4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 00:09:21.78 ID:4m0Wm6uK0
放課後の部室は珍しくキョンと古泉の二人だけで、お互いにチェス盤を見つめている。
古泉「最近小規模ですが閉鎖空間が頻繁に発生しているんです」
キョン「ほう、ハルヒの奴またなんかイライラしてんのか」
古泉「イライラなのかはわかりませんが、先週の不思議探索の後からそれに似た傾向に
あるようです」
キョン「そうなのか?特にハルヒの機嫌を損ねるような出来事はなかったと思うが…」
古泉「最近小規模ですが閉鎖空間が頻繁に発生しているんです」
キョン「ほう、ハルヒの奴またなんかイライラしてんのか」
古泉「イライラなのかはわかりませんが、先週の不思議探索の後からそれに似た傾向に
あるようです」
キョン「そうなのか?特にハルヒの機嫌を損ねるような出来事はなかったと思うが…」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 00:10:20.52 ID:4m0Wm6uK0
古泉「この前、探索の時にあなたは中学時代のご友人を紹介してくれたでしょう?」
キョン「ああ、紹介っていってもたまたま会っただけだが、佐々木がどうかしたのか?」
古泉「どうやらその佐々木さんが涼宮さんのモヤモヤの原因のようなんです」
キョン「はぁ?なんで佐々木が関係あるんだよ。」
古泉「理由の一つは涼宮さんは佐々木さんに出会ったことで、自分が知らない一面が
あなたにもあるという事実に気づいてしまったこと。そしてもうひとつは、」
「佐々木さんが十人中九人が振り返るような特殊な容姿をされていたことです」
キョン「ああ、紹介っていってもたまたま会っただけだが、佐々木がどうかしたのか?」
古泉「どうやらその佐々木さんが涼宮さんのモヤモヤの原因のようなんです」
キョン「はぁ?なんで佐々木が関係あるんだよ。」
古泉「理由の一つは涼宮さんは佐々木さんに出会ったことで、自分が知らない一面が
あなたにもあるという事実に気づいてしまったこと。そしてもうひとつは、」
「佐々木さんが十人中九人が振り返るような特殊な容姿をされていたことです」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 00:22:41.02 ID:4m0Wm6uK0
古泉の言葉を聞いたキョンは勢いよく立ちあがるとチェス盤越しに座る古泉の胸倉を
掴んだ。
キョン「おい。お前佐々木の容姿を馬鹿にしてるのか?」
古泉「あなたを怒らせてしまったのなら謝ります。ただ決して僕はあなたのお友達の容姿
をけなすつもりはないんです。ただ今回の件にはその佐々木さんの容姿も関係しているかもしれないんです」
佐々木の顔のパーツはとても整っているのだが、小さな頃に原因不明の奇病にかかったせいで、顔の半分以上が赤くただれたようになり、左目はうまく瞬きができなくなった。
いつも泣いたように赤く潤んだ佐々木の左目を、キョンは思い出した。
掴んだ。
キョン「おい。お前佐々木の容姿を馬鹿にしてるのか?」
古泉「あなたを怒らせてしまったのなら謝ります。ただ決して僕はあなたのお友達の容姿
をけなすつもりはないんです。ただ今回の件にはその佐々木さんの容姿も関係しているかもしれないんです」
佐々木の顔のパーツはとても整っているのだが、小さな頃に原因不明の奇病にかかったせいで、顔の半分以上が赤くただれたようになり、左目はうまく瞬きができなくなった。
いつも泣いたように赤く潤んだ佐々木の左目を、キョンは思い出した。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 00:29:06.67 ID:4m0Wm6uK0
古泉の上着から手を離したキョンは、取り直すように席に着く。
キョン「ハルヒと佐々木の顔のどこに関係があるんだよ?」
古泉「これはあくまでも機関の女性陣の憶測なのですが…
あなたは往々にして涼宮さんにそっけない態度をとることがあるでしょう?」
キョン「アイツのぶっ飛んだ行動に一般人としてまともな反応をしてるだけだ。
お前らみたいなハルヒのご機嫌伺いとは違ってな」
古泉「そうなのかもしれませんね。それで話には続きがあります。
涼宮さんは貴方と親しげな佐々木さんを見てこう思った。
-なんであの娘よりも自分の方が美しい容姿をしてるのに、
自分よりも貴方と親しげなんだろう?-と」
キョン「ハルヒと佐々木の顔のどこに関係があるんだよ?」
古泉「これはあくまでも機関の女性陣の憶測なのですが…
あなたは往々にして涼宮さんにそっけない態度をとることがあるでしょう?」
キョン「アイツのぶっ飛んだ行動に一般人としてまともな反応をしてるだけだ。
お前らみたいなハルヒのご機嫌伺いとは違ってな」
古泉「そうなのかもしれませんね。それで話には続きがあります。
涼宮さんは貴方と親しげな佐々木さんを見てこう思った。
-なんであの娘よりも自分の方が美しい容姿をしてるのに、
自分よりも貴方と親しげなんだろう?-と」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 00:40:48.38 ID:4m0Wm6uK0
キョン「…お前の意見だと先に言ってたら殴ってるぞ」
古泉「気分の悪い話をしてしまってすいません」
キョン「ハルヒを褒めるわけじゃないがな、アイツは人の容姿を蔑むようなことは
しない。朝比奈さんみたいな人をカワイイと素直に表現することはあってもな」
古泉「確かに、彼女はそういう面においては道徳の教科書のように正しい性格と言える
でしょう。しかし」
キョン「しかしなんだ?」
古泉「気分の悪い話をしてしまってすいません」
キョン「ハルヒを褒めるわけじゃないがな、アイツは人の容姿を蔑むようなことは
しない。朝比奈さんみたいな人をカワイイと素直に表現することはあってもな」
古泉「確かに、彼女はそういう面においては道徳の教科書のように正しい性格と言える
でしょう。しかし」
キョン「しかしなんだ?」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 00:50:09.87 ID:4m0Wm6uK0
古泉「それはあくまで一人の人間としてのポリシーのようなものです。
それとは別に道徳や倫理とはかけ離れたどうしようもない感情が、
女性にはあると思いませんか?」
キョン「ハルヒの奴にか?」
古泉「もちろん。まぁ涼宮さんはそういった感情に否定的かもしれませんが…
あくまで無意識下のものだと思われますが」
キョン「また無意識かよ。それがアリなら何でもありじゃないか」
それとは別に道徳や倫理とはかけ離れたどうしようもない感情が、
女性にはあると思いませんか?」
キョン「ハルヒの奴にか?」
古泉「もちろん。まぁ涼宮さんはそういった感情に否定的かもしれませんが…
あくまで無意識下のものだと思われますが」
