ギャン「もし白兵戦を挑んでくるような状況にでもなればしめたものだ」

ギャン「なんせ俺は格闘戦に長けたMSなんだからな」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:03:33.94 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「で、そのアンタの得意中の得意である白兵戦の最中に
    相手がビームサーベルで斬りかかってきたらどう防ぐつもりなのよ」

ギャン「それはもちろんこのシールドで……」

ハルヒ「ミサイルをふんだんに積んだシールドでね」

ギャン「……」

ハルヒ「なんで、白兵戦での運用を想定しているのにも関わらず
    その身を守るシールドに爆発物仕掛けちゃうのよ!」

ギャン「それは、確かにお前の言うとおりなのかもしれん」

ギャン「しかし、俺が生み出された70年代~80年代初頭には
    そういう一見合理的だがめちゃくちゃなデザインが流行っていてだな」

ハルヒ「ああもう! わけわかんないわよ!」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:10:56.31 ID:+M62xdoh0
ギャン「詳しいことは俺の設計者にでもきいてくれ」

ハルヒ「軍上層部も軍上層部よ。いったい何を血迷ってアンタなんかを量産化に踏み切ったのかしら」

ギャン「きっとそいつは見る目があったんだろうな」

ハルヒ「はん! きっとそうね。空間戦闘なのに脚がないだけで
    不良品扱いするような馬鹿があんたを選んだんでしょうね」

ギャン「なにもそこまでつんけんする必要はないだろ。
    将来俺にだってビーム兵器の一つや二つ付くことだって考えられるじゃないか」

ハルヒ「無理よ。アンタはビームサーベル一本で特攻するのが似合ってるんだから」

ギャン「俺は、竹槍で戦車に挑もうとした日本兵か何かか……」

ハルヒ「それにもうこのア・バオア・クーが最後の防衛線なのよ。
    アンタの改良型が開発されるまでにきっともう……」

ギャン「ハルヒ……」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:16:48.68 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「と、とにかく、私はアンタなんかで出撃なんてまっぴらごめんよ」

ギャン「そうかい」

ハルヒ「ところで、他のエースパイロットたちはどうするのかしら?」

ギャン「なにやら赤に塗った俺や青に塗った俺がいたから他のパイロットたちは不満はなさそうだがな」

ハルヒ「そう……」

ギャン「そんなに嫌なら、俺との競合試験に使ったゲルググがまだあるんじゃないか?」

ギャン「プロトタイプとはいえ、競合試験用に開発されたものだ。充分に性能はいいと思うが」

ハルヒ「そうね、じゃあそのゲルググを私のパーソナルカラーでもある金色に塗ることにするわ!」

ギャン「初めてきいたぞ……。ていうかどれだけ時代を先取りするつもりだお前は……」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:21:31.69 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「どう首尾は?」

整備「スズミヤ少佐、本当によろしいので?」

ハルヒ「何よ?」

整備「このような色にしてしまって……」

ハルヒ「ちゃんと上官には許可はとってあるわよ」

整備「はぁ……」

ハルヒ「ふふっ。これで戦場で目立つこと間違いなしね!」





シャア(あれ、いいなぁ。こんど機会があればやってみよう)

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:28:56.04 ID:+M62xdoh0
   ビーッ! ビーッ!

『総員戦闘配置、繰り返す、総員戦闘配置』

ハルヒ「おいでなすったわね!」

整備「少佐、こいつけっこう癖のある機体でして」

ハルヒ「慣らし運転にはもってこいの状況よね!」

整備「実戦ですよ、少佐!?」

ハルヒ「ああもう! うるさい! やるっていったらやるのよ!」

整備「ビームライフルのエネルギー供給とスラスターの供給源のジェネレーターは同じなので
   ライフルを発射する度に反応が鈍くなりがちです。その辺気をつけて下さい」

ハルヒ「わかったわ!」

整備「その分上限は高めに設定されていますがね。くれぐれも飛ばし過ぎにはご注意を」

ハルヒ「この宙域に速度制限なんてあったかしら?」

整備「へへっ! ご武運を!」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:35:19.56 ID:+M62xdoh0
ギャン「始まったか……」

ギャン「ハルヒ用に支給された俺もパイロットがいなきゃただの木偶の坊だな」

ギャン「俺の運命はア・バオア・クーと共に、か……」

ギャン「それともジオンの起死回生の攻勢があるか……」

ギャン「奇跡でも起きない限りそれはないだろうな」

ギャン「……」

ギャン「生き残れよ、ハルヒ」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:42:20.18 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「うわぁ、いるいる」

