1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 01:28:55.35 ID:ImfG9d0vO
―作戦会議室―

バルクホルン「ゲルトルート・バルクホルン以下5名、全員帰投したぞ」

ミーナ「ご苦労さま。後は私たちに任せて、みんなはゆっくり休むように言っておいて」

バルクホルン「ああ」

パタン

ミーナ「……ふぅ」

坂本「ここ数週間、ネウロイの動きが目立ってきているな。冬期は活動が停滞するというのが定説だが……」

ミーナ「ええ……でも、私たちが頑張らなきゃね。怠けてたら、いつマロニーの後釜に目を付けられるか分からないもの」

坂本「そうだな」

ミーナ「……でも、私は…」

坂本「ん? 何か言ったか?」

ミーナ「え!? ううん、何でもないの。さ、報告書をまとめないと」

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 01:38:58.88 ID:ImfG9d0vO
―深夜―

坂本「……」

坂本「やれやれ、今夜はどうも眠りが浅いな」

坂本「寝酒……」

坂本「いや、また何をするか分からないからな。やめておこう」

坂本「本当は体を動かすのが一番なんだが、夜中に騒がしくするのも悪い……」

坂本「ううむ……時間は…午前2時か。本でも読んでいればそのうち」

トントン

坂本「?」

トントン

坂本「誰だ?」

「美緒、起きてるの?」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 01:47:32.89 ID:ImfG9d0vO
ミーナ「ちょっと、いいかしら」

坂本「ミーナ。こんな時間に何を……ああ、まず部屋に入れ」

ミーナ「ありがとう」

坂本「今なにか暖まるものを淹れてくるから、待っててくれ」

ミーナ「いいのよ、そんな……」

坂本「私に話があるんじゃないのか? 体を冷やして体調を崩されては困るからな」

ミーナ「……そうね、お願いするわ」

坂本「ああ」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 01:59:12.79 ID:ImfG9d0vO
坂本「待たせたな。それで、今夜はどうしたんだ?」

ミーナ「……そんなに、大したことない話なんだけど」

坂本「うむ」

ミーナ「……私、この501で、本当に必要なのかしら」

坂本「何?」

ミーナ「私のしてることと言えば、安全な基地でみんなを見送って、書類をまとめて終わり。美緒とは違う」

ミーナ「戦闘に関してなら、誰が見たって美緒の方が経験も技術も上よ。私が最後に戦闘に参加したのなんて、もう数ヶ月も前のこと……」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 02:18:54.85 ID:ImfG9d0vO
坂本「司令官を前線には出せん。それくらいは分かるだろう? お前がいなくなっては、501はすぐに空中分解してしまう」

ミーナ「平気よ、美緒がいれば」

坂本「戦闘技術だって、私とお前の得意な戦法が違うから目立つだけだ。私はお前のように、大群の攻撃を回避する術を持たない」

ミーナ「……」

坂本「分かるか?」

ミーナ「……501が解散する前、あのウォーロック事件の時。美緒がいなくなっただけで、501はあんなに脆くなったわ」

ミーナ「私がいなくなったら、確かにみんなは悲しんでくれるかもね。でも、美緒ならそんな彼女たちすら立ち直らせられるでしょ」

ミーナ「私には出来なかった。上辺だけは厳しくしていたけど、心はずっと混乱してた」

坂本「だが、今もこうして501は存続している。誰一人欠けずにな」

ミーナ「……」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 02:42:40.72 ID:ImfG9d0vO
ミーナ「……そう、ね…」

坂本「……納得いかないか」

ミーナ「……」

坂本「ミーナ、こっちに来い」

ミーナ「ん……」スッ

坂本「……」

坂本「雨の音がするな」

ミーナ「え……ああ、ほんとね。天気予報じゃ今夜は晴れるって言ってたのに」

坂本「いいや、ミーナからだ。ミーナの心に雨が降ってるんだな」

ミーナ「?」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 03:08:42.51 ID:ImfG9d0vO
坂本「誰の人生にも雨は降る、誰の心にだって涙は流れる。ミーナも然り、勿論私にもな」

坂本「でも、止まない雨なんてないだろう? いつかきっと晴れて、行く先は明るくなるんだ」

ミーナ「……その雨が止むまでに、私の心はすっかり冷えきってしまうわ。どんな太陽でも暖められないくらいに」

坂本「一人きりではな。だが、あいにく私がミーナと共にいる。お前の心に雨が降れば、私がそれを拭ってやる」

ミーナ「……!」

坂本「この先何があろうと、お前には私が付いている。もし心が雨に濡れたなら、私を想え。私がどんな悲しみも吹き飛ばしてやる」

坂本「だから――」

坂本「泣いてもいいんだぞ、ミーナ」

ミーナ「…く……ぅっ…」ギュッ

ミーナ「みお……うわぁぁん……」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 03:27:13.30 ID:ImfG9d0vO
―翌朝―

ミーナ「ん……いつの間にか、眠ってたのね」

ミーナ「美緒?」

坂本「くー」スヤスヤ

ミーナ「……ありがと、美緒。でも……」

『私がミーナと共にいる。お前の心に雨が降れば、私がそれを拭ってやる』

ミーナ「私には美緒が必要だけど、美緒は……」

ミーナ「ううん、きっとそうね。こんな話したら、また怒られちゃうわ」

ミーナ「……美緒、これからもずっと私と一緒にいて欲しいの。誰の人生にも雨は降るけど――」

ミーナ「私には、ちょっと降りすぎるもの!」



おわり

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/05(土) 03:29:18.37 ID:ImfG9d0vO
The Ink Spots and Ella Fitzgerald の
『Into Each Life Some Rain Must Fall』が元ネタでした
全体通して内容めちゃくちゃなのに支援してくれてサンクス
おやすみ

引用元: ミーナ「誰の人生にも雨はつきもの」坂本「でも私には降りすぎる」