キョン「また無意識かよ。それがアリなら何でもありじゃないか」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:02:31.94 ID:4m0Wm6uK0
古泉「こちらもそのように言われてしまうと返す言葉がないのですが、
あなたと佐々木さんの関係を教えてくれませんか?」
キョン「大した話は無いぞ」
それからキョンは一通りのことを話した。
佐々木がキョンのあだ名に興味をもって話しかけてきたこと。
よく話をするようになり一緒に塾の行き帰りを共にしたこと。
あなたと佐々木さんの関係を教えてくれませんか?」
キョン「大した話は無いぞ」
それからキョンは一通りのことを話した。
佐々木がキョンのあだ名に興味をもって話しかけてきたこと。
よく話をするようになり一緒に塾の行き帰りを共にしたこと。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:03:19.10 ID:4m0Wm6uK0
古泉「ほう、まるで甘酸っぱい青春の1ページのような話ですね」
キョン「馬鹿言え」
キョンは古泉に黙っていることがあった。
一つは佐々木が一部の人間からいじめにあっていたこと。
そして、一度だけ佐々木とキョンがキスをしたことを。
キョン「馬鹿言え」
キョンは古泉に黙っていることがあった。
一つは佐々木が一部の人間からいじめにあっていたこと。
そして、一度だけ佐々木とキョンがキスをしたことを。
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:12:32.53 ID:4m0Wm6uK0
~キョンの回想~
キョン「さーて、今日も塾に行かなきゃならんな」
佐々木「ふふ、相変わらず面倒そうだね。僕は君とこうして塾に行くのを
割と楽しみにしているというのに」
キョン「そりゃ佐々木は勉強できるから塾も苦にならんだろう」
佐々木「くっく。僕だって勉強がすきなわけじゃないよ」
キョン「さーて、今日も塾に行かなきゃならんな」
佐々木「ふふ、相変わらず面倒そうだね。僕は君とこうして塾に行くのを
割と楽しみにしているというのに」
キョン「そりゃ佐々木は勉強できるから塾も苦にならんだろう」
佐々木「くっく。僕だって勉強がすきなわけじゃないよ」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:17:04.08 ID:4m0Wm6uK0
キョンと佐々木が何気ない会話をしていると、野太く下品な声が聞こえてきた。
松本「おーい!またお前ら一緒に帰ってんのかよ。これから家で すんのか」
島田「ちょっ松本、いくらあんな冴えない奴でもあんな女で わけねぇだろ」
佐々木の前のクラスメイトで、佐々木のことをいじめていたという主犯格の松本と島田が
近づいてきた。
松本「おーい!またお前ら一緒に帰ってんのかよ。これから家で すんのか」
島田「ちょっ松本、いくらあんな冴えない奴でもあんな女で わけねぇだろ」
佐々木の前のクラスメイトで、佐々木のことをいじめていたという主犯格の松本と島田が
近づいてきた。
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:26:33.80 ID:4m0Wm6uK0
キョン「なんだと!」
佐々木「やめなよキョン。…早くいこう」
佐々木がキョンの自転車のハンドルを持つ手に触れる。その手は震えていた。
松本「おいコイツ、手握りだしたぜ。病気移す気じゃねぇ?」
島田「愛する女になら病気移されてもかまわないみたいな?
それって素敵やん!」
松本と島田が下品な声で笑った。
次の瞬間、キョンは島田の顔を思いっきり殴っていた。
佐々木「やめなよキョン。…早くいこう」
佐々木がキョンの自転車のハンドルを持つ手に触れる。その手は震えていた。
松本「おいコイツ、手握りだしたぜ。病気移す気じゃねぇ?」
島田「愛する女になら病気移されてもかまわないみたいな?
それって素敵やん!」
松本と島田が下品な声で笑った。
次の瞬間、キョンは島田の顔を思いっきり殴っていた。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:31:31.45 ID:4m0Wm6uK0
松本「おいっ!テメェなにすんだよ」
キョンの胸倉に掴みかかろうとした松本を、キョンは殴ろうとしたが、
あっさりかわされ逆にカウンターで殴られてしまった。
佐々木「お願いだからやめてくれ!…お願いしますから」
松本「うるせえ!お岩さんみたいな顔しやがって」
その言葉を聞いたキョンが、また松本に突進する。
キョンの胸倉に掴みかかろうとした松本を、キョンは殴ろうとしたが、
あっさりかわされ逆にカウンターで殴られてしまった。
佐々木「お願いだからやめてくれ!…お願いしますから」
松本「うるせえ!お岩さんみたいな顔しやがって」
その言葉を聞いたキョンが、また松本に突進する。
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:40:15.95 ID:4m0Wm6uK0
松本「おいっ!テメェなにすんだよ」
キョンの胸倉に掴みかかろうとした松本を、キョンは殴ろうとしたが、
あっさりかわされ逆にカウンターで殴られてしまった。
佐々木「お願いだからやめてくれ!…お願いしますから」
松本「うるせえ!お岩さんみたいな顔しやがって」
その言葉を聞いたキョンが、また松本に突進する。
キョンの胸倉に掴みかかろうとした松本を、キョンは殴ろうとしたが、
あっさりかわされ逆にカウンターで殴られてしまった。
佐々木「お願いだからやめてくれ!…お願いしますから」
松本「うるせえ!お岩さんみたいな顔しやがって」
その言葉を聞いたキョンが、また松本に突進する。
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:50:51.04 ID:4m0Wm6uK0
キョン「佐々木にあやまれ!」
松本「お前みたいなヒョロ男がラグビー部の俺に勝てるかよ」
そういうと松本はキョンにひざ蹴りを食らわせた。
島田「松本!あれ体育の濱田の車だぞ。早く行こう」
松本「チッ」
キョンに唾を吐いて松本と島田は去って行った。
松本「お前みたいなヒョロ男がラグビー部の俺に勝てるかよ」
そういうと松本はキョンにひざ蹴りを食らわせた。
島田「松本!あれ体育の濱田の車だぞ。早く行こう」
松本「チッ」
キョンに唾を吐いて松本と島田は去って行った。
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 01:52:00.33 ID:4m0Wm6uK0
佐々木「キョン…大丈夫かい?」
キョン「弱えな俺。ダサすぎだ」
佐々木「ごめんよキョン…僕のせいで…」
キョン「いいんだよ。俺がアイツらに頭きただけだ」
佐々木「キョン…血が出てる…ウチに行こう。手当をするから」
フラフラ歩く佐々木に支えられながら、キョンはその日、初めて佐々木の家に上がった。
キョン「弱えな俺。ダサすぎだ」
佐々木「ごめんよキョン…僕のせいで…」