ハルヒ「宇宙なのに黒に見えるの部分が少ないほどだわ」

『本部から各小隊へ、敵本陣の大多数はNフィールドより侵攻するものと思われる
 第1班~20班までは至急Nフィールドへ向かわれたし。その他の班は別命あるまで待機
 なおこの広域通信はミノフスキー粒子が高濃度のためこれを最後に使用不能となる
 各自専用回線に切り替えるべし。以上』

ハルヒ「Nフィールドね。さて、この機体がどれほどのものか確かめさせてもらうわ」



ジオン兵「目立ち過ぎだろ……」

ジオン兵「あれじゃあ、いい的じゃねぇかよ……」

ジオン兵「あいつには近づかないようにしよう……」

ジオン兵「趣味悪りぃ……」


学徒兵「か、カッコイイ!」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:48:19.32 ID:+M62xdoh0
ギレン「敢えて言おう、カスであると!」

     『ジークジオン!!』

ハルヒ「まったく、ゲルググを正式採用しなかったアンタらの方がカスよ」

オペレーター『第一波、来ます!』

ハルヒ「わぁお! なかなか壮観じゃない!」


ジオン兵「ぐわー!」

ジオン兵「よ、避けきれん! うわー!」

学徒兵「お、おかーさーん!!」


ハルヒ「カンタンなんだよ こ・ん・な・の~♪」ヒョイヒョイ

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:52:33.12 ID:+M62xdoh0
連邦兵「な、なんだあの機体は!?」

連邦兵「撃て撃て! 目立つ奴から仕留めろ!」


ハルヒ「遅い遅い!」


連邦兵「は、速い!!」


ハルヒ「そこっ♪」

  ズギューン!

連邦兵「ぐわー!」


ハルヒ「私ったらやっぱりやるじゃん!」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 19:57:17.77 ID:+M62xdoh0
ギレン「あの機体は?」

ジオン兵「はっ! この度、主力量産MSの選考から外れたゲルググかと……」

ギレン「ほう……。では出来損ないであの活躍。ギャンはかなり期待できるな」

ジオン兵「はい。そう思われます」

ギレン「戦況はどうなっている」

オペレーター「Nフィールドに依然敵戦力が集まっていますが、我が軍優勢!
        しかしSフィールドに木馬が確認され、それを見た兵の士気が落ちています」

ギレン「ふぅむ……。ではあのゲルググをSフィールドへ。奴ならやれるかもしれん」

オペレーター「はっ! スズミヤ少佐 至急Sフィールドへ救援へ向かわれたし、繰り返す……」

ギレン「ふふふっ。圧倒的ではないか我が軍は」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 20:06:25.83 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「人使いが荒いわね。頭撃たれて死んじゃえばいいのよ」

ハルヒ「……」

ハルヒ「あれね……」

ハルヒ「あの戦艦とは思えないフォルム、見間違えるわけないわ! 木馬!」

ハルヒ「だとすると……」

ハルヒ「いたっ! 白いMS!」

ハルヒ「今の私にならできるはず!」

ハルヒ「後ろからこっそりと……」

    ズキューン!!

ハルヒ「!? 避けられた! 後ろに目でもついてるっていうの!?」

ハルヒ「それとも、あの噂の超能力者かしら?」

ハルヒ「あのブランドものみたいな名前のMAに乗ってた……。あいつも確か……」

ハルヒ「だったらズルイわね」

ハルヒ「正々堂々と勝負しなさい!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 20:13:02.34 ID:+M62xdoh0
  ビーッ! ビーッ!

ハルヒ「ヤバイ! 捕捉された!?」

ハルヒ「でも! こっちだって速さじゃ負けないわよ!」

    ギュイン!

ハルヒ「くっ! さすがにGがすごいわね」


連邦兵「はぁ……まさかこんな土壇場でジャンケンに負けてボールに乗らなきゃいけないなんて……」

ハルヒ「ちょっと! 私の進路上にいる丸いやつ! どきなさい!」

    ズキューン!

連邦兵「あっ!? ギャー!」

    ガクン↓

ハルヒ「!? 出力が下がった」

ハルヒ「そっか……、共通のジェネレーター使ってるって言ってたっけ」

ハルヒ「出力最大でぶっ飛ばしてるときにビームライフルは使えないか……」

ハルヒ「しかも、なんでさっきから私の進路の先に合わせたように白い奴は撃ってこれるのよ!?」

ハルヒ「急に方向転換しなきゃならないこっちの身にもなりなさいよ!」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 20:21:29.58 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「はぁはぁ……、なんとか振り切ったわね」

