1: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:17:27.94 ID:s62qTocm
絵里「私達、同じ学年じゃない」

にこ「でも、3ヶ月、私の方が誕生日が早いのよ!」

絵里「まぁ、確かにそうね」

にこ「だから!にこのこと、もっと尊敬してもいいのよ?」

絵里「……ふむ、」

絵里「つまり、にこお姉ちゃんってことね?」

にこ「え?」

2: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:20:14.61 ID:s62qTocm
絵里「にこお姉ちゃん♪」

にこ「ちょ、そ、その呼び方はなんか……」

絵里「おねーちゃん!」

にこ「くっ、くすぐったいからやめて!」

絵里「でも、敬いなさいって言ったのはにこお姉ちゃんよ?」

にこ「そうだけどぉ!」

絵里「にこおねーちゃん、エリチカ、チョコレートが食べたいな♪」

にこ「……何で私がチョコレート持ってきたのを知ってるのよ」

絵里「うふふ、さっき偶然見かけたの。良いなーって思ってたから……ねぇ、にこお姉ちゃん」

にこ「な、なによ」

絵里「エリチカ、チョコ食べたいなぁ♪」ニッコリ

にこ「……世話のやける妹が出来ちゃったわ……」

3: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:23:01.76 ID:s62qTocm
にこ「ほら、数少ないんだからいっこだけよ」ポン

絵里「やーった! にこお姉ちゃんありがとう!」


絵里「…………」ジィー

にこ「どしたの、食べないの?」

絵里「にこお姉ちゃん、食べさせてくれる?」

にこ「はあぁ!? それくらい自分で……」

絵里「お願い♡」

にこ「ぐ、ぬうぅ……!」

4: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:25:01.00 ID:s62qTocm
にこ(ど、どういうことよ……)

にこ(あの、絵里が……「認められないわぁ!」とかツンツンやってた絵里が、こんな……)

にこ(きらきらした目で、にこを見てる……!?)

にこ(こ、こんなの……可愛くなんてないんだから……!!)

絵里「おねーちゃん?」キラキラ

にこ「あーあーもうしょうがないわね、わかったわよ!! だからそのキラキラ光線やめなさい!!」

絵里「やったぁ!お姉ちゃん大好き!!」ギュ

にこ「ちょ、暑い!くっつかないで!」

6: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:27:04.34 ID:s62qTocm
にこ(なんなのよもー、調子狂うわね……)

にこ「はい、それじゃあ口開けて」

絵里「あーん……」

にこ(こっ、これは……!?)

絵里「あー……」アーン

にこ(   !!)

にこ(無防備にこっちに向かって口開けてるだけなのに……なんなのこの、尋常じゃない  さは!!)

8: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:29:50.76 ID:s62qTocm
にこ(白い肌に長い睫毛、ぷるんとした唇……!!)

にこ(まるで、キスをしてくださいとでも言わんばかりに顎を突き出して……)

にこ(にこを、待ってる……!?)

にこ「…………」

絵里「にこ?」

にこ「ハッ!! 危ない、危ない……」

絵里「?」

にこ「なっ、なんでも!なんでもない!」

にこ(ちゅーしそうだったなんて、言えないわよ……!)

9: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:32:45.86 ID:s62qTocm
絵里「そう?じゃあ気を取り直して……」アーン

にこ(平常心、平常心……)オクチニイレルー

にこ「……はい!これで満足?」

絵里「うーん、おいしい! お姉ちゃんのチョコ、おーいしーいなー♪」

にこ「安物のチョコレートよ? 絵里はいっつももっと高そうなの食べてるじゃない」

絵里「ううん、にこに貰えた、しかも食べさせてもらったチョコレートだから、すごくおいしいの。ありがと、にこお姉ちゃん」ニコー!

にこ「…………あっそ」

にこ(なに、今の無邪気な笑顔は!)

にこ(その綺麗に整った顔で!あどけない笑顔とか!アリエナイ!!)

にこ(生ける凶器だわ……!!)

絵里「ねーえ、にこお姉ちゃん」

10: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:35:12.09 ID:s62qTocm
にこ「って、いつまでお姉ちゃん言うつもりよ!?」

絵里「良いじゃない、減るもんじゃないし」

にこ「減りはしないけど増えるのよ、にこの苦労が!」

絵里「私達、仲良し5人姉弟でしょ?」

にこ「増やすなっ!矢澤家は4人姉弟です!」

絵里「さすがにこね、鋭いツッコミだわ」

にこ「別に鋭くないわよ!!」


にこ(ああもう、今日はなんて日なの……!)

12: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:37:32.70 ID:s62qTocm
絵里「まぁ、にこのツッコミが鋭くないことは置いといて」

にこ「置かないでよ!?」

絵里「にこが言いだしたのよ?にこの方が年上なんだから、って」

にこ「い、意味が違うのよ、意味が。誰も妹になれなんて言ってないわよ」

絵里「ふふ、そうね。ちょっと調子に乗っちゃったのは謝るわ……でも、楽しくってついね」

にこ「…………」


にこ(そういえば、絵里もお姉ちゃんなんだっけ)

14: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:39:51.08 ID:s62qTocm
にこ(しかも、生徒会長で、みんなから頼られて)

にこ(誰かに甘えた事、なかったりするのかしら?)

絵里「にこ?どうしたの、急に黙り込んで」


にこ「良いわよ」


絵里「え?」

にこ「今から。にこが、絵里のお姉ちゃんになってあげようじゃないの!」

絵里「え……ええ!?」

15: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:45:20.85 ID:s62qTocm
絵里「に、にこが!?」

にこ「ええ」

絵里「お姉ちゃん!?」

にこ「そうよ」

絵里「私の!?」

にこ「絵里のよ」

絵里「え、嘘でしょう!?」

にこ「ホントよ」

絵里「……にこ、お姉ちゃん出来るの?」

にこ「舐めんじゃないわよっ!?ていうか、今の今まで甘え腐ってた人が何を言ってるの!!」

16: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:49:40.38 ID:s62qTocm
絵里「い、いや……にこがお姉ちゃん力高いのは、知ってるのよ?あの可愛い妹達の、お姉ちゃんだものね」

にこ「わかってるじゃない」

絵里「でも……私の、お姉ちゃん?」

にこ「出来ないとでも?」

絵里「い、イメージが……沸かないわ」

にこ「じゃあさっきのは何だったのよぉ!」

絵里「ちょ、ちょっとしたおふざけのつもりで……」

にこ(なに!?絵里にその気がないとか、にこの思い違いってこと!?)

にこ「……いいえ、違うわ!」ビシィッ

絵里「ひぃっ」ビクーッ

17: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 03:51:53.64 ID:s62qTocm
にこ(絵里は、心のどこかで甘えても良い人を探してる。きっとそう!)

にこ(それに……今更、後に引くなんてにこのプライドが許さないわ!)

にこ「いいから、絵里。今日からにこのことは、お姉ちゃんと呼びなさい」

絵里「えー……」

にこ「恥ずかしいなら……そうね、にこと二人きりの時だけでも良いわ。とにかく今日から、にこが、絵里のお姉ちゃん!決まり!」

絵里「ちょ、ちょっとにこ……」

にこ「ノン! にこじゃない、にこお姉ちゃん!」

絵里「……に、にこ……」

にこ「リピートアフターミー、『にこお姉ちゃん』」

絵里「……にこお姉ちゃん」

にこ「はい、良く出来ましたにこー♡」ナデナデ

絵里「……!!」

32: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:12:41.09 ID:s62qTocm
絵里「…………!!」ビックリ

にこ「え、絵里?」

絵里「…………!!!」ビックリン

にこ(絵里がすごい驚いた顔のまま固まっちゃった……)

にこ「絵里、絵里!」ユサユサ

絵里「……ハッ!」

にこ「ちょっと、大丈夫?」

絵里「え、ええ、なんでもないわ。……頭を撫でられるのなんて、何年ぶりかしらね」

にこ(お?好感触かな?)

にこ「そりゃー、生徒会長にナデナデとか誰も出来ないわよねぇ。どっちかというとする側じゃない、アンタ」

絵里「ええ。穂乃果なんかにはいつもしているわ」

にこ(あの子……どこまでもワンコ体質なんだから……)

絵里「だから、なんだか新鮮で……吃驚しちゃった」

絵里「……悪くないわね、妹も」クスッ

にこ「わ……」

にこ(そこでどうしてそんな大人っぽい微笑みなの……!?)

にこ(ずるいじゃない!!)

33: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:16:05.66 ID:s62qTocm
キーンコーンカーンコーン

絵里「あら、いけない。下校のチャイムが鳴っちゃったわ」

にこ「練習終わってから、もう大分時間経つもの……他のメンバーなんかとっくに帰っちゃったし」

絵里「私達も帰りましょうか。にこ……お姉ちゃん」

にこ「うむ。よろしい」フンス

絵里「途中まで一緒に行きましょ?」スック

にこ「……………」ジトー

絵里「なに?」スラーッ ボイン スラーッ

にこ「…………にこの方がお姉ちゃんなのに」グスン

絵里「……?」

にこ(本当絵里は、ずるいわ……!)

34: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:18:49.80 ID:s62qTocm
-にこ、帰宅-

にこ「はぁーっ、なんだか疲れたわ……」ボスン

にこ「ベッド落ち着くー……さいこー……」ゴロゴロ


にこ(……それにしても。お姉ちゃんになってあげる、なんてついうっかり息巻いちゃったけど)

にこ(具体的には、どうしたらいいのかしら)

にこ(こころとここあと虎太郎は、本当の妹弟だから自然に接することが出来るけど。絵里と血は繋がってないし、一緒に暮らしてる訳でもないし)

にこ「うーん……」ゴロゴロゴロゴロゴロ

こころ「お姉様ーっ」ガチャ

35: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:20:47.67 ID:s62qTocm
にこ「うおっとぉ! こっ、こころ!どしたの?」ガバッ

こころ「……お姉様、まさかスーパーアイドルともあろうものが……お部屋の中で気を抜いてだらだらごろごろとかしてないですよね?」

にこ「しっ、してないわよぉ~!にっこにっこにーの練習してたの、ほらここあも、にっこにっこにー☆」アセアセ

こころ「ですよね、流石はお姉様です! にっこにっこにー☆」ニコッ

にこ「んー!完璧なにこにこにーね、こころ!」ギュッ

にこ(……実の妹なら、こんなにも簡単にお姉ちゃんになれるのに)

36: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:26:31.80 ID:s62qTocm
にこ「ところで、なにか用事だった?」

こころ「はっ、そうでした!先程、お母さまから今日も仕事で遅くなるとの電話がありまして……」

にこ「そっか。じゃあ晩御飯作んなきゃね」

こころ「お手伝いします!」

にこ「ありがと、こころ。それじゃ、今日は何にしましょうか……」

こころ「私、お姉さまの作った肉じゃがが食べたいです!」

にこ「そっか、じゃあ肉じゃがとー……サラダ作って、後は何か汁物かな……あ、ご飯炊かなきゃ」

こころ「こころ、お姉さまの作るご飯大好きです! 楽しみだなぁ~」ウキウキ

にこ(……あ、そうだ)

にこ(絵里に……お弁当でも、作ってあげようかしら)

37: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:29:47.30 ID:s62qTocm
-次の日-

ここあ「おねーちゃん!」

にこ「なぁに、ここあ?」

ここあ「今日のお弁当、なんかいつもより豪華じゃない!?」

にこ「へっ」ビクッ

こころ「本当ですわ! 綺麗な玉子焼きに、きらきらつやつやなプチトマト、綺麗な狐色でじゅわっと揚がったからあげ、昨日の残りだけど味が染み込んでいる肉じゃが、それに小さくてカラフルなおむすびさんまで!」

虎太郎「おいしそー」

こころ「シンプルながらも最高においしそうなお弁当!流石はお姉さま!」

虎太郎「食べたいー」


にこ「そっ、そう?喜んでもらえて良かったわ!」

にこ(……気合い入れ過ぎちゃったかしら)

38: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:36:02.77 ID:s62qTocm
ここあ「あれ、でもなんかおかしくない?」

にこ「えっ」ビクッ

ここあ「いち、にい、さん、よん、ご……お母さんはもう行っちゃったのに、お弁当五個あるよ?」

虎太郎「ほんとだー」

こころ「本当、ひとつ多いですわね。お姉さま、誰かに持って行くのですか?」

にこ「えーっと、その……」

ここあ「まっ、まさか……」

こころ・ここあ「「彼氏!?」」

にこ「違うわよぉ!?」



虎太郎「……かれしー」

にこ「だから違うのよ!?」

39: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:39:03.40 ID:s62qTocm
ここあ「じゃあ彼女?」

にこ「ちっ、ちーがーうー!」ドキドキ

こころ「そうですわ、ここあ。お姉様はスーパーアイドルなんですよ、恋愛は御法度なんです!」

ここあ「そっかー。まぁそうだよね、お姉ちゃんに限ってそれはないかー」

にこ「そっ、そうよ!にこにーはみーんなのスーパーアイドル、そういうこととは無縁なんだにこ☆」アセダラダラ

こたろう「……だれのー?」

ここあ「はっ、でもそうです、それではこのお弁当は一体誰の……?」

にこ「こっ、これはねー、」アセアセ

虎太郎「これはー?」

にこ「どっ……」

こころ「ど!?」




にこ「どっちもにこの分よ!!」

40: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:41:23.64 ID:s62qTocm
-登校中-

にこ「……はぁーっ」

にこ(咄嗟に言い訳思い付かなくてああ言っちゃったけど、妹達ににこが実は食いしん坊だって思われちゃったわ……)

にこ「……どうやって訂正しようかしら」

絵里「にこみーっけ!」ポン

にこ「ひゃああぁっ!」ビックウゥ

絵里「あははっ!にこってばちょっと驚き過ぎじゃない?」

にこ「かっ、考え事してたのに急に肩叩くから……っ!」

絵里「あら、それはごめんなさいね」クスクス

にこ(……絵里、なんかテンション高い?)

41: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:50:45.97 ID:s62qTocm
絵里「あら、なんだか今日は荷物が重そうね。手伝いましょうか?」

にこ「あっ……こ、これは違うのよ!別にそんなに重くないから気にしないで!」

絵里「そう?ならいいけど。ところで、中身は何かしら?」

にこ「ハッ……」


にこ(そうだわ、なんだかんだですっかり頭から抜けちゃってたけど、今、にこは絵里のお姉ちゃん!)


にこ(なんの為にお弁当を作ったのよにこ……! お昼、誘わなくちゃ!)


にこ「中身のことはとりあえず置いといて……絵里?」ツンツン


絵里「あっ、ちょっ頬っぺたつつかないで…」

にこ「今はちょうど、二人しか居ないわよ?」ツン

絵里「……そうね、にこお姉ちゃん」

にこ「はいよろしい」

42: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:54:15.00 ID:s62qTocm
にこ「……これ、ね。お弁当なのよ」

絵里「お弁当?なんか、随分多くない?」

にこ「そりゃそうよ、二人分なんだから」

絵里「……?」

にこ「絵里の分。アンタ、いっつも購買でしょ?だから今日は……」

にこ「に、にこお姉ちゃんが可愛い妹に手作り弁当を持ってきてあげたわよ!」

絵里「!!」



にこ(や、やっぱりこの姉妹設定、こそばゆいわ……!)

43: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/21(土) 23:56:13.93 ID:s62qTocm
絵里「……」

にこ(絵里……すごい驚いた顔してる……この顔もなんだか見慣れちゃったわね)

にこ「とっ、とにかく、作ってきたから!昼休み、一緒にご飯食べましょう。食べないとか言ったらはっ倒すわよ!」

絵里「い、いいの……?私が貰っても」

にこ「というか、その為に作って来たんだから遠慮しないでよ。妹なんだからお姉ちゃんに甘えなさい!」

絵里「……ハラショー!ありがとう、にこ……お姉ちゃん」

にこ「そう、最初からそれでいいのよ。絵里ってば本当、面倒くさいわね」

にこ(まぁ、その面倒くさいところも、別に嫌いじゃないけど)

66: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/29(日) 23:42:37.46 ID:qQFpwlGD
-昼休み-

にこ(はーっ、やーっと授業終わったにこ……数学の時間、眠気が襲って来て酷かったわ……)

絵里「にーーーっこ!」ドーン ギュッ

にこ「うわぉ!?」グホッ

絵里「あら……ごめんなさい、ちょっと勢いが強かったわね」

にこ「強過ぎよ!目ん玉飛び出るかと思ったわ!」

絵里「シッ」

にこ「むぐっ」

絵里「アイドルが、目ん玉とか言っちゃダーメ♡」

にこ「……分かってるじゃない」

絵里「にこ先生に鍛えられてますから♪」

にこ「ふふん、向上心があるようで何よりだわ」

67: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/29(日) 23:45:46.28 ID:qQFpwlGD
他生徒「ざわざわ……」

にこ(……ん? なんだか視線を感じる……)

生徒A「ねぇ、生徒会長と矢澤さん……仲良さそうね?」

生徒B「いつもはそうでもないのに、何故か親しげにハグとかされちゃって……」

生徒C「同じμ'sだからって、ずるい……!」


にこ(はぁー……なるほど。絵里は本人だけじゃなく周りも面倒くさいのね)

絵里「ねぇ、にこ。お昼なんだけど……」

にこ「待って、絵里」ヒソヒソ

にこ「とりあえず一回、別々に屋上に向かいましょう。変なのに絡まれると面倒だし」ヒソヒソ

絵里「……そうね。じゃあ、先に行ってるわね」

68: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/29(日) 23:48:19.64 ID:qQFpwlGD
-屋上-

にこ「絵里ーっ、居る?」ガチャ

絵里「!! にこ!遅かったじゃない!」

にこ「え?でもそんなに時間経ってないけど」

絵里「そ、そうかしら……? 楽しみにしてたから、時間が長く感じちゃったのかも」

にこ「アンタって、そういうことはサラッと言うわよね……」

にこ(あ、なんか)

にこ(絵里ってば、ご主人さまを待ってたわんこみたい)

にこ「ぷっ、くすくす……」

絵里「えっ、ええ? どうして笑ってるの? 私、何かした?」

にこ「あはは、なんでもなーい!」ケラケラ

絵里「ちょっ、ちょっとにこぉ~!」アワアワ

にこ「あははは!」

にこ(穂乃果のこと犬みたいって言ってたくせに、絵里だってまるでわんこじゃない!)

69: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/29(日) 23:56:08.62 ID:qQFpwlGD
にこ「ふふふ。はー、面白かった」

絵里「なんなのよ、もう……」スネーチカ

にこ「ごめんってばぁ~。ほら、にこにーお手製のお弁当で許して?」

絵里「……許すわ」

にこ(あはは。絵里ってば、相変わらずチョロイわね)

にこ「はい、それじゃーこっちが絵里の分。それでこっちは、にこの分だからねー」

絵里「ハラショー!可愛いお弁当箱ね……しかも、私の大好きな水色だわ」

にこ「た、たまたま家に水色のがあったのよ。絵里、好きかなーって思ったから」

絵里「……私の為にわざわざ水色を選んでくれたのね。ふふ、嬉しい」

にこ(言えない……わざわざ水色のを探し出したなんて言えない……!)

70: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/29(日) 23:58:40.00 ID:qQFpwlGD
絵里「にこのピンク色も、とっても可愛らしいわ」

にこ「ふふん、トーゼンでしょ。アイドルはー、持ち物にだって気を遣うの!」

絵里「素敵ね。可愛くて、まるでにこみたい」

にこ「へっ……!?」ボッ

にこ(だーかーらー! サラッとそういうことを言うのはなんなの!?ロシアなの!?ロシアのなせる技なの!?)カーッ

にこ「……今度から、毎日これにしようかしら……」ボソボソ

絵里「え? なにか言った?」

にこ「なんでもない!」

71: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 00:01:55.27 ID:XmvYoraZ
にこ「いいから、ほら、昼休み終わっちゃう前に食べましょ!」

絵里「そ、そうね。じゃあ……ありがたくいただきます」パカッ

にこ(ど、どうかしら……! 絵里の反応は……)ドキドキ

絵里「……は、ハラショー」ポカーン

にこ(そ、その顔は!? 『なにこれ、貧相な弁当…』みたいなガッカリした顔なの!? それとも『すごいわ!こんな弁当みたことない!』っていう顔なの!?)

にこ(どっち!?)ジィーッ

絵里「……に、にこ。そんな怖い顔で見つめられたら、食べられないわ」

にこ「ふぇっ!? し、しまったつい気になり過ぎてガン飛ばしちゃった……」スマイルスマイル

絵里「なぁに? 私がにこのお弁当、どう思ったか気になっちゃった?」クスッ

にこ「べ、別にそんなんじゃ……」

絵里「ふふ。こんな綺麗なお弁当、私の為に作って来てくれたんだーって、感動しちゃったのよ」

にこ「」マッカッカーッ

72: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 00:10:29.41 ID:XmvYoraZ
にこ(な、なにかしら、この感じ……さっきから、むちゃくちゃ絵里のペースじゃない……?)

にこ(ええい、負けちゃだめにこにー! そうだ、すっかり忘れてたけど今は私がお姉ちゃんなんだった!)

にこ(にこの方が、立場的には有利なのよ!)

絵里「にーこ。顔、真っ赤よ?」ツンツン

にこ「うっ、うるさいわねぇ!? というか絵里、もう忘れたの!?」

絵里「え?」

にこ「にこのことは、なんて呼ぶんだっけ?」

絵里「あ。……にこ、お姉ちゃん……」モジモジ

にこ「声が小さいわよ! はい、もう一回!」

絵里「ね、ねぇこの流れ前にも」

にこ「もういっかーーーい!」

絵里「……にこお姉ちゃん!!」マッカッカー

にこ「なによ、絵里だって真っ赤じゃない!」

絵里「ま、まだ恥ずかしいのよ……!」


にこ(ふふん。にこの勝利ね!)

にこ(なるほど、お姉ちゃんってこういう強みがあるのね……)

73: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 00:14:08.82 ID:XmvYoraZ
絵里「と、とにかく。せっかく作って貰ったのだし、いただくわ」

にこ「そうよ、食べて食べて」

にこ(味見はいっぱいして、ちゃんとおいしいのを持ってきたつもりだけど。大丈夫かしら……)ドキドキ

絵里「いただきまーす」アーン

にこ「……」ドキドキ

絵里「……」モグモグ

にこ「…………」

にこ(沈黙が重い!!)

にこ「あ、あの、絵里……!」



絵里「…………はっ、ハラショ……」ポロッ

にこ「!?」

74: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 00:19:07.98 ID:XmvYoraZ
にこ「えええええええり!? なんで泣いてんの!?」アセアセ

絵里「あ、ごめんなさ……おいしいわ、」ポロポロ

にこ「泣く程!?そんな大したもの作ってないわよぉ!?」アセアセ

絵里「も、もちろん味もおいしいのだけれど、それだけじゃなくて、なんだか……」グスッ

絵里「にこが、私の為に、って思って食べたら。急に涙が……」

にこ「……どういう意味よ、それ……」

にこ(どんだけ喜んでるのよ!? これは想定外だわ……)

にこ(なんか、こっちまで……嬉しいじゃない!)