キョン「いいんだよ。俺がアイツらに頭きただけだ」
佐々木「キョン…血が出てる…ウチに行こう。手当をするから」
フラフラ歩く佐々木に支えられながら、キョンはその日、初めて佐々木の家に上がった。
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 02:01:42.60 ID:4m0Wm6uK0
~佐々木の部屋~
キョン「そんなに大袈裟に手当てしなくて大丈夫だぞ」
佐々木「こういうのはちゃんと手当するべきだよ。キョン、本当にすまなかった」
キョン「だから佐々木が謝ることじゃない。俺が自分で殴りたかっただけだ」
佐々木「キョン…明日からは別々に塾に行こう」
キョン「なんでだ?」
佐々木「また…今日みたいなことがあったら君に迷惑がかかる」
キョン「そんなに大袈裟に手当てしなくて大丈夫だぞ」
佐々木「こういうのはちゃんと手当するべきだよ。キョン、本当にすまなかった」
キョン「だから佐々木が謝ることじゃない。俺が自分で殴りたかっただけだ」
佐々木「キョン…明日からは別々に塾に行こう」
キョン「なんでだ?」
佐々木「また…今日みたいなことがあったら君に迷惑がかかる」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 02:08:11.03 ID:4m0Wm6uK0
キョン「俺は嫌だぞ。面白くもない塾通いの唯一の楽しみの行き帰りが無くなるなんて」
佐々木「キョン…」
佐々木は目に涙を溜めていた。
キョン「ごめんな佐々木。俺が無茶したせいで」
佐々木の目から涙がこぼれた。キョンはその姿から目が離せなくなり、
どちらからでもなく二人の距離が無くなっていく。
初めて上がった佐々木の部屋で、お互い初めてのキスをした。
佐々木「キョン…」
佐々木は目に涙を溜めていた。
キョン「ごめんな佐々木。俺が無茶したせいで」
佐々木の目から涙がこぼれた。キョンはその姿から目が離せなくなり、
どちらからでもなく二人の距離が無くなっていく。
初めて上がった佐々木の部屋で、お互い初めてのキスをした。
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 02:17:58.42 ID:4m0Wm6uK0
沈黙が部屋に流れた。キョンが赤くただれた頬を撫でる。
キョン「もう一度いいか?」
佐々木「…野暮なことを聞かないでくれよ」
もう一度、今度は深いキスをする。目をつぶっていたキョンが、不意に目をあけると、
佐々木の赤い左目から涙が溢れていた。
結局、佐々木の親が帰ってくるまで、塾をサボって二人は唇をむさぼり続けた。
キョン「もう一度いいか?」
佐々木「…野暮なことを聞かないでくれよ」
もう一度、今度は深いキスをする。目をつぶっていたキョンが、不意に目をあけると、
佐々木の赤い左目から涙が溢れていた。
結局、佐々木の親が帰ってくるまで、塾をサボって二人は唇をむさぼり続けた。
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 02:29:25.81 ID:4m0Wm6uK0
翌日、佐々木の親が帰ってきたことに焦ったことで昨日何も言えなかったキョンは、
ある決心をして学校へ向かった。
キョン「おはよう、佐々木」
佐々木「おはようキョン。寝不足の様だがまだ傷が痛むのかい」
自分と同じように佐々木も緊張してるのかと思っていたキョンは、佐々木のいつも通りの
ひょうひょうとした態度に少し拍子抜けした。
キョン「ちょっと渡り廊下にいかないか?話があるんだが」
佐々木「なんだい。まぁ君の性格を考えると大体予想はつくが」
ある決心をして学校へ向かった。
キョン「おはよう、佐々木」
佐々木「おはようキョン。寝不足の様だがまだ傷が痛むのかい」
自分と同じように佐々木も緊張してるのかと思っていたキョンは、佐々木のいつも通りの
ひょうひょうとした態度に少し拍子抜けした。
キョン「ちょっと渡り廊下にいかないか?話があるんだが」
佐々木「なんだい。まぁ君の性格を考えると大体予想はつくが」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 02:35:05.01 ID:4m0Wm6uK0
~渡り廊下~
佐々木「で、話って何だい」
キョン「その、なんだ昨日俺達その…キスしたよな」
佐々木「あぁ。君の口からは血の味がしたよ」
キョン「口の中切れてたからな、まぁそれは置いといてだ」
佐々木「…」
キョン「その…俺とつきあっ」
キョンの言葉を遮るように佐々木がキョンの唇に人差し指をあてた。
佐々木「で、話って何だい」
キョン「その、なんだ昨日俺達その…キスしたよな」
佐々木「あぁ。君の口からは血の味がしたよ」
キョン「口の中切れてたからな、まぁそれは置いといてだ」
佐々木「…」
キョン「その…俺とつきあっ」
キョンの言葉を遮るように佐々木がキョンの唇に人差し指をあてた。
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 02:40:52.55 ID:4m0Wm6uK0
佐々木「その後の言葉はしまっておいてくれないか?」
キョン「…なんでだ」
佐々木「君が昨日のことに責任を感じてるなら、そんなことは気にしなくていい。
別に子供が出来たとかそういう話ではないんだからね」
キョン「そうじゃない。俺はお前のことが…」
また佐々木はキョンの言葉をさえぎって言う。
佐々木「昨日はお互い意識が変な方向へ高揚していたんだよ。
また受験生の僕らに戻ろう。」
そう言われてしまうと、キョンは何も言い返すことが出来なかった。
佐々木はただ寂しそうに笑っていた。
キョン「…なんでだ」
佐々木「君が昨日のことに責任を感じてるなら、そんなことは気にしなくていい。
別に子供が出来たとかそういう話ではないんだからね」
キョン「そうじゃない。俺はお前のことが…」
また佐々木はキョンの言葉をさえぎって言う。
佐々木「昨日はお互い意識が変な方向へ高揚していたんだよ。
また受験生の僕らに戻ろう。」
そう言われてしまうと、キョンは何も言い返すことが出来なかった。
佐々木はただ寂しそうに笑っていた。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 02:54:44.43 ID:4m0Wm6uK0
それ以降、佐々木とキョンは中学を卒業するまでいつもの関係に戻った。
そして卒業してからは、連絡先は知っているもののお互いに連絡を取ることはなかった。
キョンはSOS団に振り回される日々、佐々木は勉強に忙しく、お互いの心に
ぽっかりと出来た穴は埋まりかけていた。それが偶然の再会でまた何か動きを見せようとしていた。
~佐々木の高校~
教師「じゃあ佐々木、ここの答えを言ってみろ」
佐々木「スラスラペラペラ」
教師「よし、満点の答えだ」
男子生徒「お岩のやつマジでやべぇな」
女子生徒「プッ、アンタ聞こえちゃうって、呪われちゃうって」
そして卒業してからは、連絡先は知っているもののお互いに連絡を取ることはなかった。