ハルヒ「悔しいけど、今の私じゃあいつには勝てそうもない……」

ハルヒ「こうなったら、その辺の丸っこいので憂さ晴らしよ!」

ハルヒ「いけいけ~!!」

   ズキューン! ぱらぱら……

ハルヒ「……あれ? ビームが……」

ハルヒ「もしかして、ビーム撹乱幕!?」

ジオン兵「よし、俺たちのギャンの時代がきたぞ!」

ジオン兵「撃て撃て! 撃ちまくれ!」

ハルヒ「ふん! シールドからミサイルなんて滑稽だわ!」

ハルヒ「でも、このビーム撹乱幕、連邦側からの仕掛けに思える……」

ハルヒ「なんであえてこちらに有利になるように今更ビーム撹乱幕なんかを……」

ハルヒ「こちらの新型量産機の主武装は実弾兵器だって知らないわけじゃないだろうし……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「敵も上が無能だってことね!」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 20:32:23.94 ID:+M62xdoh0
ジオン高官「おい、早く行くぞ。この機を逃すでない」

ギャン(ん? あのお偉いさん、やけに焦ってるな)

ギャン(無理もないか、今はこっちが優勢っぽいがいつまで続くことやら……)

ジオン高官「あれは持ってきたんだろうな?」

ツィマッド社員「もちろんでございます」

ギャン(あれは、俺の開発元の……?)

ジオン高官「ビーム撹乱幕が張られている内に連邦に接触せねば」

ギャン(おいおい、何を言ってるんだ!?)

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 20:36:21.58 ID:+M62xdoh0
ジオン高官「ん? なぜギャンがここに? 全機発進したのではないのか?」

ジオン兵「はっ! スズミヤ少佐機でありますが、少佐はゲルググで出撃なさいました!」

ツィマッド社員「ほほう……、我が社の機体ではありますが、ギャンを選ばないあたり
         どうやらそのスズミヤという者、なかなか見る目があるようで」

ジオン兵「は?」

ジオン高官「うぉっほん! 気にするな。今から私は極秘任務のために出る」

ジオン兵「はっ! お気をつけて!」

ギャン(いったい何だというんだ……)

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 20:42:25.74 ID:+M62xdoh0
ジオン高官「おい、あまりそのような事を口に出すな」

ツィマッド社員「これはこれは、あなた様の用な方でもそのように小心なところがあるとは」

ジオン高官「……口を慎みたまえ」

ツィマッド社員「ふふふ。失礼いたしました。閣下」

ジオン高官「して、このことは本当に連邦の方には伝わっているのだろうな?」

ツィマッド社員「もちろんですとも。じゃなければ私もご同行するわけがございません」

ジオン高官「それもそうだな。しかし、あのギャンはそちらの製品だろうが」

ツィマッド社員「そうですが、客観的に見ればやはり
         ジオニックのゲルググの方が優れていると言わざるを得ませんな」

ギャン(……)

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 20:46:42.75 ID:+M62xdoh0
ジオン高官「ふん、そんなことはわかっておる。ワシはお前に恥は無いのかと聞いておるんだ」

ツィマッド社員「恥じることでこの戦争を生き延びることができるのでしたら考えましょう」

ツィマッド社員「しかし今は急ぐことが最重要かと……」

ジオン高官「それもそうだな……。話はゆっくりと艦できこうか」

ギャン(ハルヒ、どうやらこの戦争、かなりきな臭いことになっているようだ)

ギャン(つまらん死に方なんてせずに帰ってこい)

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 20:57:38.64 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「ったく、こうなったらビームライフルは荷物にしかならないし
    この辺に捨てていくしかないわね」

ハルヒ「……待てよ。だったらさっきの白い奴も今はビームライフルを使えないはず」

ハルヒ「だったら、今なら互角に戦えるはずっ!」

ハルヒ「ふっふっふ。待ってなさいよ! 今までの借りを何倍にもして返してあげるわ!」

 …
 …
 …

ハルヒ「何! アイツ!! あり得ないわ!!」

ハルヒ「なんでバズーカ抱えてんのよ!!」

ハルヒ「危うく気づかずに突っ込んで行くところだったわ……」

ハルヒ「しかもこの宙域のビーム撹乱幕薄くなってて狙われ放題だったし……」

ハルヒ「出撃前に新品だったこの機体もこうもボロボロじゃあね」

ハルヒ「一度整備に戻らないと……」

ハルヒ「こちら、スズミヤ少佐 応答願います」

   『ザーッ────』

ハルヒ「ん? そんなにミノフスキー粒子濃いかしら?」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 21:07:19.73 ID:+M62xdoh0
『ザーッ── ギレン閣下が── ザーッ────』

ハルヒ「何かあったのかしら……?」

ハルヒ「ちょっと! 何番ドッグが空いてるのか教えなさいよ!」

『キシリア少将に全権を──── ザーッ────』

ハルヒ「まったく……、どうせくだらない兄弟喧嘩でもしてるんでしょ?」

ハルヒ「ねぇったら! いったいどうすればいいのよ!」

『敵軍に傍受される危険性を鑑みて全通信を一時的に封鎖する!
 各々の判断で戦闘を継続されたし!』 ブチッ!