75: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 00:23:43.22 ID:XmvYoraZ
にこ「もーっ、絵里ってば、大げさね。これくらい、いつでも作って来てあげるのに」テレテレ

絵里「っく、ほんと……? にこのおいしいお弁当、また食べてもいいの……?」

にこ「とりあえずほい、ハンカチ。……絵里はにこの妹なんだから。妹の為にお弁当作るのくらい、なんてこと無いのよ」

絵里「……にこお姉ちゃん……」ズビッ

にこ「あーもう汚いわね!ちょっとそのハンカチで鼻かまないでよ!?」

絵里「ご、ごめんなさい」グスン

絵里「……本当、嬉しいわ。ありがとう、にこ」

76: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 00:24:54.78 ID:XmvYoraZ
絵里「……実はね。私、にこに嫌われてるんじゃないかって、思ってたことがあるの」グスグス

にこ「え?」

絵里「アイドル研究部に救いの手も差し伸べず、にこが入ったμ'sも潰そうとしてた。……私、にこがアイドルとして輝きたかったのを知ってたのに」

にこ「絵里……」

にこ(何を言ってるの……?)

絵里「だから、μ'sに入ってすぐの頃はね。少しだけ、にこの視線が怖かった」

絵里「恨まれてたらどうしよう、って」

78: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 00:29:59.14 ID:XmvYoraZ
にこ「…………」

絵里「ご、ごめんなさい、急にこんな話して……だから、にことこんな風に一緒にご飯が食べれて、しかも私の為にお弁当まで作って来てくれて。ほんとに嬉しくて……」

にこ「……馬鹿ね」

絵里「え?」

にこ「絵里ってば、本当に大馬鹿者だわ」

絵里「……にこ……」


にこ「にこが、そんな小さなことで絵里を恨むと思ったの?」

79: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 00:36:02.82 ID:XmvYoraZ
にこ「確かにね、アイドル研究部時代、ひとりぼっちで寂しかったわ。それは認める」

にこ「でもだからって、それが絵里のせいだとでも?」

絵里「そ、そうじゃないかもしれないけど……でも、生徒会長として私は何も」

にこ「バッカじゃないの!?」ブワッ


にこ(あ、あれ……なんか、にこまで泣けてきちゃったじゃない!)

にこ「アンタは生徒会長だった。だから何!? むしろ、生徒会長なんて大役背負って、学校の為に一生懸命やってたじゃない。それくらい、にこだって知ってるわよ!」

絵里「……にこ、」

にこ「どうしてアンタが責任感じてるのよ!いくらなんでも背負い過ぎだわ、この大馬鹿絵里!!」

絵里「……ありがとう。でもね、にこ」





絵里「私はμ'sを潰そうとしていたわ。そればっかりは、間違いないの」

にこ「……!!」

82: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:00:43.32 ID:XmvYoraZ
にこ「……そんなの……そんなの、」

絵里「違うって、言える?」

にこ(……確かに。絵里がμ'sに入る前、私は絵里を敵だと思っていたわ。生徒会長は理解してくれない、って……思ってた。だから、絵里に指導を受けるのも、最初は反対してた)

にこ「でも、でも……っ」

絵里「……いえ、ごめんなさい。にこに話しても、詮無い事だったわ……これは、私自身の問題。私自身が、自分で越えなくちゃいけない」

にこ「……え、絵里……」

にこ(どうして……)

にこ(どうして、かける言葉が出てこないのっ!?)

83: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:04:51.61 ID:XmvYoraZ
キーンコーンカーンコーン

絵里「……予鈴、鳴っちゃったわね。ごめんなさい、全部食べられなくて」

にこ「絵里、絵里……っ、」

絵里「……本当に、嬉しかったわ、にこ。お弁当、ちゃんと洗って返したいから……預かっていてもいいかしら」

にこ「そ、それは別に大丈夫だけど……」

絵里「そう、じゃあ預かるわね。……先に、行ってるわ」

にこ「え、絵里っ……!」

絵里「…………」スタスタ ガチャ



にこ「…………」ポツーン


にこ「なんでよ、なんでこうなっちゃうのよ……!?」

84: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:08:50.03 ID:XmvYoraZ
ビューッ

にこ(……屋上、こんなに寒かったかしら)


にこ(絵里が、あんな風に思ってたなんて知らなかった)

にこ(誰も、絵里のことを恨んだり、嫌ったりなんてしてないのに。そうじゃなきゃ、μ'sとして皆であんなに頑張れる訳ないじゃない、馬鹿絵里)


カラン

にこ「あ、お箸が……」

にこ(……お弁当。頑張って作ったのに。馬鹿馬鹿、絵里の馬鹿)

にこ「甘えさせてあげよう、なんて、大きなお世話だったのかしら」

にこ「でも、」


にこ(……絵里、すごく楽しそうだったし、嬉しそうだったのに。あれは、嘘?)

希「そんなこと、ないと思うで」

にこ「!?!?」

87: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:14:18.15 ID:XmvYoraZ
にこ「んなっ、なななななっ」

希「はろーはろー。にこっち、元気~?」ヒョイッ

にこ「希ィ!?アンタ、一体いつから、」

希「んー、にこっちがえりちと教室でイチャついてる辺りから、かなぁ?」

にこ「ほとんど最初からじゃないっ!!」

希「あはは、ごめんて。えりちが自分からにこっちに絡みに行くの、珍しいからついつい」

にこ「ついじゃないわよぉ!?」

にこ(あ、あの恥ずかしい一部始終が見られていたというの……っ!?)

88: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:21:58.84 ID:XmvYoraZ
希「なんや、面白いことしとったみたいやね。にこお姉ちゃん?」ニヤニヤ

にこ「あああああああ!!」

にこ(恥ずかしいいいぃ!!穴があったら入りた過ぎる!!!)

希「まぁまぁ、そう恥ずかしがらんと。……実際、えりちには効果的だと思うんや、それ」

にこ「え? ……効果的?」

希「そ。えりちの、なんでもかんでも背負う病を治すには、な」

にこ「……ダサイ病名ね」

希「でも間違ってないやろ?」

にこ「そうね。そのまんまだわ」

89: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:26:52.65 ID:XmvYoraZ
希「責任感が強すぎるのも、難儀やんなぁ。それでいて、不器用だから自分を責めることだけはいっちょ前やん、はー、めんどっち!」

にこ「随分ばっさり言うわね、アンタ……」

希「事実やんなぁ。本人にも直接言ってはいるんよ?えりち、めんどくさ!って」

にこ「鬼ね……」

希「でも、ウチが言っても駄目なんよ。本人にも自覚はあるみたいで、でもどうにも出来なくて困っとるんやな」

にこ「……」

希「絵里ちが、必死にμ'sを仕切ってまとめようとするのも、……まぁ本人の気質がそういうんのもあるけど。今のところ、罪悪感みたいなところが大きいんやと、ウチは思うんよ」

90: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:28:32.25 ID:XmvYoraZ
希「だからね、それ、イイナーって」

にこ「それって、どれよ」

希「だーかーらー、『にこお姉ちゃん』」

にこ「なっ、何回も言わないで!恥ずかしいから!」

希「あはは。でもね、それ、えりちには効果絶大なんや。『無理矢理甘えさせる』、っていうのが」

にこ「無理矢理……?」

希「そうそう。さっきも言ったけど、あの子、不器用やから。そういう理由がないと、誰かに甘えるっていうのが、出来ないんよ」

にこ「……本当、めんどくさいを極めたような人ね……」

希「ふふ。にこっちも結構キツイやん?」

91: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:31:34.80 ID:XmvYoraZ
希「さてと。それでは問題です。絵里ちが一人で勝手に背負ってる、「μ'sを潰そうとしていた罪悪感」から解放してあげるには、一体どうしたらいいでしょー?」

にこ「……なにそれ。簡単じゃない、そんなこと誰も思ってないって伝えればいいんだわ」

希「半分せいかーい。でも、半分違うとウチは思ってる」

にこ「どういうことよ?」

希「今のえりちに、「μ'sの皆はえりちのこと大好きやで!」って伝えても、それは上辺でお世辞だと思い込んでしまう。いじっぱりやからな」

にこ「……で?」

希「だからまずは、そのいじっぱりをすこーしでいいから和らげてあげないと。その為には?」

にこ「……お姉ちゃんしろと?」

希「だーいせーいかーい!!正解したにこさんにはー、なんと!この素敵なカードを一枚プレゼントー!」サッ

にこ「ちょっ、いらな……」ピラッ

にこ「……らばー、ず?」

希「THE LOVERS。恋人達のカードや」

にこ「……どういう意味よ?」

希「いーっぱい意味あるけど……絆とか、情熱とか。でもウチはあえてこう訳すかな」


希「『私はあなたを選びます』」

92: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/03/30(月) 01:33:26.05 ID:XmvYoraZ
にこ「……ますます意味がわからなくなったんだけど」

希「さー? あとは自分で考えて、頑張って♪ ほなな~」

にこ「あっちょっと希!待ちなさ……って足早ぁ!?」


にこ「……流石、絵里やあの海未からも逃げ回るだけのことはあるわ……」ポツーン

にこ(あなたを選ぶ、ね)


カードピラッ

『THE LOVERS』


にこ(希ってば、人にばっかり押し付けて。まったく……でも、いいわ。乗りかかった船だもの、やってやろうじゃない)



にこ「絵里の面倒くさい性格、このにこお姉ちゃんが矯正してやるわ……!!」メラメラ

103: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:00:58.61 ID:gfFi4BEI
放課後-

にこ「よし。来たわ!」ザッ

にこ(雑貨屋『R-PAKA』。この間雑誌で見かけてから、ずっと気になってたのよね)

にこ「ここで、絵里専用のお弁当箱を買っちゃいましょう」

にこ(今日のやつを絵里専用にしてもいいんだけど……あれ、お母さんのだし。せっかくだから、絵里用に……ね)

にこ「いざ、出陣!」


カランカラン


にこ「う、わぁ~~……!」

にこ(色とりどりの小物、小物、小物! 小さくて可愛い雑貨が、棚いっぱい店いっぱいに広がってるぅ~!)

にこ「か、可愛い……!特にピンクがいっぱいで、にこ、困っちゃう~~!!」

104: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:07:37.54 ID:gfFi4BEI
花陽「あれ? にこちゃんだ!」

にこ「えっ、この声……!」ビクッ

凛「えっにこちゃん? あっホントだにこちゃんだー!」ピョン

にこ「は、花陽に凛……!アンタ達、なんでここに……」

凛「なんでって……凛達、新しい筆箱を買いに来たんだにゃ」

花陽「にこちゃんもお買い物かな?なに買いに来たの?」

にこ「にこは、え……」

凛「え?」

にこ「え!?」

花陽「エ"!?」

にこ(危ない!絵里のお弁当箱って言っちゃうところだった……変な誤解を招いても嫌だし、なんとか誤魔化さないと……!)

にこ「え、え……エリマキトカゲよ」

105: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:15:37.84 ID:gfFi4BEI
凛「トカゲ……?」

にこ(し、しまったあああああぁ絵里って単語から連想されたものそのまま言っちゃったわ!!)

凛「トカゲって……それ、雑貨屋さんじゃなくてペットショップじゃ……?」

にこ「ち、違う違う!えっとぉ~、エリマキトカゲ柄の小物ないかなーって思ってぇ!」

にこ(くっ、苦しい…!苦しすぎる!!)

花陽「あっ、それなら……ほら、ここに!」

にこ「えぇ!?あるの!?」

花陽「エリマキトカゲといえば、マキエリくんのグッズだよね?にこちゃん好きなんだ、意外~」

にこ「ほ、ほんとにあるんだ……」

にこ(命拾いしたわ……)

107: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:20:14.33 ID:gfFi4BEI
凛「…………」ジィーッ

にこ「よ、良かったぁ~やっと見つけたにこ!えっと、エリ…」

花陽「マキエリくん」

にこ「そうそう!マキエリくん! 可愛いにこね~~」

凛「えぇ?凛はマキエリくんって、可愛いというよりは変な顔だと思うけどなぁ~」

にこ「えっ、ええ~?どこが?ほら、この愛くるしい表情とか堪らないにこ~~」アセアセ

凛「……なんか、怪しいにゃ……」ジィィーッ

にこ(ううっ、凛の探るような視線が……痛い……!)

108: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:27:06.84 ID:gfFi4BEI
花陽「……あれっ、もうこんな時間!?大変だよ凛ちゃん、スクールアイドルの番組始まっちゃう!」

凛「え!?あっほんとだ、かよちんの楽しみにしてた『追え!アイドル舞台裏~あのアイドルは今~』が始まっちゃうにゃ!」

にこ「そ、それは大変にこ!にこはまだマキエリくん選びたいから、二人は早くお会計すればいいんじゃない?」

花陽「うっ、うんそうするね! それじゃあにこちゃん、また明日!」タタッ

凛「にこちゃんばいばーい! あっかよちん待ってぇ、早いにゃー!」ダッ

にこ「……ふぅ……助かった……」

にこ「……アイドル舞台裏、見たかったな……」



-レジにて-

凛「それにしても、にこちゃんいつに無く変だったにゃ~」

花陽「ソウカナ? 確かに、マキエリくんが好きっていうのは意外だったけど」

凛「んー、なんかね、そわそわしてた。これは何か面白そうですぞ、かよちん隊員!」

花陽「えー?」

凛「今度、にこちゃんにちゃんと聞いてみるにゃ!」

109: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:32:42.61 ID:gfFi4BEI
にこ「さて、気を取り直して……絵里のお弁当箱を探しましょう。それにしても、変な顔してるわねこのマキエリくん……」

にこ(……あ。そういえば花陽達にああ言った手前、マキエリくんのグッズを一個だけでも買っておいた方がいいのかしら)

にこ「うーん……これは確かに趣味悪いわね……マキエリくんが変顔なのに加えて、大体のグッズが全体にびっしりとキャラクターを散りばめてる……うっ、じっと見てると気分悪くなりそう……」

にこ(あ、一応お弁当箱もある……あれ?なんだ、これだけ割とまともなデザインね。一匹しかマキエリくんが居ないし)

にこ「……あれ、この顔……」

にこ(この、水色のお弁当箱に書いてあるエリマキくんの表情……)

にこ(絵里の怖がってる時の顔にそっくり!!)

110: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:38:56.42 ID:gfFi4BEI
にこ「ぷっ、あははは!」

にこ(なにこれなにこれ!本当に似てるわ、これに金髪ポニテを被せたらまんま絵里じゃない!)

にこ「お値段は……あ、意外とお手頃。……しかも水色ね……」

にこ「……………」ジィー



-数分後-

店員さん「ありがとうございましたー♪」

にこ「…………買っちゃったわ」

111: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:47:39.79 ID:gfFi4BEI
-夜、絵里自宅-

絵里「……はぁ」

絵里(にこに、あんなこと言っちゃった……)

絵里(おまけに、せっかく作ってくれたお弁当を碌に食べもせず、気まずい感じで別れちゃった)

絵里(あの後、お弁当はおいしく全部食べたけど……あぁ、本当においしかったなぁにこのお弁当……)

絵里「……じゃなくって! はぁ。明日、どんな顔してにこに会えばいいのかしら」

絵里「……幻滅、とかされてたらどうしよう。……にこに、嫌われてたら……」

絵里「……グスッ」

112: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:51:55.50 ID:gfFi4BEI
絵里(メールで、「今日の事は忘れて、気にしないで」って送ろうかと思って文面だけはとりあえず作ったのだけれど)

絵里「……怖くて送れない……」グスン

絵里「はぁ……どうしようかしら……」ケータイイジリイジリ

ブブブッ ブブブッ

絵里「!?!?」ビクッ

絵里「め、メール……タイミングが良過ぎてにこからかと思ったわ、誰かしら……」

絵里「ってにこからぁ!?」


絵里(ひ、開くのが怖いわね……あ、でもタイトルが「こんばんにこー♪」って普通のタイトル……大丈夫かしら?)

絵里「えーい、もうぐだぐだ言わず開くのよエリーチカ!賢い可愛いエリーチカーー!!」ポチッ

113: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/01(水) 00:57:22.49 ID:gfFi4BEI
差出人:にこ
件名:こんばんにこー♪

絵里、起きてる?寝てたらごめんだけど、まぁこんな早くから寝てないわよね?

明日もお弁当作って行くから、お昼は空けといてちょうだい。拒否する!は、ナシよ!
にこは絵里のお姉ちゃんなんだから、全てにこにお任せにこにー♡

じゃあとりあえず明日ね!おやすみなさい、エリーチカ♡




絵里「に、にこ……」

絵里(……お姉ちゃん、まだ続けてくれるのね)





絵里「どうしよう……すごく、嬉しいわ」

123: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:15:16.32 ID:D6nuEJI4
絵里「……良かった、嫌われてなくて本当に良かった……」

絵里(お弁当作って来てくれるってことは、そういうことよね……?)


絵里「うん、決めたわ。怖がってる場合じゃない、明日ちゃんと謝らなくちゃ。にこと、また楽しくお弁当を食べたいもの……」

絵里「……そうだ。明日……にこに買ったあれ、持って行きましょう」

124: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:19:27.78 ID:D6nuEJI4
-次の日 昼休み-

ポカポカ

絵里「……良い天気ね……」

絵里(また、にこより先に屋上まできちゃったわ……ちょっと焦り過ぎかしら……)

にこ「やーっと授業終わったわ……数学の時間は眠たくて困っちゃうにこ~」ガチャ

絵里「!! にこ!」バッ

にこ「絵里。なぁに?随分早いじゃない」

絵里「にこのこと、待ってたのよ。あの、あのね、にこ、」

にこ「ちょっと待って、まずは座りましょ。こんな扉の側で立ち話もなんだし」

絵里「そ……そうね」

125: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:28:28.42 ID:D6nuEJI4
にこ「で、にこのこと待ってたの?」

絵里「そうなの。私……」

絵里(私、にこにちゃんと、言わなきゃ、)

にこ「そんなに慌てなくても、にこちゃんお手製のお弁当は逃げないのに~」

絵里「……え、」

にこ「はい!今日はサンドイッチよ。絵里、トマトとか大丈夫だよね?」

絵里「大丈夫……だけど」

絵里(あれ、なにかしら……にこのペースに呑まれてる……)

にこ「ちゃんといただきますしてから食べるのよ?」

絵里「……うん」

127: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:30:52.30 ID:D6nuEJI4
絵里「じゃなくってね、にこ、昨日の……」

にこ「ストップ」ビッ

絵里「むぐ」モゴ

にこ「……昨日の話なら、気にしなくて良いの。にこ、何も聞かなかったことにするから」

絵里「むぅ……」モゴモゴ

にこ「にこもね、色々考えたわ。考えた結果、今は、その話はやめようって、思ったの」

絵里(……にこ……)

128: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:32:28.29 ID:D6nuEJI4
にこ「絵里、昨日の事を謝ろうとか思ってたでしょう。」

絵里「!? ど……どうしてそれ、」

にこ「ほんっとう絵里ってお馬鹿さんね。それくらいは察しがつくわ。絵里のことだもの、きっと自分が悪いって思ってる、ってね」

絵里「……違うの?」

にこ「いいえ、その通りよ」

絵里「……っ」

絵里(それなら、どうして何も言わせてくれないの……?)

129: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:39:08.10 ID:D6nuEJI4
にこ「でもね。にこは、絵里の謝罪が聞きたい訳じゃないの。だってそれは、にこに謝るような事じゃない。絵里が負い目に感じることじゃないのよ」

絵里「…………」

にこ「分かってない顔ね。でも、絵里がわからず屋なのは知ってるのよ、悪いけど。だからにこ、決めたの」

絵里「決めた……?」

にこ「『昨日のことは聞かなかったことにする』わ。にこは今、絵里の本心を知らない。知らないところから、また始めましょう」

絵里「始めるって、何を?」

にこ「決まってるじゃない。絵里を、妹として扱うことを、よ!」

絵里「……え?」

130: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:44:13.48 ID:D6nuEJI4
絵里「待ってにこ、良く意味が……」

にこ「ブー!にこじゃありませんー、にこお姉ちゃんですー」

絵里「……にっ、にこお姉ちゃん。エリチカ、良く意味がわかりません」

絵里(昨日の話から、どうしてそうなっちゃうの!?)

にこ「……今は、わかんなくても良いわ。そのうち嫌でもわかるようにしてあげるから。だからほーら、辛気臭い話はおしまい!」

絵里「えっ、えええー?」

131: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:48:11.49 ID:D6nuEJI4
絵里(はっ……らしくもない不満げな声を上げてしまったわ……)

にこ「ほらいいからぁ、絵里ってば、またにこ特製のお弁当を無駄にしちゃう気なの?」

絵里「む、無駄になんてしないわ! 昨日のだって、お家に帰ってから美味しく頂いたもの……あっ」

にこ「……なに、アンタ。わざわざ家で食べてきたの?」

絵里「……う、うん」カァーッ

にこ「……ぷっ。あははは!」

絵里「なっ、なによう!だってにこのお弁当、ホントに、ホントに美味しかったのよ!?」

にこ「ぶふっ、だからって、あんなシリアスな顔して持って帰ったお弁当を……!後で美味しく頂きましたって!あははは!」

絵里「わーらーわーなーいーでー!!」カアァーッ

132: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:53:21.11 ID:D6nuEJI4
にこ「はーっ、おっかし……ぷはっ」

絵里「…………」ムスッ

にこ「うふふ、ごめんごめん。そんなに拗ねないで?ほら、プレゼントあげるから」

絵里「え、プレゼント?」

にこ「それ。水色のお弁当箱……可愛いでしょ?」

絵里「マキエリくん……変な顔だわ」

にこ「その顔、絵里の怯えた時の表情にそっくりなのよ。知ってた?」

絵里「えぇ!?」

絵里(こっ……こんな!? 私、こんな表情してたの!?)

にこ「それでね、つい、買っちゃったから。そのお弁当箱は、絵里にあげる」

絵里「…………!」

133: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 01:56:34.48 ID:D6nuEJI4
にこ「なによ、不満でもあるの?」

絵里「あっ、違うの、すごく嬉しいわ。ただ……偶然って、やっぱりあるのね」

にこ「?」

絵里「私も、にこに渡そうと思って、持ってきたの。まずは昨日預かってたお弁当箱と、それから……これ」スッ

にこ「なぁに?開けてもいい?」

絵里「ええ、もちろん」

ガサゴソ

にこ「これ……マキエリくんのお弁当箱じゃない!!」

にこ(色違いの、同じやつ……!)

134: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 02:01:44.01 ID:D6nuEJI4
絵里「にこはやっぱりピンクかなって思って……」

にこ「そうね、にこにーにはピンクが良く似合……じゃなくって!なんで絵里もこれ……」

絵里「昨日たまたま見かけたんだけどね、そしたらほら、そのマキエリくんの顔」

にこ「顔……が?」

絵里「ジト目の笑顔が、なにか企んでる時のにこの顔にそっくりだなって思って……」

にこ「これぇ!?」

にこ(こっ、これ!?私これと同じ表情してたの……!?)