キョンはSOS団に振り回される日々、佐々木は勉強に忙しく、お互いの心に
ぽっかりと出来た穴は埋まりかけていた。それが偶然の再会でまた何か動きを見せようとしていた。
~佐々木の高校~
教師「じゃあ佐々木、ここの答えを言ってみろ」
佐々木「スラスラペラペラ」
教師「よし、満点の答えだ」
男子生徒「お岩のやつマジでやべぇな」
女子生徒「プッ、アンタ聞こえちゃうって、呪われちゃうって」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 03:03:45.98 ID:4m0Wm6uK0
私立の進学校に行けば、下らないいじめなどは無くなると佐々木は思っていた。
確かに中学の時の様に、直接何かをされたり言われたりすることは少なくなったが。
中学の時にガリベンと言われてたような連中が、この学校で見つけたさらに自分より
弱い人間を蔑もうとする空気を感じていた。
佐々木(こんな時にキョンと話が出来たらいいのに)
鞄の中に入れてある携帯電話のことが気になった。
佐々木(あの時僕は諦めたはずなのに…なんで今更)
昨夜、佐々木はキョンとキスをしたあの時の夢を見た。
確かに中学の時の様に、直接何かをされたり言われたりすることは少なくなったが。
中学の時にガリベンと言われてたような連中が、この学校で見つけたさらに自分より
弱い人間を蔑もうとする空気を感じていた。
佐々木(こんな時にキョンと話が出来たらいいのに)
鞄の中に入れてある携帯電話のことが気になった。
佐々木(あの時僕は諦めたはずなのに…なんで今更)
昨夜、佐々木はキョンとキスをしたあの時の夢を見た。
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 03:17:50.58 ID:4m0Wm6uK0
~夜・キョンの部屋~
キョン「佐々木からメールだ」
From 佐々木
この前は偶然会ってびっくりしたよ。
高校の君の友人たちは随分とユニークそうな人たちなんだね。
是非、君の高校生活を聞かせてほしいんだ。
一度どこかで会えないかい?連絡求む!
キョン「アイツとはやっぱり通じるものがあるな」
To 佐々木
俺もメールしてみようと思ってたから佐々木からメールがきて驚いたよ。
俺の都合はどうにでもなると思うが、よかったら明日の放課後にでも待ち合
わせないか?予定が合わないのなら都合のいい日に連絡求む!
キョン「佐々木からメールだ」
From 佐々木
この前は偶然会ってびっくりしたよ。
高校の君の友人たちは随分とユニークそうな人たちなんだね。
是非、君の高校生活を聞かせてほしいんだ。
一度どこかで会えないかい?連絡求む!
キョン「アイツとはやっぱり通じるものがあるな」
To 佐々木
俺もメールしてみようと思ってたから佐々木からメールがきて驚いたよ。
俺の都合はどうにでもなると思うが、よかったら明日の放課後にでも待ち合
わせないか?予定が合わないのなら都合のいい日に連絡求む!
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 03:20:20.44 ID:4m0Wm6uK0
~翌日~
キョン「ハルヒ、悪いが今日は放課後団活休むからな。いいよな?」
ハルヒ「ふーん、勝手にすればいいわ」
キョン「えらいあっさりしてるんだな。ま、とにかく伝えたぞ」
ハルヒ「アタシ今から寝るから邪魔しないでよ」
キョン「ああスマン」
ハルヒは昼休みにたまたま、キョンと国木田の会話を断片的に聞いてしまった。
その中に「佐々木と約束」いうフレーズがあったことも。
ハルヒ「なによ…」
そのつぶやきはキョンには聞こえなかった。
キョン「ハルヒ、悪いが今日は放課後団活休むからな。いいよな?」
ハルヒ「ふーん、勝手にすればいいわ」
キョン「えらいあっさりしてるんだな。ま、とにかく伝えたぞ」
ハルヒ「アタシ今から寝るから邪魔しないでよ」
キョン「ああスマン」
ハルヒは昼休みにたまたま、キョンと国木田の会話を断片的に聞いてしまった。
その中に「佐々木と約束」いうフレーズがあったことも。
ハルヒ「なによ…」
そのつぶやきはキョンには聞こえなかった。
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 09:20:49.10 ID:4m0Wm6uK0
~放課後・駅前~
佐々木「やあキョン。待たせてしまったようだね。すまない」
キョン「いや、さっき来たところだ」
このまま手を繋ぎたい。そんな衝動に佐々木はかられたがそっとその気持ちをしまう。
佐々木「あそこの喫茶店にしよう。それにしてもキョン、なかなかその制服似合ってじゃ
ないか」
キョン「お前もこの間はよく気付かなかったが、なんか以前にまして落ち着いた雰囲気に
なったな」
佐々木「それは褒められてるのかな?」
キョン「もちろんだ」
佐々木「やあキョン。待たせてしまったようだね。すまない」
キョン「いや、さっき来たところだ」
このまま手を繋ぎたい。そんな衝動に佐々木はかられたがそっとその気持ちをしまう。
佐々木「あそこの喫茶店にしよう。それにしてもキョン、なかなかその制服似合ってじゃ
ないか」
キョン「お前もこの間はよく気付かなかったが、なんか以前にまして落ち着いた雰囲気に
なったな」
佐々木「それは褒められてるのかな?」
キョン「もちろんだ」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 09:22:26.62 ID:4m0Wm6uK0
~喫茶店~
佐々木「なんだ、じゃあこの喫茶店には毎週のように来てるのかい」
キョン「あぁ、多分さっきの店員にも顔を覚えられてるだろうな」
佐々木「くっく、どうやら君は随分と賑やかな高校生活を送っているんだね」
自分の知らないところでキョンが楽しく過ごしている。
そんなことを考えると、佐々木の胸は締め付けられるようだった。
キョン「お前の高校生活はどうなんだ?」
佐々木「あぁ、まあ勉強に追われる日々だが、充実もしてるよ」
佐々木「なんだ、じゃあこの喫茶店には毎週のように来てるのかい」
キョン「あぁ、多分さっきの店員にも顔を覚えられてるだろうな」
佐々木「くっく、どうやら君は随分と賑やかな高校生活を送っているんだね」
自分の知らないところでキョンが楽しく過ごしている。
そんなことを考えると、佐々木の胸は締め付けられるようだった。
キョン「お前の高校生活はどうなんだ?」
佐々木「あぁ、まあ勉強に追われる日々だが、充実もしてるよ」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 09:34:55.72 ID:4m0Wm6uK0
本当はもっと素直に話したかった。
新しい学校にも嫌なことがたくさんあること。
そしてキョンに会いたくてたまらなかったこと。
いつも涙が滲んでいる左目だけではなく、右目からも涙が滲みそうになる。
佐々木「そういえば国木田はどうしているんだい?同じクラスなんだろう」
キョン「ああ、今日佐々木と会うって言ったらな、アイツも行きたそうにしてたよ。