ハルヒ「……もう駄目ね」

ハルヒ「ボロボロの機体で整備もままならない……」

ハルヒ「せめて乗り換えができたら……」

ハルヒ「ギャン……」

ハルヒ「今更、アイツの顔が浮かんでくるなんて」

ハルヒ「可笑しいったらありゃしないわ……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「うん、帰ろう、アイツのところへ……」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 21:17:23.58 ID:+M62xdoh0
シャア「ちぃっ! どこだ! ガンダム!」

ハルヒ「ん? あんた、赤い彗星?」

シャア「そういう君は……、黄金色の……」

ハルヒ「ああ、別にあんたみたいに二つ名なんてないわよ」

ハルヒ「でも、珍しいわね。赤いMSじゃないし、ちゃんとパイロットスーツ着てるなんて」

シャア「……ある人からの言いつけでね」

シャア「ところで、連邦の白いMSは見なかっただろうか?」

ハルヒ「ああ、アイツなら脇にバズーカ抱えてあそこら辺でがんばっていたわよ」

シャア「ふっ、見えるぞ……私にも敵が見える!!」

ハルヒ「そりゃあ、私が教えてあげたからね」

シャア「感謝する……」

ハルヒ「じゃあね、もし生きていたらまた会いましょう」

シャア「ふっ、今度は私が金色のMSで君の前に現れる機会もあるかもしれんな」

ハルヒ「言っとくけど楽じゃないわよ」

シャア「肝に命じておこう……」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 21:29:07.65 ID:+M62xdoh0
『ギレン閣下が倒れられた今、もはやこの戦線の維持はままならぬ』

『この通信を聴いている同志よ。一時の恥を忍んで再起の機会を待とうではないか』

『我はエギーユ・デラーズ。もし、私に同調する者があれば茨の園で待つ……』

ハルヒ「もはや軍は壊滅状態ね……」

ハルヒ「私も早いとこ身の振り方考えないと……」

ハルヒ「まずは、機体の乗り換えね」

ハルヒ「って言うかギャンは無事なのかしら」

ハルヒ「……」

ハルヒ「まあ、ギャンに乗るくらいならリックドムやザクの方がましってもんよね」

ギャン「すまんな、ハルヒ。俺はピンピンしてるぞ」

ハルヒ「ああ、なんだ、生きてたんだ」

ギャン「もっとこう感動的な再会を演出するという気兼ねさはお前にはないものなのか」

ハルヒ「うるさいわね」

ギャン「とにかく生きて帰ってきてくれてよかった」

ハルヒ「私が簡単に死ぬわけないでしょう、バカギャン!」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:02:08.99 ID:+M62xdoh0
ギャン「ああ、その通りだハルヒ。こんな戦争で死ぬなんて馬鹿なことがあってたまるか!」

ハルヒ「どうしたのよ? ギャンにしては珍しく大声だして」

ギャン「ハルヒ。お前の言うとおり俺は出来損ないだったんだよ」

ハルヒ「はぁ?」

ギャン「さっき軍のお偉方と俺の開発元のツィマッド社員が連邦に亡命するために行っちまった」

ハルヒ「まぁ、この戦況を見れば納得もいくわね」

ギャン「おそらくこのア・バオア・クーでの戦況は関係ないな」

ハルヒ「どういうことなの?」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:08:03.53 ID:+M62xdoh0
ギャン「ハルヒはこのア・バオア・クーでの戦闘がもしジオンの圧倒的勝利に終わっていたら
    戦局はどうなっていたと思う?」

ハルヒ「局地的な勝利に過ぎないわね。いずれにしても物量で勝る連邦の戦略的優位性は変りないわ」

ギャン「そう、その通りだ。それはジオンの内部の状況にも詳しい高官になればなるほど突きつけられる現実だ」

ハルヒ「だから、亡命は止められないってわけね。でも、それとアンタが出来損ないだって言う繋がりがわからないわ」

ギャン「もし、ゲルググと俺の選考試験が正当に行われていたなら十中八九ゲルググに決まっていただろう」

ハルヒ「当たり前でしょ! どう考えたってそうなんだから」

ギャン「面と向かって言われると、これほど堪えることはないが……」

ハルヒ「真実を言ったまでよ!」

ギャン「ああ、そうだな……」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:14:30.71 ID:+M62xdoh0
ギャン「しかし、現実に俺が選ばれた」