絵里「買っちゃったの。……うふふっ、私達、考えることは同じみたいね」

にこ「ちょっとこの顔には納得いかないけど……あははっ、ホント!ビックリだわ!」

135: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 02:04:03.71 ID:D6nuEJI4
にこ「でも、良かったわ。絵里も、にこと一緒にお弁当食べたいみたいで」

絵里「え……?」

にこ「お揃いになっちゃったのは偶然だけど。にこにお弁当箱くれたったことは、そういうことなんでしょ?」

絵里「…………ええ」

にこ「じゃあ、良いわね。明日から、毎日ここでお弁当食べましょ。にこお姉ちゃんが、また美味しいの作って来てあげる♡」

絵里「あ……でも、にこにばっかり負担かけるのも……」

にこ「いーわよ、家は家族の分もまとめて作ってるから、一人分ぐらい増えたところで大したことないわ。ほら、そこはお姉ちゃんに任せておきなさい!お姉ちゃんだから!」

絵里「……そっか。ありがと、にこお姉ちゃん♪」

にこ「素直でよろしい!」ナデナデ

絵里「…………うん」エヘヘ

にこ(ぐっ! そこでそのデレデレの笑顔……絵里ってば、意外と妹力高いのかしら)ドキドキ

絵里「……えへへ。にこお姉ちゃん~」ベタベタ

にこ「あっ、ちょっと不用意にくっつかない!っていいから本当に食べないと、昼休み終わっちゃうわよ!?」

絵里「うん、じゃあいただきます!」

136: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 02:04:58.55 ID:D6nuEJI4
-帰り道-

にこ「……」テクテク

にこ(絵里の言おうとしてたこと、塞いじゃったけど。今はあれで、良かったのよね?)

にこ(絵里、嬉しそうだったし。やっぱり、背負い込むだけじゃなくて甘えて欲しいって思う、それはにこの本心だわ)

にこ(……うん、間違ってないわ。まずは、にこに対して張ってる壁を、全部取っ払ってやる!)メラメラーッ

にこ「……あっ。明日のお弁当のおかず、買いに行かなきゃ!」

137: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 02:07:02.48 ID:D6nuEJI4
-第一部、完-

つことで風呂入ってくるからちょい待ち

141: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 02:47:46.17 ID:D6nuEJI4
-数日後-

にこ「ふんふふ~ん♪」テクテク

にこ(今日も良いお天気ね~。これなら気持ちよくお弁当が食べれそう)

にこ(絵里と二人で食べ始めてから、もう大分経つわよね。あれから……絵里と、正直かなり距離が近くなったと思うんだけど)

にこ「うーん、このままでいいのかなぁ……」

穂乃果「あっ、にこちゃんだー!おーい!」

にこ「げっ穂乃果……あれ、ことりも」

ことり「にこちゃん、こんにちは♪」

142: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 02:51:28.36 ID:D6nuEJI4
ことり「にこちゃんもお昼ご飯?」

にこ「そ、そうよ、これからね。アンタ達は?」

穂乃果「穂乃果達は、生徒会の仕事が残ってるから生徒会室でお昼食べようと思って……」

ことり「海未ちゃんも、弓道部の部室に忘れ物取りに行ってるんだけど、後で来てくれるって。そうだ、にこちゃんも一緒にお昼どう?」

にこ「え、えーと……」

にこ(まずいわね……絵里の分のお弁当の存在がバレたら、絵里ちゃんばっかりズルイ!とか、絵里ちゃんも一緒に食べよう!とか、なるかもしれない……)

にこ(それじゃ駄目なのよ。絵里は穂乃果達の前では絶対に甘えてこないから、二人じゃないと……)

143: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 02:58:42.55 ID:D6nuEJI4
にこ「せっかくのお誘いなんだけど……にこ、ちょっと用事があって」

穂乃果「用事って?」キョトン

にこ「えーとえーと、そう、にこ~部室に忘れ物しちゃって~」

穂乃果「部室って、μ'sの?だったら穂乃果達も一緒に……」

にこ「いいのっ!穂乃果達はほら、生徒会の仕事残ってるんでしょう?だったら一刻も早く行った方がいいわ!うんそうね間違いないわ!」

穂乃果「ぅええ?にこちゃん?」

にこ「にこも急いでるから!にこのことは構わず~~先に~~~……」ダダダダッ

穂乃果「あっにこちゃん!?にこちゃ~~~ん!!……行っちゃった。すごい勢いでフェードアウトしていったね……」

ことり「それに……ねぇ穂乃果ちゃん。にこちゃん、お弁当箱二つ持ってなかった?」

穂乃果「えぇ!?二つも!?……うーん、すごくお腹が空いちゃった、とかかなぁ……?」

ことり「……そうかもね♡」クスクス

144: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:02:28.28 ID:D6nuEJI4
-屋上-

にこ(お姉ちゃん作戦、決行したは良いんだけど……)

絵里「にこお姉ちゃ~ん」

にこ「はいはい」

絵里「……」チラッ

にこ「わかったわよ……ほら、あーん」

絵里「さすがお姉ちゃんね!あーん……」パクッ モグモグ

にこ「……」

絵里「んー、ハラショー!今日のコロッケも、美味しいわ!」キラキラ

にこ「……ありがと」

絵里「ねぇねぇ、もう一口~」

にこ「はいはい」

にこ(……このままでいいのかしら!?)

145: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:07:11.37 ID:D6nuEJI4
にこ(まさか……まさかこの数日、二人でお弁当を食べてるだけで……)

絵里「えへへ~」デレデレ

にこ(ここまでデレるとは誰が思うのよ!?)

絵里「お姉ちゃんとお弁当、お~いし~いな~♪」ルンルン

にこ「もう、それ毎日言ってるわよね。流石にありがたみが薄れるわよ?」

絵里「ええっ、でも本当なんだもの……じゃあなんて言えば良いのかしら。ハラショー、はいっつも言ってるし……」ウーン

にこ「……ロシア語でおいしいって、なんて言うの?」

絵里「Вкусный!(フクースナ!)」

にこ「おお……!絵里ってば、やっぱりロシアの血引いてるのね……」

絵里「やっぱりってどういうこと!?」ガビンッ

にこ「いや、普段ハラショーしか言わないから、時々忘れそうになるのよ」

絵里「ひどいわお姉ちゃん……」ボスン

にこ「ちょっ、重い!にこの頭に顎を乗せないで!くっつきすぎ!」

絵里「おねーちゃーーん」ダラダラ

147: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:14:01.14 ID:D6nuEJI4
にこ(ここ数日で、二人きりの時には抵抗なく『お姉ちゃん』って呼んでくれるようになったわ。というか、そこの順応は驚く程早かった……やっぱり妹願望とかあったのかしら)

にこ「絵里」

絵里「ん?」

にこ「はい、あーん」

絵里「あーん」アーン パクッ

にこ「……この自然さと言ったら……」

絵里「?」キョトン

にこ「……」ナデナデ

絵里「!!」キラキラ

にこ(甘えさせる作戦には成功したけど、なんか……甘えすぎのような!?というか、甘えるのベクトルが何か違うような!?)

絵里「にこお姉ちゃん、あったかいわ」ギュウー

にこ(しかもロシアの成せる技なのか、スキンシップが……過剰のような!?)

148: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:20:59.47 ID:D6nuEJI4
絵里「あ、いけない!もうこんな時間!」ガバッ

にこ「えっ、なに、なに? 今日、昼休み用事あったの?」

絵里「ちょっとね。先生に資料の準備の手伝いを頼まれてて……」

にこ「……ええ?それ、絵里がやらなくちゃいけないの?」

絵里「そういう訳じゃないけれど……やっぱり、私だと頼みやすいみたいね、元生徒会長だし。まぁ、断る理由も無いし、ね?」

にこ「…………」ムーッ

にこ(なによ。やっぱりそういうところ、変わってないじゃない)

絵里「ごめんね、にこお姉ちゃん。今日残りの埋め合わせは、ちゃんとするから、ね♡」チュッ

にこ「んなっ、んなななっ!?」ボンッ

絵里「うふふ、お姉ちゃん真っ赤で可愛いわ♡ それじゃあ、先に行ってるわね!後で、教室で!」タタッ

にこ「なっ、ななななな……」カアアァーッ

149: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:23:50.28 ID:D6nuEJI4
にこ(もう、もう! これだから、絵里は!)ドキドキ

にこ(なんであそこであんなに大人っぽく笑うの!?ほっぺにチューとかするの!?さっきまでの甘えっぷりはなんだったの!?)ジタバタ

にこ(切り替え早過ぎ、っていうか……もう、絵里っていう人が、)

にこ「わっかんない!」

希「なにが?」

にこ「うおおおい!?!?」ビックウゥ!

150: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:26:46.77 ID:D6nuEJI4
にこ「のぞ、希っ、アンタ、」ガタガタ

希「よっ、にこっち。何?なんでそんなに驚いてるん?」

にこ「いつから居たの……!?」ガタガタ

希「え?今来たばっかやん。にこっち気付かんかったの?」

にこ「ぜ、全然……」

にこ(さっきの、見られてないわよね!?)ドキドキ

希「で? なにがわっかんないの、にこっちは?」ニヤニヤ

にこ「なんでもないわよ!」

にこ(あーもう、この子もこの子で何考えてるのかわかんなくて困るわ!)

151: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:31:11.93 ID:D6nuEJI4
にこ「それで。希はなんでここに居るの?」

希「んー? 今日もえりちとにこっちここでお昼かなーって。たまにはご一緒したいなって思って来たんやけど、えりちは居ないみたいやね」

にこ「絵里は先生の手伝いに行っちゃったわ。希ってば、ご一緒したいならもっと早く言えば良いのに」

希「ウチかてそういう気分の時もあれば、そうじゃない日もあるん、気分屋さんなんや。ところでにこっち」

にこ「うん?」

希「お姉ちゃん作戦、上手くいっとる?」

にこ「あー……」

152: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:35:48.83 ID:D6nuEJI4
希「んん~? その反応……何かあったん?」

にこ「いや、特別なにかあった訳じゃないのよ。多分、どっちかと言えば順調なの」

希「ほうほう」

にこ「ただ……ここから先に行けないというか」

希「ふ~ん? 抽象的やけど……なんとなくわかる気ぃするで。えりち見てると」

にこ「やっぱり?」

希「うん。生徒会長辞めたっていうのに、まだあちこちから仕事引き受けてる。根幹が変わってない」

にこ「……そんなに仕事してるの? μ'sの練習だって、率先してやってるくらいなのに」

希「ウチから見たら、結構な量だと思うわ。まったく、えりちは……めんどくさ!」ビシッ

にこ「ほんと!めんどくさ!」ビシッ

153: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:39:17.96 ID:D6nuEJI4
希「なぁにこっち、ウチがあげたカード、まだ持ってる?」

にこ「え、うん……一応、ポケットに入れて持ち歩いてるわ」ゴソゴソ

ピラッ 『THE LOVERS』

希「ん……ちょっと良くないね」

にこ「え?」

希「逆位置や。空回り、まではいかないやろうけど……上手くいってない暗示」

にこ「え、そんな……」

にこ(あんなに、甘えてくれてるのに。上手くいってないってことは、あれは心を開いてくれてる訳じゃない、のかしら……?)

154: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:44:37.11 ID:D6nuEJI4
希「ふーむ。じゃあそんな停滞期な君達姉妹に、一つアドバイスをあげましょう」

にこ「アドバイス?」

希「うん。えーとね、ウチの占いによると……」

にこ「待った」

希「へっ」

にこ「要らないわ、アドバイス。特に占いによるやつは」

希「にこっち……」

にこ「にこは、自分でなんとかするわよ。自分でやるって決めたことだから」

にこ「占いは、導きはくれるかもしれないけど……占いではにこの気持ちも、絵里の気持ちも決まらないのよ」

155: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/04(土) 03:49:46.81 ID:D6nuEJI4
希「……そっか。そうしたら、ウチからはもうなにも言う事ないみたいやな」

にこ「うん。あ、でもありがと、気にかけてくれてるのは嬉しいわ。まぁ、希が言いだしっぺなんだけどね?」

希「あははー。それじゃあ、言いだしっぺとしてこれだけ、ウチから一言だけ言わせてくれる?」

にこ「うん、良いわよ」

希「そのカード。えりちと、にこっちを結ぶ強い意味を持ってるから。占いで気持ちは変わらないかもしれないけど、そのカードの持つ意味がきっと二人の手助けになるよ。忘れないでいて」

にこ「……わかったわ」

希「ま、持ち歩いてくれてるみたいやし心配ないと思うんやけどね。それじゃ、ウチ行くわ」

にこ「え、もう?お昼は……」

希「もう食べてる時間無いよう。にこっちも、その残り早く片付けて来るんやで~」スタコラサッサ



にこ「…………希も大概、大馬鹿ね。心配で見に来たって、素直に言えば良いのに。ご飯持って来ないでお昼一緒にとか、無理あるわよバカ希」

167: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:02:30.50 ID:O9rtHs38
-放課後-

キーンコーンカーンコーン

絵里「ふぅ、やぁっと終わった。受験も近くなってくると、授業の密度も濃くて大変ね」

絵里(受験、かぁ)

絵里(……あと季節が二つ巡って。次の春に、卒業するのね。この学院からも、……μ'sからも……)

絵里「…………やめやめ!考えたら気持ちが暗くなっちゃう。今はラブライブに向けて、前進あるのみなんだから、しっかりしないと!」パン

希「あ、えりちえりちぃ~」トタトタ

絵里「希。丁度良かった、一緒に部室まで……」

希「あ、ウチな、ちょっと先生に呼ばれてしもてん。せやからえりちに先に行ってて~って、丁度今言おうとしてた」ニカッ

169: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:05:07.40 ID:O9rtHs38
絵里「あら、そうなの。なぁに?成績不良で呼び出し……とかじゃないでしょうね?」ジィー

希「ちっ、違う違う!違うからそんな怖い顔せんといて……お手伝い頼まれただけやん!」

絵里「手伝い?それなら私も一緒に……」

希「めっ!」バッテン!

絵里「え?」

希「ウチだけで人手は十分だよ。いいからえりちは、早く部室に行ってなさい!」グイグイ

絵里「あっちょっ、わかったから押さないで!」アワアワ

希「ほな、ウチこっちやから。えりち、後でな~!」パタパタ

絵里「あ、うん……行っちゃった。なんだか、あちこちをふらふらとしてるのは相変わらずね」フゥ

170: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:10:44.62 ID:O9rtHs38
-部室-

絵里「みんな居る~?」ガチャ

にこ「あ、絵里」

絵里「あら、にこだけ?」

にこ「ええ、今はね。さっきまで海未と真姫ちゃんが居たけど、曲の相談するからって二人で音楽室行っちゃったわ」

絵里「そう……」

にこ「なぁに?にこしか居なくって残念だった?」

絵里「そんなわけないじゃない!」

絵里(ただ、なんだろう……なんか、)ドキドキ

絵里(あ、そういえば屋上以外で二人になるの、初めてね。……何故かしら、すごく緊張する)ドキドキ

絵里「むっ、むしろにこだけで良かったくらいよ!」ドキドキ

172: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:16:19.41 ID:O9rtHs38
にこ「……あ、そ、そう……ていうか、お姉ちゃん忘れてるわよっ」フイッ

絵里「……あ、ごめんなさい……」ドキドキ

にこ「…………」

絵里「…………」

絵里(つ、続く言葉が出てこないわ……おかしいわね、いつもはこんなこと無いのに……)

にこ「…………」ツーン

絵里(にこ、こっち見てくれないのね。なんだか……ほっぺたが赤いような?)

絵里(……ちっちゃくてかわいい横顔……)ドキドキ

絵里(な、なんか……黙ってじっと見つめてたら変な気分になってきたわ!?)ドキドキ

絵里(いけない、この沈黙を破らないと……!)

173: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:21:55.33 ID:O9rtHs38
絵里「にこお姉ちゃん!」ガタッ

にこ「なっ、なによ!?」ビクッ

絵里「……えーと!その、うんと……」

絵里(は、話が思いつかない~!どうしましょう……!)

絵里「えっとぉ……その、私、お姉ちゃんに言いたいことが……」ハッ

絵里(……そうだ。私、にこに言いたいことが、あったんだ)

絵里(あの日、屋上でにこに自分の感情をぶつけてしまった日、)

絵里(恨んでないって、にこは言ってくれた。けど、私が知りたいにこの気持ちはそれだけじゃなくて、)

絵里(本当は、聞いてみたかった。にこは、私のこと――)

174: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:30:11.39 ID:O9rtHs38
絵里「……どう思ってるの?」ボソッ

にこ「え?ごめん、良く聞こえなかっt」

絵里「にこお姉ちゃん!」クワッ ガシッ

にこ「うおぉい!?」ビックー

絵里「お姉ちゃん、私ね、ずっと――」

ガチャ

海未「すみません、遅くなりました……って、」

真姫「……なにしてるのエリー、にこちゃん?」

にこ・絵里「「!!」」ビックリ

175: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:36:59.92 ID:O9rtHs38
海未「……二人で見つめ合い手を取り合って……何をしているのですか」

絵里「べっべべべべべ別になにもしてないわよぉ!?」パッ

にこ「そそそうよなにもしてないわよ!!アンタが思うようなやましいことはなぁんにもしてないニコ!!」アセアセ

海未「なんですか、私が思うようなやましいことって」ジィー

真姫「…………」ジトー

にこ・絵里「「あはははは」」アセアセ

海未「……怪しい」キッ

にこ「うっ……」アセダラダラ

177: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:42:50.24 ID:O9rtHs38
絵里「う、海未見てあれ!窓の外で穂乃果とことりが……ラブアローシュートやってるわ!」

海未「なんですって!?」バッ

絵里(今よ、にこ!)ピキューン

にこ(今ね、絵里!)ピキュィーン

絵里「じゃあっ、私たち先に屋上行ってるからねっ!」パシッ

にこ「!!」ドキッ

にこ(え、絵里、手……!)

海未「えっ!? あっ、こら!待ちなさい二人とも!!」

絵里「ごめんね海未ーっ!」ダダダダ…

178: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:50:44.46 ID:O9rtHs38
海未「もうっ、先ほどの説明を……って、真姫?なぜ止めるのですか」

真姫「まぁまぁ。にこちゃんはともかくエリーまで一緒になってやってたんだから、なにか事情があるんでしょ。あんまり問いつめても可哀想だわ」

海未「そ、そうかもしれませんが……しかし今は、ラブライブに向けてですね」

真姫「なぁに?海未ちゃんは、今は忙しいから恋愛禁止っ!なんて、お堅いこと言うの?」

海未「そういうことではありませんっ!というかなんですかそれ、まるでにこと絵里が恋仲みたいな言い方……」

真姫「ふふ、もちろん違うわ、冗談よ。だって、ねぇ?」クスクス

海未「だって?」

真姫「あら。海未ってば、聞こえなかったの?」

海未「?」

真姫「じゃあいいわ。とりあえず今は、二人にしてあげましょ」クスクス

海未「……? もう、私、真姫の考えてることがわかりません……」

真姫「良いじゃない、ミステリアスな女って、カッコいいでしょ?」ニッ

海未「はぁ……」ポカーン

海未(真姫はミステリアスと言うよりは……うう、難解です)

真姫(さっき聞こえてきたエリーの台詞……にこお姉ちゃん、だって。ふふっ、まぁせいぜい頑張ってね、にこちゃん)

179: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 22:59:03.05 ID:O9rtHs38
-屋上-

にこ「はぁっ、はぁっ……え、絵里、ちょっと飛ばしすぎよ……」ゼェゼェ

絵里「ご、ごめんなさい……なんか、走ってるうちに楽しくなってきちゃって」ハァハァ

にこ「いや、いいんだけど……」ゼェゼェ

にこ(リーチの違いに悲しくなった……なんて言っても、にこが虚しいだけだから言わないけどね……)

絵里「にこ、大丈夫?」ジッ

にこ「わっ!」ビクッ

絵里「えっ、あ……どうしたの?」

にこ「きゅ、急に覗き込まないで!びっくり、するからっ……」

絵里「ご、ごめんなさい」

にこ(か、顔が近かった……!)

180: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:02:53.47 ID:O9rtHs38
絵里「とりあえず、一度座って落ち着きましょう。もうじき、みんな来るだろうし……」

にこ「そうね。……とりあえず逃げてきたけど、二人になんて説明する?」

絵里「あー……。げ、劇の練習してた、とかは?」

にこ「……海未なら騙されてくれるかもしれないけど、多分真姫ちゃんは誤魔化せないわね、それ」

絵里「うーん。どうしましょ……」

にこ「…………」ジィーッ

にこ(……絵里、さっきなにを言いそびれたのかしら)

181: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:07:16.67 ID:O9rtHs38
にこ「ねぇ、絵里?さっきアンタ、何て言おうとしてたの?」

絵里「へっ!?」ビクッ

にこ「言いたいことって……なに?」

絵里「えっ、とぉ~……」アセアセ

にこ(……? なんで焦ってるのかしら)

絵里「……ごめんなさい。また次の機会に、するわ」

にこ「えぇ!? ここまできて!?」

絵里「だっ、だって、話し始めたら長くなりそうだから……」

にこ「…………」

182: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:13:33.76 ID:O9rtHs38
にこ(絵里からにこに伝えたいこと。しかも、長くなりそうな話。これは……聞かない手は無いわ。今の停滞した状態を動かす、きっかけになるかもしれない)

にこ(でも確かに、今は時間が無い……なら、明日? ……でも明日になったら、絵里、気が変わったりしないかしら?)