どうだ今度3人でどこかに出かけないか」
佐々木「…僕の目をちゃんとみて話をしてくれた人が、今まで親以外で3人いるんだが
誰だかわかるかい?」
キョン「3人?見当もつかんが」
佐々木「まずはキョン、君だ。そしてなんと国木田」
キョン「ほう。あと一人は?」
佐々木「くっく。きっと驚くよ…涼宮さんだ」
新しい学校にも嫌なことがたくさんあること。
そしてキョンに会いたくてたまらなかったこと。
いつも涙が滲んでいる左目だけではなく、右目からも涙が滲みそうになる。
佐々木「そういえば国木田はどうしているんだい?同じクラスなんだろう」
キョン「ああ、今日佐々木と会うって言ったらな、アイツも行きたそうにしてたよ。
どうだ今度3人でどこかに出かけないか」
佐々木「…僕の目をちゃんとみて話をしてくれた人が、今まで親以外で3人いるんだが
誰だかわかるかい?」
キョン「3人?見当もつかんが」
佐々木「まずはキョン、君だ。そしてなんと国木田」
キョン「ほう。あと一人は?」
佐々木「くっく。きっと驚くよ…涼宮さんだ」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 09:54:59.81 ID:4m0Wm6uK0
キョン「そうなのか?」
佐々木「ああ、僕の顔じゃなく真っ直ぐ目を見てきた。少し怖いくらいに。
とは言え、悪意を感じさせるものでもない。不思議な目だったよ」
キョン「まぁアイツの考える事は佐々木から見ても不思議だろうな。
それにアイツなら別に驚くほどのことでもないさ」
佐々木「くっく、妙な信頼関係があるんだね。羨ましいよ」
佐々木は気付いていた。ハルヒの真っ直ぐな視線が、佐々木を捉えた後に、
キョンを不安そうに見たことを。
佐々木「ああ、僕の顔じゃなく真っ直ぐ目を見てきた。少し怖いくらいに。
とは言え、悪意を感じさせるものでもない。不思議な目だったよ」
キョン「まぁアイツの考える事は佐々木から見ても不思議だろうな。
それにアイツなら別に驚くほどのことでもないさ」
佐々木「くっく、妙な信頼関係があるんだね。羨ましいよ」
佐々木は気付いていた。ハルヒの真っ直ぐな視線が、佐々木を捉えた後に、
キョンを不安そうに見たことを。
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 10:01:09.33 ID:4m0Wm6uK0
~翌日~
キョンが教室に着くと、ハルヒは朝っぱらから机に突っ伏して眠っていた。
キョン(昨日、活休んだから機嫌悪いのか?)
とりあえずキョンはそっと席に着いた。
国木田「おはよう、キョン。昨日は佐々木さんと会ってたんだろう?」
ハルヒ「…」ピクッ
キョン「あぁ、お前の話もしたよ。」
国木田「それは気になるね。僕も久しぶりに会いたかったなぁ」
キョンが教室に着くと、ハルヒは朝っぱらから机に突っ伏して眠っていた。
キョン(昨日、活休んだから機嫌悪いのか?)
とりあえずキョンはそっと席に着いた。
国木田「おはよう、キョン。昨日は佐々木さんと会ってたんだろう?」
ハルヒ「…」ピクッ
キョン「あぁ、お前の話もしたよ。」
国木田「それは気になるね。僕も久しぶりに会いたかったなぁ」
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 10:05:14.22 ID:4m0Wm6uK0
キョン「それでな国木田、お前今週の日曜空いてるか?
よかったら3人で集まろうかって話を佐々木としてたんだが」
国木田「それはいいね!絶対行くよ」
キョン「よし、じゃあ佐々木にも連絡しておくか」
ハルヒ「…」
(なによ、あんなに楽しそうにしちゃって、バカキョン)
よかったら3人で集まろうかって話を佐々木としてたんだが」
国木田「それはいいね!絶対行くよ」
キョン「よし、じゃあ佐々木にも連絡しておくか」
ハルヒ「…」
(なによ、あんなに楽しそうにしちゃって、バカキョン)
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 10:26:10.96 ID:4m0Wm6uK0
~放課後・団室~
朝比奈みくるは部屋を掃除し、長門は読書にふけっている。
キョンと古泉が軍人将棋をやっていると。ハルヒが不意に口を開いた。
ハルヒ「ねぇキョン。今週の日曜これからの活動に必要なものを買いそろえに
行こうと思うんだけど…アンタ荷物持ちしなさいよ」
古泉・みくる「!!!」
キョン「悪いがハルヒ、日曜は先約があるんだ」
古泉・みくる「!!!!」
ハルヒ「そう…」
あっさりと引き下がったハルヒは,またネットサーフィンを始め出した。
ハルヒ(なんで?アタシより佐々木さんの方がやっぱり大切なの?…)
ハルヒが見ているサイトには、以前キョンが好きだと言っていた、
バンドのホームページが映っていた。
朝比奈みくるは部屋を掃除し、長門は読書にふけっている。
キョンと古泉が軍人将棋をやっていると。ハルヒが不意に口を開いた。
ハルヒ「ねぇキョン。今週の日曜これからの活動に必要なものを買いそろえに
行こうと思うんだけど…アンタ荷物持ちしなさいよ」
古泉・みくる「!!!」
キョン「悪いがハルヒ、日曜は先約があるんだ」
古泉・みくる「!!!!」
ハルヒ「そう…」
あっさりと引き下がったハルヒは,またネットサーフィンを始め出した。
ハルヒ(なんで?アタシより佐々木さんの方がやっぱり大切なの?…)
ハルヒが見ているサイトには、以前キョンが好きだと言っていた、
バンドのホームページが映っていた。
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 10:45:31.66 ID:4m0Wm6uK0
古泉「暑いですね、ちょっと僕らは冷たいジュースでも買ってきましょうか」
古泉がキョンの肩をさりげなくたたく。
キョン「おい、せっかくルールわかって来たのに」
古泉「実はこのゲーム、本当は審判を入れて3人でやるものなんですよ」
キョン「じゃあお前、今までお前が審判もやってたのは…」
古泉「ええ、隙があればインチキしようとしてました」
古泉がキョンの肩をさりげなくたたく。
キョン「おい、せっかくルールわかって来たのに」
古泉「実はこのゲーム、本当は審判を入れて3人でやるものなんですよ」
キョン「じゃあお前、今までお前が審判もやってたのは…」
古泉「ええ、隙があればインチキしようとしてました」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 11:37:47.42 ID:4m0Wm6uK0
~自販機前~
キョン「なんだこんな回りくどいことして、まぁ予想はついているが」
古泉「それなら話が早い。先約があるのは承知ですが、どうか涼宮さんに
日曜日付き合ってくれませんか?」
キョン「…それは無理だ」
古泉「そんなに大事な先約ですか?」
キョン「ああ」
古泉「佐々木さんですか...?」
キョン「まあな」
古泉「涼宮さんはそのことをもちろん知りませんよね」
