のび太「やめろよドラえもん…ホントどうしちゃったんだよ」

ドラえもん「どら焼き！どら焼き！」ﾎﾞｶﾎﾞｶ

のび太「ドラえもんったら！」

ドラえもん「なぁに？のび太くん」

のび太「ドラえもん？なぁにってさっきまで僕を叩いてたじゃないか～」

ドラえもん「なーにをバカな！僕がのび太くんを叩く訳ないじゃない＾＾」
ドラえもん「それよりのび太くんが持ってるの…どら焼き！今日のおやつどら焼きなの！？」

のび太「…ドラえもん？」

ドラえもん「ねぇ！のび太くん！僕のどら焼きどこ？ねぇ！＾＾」

のび太「あ…あぁこれね！ママが勘違いしちゃってこれ１つしか買ってこなかったんだよ…！」
のび太「だからこれ…君にやるよ！」

ドラえもん「え！ホント！？ありがとうのび太くん＾＾」
ドラえもん「じゃあお言葉に甘えて…いただきまーす」ﾓｸﾞﾓｸﾞ


のび太(ドラえもんの奴…どうしちゃったんだろう…)
のび太(…そうだ。あとでドラミちゃんに聞いてみよう…！)

のび太「…という訳なんだドラミちゃん。ドラえもんいったいどうしちゃったの？」

ドラミ「…ついにこの時が来ちゃったのね…」
ドラミ「のび太さん…落ち着いて聞いてね…。…お兄ちゃんは…そう、病気なの。」

のび太「病気？」

ドラミ「…そう、のび太さんも知ってると思うけど、お兄ちゃん昔耳をネズミにかじられてるでしょ？」
ドラミ「あれの影響で記憶回路に少し障害が出ちゃって…それに…お兄ちゃんずっと働いてたから…少し疲れちゃったのよ！」

のび太「じゃあ、ドラえもんは休めば治るんだよね？」

ドラミ「…えぇ。いつかこんな事もあるかもって準備していたわ…」

のび太「ホント！？良かった～じゃあドラえもん元通り元気になるんだ！！」

ドラミ「…」

のび太「ドラえもん、これからドラミちゃんが迎えに来るからね。じっとしててね」

ドラえもん「大丈夫だよーのび太くん。僕はなんともないって」

のび太「そんな事言わずに今までだってずっと働き詰めだったんだからこの機会にゆっくり休まないと！ね！」

ドラえもん「大丈夫だってばー」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

ｰ引出しｶﾞﾗｯｰ

ドラミ「お待たせ、のび太さん」

のび太「ドラミちゃ～ん！待ってたよ！」

ドラえもん「ドラミはまた余計な事して！僕は大丈夫だってばー」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

ドラミ「今日はのび太さんに紹介したい人も連れてきたの…。」

のび太「紹介したい人？」

ドラミ「…入って」

謎の声「よっといしょーっと、あわわわわっ！！ふー…危なかった～」

のび太「…え…ドラミちゃんこれは…」

ドラミ「…」

ドラえもん(cv.わさび)「やぁ～のび太くん！＾＾はじめまして～僕ドラえもん！」

ドラえもん「ぼ…僕がもう１人…？」

ドラえもん(cv.わさび)「やぁ～のび太くん！それに僕＾＾」

のび太「ド…ドラミちゃん…これって一体…」

ドラミ「…いつかこんな日が来るのを予期して、未来の世界で用意してたの…」

のび太「よ…用意って…一体…」

ドラミ「…新しいお兄ちゃんよ。これからは新しいお兄ちゃんがのび太さんを助けるわ…」

ドラミ「…のび太さんは、今まで通りお兄ちゃんと暮らしてくれればいいの…」

ドラえもん(cv.わさび)「そういう事だからこれからよろしくねー！のび太く～ん＾＾」

のび太「そういう事だからって…ちょっと待ってよ！…じゃあ今までのドラえもんは？僕の知ってるドラえもんはどうなるのさ！？」

ドラミ「…」

のび太「ドラえもん…元通りに治るんだよね…？また…ここに戻って来るんだよね…？」

ドラミ「…」

のび太「ちゃんと答えてよ！ドラミちゃん！」ｶﾞｼｯ

ドラミ「のび太さん…」

ドラえもん「の…のび太くん…」ｵﾛｵﾛ…

ドラえもん(cv.わさび)「まぁ～まぁ＾＾あとは僕が居るから落ち着きなよ～のび太く～ん＾＾」ｶﾞｼｯ

のび太「ちょっと…離してよッ！…まだ…ドラえもんが…！」

ドラえもん「の…のび太くん…！はっ離せ！離せドラミ！！僕は…僕はまだのび太くんと…！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