にこ「…………」

絵里「に、にこ?」オロオロ

にこ「あっ、そうだ」ピーン

絵里「え?」オロ…

にこ「絵里、今日ウチに来なさい」

絵里「……?」

にこ「にこのお家。泊まりに来なさい!」

183: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:17:25.27 ID:O9rtHs38
絵里「え……ええぇ!?どうして!?」

にこ「え、えーと……」

にこ(話を聞かせてもらう為、って言ったら、警戒されるかしら。ただでさえ自分の本心を見せるのを嫌う絵里だもの、きっと遠慮しちゃうわ。となると……)

にこ「……DVD」

絵里「え?」

にこ「ウチに来れば、アイドルのDVD、見放題よ。ほら、ラブライブも近いし……絵里、前からキャラ作りの勉強したいって言ってたし」

絵里「そうだけど……そんな急に……」

にこ「……あ。今日用事とかあった?お家の都合とか」

絵里「な、ないわ。予定もないしアクセ作ろうかなって思ってたくらい」

にこ「なら、決まりね。お姉ちゃん命令よ!」

絵里「えっ、えええぇ~?」

184: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:23:23.09 ID:O9rtHs38
-練習後、裏庭-

にこ(……そういえばあの後、海未も真姫ちゃんも深くは追求してこなかったわね。真姫ちゃん、海未に何か言ってくれたのかしら)テクテク

絵里「あっにこ!待ってたわ!」バッ

にこ「ちょっと絵里、声大きい!何の為にわざわざ一度別れたと思ってるの!」

絵里「ご、ごめんなさい。μ'sのみんなには、内緒なんですものね」

にこ「わかれば良いのよ。それじゃあほら……いくわよ、にこの家」

絵里「うん♪ あ、でもその前に……」

にこ「着替えを取りに絵里のお家でしょ、わかってるわ。あと、夕飯の買い物もしたいからスーパーにも寄りたいんだけど……」

絵里「それくらい、お安いご用だわ!」

185: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:27:01.83 ID:O9rtHs38
-絵里宅-

ガチャ

絵里「ただいまー!亜里沙、居るー?」

にこ(何気に絵里の家って初めてね……なんだかキンチョー……)

亜里沙「はーい!お姉ちゃんお帰りなさ……ってあれ!?にこさん!?」

にこ「こ、こんにちは~……」

絵里「とりあえずにこ、上がって頂戴。亜里沙、今日お姉ちゃん、にこのお家にお邪魔しようと思ってるんだけど……夜は一人でも大丈夫かしら?」

亜里沙「えっ、うん大丈夫だけど……ええっ、お泊まり?お姉ちゃんが!?」

絵里「ええ」

亜里沙「にこさんのお家……!?」

絵里「そ、そうよ」

亜里沙「……ハラショー……」

にこ(亜里沙ちゃん、なんでそんなに驚いてるのかしら……)

186: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:31:48.86 ID:O9rtHs38
絵里「とりあえず、私は準備してくるから……亜里沙、にこをリビングにお通ししてあげてくれる?」

亜里沙「ハイ!にこさん、こっちです!」サッ

にこ「あ、ありがと」

にこ(妹の亜里沙ちゃん……溌剌としてて、絵里とはそんなに似てないのね)

にこ(綺麗な顔は、良く似てるけど……)

亜里沙「……? にこさん、亜里沙の顔に何か付いてますか?」

にこ「え!?あ、ううん付いてないわよ!」

亜里沙「そうですか?なんだか見られているような気がしたので……すみません!」

にこ「う、ううん、こっちこそごめんね」アセアセ

にこ(……思わずまじまじと見つめちゃった。恥ずかしい……)

187: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:36:41.74 ID:O9rtHs38
亜里沙「どうぞ、そこのソファーに掛けててください。にこさん、甘いのは好きですか?ココアとか……」

にこ「うん、あっでもおかまいなく……絵里が来たらすぐ出ちゃうし」

亜里沙「いえ、せっかくなので……美味しいの淹れますから、少し待っててくださいね」テキパキ

にこ(訂正だわ。妙にしっかりしてるところがそっくりね、この姉妹……)

亜里沙「……それにしても、驚きました!」

にこ「え?」

亜里沙「お姉ちゃんとにこさんが、お泊りなんて。二人だけ……なんですよね?」

にこ「う、うん。そうよ」

にこ(なんか。二人だけ……って言葉にすると、途端にこっぱずかしいわね!?)

亜里沙「……にこさん?顔、赤いですけど……ハッ、熱とか!?」アワアワ

にこ「だだだ大丈夫よ!ちょっと暑いな~~って思っただけにこ!!」

188: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:40:07.59 ID:O9rtHs38
にこ(大体、二人って言っても家には妹達が居るし!恥ずかしがることないんだわ、うん)

亜里沙「あっ、暑い……ですか?困ったな、ココア……ホットで淹れちゃった」シュン

にこ「あああっ大丈夫よ!ちょっと、なんとなーくそんな気がしただけだから!今はその、すごくあたたかい物が飲みたい気分なの!」

亜里沙「そうですか!良かったです」ニコッ

にこ(わ……)

にこ(無邪気な笑顔、やっぱりそっくりね)

亜里沙「はい、にこさんどうぞ♪」コト

にこ「ありがと、亜里沙ちゃん」

189: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:45:53.03 ID:O9rtHs38
亜里沙「にこさん……私、嬉しいんです」

にこ「え?」

亜里沙「お姉ちゃんとにこさんが、仲良しなの見てると。すっごく、すっごく嬉しいんです!」パァッ

にこ「嬉しい……?」

亜里沙「はい!」ニコニコ

にこ(どういうことかしら?)

絵里「にこ~お待たせ!」

亜里沙「お姉ちゃん!もう支度終わっちゃったの? 亜里沙、もっとにこさんとお話したかったのに……」

絵里「あら、ごめんなさいね。でも今日は、にこはお姉ちゃんのだから♡」

亜里沙「ずるーいっ」プゥーッ

にこ(……ん? 今さらっと凄いこと言わなかった!?)

190: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/09(木) 23:50:32.26 ID:O9rtHs38
絵里「じゃ、行きましょ、にこ♪」

にこ「そうね……あんまり遅くなると妹達も心配するし……」

亜里沙「そうですか。にこさん、今度はウチにお泊りに来てください!亜里沙、にこさんといっぱいお喋りしたいです!」

絵里「そうね。その時は、絢瀬姉妹が美味しいロシアの家庭料理を振舞わせてもらうわ」

にこ「是非ともご馳走になりたいわね、それは」

亜里沙「亜里沙も頑張って作ります!だから、にこさん……ほんとに、ほんとにまた来てくださいね?」キラキラ

にこ(こっ、これは……妹モードの絵里そっくりのキラキラ光線……!!)

にこ(眩しいっ……!!恐るべし絢瀬姉妹……この子達、甘える側になったら最強なんじゃ……?)

絵里「にーこ?」キラキラ

にこ「……ええ。また遊びに来るわ、約束ね」

絵里「ふふっ、決まりね、嬉しいわ! それじゃあ亜里沙、行ってくるわね」

亜里沙「はい!お姉ちゃん、いってらっしゃい!」


ガチャ

亜里沙「ふふふ、お姉ちゃん嬉しそうだったー……!いっつもにこさんの話ばっかりしてたものね。念願、叶ったのかな?そうだと良いなぁ……」

212: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 21:42:53.79 ID:y6AUvE7v
-in スーパー-

ガヤガヤ

にこ「さてと。じゃあさっさと買い物終わらせて帰りましょ」

絵里「にこ、にこ!カゴとカート持って来たわ!」カラカラ

にこ「あら、ありがと。気が利くのね」

絵里「えへへ~……」デレデレ

にこ(あっ。なんかもう既に妹モードね、これ)

絵里「それで、今日は何を買うのかしら?」

にこ「えっと、足りなくなりそうな調味料がいくつかあるからそれと……」

にこ(……晩御飯のメニュー、決めてなかったわねそういえば)

214: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 21:47:45.41 ID:y6AUvE7v
にこ「ねぇ絵里。晩御飯、なに食べたい?」

絵里「えっ?」

にこ「ウチはね、いっつも晩御飯は妹達のリクエストを聞くのよ。だからほら……今日は絵里の晩ね」

絵里「そ、そうなんだ……なんでもいいの?」

にこ「ええ。大抵のものは作れるわよ」

絵里「えっとじゃあ……」

にこ「うんうん」

絵里「……ビーフストロガノフ……」

にこ「  」

216: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 21:54:11.28 ID:y6AUvE7v
すまん誤字った

×絵里の晩
⚪︎絵里の番

217: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 21:54:44.78 ID:y6AUvE7v
絵里「あっごめんなさい!あの全然、ボルシチでも良いから!」

にこ「なにそれどんな料理よ!ロシア人かっ!」ビシッ

絵里「そうよ!?クォーターだけど!」ワーン

にこ「まぁそんなことは置いといて……」

絵里「置いちゃうの!?私の大事な設定置いちゃうのっ!?」

にこ「自分で設定とか言わないの!……にこ、流石にロシア料理は作ったことないわよ。どうやって作るの?」

絵里「家庭料理だからそんなに難しくはないのよ?えっと、ビーフストロガノフは牛肉の薄切りをタマネギとかマッシュルームなんかと一緒にバターで炒めて……」

にこ「ふんふん」

絵里「って、別に違うものでも良いのよ?ただ食べたいもの聞かれて、そういう気分のものを答えただけだから……」

にこ「……まぁ、完全再現は無理だろうけど。良いわよ、なんでもいいって言ったのはにこだし、出来る限り作ってみせるわよ」

絵里「にこ……ハラショー……」

にこ「で・も。作り方も材料もわかんないから、ちゃんと絵里が教えてよね!」

絵里「ええ、もちろん!」

218: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 22:05:36.89 ID:y6AUvE7v
にこ「ふむ。豚肉は……これが良いかしら」

絵里「え?でもそっちよりこっちの方が20円安いわよ?」

にこ「でもそれ、中身少ないし脂身ばっかりなのよ。それならこっちの方が少し多くて、それでいてそこまでお値段変わらないから……」

絵里「なるほど!流石にこね」

にこ「ふふん、褒めてもなにも出ないわよ?……えーとあとは?」

絵里「ねぇにこ見て!スペアリブとかも売ってるわよ!」

にこ「話聞きなさいよ!っていうかスペアリブとか使わないでしょうが!」

絵里「ハラショー……私もスーパーでお買物はするけれど、良く見ると色んなものが売ってるのね。あまり意識してなかったわ」

にこ「……絵里って普段料理作らないの?」

絵里「作るけど……食材はおばあさまがいつもお店から持ってきてくれるから」

にこ「ふぅん。それならスーパーが珍しいのもわかる気がするわ」

219: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 22:13:33.64 ID:y6AUvE7v
にこ「えーとタマネギは家にあるし……よしっ、必要なものはこれだけね?」

絵里「ええ、大丈夫よ……」ハッ

にこ「じゃあお会計に……って、絵里?」

絵里「……」ジィー

にこ(……あ、あれは新作のチョコレート菓子……食べたいのかしら)

にこ「絵里~」ピョン

絵里「わっ!?」ビクッ

にこ「どうしたのよぼーっとして。食べたいの、それ?」ニヤニヤ

絵里「ちっ、違うわ!新しいの出たんだな~って見てただけ」

にこ「ふぅん?」

絵里「さ、いいから行きましょ。お会計は……あっちね」

にこ(あれ。てっきりおねだりされるかと思ったけど……絵里の『しても良い我が儘』の基準が、よくわからないわね……)

にこ「……」ヒョイ

絵里「にこー?」

にこ「あ、今行くわ!」

221: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 22:23:00.50 ID:y6AUvE7v
-にこの家へ 帰り道-

絵里「買い物、結構楽しかったわね」

にこ「……そうね。こんな風に友達とスーパーで買い物なんて初めてだから、新鮮だったわ」

絵里「私も!それに、にこと二人でショッピングっていうのも、何気に初めてよね?」

にこ「ショッピングって言うほど大層なもんじゃないけど……まぁ、そうね」

絵里「ね、にこ。また今度、今度はもっと楽しい場所へ、二人でショッピングに行きたいわ」ウキウキ

にこ「……別に、いつでも誘ってくれていいのよ?」

絵里「本当? じゃあ次は、私がにこをエスコートするわね♡」

にこ「そうしてちょうだい」

222: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 22:23:34.00 ID:y6AUvE7v
すまん風呂行く

227: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:28:17.89 ID:y6AUvE7v
フォンデュされてついでにイベント走ってきたタダイマ

228: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:28:55.52 ID:y6AUvE7v
-矢澤家 玄関前-

にこ「さ、着いたわよ」

絵里「きっ、緊張するわね……」

にこ「絵里は一度来てるじゃない。何を今更……」

絵里「遊びに来るのと泊まりに来るのとじゃ、ちょっと事情が違わない?」

にこ「そうかしら。あ、ちょっと待ってて、今鍵出すから」ガサゴソ

絵里「はあぁ、ドキドキする~」

にこ(……緊張してる絵里、って珍しいわね。いつも、ライブの前はしれっとした顔して、むしろ緊張してるメンバーを励ます側なのに)

にこ(もしかして。そういうのも一生懸命取り繕って、気を遣ってお姉さんぶってるのかしら)

にこ「……腹立たしいことね」ボソッ

絵里「え?」

にこ「なんでもないわ」

229: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:35:51.31 ID:y6AUvE7v
ガチャ

にこ「ただいま~」

絵里「おっ、お邪魔します!」

ドタドタ

こころ「お姉様おかえりなさい!って……」

ここあ「絵里さんだ!」ピョン

虎太郎「……おかえりなさ~」

絵里「こんにちは、こころちゃんにここあちゃん、虎太郎くん」

こころ「こんにちは!今日はどうなさったんですか?」

絵里「えっとー……」

にこ「今日ね、絵里、家に泊まるのよ」

こころ「ええっ、絵里さんが!?」

230: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:44:05.42 ID:y6AUvE7v
ここあ「ほんとにー!?じゃあ一緒に遊べる!?」

にこ「うーん、どうかしら……」

絵里「あ、にこ。私は全然構わないわ、一緒に遊びましょう?」

虎太郎「やった~」

にこ「……いいの?」

絵里「ええ。お世話になるんですもの、それくらい」

こころ「良かったですわね、ここあ、虎太郎。でも絵里さんは、なんで突然家に?」

絵里「え、えーと……その、にこと次のライブの打ち合わせがあって!」

にこ「そうなの。だからあんまり我が儘言って絵里を困らせたら駄目よ、三人とも?」

ここあ「わかってるってー!じゃあ私、あっちで準備してくるね!」

こころ「あっ待ってくださいここあ!ほら虎太郎、行きますよ!」

虎太郎「うん~」

ドタドタ

にこ「……ごめんね、騒がしくて……」

絵里「そんなことないわ!にこのお家は、にぎやかで素敵ね」ニッコリ

231: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:50:43.64 ID:y6AUvE7v
にこ「とりあえず、一度にこの部屋に行きましょ。荷物、置いて来なくちゃ」

絵里「そうね、お世話になります」

にこ「こっちよ」

トタトタ ガチャ

にこ「はいどうぞ」

絵里「う、わー……!すごい、アイドルグッズが沢山……!!」

にこ「まぁね。アイドルへの情熱なら、誰にも負けない自信があるわ」

絵里「本当に、すごいのね……」

絵里(一面、古今東西の素敵なアイドル達のポスターやグッズで彩られた部屋。にこが、どれだけアイドルを好きかがひしひしと伝わってくる……)

絵里(これだけの情熱を傾けていた夢が。形になった時の喜びって、どんなものなのかしら)

絵里(私は。昔の話とはいえ……それを、その情熱を、潰そうとしていたのね)

絵里「…………」

にこ「絵里?」

絵里「あ……ごめんなさい。荷物、ここで良い?」

にこ「ええ。置いたら、リビングに行きましょ」

232: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/20(月) 23:59:12.56 ID:y6AUvE7v
絵里「ねぇにこ。思ったのだけれど……」

にこ「?」

絵里「アイドルのポスターや写真、いっぱい貼ってるけど……μ'sのは無いの?」

にこ「……!」ビックリ

絵里「あ、深い意味は無いのよ、ごめんなさい。ただ、無いんだなーって思っただけだから……」

にこ「あ、いや、その。……思い当たらなかったわ」

絵里「え?」

にこ「にこにとって、μ'sは他のアイドル達よりもずっと身近なものなの。まぁ、自分が所属してるから当たり前なんだけど……だから、追いかけるものとは少し違うから……飾る事は、思い付かなかったわ」

絵里「そ、そうなの。……でも、少し寂しいな、なんて」

絵里(この情熱の表れた部屋の中に私達が見当たらない、っていうのは。少し……寂しい。私だって、スクールアイドル、なのに)

絵里(あれ? これは、本当に寂しさなのかしら……?)

233: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/21(火) 00:12:41.95 ID:PIff80gI
にこ「……えーと、どこしまったかしら」ガサゴソ

絵里「にこ?」

にこ「あ、あった。……この衣裳、もうなんだか懐かしいわね~」ピラリ

絵里「あ、それ……オープンキャンパスの時の」

にこ「そう。初めて、絵里と希も一緒に踊った時の写真。これを……これに、と」ゴソゴソ

絵里「わ! 綺麗なフォトフレームね」

にこ「中学の時の卒業祝いのやつだけど、使ってなかったから丁度良かったわ。そしてこれを机の上に」コト

絵里「……!!」

にこ「ほら。これで、μ'sもにこのスペシャルコレクションの仲間入り、よ」

235: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/21(火) 00:21:30.49 ID:PIff80gI
絵里(……机の上。小さな写真だけど、大切にされている気がしてくる。……すごく、嬉しい)

にこ「絵里っ。ほら、早く行くわよ、妹達が待ってるわ」フイッ

絵里「あっ、ごめんなさい。……にこ?」

にこ「な、なによ」

絵里「……ううん、なんでもないわ」

絵里(にこが急にそっぽを向く時。照れてる時なんだなって、最近ようやくわかってきたのよ)

絵里「……ふふっ」クスクス

240: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 21:41:31.30 ID:UiHIf2wY
にこ「絵里、リビングはこっち」

絵里「はーい」

ガチャ

ここあ「お姉ちゃんおそーい!」

虎太郎「そーい」

にこ「ここあ、虎太郎!ごめんねぇ~」ギュッ

こころ「こら、ここあ、虎太郎!絵里さんも居るのにそういうこと言ってはいけません!」

絵里「あ、いいのよ。ごめんね、遅くなって」アセアセ

こころ「……ここあ」グイ

ここあ「……えっとぉ。良く考えたらそんなに遅くもなかったから大丈夫、です」アセアセ

絵里「ふふ、ありがとう。でも本当にいいのよ、ここあちゃん。こころちゃんも虎太郎くんも気張らないで、今日一日、私のこともお姉ちゃんだと思って貰えると嬉しいわ」ニコッ

にこ「そうねぇ。だって絵里はにこの妹だから、ね?」ニヨニヨ

絵里「!! ちょっ、にこ……!?」

241: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 21:53:06.97 ID:UiHIf2wY
ここあ「え……?絵里さんが、お姉ちゃんの妹?」

絵里「そ、それはその……違うようなそうでもないような」

こころ「でも、お姉様と絵里さんは同じ学年でしたよね?」

にこ「にこの方が、3ヶ月年上なの。だからこころ、ここあ、虎太郎。絵里はにこの妹だから、貴方達にとってはお姉ちゃんなのよ!」

虎太郎「……絵里お姉ちゃん」

絵里「!!」

ここあ「そっかぁ、じゃあ絵里さんじゃなくて絵里お姉ちゃん、だね!」

絵里「え、えっと、あの」

にこ「ほらほらアンタ達、ご飯作るからそっちで遊んでなさい。絵里お姉ちゃんがお相手してくれるって」

絵里「ええ、もちろん……ってにこ、ナチュラルに私をお姉ちゃんに仕立て上げてるけど」

にこ「こーら。にこお姉ちゃん、でしょ?」

絵里「ここでもそれやるの!?」

にこ「……」ジィーッ

絵里「……う。わかったわよ……お、お姉ちゃん(小声)」

にこ(……妹達の前でやらせるのは、少し酷だったかしら。でも……)

絵里「……」モジモジ

にこ(恥ずかしがってる絵里、ちょっと可愛い……)

242: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 21:59:14.46 ID:UiHIf2wY
絵里「お……お姉ちゃん。その、こころちゃん達と遊ぶのは良いのだけれど、ご飯の手伝いはどうする?」

にこ「ああ、大丈夫よ。なんだっけ、食べたいって言ってたの……ビーフ……?」

絵里「ビーフストロガノフ?」

にこ「それそれ。具材切ったりとかの下準備はにこがやるから、その間に遊んであげて。味付けとかはわかんないから、その時に呼ぶわ」

絵里「わかったわ」

ここあ「絵里おねーちゃーん、こっち!」

絵里「はーい!」


にこ(楽しそうに戯れる妹達……)

にこ「和むわね」ホッコリ

にこ(さてと。ちゃっちゃとご飯作っちゃいましょう)

244: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 22:05:25.90 ID:UiHIf2wY
-畳みの部屋-

絵里「あの、これは……?」

こころ「ステージですわ、絵里お姉様!」

絵里(雑誌を積み上げて丸い囲いにして……なるほど、この中がステージっていう設定なのね)

ここあ「絵里お姉ちゃんもスクールアイドルなんでしょ?」

絵里「ええ、そうよ」

ここあ「だから、私達とアイドルごっこしてほしいの!」

絵里「アイドルごっこ?」

虎太郎「……歌ってー」

こころ「そうですわね!一番手は絵里お姉様にお願いしましょう!」

絵里「え? え?」

ここあ「ほら、ここ立って!虎太郎はカメラ係で、私とこころお姉ちゃんは司会役ね!」

こころ「ここあ、サングラスをどうぞ」

ここあ「ありがと!」

絵里(こ、これはもしや……M○テごっこかしら……)

245: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 22:10:00.00 ID:UiHIf2wY
こころ「虎太郎、準備は良いですか?」

虎太郎「……おーけー」

絵里(……あっ、不思議なポーズしてると思ったらカメラを構えてたのね!?)

こころ「ではいきますよ、3、2、1、キュー!」



ここあ「どうも、タ○リです」

絵里「!!!」ブハァ

絵里(に……似てる……!!)ブルブル

246: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 22:19:51.34 ID:UiHIf2wY
こころ「それでは、絢瀬絵里さんで……『夏、終わらないで。』」

絵里「えっ!?あっ、はい!」

絵里(いきなり場面が飛んだ上に曲指定来た……!なかなかぶっとんでるわね、この子達も……)

虎太郎「……ジィー」

絵里(はっ。すごい、見られてる……ってカメラか!もう回ってる設定だものね……と、とりあえず歌えばいいのかしら。踊るのは狭くて無理だし……えーと、あまり大きい声だとまずいから、小声で……)

絵里「……溜息の渚~♪」

こころ・ここあ「「!!」」キラキラ

虎太郎「……きれいー」キラキラ

247: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 22:26:48.98 ID:UiHIf2wY
-台所-

にこ「ふんふふ~ん♪お料理は楽しいな~♪」トントン

――繰り返すのは 懐かしい笑顔~♪

にこ「あら。絵里の声ね」

にこ「早速付き合わされてるのね、アレに。……にしても……」

――楽しくて 楽しくて 毎日奇跡だった~♪

にこ(……歌、普通に上手いわよね。ダンスも歌も上手くて、スタイルも良くて……おまけに、あんなに可愛くて)

にこ「ずるいわ、絵里は。どこまで魅力的なら気が済むのかしら」

にこ「……まっ、にこの小悪魔アイドル力には敵わないけど、ね」

249: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 22:41:08.16 ID:UiHIf2wY
絵里「――青い珊瑚礁~♪」

絵里「……ふぅ」

絵里(……はっ。なんか、途中から柄にもなく真面目に歌ってしまったわ……にこに聞こえてないといいけど)


パチパチパチパチ!!