キョン「そりゃあんなこと聞いてきたんだから知らないだろう」
古泉「そうですか...じゃあこのことは決して涼宮さんにバレないようにお願いします。」
キョン「なんだこんな回りくどいことして、まぁ予想はついているが」
古泉「それなら話が早い。先約があるのは承知ですが、どうか涼宮さんに
日曜日付き合ってくれませんか?」
キョン「…それは無理だ」
古泉「そんなに大事な先約ですか?」
キョン「ああ」
古泉「佐々木さんですか...?」
キョン「まあな」
古泉「涼宮さんはそのことをもちろん知りませんよね」
キョン「そりゃあんなこと聞いてきたんだから知らないだろう」
古泉「そうですか...じゃあこのことは決して涼宮さんにバレないようにお願いします。」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 12:15:21.52 ID:4m0Wm6uK0
~日曜日~
キョン「よお、佐々木待ったか?」
佐々木「いや、僕も今来たところだ。久しぶりだね国木田」
国木田「中学を卒業して以来だね。会えてうれしいよ」
佐々木「くっく、君は相変わらず人当たりのよさそうな言動をするんだね」
キョン「じゃあさっそく行くか」
その時物影では短い髪を無理やり後ろに括った、眼鏡をかけた怪しい女と、
マスクをつけたスタイルのいい男がキョン達を見ていた。
キョン「よお、佐々木待ったか?」
佐々木「いや、僕も今来たところだ。久しぶりだね国木田」
国木田「中学を卒業して以来だね。会えてうれしいよ」
佐々木「くっく、君は相変わらず人当たりのよさそうな言動をするんだね」
キョン「じゃあさっそく行くか」
その時物影では短い髪を無理やり後ろに括った、眼鏡をかけた怪しい女と、
マスクをつけたスタイルのいい男がキョン達を見ていた。
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 12:29:47.67 ID:4m0Wm6uK0
~昼・ファーストフード~
佐々木「くっく、ボウリングなんて久しぶりにやったよ。あれは単純なようで
なかなか奥が深い」
キョン「低レベルな争いになると思ったら、国木田。お前あんなにボーリングうまかったか?」
国木田「谷口が振られる度にボーリングに誘われるんだよ。キョンも誘おうとしたこともあるんだけど、
SOS団が忙しそうだからね。機会がなかったんだ」
佐々木「人は何が縁で、特技が身につくか分からないものだね」
国木田「…ところでさ、二人に聞きたいことがあるんだけど」
国木田の顔が少し赤いような気がキョンはした。
佐々木「くっく、ボウリングなんて久しぶりにやったよ。あれは単純なようで
なかなか奥が深い」
キョン「低レベルな争いになると思ったら、国木田。お前あんなにボーリングうまかったか?」
国木田「谷口が振られる度にボーリングに誘われるんだよ。キョンも誘おうとしたこともあるんだけど、
SOS団が忙しそうだからね。機会がなかったんだ」
佐々木「人は何が縁で、特技が身につくか分からないものだね」
国木田「…ところでさ、二人に聞きたいことがあるんだけど」
国木田の顔が少し赤いような気がキョンはした。
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 12:37:44.36 ID:4m0Wm6uK0
キョン「なんだ?」
国木田「…佐々木さんとキョンってさ、その付き合ってるの?」
キョンは国木田の言葉に飲みかけていたジュースをこぼしかけた。
キョン「何を突然言ってるんだ。お前は?」
佐々木「くっく、僕も国木田からそんな話を切り出されるとは思わなかったよ。
僕とキョンはただの中学時代からの友人さ。君の想像にそえなくて悪いがね」
国木田「そうなの?キョン」
キョン「…そうだな」
国木田「…佐々木さんとキョンってさ、その付き合ってるの?」
キョンは国木田の言葉に飲みかけていたジュースをこぼしかけた。
キョン「何を突然言ってるんだ。お前は?」
佐々木「くっく、僕も国木田からそんな話を切り出されるとは思わなかったよ。
僕とキョンはただの中学時代からの友人さ。君の想像にそえなくて悪いがね」
国木田「そうなの?キョン」
キョン「…そうだな」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 12:48:59.06 ID:4m0Wm6uK0
国木田「あのさ…二人がそういう関係なんじゃないかって思って言えなかったんだけど」
キョン「どうした、国木田?」
国木田「僕ね、中学の頃から佐々木さんのことが好きだったんだ。いや今もそうだ。
…だからってどうしようって訳じゃないんだけど。その、またちょくちょく今日みたいに
3人で会えないかな」
キョン「…国木田」
佐々木「…ありがとう、国木田」
国木田がハンバーガーを食べ終わり、店を出るまで3人は無言だったが。
ブラブラと色んな店を見ているうちに、また何事もないような会話が戻っていた。
キョン「どうした、国木田?」
国木田「僕ね、中学の頃から佐々木さんのことが好きだったんだ。いや今もそうだ。
…だからってどうしようって訳じゃないんだけど。その、またちょくちょく今日みたいに
3人で会えないかな」
キョン「…国木田」
佐々木「…ありがとう、国木田」
国木田がハンバーガーを食べ終わり、店を出るまで3人は無言だったが。
ブラブラと色んな店を見ているうちに、また何事もないような会話が戻っていた。
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 12:57:37.42 ID:4m0Wm6uK0
佐々木「ねぇ二人とも、僕はあそこで売っているものに興味があるんだが」
キョン「あぁクレープか、お前もあんなの好きなんだな」
佐々木「それはどういう意味だい?まぁ言わんとすることは分かるが、
僕だってたまにはああいう物を食べたくなることがあるんだよ」
キョン「じゃあ買いに行くか」
店員「いらっしゃいませー」
キョン「どれにする?」
佐々木「じゃあ僕はこれで」
国木田「僕は…佐々木さんのと同じので!」
キョン「あぁクレープか、お前もあんなの好きなんだな」
佐々木「それはどういう意味だい?まぁ言わんとすることは分かるが、
僕だってたまにはああいう物を食べたくなることがあるんだよ」
キョン「じゃあ買いに行くか」
店員「いらっしゃいませー」
キョン「どれにする?」
佐々木「じゃあ僕はこれで」
国木田「僕は…佐々木さんのと同じので!」
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 13:08:28.72 ID:4m0Wm6uK0
近くにあった公園で、3人はクレープを食べている。
クレープを頬張る佐々木を見ていると、キョンは素直に可愛いなと感じた。
国木田がクレープを食べる姿も、負けないくらいだったが。
島田「おいあれ、お岩じゃねぇ?」
松本「ホントだ、またあの男連れて歩いてるぜ、というかあれ国木田じゃね?」
島田「やべぇ、男一人じゃ飽き足らず、今度は国木田を混ぜた3Pかよ!