ハルヒ「あいつら目が節穴なのよ」

ギャン「どうやら理由はそんな単純なものではなかったようだがな」

ハルヒ「……いったい何をきいたの?」

ギャン「艦が発進する前にその軍高官とツィマッド社員の会話を盗み聞きしてな」

ギャン「ヤツら連邦に安全に身柄を確保してもらう見返りに性能で劣る俺の量産を決めたと言っていた」

ギャン「しかも、ビーム撹乱幕を瞬時に無効化する技術も手土産にな」

ギャン「この技術はツィマッド社が極秘裏に開発に成功して、その試験品は既に連邦側に渡っているらしい」

ギャン「撹乱幕が絶対だと信じて疑わない軍上層部はツィマッド社の口車に乗せられ
    性能では劣るが実弾兵器を主武装とする俺を正式に採用した」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:18:58.41 ID:+M62xdoh0
ギャン「さらに、亡命した軍高官も裏で糸を引いていた」

ギャン「そいつはその選考試験の責任者でもある」

ギャン「奴はジオン公国でもかなりの資産家らしくてな」

ギャン「戦況の悪化にともない早い内から亡命を決めて連邦と裏で繋がっていたらしい」

ギャン「戦後、自身の資産は保護されるという約束事をとりつけてな」

ハルヒ「そりゃあ、ジオンの将官として戦争で負ければほとんど没収されるでしょうしね」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:26:48.76 ID:+M62xdoh0
ギャン「すべてはそんな保身に走る軍高官たちによる出来レースだったってわけさ」

ハルヒ「でしょうね。でなければアンタなんて採用されるわけないわ」

ギャン「おいおい……。これでも本当は次期主力量産MSに採用されて内心喜んでいたんだぞ」

ギャン「それを、開発者自らゲルググの方がすべてにおいて優っていると言われた日にゃ……」

ハルヒ「じゃあ、見返してやればいいのよ」

ギャン「そう簡単に言うがな……」

ハルヒ「なにもアンタ一人でやれって言ってるわけじゃないんだから」

ギャン「?」

ハルヒ「私が乗ってあげるって言ってんのよ! ありがたく思いなさい!」

ギャン「いいのか? あれほど嫌がっていたのに」

ハルヒ「ほら、ぼさっとしてないで早いとこ核融合炉暖めておきなさいよ!」

ギャン「ハルヒ……」

ギャン「ああ、そうだな。目一杯熱くなってやるよ」

ハルヒ「言っとくけど、私の操縦はそこいらのパイロットとは比べ物にならないわよ!」

ギャン「望むところだ、ハルヒ」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:35:00.85 ID:+M62xdoh0
ジオン軍「くっ! 本部はいったいどうなってるんだ!?」

ジオン軍「わからん! 通信が遮断されたままだ!」

ジオン軍「もう、やられちまってるんじゃね~だろうな?」

ジオン軍「でも、このビーム撹乱幕がある限り少なくともギャンの優位性は覆りようがないぜ!」

ジオン軍「それもそうだな」

ジオン軍「おい! 長距離レンジから……!! ぐわーーー!!」

ジオン軍「どうした? 新兵器か!?」

ジオン軍「ソロモンのときみたいにあの鏡か!?」

ジオン軍「いや……、ビーム攻撃だ!」

ジオン軍「おい! 撹乱幕はいったいどこに行ったっていうんだ!?」

ジオン軍「わからん! いや……明らかに薄くなっている!?」

ジオン軍「薄くなっているどころじゃねぇぞ! 完全に消えちまってる!!」

ジオン軍「クソッ! どうなってやがるんだ!」

ジオン軍「シールドミサイルの射程外から狙い打たれてるぞ!」

ジオン軍「とにかく散開するんだ! 固まっていたらいい的だ!」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:42:52.61 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「どうやら、ビーム撹乱幕もかき消されているらいしいわね」

ギャン「ああ、そうだな」

ハルヒ「でも、なんでわざわざ連邦がビーム撹乱幕を散布したりしたのかしら?」

ハルヒ「どうせ消すんだったら意味ないんじゃないの?」

ギャン「一時的にこちらを優位に見せるためだろうな」

ギャン「やばくなって逃げ出す奴はいるだろうが、こちらが押しているのにいきなり亡命するとは思えんだろう」

ハルヒ「亡命者に対する連邦側の配慮ってわけ?」

ギャン「だろうな……。味方から見れば亡命途中の戦艦が一気呵成に攻めて行っているように見えただろうさ」

ハルヒ「なんでそこまでして連邦側も気を遣っているのかしら?」

ギャン「連邦側にもその亡命者が金のなっている木に見える奴もいるってことじゃないか」

ハルヒ「ふ~ん。どこでも腐ってる奴は腐ってるってわけね」

ギャン「まあ、本質は変わらんだろうな」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:49:36.97 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「だとしたら、撹乱幕が消えた今、奴らはもはや連邦の勢力圏内に?」