こころ・ここあ「「すごーい!」」

虎太郎「……じょうず~」

絵里「あ、ありがとう」テレテレ

こころ「素敵でしたわ……!絵里お姉様、とっても綺麗なお声ですね!」

ここあ「うん!お姉ちゃ……にこお姉ちゃんの次くらいにすごかった!」

虎太郎「……バックダンサー、すごい」

絵里「ふふ。ありがとう、にこの次だなんて随分高い評価をいただいちゃったわね」クスリ

ここあ「ねぇねぇ、後でお姉ちゃんにも歌ってもらおうよ!」

こころ「そうですわね!」

絵里(……この子達、本当ににこお姉ちゃんの事が大好きなのね。でも……わかるわ、その気持ち)

250: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 22:44:47.48 ID:UiHIf2wY
ガララッ

にこ「絵里ー、いいかしら?」

絵里「にこ!」パッ

にこ(……今、耳としっぽ的な錯覚が……絵里ってばやっぱりわんこ属性じゃ?)

にこ「えーと、そろそろ手伝って欲しいから……こころ、ここあ、虎太郎。悪いけど、絵里お姉ちゃんはにこに返してね?」

ここあ「ええっ、これから楽しいところだったのに~」

こころ「仕方ありませんわ。ではここあ、続きをやりましょう!次はここあの番ですわ」

虎太郎「……」カメラノポーズ

ここあ「ん、わかった!」

にこ「大丈夫そうね。じゃあ絵里、こっち」

絵里「わかったわ」

251: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 22:48:29.25 ID:UiHIf2wY
襖閉め閉め

絵里「……ふふ。遊んでみてわかったけど、やっぱりとても可愛い子達ね」

にこ「でしょう? にこの自慢の妹達よ」

絵里「…………」ジッ

にこ「……もちろん、絵里も含めてね?」

絵里「!!」カアァッ

にこ(あ、また照れた。かーわい♡)

絵里「も、もう!にこってば、私のことからかい過ぎよ!」

にこ「ごめんにこ~♡」

絵里「もうもう……いいから、早くご飯作りましょ!」マッカッカ

252: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 22:55:47.06 ID:UiHIf2wY
-二十分後-

にこ「せーのっ」

絵里・こころ・ここあ・虎太郎「「「「いただきます!」」」」

絵里「はむっ……んー!はらひょー!」ハフハフ

にこ「ちょっ、絵里、無理して喋んなくてもいいから」

絵里「んむんむ……おいしいわ、にこ! 初めて作る料理でこんなに美味しく作れるなんて……流石にこね!」キラキラ

にこ「いや、味付け教えてくれたのは絵里じゃない。そりゃ、ちょっと食べやすいようにアレンジはしたけれども」

絵里「火の通し具合とかも最高だわ……ねぇにこ、私と結婚しましょう」キリッ

にこ「ふえぇ!?」ボッ

絵里「本当、にこのお料理はいつも美味しくて……毎日でも食べたいわ」キリッ

にこ(キリッ、じゃないわよ馬鹿絵里!っていうか、大体毎日食べてるじゃない!)ドキドキ

にこ(冗談で言ってるんだろうけど……絵里のこの天然タラシっぷり、誰かなんとかして欲しいところだわ……!)ドキドキ

253: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/22(水) 23:00:57.02 ID:UiHIf2wY
ここあ「お姉ちゃんこれなんて料理!?すごくおいしい!」モグモグ

にこ「ん、えーとなんだっけ……ストロー……」

絵里「ビーフストロガノフ」

にこ「そうそれ。ロシアの郷土料理なんだって」

こころ「ロシア!?……もしかして、絵里さんの故郷ですか?」

絵里「ええ。私はクォーターで日本人の血も入っているけれど、小さい頃はおばあさまと一緒に、ロシアに住んでいたの」

虎太郎「楽しそう~」

ここあ「ねぇねぇ、ロシアってどんなところ?」

絵里「んー……ロシアって言っても広いから、様々なんだけど。私の居たところは、山や森や川、そんな自然にに囲まれて……すごく、綺麗な場所なの。冬はすっごく寒くて、夜も長くて大変なんだけど」

こころ「へえぇ……」

にこ「そういえば、絵里の故郷の話を聞くのは初めてだわ。すごいところに住んでたのね?」

絵里「そうね、日本と比べたら自然は厳しいかも。でもその分、日本には無い色んなものがあったわ」

にこ(わ、愛おしそうな顔……絵里ってば、故郷が大好きなのね。……私の知らない、絵里の居た場所。私の知らない絵里)


にこ(私。絵里のこと、もっと知りたい)


にこ「……ねぇ、絵里。小さい頃の話とか、もっと聞かせて?」

絵里「……ちょっと、恥ずかしいけど……少しだけね?」

259: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 21:33:35.74 ID:0JcNk2ky
絵里「はぁ、美味しかったぁ……ごちそうさまでした」

にこ「お粗末様でした。あ、食器片付けるからこっち頂戴」

絵里「これくらいは自分でやるわ! ご馳走になっちゃったんだし、お皿洗いくらいはさせて?」

にこ「そう? ……じゃあお願いしようかな。その間に、お風呂沸かしてくるわ」

絵里「ええ、任せてちょうだい! えっと、スポンジはこれ?」

にこ「うん、そう。洗剤はこれで、洗ったやつはここに置いといて。量多くないし、置いておけば自然と乾くから」

絵里「わかったわ!」フンス

にこ(……なんか張り切りすぎてて、逆に割らないか心配だわ。ま、穂乃果じゃあるまいし、大丈夫でしょうけど)




-穂むら-

穂乃果「はっくしゅん!」クシャン

雪穂「あれ。お姉ちゃん風邪?」

穂乃果「んー、わかんない。誰か噂でもしたのかなぁ?」ズビッ

260: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 21:40:12.42 ID:0JcNk2ky
にこ「絵里ー、お皿洗い終わった?」

絵里「にこ! ええ、ちょうど終わったところよ」

にこ「タイミング良いわね。お風呂沸いたから、先に入っちゃってくれる?」

絵里「えっ!? そんな、お邪魔している身で一番風呂を頂く訳には……」

にこ「でも、にこはこれから妹達の準備手伝わないとだし。先に入ってもらった方が助かるのよね」

絵里「準備って?」

にこ「明日の準備ね。着替えとか、お弁当の下ごしらえとか」

絵里「ああ、なるほどね。よければ手伝うけど……」

にこ「んー、こればっかりは一人でやっちゃった方が早いのよね」

にこ(っていうのも本当だけど。……気を遣わないで、ゆっくり過ごして欲しいんだけど、伝わってるかしら)

261: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 21:45:36.96 ID:0JcNk2ky
絵里「そっか。わかったわ……じゃあせめて待たせないように、3秒であがるから!」

にこ「ちょ、3秒て! チーズフォンデュかっ!!」

絵里「にこ、そこはチョコレートフォンデュで頼むわ」

にこ「そういう問題じゃないっ!!」

絵里「うふふっ。相変わらず鋭いツッコミ、流石にこね」

にこ「アンタは前触れもなくボケぶっこむのやめてくれる?」

絵里「はぁい、気をつけまーす」クスクス

にこ(……まぁ、楽しそうだからいっか)

262: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 21:51:17.56 ID:0JcNk2ky
-浴室-

にこ「タオル、ここに置いてあるの使っていいわよ。シャンプーとリンスは、そっちの赤いやつね」

絵里「あ、ありがとう……」

にこ「…………」

絵里「…………」モジモジ

にこ「……? 入らないの?」

絵里「いや、にこ……そこに居たら、脱げないわ」

にこ「!! あっ、ごごごごめん!」バッ


にこ(つい、いつも妹達を入れてる感覚で見守るところだったわ……!!)

263: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 21:59:57.13 ID:0JcNk2ky
カポーン

絵里「……はぁ、きもちいー……」

絵里「まさにごくらく、って感じね……」

絵里(……自分で思ってたより、緊張してるのかしら。そんなに気張ることない筈なのに、なぁ)

絵里(やっぱり、にこのお家だから、意識しちゃうのかなぁ……)

カポーン ポーン

絵里「……さて。シャンプー借りて頭洗おうっと」

絵里(ん? そういえば今更気付いたけど……これ、にこがいつも使ってるシャンプーなのよね)ハッ

絵里(……いつも使ってるシャンプー……!?)ドーン

264: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 22:08:31.46 ID:0JcNk2ky
絵里(ということは、これが、にこの香りということ……!?)

絵里「…………」ジッ

絵里「…………」ジュル

絵里(はっ。駄目よ絵里っ、なにを考えてるの!?それやっちゃったらただの変 よっ、落ち着くのよ!?)ドキドキバクバク

絵里「……はぁ。アホなことしてないで、早く上がらなくちゃ……」

フッ

絵里「え!?」

絵里(でっ、電気、消え……っ!?)

265: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 22:09:34.81 ID:0JcNk2ky
そして俺も風呂

269: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 23:20:54.01 ID:0JcNk2ky
-畳みの部屋-

にこ「よし、こころ達の着替えはこれでおっけー……」

フッ

にこ「え!? て、停電……?」

絵里「きゃあああっ!」

にこ「っ、絵里!?」

にこ(そういえば、絵里は暗いところが苦手だって、前に……)

にこ「……絵里!!」

バタバタ

こころ「お姉様!これを!」

にこ「こころ! あっ、それ……」

こころ「懐中電灯です!私達は大丈夫ですから、絵里さんのところに……」

にこ「ありがと、こころ!」

270: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 23:27:53.09 ID:0JcNk2ky
-浴室-

バタバタ

にこ「絵里っ!!」バァン

絵里「ぐすっ、に、にこ……!!」バッ

にこ「大丈夫……ってちょっと抱きつかないd」

絵里「にこ、にこぉ……!!」ギュウウ

にこ(あああすっぱだかの絵里がにこを抱きしめてるううあったかい柔らかい!!じゃなくて!!!)

にこ「おち、落ち着きなさい!ほらこれ、バスタオル巻いて!」

絵里「う、うん……ごめんなさい」マキマキ

にこ(平常心よ、にこ! 暗闇に映える白い肌とか、たゆんたゆんの胸なんて見えてない、見えてない……)

絵里「あっ、にこ……濡れちゃったわね。ごめんなさい……」シュン

にこ「ああ、これくらい別に平気よ。それより、大丈夫? 暗いの苦手って知ってたけど……泣くほどだったなんて思わなくて」

絵里「あっ、違うの……あんまり急に真っ暗になっちゃったから、驚いて……ふ、普段はここまでじゃないんだけど」ガタガタ

にこ「……震えてるじゃないの」

272: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 23:33:58.65 ID:0JcNk2ky
にこ「とりあえず……これ、持ってて。懐中電灯あれば少しかマシでしょ?」

絵里「う、うん。にこ、どこか行っちゃうの?」ギュウウ

にこ「ブレーカー入れないと、暗いまんまでしょ。ほら、袖掴んでないで離してちょうだい」

絵里「……うん」パッ

にこ「よしよし、良い子ね。大丈夫だから、ちょっと待っててね?」

絵里「わかった……」プルプル

にこ(……ってなにかしら、これ……いつもより絵里が子供っぽい……)

273: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 23:40:32.60 ID:0JcNk2ky
パチン

にこ「よーし、電気戻ったわね……こころ達は大丈夫?」

こころ「はい、大丈夫です!」

ここあ「いや~びっくりしたぁ。電子レンジ使ってたら急に電気消えちゃうんだもん!」

こころ「私はドライヤーを使ってたら急に……」

にこ「原因それね……」

にこ(さて。絵里は大丈夫かしら)

ガララッ

絵里「…………にこぉ」ホッ

にこ「電気ついたわよ。これでもう大丈夫でしょ?」

絵里「う、うん……」

にこ(まだちょっと怖がってるような……何かトラウマでもあるのかしら)

にこ(……このまま一人で入れっていうのも、酷な話ね)

274: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 23:44:01.54 ID:0JcNk2ky
にこ「しょーがないわねー」ゴソゴソ

絵里「にこ……って、なんで脱いでるの!?」ビックリ

にこ「アンタが濡らしたんでしょうが。風邪引いても困るし……にこも入るわ」ヌギヌギ

絵里「に、にこ……潔い脱ぎっぷりね」

にこ「誰の為だと思ってるのよ!!」バッ

絵里「……ありがとう」

にこ「……そこでお礼を言うと、にこの裸見て喜んでるみたいね」

絵里「ちっ違うわよぉ!? 怖かったから助かったっていう意味で!」

にこ「なんだ。やっぱり怖かったのね」

絵里「……!!」カアァ

275: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 23:51:16.16 ID:0JcNk2ky
にこ「とりあえず、湯船にお邪魔するわよ」ヨイショ

絵里「えっ、あ、うん……」

ギュウギュウ

にこ(……狭い……)

にこ(そして……当たるっ!!)

絵里「ちょっと、狭いわね」ポイン

にこ「絵里、うご……動かないで頼むから」

絵里「?」ポインポイン

にこ(……デカい……)カッ

276: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 23:53:10.24 ID:0JcNk2ky
にこ「…………」ジッ

ペターン ツルーン

にこ「…………」

絵里「に、にこ? どうしたの?」

にこ「泣いてない! 別に泣いてないから!!」

絵里「??」

277: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/23(木) 23:56:37.35 ID:0JcNk2ky
にこ(にしても本当に狭いわね……流石に無理あったかしら)

絵里「……にーこ♪」ギュッ

にこ「!?」

絵里「えへへ。にこ、すべすべしてあったかくて気持ちいいわね」ムギュッ

にこ「ちょっ、抱き着かないで……」ジタバタ

絵里「んー。でも、狭いから。こうやって抱えた方が楽だわ」ギュウ

にこ(やばい柔らかいふわふわ柔らかい柔らかいすべすべ柔らかいああああああ)

278: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/24(金) 00:00:25.69 ID:7bU1aDk0
絵里「……にこ、ドキドキしてるの?」

にこ「え、あ、あああ当たり前でしょ!? いくら女同士でも、裸でこれだけ密着してたらっ……」ギュウギュウ

絵里「そう。……じゃあ、私とおんなじね」

にこ「……!」

にこ(あ。ほんとだ、絵里の心臓も……すごいバクバクしてる)

にこ(なにこれ、なにこれ……なんか、変な、気持ちに)

279: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/24(金) 00:04:52.12 ID:7bU1aDk0
にこ「――~~っ」ドキドキ

絵里「にこ……」

にこ「ちょ、ちょっと絵里……流石にくっつき過ぎ……」

絵里「……ん……」

にこ(艶っぽい声出してるんじゃないわよおおぉ!?)

絵里「…………」

にこ「え、絵里、あっどこ触って、ひゃんっ!」

絵里「………………」

にこ「え、絵里っ!!」チラッ






絵里「……きゅう」バタンキュー

にこ「ってぇのぼせてるじゃないの!?」

281: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/24(金) 00:11:58.35 ID:7bU1aDk0
にこ「おでこあっつ!ちょ、ちょっと早く上がりなさい!!」

絵里「うーん……」クラクラ

にこ「ああもう、どこまでも世話の焼ける……っ!」

にこ(……でも、変なことになる前で良かったような気もするわ……)

絵里「にこぉ……」グテー

にこ「……すっぱだかのまま気絶、って。無防備過ぎよ……絵里」

282: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/24(金) 00:16:53.99 ID:7bU1aDk0
-数十分後-

絵里「うーん……?」ハッ

にこ「あ。気が付いた?」

絵里「あ、れ……?私……」

絵里(どうしたんだっけ。確かお風呂に入ってて……にこが来て……あれ?でもここはベッドの上……)

絵里「……!?」

にこ「ちょっと、そんな怯えた顔しないでよ」

絵里「い、いや。ごめんなさいちょっと混乱してるんだけど」

にこ「言っとくけど! なにもしてないからね!?」

絵里「!?!?」

283: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/24(金) 00:19:45.27 ID:7bU1aDk0
にこ「アンタ、のぼせて気絶したのよ。覚えてないの?」

絵里「えーと……あ、にこと一緒に湯船に入ったとこまでは覚えてるんだけど……」

にこ「ま、無理もないわ。停電のせいで、長い事お湯に浸かってたわけだし」

絵里「そ、そっか……にこが介抱してくれたのね。ごめんなさい迷惑ばっかりかけて……」シュン

にこ「いいわよ、別に。のぼせかけてるの気付かなかった私も私だし。これくらいのお世話出来なくて、姉は務まらないわよ」

絵里「……ありがと、にこお姉ちゃん。ところで……その、服を着せてくれたのも……?」

にこ「他に誰が居るのよ」

絵里(わ、わあああ! それはすごい恥ずかしい……気を失った私に服を着せてるにこ……う、うわあああ!!)ボフン

284: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/04/24(金) 00:25:49.88 ID:7bU1aDk0
絵里「………」ボスン

にこ「ちょっとぉそこで恥ずかしがって布団に顔埋めるのヤメテ!? にこが変なことしたみたいじゃない!!」

絵里「ご、ごめんなさい。とても助かりました、ありがとう」フルフル

にこ「声が震えてるわよっ!」

絵里「ごめんなさい……」

にこ「……はぁ、もう良いわ。別に絵里は悪くないんだから、気にするんじゃないわよ?」

絵里「あ……うん」

絵里(にこはいつも……そうやって、私のことを気遣ってくれるのね)

にこ「……それより、体調はどう?」

絵里「あ、もう全然大丈夫。ピンピンしてるわ」

にこ「そう、なら良かった。じゃあ、まだ日付変わる前だし……見ましょうか」

絵里「……?」

にこ「DVD。ウチに来た目的、忘れたの?」

303: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 22:50:29.85 ID:+S9Dt5ED
にこ「見るやつ、にこが決めても良い?」

絵里「ええ。にこが選んでくれるものならきっとどれでも、勉強になるわ」

にこ「そう。じゃ、決めちゃうわね」

にこ(前から思ってたけど。絵里って、なんでこんなににこのこと信用してるのかしら)チラッ

絵里「?」ワクワク

にこ(妹だから……? ううん、絵里を妹にする前からそうだった。『流石にこね』って。その流石、って、どこから来てるんだろう……)

にこ「……これにしよ。絵里、リビング行くわよ」

絵里「ええ!」ニコニコ

にこ(絵里と居ると、調子狂うことばかりだわ)

304: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 22:58:00.31 ID:+S9Dt5ED
-リビング-

\ミンナー!キョウハアリガトー!/
\ワー!キャー/

絵里「……!!」キラキラ

にこ「どう?」

絵里「すごいわ、にこ! この子達とっても素敵ね……!」

にこ「そうでしょう、そうでしょう」フフン

絵里「他には? 他には良いDVD無いのかしら?」

にこ「もちろんあるわよ。そうねぇ、じゃあせっかくだし今見たのとは少し方向性が違うグループのを……」

絵里「流石にこね!」キラキラ

にこ「じゃ、流すわよ~」

絵里「うん!」ワクワク

にこ(……まさか、あの『生徒会長』と一緒にアイドルのDVDを見る日がくるなんてね。絵里もきっと、夢にも思ってなかったでしょう)

にこ(私なんかと一緒にアイドルをやる日が来るなんてことは)

305: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:03:02.68 ID:+S9Dt5ED
絵里「…………」ジッ

にこ(すごい集中力。キラキラした瞳で……楽しそうに、アイドル達の姿を見てる。あの絵里が、よ?)

にこ(正直、ちょっと信じられないわね。だって、絵里ってば……あの頃から、『アイドルなんて所詮お遊び』っていう感じだったのに)

絵里「わっ! ねぇにこ、今の見た? すっごいジャンプね!」

にこ「……そうね」

にこ(そう、あの頃。にこがまだ、μ'sじゃないスクールアイドルとして活動していた頃――)

306: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:08:18.54 ID:+S9Dt5ED
-回想-


にこ「え、今、なんて……?」

生徒A「だから……もう、付き合えないって言ったの」

にこ「……なによ、それ。どういう意味よっ!?」

生徒B「ごめんね、にこちゃん。でも……私達、ちょっと疲れちゃって」

生徒A「先輩達が卒業して、新入部員は来なくて、たった3人ぽっちになって……いままでは先輩が居たから良かったけど、もう限界だわ。にこ、あなたには付いて行けない」

にこ「なっ……」

生徒A「熱過ぎるのよ、ちょっと。私達もスクールアイドルは好きだけど……」

生徒B「うん。そこまでして自分でなりたいか、って言うと、そうでもないかも、って……」

にこ「……そん、な、」

生徒A「これ、退部届。今の部長はにこだから、渡しておくね」

生徒B「ごめんね、にこちゃん……ごめん……」

にこ「…………」ギリッ

307: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:14:48.22 ID:+S9Dt5ED
ガチャ

シーン

にこ(……部室、誰も居ない。当たり前だけど)

にこ「はーあ、あの子達、こぉーんな可愛いにこちゃんの居るグループを抜けるだなんて! 後で私がすっごい大物アイドルになってから後悔しても知らないんだからね!」ダンダン

にこ(そうよ、アイドルなんて一人でも目指せるわ。むしろ競争相手が減って、せいせいしたわよ。そうよ、そうよ……)

にこ「……」グスッ

コンコン

??「失礼します」

にこ「!?」バッ

ガチャ

絵里「こんにちは、生徒会です。……ここ、アイドル研究部であってるかしら?」

にこ「せっ、生徒会……!?」

308: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:19:25.09 ID:+S9Dt5ED
絵里「あら、あなた……矢澤さんね。一人?」

にこ「そうだけど……なんで生徒会の人がここに居るのよ」

にこ(しかもあの……金髪碧眼容姿端麗で学校一有名な、絢瀬絵里! どうしてそんな子がここに?)

にこ(おまけに今、矢澤さんって。なんでにこのこと知ってるの!?)

絵里「新学期になって大分経つでしょう? 部活動の、抜き打ち調査に来たの。どんな活動してるかとか、人数は定員に足りてるか、とか……」

にこ「……!!」

にこ(ま、まずいわ。今、アイドル研究部にはにこ一人しか……!)

絵里「矢澤さん。他の部員はどこ?」

309: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:25:48.72 ID:+S9Dt5ED
にこ「えっ、えっとぉ~、今他の人達はちょうど出かけててぇ~」

絵里「そう。どれくらいで戻るのかしら?」ジッ

にこ(う、うわあぁ……視線が怖いぃ!)

にこ「えっ!? あ、うーんとー、あれー? そういえば用事で帰るって言ってたかも?」アセアセ

絵里「……ねぇ、矢澤さん。その、手に握ってるの……」

にこ「あっ!? ちっちちちち違うわよこれはその、他の部の人の退部届で! たまたま預かったの!」グシャッ

絵里「……預かったものを丸めていいのかしら」

にこ「いっ良いのよぉ! なんか代わりに捨てといてぇとか言われたやつだから!」

絵里「…………」ジトー

にこ(あああすごい怪しまれてる……!!)

310: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:32:10.58 ID:+S9Dt5ED
絵里「……ま、いいわ。それじゃあ、活動内容について簡潔に教えてもらえるかしら?」

にこ「え、あ、はい……」

にこ(……なんとか誤魔化せた、のかしら?)