青春じゃん。素敵やん」
聞き覚えのある下品な2つの笑い声が、3人に近づいてきた。
クレープを頬張る佐々木を見ていると、キョンは素直に可愛いなと感じた。
国木田がクレープを食べる姿も、負けないくらいだったが。
島田「おいあれ、お岩じゃねぇ?」
松本「ホントだ、またあの男連れて歩いてるぜ、というかあれ国木田じゃね?」
島田「やべぇ、男一人じゃ飽き足らず、今度は国木田を混ぜた3Pかよ!
青春じゃん。素敵やん」
聞き覚えのある下品な2つの笑い声が、3人に近づいてきた。
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 13:19:15.76 ID:4m0Wm6uK0
佐々木「…向こうに行こうか」
佐々木がキョンの服の裾を震える手で引く。
キョン「…いいのかよ?」
その時だった島田が手に持っていた空き缶を、佐々木の左目に向かって投げつけた。
佐々木「きゃっ」
キョンがとっさに盾になったおかげで、佐々木に缶が当たるのは防げた。
だがキョンは我慢の限界だった。
キョン「お前ら...」
キョンが島田と松本を睨みつけて掴みかかろうとした時だった。
島田の顔に、ベチャリと音を立てて、生クリームのたくさん入ったクレープが飛んでいた。
佐々木がキョンの服の裾を震える手で引く。
キョン「…いいのかよ?」
その時だった島田が手に持っていた空き缶を、佐々木の左目に向かって投げつけた。
佐々木「きゃっ」
キョンがとっさに盾になったおかげで、佐々木に缶が当たるのは防げた。
だがキョンは我慢の限界だった。
キョン「お前ら...」
キョンが島田と松本を睨みつけて掴みかかろうとした時だった。
島田の顔に、ベチャリと音を立てて、生クリームのたくさん入ったクレープが飛んでいた。
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 13:32:09.74 ID:4m0Wm6uK0
松本「おい!島田に何しやがんだよ」
国木田「ごめん手がすべったよ。それより君たちは中学の頃から変わってなさそうだね。
その調子じゃ高校でも隣の女子から汗臭いって、陰口叩かれてるんじゃないのかい?」
松本と島田の顔が真っ赤になる。
松本「調子に乗んなよお前ぇら」
キョンと国木田に、二人のラグビー部の身体が殴りかかってくる。
何とか対抗しようとするものの、やはりキョンと国木田は劣勢だった。
国木田「ごめん手がすべったよ。それより君たちは中学の頃から変わってなさそうだね。
その調子じゃ高校でも隣の女子から汗臭いって、陰口叩かれてるんじゃないのかい?」
松本と島田の顔が真っ赤になる。
松本「調子に乗んなよお前ぇら」
キョンと国木田に、二人のラグビー部の身体が殴りかかってくる。
何とか対抗しようとするものの、やはりキョンと国木田は劣勢だった。
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 13:42:05.87 ID:4m0Wm6uK0
キョンの身体に馬乗りになった松本を、必死で佐々木は引き離そうとする。
国木田も同じように馬乗りをされ、必死で島田の拳から顔を守るだけの状態だった。
佐々木「もうやめてくれ!…お金でもなんでも、出しますから...」
松本「うっさいボケェ」
振り飛ばされた佐々木の顔は、涙でびしょびしょだった。
佐々木がもう一度叫ぼうとした時、松本と島田の後頭部が鈍い音をたてた。
佐々木がそちらを見ると、ラムネの瓶をもった怪しい男女が立っていた。
国木田も同じように馬乗りをされ、必死で島田の拳から顔を守るだけの状態だった。
佐々木「もうやめてくれ!…お金でもなんでも、出しますから...」
松本「うっさいボケェ」
振り飛ばされた佐々木の顔は、涙でびしょびしょだった。
佐々木がもう一度叫ぼうとした時、松本と島田の後頭部が鈍い音をたてた。
佐々木がそちらを見ると、ラムネの瓶をもった怪しい男女が立っていた。
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 13:56:01.37 ID:4m0Wm6uK0
島田・松本「ぐあぁぁぁんんん」
下品な二人は頭を抱え悶えまくっている。
キョン「ハルヒに、古泉?」
ハルヒ「いいから、さっさと逃げるわよ!」
~ハルヒ宅~
ハルヒはキョンよりも先に、怪我のひどい国木田を優しく手当てした後、
怒ったような顔でキョンを手当てする。
ハルヒ「ったく、弱いくせに喧嘩なんかしてるんじゃないわよ」
キョン「…面目ない。というかお前ら何してたんだ?」
ハルヒ「あっアンタが来れないから、古泉君に頼んで買い物に付き合って貰ってたのよ。
そしたらアンタの情けない姿がたまたま見えて...ねっ古泉君!」
古泉「はい」
古泉が困ったような笑顔をキョンに向ける。
キョン(そういうことか。ハルヒの奴今日の事、教室で聞いてたのか)
下品な二人は頭を抱え悶えまくっている。
キョン「ハルヒに、古泉?」
ハルヒ「いいから、さっさと逃げるわよ!」
~ハルヒ宅~
ハルヒはキョンよりも先に、怪我のひどい国木田を優しく手当てした後、
怒ったような顔でキョンを手当てする。
ハルヒ「ったく、弱いくせに喧嘩なんかしてるんじゃないわよ」
キョン「…面目ない。というかお前ら何してたんだ?」
ハルヒ「あっアンタが来れないから、古泉君に頼んで買い物に付き合って貰ってたのよ。
そしたらアンタの情けない姿がたまたま見えて...ねっ古泉君!」
古泉「はい」
古泉が困ったような笑顔をキョンに向ける。
キョン(そういうことか。ハルヒの奴今日の事、教室で聞いてたのか)
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 14:12:25.45 ID:4m0Wm6uK0
キョンとハルヒと古泉の微妙な表情を見て、佐々木は全てを悟った。