ギャン「だろうな」

ハルヒ「なによ、一気に難しくなっちゃったじゃない!」

ギャン「なんだ? だったらもうお終いにするか?」

ハルヒ「冗談じゃないわ。あいつらの好きにさせてたまるもんですか!」

ギャン「さすが正義の味方の泣く子も黙るスズミヤ少佐でいらっしゃる」

ハルヒ「うっさい! アンタは黙って私に操られていたらいいのよ!」

ギャン「へいへい」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 22:56:21.64 ID:+M62xdoh0
連邦兵「どうやらジオンも時間の問題だな」

連邦兵「この戦争が終われば当分大きな戦闘はないだろうな」

連邦兵「だとしたら、手柄を立てるチャンスも当分お預けってわけか」

連邦兵「後方で生き残ったはいいが、こうも戦場から離れちまうと昇進からも離れちまうな」

連邦兵「残党狩りにでも行くか」

連邦兵「そいつはいいや! 疲弊した敗残兵でスコア稼ぎだ」

連邦兵「ん? 待て! ものすごいスピードで近づいてくる物体がある!」

連邦兵「敵MSか!?」

連邦兵「わからん……が、単機で突っ込んで来るぞ!」

連邦兵「ま、まさか……赤いすい……」

連邦兵「来るっ!」

連邦兵「ぼさっとしてんな! 撃て撃て!」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:05:06.96 ID:+M62xdoh0
ギャン「強行突破か……」

ハルヒ「何か文句ある?」

ギャン「いや……お前らしい、と思ってな」

ハルヒ「まるで私に作戦が無いと言いたげね」

ギャン「何か他に考えがあるのか?」

ハルヒ「これが今私が考える一番良い作戦よ!」

ギャン「結局、単機突撃じゃないか」

ハルヒ「シンプル・イズ・ベスト!」

ギャン「やれやれ……」

  ズギューン! ズギューン!

ハルヒ「うわっと!」

ギャン「おい! 本当に大丈夫なんだろうな!?」

ハルヒ「あんたのセンサー有効半径が短すぎて、どうしても遠距離からの攻撃に反応が遅れるのよ!」

ギャン「仕方ないだろう、格闘戦に特化した作りなもんだから長距離からの攻撃は想定外だ」

ハルヒ「もう! 役立たずなんだから!」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:11:29.32 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「でも、さっきのゲルググよりかはフィーリングが合う感じがするわね」

ギャン「それもそうだ。お前が今まで乗り継いできた機体のデータをフィードバックさせているんだから」

ハルヒ「なるほどね」

ギャン「まさかお偉方もお前さんがプロトタイプのゲルググに乗るなんて言い出すとは思わなんだだろうよ」

ハルヒ「じゃあ、もしあのゲルググにデータ写してたら白い奴ともやりあえたかしら?」

ギャン「仮定の話は今はどうでもいいだろ?」

ハルヒ「……まあそれもそうね」

ギャン「おい、それはそうと、このまま突っ込む気か!?」

ハルヒ「今のアンタなら私の一秒先を見越して動いてもらえるってわけでしょ!」

ギャン「それこそニュータイプって奴だな」

ハルヒ「さぁ! 行くわよ!」

ギャン「頼むから常識の範囲内での操縦を心がけてくれよ」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:18:54.76 ID:+M62xdoh0
連邦兵「駄目だ! まったく当たらん!」

連邦兵「ここにきて……! もはや戦争終結も目の前でっ!!」

連邦兵「やられるっ!?」

   ブワッ!!!!

連邦兵「…………!!」

連邦兵「……あれ?」



ハルヒ「ごめんね。あなたたちを構ってる暇はないの」

ギャン「心臓に悪すぎる!」

ハルヒ「私があんなへなちょこな弾に当たるわけないでしょ!」

ギャン「俺はそこまで自信たっぷりにできるお前の方が信じられん!」

ハルヒ「ところであんた心臓なんてどこにあるのよ?」

ギャン「……」



連邦兵「いったい、何だったんだ……?」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:26:33.46 ID:+M62xdoh0
ジオン高官「クックック……、もはや我々は連邦の勢力圏内に入った」

ジオン高官「これで、亡命に気づいた奴がいようがもはやここはでは追ってこれまい」

ツィマッド社員「しかし連邦軍のアンチ撹乱幕の手際も見事なものですな」

ジオン高官「連邦の勝利には間違いはないだろうが、これでさらに確実なものになったな」

ツィマッド社員「私も我が社が戦後のMS市場のシェア拡大への第一歩を踏み出したかと思うと……ふっふっふっ」

ジオン高官「見ろ! ギャンではもはや連邦のMSに太刀打ちできぬではないかっ!」

ツィマッド社員「無様ですな」

ジオン高官「ふん! よく言うわ。あれはお前が作ったものではないか」

ツィマッド社員「作ったものが全て傑作であれば今頃ジオンはこの戦争に勝っていたかもしれませんな」

ジオン高官「……ふん」

ツィマッド社員「ご心配なく、あれは欠陥品です」

  『それはどうかしら?』

ジオン高官「!?」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:35:06.41 ID:+M62xdoh0
ジオン高官「この通信はどこからだ!?」