にこ「えっと、ウチの部活は名前の通りアイドルの研究をする部活よ。研究って一口に言っても色々で、最近では実際にスクールアイドルとして活動したり……」

にこ(……もう、出来ないんだけどね)

絵里「…………」ジッ

にこ(う、わ。なんか……氷みたいに冷たい視線……)

311: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:36:22.08 ID:+S9Dt5ED
絵里「……他には?」

にこ「へっ? あ、ほ、他? 他にはエート、他のスクールアイドルのライブに行ったり、ライブのDVDを見たり……」

絵里「それだけ?」

にこ「あ、ハイ……」

絵里「そう。わかったわ」

にこ(……にこ、この人ニガテ……何考えてるのか、全然ワカンナイ)

絵里「……ひとつだけ忠告しておくけど、」ジッ

にこ「な、なんですか」

絵里「あまりに部としての実績が無い場合、生徒会長が直接視察に来ることもあるから。そうしたら、この部は多分……」

にこ「!!」

312: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:41:12.30 ID:+S9Dt5ED
にこ(え、なにそれ……私だから見逃してやるってこと? こんな部、本当は廃部だって言いたいの!?)キッ

絵里「……なにかしら」

にこ「……ナンデモアリマセン」

にこ(怖っ! この人に上から見下ろされるの怖い!)

絵里「じゃあ、私は行くわ。お時間取らせてごめんなさい」

にこ「い、いえ……」

絵里「あ、そうだった。ねぇ、それ」

にこ「?」

絵里「預かるわ。退部届は、どうせ生徒会に出さなくちゃいけないものだから」

にこ「……!!」ギュッ

314: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:46:42.00 ID:+S9Dt5ED
絵里「ああ、怖がらなくてもいいわよ、わかってるから」

にこ「わかってる……?」

にこ(何を? これが、アイドル部の退部届だってこと?)

絵里「ほら」スッ

にこ「…………」スッ

絵里「じゃあ、しかと受け取ったわ。悪いようにはしないから、そんなに怖い目で見ないで頂戴」

にこ(相変わらず、上から目線……!!)

絵里「それじゃ、お邪魔しました」バタン



にこ「……なによあれ、腹立つわねっ!!」

315: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/01(金) 23:52:46.12 ID:+S9Dt5ED
にこ(……有無を言わせない感じでつい、渡しちゃったけど……あれ、受理されちゃったら廃部なのかしら)

シーン…

にこ「……でも、仕方ない、か。そりゃ、部員居なかったら廃部は当たり前だもんね……」

にこ「……うっ、う……」グスッ

にこ(あれ、なんで、泣いて、)

にこ「う、っく……っぐすっ、く、悔しい……悔しいよ……っ!」ポタポタ


にこ(熱過ぎて付いて行けないって、言われて。部としての実績も無いって、存在価値が無いみたいなこと、言われて……)

にこ(にこが今まで頑張ってきたことって、なんだったの……?)

にこ「ひっく、う、ぐすっ……で、でも、負けないっ」

にこ(そうよ、負けてたまるもんですか。こんな事くらいじゃ、諦められない、っ……!)

にこ「部活じゃなくなったって、活動してやるわよ、見てなさいあいつら……それに、絢瀬絵里……!!」

316: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 00:00:45.03 ID:Q5VLuUn5
-回想終わり-


にこ(……でも、アイドル研究部、潰れなかったのよね……後で希に聞いたら、やっぱりあの子が手を回してたっぽいけど)

絵里「……」ジィッ

にこ(あの時、にこにあんなこと言った癖に、今じゃこんなに熱心に、楽しそうにアイドルのライブを見てる)

にこ(絵里をこんな風に変えたのは、やっぱり、穂乃果……なのかしら)フイッ

にこ(あ、……絵里の手。あの時、穂乃果の手を取った、手)ソッ

絵里「……にこ?」

にこ(なんだろう、悔しい。すごい、悔しい)ギュッ

絵里「…………」

にこ(そうだ。絵里は、にこが一人でアイドル研究部に居ても、彼女が生徒会長に昇進しても。何も、してくれなかった。当たり前だって分かってるけど、でも、にこ一人の活動じゃ、絵里を動かせなかった)

絵里「…………」ギュ…

にこ(だけど、穂乃果の手は取ったのよ。手を取る前から、絵里はずっと彼女のこと気にして、意識してた)

にこ(絵里をアイドルの道へ動かしたのは、にこじゃない。それが、……悔しい、なんて)

317: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 00:04:08.80 ID:Q5VLuUn5
絵里「……にこお姉ちゃん?」

にこ「……」ギュウ

絵里「にこ、ねぇにこってば!」

にこ「あっ、え!? どしたの!?」

絵里「どしたの、じゃないわ。……DVD、とっくに終わったわよ」

にこ「あ、ご、ごめん考え事してて……!」

絵里「ふぅん。その、良いんだけど……手、そろそろ離しても良い?」カァッ

にこ「!!!! もっもちろん良いわよ!?」パッ

にこ(や、やだもしかしてずっと握ったままだったのかしら!?)ボンッ

絵里「…………」テレテレ

にこ「…………」カアアァッ

絵里「……そ、の。とりあえず……寝る?」

にこ「…………そうね!」アセアセ

321: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 00:41:51.46 ID:Q5VLuUn5
-にこの部屋-

にこ「絵里、布団の具合は大丈夫?」

絵里「大丈夫よ、あったかくて気持ちいいわ」

にこ「そう。じゃ、電気消……したら、怖い?」

絵里「…………」プルプル

にこ「あー、じゃあこっちの豆電球は付けとくから。これでどう?」

絵里「…………」コクコク

にこ「よし。じゃあ、そろそろ本当の本題に行きましょう」オフトンモグリン

絵里「え?」

にこ「昼間の話。にこに言いたいことって、なに?」

絵里「!!」

322: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 00:46:12.56 ID:Q5VLuUn5
にこ「今なら、にこ以外に聞いてる人は居ないわよ」

絵里「そ、そうね、えっと……」アセアセ

にこ「…………」ジッ

絵里(に、にこ、お布団並んでるから顔が近い……って、こんな状態で聞けって!?)

絵里(私のことどう思ってますか、って……!?)ドキバク

にこ「ほら、絵里。あんまり遅いと寝ちゃうわよ!」

絵里(あああその方が助かる……でもそれだと明日、にこお姉ちゃんすごい怒るんだろうな~!?)

323: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 00:53:10.47 ID:Q5VLuUn5
絵里「…………」ドキドキ

にこ「…………」ジッ

絵里「えっと、ね。にこ……お姉ちゃん」

にこ「うん?」

絵里「その、怒らないで欲しいんだけど」

にこ「内容によるわね」

絵里「う、うう……」

にこ「とりあえず良いから言ってみなさい、ほら」

絵里「……うん、あのね。伝えたいことがあるのは事実なんだけどね、」

にこ「うん」

絵里「それを言うのは……少し待ってもらえるかしら?」

324: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:00:03.13 ID:Q5VLuUn5
にこ「ええええ~? ここまで来て!?」

絵里「ご、ごめんなさい……あの、はっ、恥ずかしいの!!」ボフン

にこ「え、なに? 恥ずかしいことってなに!? 逆に気になるわよそんなの」

絵里「と、とにかく私が恥ずかしいの!私が!」

にこ「はぁ……」

絵里「だから、ごめんなさい。私に言う勇気が出来たら……絶対、ちゃんと言うから」

にこ「……絶対?」

絵里「ええ。約束するわ」

にこ「絶対に絶対?」ジトー

絵里「え、ええ」タジ

にこ「……しょうがないわね。じゃあ、はい」スッ

絵里「?」

にこ「指切り。なによ、やり方知らない?」

絵里「知ってるわよ!!」

325: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:05:26.05 ID:Q5VLuUn5
にこ「はい、ゆーびきーりげーんまん……」

絵里「はりせんぼん、のーます?」

にこ「ゆびきった、はい! これでもう、絵里は逃げられないわよ。ちゃんとにこに教えてね!」

絵里「う、うん、わかったわ……」

にこ「あ、でもあんまり遅いのは嫌よ? すごい気になってるんだから、出来るだけ早くしなさいよね」

絵里「あ、うん……努力するわ」

にこ「それも約束ね。破ったら、そうね……にこ、絵里のお姉ちゃん辞めちゃうにこ~」

絵里「えええっ」ガビンッ

にこ「……そ、そんな顔しないでよ。大丈夫よ、約束、ちゃんと守ってくれるでしょ?」

絵里「……うん」

にこ「なら大丈夫。にこお姉ちゃん、待ってるにこよ~♪」

326: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:12:52.56 ID:Q5VLuUn5
にこ「さてっ、と。じゃあもう今日は話も聞けないみたいだし……いい加減寝ましょうか」

絵里「そうね……明日も学校だもんね」

にこ「じゃあ、おやすみなさい、絵里」

絵里「おやすみなさい、にこお姉ちゃん」


カチ コチ カチ コチ


絵里(……眠れないわ!)カッ

327: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:19:08.44 ID:Q5VLuUn5
絵里(にこ、もう寝ちゃったかしら……でも寝るって言ったのに話しかけるのもな……)

カチ コチ カチ コチ

絵里(……こうも、静かだと……考え事が捗っちゃうわね……)

絵里(はっ、いけない、さっきの……思い出しちゃった!)ボッ

絵里(あ、あんな風にぎゅって、手を……にこの手、ちっちゃくて可愛かった……じゃなくって!)

絵里(寝なくちゃ……明日も早いし、寝ないと……)

カチ コチ カチ コチ

絵里(……にこ、寝たかしら)チラッ

にこ「……すぅー……」

絵里(……もう寝ちゃったのね……)シュン

328: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:21:53.85 ID:Q5VLuUn5
カチ コチ カチ コチ 

絵里(にこ、なんでさっき手を握ってくれたのかしら。何か、考えてたみたいだけど……)

絵里(……すごい真剣な顔してたな。何考えてたんだろう)

絵里(にこって、アイドルのことになると本当、真剣なのよね。周りから見たらおかしなことでも、彼女はいつだって真剣なの)

コチ カチ コチ カチ 

絵里(そう、いつだってそうだった。真剣で、真っ直ぐに熱くって、強い心で。あの時も――)

329: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:28:33.75 ID:Q5VLuUn5
-回想-

絵里「それじゃ、お邪魔しました」バタン

絵里(……ふぅ。ひとつお仕事終わり、っと)

にこ「~~~~つわねっ!」ダン

絵里(……今の、矢澤さんの声ね。良く聞こえなかったけど、大方私に対する愚痴ね)

絵里「…………」

カサ

絵里(退部届が、二つ。確か、この学校のアイドル研究部は、三人。つまり、今、部員はあの子ひとり)

絵里「必死に隠してたから何も言わなかったけど。どう処理したら良いかしらね」

絵里(普通に受理して廃部にする? でも――ちょっと、可哀想な気がして)

330: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:33:27.22 ID:Q5VLuUn5
絵里(実はずっと見てたのよね、アイドル研究部のスクールアイドル活動……生徒会室の窓から。中庭で練習してるの、見えるのよ)

絵里(ダンスは、全然上手くなかったけど――可愛いな、って思ってた。特に彼女、矢澤さん、一生懸命で良いなって)

絵里「だからちょっと……もったいない、わね」

にこ「――~~っ、」

絵里(あら? 扉の向こうから、声が……)ハッ

にこ「悔しい……悔しいよ……っ!」

絵里「……!!」

331: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:37:47.68 ID:Q5VLuUn5
絵里(泣い、てる……?)

にこ「ひっく、う、ぐすっ……で、でも、負けないっ」

絵里「!!」

にこ「部活じゃなくなったって、活動してやるわよ、見てなさいあいつら……それに、絢瀬絵里……!!」

絵里「…………!!」ビックリ

絵里(名指しされるとは、思わなかったわね。……矢澤にこ、か)

絵里(……すごいわね、彼女。強くて、真っ直ぐで、ちょっと羨ましい)

絵里(私はそんな風に、何かに一生懸命になったり、出来ないから)

332: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:42:57.97 ID:Q5VLuUn5
――バタバタバタッ

絵里「……会長!」バンッ

希「お、えりちやん。どしたん、勢いづいて?」

絵里「……生徒会長は?」ハァハァ

希「今はお留守や。なに? えりちがそんなに熱くなってるの、初めて見たわ」

絵里「別に熱くはなってないわよ。……会長、いつ戻るのかしら」

希「さぁ? ねぇ、どしたのどしたの? 会長になんの御用事なん?」ピョンピョン

絵里「希には関係ない……って言いたいところだけど。貴方、確か矢澤さんと親しかったわよね」

希「にこっち? 親しいかどうかはわからんけど、まぁ、同じクラスやし話したりはようするよ」

絵里「そう。……ねぇ、彼女の事で……一枚、噛む気は無い?」ニッ

希「なになに? 面白そうやん!」ニッ

333: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:51:31.34 ID:Q5VLuUn5
-数十分後-


ガチャ

旧生徒会長「戻ったぞー……ってうおぁ!?」

絵里「生徒会長!!」

希「生徒会長!!」

旧生徒会長「えっ、なになに!? なんで二人して土下座してるの!?」

絵里「無理を承知で、お願いがあります!」

旧生徒会長「ちょっと、わかったからとりあえず頭上げて!! なんかやだ!!」

希「えりち。頭上げて良いんやって」

絵里「いいえ、上げません。まずは話を聞いてください」

334: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 01:55:34.15 ID:Q5VLuUn5
絵里「アイドル研究部、ご存知ですよね?」

旧生徒会長「う、うん」タジタジ

絵里「今日、二人分の退部届を受けとりました。これであの部は、部員が一人になってしまったことになります」

旧生徒会長「あらら。流石に一人だと廃部……」

絵里「その廃部、待って欲しいんです!!」

旧生徒会長「!!」

希「ウチからもお願いします、会長。最後の一人は、ウチの……ウチらの大事な友達なんです」

旧生徒会長「…………」

絵里「難しいのは分かってます、一つの部だけ贔屓するのが良くないことも。でも、あんなに頑張ってるのに、廃部だなんて……あまりにも無情です」

旧生徒会長「…………」

335: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 02:02:06.31 ID:Q5VLuUn5
絵里(……やっぱり、駄目なのかしら。私が、頑張ってる彼女にしてあげられることは、何も無いのかしら)

旧生徒会長「まぁ、わかった。とりあえず顔上げてくれる?」

希「……えりち」

絵里「……わかりました。」スッ

旧生徒会長「うん、二人の言いたい事は分かったよ。私も窓から見てたから、あの子達が頑張ってたのは知ってるし。でも君の言う通り、贔屓は良くないんだ」

絵里「……っ」

旧生徒会長「まぁまぁ、怖い顔しないで。君、思い詰めると顔が怖くなるの、治した方が良いよ?」

絵里「!!」カアァッ

希「……ぷっ」

絵里「希!!笑わないでっ!!」カーッ

336: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 02:12:39.30 ID:Q5VLuUn5
旧生徒会長「絢瀬さんの怖い顔はまぁ置いといて、だ。アイドル研究部、無理して廃部にしなくても良いよ」サラリ

絵里「えっ!?」

希「ホントですか!?」パァッ

旧生徒会長「うん。流石に一人なのにたんまりと部費を割く訳にはいかないからその辺は少なくなっちゃうだろうけど。……今の音ノ木坂は、部活を増やすこともしなければ、減らすことも必要無い」

絵里「……それって、どういう……?」

旧生徒会長「生徒数の減少が激しくてね。そう遠くない未来に、廃校の危機に陥るかもしれないって」

絵里「……!!」

337: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 02:14:21.82 ID:Q5VLuUn5
希「ちょお、会長それ……」

旧生徒会長「かもしれない、って話だよ、まだね。でも現状、部員が少ないからってカッカするほど部活が多い訳でもない。急激に部活が増える心配も無い。だからまぁ、良いんじゃない?」

絵里「じゃあ……」

旧生徒会長「うん。アイドル研究部、まだ廃部にしなくて良いよ。これから部員が入るかもしれないし、ね?」ニコッ

希「や、やったぁ!えりち!」ピョンピョン

絵里「ありがとうございます、生徒会長……!!」

旧生徒会長「例には及ばないよ、私は何もしてないし、ね。じゃ、私は次の部活の視察に行くよ。元々忘れ物を取りに来ただけなんだ」ヒョイ

希「会長サン、ほんまにありがとぉな!」ギュッ

絵里(良かった……一人なのは変わらないけど、あの子の居場所は、守れた……!)

338: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 02:16:36.06 ID:Q5VLuUn5
希「やー、アイドル研究部、廃部にならんくて良かったなぁ。実はな、ウチの占いだとあそこは廃部になったらまずかってん。えりちに感謝やな♪」

絵里「……ねぇ、希」

希「ん? どしたん?」

絵里「矢澤さんに、このこと……私が生徒会長にかけ合った事。内緒にしてもらえるかしら?」

希「ええっ、なんで!? ウチ、うっきうきでお伝えしちゃおうと思ってたのに」

絵里「やっぱりね。でも、言わないで頂戴」

希「えー、なんでなんで? 理由教えてくれないと、ウチ、納得できひん~」

絵里「……は、恥ずかしいから」

希「ぶふぉっ」

絵里「ちょっ、吹き出さないでよ!?」

希「ご、ごめ……ぷっ、あははは! 恥ずかしいて! 恥ずかしいて!!」ケラケラ

絵里「わーらーわーなーいーでー!!」

339: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 02:21:15.29 ID:Q5VLuUn5
希「はーおっかし……で? なんで恥ずかしいの?」

絵里「い、いやその……さっき視察に言った時に、廃部覚悟しときなさい、みたいな事言っちゃって……」

希「ぷふー! なるほど、それなのにえりちが廃部から救った!なんて知られたら、えりちがツンデレやと思われてしまう、と……」

絵里「ツンデレってなによツンデレって!! もう、とにかく……恥ずかしいから、やめて頂戴ね?」

希「はいーはい、承りましたー」

絵里「ホントに分かってる?」

希「わかってるってばー。ウチ、生まれてこの方嘘はついたこと無いんよ? 嘘ついたら、神様にバチをもろてしまうからな♡」

絵里「……頼むわよ、ほんとに」



絵里(恥ずかしいのもあるし。……あんな風に頑張ってる子に、私みたいな冷めた人間が関わるのは、気が引けてしまうから)

340: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/02(土) 02:25:29.29 ID:Q5VLuUn5
-回想終わり-

カチ コチ カチ コチ

絵里(……なんてこともあったわね。もう、遠い昔の話みたいに感じる)

にこ「……むにゃ……にこにっこ……にー……」ムニャムニャ

絵里(関わらない方が良いって思ってたのに、今こうして、お泊りなんかして、隣で一緒に寝てるんだもの。ふふ、可愛い寝顔♡)

にこ「……絵里……むにゃ……」スー

絵里「!!」

絵里(……び、びっくりした。どんな夢見てるのかしら)

にこ「……アイドル……なるの…………」

絵里「…………」

絵里(真っ直ぐなのはあの頃と変わらないのね、にこは。……そんなにこに、私は結局、何もしてあげなかった)ウトウト

絵里(廃部は阻止出来ても、あの子の活動を直接応援はしなかった。支えることもしなかった。自分が冷めた人間だって理由つけて、ただ黙って見ていたのよ。一人で寂しそうな背中を……)

絵里(今なら思う。もっと出来る事があったのに。にこに手を差し出して、一人じゃないよって、言ってあげられたのに)

カチ コチ カチ コチ

絵里(……にこ……にこは、そんな私のこと……嫌いじゃ、ない、の……?)スヤ…

377: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:05:17.71 ID:3Ewd0SBW
-翌朝-

にこ(……朝日……眩しい……)

にこ「ふぁ……」

絵里「!!」ピクッ

にこ(うーん、眠い……)

絵里「にこ、起きたの?」

にこ「んー……あと五分……」

絵里「もう、そんな漫画みたいな……朝よ、お姉ちゃん」

にこ「んんー」ゴロン

379: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:11:31.29 ID:3Ewd0SBW
絵里「おっきて、おっきて♪」ユサユサ

にこ「おおう!?」ガクガク

絵里「あたーらしーいーあーさがきたー♪」ユッサユッサ

にこ「わかった、わかったから揺すらないで」ガックガック

絵里「起きた?」

にこ「……起きたわ」ムクリ

絵里「おはよう、にこお姉ちゃん♡」ニコッ

にこ「うん、おはよう、絵里」ニッコリ

にこ(あ、なにかしらこれ……すっごい幸せな気分)

380: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:15:35.16 ID:3Ewd0SBW
にこ「……えーと……絵里、早起きね」

絵里「ん。なんか、目が覚めちゃったの」エヘヘ

にこ「そっか。じゃあお腹空いたでしょ? 急いでご飯作るわね」

絵里「私も手伝うわ!」

にこ「いや、昨日も晩ご飯手伝って貰ったし……ゆっくりしてていいわよ」

絵里「…………」シュン

にこ「あー……じゃあ先に着替えてもらって、その後に手伝ってくれる?」

絵里「!! わかったわ!」ピュッ

にこ「ってぇ、まだにこが居るのに着替え始めないで!!」

絵里「? なんで?」

にこ(昨日の、お風呂の……思い出しちゃうでしょうが!)カアァッ

381: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:18:37.14 ID:3Ewd0SBW
-台所-

にこ「はぁー……」

にこ(結局、進展が無かったわね……本来の目的は、絵里のいじっぱりを治すことのはずなのに)

にこ「迷走してる気しかしない……」

絵里「にこーっ!」ガチャ

にこ「うおっとぉ!? 早かったわね、絵里」

絵里「そ、そんなに? ……早く手伝いたかったからかしら」

にこ「別に、ゆっくりしてくれてていいのに」

絵里「イヤよ。せっかくお姉ちゃんと一緒なんだから、妹として少しでも一緒に……近くに居たいわ」プクーッ

にこ(……本当、迷走してる気しかしないわ……)

382: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:23:23.47 ID:3Ewd0SBW
-数十分後-

にこ「ごちそうさまでした、と」

絵里「にこ、朝ご飯も絶品だったわ……特にあの、ふわふわの卵焼きといったら……」ゴクリ

にこ「お気に召してもらえたなら何よりね」

絵里「ねぇ、今日もお昼、一緒に食べれるのよね? その……」

にこ「ええ。卵焼きもちゃんと入れるわよ」

絵里「!!! 私の言いたいこと分かるなんて、流石お姉ちゃんね!」

にこ「はいはい、いいから絵里は学校行く準備して。お姉ちゃんはお弁当準備するから」

絵里「わかったわ!」タタッ

にこ(……ハッ。今、すごい自然に自分のことお姉ちゃんって言っちゃったわ。お互いに、すっかり馴染んでしまったわね……)

383: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:27:34.13 ID:3Ewd0SBW
絵里「ねぇにこ、妹ちゃん達は大丈夫?」