佐々木「くっく、なぁんだそういうことだったのか。
やっぱり涼宮さんはキョンの救世主みたいなものだよ。泣いてばかりの僕は敵うわけがないよ」
キョン「何をいってるんだ?佐々木」
佐々木「こっちのことさ。それより国木田、手当てが済んだんなら帰ろうか。
君の家に寄って親御さんに謝罪と、その顔の事情説明をしなきゃならない」
国木田「…いいのかい?」
佐々木「勿論だ。すまないがキョンの方は、涼宮さんに頼めるかい?」
ハルヒ「…別にいいわよ」
佐々木「じゃあ国木田行こうか」
佐々木が帰った後でハルヒがキョンに呟いた。
ハルヒ「来週は予定…空けときなさいよ」
佐々木「くっく、なぁんだそういうことだったのか。
やっぱり涼宮さんはキョンの救世主みたいなものだよ。泣いてばかりの僕は敵うわけがないよ」
キョン「何をいってるんだ?佐々木」
佐々木「こっちのことさ。それより国木田、手当てが済んだんなら帰ろうか。
君の家に寄って親御さんに謝罪と、その顔の事情説明をしなきゃならない」
国木田「…いいのかい?」
佐々木「勿論だ。すまないがキョンの方は、涼宮さんに頼めるかい?」
ハルヒ「…別にいいわよ」
佐々木「じゃあ国木田行こうか」
佐々木が帰った後でハルヒがキョンに呟いた。
ハルヒ「来週は予定…空けときなさいよ」
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 14:23:55.23 ID:4m0Wm6uK0
~数ヵ月後・クリスマス・イブ~
ハルヒ「ほらケーキの箱、斜めにしないでよ!」
キョン「朝比奈さんがケーキ作るんだろ?何でわざわざ買うんだよ」
ハルヒ「有希の食欲しってるでしょ。ケーキは最低3ホールはいるわ」
キョン「ったく」
ハルヒ「…荷物持ちのお駄賃としてこれをあげるわ!」
そういうとハルヒはキョンのマフラーを外し、新しいマフラーをキョンに巻いた。
キョン「貰っていいのかこれ?」
ハルヒ「ええ、このキョンのマフラーは私が処分しといてあげるわ」
キョン「処分するのになんで首に巻く?」
ハルヒ「う、うっさい!」
ハルヒ「ほらケーキの箱、斜めにしないでよ!」
キョン「朝比奈さんがケーキ作るんだろ?何でわざわざ買うんだよ」
ハルヒ「有希の食欲しってるでしょ。ケーキは最低3ホールはいるわ」
キョン「ったく」
ハルヒ「…荷物持ちのお駄賃としてこれをあげるわ!」
そういうとハルヒはキョンのマフラーを外し、新しいマフラーをキョンに巻いた。
キョン「貰っていいのかこれ?」
ハルヒ「ええ、このキョンのマフラーは私が処分しといてあげるわ」
キョン「処分するのになんで首に巻く?」
ハルヒ「う、うっさい!」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 14:34:35.99 ID:4m0Wm6uK0
国木田「あれ?キョンに涼宮さんじゃないか」
後ろからかけられた声にキョンが足を止めて振りかえる。
キョン「国木田…と佐々木もか」
佐々木「くっく、ついでみたいに言わないでくれよ。やっぱり君は涼宮さんと
一緒なんだね。涼宮さんその節は助けてくれてありがとう」
国木田「二人はデートかい?」
キョン「SOS団の雑用の荷物運びをやってるだけだ」
ハルヒは顔を赤くして何も否定をしなかった。
佐々木「僕らはこれからクリスマス・イブだっていうのにボウリング場という
騒がしいところに行ってくるよ。最近どんどん腕が上達してるんだよ。」
キョン「…そうか」
後ろからかけられた声にキョンが足を止めて振りかえる。
キョン「国木田…と佐々木もか」
佐々木「くっく、ついでみたいに言わないでくれよ。やっぱり君は涼宮さんと
一緒なんだね。涼宮さんその節は助けてくれてありがとう」
国木田「二人はデートかい?」
キョン「SOS団の雑用の荷物運びをやってるだけだ」
ハルヒは顔を赤くして何も否定をしなかった。
佐々木「僕らはこれからクリスマス・イブだっていうのにボウリング場という
騒がしいところに行ってくるよ。最近どんどん腕が上達してるんだよ。」
キョン「…そうか」
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 14:43:40.01 ID:4m0Wm6uK0
国木田「じゃあキョン、僕らは行くよ」
キョン「ああ、そうだな。佐々木もまたな」
佐々木「そうだね...」
二組の男女が反対方向へと歩き出した。キョンが一度だけ後ろを振り返ると。
佐々木も同じように振り返っていて、目があった。
キョン・佐々木 (お幸せに)
佐々木の左目から涙がこぼれたような気がした。
しかし佐々木とキョンは、もう一度も振り返らなかった。
完
キョン「ああ、そうだな。佐々木もまたな」
佐々木「そうだね...」
二組の男女が反対方向へと歩き出した。キョンが一度だけ後ろを振り返ると。
佐々木も同じように振り返っていて、目があった。
キョン・佐々木 (お幸せに)
佐々木の左目から涙がこぼれたような気がした。
しかし佐々木とキョンは、もう一度も振り返らなかった。
完
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/06/27(日) 15:28:07.46 ID:4m0Wm6uK0
おまけ
国木田「苗字に口がつく姓で口をぐちと読むのは井口と野口、山口の3つしかないんだってさ」
谷口「・・・」
キョン「そうなのか、って川口とかあるじゃないか」
国木田「ホントだね!アハハ」
谷口「・・・」
おしまい
国木田「苗字に口がつく姓で口をぐちと読むのは井口と野口、山口の3つしかないんだってさ」
谷口「・・・」
キョン「そうなのか、って川口とかあるじゃないか」
国木田「ホントだね!アハハ」
谷口「・・・」
おしまい
引用元: ・ハルヒ「…よろしく」
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