ジオン兵「味方です」

ジオン高官「味方だと? ええい! 所属は?」

ジオン兵「ジオン軍MS……あっ! い、今は敵です!!」

ジオン高官「連邦はいったい何をのんびりと……!」

ジオン兵「ジオン軍MS……いえ、敵MS一体! 急速に我が艦に接近!!」

ハルヒ『亡命なんてツマンナイことしてないで帰ってきなさい!』

ツィマッド社員「閣下……」

ジオン高官「弾幕を張れ!! 何をしている急げ!!」

ジオン兵「しかし、この位置からですと連邦軍へも被害が出る恐れが……今は味方では!?」

ジオン高官「構うな! 撃て!」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:41:48.88 ID:+M62xdoh0
ギャン「奴の慌てふためく顔が浮かんでくるな」

ハルヒ「そんな悠長なことも言ってられないわよ!」

ハルヒ「もしもし、聞こえる? そこのムサイさん。聞こえないってことはないでしょうね」

ハルヒ「だって、さっきまで味方同士だったんだから通信機器の相性だって抜群のはずでしょ?」

ギャン「そういうお前も余裕だな、ハルヒ」

ハルヒ「私が、ご丁寧にその出来損ないのポンコツで最悪なMSをお届けにきました~!」

ギャン「ちょっと言い過ぎじゃないか?」

ハルヒ「いいのよ! 減るもんじゃないし」

ギャン「いや、確実に俺の自尊心が音を立てて崩壊していきそうなんだが……」

ハルヒ「たかがMSに自尊心なんかあってたまるもんですか!」

ギャン「とりあえず油の涙でもいいから流したい気分だ」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:49:13.12 ID:+M62xdoh0
ジオン高官「クソッ! なぜバレた! なぜたった一機で追ってくるんだ!」

ツィマッド社員「閣下、近づけなければどうということはありません」

ジオン高官「……そうか、それもそうだな」

ツィマッド社員「あれのことなら私が一番良く知っております」

ジオン高官「弾薬はたっぷりとある! 連邦軍本陣と合流するまでなんとしてでも奴を近づけるな!」

ツィマッド社員「左腕部のシールドを狙うよう指示をしていただけますかな」

ジオン高官「艦長」

ジオン兵「はっ! 砲撃手! あのギャンのシールドを重点的に狙え!」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:53:35.16 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「これじゃあ、なかなか近づけないわね……」

ギャン「弾薬もまだたっぷりとあるだろうしな」

ハルヒ「ああもう! まどろっこしい!」

ギャン「ところでハルヒ、どうやらあちらさんは俺の弱点に気づいているようだ」

ハルヒ「はぁ?」

ギャン「シールドを重点的に狙われている」

ハルヒ「なんでご親切に当たれば誘爆するような的を持ってるのよあんた!」

ギャン「このシールドちゃんは俺のアイデンティティーというやつだ……」

ハルヒ「あっそ……」

ハルヒ「だったらあっちがその気ならこっちだって……!」

ギャン「何をする気なんだハルヒ?」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/15(土) 23:57:12.73 ID:+M62xdoh0
ハルヒ「こうするのよ!」

ギャン「おい、俺のシールドちゃんをどうする気なんだ?」

ハルヒ「行っけぇ!!」

ギャン「こらハルヒ! シールドちゃんをフリスビーみたく投げるんじゃありません!」

ハルヒ「何の役にも立たないものの有効活用を示してあげてるんじゃない」

ギャン「しかしあれじゃあ、撃ち落とされるのがオチだぞ」

ハルヒ「ふふん!」


連邦兵「何かを投げた!? しかし……!」

    ズギューン!

ツィマッド社員「ば、馬鹿! それを撃ち落とすな!」

    ドガ~ン!!

連邦兵「な、なんだ!? 機雷だったのか!?」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/16(日) 00:01:05.49 ID:HY//Sdby0
ジオン兵「爆発の影響で敵機ロスト!」

ジオン高官「弾幕! 撃ちまくれ! 奴を近づけるな!」

ツィマッド社員「まさか……、逆手に取られるとは……」

ジオン兵「!? レーダーに反応! ち、直上です!!」

ジオン高官「撃ち落とせ!!」



ハルヒ「ふふっ! 甘い甘い!」

ギャン「ほ、本当に俺なのか? この動き……!」



ジオン兵「駄目です! 敵機さらに接近!!」

ジオン高官「おい! なんなのだあの動きは!? 出来損ないのMSではなかったのか!」

ツィマッド社員「こ、こんなはずでは……!!」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/16(日) 00:06:39.78 ID:HY//Sdby0
ジオン高官「か、回避だ!」