にこ「ん、まだ寝てるでしょ? ご飯用意しとけば、あとは自分達でやってくれるのよ。出かける時間、違うからねー」

絵里「しっかりした子達ね……」

にこ「でしょ? さて、じゃあ行ってきまーす」

絵里「あ、おじゃましましたー……」

にこ「絵里、そこは行ってきますでしょうが」

絵里「え、ええ? でも、今日はお家に帰るけど……」

にこ「でも、また来るでしょ?」

絵里「……うん。えっと……行ってきます」

にこ「よろしい」ナデナデ

絵里「…………」テレテレ

384: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:32:12.82 ID:3Ewd0SBW
-登校中-

絵里「ーーそれでね、その時の希ってば……」

にこ「なにそれ!? ありえないわね!?」

絵里「でしょう!?」クスクス



穂乃果「……あれ、絵里ちゃんとにこちゃんだ」

海未「本当ですね。一緒に登校してるのを見るのは珍しいですが」

ことり「最近、よく二人で一緒だよね。今日も一緒にお昼なのかな?」チュン

穂乃果「えぇ!?絵里ちゃんとにこちゃん、二人だけでお昼食べてるの!? ずるい~穂乃果も~」

真姫「ちょっと穂乃果、二人の邪魔しちゃダメよ」ペシッ

穂乃果「いてっ……あ、真姫ちゃん」

385: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:36:20.15 ID:3Ewd0SBW
凛「凛とかよちんも居るよー!」ニャン

花陽「み、みんなおはよう……!」

穂乃果「三人ともおはよう! ねぇねぇ真姫ちゃん、二人の邪魔しちゃダメ……って、どうして?」

真姫「え? 穂乃果、わかんないの?」

海未「真姫、私もまったくわからないのですが……」

ことり「まぁまぁ、海未ちゃんも穂乃果ちゃんもしょうがないよ。にこちゃんも絵里ちゃんも、結構上手に誤魔化してたもん」

希「せやなぁ。そんで誤魔化し切れてはいないところが、二人らしいよなぁ」

穂乃果「希ちゃん!?」

386: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:41:04.17 ID:3Ewd0SBW
希「まぁ、もう察してる子も居るみたいやから説明するとな?」

カクカクシカジカシカクイムーブ

海未「なるほど、絵里の固い性格を……ですか」

真姫(海未ちゃんに言われちゃおしまいね、エリー……


穂乃果「んー……」ショボン

ことり「穂乃果ちゃん、どうしたの?」

穂乃果「うん、えっとね。にこちゃんが絵里ちゃんの為に頑張ってたのはわかったんだけど……どうして、穂乃果達には相談してくれなかったのかなぁ?」

希「そんなん、姉妹ごっこが恥ずかしいからに決まってるやん」クスクス

穂乃果「でもぉ! 絵里ちゃんもにこちゃんも、μ'sの一員なんだよ?」

390: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:44:42.79 ID:3Ewd0SBW
花陽「そうだね……確かに、頼ってもらえなかったのはちょっと寂しいかも」

穂乃果「だよね!? 穂乃果も、にこちゃんみたいに絵里ちゃんの為になにかしたいよ!」メラメラ

凛「凛も凛もー!」メラメラ

海未「ですが穂乃果に凛、今にこの邪魔をしてはいけないのではないですか? それに、具体的にどうするつもりですか?」

穂乃果「う、うーん……」

希「……ウチが思ってたより、皆ずっと柔軟やったんやね……」

ことり「希ちゃん?」

希「ううん、なんでもないよ。ほんなら穂乃果ちゃん」

穂乃果「ぅん?」

希「こういうのは、どう?」ヒソヒソ…

391: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:50:36.32 ID:3Ewd0SBW
-授業合間の休憩時間-

にこ「はぁー、もう英語は勘弁にこぉ……」グデー

にこ(次の授業の準備しなくちゃ……えっと、数学の教科書……あれ?)ガサゴソ

にこ「これ……そっか、渡すの忘れてたわ」

にこ(絵里が食べたそうにしてた、新作のチョコ菓子。昼休みに渡そうっと)シマウシマウ

穂乃果「にーこーちゃんっ!」ドォン

にこ「うわぁっ、穂乃果!?」

海未「こら穂乃果! 体当たりする癖は治しなさいとあれほど……!」

ことり「まぁまぁ、たまにはいいじゃない」

にこ「ことりに海未まで……どうしたのよ、わざわざ3年の教室まで来るなんて珍しい」

穂乃果「うん、それなんだけどね!」

392: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:54:59.19 ID:3Ewd0SBW
シカジカカクカクムーブシカクイ

にこ「……へぇ。それ、アンタ達が考えたの?」

穂乃果「うん!穂乃果が考えたんだよ~、褒めて褒めて~」

にこ(……皆、意外と絵里のこと見てるのね。まぁ、希が手を回してる可能性も高いけど……穂乃果の言う案は悪くないわ)

海未「そんな訳ですから、にこには絵里の誘導をお願いしたいのです。最近、良く一緒に居るでしょう?」

にこ「えっ、そ、そうかな!? まぁ、同じ学年だし、ね!?」

ことり「……そうだね♡」

にこ(ま、まさか姉妹ごっこの方は……ばれてないわよね!?)アセダラダラ

393: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/27(水) 23:58:46.09 ID:3Ewd0SBW
-昼休み-

にこ「絵里~」ガチャ

絵里「にこ……お姉ちゃん! 待ってたわ!」タタッ

にこ「よしよし」ナデナデ

絵里「…………」デレデレ

にこ「んじゃあとりあえず食べましょ。日陰の方で良い?」

絵里「ええ!」ウキウキ

にこ(……もしかしたら。一緒にお弁当を食べるのも、今日で最後かもしれないわね)ジッ

絵里「お姉ちゃん? どうしたの?」

にこ「……なんでもないわよ。いいからほら、早く!」

394: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/28(木) 00:03:53.75 ID:VSH24hV+
絵里「ご馳走様でしたーっ! ああ、今日も美味しかった……ふふっ」ニコニコ

にこ「……絵里、なんか今日はいつもより上機嫌じゃない?」

にこ(まぁ、なんだかんだでにこの前だと機嫌良い事の方が多いと思うけど)

絵里「あら、ばれちゃった? ……今日は、朝からにこと一緒だなぁって。嬉しいの」ルンルン

にこ「……あっそ」フイッ

にこ(渡すなら……今、かな)

絵里「でも……こんな風に一緒に居て、良いのかしら」ボソリ

にこ「え?」

395: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/28(木) 00:08:28.62 ID:VSH24hV+
にこ「……今、なんて?」

絵里「あ、いや……その。なんでもないの」

にこ「嘘。一緒に居て良いのかって、言わなかった? ねぇ、それってどういう意味で言ったの?」

絵里「え、っと」

にこ「誤魔化さないで、絵里。アンタまさか、」

絵里「……にこ、」

にこ「ねぇ、答えて、絵里。アンタ、『自分がにこと一緒に居ちゃいけないんじゃないか』なんて、そんな馬鹿なことは思ってないでしょうね!?」

絵里「…………」グッ

にこ「…………!!」

396: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/28(木) 00:10:28.88 ID:VSH24hV+
にこ(っなによ、散々一緒に居て、あんなに楽しくて幸せで、絵里もそう思っていて。なのに絵里はずっと、そんな風に疑問に思いながら……自分を責めながらにこと一緒に居たの?)

にこ「ふざけないでよ!」

絵里「……ふざけてなんて、いないわ!」

にこ「!?」ビクッ

絵里「……だって、にこ。私、あなた達の敵だったのよ」

にこ「それは違うって言ったじゃない、馬鹿絵里!」バン

絵里「でも、にこに私の気持ちなんて、わからないでしょう!?」ドン

にこ「わかんないわよっ!! だから話しなさいって言ってるのに!!」

絵里「そんな簡単に聞けないわよ、私の事、好きですか、なんて!!」ハッ

にこ「!?」

397: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/28(木) 00:11:37.90 ID:VSH24hV+
にこ「……もしかして。言いたかったことは、それ?」

絵里「そ……そうよ」ジリ…

にこ「にこが、嫌いって言うとでも思った? 嫌いな人に、妹みたいに接する訳ないじゃない」

絵里「……知ってるわ。でも、違うの。私が、私が言いたいのは……」



絵里「もしも私がμ'sに入らなかったら……きっとにこは、私のこと嫌いだったでしょう?」

にこ「!!」

398: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/28(木) 00:13:53.98 ID:VSH24hV+
絵里「あの子達……μ'sのみんなもそう。今の私はメンバーだから……だから好いてくれてるんじゃないかって」

にこ「だから、一生懸命リーダーシップを取ってるの?」

絵里「え……」

にこ「だから、追い立てられるように……自分を犠牲にしてまでみんなを支えようとしてるの?」

絵里「それは、ちが、」

にこ「違わないわね。希とも話してたけど……絵里は、自己犠牲が過ぎるわ。μ'sに関してだけじゃなくて、全部に対して」

絵里「……にこ、私のこと良く見てるのね」

にこ「当然よ。だってにこは、絵里のお姉ちゃんなのよ?」フン

399: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/28(木) 00:18:19.58 ID:VSH24hV+
にこ「ねぇ絵里、アンタは何に追い詰められてるの? そんなに一人で背負いこんで、どうする気なの?」

絵里「そんな、背負い込んでなんか……」

にこ「生徒会長なんかやってる時点で背負い込んでるのよ馬鹿絵里」

絵里「ねぇちょっと、さっきから馬鹿馬鹿言いすぎじゃない!?」

にこ「馬鹿に馬鹿って言って何が悪いのよ!」バンッ

絵里「!?!?」ビクッ

にこ「それ、昨日絵里が欲しがってたやつ、あげる。それから、今日の放課後部室に来なさい」

絵里「きょ、今日はちょっと……」

にこ「い・い・か・ら。来なかったらお姉ちゃんやめるわよ」

絵里「!?」ガビンッ

にこ「わかった? 絶対来なさいよ!」ズンズン

絵里「あっ、にこぉ……行っちゃった。なんなの、もう……前といい、どうしてこうなるのかしら」グスッ

絵里(あんなに、怒ることないじゃない……あれ、なんだか私、拗ねてる?)



絵里「いつの間に、にこなら怒らないって……弱い私でも許してくれるって、思ってたのかしら」

404: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:07:48.81 ID:1cW1ioWs
-放課後 部室前-

絵里(にこ、どういうつもりなのかしら……)

絵里(あんなこと言っちゃった後だし、顔合わせるの……ちょっと気が重いわ……)

絵里「ええい、いいから行くのよエリーチカ……!」

絵里「……こんにちわー……」オソルオソル

穂乃果「ぅ絵里ちゃーーーーんっ!!」ドゴォ

絵里「げふっ」ドスゥ

海未「こら穂乃果! 飛びついてはいけないと……あれほど……!」

ことり「ま、まぁまぁ海未ちゃん、ほら早く言わないと」

凛「いっくにゃー!」

花陽「せーの……っ」


全員「「「絵里ちゃん、いつもありがとう!!」」」

パン パンパン パパン

絵里「………………へ?」ポカン

希「ぷーっ、えりち、今めっちゃ変な顔やで?」クスクス

絵里「えっ? えっ?」オロオロ

405: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:11:26.41 ID:1cW1ioWs
真姫「ちょっと、クラッカー多すぎじゃない? エリーと穂乃果がカラーテープまみれだわ……」

凛「細かいことは気にしないのーっ! ほらほら絵里ちゃん、こっちだよ!」グイグイ

絵里「ちょっ、あの、え?」アワアワ

穂乃果「はい、こちら絵里ちゃんの特等席でーす! なんとクッションが敷いてあるんだよー!」グイグイ

絵里「あ、どうも……ってそうじゃなくてね?」

海未「穂乃果に凛、絵里が困った顔をしてますよ。まずは説明してあげないと」

穂乃果「そっかぁ! あのね、今日は絵里ちゃん感謝デーなんだよ!」

絵里「感謝……デー?」

ことり「そう! いっつも私達の為に頑張ってくれる絵里ちゃんに、いっぱい感謝をする日なの♪」

花陽「今日は、絵里ちゃんは何にも頑張らなくて良いんだよ!」

絵里「み、みんな……」

406: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:14:35.63 ID:1cW1ioWs
穂乃果「というわけで絵里ちゃん」ジッ

絵里「うん……?」タジタジ

穂乃果「穂乃果が、肩をもんでしんぜよう!」ガシッ

絵里「あっ」ハウッ

穂乃果「おお~、絵里ちゃん肩がっちがちだね~」モミモミ

絵里「あの、穂乃果……あっ、きもちい……」ホンワー

穂乃果「ふふふ、絵里ちゃんを苦しめる肩コリは、穂乃果が全部やっつけてあげるからね!」モミモミ

凛「ちょっと、穂乃果ちゃんばっかりずるいにゃ! 凛も絵里ちゃんにご奉仕するー!」

穂乃果「じゃあ凛ちゃんはこっちの肩ね!」

凛「了解ににゃ!」モミッ

絵里「ちょっと穂乃果、ふ、二人で分担すると……く、くすぐったい……」プルプル

407: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:18:53.79 ID:1cW1ioWs
絵里「ていうか! どうしたの皆、急に……練習は?」

海未「もちろんしますよ? ラブライブもそう遠くないですし。けど今日は、絵里には少し楽にしていて欲しいんです」

ことり「練習メニューも、今日はみんなで作ったんだよ! ほら!」ピラリ

絵里「……良く出来てるわね」

真姫「いつもエリーと海未ちゃんに任せきりだし、たまにはね」

海未「いつもは、ダンス経験のある絵里がほとんど作ってくれるんですよ。私はそこに体力づくりのメニューを足すくらいで……」

穂乃果「だからね、今日はみんなで考えたんだよ! 絵里ちゃんの作る練習メニューと比べると、足りないかもしれないけど……」

絵里「……いいえ。そんなことないわ」

408: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:27:11.27 ID:1cW1ioWs
花陽「あのね、絵里ちゃん」

凛「凛達ね、絵里ちゃんが凛達の為にいっぱいいっぱい頑張ってくれてる事、ちゃんと知ってるにゃ!」

真姫「でもエリーってば、いっつも一人で全部やっちゃうんだもの。正直、負担になってないか心配だったのよ」

ことり「絵里ちゃんは強い人だから、普通の人より何でも出来るんだろうけど……」

海未「少し、頼り過ぎていた部分もあるなって、皆で話していたんです。絵里も、もっと私達を頼って良いのに、とも」

穂乃果「だから今日は、絵里ちゃん感謝デー! それで、μ'sにとって絵里ちゃんがとっても大きな存在だってこと、みんなで再確認する日なんだよ!」

絵里「……みんな……」ジワッ

絵里(そんな風に、考えていてくれたなんて、思ってもみなかった)


希「……えりち」ポン

絵里「希……」

409: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:31:40.17 ID:1cW1ioWs
希「えりちが思ってるよりずっと、みんなはえりちのこと良く見てるよ。もちろんウチも。ねぇ、それってどうしてだと思う?」

絵里「え……?」

希「ほら、えりち。うちらに聞きたいことがあるんじゃないの?」

絵里「あ……」

絵里(そう、そうだ。ずっと引っかかっていて、どこか私を追い立てていた不安がひとつある)

絵里(にことも話した、にこは否定してくれた疑心暗鬼。それを聞くなら……今?)

絵里「ねぇ、みんな……」

穂乃果「うん?」

絵里「私のこと、嫌いじゃないの?」

410: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:35:37.30 ID:1cW1ioWs
全員「「「………………」」」ポカーン

絵里(な、なにかしらこの間は)

全員「「「あはははは!」」」ドッ

絵里「!?」

海未「なにを言いだすかと思えば……!」クスクス

凛「絵里ちゃんを嫌いなんてそんなこと、あるわけないにゃ!」ケラケラ

絵里「で、でも! 私、あんなにみんなのこと目の敵にしてたのに……」

真姫「そうね。あれは正直、怖かったわ」

絵里「そうでしょう!? だから私、ずっと不安で……」

ことり「もしかして絵里ちゃん、それをずっと気にしてたの?」

穂乃果「穂乃果達が絵里ちゃんを嫌いなわけ、ないよ。もしも嫌いだったら、一緒にスクールアイドルなんて出来ないもん!」

絵里「……みんな……」ホロリ

411: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:38:32.81 ID:1cW1ioWs
穂乃果「穂乃果達はね、最初から、絵里ちゃんのこと嫌いだったことなんてないよ」

絵里「え……?」

花陽「さ、最初はちょっと怖かったけど……でも、花陽達は知ってるんです」

海未「絵里が、生徒会長としてこの学校を守ろうとしていたことを」

ことり「やり方は違ったけど、絵里ちゃんも必死だったでしょう? そういう姿を見てるのに、ホントに嫌いになるなんて出来ないよ」

凛「だからね! 一緒にμ'sとして活動出来ることになった時は、すっごく嬉しかったにゃ!」

真姫「そういうこと。それに、普段から私達の為に一生懸命やってくれてるのに、認めてないわけないでしょう」

希「……せやからな、えりち」

穂乃果「もっと、穂乃果達のことも頼って、甘えてよ!」

絵里「…………っ」

絵里(……私、何を不安に思っていたのかしら。私がこの子達を好きなのと、きっと同じくらい、みんなも私のこと、好いてくれていた。それを今、皆にはっきりと教えられた)



絵里「みんな、本当に……ありがとう」

412: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:42:16.89 ID:1cW1ioWs
海未「……さて。今は良いですが、この後本当に練習しますからね」

穂乃果「うん! よーし、今日は絵里ちゃんよりもバリバリ踊っちゃうんだからねー!」

凛「凛も凛もー!」

ワイワイ

絵里「……あれ?」

絵里(そういえば、にこが居ないわ。今日、ここに来るように言ってくれたのはにこなのに)

絵里「ねぇ、にこは?」キョロキョロ

希「にこっちなら……私はもう散々甘やかしたから、今日は良いでしょって言って……」

絵里「……!!」

絵里(にこ……にこ、)

希「えりち……?」


絵里「……私、行かなきゃ」

415: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:46:32.63 ID:1cW1ioWs
海未「絵里!? どこへ行くのです!?」

絵里「ごめん、先に練習始めてていいから!」ダッ

タッ タッ タッ タッ

絵里(にこ、にこ……!)

絵里(うじうじしていた私に、一番最初にそれを気付かせようとしてくれたのに)

絵里(あんなに、一生懸命訴えてくれたのに)

絵里「教室には……居ない」ダッ

絵里(お姉ちゃんだからなんて理由つけて、あんなにいっぱい、愛情をくれていたのに)

絵里「屋上なら、居るかしら……」ダッ

絵里(私、……あんなに、にこに好かれていたのに!)

絵里(過去にこだわって、今のにこを……今のにこの気持ちを、知ろうとしなかったんだわ)



絵里(私……にこと、ちゃんと向き合いたい!)

416: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:49:55.47 ID:1cW1ioWs
-屋上-

絵里「にこ!」バンッ

にこ「…………!!」

絵里「っは、良かった、居た……」ハァハァ

にこ「ちょ、アンタどうしたの、みんなは!?」

絵里「……にこ、にこ……」ゼェゼェ

にこ「わかった、わかったから一回息を整えてちょうだい。すごい苦しそうよ……」

絵里「……はぁ。ごめんなさい、ちょっとばかり全力疾走したものだから」

にこ「で、なんで絵里がここに来るのよ。部室には行ったの?」

絵里「行ったわ。そこでみんなに教えてもらったの、私が昔の事にこだわり過ぎて、意固地になってたってことを」

にこ「……そう。良かったわね」フイッ

絵里「ねぇにこ。にこも、私にそれを教えたかったんでしょう? だから、沢山甘やかしてくれたんでしょう? 私が自分で気付けるように、本当の事は言わないで、だけど一緒に居てくれた」

にこ「……そうよ」

絵里「……にこ……!」ギュッ

417: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:53:14.28 ID:1cW1ioWs
絵里「……ありがとう、にこ、ありがとう……」ギュウ

にこ「…………」ギュ…

絵里「ねぇにこ。今なら私、聞けるわ。聞きたかったけど、聞けなかったこと」

にこ「……なぁに?」

絵里「にこ、私の事……好き?」

にこ「…………」スッ

絵里「にこ……?」

絵里(どうして、離れちゃうの? どうしてそんなに悲しそうな顔なの?)

にこ「好きよ。だから絵里、」

絵里(なんでそんなに、苦しそうな声で)

にこ「姉妹ごっこは、おしまいにしましょう」

418: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:57:09.16 ID:1cW1ioWs
絵里「……え?」

にこ「聞こえなかったかしら。姉妹ごっこは終わりって言ったのよ」

絵里「なん……どうして?」

にこ「だって絵里、気付いたんでしょう? にこがしたかったことに。そして分かったんでしょう? 自分が頑固で意地っ張りで、一人で背負い込み過ぎてるってことに」

絵里「う……うん……」

にこ「だから、にこのお役も御免になったってこと。絵里が変わったのに、姉妹する必要ないもの」

絵里「そ、そうかもしれないけど……!」

にこ(……ああもう。そんな泣きそうな顔しないでよ! こっちまで、泣きたくなるでしょう!)

419: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 00:59:52.96 ID:1cW1ioWs
にこ「とにかく、今日でおしまいなの! お昼も、これからは一緒に食べる必要無いわね。絵里、ちゃんと明日からは自分で用意してよ?」

絵里「そりゃ……にこにばっかり用意させて、悪いと思ってたし……」

にこ「ほら、何も問題ないわね。……じゃあにこ、行くから」

絵里「に、にこぉ……!」

バタン

にこ「……良いのよ、これで」

にこ(だって。このままじゃ、にこが苦しいだけなんだもの)

425: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 23:07:55.35 ID:1cW1ioWs
-翌日 放課後-

絵里「…………」ハァ

絵里(結局、今日のお昼は一人で食べちゃったわ……にこに話を聞こうにも、どこにも居ないし。やっぱり、避けられてるのかしら)

絵里(好きよって、言葉ではそう言ってたけど……全然そんな感じの声じゃなかったわ。……やっぱり、にこは私のことが嫌いなのかしら?)

絵里「………………」ハアァ

希「えりち♪」ポンッ

絵里「うわああぁっ!? の、希!?」

希「なんなん、そんなにびっくりしなくても……」

絵里「あ、ご、ごめんなさい。考え事してたから」

426: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 23:18:27.95 ID:1cW1ioWs
希「ふむ。ねぇ、今えりちが何のこと考えてたか……当ててあげよっか?」

絵里「えぇ?」ドキッ

希「にこっちのことやろ」ニッ

絵里「……はぁ。流石、お見通しってわけね。それもスピリチュアルな神様に教えてもらったの?」

希「そうだよ……って言いたいところやけど、今回は違うかな。普通に考えたらわかるよ、昨日にこっちのとこ行く~~って言って、戻ってきてからずっとその調子やし」

絵里「え? そんなに態度に出てた?」

希「えりちはごっつ分かりやすいからな♪ みんな分かってると思うで?」

絵里「…………」

絵里(恥ずかしいわね!!)