ドラミ「お兄ちゃん暴れないで…このまま居てものび太さんに迷惑をかけるだけだわ…」

ドラえもん「嫌だ！僕はのび太くんと…！」

ドラミ「のび太さん…安心して。お兄ちゃんは私が未来のケア施設でしっかり面倒見るから」

ドラミ「あとは新しいお兄ちゃんが上手くやってくれるはずだから…きっとすぐなれるわ…」

のび太「なれるって…そんな…ドラミちゃん…！」

ドラえもん(cv.わさび)「僕が居るから心配しなくても大丈夫だって～＾＾のび太く～ん＾＾」

ドラミ「それじゃあお兄ちゃん、のび太さんの事よろしくね…」

ドラえもん(cv.わさび)「オッケ～イ！＾＾」

ドラミ「それじゃあお兄ちゃん…行きましょ？」

のび太「ドラえもん！！」

ドラえもん「のび太くん…！！」

のび太くん「ドラえもん…ドラえもん…ドラえもん！行かないでドラえもん…！！」

ドラえもん「のび太くん…！僕は…僕は…僕も君と…別れたく…」

ドラえもん(cv.わさび)「ん～しょうがないなー…あっ！そうだ～＾＾」ｶﾞｻｺﾞｿ…

ドラえもん(cv.わさび)「ん～とー…あったぁ＾＾」
ドラえもん(cv.わさび)「ワスレバット～＾＾」ﾃｯﾃﾚﾃｯﾃﾃｰﾃｰﾃｰ

ドラえもん(cv.わさび)「このバットの柄で叩くとー…」

のび太「ドラえもっ…」ﾎﾞｶｯ

のび太「…」

ドラえもん「…のび太くん………」

ドラミ「さぁ、行きましょ…お兄ちゃん…」

ｰ引出しｶﾞﾗｯｰ

ドラえもん「…のび太…くん………」

ｰ引出しﾋﾟｼｬｯ…ｰ

のび太「………んっ…」

のび太「…僕は…何してたんだっけ…」

ドラえもん(cv.わさび)「のび太く～ん。どうしたの？大丈夫～？」

のび太「なんだドラえもん…そんなとこに居たのか～」

ドラえもん(cv.わさび)「何言ってるのさのび太く～ん＾＾ずっとここに居るじゃな～い＾＾」

のび太「そうだよね…何言ってんだろう僕～ｗ」

のび太「ねぇドラえもん。今日は何して遊ぼうか？？」

ドラえもん(cv.わさび)「ん～そうだな～…よしっ！空き地に行こ～う！＾＾」

のび太「そうだね！しずかちゃんやスネ夫にジャイアンも居るかも！」

ドラえもん(cv.わさび)「そうと決まれば～…急いでしゅっぱ～つ！！＾＾」ｼｭﾙｼｭﾙｼｭﾙ

のび太「わ～っ！待ってよドラえも～ん！」ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

のび太「ドラえも～ん！」

………………………
………………
…………
……
…

ｰタイムトンネル内ｰ

ドラミ「お兄ちゃんも今まで働きっぱなしだったしこれからはゆっくりしましょう」

ドラミ「これから行く施設も最近出来た最新の施設でね素敵な所よ～」

ドラえもん「……のび太くん…」ﾎﾞｿｯ

ドラミ「お兄ちゃんもきっと気に入るわ！…ねぇ、お兄ちゃん聞いてるの？」

ドラえもん「…」

ドラミ「…泣いてるの？お兄ちゃん…」

ドラえもん(…のび太くん………)

ドラミ「………」

ドラえもん(……………のび太くん………)
ドラえもん(………のび太くん…って…………誰だっけ………)

ドラえもん(………忘れたくないのに………忘れちゃいけないのに…………思い出せない………)

そして僕は大人になった。

しすがちゃんもスネ夫もジャイアンも、出来杉だってみんな今や大人だ。

両親は歳をとり、僕は仕事に追われる度にみんなと連絡を取る機械は減り
少しずつ…あの頃の事を忘れながら進み、再開の度に互いに思い出し合う。

僕らは忘れることと引き換えに大人になるのだ。

だから僕はきっと、あの日から大人になったのだろう

大切な友達を忘れたあの日から


昔を思う度、胸の奥が痛むのは
それだけ僕が大人になった証なのかな…ドラえもん。


おわり