ジオン兵「間に合いません!」

ツィマッド社員「み、認めんぞ……」

ツィマッド社員「私はそんなの認めん!!」

ハルヒ『あんたがどう思おうが、この機体は確かにあんたが作ったものなんじゃないの?』

ハルヒ『どう? 嬉しいでしょ? このギャンがここまでやれるって目の当たりにできて』

ツィマッド社員「こ、この出来損ないの、欠陥MSがっ!!」

ハルヒ『はぁ~、その欠陥品にやられるようじゃ、あんたはさらにポンコツってことね』

ハルヒ『それに、生みの親がそんなんじゃ子供は報われないわ』

ハルヒ『でも、安心して。私がその汚名を返上してあげるんだから』

ハルヒ『この一撃でっ!!!!』

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/16(日) 00:13:11.05 ID:HY//Sdby0
ハルヒ「ギャン!」

ギャン「よし来た!」


ジオン兵「ブリッジに直撃きます! う、うわーー!!」

ジオン高官「くっ……ここまでか……!!」

ツィマッド社員「ば、馬鹿なーーーー!!!!」


ハルヒ「一刀両断!!」

   ドッカ~ン!!!


ハルヒ「たとえどんなポンコツMSでも私が乗ればすべてが名機になるのよっ!!」

キョン「機体の働きは無視か……」

ハルヒ「私のおかげよ」フフン!

ギャン「まあ、それはいいとして、ここが連邦の勢力圏の真っ只中だということを忘れるなよ」

ハルヒ「言われなくてもわかってるわ! 離脱するわよ! ギャン!」

ギャン「りょ~かい」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/16(日) 00:19:42.98 ID:HY//Sdby0
ハルヒ「どう? ギャン。スカッとしたでしょ?」

ギャン「ああ、正直ここまでやれるとは思っていなかった」

ハルヒ「当たり前でしょ? なんたってこの私がパイロットなんだから!
    もっと喜んでもいいのよ!」

ギャン「ああ……。でも、まさか自分が負け戦のために作られたと思うと情けなくなるがな」

ハルヒ「負けてなんかないわよ」

ギャン「……」

ハルヒ「だって生き残ったじゃない」

ギャン「それもそうだな」

ハルヒ「しっかし、戦争ってもんは改めて一部の人間の思惑で動いているんだって実感しちゃったわね」

ギャン「酷い話だがな」

ハルヒ「は~……、バッカらしい」

ギャン「これで本当に終りなんだろうか……」

ハルヒ「さぁね……」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/16(日) 00:27:18.11 ID:HY//Sdby0
ギャン「ところでハルヒ、これからどうする気なんだ?」

ハルヒ「とりあえず今あるプランは3つね」

ハルヒ「一つはアクシズに合流する」

ギャン「さすがに単独でアステロイドベルトへの航行は無理だがな」

ハルヒ「そうね……。もう一つは茨の園への合流」

ギャン「親衛隊のデラーズ艦隊か……。もう一つは?」

ハルヒ「その辺に潜んで宇宙海賊!」

ギャン「やれやれ……。連邦に投降する気はないのか?」

ハルヒ「その気があったらとっくにこの機体を土産に投降してるわよ」

ギャン「それもそうか……。でもなんでそうしない?」

ハルヒ「……」

ギャン「もしかして、俺と離れるのが……」

ハルヒ「そんな訳ないでしょ! 矜持の問題よ! 私だって腐ってもジオン軍人よ!」

ギャン「はいはい、そういうことにしとくか」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/16(日) 00:36:20.03 ID:HY//Sdby0
ハルヒ「とりあえず身の振り方を決めるまではその日暮らしでもいいかもね」

ハルヒ「くぅ~! なんだかワクワクしてきちゃった!」

ギャン「お前らしいな」

ハルヒ「なんにせよ、この人類の行く末を私は見てみたい」

ハルヒ「死んだって長生きしてやるわ!!」

ギャン「言ってることがめちゃくちゃだ」

ハルヒ「アンタも私について来なさいよ!」

ギャン「お前は長生きすればいいさ。俺はあと3年もしないうちに次の世代のMSが台頭してくるだろう」

ギャン「その時は、さすがにお前も新しい機体に……」

ハルヒ「アンタは一人じゃ何もできないんだから黙って私に操られていたらいいのよ!」

ハルヒ「永遠に私が扱き使ってあげるわ!!」

ギャン「……へいへい。くれぐれも、お手柔らかに頼むぜハルヒ」

ハルヒ「ほら! 行くわよギャン!」


  おしまい

引用元: ハルヒ「ちょっとギャン!」