427: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 23:32:42.21 ID:1cW1ioWs
-いつものバーガーショップ-

絵里「……という訳なんだけど」

希「ふぅん。それで、えりちはなんで急ににこっちに拒まれたのかが知りたい、と?」

絵里「う、うん……」

絵里(改めて拒まれたって言われると、キツイわね……)ズーン

希「……うーん。その話をするにはまず、ウチの知ってることをお伝えしないとダメやなぁ。ごめん、にこっち」

絵里「え?」

希「実はな。ウチ、えりち達が姉妹ごっこしてたの、知ってるんよ」

絵里「え……ええぇ!?」

428: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 23:41:07.95 ID:1cW1ioWs
希「いやな? にこっちに、そのお姉ちゃん役イイネ!って言ったのはウチなんや」

絵里「そ、そうだったの……」

絵里(じゃあにこは、希に言われて仕方なくやってたのかしら)

絵里「……」シュン

希「まぁ、そんな落ち込まんと。確かにウチ、ソレイイネ!とは言ったけど、えりちの意地っ張りを治してやるーって決めたのはにこっちや」

絵里「そ、そうなの?」

希「そ。だから……にこっちがえりちのこと、本気で嫌って拒むなんて事は絶対にない」

絵里「……そうだと良いのだけれど」

希「ま、考えられるとしたら、アレやろな」

429: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 23:51:19.64 ID:1cW1ioWs
絵里「アレ!? アレってなに?」

希「そんなん……ウチの口からは言えへんよぉ~」ニマニマ

絵里「ちょっと希、私真剣に……」

希「真剣だったら尚更だよ」

絵里「なっ……」

希「なんや、見てたらウジウジウジウジしてさ。拒まれてその理由がわかんないなら、本人に直接聞いたらええやん?」

絵里「そ、それが出来たら苦労はしてな……」

希「言い訳やな。にこっちが嫌がってるのに近づいたら、嫌われるって思ってるの?」

絵里「!! そんなこと……」

絵里(……ないって、言えないわね……)

430: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/30(土) 23:56:26.56 ID:1cW1ioWs
希「たとえにこっちが本気で嫌がってたとしてもさ。えりちは、にこっちと一緒に居たいんやろ?」

絵里「……うん」

希「なら、それで……『やってみればいいやん』」

絵里「……!!」ハッ

希「特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる。……ホント、えりちはあの時からなんにも変わってないんやな」

絵里「希……」

希「理屈ばっかり捏ねてさ。そんなん良いから、自分の本当にしたいこと、我慢しなくて良いんじゃない?」

絵里「私の……本当にしたいこと」

絵里(にこと一緒に居たいっていう気持ち。それを伝えたい。そして、)

絵里「私……にこの本心が知りたい」

希「うん。なら、もうすることは決まったやん?」

絵里「……ええ!」

431: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 00:08:24.59 ID:ejDHt+CW
-学校-

にこ「はぁ、補習で遅くなっちゃったわ……」テクテク

にこ(数学は本当に苦手だわ……テストは、絵里に教えてもらってなんとかなったけど。……あ、)

にこ「……ああー、もう!!」

にこ(油断するとすぐ絵里のこと考えそうになる。ダメダメ、姉妹ごっこは終わったのよ!もうにこが絵里のことを気にかける必要なんてないの!)

にこ(そう。例え絵里を罪悪感から解放したのが、にこじゃなくっても。ううん、むしろにこじゃなくて良かったんだわ……そうよ、そうに決まってる)

にこ「…………」ハァ

にこ(嫌ね、これじゃまるで嫉妬してるみたいだわ。そしてそういう気持ちになるってことは……)

にこ「……気付きたくなかったなぁ」

絵里「あっ、居た!」ザッ

にこ「!?」

432: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 00:14:38.87 ID:ejDHt+CW
にこ「ぅえっ、絵里ぃ!?」ズザザッ

絵里「もう逃がさないわよ!」バッ

にこ「ひいぃっ!?」ダッ

絵里「あっ、待ちなさいにこ!」ドドドド

にこ「なによ、何なのよぉ!?」ダダダダ

にこ(今一番会いたくない人が、なんで突然現れておまけに追いかけてくるのよぉ!?)

絵里「にこーっ!待ってー!」ドドドドドドド

にこ「はっ、速いわよばかぁ!こっち来ないでぇ!」ヒィヒィ

433: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 00:20:57.01 ID:ejDHt+CW
にこ(くっ、こうなったら……ここの角で撒くわよっ!)ダッ バッ

絵里「にこーっ!」パタパタ…

にこ「……ふぅ、行ったわね。今のうちに、見つからなさそうな所に移動しましょ」タタッ

にこ(……別に逃げることはなかったのかしら。でも、しょうがないじゃない。絵里と一緒に居ると、苦しくなるんだもの)

にこ「そうだ、屋上なら……逆に見つからないかも」

にこ(にこのことをお姉ちゃんって呼んでた声。思い出すと、なんでか胸が苦しくなる)

にこ「……それでも。にこは、この気持ちを認めるわけにはいかないのよ」

434: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 00:30:33.77 ID:ejDHt+CW
-屋上-

にこ「はぁ、はぁ、はぁー……よし、ここならきっと大丈夫ね。昨日もここに隠れてたから、逆に居ないと思って下を探しまわるでしょ!」

絵里「……捕まえた!」ハシッ

にこ「あれぇ!?」

絵里「はぁ、はぁ……にこってば足速いのね……全然追いつけなかったわ」

にこ「ちょ、なんでここに」

絵里「見失った後、また見かけて……ずっと追いかけてたのよ……」ゼェゼェ

にこ(くっ、フツーに見つかってたわ! 不覚……!)

絵里「ねぇにこ、どうして逃げるの? 私のこと、嫌いになったの?」

にこ「そんなわけないでしょっ!」

絵里「じゃあ、どうして?」

にこ「……っ」グヌヌ

435: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 00:38:02.77 ID:ejDHt+CW
絵里「ねぇにこ、お願い。教えて?」

にこ「……なにをよ」

絵里「昨日聞いたことの答えよ。にこは、私の事、どう思ってるの?」

にこ「…………」

絵里「私、知りたいの。どんな答えでも受け止めるわ。だから教えてくれるまで、にこのこと離さない」ギュッ

にこ「知って、どうするのよ……」

にこ(こんな……自分勝手に、お姉ちゃんを辞めたにこの事を?)

絵里「にこ……」ギュウッ

にこ「……なんとも」ボソ

絵里「!」

にこ「なんとも思ってなかったわ。今も、昔も、絵里に対して深い気持ちを抱いたことなんて、無い」

絵里「…………」ポカーン

にこ(ごめんね、絵里)

436: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 00:39:02.54 ID:ejDHt+CW
風呂行くわ
もうすぐ終わると思われ

439: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 01:16:17.28 ID:ejDHt+CW
-翌朝 登校中-

にこ「…………」

にこ(あの後、絵里ってば放心したまま帰っちゃったけど、大丈夫かしら)

にこ(でもしょうがないのよ。にこのホントの気持ち、知ったらきっと絵里は失望する)

希「にこっち」

にこ「……来ると思ってたわ。絵里に何かを吹き込んだの、アンタでしょ」

希「ウチは吹き込んでなんか無いよ、ただ背中を押しただけ。それよりにこっち、どういうつもり?」

にこ「なによ」ジッ

希「にこっちまで、意固地を拗らせる気なの?」

にこ「どういう意味よ」

希「……そうだったね。にこっちもえりちも、元々は似た者同士やった」

にこ「悪かったわね」

希「でも、えりちを導いたにこっちがそれなのは、ちょっとザマないって感じやね」

にこ「はぁ?」

440: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 01:22:50.46 ID:ejDHt+CW
にこ「なによその言い方っ、」

希「でも、図星やない? 人には散々背負うなって言っておいて。なんでにこっちは、自分の気持ちに素直に動かないの?」

にこ「そんなのっ! 希に何がわかるって言うのよ!!」

希「…………」

にこ「だってにこは、絵里を変えられなかったのよっ!」

にこ「絵里は、にこの力じゃ変わらない。生徒会長の時もそう、にこの情熱じゃあ、絵里は動かせなかった! 絵里は、穂乃果の力で動いたの、今回もそう!」

希「……それは……」

にこ「それがすごく嫌でっ、でもそれ以上に……そんなことで穂乃果やμ'sのみんなに嫉妬してる、自分が許せないのよ!」ポロポロ

希「!!」

にこ「もう……にこは絵里のお姉ちゃんじゃない。絵里の為を一番になんて考えられないっ、お姉ちゃんでは居られない……!」ホロホロ

にこ「そんなのきっと、絵里の求めてるにこじゃないの。でもお姉ちゃんは出来ない、だからもう側には居られない!! にこに、絵里を好きになる資格なんて無いのよっ!!」



希「……ほんと、似た者同士過ぎて困るわ、二人共」

441: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 01:30:02.02 ID:ejDHt+CW
希「えりちもな、似たようなこと言ってたわ、昔」

にこ「……?」グスッ

希「私みたいな冷めた人間が、あの子の隣に居るのは気が引けるわー的な事をな、ぽろっと。本当は誰より熱いくせに、おかしい話よね」

にこ「……なにそれ、いつの話よ」

希「まだ、μ'sが出来る前の話だよ」

にこ「え!?」

にこ(μ'sが出来る前って……あの、ツンツン生徒会長時代!?)

希「ウチ、あんまり告げ口?とかはしたくないタイプなんやけど、こればっかりは教えた方が拗れなさそうだから言っちゃおっと」

にこ「なに……」

希「部員が一人になったのにアイドル研究部が潰れなかったのは、えりちがその時の生徒会長に頭を下げたからだよ。あの場所を守ったのは他でもない、えりちや」

にこ「…………ええぇ!?」

442: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 01:37:12.59 ID:ejDHt+CW
にこ「え、だってそれ、希が手を回したって言ってたじゃない!」

希「うん? いや、確かにウチも一緒に頭下げたけど、あの部を潰したくないって言いだしたのはえりちだよ。……あ、えりちには、にこっちに言わないで!って言われてるから、内緒にしてな」

にこ「なによそれ……!」

にこ(あんな、あんな言い草してたのに……絵里が、守った? アイドル研究部を……にこの夢を?)

希「さっ。これでもう、にこっちが動くのに必要なきっかけは揃ったでしょ。後はにこっち次第だし、ウチはもう何も言わなーい」

にこ「え、希……」

希「占いには頼らないんでしょ? じゃあもうウチに出来ることは無いし。ほなな~♪」

にこ「待っ、もう少し詳しい話を……ってああもうあの子ほんと逃げ足速い!」

443: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 01:44:57.23 ID:ejDHt+CW
にこ(……なによ。良く考えたら、にこの気持ちと絵里がアイドル部を守ってくれた話、関係ないじゃない。そう、関係ない……)

にこ(……違うわ。その時の絵里がにこの居場所を守ってくれたってことは……絵里をそういう風に動かしたのは、誰?)

にこ「私なの? 絵里は、私の為に……?」

にこ(でもだからって、にこが穂乃果達に嫉妬したことは変わらないじゃない。どうしろと言うのよ……!)グッ

にこ「……あれ、スカートのポケットに何か……」

ピラッ

にこ「あ、これ希に貰ったカード……すっかり忘れてたわ」

『THE LOVERS』

にこ「…………私はあなたを選びます、だっけ」

444: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 01:50:41.55 ID:ejDHt+CW
にこ「確か他にも、何か意味があったわよね……えっと、スマホどこやったっけ」ゴソゴソ

にこ「あ、あった……えーと、タロット、意味……」 ポチポチ

[THE LOVERS(恋人)]
正位置:迷うことはありません。自分の熱い気持ちを信じましょう
逆位置:恋は頭でするものではありません

にこ「!!」



にこ「自分の心や気持ちよりも理屈を優先しています……しかし、その理屈は行動しないための理屈にしか過ぎません……?」

にこ(あれ。もしかして私、難しく考え過ぎてた?)

にこ「迷うことはありません……熱い気持ちを信じましょう……」

にこ(熱い気持ちって、なに? ……にこが、絵里の事を好きだって、こと?)

にこ「……そうよ、絵里の事、好きよ。一緒に過ごすうちにいつの間にか好きになってて、絵里がにこのことをお姉ちゃんって呼ぶのがなんだか嫌で」

にこ「にこが本当になりたいのは、絵里のお姉ちゃんじゃ、無くて……」ハッ

にこ(そうよ。絵里が求めてるのは『お姉ちゃんのにこ』だって勝手に思ってたけど、そんなの誰が言ったんだっけ? ううん、誰も言ってないわ。それに穂乃果に対する嫉妬だって、)

にこ「希の話が本当なら……にこは、穂乃果達より先に絵里を動かしていたことになる」

にこ(……何よ。勝手に思い込んで、これじゃにこ、ほんとに絵里とおんなじじゃない)

445: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 01:57:48.70 ID:ejDHt+CW
にこ「~~ああもうっ!」バッ

にこ「いつの間に、絵里のウジウジが移ったのかしら!! こんなのにこらしくないじゃない!!」カオパン

にこ(そうよ、にこはいつだって、自分の気持ちに正直に生きてきたの。アイドルになりたい、みんなを笑顔にしたい、その気持ちに従って、曲げないように必死に頑張って)

にこ「……好きな子の一人も笑顔に出来なくて、何がアイドルよっ!」

にこ(……絵里!!)ダッ



――ガサガサッ

希「ふぅ。ようやく気付いたみたいやな~、二人共ほんと不器用というかくそ真面目と言うか、難儀な性格してるんだから」

希「……ま、そんな二人が好きなうちも大概やけど。……頑張れ、にこっち」

446: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:02:20.01 ID:ejDHt+CW
-校舎内-

タッタッタッタッ

にこ「はぁ、はぁ……もう昨日からどれだけ走ればいいのよっ……!」ハァゼェ

にこ(絵里、絵里……どこに居るの!?)

にこ(そうよ、難しく考える事、無かったんだわ。にこは、絵里と一緒に居たいのよ。資格なんかなくたって、絵里の為にならなくたって、)

にこ「……あ、そうか屋上……っ」ダッ

にこ(もう迷わない。にこは、自分の熱い気持ちを……絵里を選んだ自分の気持ちを、信じるの!)

バン!

にこ「絵里ーっ!!」

447: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:08:33.46 ID:ejDHt+CW
絵里「……にこ……!!」

にこ「っはぁ、絵里、き、聞きなさ……っ!」

絵里「ちょっ、落ち着いて……顔色酷いわよ!」

にこ「はぁ、はぁ……げほっ……」ゲホゲホ

絵里「あああ、だ、大丈夫?」サスサス

にこ「……ありがと……」スーハー


絵里「え、っと……その、どうしたの?」タジタジ

にこ「うん、絵里、聞きなさい」



にこ「にこはね、絵里の事が好きよ」

448: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:14:41.60 ID:ejDHt+CW
絵里「……えっと?」ポカン

にこ「昨日は、嘘吐いて悪かったわね。ちょっと、色々迷ってたのよ」

絵里「…………?」ポカーン

にこ「ああもう、飲み込めて無いわね。もう一回しか言わないから良く聞いてよ?」

絵里「!?」

にこ「私は、絵里の事が好きです。でもそれは、お姉ちゃんだからとかじゃないわ」

絵里「…………えっと、」

にこ「いいから聞きなさいよ。……絵里の事、いつの間にか一人の人として、好きになってたみたい」

絵里「…………」ホロリ

にこ「ちょっ、ええ!? いきなり泣くのは反則じゃない!?」

449: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:15:59.66 ID:ejDHt+CW
絵里「……っ、……!!」ポロポロ

にこ「ぅええ、えっと、は、ハンカチ……」アワアワ

絵里「ごめ、嬉しくて……っ」ポロポロ

にこ「絵里ってばこないだから涙脆くない!?」ポロッ

絵里「なによ、にこだって、泣いて……」グスッ

にこ「貰い泣きよばかぁ!」ポタポタ

絵里「……っ、ずっと、好きだったの……」

にこ「!!」

450: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:21:59.12 ID:ejDHt+CW
絵里「見てたの。にこが、一生懸命踊ってる姿も、一人で堪えてそれでも諦めなかった姿も、ずっと、見てたの。きらきらしてるにこが羨ましくて、可愛くて、好きで……」

にこ「うん、」

絵里「でも私、にこに嫌われてるって、思ってたの。だからずっと、仕舞ってたの、好きな気持ち。そうしたら、にこがお姉ちゃんになってあげるって言ってくれて、私ほんとに嬉しくて、」

にこ「うん、うん、」

絵里「一緒に居たら、どんどん好きな気持ちは膨らんで、でも、にこの気持ちを知るのが怖くって、だって私は好きなのに、嫌われてたらどうしようって……!!」ボロボロ

にこ「馬鹿ね。絵里ってば本当大馬鹿だわ。にこが、絵里のこと嫌いな訳ないって、言ってるでしょう……!」ペチ

絵里「ううっ、ほっぺ触らないで……濡れちゃうわ」グスグス

にこ「構わないわよそんなこと」ペチペチ

451: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:27:20.09 ID:ejDHt+CW
絵里「ねぇ、にこ、にこ」ギュッ

にこ「なぁに?」グスン

絵里「私も、にこが好き。お姉ちゃんじゃなくたって、可愛くて誠実で、面倒見が良くて一生懸命で、きらきら輝いてるにこが好き……大好き!」

にこ「……にこも。かっこよかったり可愛かったり、真面目だけどそれが過ぎたり、みんなのこと一生懸命考えてる優しい絵里のこと、好きよ」

にこ(似た者同士で、沢山遠周りもしたけど。ようやく辿り着いた、お互いのホントの気持ち)



絵里「ねぇにこ。……これからも、一緒に居てくれる?」

にこ「……うん!」ギュウッ


おしまい
以下エピローグ

452: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:34:18.11 ID:ejDHt+CW
[エピローグ]

-数ヵ月後、昼休み-

絵里「にこーっ」ルンルン

にこ「絵里。今日は遅かったわね」

絵里「少しだけ、生徒会に顔出してきたの。あ、でも仕事は手伝ってないわ、様子見てきただけよ、ホントよ」

にこ「そう? また自分に関係ない仕事引き受けたりしてない?」

絵里「してないしてない、約束だもの! ねぇそれより、今日のお弁当は何かしら」

にこ「ふっふっふー、今日は絵里ちゃんのだーいすきな、卵焼きです!」パカッ

絵里「ハラショー! 流石にこね!」

にこ「さ、早く座って。食べましょ」ポンポン

絵里「ええ、いただくわ!」

453: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:35:20.91 ID:ejDHt+CW
絵里「……ほういへばにぇ、にふぉ」モグモグ

にこ「飲み込んでから喋りなさいよ」

絵里「……んっ。そういえばなんだけどねにこ、さっき生徒会室でやってた仕事が、2年生用の志望校調査票を作るってやつだったんだけど」

にこ「うん?」

絵里「にこ、大学には行かないんでしょう? やっぱり……アイドルを目指すの?」

にこ「!!」

454: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:36:52.10 ID:ejDHt+CW
にこ「……そうよ。μ'sを抜けてからも、目指すものは変わらない。にこは卒業したら、本物の……プロのアイドルを目指すわ」

絵里「……そう……」

にこ「絵里は、大学でしょ? すごいとこの推薦通ってたもんね」ハモ モグモグ

絵里「あれは、生徒会長やってたのが効いたから……マグレみたいなものよ」

にこ「良く言うわね。学校を救った生徒会長なんて、こんな凄い人も居ないでしょうに」

絵里「廃校から立ち直れたのは、私の力じゃないわ!」

にこ「そうね、私達の力ね。もちろん絵里も入れて、よ?」

絵里「……うん」

455: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:39:11.24 ID:ejDHt+CW
にこ「……なによ、不安そうな顔して」

絵里「あ、いえ、不安な訳じゃないのよ? にこがアイドルになるって、応援しないわけないわ! ただ……」

にこ「ただ?」

絵里「私達……これから、別々の道を行くのね」

にこ「…………」

絵里「学校、一緒じゃないと今までみたいに会い辛くなるかもしれないけど……私の事、忘れないでね」

にこ「そんなんで忘れる訳ないでしょ馬鹿っ」コツン

456: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:40:35.39 ID:ejDHt+CW
にこ「……ねぇ、絵里」

絵里「?」

にこ「ものは相談、というか。まぁ、絵里はもう大学決まってるし、無理なら別に良いんだけど、その……」モジモジ

絵里「なぁに、はっきりしないなんてにこらしくない」

にこ「……卒業したら、一緒にアイドル目指さない?」

絵里「……え?」

にこ「や、大学通いながらは難しいかもしれないから、そっち卒業してからでも全然いいし……」

絵里「い、いいの?」

にこ「もちろん。絵里は、このにこにーが認めるくらいには、アイドル向いてると思う、し」フイッ

457: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:43:10.97 ID:ejDHt+CW
絵里「あ。にこ、照れてる?」クスクス

にこ「て、照れてないわよ! それよりどうなの、やるのやらないの!」プン

絵里「そんなの……はい以外の答えが見つからないわ!」ギュウッ!

にこ「ちょ、苦しい苦しい!」ジタバタ

絵里「にこ~にこ~」スリスリ

にこ「もおおぉちょっと離れなさいっ、話終わってないの!」

絵里「うん?」パッ

にこ「……希、居るんでしょ!」

絵里「!」



希「……バレちゃったか~」テヘヘ

458: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:45:08.07 ID:ejDHt+CW
にこ「いい加減分かる様になったわよ、こうも高頻度で忍ばれちゃあ」

希「いやぁ、ウチ別に隠れてるつもりはないんやけどな? なんやお邪魔かな~って思って」

にこ「希、アンタはどうするの」

希「え……」

にこ「話聞いてたんでしょ。アイドル、目指すの?」

希「いや、それはえりちの話やろ? ウチは……」

絵里「……のーぞーみっ」ジーッ

希「……う、ウチもいいの?」

にこ「今更何言ってるのよ」ハァ

絵里「ね、素直じゃないのは私達だけじゃないものね」クスクス

希「二人共……」

459: 名無しで叶える物語(笑)@\(^o^)/ 2015/05/31(日) 02:46:24.74 ID:ejDHt+CW
にこ「アンタがにこ達の為になんか頑張ってたのは知ってるのよ、私も、絵里も」

絵里「ねぇ、ずっと一緒だったのに……今更離れるなんて言わないわよね?」

希「……えへへ。二人には本当、敵わんなぁ」


にこ「決まりね。これでもう、にこ達の将来は輝きに満ちてるわ!」

絵里「でもにこ? まずはラブライブに全力を注ぐのが先よ?」

にこ「わかってるわよ! 絵里が腰抜かすくらいすごいパフォーマンスして、優勝をかっさらってやるんだから」

絵里「ふふっ。一緒に頑張りましょうね!」





ほんとのほんとにおしまい

引用元: にこ「私の方が年上なのよ!敬いなさい!」絵里「え?」